JP3699792B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は難燃性樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは本発明は、三酸化アンチモン等の有害な化合物を使用することなく、また燃焼時に有害なハロゲンガスを発生する有機ハロゲン化合物を全く使用しないか、使用したとしても少量の添加だけで実用上十分な難燃性を付与することができ、しかも不飽和ポリエステル樹脂としての物性に悪影響を及ぼすことのない難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
一般的に不飽和ポリエステル樹脂はスチレン等の可燃性成分を含んでいるために、これを難燃化するためには、硬化樹脂といえども多量の有機ハロゲン化合物を含有せしめる必要がある。また必要に応じて、燐化合物やアンチモン化合物が併用される場合もある。
【0003】
すなわち、有機ハロゲン化合物として塩素であれば20〜30重量%、臭素であれば15〜20重量%の含有を必要とし、また燐化合物またはアンチモン化合物を3〜10重量%併用した場合でも、なお難燃化のためには塩素で15〜20重量%、臭素であれば10〜15重量%使用する必要がある。
【0004】
ハロゲン元素は、燃焼時の高熱により有害なガスを発生することが知られており、その利用は極力避けることが望まれているが、その他にこれに替わる実用的な難燃化手段もないままに上記のように多量の有機ハロゲン化合物の添加が行われているというのが実情である。
【0005】
また、アンチモン化合物は毒物であって、その製品における含有量は厳しく制限されており、一定量以上の使用は含有を表示することが義務付けられている。
【0006】
燐化合物には、上記のような諸問題はないが、燐系の可塑剤の形態で難燃性付与に必要なだけの燐の量を添加すると、不飽和ポリエステル樹脂の物性を著しく損なうことになるために、実用性に欠ける。
【0007】
以上のように、不飽和ポリエステル樹脂の難燃化には未だ技術的な課題が残されており、地球環境問題が追及される中でその対策は急務となってきている。
【0008】
本発明は上記のような従来の課題を解決し、三酸化アンチモン等の有害な化合物を使用することなく、また燃焼時に有害なハロゲンガスを発生する有機ハロゲン化合物を全く使用しないか、使用したとしても少量の添加だけで実用上十分な難燃性を付与することができ、しかも不飽和ポリエステル樹脂としての物性に悪影響を及ぼすことのない難燃性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述した技術問題の本質を考慮し、無機物質および/または有機樹脂でコーティングされている赤燐微粒子を用いて、不飽和ポリエステル樹脂に難燃化効果を付与せしめるべく鋭意検討を重ねた結果、特定の不飽和ポリエステルとこれに共重合可能な特定のモノマーとを組み合わせたときに、上記目的を達成しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、(A)融点が130℃以上の高融点不飽和ポリエステル、(B)フタル酸ジアリル、(C)難燃剤として、表面コーティングされた赤燐微粒子、および(D)重合開始剤として有機過酸化物を含有し、さらに下記条件(i)〜(iv)を具備する難燃性樹脂組成物を提供するものである:
(i) (A)成分の高融点不飽和ポリエステルを構成する飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸との総和における不飽和多塩基酸成分であるフマル酸の比率が、20〜70モル%である;
(ii) (A)成分と(B)成分との総和における(B)成分の重量比率が20〜70重量%である;
(iii) (A)成分と(B)成分との総和における(C)成分の重量比率が、2〜15重量%である;および
(iv) (A)成分と(B)成分との総和に対する(D)成分の重量比率が、0.2〜5重量%である。
【0011】
また本発明は、(B)成分のフタル酸ジアリルのうち少なくとも50重量%以上がテレフタル酸ジアリルである前記の難燃性樹脂組成物を提供するものである。
【0012】
さらに本発明は、(A)成分の高融点不飽和ポリエステルの数平均分子量が2000以上である前記の難燃性樹脂組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
(A)高融点不飽和ポリエステル
上記のように本発明は、(A)成分の不飽和ポリエステルが高融点、すなわち130℃以上を有することが必要である。
