JP3053544B2 - 高分子量不飽和ポリエステルの製造方法 - Google Patents

高分子量不飽和ポリエステルの製造方法

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JP3053544B2
JP3053544B2 JP7077923A JP7792395A JP3053544B2 JP 3053544 B2 JP3053544 B2 JP 3053544B2 JP 7077923 A JP7077923 A JP 7077923A JP 7792395 A JP7792395 A JP 7792395A JP 3053544 B2 JP3053544 B2 JP 3053544B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
ス(FRP)、ゲルコート、塗料、注型、SMC、BM
C等の各種分野に有用な、耐煮沸水性、靭性、熱変形温
度等の物性が良好な高分子量不飽和ポリエステルの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂(本明細書中に
おいては、混同を避けるために、モノマーを併用したタ
イプに“樹脂”を付け、モノマーを併用しないタイプ
を、単に“不飽和ポリエステル”という)は、優れた成
形性、機械的強度、化学的、物理的、電気的特性を有す
ることが知られている。そのため、この不飽和ポリエス
テル樹脂は、浴槽、ユニットバス、漁船、タンク、ハウ
ジング等に用いられるFRPとして、塗料、注型、レジ
ンコンクリート等に用いられる非FRPとして、さらに
はSMC、BMCの成形材料として、広く使用されてい
る。
【0003】このように不飽和ポリエステル樹脂の用途
は多岐にわたっているが、とくに重視される性能は耐煮
沸水性、耐薬品性および靭性である。
【0004】しかしながら、従来の不飽和ポリエステル
樹脂は、靭性に劣ることが指摘されている。例えば、靭
性の指標として引張伸び率があるが、従来の不飽和ポリ
エステル樹脂のそれは2.5%以下であり、ビニルエス
テル樹脂の4〜5%に及ばない。また、一般的に靭性を
付与すると熱変形温度が低下し、さらに耐煮沸水性も低
下して用途が限定されてしまう。従って、耐煮沸水性、
耐薬品性が良好であり、しかも靭性および熱変形温度に
優れる不飽和ポリエステル樹脂が望まれている。
【0005】これらの物性を満足する方法としては、ビ
スフェノールAのエチレンオキサイド付加物を多価アル
コール成分の一部として用いる方法や、グリシジルメタ
アクリレートを用いて不飽和ポリエステルの末端基を変
性する方法等があるが、これらの原料は高価であり、従
って製造コストが上昇し望ましくないものである。
【0006】そこで本発明者らの一部は、コストの高い
原料を用いることなく、耐煮沸水性、靭性および熱変形
温度を向上することのできる不飽和ポリエステルの製造
方法を先に提案した(特開平6-200002号公報)。この製
造方法は、各種原料のエステル化反応時、酸価が90〜
25になった時点で反応系を10トール以下に減圧し、
未反応の多価アルコール成分を除去することを特徴とす
るものである。また、エステル化反応の後は、分子量を
高めるために、さらなる高減圧下で脱グリコール反応す
ることが好ましいとされている。この製造方法によれ
ば、耐煮沸水性、靭性および熱変形温度のバランスの取
れた不飽和ポリエステル樹脂が低コストで得られ、有用
なものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術の製造方法は、エステル化反応時および/また
は脱グリコール反応時に高い度合の減圧状態を必要とし
ており、このような高減圧にするためには、真空ポンプ
の高容量化、反応系の高気密化等の設備の変更が必要に
なり、いまだコスト的に改善の余地がある。本発明者ら
は上記のような従来の課題を解決し、従来技術よりもさ
らに低いコストで、しかも耐煮沸水性、靭性および熱変
形温度のバランスの取れた高分子量不飽和ポリエステル
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、ある特定の多価アルコール成分を特定割合で使用
