JP3064807B2 - 平版印刷原版およびその製版方法 - Google Patents

平版印刷原版およびその製版方法

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JP3064807B2
JP3064807B2 JP6103281A JP10328194A JP3064807B2 JP 3064807 B2 JP3064807 B2 JP 3064807B2 JP 6103281 A JP6103281 A JP 6103281A JP 10328194 A JP10328194 A JP 10328194A JP 3064807 B2 JP3064807 B2 JP 3064807B2
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源昭 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、現像不要で耐刷性に優
れたオフセット印刷用ダイレクト感熱平版印刷原版およ
びその製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの普及につれ、版材構成と
ともに種々の平版の製版方法が提案されている。実用面
からは、版下からポジ若しくはネガフィルムを作製して
平版印刷原版に焼き付ける方法が一般に行われている
が、該フィルムを介することなく版下から直接製版する
電子写真版や銀塩写真版、あるいは、電子組版、DTP
(デスクトップ・パブリッシュメント)で編集・作製さ
れた印刷画像情報を可視画像化することなく直接版材に
レーザー若しくはサーマルヘッドで印字し製版できる所
謂コンピュータ・ツー・プレート(CTP)タイプの平
版材が登場するにいたっている。これらはまだ実用化さ
れていないが、特にCTPタイプの版材は製版工程の合
理化と短縮化、材料費節減が可能となることからCTS
化が完了した新聞製作等の分野で大いに期待されてい
る。
【0003】かかるCTP版材としては、感光性タイ
プ、感熱性タイプあるいは電気エネルギーで製版するタ
イプの版材が知られている。感光性タイプあるいは電気
エネルギーで製版する版材は、版価格が従来のPS版に
比べ割高となるばかりでなく、その製造装置も大型かつ
高価であるため、これらの版材および製版工程は実用化
には至っていない。さらに、これらは現像液の廃棄処理
の問題も有する。
【0004】感熱性タイプの版材は、社内印刷を始めと
する軽印刷用途に幾つか開発されている。特開昭63−
64747号公報、特開平1−113290号公報等に
は、支持体上に設けられた感熱層に分散させた熱溶融樹
脂および熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱部を
親水性から親油性に変化させる版材が、米国特許公報
4、034、183号、同4、063、949号には、
支持体上に設けられた親水性ポリマーをレーザー照射し
親水性基を無くし親油性に転換させる版材が各々開示さ
れている。しかし、これらの版材は、版表面に存在する
熱溶融物質によるインキの受容により非画像部が汚れた
り、耐刷性が不十分であったり、また、版材設計の自由
度が低いという問題があった。
【0005】特開平3−108588号公報、特開平5
−8575号公報には、マイクロカプセル化された熱溶
融物質と結着性樹脂とからなる感熱記録層を支持体に設
け、加熱部を親油性に変化させる版材が開示されてい
る。しかし、マイクロカプセル化された熱溶融物質はい
ずれも反応性を有せず、耐刷性において満足のいくもの
ではなかった。一方、特開昭62−164596号公
報、同62−164049号公報には、親水性表面を有
する支持体上に活性水素含有バインダーポリマーと共に
ブロックイソシアネートとからなる記録層を設けた平版
印刷原版及びその方法が開示されている。しかし、この
版材は、印字後、非印字部分を除去する現像工程が必要
である。
【0006】さらに、ダイレクト型平版印刷材料の一つ
に、親水層の表面に画像部をインキジェットやトナー転
写等の外的手段で形成する直描型平版印刷材料がある。
特開昭62−1587号公報には、マイクロカプセル化
した非反応性の熱溶融性物質を塗布し、加熱印字により
トナー受理層を形成する版材が開示されている。しか
し、形成されたトナー受理層に親油性のトナー等を固着
して初めて印刷版となるものであり、印字後、画像部が
形成されるのではない。このように従来の感熱性平版印
刷用の版材は、耐刷力に乏しいか親油性に乏しいため、
軽印刷などの用途に限られていた。また、その製版工程
において現像工程を要するものもあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、先行する
