JPH1170756A - 高性能なダイレクト感熱平版印刷原版 - Google Patents

高性能なダイレクト感熱平版印刷原版

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JPH1170756A
JPH1170756A JP23404897A JP23404897A JPH1170756A JP H1170756 A JPH1170756 A JP H1170756A JP 23404897 A JP23404897 A JP 23404897A JP 23404897 A JP23404897 A JP 23404897A JP H1170756 A JPH1170756 A JP H1170756A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地汚れのない印刷物が得られ、かつ現像液な
どの廃棄物処理の必要のない高耐刷性の感熱平版印刷原
版を提供する。 【解決手段】 熱により画像部に転換するマイクロカプ
セル化された親油性成分と、ルイス塩基部分含有親水性
バインダーポリマーと支持体を有する感熱平版印刷原版
において、該ルイス塩基部分と多価金属イオンとの相互
作用により強固な三次元架橋を発現させ、かつ親水層表
面に、親水性ポリマー薄膜層を設けてなる感熱平版印刷
原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷用
ダイレクト感熱平版印刷原版、平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの普及につれ、版材構成と
ともに種々の平版の製版方法が提案されている。実用面
からは、版下からポジ若しくはネガフィルムを作製して
平版印刷原版に焼き付ける方法が一般に行われている
が、該フィルムを介することなく版下から直接製版する
電子写真版や銀塩写真版、あるいは、電子組版、DTP
(デスクトップ・パブリッシュメント)で編集・作製さ
れた印刷画像情報を、可視画像化することなく、直接版
材にレーザー若しくはサーマルヘッドで印字し製版でき
る、所謂コンピュータ・ツー・プレート(CTP)タイ
プの平版材が登場するにいたっている。これらはまだ実
用化されていないが、特にCTPタイプの版材は製版工
程の合理化と短縮化、材料費節減が可能となることか
ら、CTS化が完了した新聞製作等の分野で大いに期待
されている。
【0003】かかるCTP版材としては、感光性タイ
プ、感熱性タイプあるいは電気エネルギーで製版するタ
イプの版材が知られている。感光性タイプあるいは電気
エネルギーで製版する版材は、版価格が従来のPS版に
比べ割高となるばかりでなく、その製造装置も大型かつ
高価であるため、これらの版材および製版工程は実用化
には至っていない。さらに、これらは現像液の廃棄処理
の問題も有する。
【0004】感熱性タイプの版材は、社内印刷を始めと
する軽印刷用途に幾つか開発されている。特開昭63−
64747号公報、特開平1−113290号公報等に
は、支持体上に設けられた感熱層に分散させた熱溶融樹
脂および熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱部を
親水性から親油性に変化させる版材が開示され、米国特
許第4034183号、同4063949号明細書に
は、支持体上に設けられた親水性ポリマーをレーザー照
射し親水性基を無くし親油性に転換させる版材が開示さ
れている。しかしながら、これらの版材は、版表面に存
在する熱溶融物質によるインキの受容により非画像部が
汚れたり、耐刷性が不十分であったり、また、版材設計
の自由度が低いという問題があった。
【0005】特開平3−108588号公報、特開平5
−8575号公報には、マイクロカプセル化された熱溶
融物質と結着性樹脂とからなる感熱記録層を支持体に設
け、加熱部を親油性に変化させる版材が開示されてい
る。しかし、これらの版材ではマイクロカプセル化され
た熱溶融物質から形成される画像が脆弱であって、耐刷
性において満足のいくものではなかった。一方、特開昭
62−164596号公報、同62−164049号公
報には、親水性表面を有する支持体上に活性水素含有バ
インダーポリマーと共にブロックイソシアネートとから
なる記録層を設けた平版印刷原版及びその方法が開示さ
れている。しかし、この版材は、印字後、非印字部分を
除去する現像工程が必要である。
【0006】さらに、ダイレクト型平版印刷材料の一つ
に、親水層の表面に画像部をインキジェットやトナー転
写等の外的手段で形成する直描型平版印刷材料がある。
特開昭62−1587号公報には、マイクロカプセル化
した非反応性の熱溶融性物質を塗布し、加熱印字により
トナー受理層を形成する版材が開示されている。しか
し、形成されたトナー受理層に親油性のトナー等を固着
して初めて印刷版となるものであり、印字後、画像部が
形成されるものではない。
【0007】このように従来の感熱性平版印刷用の版材
は、耐刷力に乏しいか親油性に乏しいため、軽印刷など
の用途に限られていた。また、その製版工程において現
像工程を要するものもあった。そこで特開平07−01
849号公報、特開平07−01850号公報、特願平
08−161840号、特願平08−272023号に
は熱により画像に転換する反応性マイクロカプセルを三
次元架橋した親水性バインダー中に分散した形の版材が
記載されている。これらの版材は熱モードのダイレクト
版材であって、印加エネルギーとして近赤外線レーザー
を用いるために通常の室内での取り扱いが可能であり、
また現像が不要であるために製版工程を大きく簡略化で
きる利点がある。更に、親水性バインダーの三次元架橋
を強化する方法として特願平08−347984号に記
載されているように多価金属イオンとバインダーポリマ
ーに含まれるカルボキシル基の相互作用を利用したもの
もある。これらの版は画像品位や耐刷性について優れた
性能を有するが、後出するような問題点も有している。
即ち、特願平8−347984号記載の発明は、親水層
に含まれる親水性バインダーポリマーが、多価金属イオ
ンと窒素、酸素もしくは硫黄を含むルイス塩基部分との
相互作用によって、親水性でかつ強固な三次元架橋構造
を親水層全体に渡って均一に形成することで、湿し水に
よる膨潤を抑え、支持体との接着強度や親水層の機械的
物性を維持し、高い耐刷性を示すことができるという利
点を有するが、処理条件によっては、外部から飛来する
汚れ原因物質を受容しやすくなったり、多価金属イオン
発生薬剤の残留があったりして、印刷物に汚れを生ずる
ことがある。特に、版を乾燥後12時間以上放置した場
合に起きることが多く、印刷初期に於いて汚れを発生す
るという結果を招き、損紙枚数を増やすという問題があ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、先行する
技術は、版性能、製版装置、製版作業性、あるいは版材
や製版、装置のコストの点で商業レベルでの実施に問題
があった。また、反応性マイクロカプセルと親水性バイ
ンダーポリマーを利用した現像レスダイレクト平版に於
いても、版の表面が外部からの汚れ成分を受容し易かっ
たり、残留薬剤の影響で、取り扱いによっては印刷物に
地汚れを発生させるという問題を有している。本発明
は、従来のダイレクト型オフセット版材のこれらの問題
点を解決することを目的とするものである。即ち、本発
明の目的は、高耐刷性、高寸法精度の平版印刷版が得ら
れ、かつ、地汚れのない鮮明な画像の印刷物が得られる
平版印刷原版を低価格で供給することである。さらに、
製版工程において、現像液などの廃棄物処理の必要な現
像工程がなく、専用の大掛りかつ高価な製版装置を用い
なくとも製版できる平版印刷原版およびその製版方法を
提供することも本発明の目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高耐刷
性、高寸法精度の平版印刷版が得られ、かつ、地汚れの
ない鮮明な画像の印刷物が得られる平版印刷原版を得る
ために鋭意研究した結果、多価金属イオンと、親水性バ
インダーポリマー中に存在する窒素、酸素もしくは硫黄
を含むルイス塩基部分との相互作用を利用して親水性バ
インダーポリマーを三次元架橋し、さらに親水層表面に
親水性ポリマーの薄膜層を設けることによって、上記性
能に著しく優れた平版印刷原版が得られることを見出
し、本発明を完成するに到った。
【0010】すなわち、本発明は以下のとおりである。 (1) 熱により画像部に転換するマイクロカプセル化
された親油性成分と親水性バインダーポリマーとを含有
する親水層、及び支持体を有する感熱平版印刷原版であ
って、該親水性バインダーポリマーが、多価金属イオ
ンと、該親水性バインダーポリマー中の窒素、酸素もし
くは硫黄を含むルイス塩基部分との相互作用によって三
次元架橋されており、かつ親水層表面に親水性ポリマ
ー薄膜を設けてなる感熱平版印刷原版。 (2) 親水性バインダーポリマーが、マイクロカプセ
ル破壊後、該マイクロカプセル中の親油性成分と化学結
合する官能基を有しており、マイクロカプセル中の親油
性成分が、該マイクロカプセルの破壊後、上記親水性バ
インダーポリマーと化学結合する官能基を有している上
記(1)の感熱平版印刷原版。 (3) 多価金属イオンが、マグネシウムイオン、アル
ミニウムイオン、カルシウムイオン、チタニウムイオ
ン、第一鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、ストロ
ンチウムイオン、ジルコニウムイオン、第一錫イオン、
第二錫イオン、鉛イオンから選ばれる少なくとも一種で
ある上記(1)又は(2)の感熱平版印刷原版。 (4) 窒素、酸素もしくは硫黄を含むルイス塩基部分
が、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミ
ノ基、トリアルキルアミノ基、イソウレイド基、イソチ
オウレイド基、イミダゾリル基、イミノ基、ウレイド
基、、エピイミノ基、ウレイレン基、オキサモイル基、
オキサロ基、オキサロアセト基、カルバゾイル基、カル
バゾリル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボ
キシラト基、カルボイミドイル基、カルボノヒドラジド
基、キノリル基、グアニジノ基、スルファモイル基、ス
ルフィナモイル基、スルホアミノ基、セミカルバジド
基、セミカルバゾノ基、チオウレイド基、チオカルバモ
イル基、トリアザノ基、トリアゼノ基、ヒドラジノ基、
ヒドラゾ基、ヒドラゾノ基、ヒドロキシアミノ基、ヒド
ロキシイミノ基、含窒素複素環、ホルムアミド基、ホル
ムイミドイル基、3−モルホリニル基、モルホリノ基か
ら選ばれる少なくとも一種である上記(1)、(2)又
は(3)の感熱平版印刷原版。 (5) 親水性バインダーポリマーが、炭素−炭素結
合、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子
の少なくとも1種で結合された炭素原子もしくは炭素−
炭素結合から形成され、且つ構造中に多価金属イオンと
相互作用している窒素、酸素もしくは硫黄を含むルイス
塩基部分を有するポリマー、並びに該ポリマー構造中
に、更にリン酸基、スルホン酸基もしくはこれらの塩、
水酸基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を少な
くとも1種含有するポリマーから選ばれる少なくとも1
種である上記(1)、(2)、(3)又は(4)の感熱
平版印刷原版。 (6) 親水性ポリマー薄膜用ポリマーが、酸素、窒
素、硫黄およびリンからなるヘテロ原子の少なくとも一
種で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から形
成されるポリマー、炭素−炭素結合または酸素、窒素、
硫黄およびリンからなるヘテロ原子の少なくとも一種で
結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から形成さ
れ、構造中にリン酸基、スルホン酸基もしくはこれらの
塩、水酸基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を
少なくとも一種含有するポリマー、炭素−炭素結合また
は酸素、窒素、硫黄およびリンからなるヘテロ原子の少
なくとも一種で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素
結合から形成され、構造中に窒素ないし酸素ないし硫黄
を含むルイス塩基部分を有するポリマー、並びにこのル
イス塩基部分を有するポリマー構造中に更にリン酸基、
スルホン酸基もしくはこれらの塩、水酸基、ポリオキシ
エチレン基等の親水性官能基を少なくとも一種含有する
ポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である上記
(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の感熱平版
印刷原版。 (7) 上記(1)又は(2)の感熱平版印刷原版に熱