このような(A)成分の高融点不飽和ポリエステルは、例えば特公平6−89126号公報に開示されているような方法で合成することが可能である。
この方法の特長は、エステル化にチタン系などの特定の触媒を用い、さらに1Torr程度の高真空条件で脱グリコール反応を行うことである。上記公報によれば、従来の数平均分子量2500以下程度の不飽和ポリエステルと比較したとき、高い融点さらに大きな数平均分子量を得ることができ、強度、耐久性、耐水性などの性能改良が見られることが報告されている。しかしながら、本発明のような前記(A)成分と、下記で説明するフタル酸ジアリルおよび表面コーティングされた赤燐微粒子の組み合わせだけで、例えば難燃規格UL−94のうちのV−0試験に合格するような極めて高度の難燃性が発現することは、従来知られていなかったものである。
【0014】
(A)高融点不飽和ポリエステルを製造するための原料は、とくに制限されないが、下記に例示する。
【0015】
飽和多塩基酸成分は、テレフタル酸またはそのジメチルエステル、イソフタル酸またはそのジメチルエステル、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸またはそのジメチルエステル、2,6−ナフタリンジカルボン酸またはそのジメチルエステル、パラフェニレンジカルボン酸またはそのジメチルエステル等が例示される。
【0016】
多価アルコール成分は、1,4−ブタンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラフェニレンエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビフェノール等が例示される。
【0017】
不飽和多塩基酸成分は、フマル酸が好適に用いられる。なお、シス型の無水マレイン酸を用いて、高温でのフマル酸への転移を利用することも可能である。
フマル酸を使用する場合、飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸との総和におけるフマル酸の比率は、20〜70モル%であるのが好適であり、さらに好ましくは30〜60モル%がよい。上記範囲によれば、(A)成分の合成の際のゲル化の危険性が低くなる等、合成が容易になり、また得られる組成物の耐熱性および難燃性ともに一層良好となる。
【0018】
なお、飽和多塩基酸と多価アルコールとの組み合わせによっては中間体の融点が高くなり過ぎるため、不飽和多塩基酸の導入反応にゲル化の危険が懸念される場合がある。その場合には、特願平8−107502号に記載されているように、溶剤を一部併用した合成を行い、生成不飽和ポリエステルから溶剤を除去する方法を適用することができる。すなわちこの方法は、(A)成分を合成するための原料を、芳香族炭化水素、芳香族エーテル、芳香族ケトン、スルホラン等の高沸点溶剤下で重縮合し、不飽和ポリエステル混合物を得て、該混合物をその融点以下に冷却し、50Torr以下の減圧下、固相状態で溶剤を除去するというものである。
【0019】
(A)成分の高融点不飽和ポリエステルを合成するには、まず多価アルコール過剰で飽和多塩基酸を縮合せしめ、引き続き不飽和多塩基酸を添加して残りのエステル化反応を継続するのがゲル化の危険性を少なくする点で有利である。
【0020】
また、1,4−ブタンジオールを採用する場合、本発明の効果を損なわない範囲において、安価な1,2−ブタンジオールにその一部を置き換えることもできる。またシクロヘキサンジメタノールおよびシクロヘキサンジカルボン酸は、シス型とトランス型の分子構造が知られているが、いずれのタイプでも、またこれらの混合物も本発明の原料として使用することができる。
【0021】
(A)成分の高融点不飽和ポリエステルは、数平均分子量2000以上が好ましく、5000以上であるがさらに好ましい。2000以上の数平均分子量のよれば、本発明の目的とする難燃性と機械的強度とが一層良好となる。
【0022】
(A)成分の高融点不飽和ポリエステルは融点が130℃以上が好ましく、融点が130℃未満では、本発明の目的とする難燃性でかつ機械的強度の優れた組成物を提供することができない。さらに好ましくは、例えば140〜180℃がよい。
【0023】
(B)フタル酸ジアリル