して、且つ従来技術のような高減圧状態を用いることな
く、耐煮沸水性および耐薬品性等に優れ、しかも優れた
靭性および熱変形温度を有する高分子量不飽和ポリエス
テルが得られることを見いだし、本発明を完成すること
ができた。
【0009】すなわち本発明は、α,β−不飽和多塩基
酸またはその無水物成分および飽和多塩基酸またはその
無水物成分の酸成分と、多価アルコール成分とをエステ
ル化反応し、脱グリコール反応するステップを包含する
高分子量不飽和ポリエステルの製造方法において、1,
6−ヘキサンジオールが、該多価アルコール成分の全体
に対し5〜50モル%使用され、該エステル化反応が、
該飽和多塩基酸またはその無水物成分および多価アルコ
ール成分をエステル化反応率60%以上になるまで反応
させる1段目反応と、該1段目反応の反応系に該α,β
−不飽和多塩基酸またはその無水物成分を添加しさらに
反応させる2段目反応とからなり、該2段目反応におけ
る反応系の酸価が90〜15となった時点で、圧力を9
3hPa〜7hPaに減圧し、脱グリコール反応を行
い、数平均分子量を4,000以上にすることを特徴と
する、高分子量不飽和ポリエステルの製造方法を提供す
るものである。
【0010】また本発明は、1,6−ヘキサンジオール
が多価アルコール成分の全体に対し5〜30モル%使用
される、前記の製造方法を提供するものである。
【0011】さらに本発明は、エステル化反応率が80
%以上まで1段目反応を続ける、前記の製造方法を提供
するものである。
【0012】さらにまた本発明は、反応系の酸価が70
〜40となった時点で、圧力を60〜7hPaに減圧し
て脱グリコール反応を行う、前記の製造方法を提供する
ものである。
【0013】また本発明は、前記の製造方法によって得
られた高分子量不飽和ポリエステルに、これと共重合可
能なモノマーを配合することを特徴とする、不飽和ポリ
エステル樹脂の製造方法を提供するものである。
【0014】以下、本発明をさらに詳細に説明する。 (多価アルコール成分)本発明で使用できる多価アルコ
ール成分は、多価アルコール成分全体に対し1,6−ヘ
キサンジオールを5〜50モル%含有することが必須で
あり、ここに本発明の一つの特徴がある。好ましくは、
1,6−ヘキサンジオールは、多価アルコール成分全体
に対し、5〜30モル%含有される。1,6−ヘキサン
ジオールの使用割合が5モル%未満では、靭性が不十分
である。また、1,6−ヘキサンジオールの使用割合が
50モル%を超えた場合は、靭性は出るが、コスト高に
なるにもかかわらず、コストの割りには性能の向上はな
く、逆に熱変形温度、引張強度が低下するため好ましく
ない。
【0015】また、併用される多価アルコール成分とし
ては、製造コストが高くならないことを勘案して適宜選
択することができるが、その例としては、1013hP
a(1気圧、760mmHg)における沸点が320℃以
下のグリコール成分を用いることが好ましく、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、水素化ビスフェノールA等が挙げられる。高度
な耐煮沸水性を求める場合は、ネオペンチルグリコール
の使用が望ましい。なお、1013hPaにおけるおけ
る沸点が320℃より高い多価アルコール成分も必要に
応じて併用することができるが、一般的にこのような成
分を多量に用いると、低い度合の減圧下での脱グリコー
ル反応に悪影響を及ぼす可能性があり、従って、その使
用割合は、多価アルコール成分全体に対し、30重量%
以下が好ましい。
【0016】(飽和多塩基酸またはその無水物成分)本
発明で使用される飽和多塩基酸またはその無水物成分
は、製造コストや得られる不飽和ポリエステル樹脂の物
性等を勘案して適宜選択することができるが、例えば、
イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、アジピン
酸、ヘット酸等が挙げられる。高度な耐煮沸水性を求め
る場合は、イソフタル酸の使用が望ましい。
【0017】(α,β−不飽和多塩基酸またはその無水
物成分)本発明で使用できるα,β−不飽和多塩基酸ま
たはその無水物成分は、とくに制限されないが、例えば