モードで印字してなる平版印刷版。 (8) 熱により画像部に転換するマイクロカプセル化
された親油性成分と窒素、酸素もしくは硫黄を含むルイ
ス塩基部分を有している未架橋親水性バインダーポリマ
ーとを有する親水層、及び支持体とから構成される感熱
平版印刷材料に熱モードで印字後、外部より供給される
多価金属イオンと上記ルイス塩基部分との相互作用によ
って三次元架橋され、かつ親水層表面に親水性ポリマー
薄膜を設けてなる平版印刷版。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
感熱平版印刷原版および平版印刷版において、親水性バ
インダーポリマーからなる親水層は、インキを撥き、非
画像部の主成分を構成する。更に、その表面に親水性ポ
リマーからなる薄膜層を設けることによって、外部から
飛来する汚れ原因物質の受容を抑制し、また残留多価金
属イオン発生薬剤を化学的トラップすることによって印
刷初期の汚れを大きく減少させることができる。実用的
には乾燥した版を提供する場合が大多数であることも鑑
みれば、該薄膜層を布設することは大いに有用である。
【0012】本発明における三次元架橋構造を有する親
水性バインダーポリマーとしては、炭素−炭素結合から
構成されるポリマー、または酸素、窒素、硫黄、リンか
らなるヘテロ原子の少なくとも一種で結合された炭素原
子もしくは炭素−炭素結合から構成されるポリマー、即
ち、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシアルキレ
ン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ
(メタ)アクリル酸系、ポリ(メタ)アクリルアミド
系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアミン系、ポ
リビニル系、多糖類系等もしくはそれらの複合系のポリ
マーであって、該構造中に窒素、酸素もしくは硫黄を含
むルイス塩基部分を有し、該ルイス塩基部分と多価金属
イオンとの相互作用によって網目化されたポリマー、並
びに炭素−炭素結合から構成されるポリマー、または酸
素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも
一種で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から
構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート
系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキ
シ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル酸系、ポリ
(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル系、ポリアミ
ド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖類系等もしく
はそれらの複合系のポリマーであって、構造中に水酸
基、リン酸基、スルホン酸基、ポリオキシエチレン基等
の親水性官能基を一種以上含有し、更に構造中にルイス
塩基部分と多価金属イオンとの相互作用によって網目化
されたポリマーが挙げられる。
【0013】本発明において親水性バインダーポリマー
は、多価金属イオンと相互作用しているルイス塩基部分
以外に、該作用に与かっていないルイス塩基部分、水酸
基、スルホン酸基、そのアルカリ金属塩、そのアルカリ
土類金属塩あるいはそのアミン塩のいずれかを有する又
はこれらを組み合わせたセグメントを繰り返し有する親
水性バインダーポリマーが好ましく、さらにこれらの親
水性官能基と主鎖セグメントの一部にポリオキシエチレ
ン基を有するものは親水性が高くより好ましい。これら
に加えて親水性バインダーポリマーの主鎖もしくは側鎖
にウレタン結合もしくはウレア結合を有するものは、親
水性のみならず非画像部の耐刷性も向上するので特に好
ましい。
【0014】親水性バインダーポリマーの多価金属イオ
ンによる三次元架橋構造は、印字前後いずれにおいて形
成されてもよく、印字前に親水性バインダーポリマーが
多価金属イオンによる三次元架橋構造をとっていないも
のも用いることができるが、取扱い時の傷付け防止、お
よびサーマルヘッドで印字する場合、熱溶融した親水層
成分がサーマルヘッドへ付着するのを防止する観点から
は、印字前に三次元架橋構造を形成し終えている方が好
ましい。
【0015】本発明において未架橋親水性バインダーポ
リマーとは、多価金属イオンとルイス塩基部分との相互
作用による三次元架橋構造を有していない、親水性バイ
ンダーポリマーの前段階のものをいう。上記未架橋親水
性バインダーポリマーにおいて、後述する種々の三次元
架橋方法による三次元架橋構造を有していても構わな
い。また、本発明において多価金属イオンとルイス塩基
部分との相互作用による三次元架橋構造を有していな
い、感熱平版印刷原版の前の段階のものを感熱平版印刷
材料という。
【0016】上記の親水性官能基の親水性バインダーポ
リマー中の割合は、前述の主鎖セグメントの種類と使用
する親水性官能基の種類により、それぞれの試料につい
て次に記載する方法で実験的に適宜求めていけばよい。
すなわち、本発明の親水性バインダーポリマーの親水性
は、支持体上に親水性バインダーポリマーあるいは未架
橋親水性バインダーポリマーを含んでなる感熱平版印刷
原版または感熱平版印刷材料を形成し、実施例に記載す
る方法で印刷版の作成と印刷試験を行い、印刷用紙への
インキの付着の有無、あるいは、印刷前後の非画像部の
用紙の反射濃度差(例えば、大日本スクリーン製造
(株)製、反射濃度計DM400)で評価する、又は水
−ケロシンを用いた水中油滴法接触角測定法(例えば、
協和界面科学製接触角計、型式CA−A)でケロシンが
試料に付着するか否かで評価する。
【0017】前者の方法で評価する場合、肉眼で観察
し、インキ汚れが認められなければ可、認められれば不
可とするか、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差が
0.01未満を可、0.01以上を不可とする。後者の
方法で評価する場合、新聞印刷のように低粘度インキを
使用する印刷版向けには、試料の上記接触角が約150
度より大きいことが必要であり、さらには160度以上
が好ましい。印刷前に練ってから使用する高粘度インキ
を使用する印刷版向けには、約135度より大きいこと
が必要である。
【0018】本発明の親水層表面に設ける親水性ポリマ
ー薄膜層用のポリマーとしては、親水性バインダーポリ
マーと同種類のポリマーを使用することができるが、多
価金属イオンによる三次元架橋は必要ではないので、親
水性バインダーポリマーで必須とされる窒素、酸素もし
くは硫黄を含むルイス塩基部分は必須ではない。親水性
ポリマー薄膜層用のポリマーとしては、酸素、窒素、硫
黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも一種で結合さ
れた炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成されるポ
リマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキ
シアルキレン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重
合系、ポリ(メタ)アクリル酸系、ポリ(メタ)アクリ
ルアミド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアミ
ン系、ポリビニル系、多糖類系等もしくはそれらの複合
系のポリマー;炭素−炭素結合から構成されるポリマ
ー、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子
の少なくとも一種で結合された炭素原子もしくは炭素−
炭素結合から構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)
アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタ
ン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル
酸系、ポリ(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル
系、ポリアミド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖
類系等もしくはそれらの複合系のポリマーであって、該
構造中に水酸基、リン酸基、スルホン酸基、ポリオキシ
エチレン基等の親水性官能基を一種以上含有するポリマ
ー;炭素−炭素結合から構成されるポリマー、または酸
素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも
一種で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から
構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート
系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキ
シ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル酸系、ポリ
(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル系、ポリアミ
ド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖類系等もしく
はそれらの複合系のポリマーであって、該構造中に窒
素、酸素もしくは硫黄を含むルイス塩基部分を有するポ
リマー;および炭素−炭素結合から構成されるポリマ
ー、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子
の少なくとも一種で結合された炭素原子もしくは炭素−
炭素結合から構成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)
アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタ
ン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル
酸系、ポリ(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル
系、ポリアミド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖
類系等もしくはそれらの複合系のポリマーであって、構
造中に水酸基、リン酸基、スルホン酸基、ポリオキシエ
チレン基等の親水性官能基を一種以上含有し、更に構造
中にルイス塩基部分を有するポリマーが挙げられる。た
だし、望ましくは親水層との親和性・接着性や、残留す
る多価金属イオン発生薬剤を化学的にトラップする効果
を考慮すると、該親水性該バインダーポリマーと同種の
ルイス塩基部分およびリン酸基、スルホン酸基、ポリオ
キシエチレン基等の親水性官能基を有するポリマーが好
ましい。該親水性ポリマー薄膜層用ポリマーの分子量と
しては1000〜100万、望ましくは3000〜10
万程度のものが好ましい。この範囲より低分子量である
と親水層自体の脆弱化を招き、また、この範囲より高分
子量であると画像形成が妨害されて所定の効果が発現し
ないことがある。
【0019】本発明でいうルイス塩基部分と多価金属イ
オンとの相互作用を発現させ、親水層表面に親水性ポリ
マー薄膜層を布設する具体的態様は次の通りである。即
ち、ルイス塩基部分を構造中に含む未架橋親水性バイン
ダーポリマーと、後述するような、平版印刷版に必要な
他の成分とを混合してドープを調製し、支持体上に塗
布、乾燥し、本発明でいう感熱平版印刷材料を得ること
ができる。しかる後に、多価金属イオンを発生せしめる
ような水溶液あるいは有機溶媒溶液への感熱平版印刷材
料の浸漬や、該溶液の感熱平版印刷材料への塗布や噴霧
によって外部より多価金属イオンを供給すると、多価金
属イオンとルイス塩基部分との相互作用が発現して三次
元架橋が形成される。この版に親水性ポリマー薄膜層を
設けると、本発明でいう感熱平版印刷原版を得ることが
できる。親水層表面に親水性ポリマー薄膜層を設ける方
法としては、親水性ポリマーの水溶液あるいは有機溶媒
溶液を親水層表面にバーコータやブレードコータなどで
塗布、あるいはスプレーで噴霧、あるいは版を親水性ポ
リマー溶液に浸漬する方法がある。水溶液あるいは有機
溶媒溶液から多価金属イオンを供給した直後の版の親水
層は鋭利な力に対しては脆弱になっていることもあるの
で、非接触的に親水性ポリマー薄膜層用ポリマーの液を
供給することが好ましく、この点においてはスプレー方
式か浸漬方式が好ましい。