本発明において、(A)成分の高融点不飽和ポリエステルを溶解して樹脂とするための共重合可能なモノマーはフタル酸ジアリルが好適である。フタル酸ジアリルにはオルソ、イソ、テレの各タイプがあるが、このうちテレのタイプが本発明の効果を一層高め好ましい。例えば、テレフタル酸ジアリルに部分的にオルソ、イソ体を加えて硬化速度、硬化体強度の改良を図ることもできるが、本発明の目的とする物性および難燃性を実現するためには、テレフタル酸ジアリルを少なくとも50重量%以上含有しているのがよい。また本発明においては、フタル酸ジアリルの一部をマレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、フマル酸ジアリルのような不飽和結合を含む他のアリルエステル樹脂に替えてその性能改良を図ることもできる。ただし、その場合もフタル酸ジアリルの占める割合は80重量%以上が好ましい。
【0024】
(B)成分のフタル酸ジアリルの配合割合は、(A)成分と(B)成分との総重量に対し、20〜70重量%であるのがよく、好ましくは30〜60重量%である。上記範囲によれば、得られる組成物の成形加工時の流動性が良好となり、しかも組成物を硬化せしめた硬化体の機械的強度および耐熱性も優れたものとなる。
【0025】
(C)赤燐微粒子
本発明の(C)成分の難燃剤としては、表面コーティングされた赤燐微粒子が使用される。赤燐微粒子の表面をコーティングする材料は、例えばマイカ等の無機物質や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の有機樹脂が挙げられる。赤燐微粒子の粒径は、数μm〜から十数μm、具体的には0.5〜10μmであることができ、これらは容易に入手できる。表面コーティング厚は、例えば0.1〜1μmであることができる。
【0026】
(C)成分の赤燐微粒子は、前記(A)成分および(B)成分の合計重量に対し、2〜15重量%の範囲で使用されるのがよい。この範囲によれば、組成物の難燃性および流動性が良好となる。
【0027】
また本発明においては、(C)成分の赤燐微粒子と組み合わせて有機臭素化合物を使用し、その難燃性を一層高めることができ、また赤燐微粒子の使用割合を低減させることができる。有機臭素化合物の例としては、ヘキサブロムベンゼン、デカブロムジフェニル等が挙げられる。
有機臭素化合物は、(A)成分および(B)成分の合計重量に対して、2〜15重量%の範囲で使用するのがよい。この範囲外では、硬化物の機械的強度が劣悪となる外、電気特性、耐水性等にも悪影響が見られる。また、ハロゲン化合物の含有量を少なくするという本発明の目的にも合致しなくなる。
【0028】
本発明においては(C)成分に加えて、下記に例示するような無機質充填材を併用してさらに性能向上、および増量によるコスト低減を図ることができる。
アスベスト、アルミナ、アタパルジャイト、カオリンクレー、火山灰、カーボンブラック、グラファイト、微粉珪酸、珪酸カルシウム、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、水酸化マグネシウム、スレート粉、セリサイト、石英粉、炭酸カルシウム、タルク、長石粉、パライト、蛭石、ホワイティング、マイカ、ロウ石クレー、石膏、各種水硬性セメント類。
【0029】
(D)有機過酸化物
本発明において用いられる(D)成分の有機過酸化物は、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを用いることができ、具体的には以下のようなものが例示しうる。ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジブチルパーオキシヘキサン。
【0030】
(D)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分との総重量に対し、0.2〜5重量%が好適であり、さらに好ましくは、0.5〜3重量%がよい。上記範囲によれば、組成物の硬化性、機械的強度および難燃性が一層良好となる。
【0031】
本発明の組成物は、上記各成分をロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の一般的に知られている混合用機器を使用して、なるべく均一になるまで混合することにより得られる。また組成物はペレット、タブレット等の形状にして続く成形工程に供することができる。
【0032】
なお、本発明の組成物には、硬度、耐久性、耐水性、耐摩耗性等を改良するために前述のフィラー以外に、増粘剤、滑剤、着色顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、離型剤等の添加剤を加えてさらに一層の性能改善を図ることもできる。
【0033】