無水マレイン酸、フマル酸等が一般的に用いられる。
【0018】(3成分の使用割合)多価アルコール成分
全体に対し、1,6−ヘキサンジオールが5〜50モル
%使用されれば、α,β−不飽和多塩基酸またはその無
水物成分および飽和多塩基酸またはその無水物成分の使
用割合は、とくに制限されるものではなく、適宜決定さ
れる。しかしながら、得られる不飽和ポリエステルの物
性等を勘案すると、α,β−不飽和多塩基酸またはその
無水物成分の使用割合は、通常、全酸成分において70
〜40モル%使用される。
【0019】(エステル化反応)本発明においては、上
記3成分のエステル化反応を、合計2段の反応により行
うことにも特徴がある。 1段目反応 1段目反応は、飽和多塩基酸またはその無水物成分と多
価アルコール成分とのエステル化反応からなる。この1
段目反応は、例えば窒素を流入しながら、両成分が反応
水を共に溜出しない程度の温度から徐々に昇温すること
によりエステル化を進めていくものである。最高反応温
度は、例えば200〜215℃程度であり、両成分のエ
ステル化反応率が60%以上、好ましくは80%以上ま
でエステル化する。反応率が60%未満であると、得ら
れる不飽和ポリエステルの耐煮沸水性が劣る場合があ
る。
【0020】2段目反応 2段目反応は、該1段目反応で飽和多塩基酸またはその
無水物成分と多価アルコール成分とのエステル化反応率
の60%以上になった時点で、反応系にα,β−不飽和
多塩基酸またはその無水物成分を添加し、例えば窒素を
流入しながら徐々に昇温して180〜230℃に加熱
し、反応系の酸価が90〜15、好ましくは70〜40
になるまでエステル化反応を続けることからなる。2段
目反応における酸価をこのように規定した理由として
は、脱グリコール反応は末端水酸基間の反応であり、脱
グリコール反応のみを考えれば酸価は低いほうが望まし
く(例えば酸価15未満)、また脱グリコール反応前の
ポリエステルプレポリマーの分子量は大きいほうが脱グ
リコール反応での分子量の上昇が速くなり望ましいので
あるが、酸価を15未満にするためには、多価アルコー
ル成分の添加率を多くして、且つ反応時間を長くしなけ
ればならず、これによりコスト高になるからである。ま
た酸価が90を超えると、ポリエステルプレポリマーの
分子量がいまだ小さいこと、さらに未反応の多価アルコ
ール成分の減圧時の溜出が多くなり、多価アルコール成
分不足となる。さらにまた、脱グリコール時の減圧反応
ではエステル化反応も並行して行われることも考慮する
と、酸価90〜15、好ましくは70〜40に規定され
る。
【0021】このように本発明において2段階にわたる
エステル化反応を行う理由は、一般的に飽和多塩基酸ま
たはその無水物成分と多価アルコール成分との反応性
が、α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物成分のそ
れよりも低く、仮に全成分を同時にエステル化反応する
と、飽和多塩基酸またはその無水物成分の未反応物が多
くなり、これにより耐煮沸水性が低下するからである。
1段目のエステル化反応により、飽和多塩基酸またはそ
の無水物成分と、多価アルコール成分とが効率よく反応
し、次に2段目の反応としてα,β−不飽和多塩基酸ま
たはその無水物成分を添加することにより、得られる不
飽和ポリエステルの数平均分子量が増大し、ひいては耐
煮沸水性および耐薬品性、さらに靭性および熱変形温度
が良好になる。
【0022】(脱グリコール反応)本発明においては、
上記エステル化反応で反応系の酸価が90〜15になっ
た後、続いて脱グリコール反応が行われる。脱グリコー
ル反応は、触媒の存在下、温度180〜230℃、好ま
しくは190〜215℃で、不飽和ポリエステルの数平
均分子量が4,000以上の所望の分子量になるまで、
通常2〜6時間、圧力93〜7hPa、好ましくは60
〜7hPaの減圧下で行われる。このとき、圧力が93
hPaを超えると、分子量の上昇が遅く、逆に7hPa
未満では前記のごとく設備費の増大を招くので好ましく
ない。触媒としては、チタンの有機化合物、例えばテト
ライソプロピルチタネート、チタンのアセチルアセトネ
ート;亜鉛の有機塩類、例えば酢酸亜鉛;錫化合物、例
