JP3053543B2 - 高分子量不飽和ポリエステルの製造方法 - Google Patents

高分子量不飽和ポリエステルの製造方法

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JP3053543B2
JP3053543B2 JP7077922A JP7792295A JP3053543B2 JP 3053543 B2 JP3053543 B2 JP 3053543B2 JP 7077922 A JP7077922 A JP 7077922A JP 7792295 A JP7792295 A JP 7792295A JP 3053543 B2 JP3053543 B2 JP 3053543B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
ス(FRP)、ゲルコート、塗料、注型、SMC、BM
C等の各種分野に有用な、耐煮沸水性、靭性、熱変形温
度等の物性が良好な高分子量不飽和ポリエステルの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂(本明細書中に
おいては、混同を避けるために、モノマーを併用したタ
イプに“樹脂”を付け、モノマーを併用しないタイプ
を、単に“不飽和ポリエステル”という)は、優れた成
形性、機械的強度、化学的、物理的、電気的特性を有す
ることが知られている。そのため、この不飽和ポリエス
テル樹脂は、浴槽、ユニットバス、漁船、タンク、ハウ
ジング等に用いられるFRPとして、塗料、注型、レジ
ンコンクリート等に用いられる非FRPとして、さらに
はSMC、BMCの成形材料として、広く使用されてい
る。
【0003】このように不飽和ポリエステル樹脂の用途
は多岐にわたっているが、とくに重視される性能は耐煮
沸水性、耐薬品性および靭性である。
【0004】しかしながら、従来の不飽和ポリエステル
樹脂は、靭性に劣ることが指摘されている。例えば、靭
性の指標として引張伸び率があるが、従来の不飽和ポリ
エステル樹脂のそれは2.5%以下であり、ビニルエス
テル樹脂の4〜5%に及ばない。また、一般的に靭性を
付与すると熱変形温度が低下し、さらに耐煮沸水性も低
下して用途が限定されてしまう。従って、耐煮沸水性、
耐薬品性が良好であり、しかも靭性および熱変形温度に
優れる不飽和ポリエステル樹脂が望まれている。
【0005】これらの物性を満足する方法としては、ビ
スフェノールAのエチレンオキサイド付加物を多価アル
コール成分の一部として用いる方法や、グリシジルメタ
アクリレートを用いて不飽和ポリエステルの末端基を変
性する方法等があるが、これらの原料は高価であり、従
って製造コストが上昇し望ましくないものである。
【0006】そこで本発明者らの一部は、コストの高い
原料を用いることなく、耐煮沸水性、靭性および熱変形
温度を向上することのできる不飽和ポリエステルの製造
方法を先に提案した(特開平6-200002号公報)。この製
造方法は、各種原料のエステル化反応時、酸価が90〜
25になった時点で反応系を10トール以下に減圧し、
未反応の多価アルコール成分を除去することを特徴とす
るものである。また、エステル化反応の後は、分子量を
高めるために、さらなる高減圧下で脱グリコール反応す
ることが好ましいとされている。この製造方法によれ
ば、耐煮沸水性、靭性および熱変形温度のバランスの取
れた不飽和ポリエステル樹脂が低コストで得られ、有用
なものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術の製造方法は、エステル化反応時および/また
は脱グリコール反応時に高い度合の減圧状態を必要とし
ており、このような高減圧にするためには、真空ポンプ
の高容量化、反応系の高気密化等の設備の変更が必要に
なり、いまだコスト的に改善の余地がある。本発明者ら
は、上記のような従来の課題を解決し、従来技術よりも
さらに低いコストで、しかも耐煮沸水性、靭性および熱
