JPH05271390A - 熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
熱硬化性エポキシ樹脂組成物Info
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- JPH05271390A JPH05271390A JP7197192A JP7197192A JPH05271390A JP H05271390 A JPH05271390 A JP H05271390A JP 7197192 A JP7197192 A JP 7197192A JP 7197192 A JP7197192 A JP 7197192A JP H05271390 A JPH05271390 A JP H05271390A
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- epoxy
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 硬化時の発熱量が少なく、且つ優れた耐熱性
を有する硬化物を形成することができる熱硬化性エポキ
シ樹脂組成物を提供すること。 【構成】 下記化1に示す一般式(1)で表されるエポ
キシ樹脂と、硬化剤として酸無水物と、下記化1に示す
一般式(2)で表される反応型硬化促進剤とを含有す
る。 【化1】 式中、R1 〜R4 は、夫々HまたはCH3 を表し、R5
〜R8 は、夫々HまたはCH3 を表し、Rは少なくとも
1個のエポキシ基を有する1価の有機基を表す。
を有する硬化物を形成することができる熱硬化性エポキ
シ樹脂組成物を提供すること。 【構成】 下記化1に示す一般式(1)で表されるエポ
キシ樹脂と、硬化剤として酸無水物と、下記化1に示す
一般式(2)で表される反応型硬化促進剤とを含有す
る。 【化1】 式中、R1 〜R4 は、夫々HまたはCH3 を表し、R5
〜R8 は、夫々HまたはCH3 を表し、Rは少なくとも
1個のエポキシ基を有する1価の有機基を表す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化時の発熱が少な
く、且つ耐熱性に優れた硬化物を得ることの可能な熱硬
化性エポキシ樹脂組成物に関する。
く、且つ耐熱性に優れた硬化物を得ることの可能な熱硬
化性エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ビスフェノールA型等の液状
または固形のエポキシ樹脂と、硬化剤として酸無水物
と、更に硬化促進剤とを含有した熱硬化性エポキシ樹脂
組成物が知られている。この組成物におけるエポキシ樹
脂は、硬化させる際の作業性が良好で、硬化時には優れ
た電気的特性、機械的特性を示し、且つ安価である。従
って、当該エポキシ樹脂は現在のエポキシ樹脂組成物の
樹脂成分の主流となっており、各種の電気設備における
絶縁材料に好適に使用されている。
または固形のエポキシ樹脂と、硬化剤として酸無水物
と、更に硬化促進剤とを含有した熱硬化性エポキシ樹脂
組成物が知られている。この組成物におけるエポキシ樹
脂は、硬化させる際の作業性が良好で、硬化時には優れ
た電気的特性、機械的特性を示し、且つ安価である。従
って、当該エポキシ樹脂は現在のエポキシ樹脂組成物の
樹脂成分の主流となっており、各種の電気設備における
絶縁材料に好適に使用されている。
【0003】ところで、近年、変電設備等の電気設備の
小型化に伴い、同設備に使用される絶縁材料の高耐熱化
が要求されている。また、前記エポキシ樹脂を用いてこ
の種の絶縁部材を成形する場合、硬化物の焼けの防止、
硬化物のヒケの防止、硬化歪みおよび熱歪みを夫々防止
する目的で、エポキシ樹脂の硬化時における発熱量を最
小限に抑える必要がある。しかしながら、従来のビスフ
ェノールA型の固形のエポキシ樹脂を使用して得られた
硬化物では、一般的には、耐熱性が不充分である。これ
に対し、ビスフェノールA型の液状エポキシ樹脂に硬化
剤と硬化促進剤とを配合して得られた硬化物において
は、逆に硬化時の発熱が大きくなり、硬化歪みや熱歪み
によるクラックの発生、着色および焼け等の発生といっ
た問題が生じている。
小型化に伴い、同設備に使用される絶縁材料の高耐熱化
が要求されている。また、前記エポキシ樹脂を用いてこ
の種の絶縁部材を成形する場合、硬化物の焼けの防止、
硬化物のヒケの防止、硬化歪みおよび熱歪みを夫々防止
する目的で、エポキシ樹脂の硬化時における発熱量を最
小限に抑える必要がある。しかしながら、従来のビスフ
ェノールA型の固形のエポキシ樹脂を使用して得られた
硬化物では、一般的には、耐熱性が不充分である。これ
に対し、ビスフェノールA型の液状エポキシ樹脂に硬化
剤と硬化促進剤とを配合して得られた硬化物において
は、逆に硬化時の発熱が大きくなり、硬化歪みや熱歪み
によるクラックの発生、着色および焼け等の発生といっ