えばジブチル錫オキサイド;アンチモンの無機化合物、
例えば三酸化アンチモン等を使用することができる。そ
の使用量は、上記3成分の仕込み量100重量部に対し
て、0.01重量部以上、好ましくは0.05〜0.2重
量部がよい。前記触媒の添加時期は、脱グリコール反応
開始時に添加するのが望ましいが、これらの触媒は、エ
ステル化反応触媒としても使用できるので、エステル化
反応開始時に添加してもよい。
【0023】(不飽和ポリエステル樹脂)上記のように
して得られた不飽和ポリエステルをモノマーに溶解し
て、不飽和ポリエステル樹脂が得られる。使用できるモ
ノマーは、例えばスチレンが代表的であるが、ビニルト
ルエン、メタクリル酸メチル、ジアリルフタレート、ジ
アリルテレフタレートプレポリマー等を用いることがで
きる。
【0024】
【作用】従来の不飽和ポリエステルのエステル化反応に
おいては、窒素を流入しながら180〜230℃で縮合
水を分溜除去しながらエステル化反応を進め、酸価が9
0以下になった時点で93〜53hPaに減圧し、さら
に縮合水の除去を促進して分子量を増大しているが、数
平均分子量は3,500未満で平衡になり、さらに反応
を進めると重量平均分子量のみが増大してゲル化に至
る。分子量を高めることは、ひいては耐煮沸水性、耐薬
品性、靭性、熱変形温度も高めることにもなる。本発明
者らは、前記のように高減圧条件での脱グリコール反応
により数平均分子量を増大する方法を見いだしている
が、高減圧化に基づくコスト高の課題を解決する必要が
生じた。高分子量化するには必ずしも高減圧を必要とす
るものではなく、反応の方法と条件を選択することによ
り可能であることを見いだした。また、一般に靭性を付
与する多価アルコール、飽和多塩基酸またはその無水物
は、熱変形温度、耐煮沸水性を低下させることは周知で
ある。本発明者らは1,6−ヘキサンジオールを特定割
合使用して、且つ数平均分子量を4,000以上とする
ことにより、靭性を付与して且つ熱変形温度、耐煮沸水
性の優れた高分子量不飽和ポリエステルが得られること
を見いだし、本発明を完成することができた。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明する。参考例 1 撹拌機、温調機、分溜コンデンサー、溜出物捕集トラッ
プ、マノメータ、真空ポンプ、窒素導入管を付した2リ
ットルの4口セパラブルフラスコに、ネオペンチルグリ
コール562g(5.4モル)、1,6−ヘキサンジオー
ル106g(0.9モル)およびイソフタル酸498g
(3.0モル)を仕込み、窒素を流入しながら徐々に2
15℃まで昇温させて保持し、エステル化反応を行っ
た。酸価が13になった時点で、温度を130℃に降下
してフマル酸349g(3.0モル)を配合して215℃
まで徐々に温度を上げて保持した。酸価が36になった
時点で系内を40hPaに減圧し、215℃で2時間反
応させた。数平均分子量3,200、重量平均分子量9,
600、酸価が25の不飽和ポリエステルが得られた。
続いて、反応系の温度を170℃に降下してハイドロキ
ノン0.2gおよびスチレンモノマー(40%)を添加し
均一に溶解し、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0026】参考例 2 参考例1と同じ装置に、1,6−ヘキサンジオール70
8g(6.0モル)およびイソフタル酸398g(2.4モ
ル)を仕込み、参考例1と同様にエステル化反応を行っ
た。酸価が10になった時点で、温度を130℃に降下
してフマル酸418g(3.6モル)を配合し、窒素を流
入しながら徐々に温度を215℃まで上げた。この温度
を保持し、酸価が40になった時点でハイドロキノン
0.26gおよび三酸化アンチモン1.3gを添加して系内
を40hPaに減圧し、215℃で3時間反応させた。
数平均分子量7,200、重量平均分子量21,600、
酸価が2.5の不飽和ポリエステルが得られた。続い
て、反応系の温度を170℃に降下してハイドロキノン
0.2gおよびスチレンモノマー(40%)を添加し均一
に溶解し、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0027】実施例 1 参考例1と同じ装置に、ネオペンチルグリコール562