【0020】用いられる親水性ポリマーの水溶液あるい
は有機溶媒溶液の濃度としては、0.01重量%〜50
重量%が好ましく、0.1重量%〜10重量%の範囲が
より好ましい。この範囲より低濃度では親水層表面に存
在する薄膜材の量が少なすぎて、親水層表面の保護ある
いは残留多価金属イオン発生薬剤の化学的トラップが十
分に行われない場合がある。また、この範囲より高濃度
では、薄膜材の量が多すぎて、画像形成を妨げることが
ある。本発明において、親水層表面に設ける親水性ポリ
マー薄膜層の厚みは0.01〜10μmであり、0.1
〜1μmが好ましい。
【0021】また、上記感熱平版印刷材料に熱モードで
印字後、多価金属イオンを発生せしめるような水溶液あ
るいは有機溶媒溶液によって上記の方法で外部より多価
金属イオンを供給し、その後に親水層表面に親水性ポリ
マー薄膜層を設けることにより、本発明でいう平版印刷
版を得ることもできる。多価金属イオンを供給した後
に、版面に存在する過剰の薬剤を除去する必要があれ
ば、適当な洗液で洗浄を行ってもよい。洗液としては水
のほかに塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸の稀薄水溶液、界
面活性剤稀薄溶液のほか有機溶剤を使用することもでき
る。洗浄は多価金属イオンを供給した直後に行うことが
好ましい。また、親水性ポリマー薄膜層の形成は、多価
金属イオン供給あるいは洗浄後直ちに行うことが好まし
い。親水性ポリマー薄膜層を親水層表面に設ける前に乾
燥させると、外部からの油分付着や、残存薬剤の変質な
どによって汚れが発生し、本発明の効果が十分に得られ
ないことがある。
【0022】本発明において、上述の多価金属イオンと
ルイス塩基部分との相互作用による三次元架橋方法と、
後述する種々の三次元架橋方法の一種類以上を併用して
もよい。また、本発明の親水性バインダーポリマーは必
要に応じ、後述する種々のその他の成分を含んでいても
よい。本発明の多価金属イオンは、主として水溶液など
の溶液を介して感熱平版印刷材料あるいは熱モードで印
字した感熱平版印刷材料の外部より供給される。該多価
金属イオンを発生せしめる金属塩類の具体例を以下に例
示する。すなわち、該金属塩類は、水のほか塩酸、硫
酸、硝酸などの鉱酸の水溶液や、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、アンモニアなどのアルカリ水溶液などに
溶解して、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、
カルシウムイオン、チタニウムイオン、第一鉄イオン、
コバルトイオン、銅イオン、ストロンチウムイオン、ジ
ルコニウムイオン、第一錫イオン、第二錫イオン、鉛イ
オンの金属イオンあるいは金属錯イオンの一種以上を発
生せしめるものであればよく、例えば、塩化マグネシウ
ム、臭化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシ
ウム、塩化第一鉄、臭化第一鉄、塩化コバルト、臭化コ
バルト、塩化第二銅、臭化第二銅、塩化ストロンチウ
ム、臭化ストロンチウム、塩化第一錫、塩化第二錫など
の金属ハロゲン化物、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニ
ウム、硝酸カルシウム、硝酸第一鉄、硝酸コバルト、硝
酸銅、硝酸ストロンチウム、硝酸鉛等の硝酸塩、硫酸マ
グネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸コバ
ルト、硫酸チタン、硫酸銅等の硫酸塩、酢酸カルシウ
ム、酢酸ジルコニウム、酢酸銅、酢酸鉛等の酢酸塩など
の他、炭酸ジルコニウムアンモン、フェロシアン化鉄、
フェリシアン化鉄なども用いられる。中でも酢酸ジルコ
ニウム、塩化第一錫、塩化第二錫が特に好ましい。
【0023】多価金属イオンを含む溶液の濃度は金属の
種類やカウンタ−アニオンの種類によって変わりうる
が、塩の濃度として好ましくは0.01〜50重量%、
更に好ましくは0.2〜20重量%である。これら多価
金属イオンの供給によって、該イオンと相互作用して三
次元架橋構造を形成する親水性バインダーポリマー中の
ルイス塩基部分の量は、イオン供給前に存在したルイス
塩基部分の総数の10〜100モル%、更には60〜1
00モル%が好ましい。
【0024】次に本発明における、多価金属イオンと親
水性バインダーポリマー中のルイス塩基部分の相互作用
による三次元架橋形成の具体的態様の例を述べる。即ち
親水性バインダーポリマーとして、(メタ)アクリル
酸、そのアルカリ金属塩もしくはそのアミン塩、イタコ
ン酸、そのアルカリ金属塩もしくはそのアミン塩、(メ
タ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミ
ド、アリルアミンの如きルイス塩基部分を有する親水性
モノマーを必須とし、更に、必要に応じて3−ビニルプ
ロピオン酸、そのアルカリ金属塩もしくはそのアミン
塩、ビニルスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはそ
のアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、
ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、アリルアミンのハロゲン
化水素酸塩等のスルホン酸基、リン酸基、アミノ基の
塩、水酸基、およびエーテル基などの親水性基を有する
親水性モノマーから選ばれる一種以上を用いて、少なく
とも窒素、酸素および硫黄から選ばれる1種を含むルイ
ス塩基部分を有する親水性ホモあるいはコポリマーを合
成する。これに、後述するような、平版印刷版に必要な
他の成分を混合し、適当な溶媒に分散および/または溶
解してドープを調製する。また、例えば、カルボキシメ
チルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸誘導
体のようなルイス塩基部分を含む天然高分子に後述する
ような、平版印刷版に必要な他の成分を混合し、適当な
溶媒に分散および/または溶解してドープを調製しても
よい。これを、支持体上に塗布、乾燥し、本発明でいう
感熱平版印刷材料を得ることができる。
【0025】しかる後に、多価金属イオンを発生せしめ
るような水溶液あるいは有機溶媒溶液への感熱平版印刷
材料の浸漬や、該溶液の感熱平版印刷材料への噴霧、あ
るいは塗工によって外部より多価金属イオンを供給する
と、多価金属イオンとルイス塩基部分との相互作用が発
現して三次元架橋が形成される。この親水層表面に、親
水性ポリマー薄膜用ポリマーの溶液を浸漬あるいは噴霧
などの方法で与えて親水性ポリマー薄膜層を設けると、
本発明でいう感熱平版印刷原版を得ることができる。ま
た、該感熱平版印刷材料に熱モードで印字後、外部より
多価金属イオンを、該イオンを発生せしめるような水溶
液ないしは有機溶媒溶液によって同上の方法で供給し、
その後に親水層表面に親水性ポリマー薄膜層を設ける
と、同上の機構によって、本発明でいう平版印刷版を得
ることができる。
【0026】本発明の親水性バインダーポリマーには、
これまで説明してきた多価金属イオンとルイス塩基との
相互作用による三次元架橋法に加えて、以下に示すよう
な三次元架橋法の一種類以上を併用することもできる
し、また、以下に示すような方法で三次元架橋されたポ
リマーの一種類以上を親水性バインダーポリマーとして
併用してもよい。
【0027】即ち、カルボキシル基、アミノ基もしくは
それらの塩、水酸基およびエポキシ基などの官能基を有
する親水性バインダーポリマーは、これらの官能基を利
用し、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等のエ
チレン付加重合性不飽和基あるいはシンナモイル基、シ
ンナミリデン基、シアノシンナミリデン基,p−フェニ
レンジアクリレート基等の環形成基を導入した不飽和基
含有ポリマーを得ることができる。これに、必要によ
り、該不飽和基と共重合し得る単官能、多官能モノマー
と後述の重合開始剤と無機充填剤、および必要に応じて
後述の滑剤とを加え、適当な溶媒に溶解し、ドープを調
製する。これを支持体上に塗布し乾燥後あるいは乾燥を
重ねて三次元架橋させる。
【0028】水酸基、アミノ基およびカルボキシル基な
どの活性水素を含有する親水性バインダーポリマーは、
イソシアネート化合物あるいはブロックポリイソシアネ
ート化合物および後述の他の成分と共に活性水素非含有
溶剤中に添加しドープを調合し、支持体に塗布し乾燥後
或いは乾燥を兼ねて反応させ三次元架橋させる。親水性
バインダーポリマーの共重合成分としてグリシジル(メ
タ)アクリレートなどのグリシジル基、(メタ)アクリ
ル酸などのカルボキシル基あるいはアミノ基を有するモ
ノマーを用いることができる。グリシジル基を有する親
水性バインダーポリマーは、架橋剤として1,2−エタ
ンジカルボン酸、アジピン酸などのα,ω−アルカンも
しくはアルケンジカルボン酸、1,2,3−プロパント
リカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、
1,2−エタンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、α,ω−ビス−(3−アミノプロピ
ル)−ポリエチレングリコルエーテル等のポリアミン化
合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール等のオ
リゴアルキレンまたはポリアルキレングリコール、トリ
メチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリストー
ル、ソルビトール等のポリヒドロキシ化合物を用い、こ
れらとの開環反応を利用して三次元架橋することができ
る。
【0029】カルボキシル基またはアミノ基を有する親
水性バインダーポリマーは、架橋剤として、エチレンま
たはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレンまたはポリプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のポ
リエポキシ化合物を用いたエポキシ開環反応等を利用し
て三次元架橋するこができる。
【0030】親水性バインダーポリマーが、セルロース
誘導体などの多糖類、ポリビニルアルコールもしくはそ
の部分鹸化物、グリシドールホモもしくはコポリマー、
あるいはこれらを含む場合には、これらが含有する水酸
基を利用し、前述の架橋反応し得る官能基を導入し、前
述の方法により三次元架橋できる。ポリオキシエチレン
グリコール等の水酸基をポリマー末端に有するポリオー
ルまたはアミノ基をポリマー末端に有するポリアミンと
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレン
ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシア
ネートとから合成した親水性ポリウレタン前駆体に、エ
チレン付加重合性不飽和基または環形成基を導入して親
水性バインダーポリマーとし、前述の方法で三次元架橋
できる。
【0031】上記合成された親水性ポリウレタン前駆体
が、イソシアネート基末端を有する場合は、グリセロー
ルモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、N−モノメチロール(メタ)アクリ
ルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリル酸、桂皮酸および桂皮アルコール等の
活性水素を有する化合物と反応させて三次元架橋する。
親水性ポリウレタン前駆体が水酸基あるいはアミノ基末
端を有する場合は、(メタ)アクリル酸、グリシジル
(メタ)アクリレートおよび2−イソシアネートエチル
(メタ)アクリレートなどと反応させ三次元架橋する。
【0032】親水性バインダーポリマーが、多塩基酸と
ポリオール、多塩基酸とポリアミンとから形成されるポ
リマーの場合は、それらを支持体に塗布後、加熱により
三次元架橋化させる。親水性バインダーポリマーが、カ
ゼイン、グルー、ゼラチン等の場合は、それらの水溶性
コロイド形成化合物を加熱により三次元架橋させて網目
構造を形成してもよい。
【0033】さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートおよびビニルアルコールなどの水酸基含有モ
ノマー、アリルアミンから合成したホモもしくはコポリ
マー、部分鹸化ポリビニルアルコール、セルロース誘導
体などの多糖類、グリシドールホモもしくはコポリマー
等の、水酸基やアミノ基を含有する親水性ポリマーと一
分子中に二個以上の酸無水基を有する多塩基酸無水物と
を反応させ、三次元架橋した親水性バインダーポリマー
を形成することもできる。この反応で用いる多塩基酸無
水物としては、エチレングリコール−ビス−アンヒドロ
−トリメリテート、グリセロール−トリス−アンヒドロ