変形温度のバランスの取れた高分子量不飽和ポリエステ
ルの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、ある特定の飽和多塩基酸またはその無水物成分を
特定割合で使用することにより、靭性を付与して、且つ
熱変形温度、耐煮沸水性の良好な高分子量不飽和ポリエ
ステルが得られることを見いだし、本発明を完成するこ
とができた。
【0009】すなわち本発明は、α,β−不飽和多塩基
酸またはその無水物成分および飽和多塩基酸またはその
無水物成分の酸成分と、多価アルコール成分とをエステ
ル化反応し、脱グリコール反応するステップを包含する
高分子量不飽和ポリエステルの製造方法において、該
α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物成分および該
飽和多塩基酸またはその無水物成分の酸成分の全体に対
し、該飽和多塩基酸またはその無水物成分として、下記
一般式(1)
【0010】
【化2】 HOOC(CH2nCOOH (1)
【0011】(式中、nは4〜10の値を有する)で示
されるアルキレンジカルボン酸が5〜40モル%使用さ
れ、該エステル化反応が、該飽和多塩基酸またはその無
水物成分および多価アルコール成分をエステル化反応率
60%以上になるまで反応させる1段目反応と、該1段
目反応の反応系に該α,β−不飽和多塩基酸またはその
無水物成分を添加しさらに反応させる2段目反応とから
なり、該2段目反応における反応系の酸価が90〜15
となった時点で、圧力を93hPa〜7hPaに減圧
し、脱グリコール反応を行い、数平均分子量を3,50
0以上にすることを特徴とする、高分子量不飽和ポリエ
ステルの製造方法を提供するものである。
【0012】また本発明は、アルキレンジカルボン酸が
アジピン酸(n=4)である、前記の製造方法を提供す
るものである。
【0013】さらに本発明は、アルキレンジカルボン酸
がセバシン酸(n=8)である、前記の製造方法を提供
するものである。
【0014】さらにまた本発明は、アルキレンジカルボ
ン酸が7〜35モル%使用される、前記の製造方法を提
供するものである。
【0015】また本発明は、エステル化反応率が80%
以上まで1段目反応を続ける、前記の製造方法を提供す
るものである。
【0016】さらに本発明は、反応系の酸価が70〜4
0となった時点で、圧力を60〜7hPaに減圧して脱
グリコール反応を行う、前記の製造方法を提供するもの
である。
【0017】さらにまた本発明は、前記の製造方法によ
って得られた高分子量不飽和ポリエステルに、これと共
重合可能なモノマーを配合することを特徴とする、不飽
和ポリエステル樹脂の製造方法を提供するものである。
【0018】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(飽和多塩基酸またはその無水物成分)本発明で使用さ
れる飽和多塩基酸またはその無水物成分は、下記一般式
(1)
【0019】
【化3】 HOOC(CH2nCOOH (1)
【0020】(式中、nは4〜10の値を有する)
【0021】で示されるアルキレンジカルボン酸を使用
することが必須であり、ここに本発明の一つの特徴があ
る。上記一般式(1)のアルキレンジカルボン酸の使用
割合は、α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物成分
および該飽和多塩基酸またはその無水物成分の酸成分の
全体に対し、5〜40モル%であり、好ましくは7〜3
5モル%がよい。アルキレンジカルボン酸の使用割合が
5モル%より少ないと、靭性が不十分であり、また40
モル%を超えると熱変形温度、耐煮沸水性が不十分とな
る。上記一般式(1)中、n=4であるアジピン酸およ
びn=8であるセバシン酸が本発明においては好適であ
る。なお、一般式(1)のアルキレンジカルボン酸以外
の飽和多塩基酸またはその無水物を併用することも可能