g(5.4モル)、1,6−ヘキサンジオール106g
(0.9モル、多価アルコール成分全体の14.3モル
%)およびイソフタル酸498g(3.0モル)を仕込
み、参考例1と同様にエステル化反応を行った。酸価が
45になった時点(1段目反応、エステル化反応率8
5.8%)で、温度を130℃に降下してフマル酸34
8g(3.0モル)を仕込み、徐々に温度を215℃まで
上げた。この温度を保持し(2段目反応)、酸価が36
になった時点でハイドロキノン0.26g、三酸化アンチ
モン1.3gを添加し、系内を40hPaに減圧し、21
5℃で2時間反応させた(脱グリコール反応)。さらに
温度を190℃に降下させて2.5時間反応させた。数
平均分子量6,900、重量平均分子量20,700、酸
価が2.0の不飽和ポリエステルが得られた。続いて、
ハイドロキノン0.2gおよびスチレンモノマー(40
%)を添加し均一に溶解し、不飽和ポリエステル樹脂を
得た。
【0028】実施例 2 参考例1と同じ装置に、ネオペンチルグリコール599
g(5.76モル)、1,6−ヘキサンジオール64g
(0.54モル、多価アルコール成分全体に対し8.6モ
ル%)およびイソフタル酸320g(2.76モル)を仕
込み、参考例1と同様にエステル化反応を行った。酸価
が45になった時点(エステル化反応率86.5%)
で、温度を130℃まで降下させ、フマル酸320g
(2.76モル)を配合して徐々に温度を215℃まで
上げた。この温度を保持し、酸価が31になった時点で
ハイドロキノン0.26g、三酸化アンチモン1.3gを添
加し、系内を40hPaに減圧し、215℃で2時間反
応させ、さらに温度を190℃に降下してさらに2.5
時間反応させた。数平均分子量6,700、重量平均分
子量21,000、酸価が3.1の不飽和ポリエステルが
得られた。続いて、ハイドロキノン0.2gおよびスチレ
ンモノマー(40%)を添加し均一に溶解し、不飽和ポ
リエステル樹脂を得た。
【0029】実施例 3 参考例1と同じ装置に、プロピレングリコール410g
(5.4モル)、1,6−ヘキサンジオール106g(0.
9モル、多価アルコール成分全体に対し14.3モル
%)および無水フタル酸444g(3.0モル)を仕込
み、参考例1と同様にエステル化反応を行った。酸価が
47になった時点(エステル化反応率87.3%)で、
温度を130℃まで降下させ、無水マレイン酸294g
(3.0モル)を配合して徐々に温度を215℃まで上
げた。この温度を保持し、酸価が70になった時点でハ
イドロキノン0.26g、三酸化アンチモン1.3gを添加
し、系内を20hPaに減圧し、215℃で3時間反応
させ、さらに温度を190℃に降下して2時間反応させ
た。数平均分子量5,200、重量平均分子量26,50
0、酸価が7.5の不飽和ポリエステルが得られた。続
いて、ハイドロキノン0.2gおよびスチレンモノマー
(40%)を添加し均一に溶解し、不飽和ポリエステル
樹脂を得た。
【0030】(酸価の測定方法)酸価の測定方法は、J
IS K6901に規定されている。この方法では無水
酸は1価酸として測定される。本発明における酸価は無
水酸を2価酸として測定する以下の方法である。例えば
ピリジン10gに水2gを添加して、試料を1g入れ、9
0℃で10分加温して無水酸を開環して測定する。開環
の操作以外は上記JIS法と同じである。
【0031】(分子量の測定)本明細書における数平均
分子量および重量平均分子量は、以下のGPC条件によ
り測定したものである。 測定器:昭和電工社製SYSTEM11; カラム:Shodex、KF805、803および80
2各1本の合計3本; 分子量:ポリスチレン換算、計算範囲は分子量260以
下をカット。
【0032】上記の参考例および実施例で得られた各不
飽和ポリエステル樹脂について、耐煮沸水性、伸び率、
熱変形温度、引張強度および引張弾性率を測定した。測
定条件を以下に記す。
【0033】(測定用テストピースの調製)各参考例ま
たは実施例で得られた不飽和ポリエステル100g樹脂
に、スチレンモノマー20g、ジメチルアニリン0.04
g、ナフテン酸コバルト0.5gを添加し、均一に混合