た問題が生じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたもので、その課題とするところは、硬化
時の発熱量が少なく、且つ優れた耐熱性を有する硬化物
を形成することができる熱硬化性エポキシ樹脂組成物を
提供することである。
鑑みてなされたもので、その課題とするところは、硬化
時の発熱量が少なく、且つ優れた耐熱性を有する硬化物
を形成することができる熱硬化性エポキシ樹脂組成物を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記化3に示す一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と、
酸無水物と、下記化4に示す一般式(2)で表される反
応型硬化促進剤とを含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成
物によって達成される。
記化3に示す一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と、
酸無水物と、下記化4に示す一般式(2)で表される反
応型硬化促進剤とを含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成
物によって達成される。
【0006】
【化3】 式中、R1 〜R4 は、夫々HまたはCH3 を表す。
【0007】
【化4】 式中、R5 〜R8 は、夫々HまたはCH3 を表し、Rは
少なくとも1個のエポキシ基を有する1価の有機基を表
す。以下、本発明を詳細に説明する。
少なくとも1個のエポキシ基を有する1価の有機基を表
す。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明のエポキシ樹脂組成物において、前
記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、当該樹脂組
成物の主成分を構成するものであり、ビフェニル骨格を
有することを特徴とする。
記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、当該樹脂組
成物の主成分を構成するものであり、ビフェニル骨格を
有することを特徴とする。
【0009】一方、本発明のエポキシ樹脂組成物におい
て、硬化剤成分である酸無水物には、具体的には、無水
フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチル
ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラ
ヒドロ無水フタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラ
ヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロ
レンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(ア
ンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカ
ルボン酸無水物、無水トリメリット酸等が使用され得
る。以上のうち、無水フタル酸が特に好ましい。また、
本発明のエポキシ樹脂組成物において、当該酸無水物の
配合量は、樹脂組成物における酸無水物基数/全エポキ
シ基数の比の値が、0.6 〜 1.2、好ましくは、0.7 〜1.
0 となる範囲に設定され得る。その理由は、上記範囲を
外れると、得られる硬化物の耐熱性、電気的特性、機械
的特性が不充分となる恐れがあるからである。尚、ここ
で樹脂組成物中における全エポキシ基数とは、本発明の
エポキシ樹脂組成物に配合されるエポキシ樹脂中のエポ
キシ基の数と、反応型硬化促進剤中のエポキシ基の数と
の総和を示し、以下についても同様とする。
て、硬化剤成分である酸無水物には、具体的には、無水
フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチル
ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラ
ヒドロ無水フタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラ
ヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロ
レンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(ア
ンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカ
ルボン酸無水物、無水トリメリット酸等が使用され得
る。以上のうち、無水フタル酸が特に好ましい。また、
本発明のエポキシ樹脂組成物において、当該酸無水物の
配合量は、樹脂組成物における酸無水物基数/全エポキ
シ基数の比の値が、0.6 〜 1.2、好ましくは、0.7 〜1.