本発明の組成物を硬化させて得られる硬化体は、成形時の取り扱い安全性が確保されるだけでなく、硬化体が燃焼するときにも有機ハロゲン化合物のように極めて有害で刺激性のガスを発生することがないか、あるいは従来のものよりも格段に少なくすることができる。また本発明に使用される材料は、工業的に容易かつ大量に入手し得る。本発明の組成物は、硬化体の難燃性以外の他性能もバランスのとれたものが実現しうることから、電気、電子の分野、輸送機器、その他工業用製品のハウジングや部品用材料として有用である。
【0034】
【作用】
本発明により高度な難燃性が実現できた理由は次のようなところにあると本発明者らは考えている。
▲1▼不飽和ポリエステルとして従来にない耐熱性を有する分子骨格のものを採用したこと;▲2▼共重合モノマーとしてもやはり耐熱性の高いフタル酸ジアリルを選定したこと;▲3▼適切な三次元架橋構造を実現したこと。
【0035】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記の例に何ら限定されるものではない。
[高融点不飽和ポリエステル(A−1)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた2リットルのフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノール300g(2.1モル)、2,6−カルボキシルナフタレンジメチルエステル341g(1.4モル)、酢酸亜鉛1.2g、メチルナフタレン300gを仕込み、当初160〜200℃でエステル化反応を行った。
メタノールの溜出が終了した時点で、次に温度を170℃まで下げ、フマル酸70g(0.6モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、さらに温度210〜220℃、窒素気流下で酸価9.5になる迄エステル化を行い、反応後フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られたメチルナフタレンを含む不飽和ポリエステル混合物は淡赤褐色の硬いワックス状であった。これを米粒大に粗砕し、ステンレス製の籠に入れ、30Torrの減圧下で、まず180℃で8時間、次いで200℃で8時間脱溶剤を行い、不飽和ポリエステルを得た。
この不飽和ポリエステルは重量変化から、約3重量%程度の溶剤が残存していると見られた。またこの不飽和ポリエステルの融点はDSC測定の結果、283℃であった。またGPC測定による数平均分子量は2500であった。これを(A−1)とする。
【0036】
[不飽和ポリエステル(A−2)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4−ブタンジオール235g(2.60モル)、エチレングリコール124g(2.6モル)、テレフタル酸ジメチル389g(2.0モル)、オクチル酸亜鉛 2.0gを加え140〜190℃でエステル化反応を行った。
次に温度を175℃まで下げ、フマル酸348g(3.0モル)、ハイドロキノン0.5gを追加し、さらに温度175〜200℃でエステル化を続け酸価14となった段階で、テトライソプロピルチタネート0.8g、亜リン酸0.2gを加え、190〜200℃で当初7〜10Torr、最終的には1Torr迄減圧し、6時間の脱グリコール反応を行った。反応後フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
淡褐色、GPCによる測定では、数平均分子量7200、重量平均分子量31000の不飽和ポリエステルが得られた。またこの不飽和ポリエステルの融点はDSC測定の結果、86℃であった。これを(A−2)とする。
【0037】
[高融点不飽和ポリエステル(A−3)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4−ブタンジオール470g(5.20モル)、テレフタル酸ジメチル583g(3.0モル)、オクチル酸亜鉛 3.0gを加え140〜180℃でエステル化反応を行った。次に温度を170℃まで下げ、フマル酸232g(2.0モル)、ハイドロキノン0.5gを追加し、さらに温度170〜200℃でエステル化を続け酸価25となった段階で、テトライソプロピルチタネート1.3g、亜リン酸0.2gを加え、190〜200℃で当初7〜10Torr、最終的には0.9Torr迄減圧した。7時間の反応後フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
淡黄色でGPCによる測定では、数平均分子量10800、重量平均分子量24000、またDSC測定の結果、融点は143℃であった。この樹脂を(A−3)とする。