し、パーメックN(メチルエチルケトンパーオキサイ
ド)1.2gを添加して脱泡した。得られた樹脂を3mm間
隙のガラス板に注型して室温で硬化させた後、110℃
で2時間の後硬化を行った。得られた平板を、下記の測
定規格に基づいてそれぞれ加工し、測定用テストピース
とした。なお、耐煮沸水性の測定用テストピースは、平
板のサイズを25×80mmに切断して、その断面を40
0番のペーパーで研磨したものであり、熱変形温度の測
定用テストピースは、上記樹脂を15×15×130mm
の金型に注型し、12.5×12.5×110mmに加工し
たものである。
【0034】(耐煮沸水性の測定)コンデンサー付の5
リットルのフラスコに、水道水4リットルを入れ、マン
トルヒーターで加熱して沸騰させた。この中に前記測定
用テストピースを各5枚入れ煮沸した。スタークラック
を発生し始めた時間を耐煮沸水性とした。
【0035】(各種物性の測定)引張強度、引張弾性率
および伸び率、熱変形温度は、それぞれJIS K71
13およびK7207に従い測定した。
【0036】(測定結果)表1に得られた結果を示す。
参考例1と実施例1は同一配合であるが、実施例1のよ
うに不飽和ポリエステルを高分子量化することによっ
て、耐煮沸水性、伸び率、熱変形温度が著しく向上して
いることが分かる。また、参考例2では、1,6−ヘキ
サンジオールを多く用いている割りには、伸び率がそれ
ほど向上していない。さらに熱変形温度、引張強度およ
び引張弾性率も低下していることが分かる。すなわち、
表1から、本発明の製造方法により調製した不飽和ポリ
エステル樹脂は、とくに耐煮沸水性、伸び率および熱変
形温度のバランスが、参考例のそれよりも著しく優れて
いることが分かる。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術よりもさらに
低いコストで、しかも耐煮沸水性、靭性および熱変形温
度のバランスの取れた高分子量不飽和ポリエステルの製
造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α,β−不飽和多塩基酸またはその無水
    物成分および飽和多塩基酸またはその無水物成分の酸成
    分と、多価アルコール成分とをエステル化反応し、脱グ
    リコール反応するステップを包含する高分子量不飽和ポ
    リエステルの製造方法において、 1,6−ヘキサンジオールが、該多価アルコール成分の
    全体に対し5〜50モル%使用され、 該エステル化反応が、該飽和多塩基酸またはその無水物
    成分および多価アルコール成分をエステル化反応率60
    %以上になるまで反応させる1段目反応と、該1段目反
    応の反応系に該α,β−不飽和多塩基酸またはその無水
    物成分を添加しさらに反応させる2段目反応とからな
    り、 該2段目反応における反応系の酸価が90〜15となっ
    た時点で、圧力を93hPa〜7hPaに減圧し、脱グ
    リコール反応を行い、数平均分子量を4,000以上に
    することを特徴とする、高分子量不飽和ポリエステルの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 1,6−ヘキサンジオールが多価アルコ
    ール成分の全体に対し5〜30モル%使用される、請求
    項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 エステル化反応率が80%以上まで1段
    目反応を続ける、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応系の酸価が70〜40となった時点
    で、圧力を60〜7hPaに減圧して脱グリコール反応
    を行う、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の製造方法によって得られた高分子量不飽和ポリエステ
    ルに、これと共重合可能なモノマーを配合することを特
    徴とする、不飽和ポリエステル樹脂の製造方法。
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