0 となる範囲に設定され得る。その理由は、上記範囲を
外れると、得られる硬化物の耐熱性、電気的特性、機械
的特性が不充分となる恐れがあるからである。尚、ここ
で樹脂組成物中における全エポキシ基数とは、本発明の
エポキシ樹脂組成物に配合されるエポキシ樹脂中のエポ
キシ基の数と、反応型硬化促進剤中のエポキシ基の数と
の総和を示し、以下についても同様とする。
【0010】本発明のエポキシ樹脂組成物において、前
記一般式(2)で表される反応型硬化促進剤とは、上述
したエポキシ樹脂と酸無水物との反応を促進する化合物
であり、その分子中に、水酸基1個以上と、エポキシ基
2個以上と、更にビフェニル骨格とを有することを特徴
とする。該反応型硬化促進剤の具体例としては、下記化
5〜化7に示す化合物(C−1)〜(C−10)が挙げ
られる。
記一般式(2)で表される反応型硬化促進剤とは、上述
したエポキシ樹脂と酸無水物との反応を促進する化合物
であり、その分子中に、水酸基1個以上と、エポキシ基
2個以上と、更にビフェニル骨格とを有することを特徴
とする。該反応型硬化促進剤の具体例としては、下記化
5〜化7に示す化合物(C−1)〜(C−10)が挙げ
られる。
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】 式中、R* は下記化8に示す基を、R**はHまたはCH
3 を夫々表す。
3 を夫々表す。
【0014】
【化8】
【0015】これら反応型硬化促進剤は、多価フェノー
ルと、ビフェニル型エポキシ樹脂、例えば前記一般式
(1)で表されるエポキシ樹脂との重合反応により容易
に得ることができる。尚、通常、この反応ではビフェニ
ル型エポキシ樹脂が未反応成分として残存する。従って
この場合、当該反応型硬化促進剤は、前記一般式(1)
で表されるエポキシ樹脂との混合物の形で得られ、この
混合物および前記酸無水物を配合することにより、本発
明のエポキシ樹脂組成物が調製され得る。
ルと、ビフェニル型エポキシ樹脂、例えば前記一般式
(1)で表されるエポキシ樹脂との重合反応により容易
に得ることができる。尚、通常、この反応ではビフェニ
ル型エポキシ樹脂が未反応成分として残存する。従って
この場合、当該反応型硬化促進剤は、前記一般式(1)
で表されるエポキシ樹脂との混合物の形で得られ、この
混合物および前記酸無水物を配合することにより、本発
明のエポキシ樹脂組成物が調製され得る。
【0016】また、本発明のエポキシ樹脂組成物におい
て、前記反応型硬化促進剤の配合量は、樹脂組成物中に
おける水酸基数/全エポキシ基数の比の値が、0.13以
上、好ましくは0.17〜0.8 となる範囲に設定され得る。
その理由は、上記比の値が0.13未満であると、エポキシ
樹脂組成物の硬化速度が非常に遅くなるため実用的では
なく、また上記比の値が 0.8を超えるようなエポキシ樹
脂組成物はその調製が極めて困難になるからである。
て、前記反応型硬化促進剤の配合量は、樹脂組成物中に
おける水酸基数/全エポキシ基数の比の値が、0.13以
上、好ましくは0.17〜0.8 となる範囲に設定され得る。
その理由は、上記比の値が0.13未満であると、エポキシ
樹脂組成物の硬化速度が非常に遅くなるため実用的では
なく、また上記比の値が 0.8を超えるようなエポキシ樹
脂組成物はその調製が極めて困難になるからである。
【0017】本発明のエポキシ樹脂組成物には、上記成
分の他、必要に応じて、ハロゲン化エポキシ樹脂、無機
質充填剤、表面改質剤(カップリング剤)、離型剤、着
色剤、難燃助剤等が添加され得る。
分の他、必要に応じて、ハロゲン化エポキシ樹脂、無機
質充填剤、表面改質剤(カップリング剤)、離型剤、着
色剤、難燃助剤等が添加され得る。
【0018】前記ハロゲン化エポキシ樹脂としては、例
えば、ビスフェノール型ブロム化エポキシ樹脂、ノボラ
ック型ブロム化エポキシ等が挙げられる。前記無機質充
填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガ
ラス繊維、タルク、アルミナ、ケイ酸カルシウム、硫酸
バリウム、炭酸カルシウム、マグネシア、窒化ケイ素、
窒化ホウ素のような粉粒体および短繊維等が挙げられ
る。前記カップリング剤としては、例えば、シラン系化
合物、ボラン系化合物、アルコキシチタネート系化合
物、アルミキレート系化合物が挙げられる。前記離型剤
としては、例えば、天然ワックス類、合成ワックス類、
直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィ
ン類等が挙げられる。前記着色剤としては、例えば、カ
ーボンブラック、ベンカラ、チタンホワイト、ジアゾ系
有機顔料、有機染料等が挙げられる。前記難燃助剤とし
ては、例えば、塩素化パラフィン、ブロムトルエン、ヘ
キサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等が挙げられ
る。
えば、ビスフェノール型ブロム化エポキシ樹脂、ノボラ
ック型ブロム化エポキシ等が挙げられる。前記無機質充
填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガ
ラス繊維、タルク、アルミナ、ケイ酸カルシウム、硫酸
バリウム、炭酸カルシウム、マグネシア、窒化ケイ素、
窒化ホウ素のような粉粒体および短繊維等が挙げられ
る。前記カップリング剤としては、例えば、シラン系化
合物、ボラン系化合物、アルコキシチタネート系化合
物、アルミキレート系化合物が挙げられる。前記離型剤
としては、例えば、天然ワックス類、合成ワックス類、
直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド、エステル類、パラフィ
ン類等が挙げられる。前記着色剤としては、例えば、カ
ーボンブラック、ベンカラ、チタンホワイト、ジアゾ系
有機顔料、有機染料等が挙げられる。前記難燃助剤とし
ては、例えば、塩素化パラフィン、ブロムトルエン、ヘ
キサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等が挙げられ
る。
【0019】本発明のエポキシ樹脂組成物は、以上の各
成分を所定の比率で混合し、加熱ロール、加熱ニーダ、
押出機、万能混合機等を用いた一般的な混練方法を適宜
組合せたプロセスによって、容易に調製され得る。
成分を所定の比率で混合し、加熱ロール、加熱ニーダ、
押出機、万能混合機等を用いた一般的な混練方法を適宜
組合せたプロセスによって、容易に調製され得る。
【0020】
【作用】以下に、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物
の作用を、その硬化反応に従って説明する。尚、下記化
9に、具体的に酸無水物として無水フタル酸が使用され
る場合について、この硬化反応の反応機構を例示する。
の作用を、その硬化反応に従って説明する。尚、下記化
9に、具体的に酸無水物として無水フタル酸が使用され
る場合について、この硬化反応の反応機構を例示する。
【0021】本発明の樹脂組成物によれば、まず加熱に
よって前記反応型硬化促進剤(2)と酸無水物(3)と
が反応し、酸無水物(3)が開環して、側鎖にカルボキ
シル基を有するモノエステル(4)が生成する。次に、
中間体であるモノエステル(4)のカルボキシル基と前
記エポキシ樹脂(1)(または反応型硬化促進剤
(2))のエポキシ基とが反応し、ジエステル(5)が
生成する。続いて、ジエステル(5)中の水酸基と酸無
水物(3)とが反応してカルボキシル基が生じ、更に、
このカルボキシル基と、エポキシ樹脂(1)(または反
応型硬化促進剤(2))が反応する。本発明のエポキシ
樹脂組成物では、以上のような反応が連続して進行し、
三次元構造のポリエステル硬化物が形成される。従っ
て、この反応において、反応型硬化促進剤(2)は形成
される硬化物の構造中に組み込まれている。
よって前記反応型硬化促進剤(2)と酸無水物(3)と
が反応し、酸無水物(3)が開環して、側鎖にカルボキ
シル基を有するモノエステル(4)が生成する。次に、
中間体であるモノエステル(4)のカルボキシル基と前
記エポキシ樹脂(1)(または反応型硬化促進剤
(2))のエポキシ基とが反応し、ジエステル(5)が
生成する。続いて、ジエステル(5)中の水酸基と酸無
水物(3)とが反応してカルボキシル基が生じ、更に、
このカルボキシル基と、エポキシ樹脂(1)(または反
応型硬化促進剤(2))が反応する。本発明のエポキシ
樹脂組成物では、以上のような反応が連続して進行し、
三次元構造のポリエステル硬化物が形成される。従っ
て、この反応において、反応型硬化促進剤(2)は形成
される硬化物の構造中に組み込まれている。
【0022】
【化9】
【0023】尚、液状エポキシ樹脂に硬化剤としての酸
無水物を、硬化促進剤としてのアミン等を配合した従来
タイプのエポキシ樹脂組成物では、その硬化反応におい
て硬化促進剤は硬化剤に対する触媒(重合開始剤)とし
て働き、最終的に得られる硬化物の構造中には組み込ま
れない。このため、この系における硬化反応では反応速
度が非常に速く、硬化発熱の発生量が大きくなる。
無水物を、硬化促進剤としてのアミン等を配合した従来
タイプのエポキシ樹脂組成物では、その硬化反応におい
て硬化促進剤は硬化剤に対する触媒(重合開始剤)とし
て働き、最終的に得られる硬化物の構造中には組み込ま
れない。このため、この系における硬化反応では反応速
度が非常に速く、硬化発熱の発生量が大きくなる。
【0024】これに対し、上述した本発明のエポキシ樹
脂組成物による硬化反応は、逐次的反応でありその発熱
量が非常に小さい。また、得られた硬化物を構成するエ
ポキシ樹脂(1)並びに反応型硬化促進剤(2)は夫々