【0038】
[不飽和ポリエステル(A−5)の合成]
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー、ガス導入管を取付けた3リットルのフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノール748g(5.2モル)、テレフタル酸ジメチル227g(1.4モル)、酢酸亜鉛1.2g、メチルナフタレン350gを仕込み、当初160〜200℃でエステル化反応を行った。
メタノールの溜出が終了した時点で、次に温度を170℃まで下げ、フマル酸418g(3.6モル)、ハイドロキノン0.3gを加え、さらに温度210〜220℃、窒素気流下で酸価9.5となる迄エステル化を行い、反応後フラスコ内樹脂を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
得られたメチルナフタレンを含む不飽和ポリエステル混合物は淡赤褐色の硬いワックス状であった。これを米粒大に粗砕し、ステンレス製の籠に入れ、30Torrの減圧下で、まず180℃で8時間、次いで200℃で8時間脱溶剤を行い、不飽和ポリエステルを得た。
この不飽和ポリエステルは重量変化から、約3重量%程度の溶剤が残存していると見られた。またこの不飽和ポリエステルの融点はDSC測定の結果、165℃であった。またGPC測定による数平均分子量は3500であった。これを(A−5)とする。
【0039】
実施例1
(A−1)50重量部をフラスコ中に秤取し、テレフタル酸ジアリル50重量部を加えて150℃に加熱し、よく撹拌混合した後、内容物を金属製バットに注入し、冷却固化させた。
次に120℃に加熱したロールを用い、(C)成分および(D)成分を表1に示す所定量でもって配合し、冷却後細粒状に粉砕した。なお、(C)成分としては燐化学工業社製のマイカでコーティング後メラミン樹脂コーティングしたもの(C−1、燐含有量75%、平均粒径4μm)およびメラミン樹脂でのみコーティングしたもの(C−2、燐含有量90%、平均粒径3.5μm)の2種類を用いた。
得られた組成物を用いてJIS K−6911に準拠して曲げ試験用試験体を150℃で5分間プレス成形して作成した。試験体はさらに180℃で2時間アフターキュアを行った後、強度測定を実施した。同様にしてUL難燃規格に準拠した燃焼性試験の試験体を作成し、不燃試験を実施した。結果を表1にまとめて示す。
【0040】
実施例2〜5および比較例1〜7
(B)成分、(C)成分および(D)成分等の混合比率を変えたこと以外は実施例1を繰り返し、曲げ強度および難燃性の測定を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0041】
【表1】
Figure 0003699792
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、三酸化アンチモン等の有害な化合物を使用することなく、また燃焼時に有害なハロゲンガスを発生する有機ハロゲン化合物を全く使用しないか、使用したとしても少量の添加だけで実用上十分な難燃性を付与することができ、しかも不飽和ポリエステル樹脂としての物性に悪影響を及ぼすことのない難燃性樹脂組成物が提供される。

Claims (2)

  1. (A)融点が140℃以上の高融点不飽和ポリエステル、(B)フタル酸ジアリル、(C)難燃剤として、表面コーティングされた赤燐微粒子、および(D)重合開始剤として有機過酸化物を含有し、さらに下記条件(i)〜(v) を具備する難燃性樹脂組成物:
    (i) (A)成分の高融点不飽和ポリエステルを構成する飽和多塩基酸成分と不飽和多塩基酸との総和における不飽和多塩基酸成分であるフマル酸の比率が、20〜70モル%である;
    (ii) (A)成分と(B)成分との総和における(B)成分の重量比率が20〜70重量%である;
    (iii) (A)成分と(B)成分との総和における(C)成分の重量比率が、2〜15重量%である;
    (iv) (A)成分と(B)成分との総和に対する(D)成分の重量比率が、0.2〜5重量%である;および
    (v) (B)成分のフタル酸ジアリルのうち少なくとも50重量%以上がテレフタル酸ジアリルである。
  2. (A)成分の高融点不飽和ポリエステルの数平均分子量が2000以上である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
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