トリメリテート、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサ
ヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−
フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジ
オン、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラ
カル酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
ン酸二無水物等を例示できる。
【0034】親水性バインダーポリマーが、末端にイソ
シアネート基を有するポリウレタンとポリアミンまたは
ポリオール等の活性水素含有化合物とから形成される場
合には、それらの化合物と後述の他の成分とを溶剤中に
溶解もしくは分散させ支持体に塗布して溶剤を除去した
後、マイクロカプセルが破壊しない温度でキュアリング
し三次元架橋させることもできる。この場合、親水性は
ポリウレタンもしくは活性水素含有化合物のいずれかも
しくは両方のセグメント、または側鎖に親水性官能基を
導入することにより付与すればよい。親水性を発現する
セグメント、官能基としては上記記載の中から適宜選択
すればよい。
【0035】本発明において用いられるポリイソシアネ
ート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイ
ソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が例示でき
る。
【0036】塗布工程前後のハンドリング時、イソシア
ネート基が変化するのを防ぐことを目的に、イソシアネ
ート基を公知の方法でブロック化(マスク化)しておく
のが好ましい場合もある。たとえば、岩田敬治著「プラ
スチック材料講座ポリウレタン樹脂」日刊工業新聞社
刊(1974)、頁51−52、岩田敬治著「ポリウレ
タン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(198
7)、頁98、419、423、499、等に記載され
た方法に従い、酸性亜硫酸ナトリウム、芳香族2級アミ
ン、3級アルコール、アミド、フェノール、ラクタム、
複素環化合物、ケトオキシム等を使用し、ブロック化す
ることができる。中でも、イソシアネート再生温度が低
い、例えばマロン酸ジエチルやアセト酢酸エチルなどが
好ましい。
【0037】前述の非ブロック化あるいはブロック化ポ
リイソシアネートの何れかに付加重合性不飽和基を導入
し、架橋の強化や親油性成分との反応に利用してもよ
い。以上述べた中で、親水性バインダーポリマーとして
は、(メタ)アクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくは
そのアミン塩、イタコン酸、そのアルカリ金属塩もしく
はそのアミン塩、(メタ)アクリルアミド、N−モノメ
チロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール
(メタ)アクリルアミド、アリルアミンの如きルイス塩
基部分を有する親水性モノマーを必須とし、更に、必要
に応じて3−ビニルプロピオン酸、そのアルカリ金属塩
もしくはそのアミン塩、ビニルスルホン酸、そのアルカ
リ金属塩もしくはそのアミン塩、2−スルホエチル(メ
タ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキ
シエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリ
ルアミンのハロゲン化水素酸塩等のスルホン酸基、リン
酸基、アミノ基の塩、水酸基、およびエーテル基などの
親水性基を有する親水性モノマーから選ばれる一種以上
を用いて合成された、少なくとも窒素、酸素および硫黄
から選ばれる1種を含むルイス塩基部分を有する親水性
ホモあるいはコポリマーを、上述のように多価金属イオ
ンとルイス塩基部分との相互作用と、それ以外の方法で
三次元架橋させたものが好ましい。
【0038】本発明の親水性バインダーポリマーは、下
記の単官能モノマー、多官能モノマーを併用させてもよ
い。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンド
ブック」大成社刊(1981)、加藤清視著「紫外線硬
化システム」総合技術センター刊(1989)、加藤清
視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子
刊行会(1985)、赤松清監修「新・感光性樹脂の実
際技術」シーエムシー、頁102−145、(198
7)等に記載されているN,N′−メチレンビスアクリ
ルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピ
リジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N
−メチロール(メタ)アクリルアミド、パラスチレンス
ルホン酸もしくはその塩、メトキシトリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレング
リコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子
量400)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、ブト
キシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル
(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカン
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(PEGの数平均分子量600)、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1
000)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PPG数平均分子量400)、2,2−ビス
[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタク
リロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンまたはそ
のアクリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチハドロジェンサクシネート、ポリエチレ
ンまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グ
リセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートまたはそ
のメタクリル体、N−フェニルマレイミド、N−(メ
タ)アクリルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカルバ
ゾール、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿
素等がある。
【0039】本発明の親水性バインダーポリマーにおい
て、エチレン付加重合性不飽和基を用いて三次元架橋反
応を行うときは、公知の光重合開始剤もしくは熱重合開
始剤を用いることが反応効率上好ましい。本発明におい
て用いられる光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイ
ン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプ
ロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、キ
サントン、チオキサントン、クロロキサントン、アセト
フェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフ
ェノン、ベンジル、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシ
アセトフェノン、(2−アクリロイルオキシエチル)
(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化アンモニウ
ム、(4−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチルアンモ
ニウム、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプ
ロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン
−9−オン−メソクロライド、1−フェニル−1,2−
プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、チ
オフェノール、2−ベンゾチアゾールチオール、2−ベ
ンゾオキサゾールチオール、2−ベンズイミダゾールチ
オール、ジフェニルスルフィド、デシルフェニルスルフ
ィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジベンジルスルフ
ィド、ジベンゾイルジスルフィド、ジアセチルジスルフ
ィド、ジボルニルジスルフィドジメトキシキサントゲン
ジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、
テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンジルジメ
チルジチオカーバメイトキノキサリン、1,3−ジオキ
ソラン、N−ラウリルピリジニウム等が例示できる。
【0040】これらの中から、製造工程で用いる光源の
波長領域に吸収を持ち、ドープを調合する際使用する溶
媒に溶解もしくは分散するものを適宜選択すればよい。
通常、使用する溶媒に溶解するものが反応効率が高く好
ましい。本発明で用いられる光カチオン重合開始剤とし
ては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、
芳香族スルホニウム塩等がある。この開始剤を用いると
きは、架橋反応種としてエポキシ基も併用できる。この
場合、前述のエポキシ基含有化合物を架橋剤もしくは、
親水性バインダーポリマーとして用いるか、親水性バイ
ンダーポリマーにエポキシ基を導入すればよい。
【0041】光二量化反応により三次元架橋させる場合
には、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン
等、該反応に一般的によく知られた各種増感剤も使用で
きる。上記以外にも、徳丸克巳他著「増感剤」、2章、
4章、講談社刊(1987)、加藤清視著「紫外線硬化
システム」総合技術センター刊、頁62−147(19
89)、ファインケミカル、Vol.20 No4、1
6(1991)に記載されている公知の重合開始剤も使
用できる。
【0042】上記重合開始剤の添加量は、ドープ中の溶
媒を除いた有効成分に対し、0.01%〜20重量%の
範囲で使用できる。0.01重量%より少ないと開始剤
の効果が発揮されず、20%重量より多いと、活性光線
の開始剤による自己吸収のため内部への光の到達が不良
となり所望する耐刷力を発揮することができなくなるこ
とがある。実用的には0.1〜10重量%の範囲で開始
剤の効果と非画像部の地汚れとのバランスで組成に応じ
て決定するのが好ましい。
【0043】照射光源としては、メタルハライドラン
プ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ等公知
のものが使用できる。照射光源からの熱がカプセル破壊
の恐れがある場合、冷却しながら照射する必要がある。
本発明で用いられる熱重合開始剤としては、過酸化ベン
ゾイル、2,2−アゾビスイソブチルニトリル、過硫酸
塩−亜硫酸水素ナトリウム等の過酸化物、アゾ化合物、
レドックス開始剤といった公知のものが使用できる。使
用に際しては、マイクロカプセルを破壊する温度より低
温で反応させなければならない。熱重合開始剤の使用量
は、ドープ溶媒を除いた成分に対し、0.01〜10重
量%の範囲がよい。0.01重量%より少ないと硬化時
間が長くなりすぎ、10重量%より多いとドープ調合中
に生じる熱重合開始剤の分解によりゲル化が起こること
がある。効果と取扱い性を考慮すると、好ましくは、
0.1〜5重量%である。
【0044】本発明の親水性バインダーポリマーの架橋
度は、使用するセグメントの種類、会合性官能基の種類
と量等により異なるが、要求される耐刷性に応じ決めて
いけばよい。まず、多価金属イオンとの相互作用に与る
ルイス塩基部分の総量は、全モノマーユニットに対して
1〜100%になるように設定するのが好ましく、更に
は50〜100%がより好ましい。また、多価金属イオ
ンとルイス塩基部分との相互作用以外の架橋率、即ち架
橋間分子量は通常、500〜5万の範囲で設定される。