ビフェニル骨格を有するため、当該硬化物は耐熱性に優
れる。
脂組成物による硬化反応は、逐次的反応でありその発熱
量が非常に小さい。また、得られた硬化物を構成するエ
ポキシ樹脂(1)並びに反応型硬化促進剤(2)は夫々
ビフェニル骨格を有するため、当該硬化物は耐熱性に優
れる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物
を実施例により更に詳細に説明する。尚、これら実施例
は本発明の理解を容易にする目的で記載されるものであ
り、本発明を特に限定するものではない。熱硬化性エポ
キシ樹脂組成物の調製
を実施例により更に詳細に説明する。尚、これら実施例
は本発明の理解を容易にする目的で記載されるものであ
り、本発明を特に限定するものではない。熱硬化性エポ
キシ樹脂組成物の調製
【0026】まずフラスコに、エポキシ樹脂としてテト
ラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000,
エポキシ当量189,油化シェルエポキシ(株)社製)
またはビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(GY−2
60,エポキシ当量189,チバガイギー社製)を、お
よび多価フェノールフェノールとしてビスフェノールA
(和光純薬工業(株)社製)またはフェノールノボラッ
ク樹脂(BRG−557,フェノール当量104,昭和
高分子(株)社製)を下記表1に示す処方に従って各重
量部投入し、150 ℃に加熱した窒素雰囲気中で30分間攪
拌混合した。次に、反応物を 110℃まで冷却し、更に重
合触媒としてトリフェニルホスフィン(KI化成(株)
社製)を表1に示す処方に従って各重量部添加した後、
3 時間攪拌混合して、反応型硬化促進剤(CE−1)〜
(CE−3)とエポキシ樹脂との混合物A〜Fを得た。
ここで得られた反応型硬化促進剤(CE−1)〜(CE
−3)の構造式を下記化10および化11に示す。ま
た、表1には混合物A〜F中における反応型硬化促進剤
の含有量、混合物の軟化点、水酸基数/全エポキシ基数
の比の値を併記する。
ラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000,
エポキシ当量189,油化シェルエポキシ(株)社製)
またはビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(GY−2
60,エポキシ当量189,チバガイギー社製)を、お
よび多価フェノールフェノールとしてビスフェノールA
(和光純薬工業(株)社製)またはフェノールノボラッ
ク樹脂(BRG−557,フェノール当量104,昭和
高分子(株)社製)を下記表1に示す処方に従って各重
量部投入し、150 ℃に加熱した窒素雰囲気中で30分間攪
拌混合した。次に、反応物を 110℃まで冷却し、更に重
合触媒としてトリフェニルホスフィン(KI化成(株)
社製)を表1に示す処方に従って各重量部添加した後、
3 時間攪拌混合して、反応型硬化促進剤(CE−1)〜
(CE−3)とエポキシ樹脂との混合物A〜Fを得た。
ここで得られた反応型硬化促進剤(CE−1)〜(CE
−3)の構造式を下記化10および化11に示す。ま
た、表1には混合物A〜F中における反応型硬化促進剤
の含有量、混合物の軟化点、水酸基数/全エポキシ基数
の比の値を併記する。
【0027】
【表1】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】次いで、上記混合物A〜Eと、硬化剤とし
ての酸無水物(無水フタル酸)と、更に充填剤としてア
ルミナを、下記表2に示す処方で各重量部配合し、熱硬
化性エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、 120
℃に設定された万能混合機匂いて、上述したような混合
物および充填剤を10Torrの減圧下で 120分間混練した
後、硬化剤を添加し、更に10Torrの減圧下で20分間混練
して熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
ての酸無水物(無水フタル酸)と、更に充填剤としてア
ルミナを、下記表2に示す処方で各重量部配合し、熱硬
化性エポキシ樹脂組成物を調製した。具体的には、 120
℃に設定された万能混合機匂いて、上述したような混合
物および充填剤を10Torrの減圧下で 120分間混練した
後、硬化剤を添加し、更に10Torrの減圧下で20分間混練
して熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。
【0031】また、比較例として、混合物A〜Fの代わ
りに、エポキシ樹脂としてテトラメチルビフェニル型エ