であり、例えば、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタ
ル酸等を併用することができる。以下、一般式(1)で
示されるアルキレンジカルボン酸と、必要に応じて併用
される他の飽和多塩基酸またはその無水物を、特記しな
いかぎり、単に“飽和多塩基酸成分”という。
【0022】(α,β−不飽和多塩基酸またはその無水
物成分)本発明で使用できるα,β−不飽和多塩基酸ま
たはその無水物成分は、とくに制限されないが、例えば
無水マレイン酸、フマル酸等が一般的に用いられる。
【0023】(多価アルコール成分)本発明で使用でき
る多価アルコール成分は、製造コストが高くならないこ
とを勘案して適宜選択することができるが、その例とし
ては、1013hPa(1気圧、760mmHg)におけ
る沸点が320℃以下のグリコール成分を用いることが
好ましく、例えばエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA
等が挙げられる。なお、1013hPaにおけるおける
沸点が320℃より高い多価アルコール成分も必要に応
じて併用することができるが、一般的にこのような成分
を多量に用いると、低い度合の減圧下での脱グリコール
反応に悪影響を及ぼす可能性があり、従って、その使用
割合は、多価アルコール成分全体に対し、30重量%以
下が好ましい。
【0024】(3成分の使用割合)アルキレンジカルボ
ン酸の使用割合が、α,β−不飽和多塩基酸またはその
無水物成分および該飽和多塩基酸成分の酸成分の全体に
対し、5〜40モル%であれば、α,β−不飽和多塩基
酸またはその無水物成分、飽和多塩基酸成分および多価
アルコール成分の使用割合は、とくに制限されるもので
はなく、適宜決定される。しかしながら、得られる不飽
和ポリエステルの物性等を勘案すると、α,β−不飽和
多塩基酸またはその無水物成分の使用割合は、通常、全
酸成分において70〜40モル%使用される。
【0025】(エステル化反応)本発明においては、上
記3成分のエステル化反応を、合計2段の反応により行
うことにも特徴がある。 1段目反応 1段目反応は、飽和多塩基酸成分と多価アルコール成分
とのエステル化反応からなる。この1段目反応は、例え
ば窒素を流入しながら、両成分が反応水を共に溜出しな
い程度の温度から徐々に昇温することによりエステル化
を進めていくものである。最高反応温度は、例えば20
0〜215℃程度であり、両成分のエステル化反応率が
60%以上、好ましくは80%以上までエステル化す
る。反応率が60%未満であると、得られる不飽和ポリ
エステルの耐煮沸水性が劣る場合がある。
【0026】2段目反応 2段目反応は、該1段目反応で飽和多塩基酸成分と多価
アルコール成分とのエステル化反応率の60%以上にな
った時点で、反応系にα,β−不飽和多塩基酸またはそ
の無水物成分を添加し、例えば窒素を流入しながら徐々
に昇温して180〜230℃に加熱し、反応系の酸価が
90〜15、好ましくは70〜40になるまでエステル
化反応を続けることからなる。2段目反応における酸価
をこのように規定した理由としては、脱グリコール反応
は末端水酸基間の反応であり、脱グリコール反応のみを
考えれば酸価は低いほうが望ましく(例えば酸価15未
満)、また脱グリコール反応前のポリエステルプレポリ
マーの分子量は大きいほうが脱グリコール反応での分子
量の上昇が速くなり望ましいのであるが、酸価を15未
満にするためには、多価アルコール成分の添加率を多く
して、且つ反応時間を長くしなければならず、これによ
りコスト高になるからである。また酸価が90を超える
と、ポリエステルプレポリマーの分子量がいまだ小さい
こと、さらに未反応の多価アルコール成分の減圧時の溜
出が多くなり、多価アルコール成分不足となる。さらに
また、脱グリコール時の減圧反応ではエステル化反応も
並行して行われることも考慮すると、酸価90〜15、
好ましくは70〜40に規定される。
【0027】このように本発明において2段階にわたる
エステル化反応を行う理由は、上記一般式(1)で示さ