500より小さいとかえって脆くなる傾向があり、耐刷
性が損なわれ、5万を超えると湿し水で膨潤し、耐刷性
が損なわれる場合もある。耐刷性および親水性の両者の
バランスを考慮すると、800〜3万程度が好ましく、
さらには、1000〜1万程度が好ましい。
【0045】本発明の親水性バインダーポリマーは、マ
イクロカプセル中の親油性成分と化学結合する官能基を
有していることが好ましく、両者が化学結合することに
よって、高い耐刷性を得ることができる。マイクロカプ
セル中の親油性成分と親水性バインダーポリマーとを反
応させるためには、後述する親油性成分の反応性官能基
に合わせそれと反応する官能基を有するモノマーを用い
て親水性バインダーポリマーを合成することにより、目
的の官能基をポリマー中に導入するか、親水性バインダ
ーポリマー合成後目的の官能基を導入すればよい。
【0046】親水性バインダーポリマーと親油性成分と
の反応は、反応速度の速い反応、例えば、水酸基、カル
ボキシル基もしくはアミノ基を有する親水性バインダー
ポリマーとイソシアネート基を有する親油性成分とのウ
レタン化反応または尿素化反応、水酸基、カルボキシル
基もしくはアミノ基を有する親水性バインダーポリマー
とエポキシ基を有する親油性成分との反応、あるいは不
飽和基の付加重合反応が好ましい。酸無水基を有する親
水性バインダーポリマーと水酸基、アミノ基もしくはイ
ミノ基を有する親油性成分との開環付加反応や不飽和基
とチオールとの付加反応でもよい。耐刷性を向上させる
ためには、上記化学結合が三次元架橋構造をとることが
好ましい。
【0047】本発明の親油性成分は、親水性バインダー
ポリマーと反応する官能基を有していることが好まし
い。この場合、熱印字によりカプセル外に放出された親
油性成分は、該親水性バインダーポリマーと速やかに反
応し化学結合されたインキを受容する画像部を形成す
る。耐刷性を向上させるためには、親油性成分自身も架
橋構造をとることが好ましい。
【0048】本発明の親油性成分としては、例えばフェ
ニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル
ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、キシリレンジイソシネート、リ
ジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシ
アネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリ
デンジイソシアネート、ポリメチレン−ポリフェニルイ
ソシアネート、ポリメリック−ポリイソシアネート等の
イソシアネート;トリメチロールプロパンと1,6−ヘ
キサンジイソシアネートあるいは2,4−トリレンジイ
ソシアネートといった上記ジイソシアネートとの1対3
モル付加体等のポリイソシアネート、2−イソシアナト
エチル(メタ)アクリレートのオリゴマーおよびポリマ
ーなどのイソシアネート化合物;N,N′−メチレンビ
スアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、
ビニルピリジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、
N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′
−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N′−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N′−ジメチルアミノネオペンチル(メタ)
アクリレート、N−ビニル−2ピロリドン、ダイアセト
ンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルミ
ド、パラスチレンスルホン酸およびその塩、メトキシト
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ
テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メト
キシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(P
EGの数平均分子量400)、メトキシポリエチレング
リコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量
1000)、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエ
チレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールト
リシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(PEGの数平均分子量600)、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1
000)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PPG数平均分子量400)、2,2−ビス
[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタク
リロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンおよびそ
のアクリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ポリエ
チレンおよびポリプロピレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アク
リレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アク
リレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベン
ジル(メタ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオ
キシエチル)アシッドホスフェートおよびそのメタクリ
ル体、グリセリンモノおよびジ(メタ)アクリレート、
トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートお
よびそのメタクリル体、2−イソシアナトエチル(メ
タ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー
類、これらと単官能(メタ)アクリレートとの組合せ、
さらには前述の親水性基を含有する(メタ)アクリレー
トモノマーとの組合せ;N−フェニルマレイミド、N−
(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカ
ルバゾール、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレ
ン尿素、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル
化合物、これらと単官能アリル化合物との組合せ;さら
には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、
チオール基、エポキシ基等の反応性基をポリマー分子両
末端に含有する1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリ
ブタジエン、水添加1,2−ポリブタジエン、イソプレ
ン等の液状ゴム;ウレタン(メタ)アクリレート等の各
種テレキーリック性ポリマー;炭素−炭素不飽和基、水
酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基含有反応
性ワックス;プロピレングリコール−ジグリシジルエー
テル、トリプロピレングリコール−ジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコール−ジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコール−ジグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパン−トリグリシジルエーテル、水
添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル等の多官能
エポキシ化合物等が使用できる。さらには、既存のPS
版の画像成分として使用されている架橋前の公知の、
(メタ)アクリルコポリマーやウレタンアクリレート、
ジアゾ樹脂も使用出来る。
【0049】親油性成分は、室温で固体状、液体状何れ
でもよい。室温で固体のポリイソシアネート化合物とし
て、例えば、トリデンジイソシアネート、4,4′−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、ポリメチレン−ポリフェニルイソシアネー
ト、ポリメリック−ポリイソシアネート等がある。親油
性成分中に含まれるエチレン付加重合性モノマー、オリ
ゴマーの二重結合反応を利用して、親油性成分と親水性
バインダーポリマーとを化学反応させるか、あるいは親
油性成分自身を反応させる場合は、以下の熱重合開始剤
を用いることができる。熱重合開始剤は、50℃以下で
貯蔵しても安定であるものが好ましく、60℃以下で安
定であれば、さらに好ましい。
【0050】例えば、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、n−ブチル4,
4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,
2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、クメンハイ
ドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチル
パーオキシアセテートなどの過酸化物が挙げられる。
【0051】熱重合開始剤添加の方法としては、これを
をマイクロカプセル化して親油性成分のマイクロカプセ
ル中にカプセル−イン−カプセルの形で用いても良く、
親水層にそのまま分散させてもよい。親油性成分の硬化
は、重合反応だけでなく、親油性成分と親水性バインダ
ーポリマーとの化学結合の際の反応を利用することもで
きる。
【0052】画像部の耐刷性向上の観点から、本発明の
画像部は、ウレタンもしくはウレア構造を有するのが好
ましい。親油性成分を印字による熱反応でウレタンもし
くはウレア構造に変えるか、親油性成分もしくは親水性
バインダーポリマーのセグメントにあらかじめウレタン
もしくはウレア構造を導入するか、何れかの方法で実施
できる。
【0053】親油性成分のカプセル化は、例えば経営開
発センター経営教育部編「マイクロカプセル化の新技術
とその用途開発・応用実例」経営開発センター出版部刊
(1978)記載の公知の方法に従う。たとえば、互い
に溶解しあわない二つの液体の界面で、予め各々の液体
に添加してあるリアクタントを重縮合させ、両溶媒に不
要なポリマー膜を形成させ、カプセル膜を作る界面重合
法、芯物質の内側または外側のどちらか一方のみからリ
アクタントを供給し、芯物質の周囲にポリマー壁を形成
させるin−situ法、親水性ポリマー溶液中に分散
させた疎水性物質の表面に、親水性ポリマーを相分離さ
せ、カプセル膜を作るコンプレックスコアセルベート
法、有機溶液系からの相分離法等により行うことができ
る。中でも、界面重合法、in−situ法が比較的多
くの芯物質のカプセル化が行いやすく好ましい。親油性
成分とは異なる材料でカプセル化してもよい。生成した
カプセル中の親油性成分の形態は、原料状態と異なるも
のであってもよく、例えば、原料状態が液体であったも
のが、合成途中で印字による熱で流動しうる程度のゲル
状、あるいは高粘稠性体、あるいは固体になったり、逆
に固体であったものが合成途中で液体になってもよい。
【0054】本発明でいうカプセル化は、室温で固体の
ポリイソシアネート化合物を微粉末化し微粒子表面を前
記ブロック化剤でブロック化することにより周囲の活性
水素と室温で反応出来ないようにする方法も含む。何れ
にしろ印字の際の熱でカプセル内の親油性成分がカプセ
ル外に放出され、最初のカプセルの形態が破壊されるこ
とが必要である。例えば、カプセル壁の膨張、圧縮、溶
融、化学分解により、親油成分が放出されたり、カプセ
ルの該壁材が膨張することにより密度が低下し親油性成
分が壁材層を透過して放出される場合等がある。
【0055】カプセル外殻表面は、マイクロカプセルが
親水層に含有された状態で印刷した際に、非画像部の地
汚れが発生しなければ特に限定されるものではないが、
親水性であることが好ましい。マイクロカプセルのサイ
ズは、平均10μm以下、高解像力の用途には平均5μ
m以下が好ましい。カプセル全体に対する親油性成分の
割合が低すぎると画像形成効率が低下するので平均0.