ポキシ樹脂(YX−4000,エポキシ当量189,油
化シェルエポキシ(株)社製)またはビスフェノールA
型液状エポキシ樹脂(GY−260,エポキシ当量18
9,チバガイギー社製)と、硬化剤として酸無水物と、
硬化促進剤としてDBU(1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン-7)とを配合した熱硬化性樹脂組成物を同様
に調製した。 試験片の作製および特性試験
りに、エポキシ樹脂としてテトラメチルビフェニル型エ
ポキシ樹脂(YX−4000,エポキシ当量189,油
化シェルエポキシ(株)社製)またはビスフェノールA
型液状エポキシ樹脂(GY−260,エポキシ当量18
9,チバガイギー社製)と、硬化剤として酸無水物と、
硬化促進剤としてDBU(1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン-7)とを配合した熱硬化性樹脂組成物を同様
に調製した。 試験片の作製および特性試験
【0032】120℃に予備加熱した金型に、実施例およ
び比較例の各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を注入し、 5
Torrで10分間減圧および脱泡した後、 120℃×15時間の
1次硬化、続いて 150℃×20時間の2次硬化を行って、
試験片、即ち硬化物を作製した。これら試験片について
以下の如く各特性について評価した。 (ガラス転移温度)
び比較例の各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を注入し、 5
Torrで10分間減圧および脱泡した後、 120℃×15時間の
1次硬化、続いて 150℃×20時間の2次硬化を行って、
試験片、即ち硬化物を作製した。これら試験片について
以下の如く各特性について評価した。 (ガラス転移温度)
【0033】各試験片に対して動的粘弾性測定を行い、
損失正接tanδが最大値となる温度をガラス転移温度
とした。この値が大きいほど硬化物の耐熱性が高いこと
を示す。 (発熱量)各試験片について、DSC(示差熱走査熱量
計)法により発熱量を測定した当該方法において、試料
重量を10mg、昇温速度を 5℃/min.とし、熱量計算の標
準物質としてスズを使用した。 (耐クラック性)
損失正接tanδが最大値となる温度をガラス転移温度
とした。この値が大きいほど硬化物の耐熱性が高いこと
を示す。 (発熱量)各試験片について、DSC(示差熱走査熱量
計)法により発熱量を測定した当該方法において、試料
重量を10mg、昇温速度を 5℃/min.とし、熱量計算の標
準物質としてスズを使用した。 (耐クラック性)
【0034】各試験片について、オリファントワッシャ
ー法により耐クラック性を評価した。即ち、銅製のオリ
ファントワッシャーを埋め込んだ試験片を、25℃におい
て24時間放置し、試験片にクラックが発生しているか否
かを目視により判定した。以上の結果を下記表2に併記
する。
ー法により耐クラック性を評価した。即ち、銅製のオリ
ファントワッシャーを埋め込んだ試験片を、25℃におい
て24時間放置し、試験片にクラックが発生しているか否
かを目視により判定した。以上の結果を下記表2に併記
する。
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果より、実施例の熱硬化性エポキ
シ樹脂組成物は、比較例に比べ、ガラス転移温度が高
く、硬化時の発熱量が少なく、且つ耐クラック性も優れ
ている。
シ樹脂組成物は、比較例に比べ、ガラス転移温度が高
く、硬化時の発熱量が少なく、且つ耐クラック性も優れ
ている。
【0037】尚、表1に示した混合物Fと、硬化剤とし
ての酸無水物とを配合して実施例1〜4と同様に熱硬化
性エポキシ樹脂組成物を調製し、各特性の評価を行った
ところ、この樹脂組成物では、1次硬化に120 ℃×40時
間以上を要し作業性が劣っていたものの、実施例1〜4
とほぼ同様の特性が得られた。
ての酸無水物とを配合して実施例1〜4と同様に熱硬化
性エポキシ樹脂組成物を調製し、各特性の評価を行った
ところ、この樹脂組成物では、1次硬化に120 ℃×40時
間以上を要し作業性が劣っていたものの、実施例1〜4
とほぼ同様の特性が得られた。
【0038】このように本発明の熱硬化性エポキシ樹脂
組成物では、前述したような反応型硬化促進剤を使用す
ることにより、硬化時の発熱量が抑えられ、またビフェ
ニル骨格を有するエポキシ樹脂を配合することにより高
い耐熱性が得られている。しかし、比較例2および3に
示されるように硬化剤に対し触媒として働く硬化促進剤
を使用した場合には、ビフェニル骨格を有するエポキシ
樹脂を配合しても耐熱性の向上は小さい。よって、本発
明では、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂と上記反