れるアルキレンジカルボン酸と多価アルコール成分との
反応性が、α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物成
分のそれよりも低く、仮に全成分を同時にエステル化反
応すると、該アルキレンジカルボン酸または併用の飽和
多塩基酸成分の未反応物が多くなり、これにより耐煮沸
水性が低下するからである。1段目のエステル化反応に
より、該アルキレンジカルボン酸または併用の他の飽和
多塩基酸成分と、多価アルコール成分とが効率よく反応
し、次に2段目の反応としてα,β−不飽和多塩基酸ま
たはその無水物成分を添加することにより、得られる不
飽和ポリエステルの数平均分子量が増大し、ひいては耐
煮沸水性および耐薬品性、さらに靭性および熱変形温度
が良好になる。
【0028】(脱グリコール反応)本発明においては、
上記エステル化反応で反応系の酸価が90〜15になっ
た後、続いて脱グリコール反応が行われる。脱グリコー
ル反応は、触媒の存在下、温度180〜230℃、好ま
しくは190〜215℃で、不飽和ポリエステルの数平
均分子量が3,500以上の所望の分子量になるまで、
通常2〜6時間、圧力93〜7hPa、好ましくは60
〜7hPaの減圧下で行われる。このとき、圧力が93
hPaを超えると、分子量の上昇が遅く、逆に7hPa
未満では前記のごとく設備費の増大を招くので好ましく
ない。触媒としては、チタンの有機化合物、例えばテト
ライソプロピルチタネート、チタンのアセチルアセトネ
ート;亜鉛の有機塩類、例えば酢酸亜鉛;錫化合物、例
えばジブチル錫オキサイド;アンチモンの無機化合物、
例えば三酸化アンチモン等を使用することができる。そ
の使用量は、上記3成分の仕込み量100重量部に対し
て、0.01重量部以上、好ましくは0.05〜0.2重
量部がよい。前記触媒の添加時期は、脱グリコール反応
開始時に添加するのが望ましいが、これらの触媒は、エ
ステル化反応触媒としても使用できるので、エステル化
反応開始時に添加してもよい。
【0029】(不飽和ポリエステル樹脂)上記のように
して得られた不飽和ポリエステルをモノマーに溶解し
て、不飽和ポリエステル樹脂が得られる。使用できるモ
ノマーは、例えばスチレンが代表的であるが、ビニルト
ルエン、メタクリル酸メチル、ジアリルフタレート、ジ
アリルテレフタレートプレポリマー等を用いることがで
きる。
【0030】
【作用】従来の不飽和ポリエステルのエステル化反応に
おいては、窒素を流入しながら180〜230℃で縮合
水を分溜除去しながらエステル化反応を進め、酸価が9
0以下になった時点で93〜53hPaに減圧し、さら
に縮合水の除去を促進して分子量を増大しているが、数
平均分子量は3,500未満で平衡になり、さらに反応
を進めると重量平均分子量のみが増大してゲル化に至
る。分子量を高めることは、ひいては耐煮沸水性、耐薬
品性、靭性、熱変形温度も高めることにもなる。本発明
者らは、前記のように高減圧条件での脱グリコール反応
により数平均分子量を増大する方法を見いだしている
が、高減圧化に基づくコスト高の課題を解決する必要が
生じた。高分子量化するには必ずしも高減圧を必要とす
るものではなく、反応の方法と条件を選択することによ
り可能であることを見いだした。また、一般に靭性を付
与する多価アルコール、飽和多塩基酸またはその無水物
は、熱変形温度、耐煮沸水性を低下させることは周知で
ある。本発明者らはアルキレンジカルボン酸を特定割合
使用して、且つ数平均分子量を3,500以上とするこ
とにより、靭性を付与して且つ熱変形温度、耐煮沸水性
の優れた高分子量不飽和ポリエステルが得られることを
見いだし、本発明を完成することができた。
【0031】
【実施例】以下、実施例によって本発明を説明する。参考例 1 撹拌機、温調機、分溜コンデンサー、溜出物捕集トラッ
プ、マノメータ、真空ポンプ、窒素導入管を付した2リ
ットルの4口セパラブルフラスコに、プロピレングリコ
ール479g(6.3モル)、無水フタル酸222g(1.