01μm以上であることが好ましい。
【0056】上述のようなマイクロカプセルとして、例
えば、特願平08−181937号に示されているよう
な、油性成分を水溶性アルギン酸またはその誘導体の存
在下で乳化し、次いで界面重合法によって得られるマイ
クロカプセルや、特願平08−180480号に示され
ているような、マイクロカプセルの壁材が付加重合性官
能基を有するポリマーであるマイクロカプセルや、特願
平08−326548号に示されているような、カプセ
ル内包物分散系にラジカル重合性モノマーを加え、非水
溶性酸化剤/水溶性還元剤あるいは水溶性酸化剤/非水
溶性還元剤の組み合わせからなるレドックス開始剤を用
いて開始されるin−situ重合法で得られるマイク
ロカプセル等を例示することができる。
【0057】マイクロカプセル化された親油性成分の使
用量は印刷用途毎の必要とされる耐刷性に応じて決めれ
ばよい。通常は、マイクロカプセル/親水性バインダー
ポリマー重量比率が1/20〜200/1の範囲、さら
には感度、耐刷性の観点からは、1/15〜100/1
の範囲で使用するのが好ましい。本発明の親水層には、
他の成分として、カプセルの熱破壊促進、親油性成分と
該成分と反応する官能基を有する反応物質との反応促
進、親油性成分と親水性バインダーポリマーとの反応促
進を目的としてさらに、増感剤を添加することが出来
る。添加により、印字感度の高感度化、耐刷性の向上お
よび高速製版が可能となる。かかる増感剤として、例え
ばニトロセルロース等の自己酸化性物質、置換されたシ
クロプロパン、キュバン等高歪み化合物がある。
【0058】親油性成分の重合反応触媒も増感剤として
使用できる。例えば、親油性成分の反応がイソシアネー
ト基の反応であれば、ジブチルチンジラウレート、塩化
第二スズ、アミン化合物等のウレタン化触媒、エポキシ
基の開環反応であれば第四級アンモニウム塩等の開環触
媒が例示出来る。増感剤は、ドープ調合時に添加する方
法、親油性成分のマイクロカプセル化の際に同時に包含
させる方法、あるいは支持体と親水層の中間にバインダ
ー樹脂と一緒に設ける方法がある。その使用量は用いる
増感剤の効果、非画像部の耐刷性、といった観点から決
めればよい。
【0059】レーザー印字の場合、用いるレーザーの発
光波長領域に吸収帯を有する光−熱変換物質をさらに使
用することも出来る。かかる物質としては、例えば、松
岡賢著「JOEM ハンドブック2 アブソープション
スペクトル オブ ダイズフォー ダイオード レイ
ザーズ」ぶんしん出版(1990)、シーエムシー編集
部「90年代 機能性色素の開発と市場動向」シーエム
シー(1990)第2章2.3に記載されているポリメ
チン系色素(シアニン色素)、フタロシアニン系色素、
ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン、アントラキ
ノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウム、
ジインモニウム系色素、アゾ系分散染料、インドアニリ
ン金属錯体色素、分子間型CT色素等の染料、顔料およ
び色素がある。
【0060】具体的には、N−[4−[5−(4−ジメ
チルアミノ−2−メチルフェニル)−2,4−ペンタジ
エニリデン]−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエ
ン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウムア
セテート、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−3−フェニル−2−ペンテン−4−イン−1−
イリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデ
ン]−N,N−ジメチルアンモニウム パークロレー
ト、N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N
−[4−[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニ
ル)アミノ]フェニル]−アミニウム ヘキサフルオロ
アンチモネート、5−アミノ−2,3−ジシアノ−8−
(4−エトキシフェニルアミノ)−1,4−ナフトキノ
ン、N′−シアノ−N−(4−ジエチルアミノ−2−メ
チルフェニル)−1,4−ナフトキノンジイミン、4,
11−ジアミノ−2−(3−メトキシブチル)−1−オ
キソ−3−チオキソピロロ[3,4−b]アントラセン
−5,10−ジオン、5,16(5H,16H)−ジア
ザ−2−ブチルアミノ−10,11−ジチアジナフト
[2,3−a:2′3′−c]−ナフタレン−1,4−
ジオン、ビス(ジクロロベンゼン−1,2−ジチオー
ル)ニッケル(2:1)テトラブチルアンモニウム、テ
トラクロロフタロシアニン アルミニウムクロライド、
ポリビニルカルバゾール−2,3−ジシアノ−5−ニト
ロ−1,4−ナフトキノン錯体等が例示出来る。
【0061】マイクロカプセルの熱破壊を促進する目的
で、親油性成分と共に加熱されると気化または体積膨張
しやすい物質をカプセル中に親油性成分と共に入れるこ
とができる。例えば、シクロヘキサン、ジイソプロピル
エーテル、エチルアセテート、エチルメチルケトン、テ
トラハイドロフラン、t−ブタノール、イソプロパノー
ル、1,1,1−トリクロロエタンといった沸点が室温
より十分高く、60〜100℃付近の炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケト
ン化合物がある。
【0062】印字部のみが発色する公知の感熱色素を親
油性成分と併用し、印字部の可視化を計ると検版を行な
いやすいので好ましい。例えば、3−ジエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオランとビスフェノール
Aなどのロイコ染料および粉砕した顕色剤の組合せ等が
ある。大河原信他編「色素ハンドブック」講談社刊(1
986)等の成書に開示されている感熱色素が使用でき
る。
【0063】親水性バインダーポリマーとは別に、親油
性成分の架橋度を高めるために親油性成分と反応する官
能基を有する反応性物質を用いることができる。その添
加量は、親水性バインダーポリマーの撥インキ性、親水
性の程度に従い、地汚れを引き起こさない程度の量とす
る。かかる反応性物質として、例えば、親油性成分の架
橋反応がウレタン生成なら水酸基、アミノ基、カルボキ
シル基を複数個有する化合物、例えばポリビニルアルコ
ール、ポリアミン、ポリアクリル酸、トリメチロールプ
ロパン等が例示できる。
【0064】親水性の調整を目的として、使用する親水
性バインダーポリマーおよび親油性成分と反応しない非
反応性親水性ポリマーを耐刷性を損なわない範囲で親水
層に添加してもよい。サーマルヘッドで印字する場合、
加熱により生ずる溶融物がサーマルヘッドに付着するの
を防止する目的で溶融物の吸収剤として、炭酸カルシウ
ム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、焼成カ
オリン、加水ハロイサイト、アルミナゾル、ケイソウ
土、タルク等公知の化合物を添加することが出来る。
【0065】さらに、版の滑り性向上、版と版とを重ね
たときの密着防止を兼ね、ステアリン酸、ミリスチン
酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ステアリン酸ア
ミド、ステアリン酸亜鉛等の常温固体の滑剤を親水層に
少量添加することが出来る。本発明に使用される支持体
は、印刷分野に要求される性能とコストを勘案して公知
の材料から選択すればよい。多色刷りといった高寸法精
度が要求される場合、版胴への装着方式が金属支持体に
合わせて出来上がっている印刷機で用いる場合には、ア
ルミニウム、スチール製等の金属支持体が好ましい。多
色印刷せず高耐刷性が要求される場合はポリエステル等
のプラスチック支持体、さらに低コストが要求される分
野には紙、合成紙、防水樹脂ラミネート或いはコート紙
支持体が使用できる。支持体と接触する材料との接着性
向上のために支持体自身の表面処理を施したものを使用
してもよい。かかる表面処理の例としてアルミシートの
場合、各種研摩処理、陽極酸化処理があり、プラスチッ
クシートの場合、コロナ放電処理、ブラスト処理等があ
る。
【0066】耐刷力等必要に応じ支持体の上に接着剤層
を設けることが出来る。一般的に高耐刷性を必要とする
場合、接着剤層を設ける。接着剤は親水層成分と使用す
る支持体に合わせ選択・設計する必要がある。山田章三
郎監「接着・粘着の事典」朝倉書店刊(1986)、日
本接着協会編「接着ハンドブック」日本工業新聞社刊
(1980)等に記載のアクリル系、ウレタン系、セル
ロース系、エポキシ系、アリルアミン系等の接着剤が使
用できる。
【0067】本発明の感熱平版印刷原版は、以下の方法
で製造できる。上述の成分をその種類、親水性バインダ