応型硬化促進剤との相互作用により、顕著な耐熱性の向
上および硬化時の発熱量の低減が達成される。
組成物では、前述したような反応型硬化促進剤を使用す
ることにより、硬化時の発熱量が抑えられ、またビフェ
ニル骨格を有するエポキシ樹脂を配合することにより高
い耐熱性が得られている。しかし、比較例2および3に
示されるように硬化剤に対し触媒として働く硬化促進剤
を使用した場合には、ビフェニル骨格を有するエポキシ
樹脂を配合しても耐熱性の向上は小さい。よって、本発
明では、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂と上記反
応型硬化促進剤との相互作用により、顕著な耐熱性の向
上および硬化時の発熱量の低減が達成される。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
硬化時の発熱量が少なく、且つ優れた耐熱性を有する硬
化物を形成することの可能な熱硬化性エポキシ樹脂組成
物を提供することができる。従って、本発明のエポキシ
樹脂組成物では、硬化歪みや熱歪みを低減をすることも
でき、これらに起因するクラックの発生、着色および焼
け等の発生といった問題を解決することが可能になる。
硬化時の発熱量が少なく、且つ優れた耐熱性を有する硬
化物を形成することの可能な熱硬化性エポキシ樹脂組成
物を提供することができる。従って、本発明のエポキシ
樹脂組成物では、硬化歪みや熱歪みを低減をすることも
でき、これらに起因するクラックの発生、着色および焼
け等の発生といった問題を解決することが可能になる。
Claims (1)
- 【請求項1】 下記化1に示す一般式(1)で表される
エポキシ樹脂と、酸無水物と、下記化2に示す一般式
(2)で表される反応型硬化促進剤とを含有する熱硬化
性エポキシ樹脂組成物。 【化1】 式中、R1 〜R4 は、夫々HまたはCH3 を表す。 【化2】 式中、R5 〜R8 は、夫々HまたはCH3 を表し、Rは
少なくとも1個のエポキシ基を有する1価の有機基を表
す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7197192A JPH05271390A (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 熱硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7197192A JPH05271390A (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 熱硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05271390A true JPH05271390A (ja) | 1993-10-19 |
Family
ID=13475867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7197192A Pending JPH05271390A (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 熱硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05271390A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010193673A (ja) * | 2009-02-20 | 2010-09-02 | Hitachi Ltd | ドライマイカテープ、それを用いた電気絶縁線輪,固定子コイル及び回転電機 |
WO2018077411A1 (en) * | 2016-10-27 | 2018-05-03 | Kordsa Teknik Tekstil Anonim Sirketi | Exotherm stopper mixtures |
-
1992
- 1992-03-30 JP JP7197192A patent/JPH05271390A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010193673A (ja) * | 2009-02-20 | 2010-09-02 | Hitachi Ltd | ドライマイカテープ、それを用いた電気絶縁線輪,固定子コイル及び回転電機 |
WO2018077411A1 (en) * | 2016-10-27 | 2018-05-03 | Kordsa Teknik Tekstil Anonim Sirketi | Exotherm stopper mixtures |
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