5モル)およびアジピン酸228g(1.56モル)を仕
込み、窒素を流入しながら徐々に昇温させた。174℃
で反応水が出始めたが、徐々に昇温して205℃で温度
を保持し、エステル化反応を行った。酸価が5になった
時点で、温度を130℃に降下して無水マレイン酸28
8g(2.94モル)を配合して徐々に温度を上げた。1
93℃で反応水が出始めたが徐々に昇温して215℃ま
で温度を上げて保持した。酸価が63になった時点で4
0hPaに減圧し、2時間反応させた。数平均分子量
2,600、重量平均分子量6,500、酸価が30の不
飽和ポリエステルが得られた。続いて、反応系の温度を
170℃に降下してハイドロキノン0.18gおよびスチ
レンモノマー(40%)を添加し均一に溶解し、不飽和
ポリエステル樹脂を得た。
【0032】参考例 2 参考例1と同じ装置に、プロピレングリコール479g
(6.3モル)、イソフタル酸378g(2.28モル)
およびアジピン酸114g(0.78モル)を仕込み、参
考例1と同様にエステル化反応を行った。酸価が10に
なった時点で、温度を130℃に降下して無水マレイン
酸288g(2.94モル)を配合して徐々に温度を21
5℃まで上げた。この温度を保持し、酸価が58になっ
た時点で40hPaに減圧し、2時間反応させた。数平
均分子量3,100、重量平均分子量9,500、酸価が
32の不飽和ポリエステルが得られた。続いて、反応系
の温度を170℃に降下してハイドロキノン0.22gお
よびスチレンモノマー(40%)を添加し均一に溶解
し、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0033】実施例 1 参考例1と同じ装置に、プロピレングリコール479g
(6.3モル)、無水フタル酸222g(1.5モル)お
よびアジピン酸228g(酸成分の26モル%)を仕込
み、参考例1と同様にエステル化反応を行った。酸価が
62になった時点(1段目反応、エステル化反応率8
4.7%)で、温度を130℃に降下して無水マレイン
酸288g(2.94モル)を配合して徐々に温度を21
5℃まで上げた。この温度を保持し(2段目反応)、酸
価が63になった時点でハイドロキノン0.22g、三酸
化アンチモン1.1gを添加し、系内を40hPaに減圧
し、215℃で3時間反応させた(脱グリコール反
応)。さらに温度を190℃に降下させて3時間反応さ
せた。数平均分子量5,000、重量平均分子量20,5
00、酸価が10の不飽和ポリエステルが得られた。続
いて、ハイドロキノン0.18gおよびスチレンモノマー
(40%)を添加し均一に溶解し、不飽和ポリエステル
樹脂を得た。
【0034】実施例 2 参考例1と同じ装置に、プロピレングリコール479g
(6.3モル)、イソフタル酸378g(2.28モル)
およびアジピン酸114g(酸成分の13モル%)を仕
込み、参考例2と同様にエステル化反応を行った。酸価
が10になった時点(エステル化反応率97.5%)
で、温度を130℃まで降下させ、無水マレイン酸28
8g(2.94モル)を配合して徐々に温度を215℃ま
で上げた。この温度を保持し、酸価が63になった時点
でハイドロキノン0.22g、三酸化アンチモン1.1gを
添加し、系内を40hPaに減圧し、215℃で3時間
反応させた。数平均分子量4,900、重量平均分子量
19,600、酸価が13の不飽和ポリエステルが得ら
れた。続いて、ハイドロキノン0.18gおよびスチレン
モノマー(40%)を添加し均一に溶解し、不飽和ポリ
エステル樹脂を得た。
【0035】実施例 3 参考例1と同じ装置に、プロピレングリコール150g
(1.98モル)、ネオペンチルグリコール449g
(4.32モル)、イソフタル酸449g(2.70モ
ル)およびセバシン酸121g(0.60モル、酸成分の
10モル%)を仕込み、温度を205℃まで徐々に昇温
し、この温度を保持した。酸価が55になった時点(エ
ステル化反応率84.6%)で、温度を130℃まで降
下させ、無水マレイン酸265g(2.70モル)を配合
して徐々に温度を215℃まで上げた。この温度を保持
し、酸価が36になった時点でハイドロキノン0.22
g、三酸化アンチモン1.1gを添加し、系内を40hP
aに減圧し、215℃で4時間反応させた。数平均分子
量6,500、重量平均分子量26,700、酸価が3の
不飽和ポリエステルが得られた。続いて、ハイドロキノ
ン0.18gおよびスチレンモノマー(40%)を添加し
均一に溶解し、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0036】(酸価の測定方法)酸価の測定方法は、J
IS K6901に規定されている。この方法では無水
酸は1価酸として測定される。本発明における酸価は無
水酸を2価酸として測定する以下の方法である。例えば
ピリジン10gに水2gを添加して、試料を1g入れ、9
0℃で10分加温して無水酸を開環して測定する。開環
の操作以外は上記JIS法と同じである。
【0037】(分子量の測定)本明細書における数平均
分子量および重量平均分子量は、以下のGPC条件によ
り測定したものである。 測定器:昭和電工社製SYSTEM11; カラム:Shodex、KF805、803および80