ーポリマーの架橋方法に従って選択した溶媒と共にペイ
ントシェーカー、ボールミル、超音波ホモジナイザー等
でよく分散し、得られた塗布液(ドープ)をドクターブ
レード法、バーコート法、ロールコート法等公知の方法
で支持体上に塗布し乾燥し、感熱平版印刷材料を得る。
【0068】溶媒としては、水、エタノール、イソプロ
パノール、n−ブタノールといったアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトンといったケトン類、ジエチレ
ングリコールジエチルエテル、ジイソプロピルエーテ
ル、ジオキサン、テトラハイドロフラン、ジエチレング
リコールといったエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル
といったエステル類、トルエン、キシレンといった芳香
族炭化水素、n−ヘキサン、デカリンといった脂肪族炭
化水素、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキ
シド、アセトニトリル又はこれらの混合溶剤を使用する
ことができる。
【0069】さらに必要なら親水性バインダーポリマー
を三次元架橋させるためにマイクロカプセルが破壊する
温度より低温で追加の加熱或いは紫外線照射を行なう。
親水性ポリマー薄膜層を含まない塗膜の厚みは、0.1
μm〜100μmの間で任意に設定すればよい。通常は
性能とコストの関係から1〜10μmの厚みが好まし
い。
【0070】その後に多価金属イオンを発生せしめるよ
うな水溶液あるいは有機溶媒溶液へこの得られた感熱平
版印刷材料を浸漬する、又は該水溶液あるいは有機溶媒
溶液を感熱平版印刷材料に塗布あるいは噴霧することに
よって多価金属イオンを供給して、多価金属イオンとル
イス塩基部分との相互作用による三次元架橋を形成し、
その後に親水性ポリマー薄膜用ポリマーの溶液に浸漬す
る、又は塗布あるいは噴霧することによって親水層表面
に親水性ポリマー薄膜を形成して、本発明の感熱平版印
刷原版を得ることができる。表面平滑性を高める必要が
あれば、塗布・乾燥後、若しくは親水性バインダーポリ
マーの三次元架橋化反応後にカレンダー処理を行えばよ
い。特に高度の平滑性が必要なら塗布・乾燥後に行うの
が好ましい。
【0071】本発明の感熱平版印刷原版を製版するに
は、電子組版機、DTP、ワードプロセッサー、パーソ
ナルコンピュータ等で作製・編集された文書・画像をサ
ーマルヘッド、熱モードのレーザーで描画・印字するだ
けで現像工程は一切行なわず完了する。印字後、カプセ
ルが破壊しない温度で加温(ポストキュアー)もしくは
版全面に活性光線照射することにより画像部の架橋度を
高めることが出来る。後者の方法を実行する場合、親水
層中に前述の光重合開始剤や光カチオン重合開始剤とそ
れによって反応が進む官能基を有する化合物とを併用す
るか親油性成分に該官能基を導入することが必要であ
る。該開始剤、官能基を有する化合物は前述のほか、例
えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」総合技術セン
ター刊(1989)、加藤清視編「UV・EB硬化ハン
ドブック(原料編)」高分子刊行会(1985)等の成
書に記載の公知のものも使用しうる。
【0072】また、本発明においては、感熱平版印刷材
料に上記方法で印字し、その後に多価金属イオンを供給
して多価金属イオンとルイス塩基部分との相互作用によ
る三次元架橋を形成し、さらに親水層表面上に親水性ポ
リマー薄膜を設けて製版することもできる。以上のよう
にして得られた平版印刷版は、市販のオフセット印刷機
にセットし通常の方法で印刷することができる。印刷す
る際、必要ならば平版印刷版に通常のエッチング処理を
施してから印刷することが出来る。
【0073】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を具
体的に説明する。なお、文中、部、%と記してあるのは
特に断りの無い限りそれぞれ重量部、重量%である。
【0074】
【実施例1】 (1) マイクロカプセル化した親油性成分の作成 トリレンジイソシアネート3モル/トリメチロールプロ
パン1モル付加物(コロネートL、日本ポリウレタン工
業(株)製、25重量%酢酸エチル含有物)1.26
部、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製 Kayas
orbIR−820 B)0.3部をグリシジルメタク
リレート7.2g中に均一に溶解させて油性成分を調製
した。次いで、精製水120gに、アルギン酸プロピレ
ングリコールエステル(ダックロイドLF、紀文フード
ケミファ(株)製、数平均分子量:2×105)2部、
ポリエチレングリコール(PEG 400、三洋化成
(株)製)0.86部を混合した水相を調製した。続い
て、上記油性成分と水相をホモジナイザーを用いて60
00rpmで室温下混合乳化した後、60℃で3時間反
応させて平均粒径1.8μmのマイクロカプセルを得
た。 (2) 感熱平版印刷原版の作成 陽極酸化を施したアルミニウム板(厚さ0.24cm、
310mm×458mm)上に、ポリアクリル酸(ジュ
リマーAC10MP、日本純薬(株)製、数平均分子
量:8×104)の10重量%水溶液:20.0部、
(1)で作成したマイクロカプセル化した親油性成分:
80.0部、アルギン酸プロピレングリコールエステル
(ダックロイドLF、紀文フードケミファ(株)製)の
3重量%水溶液:300部の割合で配合し調製したドー
プをバーコーター(ロッド16番)で塗布し、一晩室温
で風乾し感熱平版印刷材料を得た(感熱平版印刷材料の
厚みは4.2μmであった。)。次に、この版を塩化第
二錫五水和物(東京化成(株)製)の5%水溶液1.5
リットル中に3分間浸漬後、精製水(和光純薬(株)
製)1リットルを用いて1分間水洗した。更に、これを
ポリアクリル酸(ジュリマーAC10P、日本純薬
(株)製、数平均分子量:5×103)の0.5%水溶
液中に1分間浸漬した後、垂直に立てて24時間室温で
風乾して感熱平版印刷原版を作成した。親水性ポリマー
薄膜層の厚みは0.2μmであった。なお、親水性ポリ
マー薄膜層の厚みは、フィルム厚み測定機((株)セイ
コー製 「計太郎」)で測定した感熱平版印刷材料と感
熱平版印刷原版の厚みの差より求めた。 (3)平版印刷版の作成及び印刷 (2)で作成した感熱平版印刷原版に、電子組版装置と
接続した、1W半導体レーザー素子搭載の印字装置で印
刷画像を熱印字し、次いで版全面をケミカルランプで6
J/cm2 照射した。この版をトリミングし、オフセッ
ト印刷機(ハマダ印刷機械株式会社製、HAMADA6
11XL)に装着し上質紙に対し印刷した(用いたイン
キは大日本インキ工業(株)製のGEOS−Gで、湿し
水は富士写真フィルム(株)製のEU−3を100倍希
釈したもの)。2万部を過ぎても地汚れがなく、画像部
も鮮明に印刷出来た。印刷前後の非画像部の用紙反射濃
度を反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造
(株)製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)
は、0.00で目視でも汚れを認めなかった。また、ベ
タ画像部の反射濃度(OD)は1.2であった。また、
感熱層の剥離は観測されなかった。これらの結果を表1
に示した。
【0075】
【実施例2】実施例1のポリアクリル酸(AC10M
P)をポリアクリルアミド(数平均分子量:3×1
5 )に替えた他は、実施例1と同様にして印刷版の作
成と印刷評価を行った。結果を表1に示した。また、感
熱平版印刷材料の厚みは4.5μm、親水性ポリマー薄
膜層の厚みは0.2μmであった。
【0076】
【実施例3】実施例1の塩化第二錫五水和物を酢酸ジル
コニウムに替えた他は、実施例1と同様にして印刷版の
作成と印刷評価を行った。結果を表1に示した。また、
感熱平版印刷材料の厚みは4.3μm、親水性ポリマー
薄膜層の厚みは0.2μmであった。
【0077】
【実施例4】実施例1の塩化第二錫五水和物を硫酸第一
鉄に替えた他は、実施例1と同様にして印刷版の作成と
印刷評価を行った。結果を表1に示した。また、感熱平
版印刷材料の厚みは4.2μm、親水性ポリマー薄膜層
の厚みは0.2μmであった。
【0078】
【実施例5】 (1)親水性バインダーポリマーの合成 セパラブルフラスコ中にアクリル酸248.5部、トル
エン2000部を計量し、室温で攪拌しながらアゾビス
イソブチロニトリル(以下、AIBNと略記する。)
2.49部をトルエン24.9部に溶解し、徐々に滴下
し加えた。その後、60℃に昇温し3時間攪拌した。生
成して沈殿した重合体を濾過しトルエン約2リットルで
洗浄し、80度で大凡乾燥した後、さらに恒量になるま
で真空乾燥し一次ポリマー235部を得た(GPC法に
よる数平均分子量:6×104)。次いで、セパラブル
フラスコ中に蒸留水355部中に、一次ポリマー35.