2各1本の合計3本; 分子量:ポリスチレン換算、計算範囲は分子量260以
下をカット。
【0038】上記の参考例および実施例で得られた各不
飽和ポリエステル樹脂について、耐煮沸水性、伸び率、
熱変形温度、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、曲げ弾
性率を測定した。測定条件を以下に記す。
【0039】(測定用テストピースの調製)各参考例ま
たは実施例で得られた不飽和ポリエステル樹脂100g
に、スチレンモノマー20g、ジメチルアニリン0.04
g、ナフテン酸コバルト0.5gを添加し、均一に混合
し、パーメックN(メチルエチルケトンパーオキサイ
ド)1.2gを添加して脱泡した。得られた樹脂を3mm間
隙のガラス板に注型して室温で硬化させた後、110℃
で2時間の後硬化を行った。得られた平板を、下記の測
定規格に基づいてそれぞれ加工し、測定用テストピース
とした。なお、耐煮沸水性の測定用テストピースは、平
板のサイズを25×80mmに切断して、その断面を40
0番のペーパーで研磨したものであり、熱変形温度の測
定用テストピースは、上記樹脂を15×15×130mm
の金型に注型し、12.5×12.5×110mmに加工し
たものである。
【0040】(耐煮沸水性の測定)コンデンサー付の5
リットルのフラスコに、水道水4リットルを入れ、マン
トルヒーターで加熱して沸騰させた。この中に前記測定
用テストピースを各5枚入れ煮沸した。スタークラック
を発生し始めた時間を耐煮沸水性とした。
【0041】(各種物性の測定)引張強度、引張弾性率
および伸び率、曲げ強度、曲げ弾性率および熱変形温度
は、それぞれJIS K7113、K7203およびK
7207に従い測定した。
【0042】(測定結果)表1に得られた結果を示す。
表1から、本発明の製造方法により調製した不飽和ポリ
エステル樹脂のとくに耐煮沸水性、伸び率および熱変形
温度が、参考例のそれよりも著しく優れた結果を示し、
非常に良好にバランスの取れた不飽和ポリエステルが得
られたことが分かる。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術よりもさらに
低いコストで、しかも耐煮沸水性、靭性および熱変形温
度のバランスの取れた高分子量不飽和ポリエステルの製
造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α,β−不飽和多塩基酸またはその無水
    物成分および飽和多塩基酸またはその無水物成分の酸成
    分と、多価アルコール成分とをエステル化反応し、脱グ
    リコール反応するステップを包含する高分子量不飽和ポ
    リエステルの製造方法において、 該α,β−不飽和多塩基酸またはその無水物成分および
    該飽和多塩基酸またはその無水物成分の酸成分の全体に
    対し、該飽和多塩基酸またはその無水物成分として、下
    記一般式(1) 【化1】 HOOC(CH2nCOOH (1) (式中、nは4〜10の値を有する)で示されるアルキ
    レンジカルボン酸が5〜40モル%使用され、 該エステル化反応が、該飽和多塩基酸またはその無水物
    成分および多価アルコール成分をエステル化反応率60
    %以上になるまで反応させる1段目反応と、該1段目反
    応の反応系に該α,β−不飽和多塩基酸またはその無水
    物成分を添加しさらに反応させる2段目反応とからな
    り、 該2段目反応における反応系の酸価が90〜15となっ
    た時点で、圧力を93hPa〜7hPaに減圧し、脱グ
    リコール反応を行い、数平均分子量を3,500以上に
    することを特徴とする、高分子量不飽和ポリエステルの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 アルキレンジカルボン酸がアジピン酸
    (n=4)である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルキレンジカルボン酸がセバシン酸
    (n=8)である、請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルキレンジカルボン酸が7〜35モル
    %使用される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 エステル化反応率が80%以上まで1段
    目反応を続ける、請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応系の酸価が70〜40となった時点
    で、圧力を60〜7hPaに減圧して脱グリコール反応
    を行う、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の製造方法によって得られた高分子量不飽和ポリエステ
    ルに、これと共重合可能なモノマーを配合することを特
    徴とする、不飽和ポリエステル樹脂の製造方法。
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