5部を溶解させた。乾燥空気をフラスコに流しながら、
グリシジルメタクリレート2.84部と2,6−ジ−t
−ブチル−p−クレゾール(以下、BHTと略記す
る。)0.1部とトリエチルベンジルアンモニウムクロ
ライド1部からなる液を滴下ロートからフラスコ内を攪
拌しながら30分間かけて添加した。添加終了後、徐々
に昇温し80℃で1時間攪拌した時点で所定の酸化にな
った。内容物を冷却し、アセトン中でポリマーを単離
し、さらにアセトンでポリマーを揉み洗いした。その
後、室温で真空乾燥し付加重合性不飽和基含有ポリマー
を得た(NMR法による付加重合性不飽和基導入率:
2.2%)。 (2) 感熱平版印刷原版の作成 実施例1と同様に、陽極酸化を施したアルミニウム板
(厚さ0.24cm、310mm×458mm)上に
(1)で合成した親水性バインダーポリマーの10%水
溶液:20.0部、実施例1の(1)で作成したマイク
ロカプセル化した親油性成分:80.0部、アルギン酸
プロピレングリコールエステル(ダックロイドLF、紀
文フードケミファ(株)製)の3重量%水溶液:300
部、(2−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイ
ルベンジル)ジメチル臭化アンモニウム2%水溶液:1
部の割合で配合し調製したドープをバーコーター(ロッ
ド16番)で塗布し、一晩室温で風乾し感熱平版印刷材
料を得た(感熱平版印刷材料厚みは4.1μmであっ
た。)た。次に、この版を塩化第二錫五水和物(東京化
成(株)製)の5%水溶液1.5リットル中に3分間浸
漬後、精製水(和光純薬(株)製)1リットルを用いて
1分間水洗した。更に、これをポリアクリル酸(ジュリ
マーAC10P、日本純薬(株)製)の0.5%水溶液
中に1分間浸漬した後、垂直に立てて24時間室温で風
乾して感熱平版印刷原版を作成した。親水性ポリマー薄
膜層の厚みは0.2μmであった。 (3)平版印刷版の作成及び印刷 (2)で作成した平版印刷材料を用い、実施例1と同様
にして平版印刷版の作成と印刷評価を行った。結果を表
1に示した。
【0079】
【実施例6】実施例5のポリアクリル酸(AC10P)
をポリアクリル酸(AC10MP、数平均分子量:8×
104)に替えた他は、実施例5と同様にして印刷版の
作成と印刷評価を行った。結果を表1に示した。また、
感熱平版印刷材料の厚みは4.3μm、親水性ポリマー
薄膜層の厚みは0.3μmであった。
【0080】
【実施例7】実施例5のポリアクリル酸(AC10P)
をポリアクリルアミド(数平均分子量:1×104)に
替えた他は、実施例5と同様にして印刷版の作成と印刷
評価を行った。結果を表1に示した。また、感熱平版印
刷材料の厚みは4.2μm、親水性ポリマー薄膜層の厚
みは0.3μmであった。
【0081】
【実施例8】実施例5のポリアクリル酸(AC10P)
をポリアリルアミン(数平均分子量:1×104)に替
えた他は、実施例5と同様にして印刷版の作成と印刷評
価を行った。結果を表1に示した。また、感熱平版印刷
材料の厚みは4.3μm、親水性ポリマー薄膜層の厚み
は0.2μmであった。
【0082】
【実施例9】 (1)感熱平版印刷材料の作成 実施例1と同様に、陽極酸化を施したアルミニウム板
(厚さ0.24cm、310mm×458mm)上に、
ポリアクリル酸(ジュリマーAC10MP、日本純薬
(株)製)の10重量%水溶液:20.0部、(1)で
作成したマイクロカプセル化した親油性成分:80.0
部、アルギン酸プロピレングリコールエステル(ダック
ロイドLF、紀文フードケミファ(株)製)の3重量%
水溶液:300部の割合で配合し調製したドープをバー
コーター(ロッド16番)で塗布し、一晩室温で風乾し
た。感熱平版印刷材料の厚みは4.2μmであった。 (2)平版印刷版の作成及び印刷評価 (1)で作成した感熱平版印刷材料に、電子組版装置と
接続した、1W半導体レーザー素子搭載の印字装置で印
刷画像を熱印字し、次いで版全面をケミカルランプで6
J/cm2 照射して印刷版を作成した。次に、この版を
塩化第二錫五水和物(東京化成(株)製)の5%水溶液
1.5リットル中に3分間浸漬後、精製水(和光純薬
(株)製)1リットルを用いて1分間水洗した。更に、
これをポリアクリル酸(ジュリマーAC10P、日本純
薬(株)製)の0.5%水溶液中に1分間浸漬した後、
垂直に立てて24時間室温で風乾して平版印刷版を作成
した。親水性ポリマー薄膜層の厚みは0.2μmであっ
た。これを用いて実施例1と同様に印刷評価を行った。
結果を表1に示した。
【0083】
【比較例1】実施例1において、塩化第二錫五水和物5
%水溶液への浸漬、水洗、ポリアクリル酸(AC10
P)への浸漬、乾燥を行わなかった他は実施例1と同様
にして塗布、製版、印刷を行った。感熱平版印刷材料の
厚みは4.1μmであった。その結果、印刷100部程
度で塗布層が剥離する現象が見られた。結果を表1に示
した。
【0084】
【比較例2】実施例1において、水洗、ポリアクリル酸
(AC10P)への浸漬、乾燥を行わなかった他は実施
例1と同様にして塗布、製版、印刷を行った。感熱平版
印刷材料の厚みは4.2μmであった。但し、塩化第二
錫五水和物5%水溶液への浸漬後は垂直に立てて24時
間室温で風乾した。その結果、印刷初期より全面に強い
汚れ(光学濃度で△OD=0.5)が発生した。結果を
表1に示した。
【0085】
【比較例3】実施例1において、塩化第二錫五水和物5
%水溶液の替わりに炭酸ナトリウム5%水溶液を用い
て、実施例1と同様に塗布、製版、印刷を行った。感熱
平版印刷材料の厚みは4.2μm、親水性ポリマー薄膜
層の厚みは0.2μmであった。その結果、印刷100
部程度で塗布層が剥離する現象が観測された。結果を表
1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】本発明において親水層の親水性バインダ
ーポリマーが、多価金属イオンとバインダーポリマー中
のルイス塩基部分と強く相互作用して三次元架橋し、か
つ親水層表面が親水性ポリマーの薄膜で被覆されている
ため、地汚れの極めて少ない平版印刷版、およびその製
造可能な平版印刷原版を提供することができる。
【0088】本発明の感熱平版印刷原版は、その非画像
部が主として親水性ポリマーで形成されているため、本
発明の製版工程では現像が不要であることから、現像液
の管理、廃液の処理といった作業を必要とせず、作業効
率、コスト削減を図ることが可能になる。また、製版装
置もコンパクトに出来、装置価格も低く設計出来ること
から、産業上、大いに有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱により画像部に転換するマイクロカプ
    セル化された親油性成分と親水性バインダーポリマーと
    を含有する親水層、及び支持体を有する感熱平版印刷原
    版であって、該親水性バインダーポリマーが、多価金
    属イオンと、該親水性バインダーポリマー中の窒素、酸
    素もしくは硫黄を含むルイス塩基部分との相互作用によ
    って三次元架橋されており、かつ親水層表面に親水性
    ポリマー薄膜層を設けてなる感熱平版印刷原版。
  2. 【請求項2】 親水性バインダーポリマーが、マイクロ
    カプセル破壊後、該マイクロカプセル中の親油性成分と
    化学結合する官能基を有しており、マイクロカプセル中
    の親油性成分が、該マイクロカプセルの破壊後、上記親
    水性バインダーポリマーと化学結合する官能基を有して
    いる請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  3. 【請求項3】 多価金属イオンが、マグネシウムイオ
    ン、アルミニウムイオン、カルシウムイオン、チタニウ
    ムイオン、第一鉄イオン、コバルトイオン、銅イオン、
    ストロンチウムイオン、ジルコニウムイオン、第一錫イ
    オン、第二錫イオン、鉛イオンから選ばれる少なくとも
    一種である請求項1又は2記載の感熱平版印刷原版。
  4. 【請求項4】 窒素、酸素もしくは硫黄を含むルイス塩
    基部分が、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキ
    ルアミノ基、トリアルキルアミノ基、イソウレイド基、
    イソチオウレイド基、イミダゾリル基、イミノ基、ウレ
    イド基、エピイミノ基、ウレイレン基、オキサモイル
    基、オキサロ基、オキサロアセト基、カルバゾイル基、
    カルバゾリル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カ
    ルボキシラト基、カルボイミドイル基、カルボノヒドラ
    ジド基、キノリル基、グアニジノ基、スルファモイル
    基、スルフィナモイル基、スルホアミノ基、セミカルバ
    ジド基、セミカルバゾノ基、チオウレイド基、チオカル
    バモイル基、トリアザノ基、トリアゼノ基、ヒドラジノ
    基、ヒドラゾ基、ヒドラゾノ基、ヒドロキシアミノ基、
    ヒドロキシイミノ基、含窒素複素環、ホルムアミド基、
    ホルムイミドイル基、3−モルホリニル基、モルホリノ
    基から選ばれる少なくとも一種である請求項1、2又は
    3記載の感熱平版印刷原版。
  5. 【請求項5】 親水性バインダーポリマーが、炭素−炭
    素結合、または酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ
    原子の少なくとも1種で結合された炭素原子もしくは炭
    素−炭素結合から形成され、且つ構造中に多価金属イオ
    ンと相互作用している窒素、酸素もしくは硫黄を含むル
    イス塩基部分を有するポリマー、並びに該ポリマー構造
    中に、更にリン酸基、スルホン酸基もしくはこれらの
    塩、水酸基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を
    少なくとも1種含有するポリマーの群から選ばれる少な
    くとも1種である請求項1、2、3又は4記載の感熱平
    版印刷原版。
  6. 【請求項6】 親水性ポリマー薄膜用ポリマーが、酸
    素、窒素、硫黄およびリンからなるヘテロ原子の少なく
    とも一種で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合
    から形成されるポリマー、炭素−炭素結合または酸素、
    窒素、硫黄およびリンからなるヘテロ原子の少なくとも
    一種で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から
    形成され、構造中にリン酸基、スルホン酸基もしくはこ
    れらの塩、水酸基、ポリオキシエチレン基等の親水性官
    能基を少なくとも一種含有するポリマー、炭素−炭素結
    合または酸素、窒素、硫黄およびリンからなるヘテロ原
    子の少なくとも一種で結合された炭素原子もしくは炭素
    −炭素結合から形成され、構造中に窒素ないし酸素ない
    し硫黄を含むルイス塩基部分を有するポリマー、並びに
    このルイス塩基部分を有するポリマー構造中に更にリン
    酸基、スルホン酸基もしくはこれらの塩、水酸基、ポリ
    オキシエチレン基等の親水性官能基を少なくとも一種含
    有するポリマーの群から選ばれる少なくとも1種である
    請求項1、2、3、4又は5記載の感熱平版印刷原版。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    感熱平版印刷原版に熱モードで印字してなる平版印刷
    版。
  8. 【請求項8】 熱により画像部に転換するマイクロカプ
    セル化された親油性成分と窒素、酸素もしくは硫黄を含
    むルイス塩基部分を有している未架橋親水性バインダー
    ポリマーとを有する親水層、及び支持体とから構成され
    る感熱平版印刷材料に熱モードで印字後、外部より供給
    される多価金属イオンと上記ルイス塩基部分との相互作
    用によって三次元架橋し、親水層表面に親水性ポリマー
    薄膜を設けてなる平版印刷版。
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