技術は、版性能、製版装置、製版作業性、あるいは版材
や製版、装置のコストの点で商業レベルでの実施に問題
があった。本発明は、従来のダイレクト型オフセット版
材の上記問題点を解決することを目的とするものであ
る。即ち、本発明の目的は、高耐刷性、高寸法精度の平
版印刷版が得られ、かつ、地汚れのない鮮明な画像の印
刷物が得られる平版印刷原版を低価格で供給することで
ある。さらに別の目的は、製版工程において、現像液な
どの廃棄物処理の必要な現像工程がなく、専用の大掛り
かつ高価な製版装置を用いなくとも製版できる平版印刷
原版およびその製版方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、熱
により画像部に転換するマイクロカプセル化された親油
性成分と親水性バインダーポリマーとを含有する親水層
と支持体とから構成される感熱平版印刷原版であって、
該親水性バインダーポリマーは三次元架橋されており、
かつ、該マイクロカプセル中の親油性成分とカプセルの
破壊後化学結合する官能基を有しており、該マイクロカ
プセル中の親油性成分はカプセルの破壊後該親水性バイ
ンダーポリマーと化学結合する官能基を有している感熱
平版印刷原を提供するものである。
【0009】また、本発明は、熱により画像部に転換す
るマイクロカプセル化された親油性成分と親水性バイン
ダーポリマーとを含有する親水層と支持体とから構成さ
れる感熱平版印刷材料であって、該親水性バインダーポ
リマーは、三次元架橋しうる官能基と該マイクロカプセ
ル中の親油性成分とカプセルの破壊後化学結合する官能
基を有しており、該マイクロカプセル中の親油性成分は
カプセルの破壊後該親水性バインダーポリマーと化学結
合する官能基を有している感熱平版印刷材料を提供す
る。さらに、本発明は上記の感熱平版印刷原版および感
熱平版印刷材料の製版方法ならびにそれからなる印刷版
を提供する。
【0010】本発明の平版印刷原版において、三次元架
橋構造を有する親水性バインダーポリマーからなる親水
層は、インキを撥き、非画像部の主成分を構成する。三
次元架橋構造とすることで、親水層は、湿し水で膨潤す
ることなく、支持体との接着強度や親水層の機械的物性
を維持し、高い耐刷性を示す。
【0011】親水性バインダーポリマーの三次元架橋構
造は、印字と同時或いは印字後に形成されてもよい。製
版前に親水性バインダーポリマーが三次元架橋構造をと
っていないものも、本発明でいう平版印刷材料として用
いることができる。取扱い時の傷付け防止、およびサー
マルヘッドで印字する場合、熱溶融した親水層成分がサ
ーマルヘッドへ付着するのを防止する観点からは、製版
前に三次元架橋構造を形成し終えている方が好ましい。
【0012】本発明でいう三次元架橋構造を有する親水
性バインダーポリマーとは、ポリ(メタ)アクリレート
系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキ
シ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル酸系、ポリ
(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル系、ポリアミ
ド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖類系あるいは
それらの複合系等の、側鎖にカルボキシル基、リン酸
基、スルホン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸
基、アミド基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能基
を一種類以上かつ複数個含有する炭素−炭素結合から構
成される網目化されたポリマー、酸素、窒素、硫黄、リ
ンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以上で連結され
た炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成される網目
化されたポリマー、またはその側鎖にカルボキシル基、
リン酸基、スルホン酸基、アミノ基もしくはそれらの
塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエチレン基等の親水
性官能基を一種類以上かつ複数個含有する網目化された
ポリマーである。
【0013】中でも、側鎖に水酸基、カルボキシル基も
しくはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基もしくはその
アミン塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、
アミノ基もしくはそのハロゲン化水素酸塩、アミド基の
いずれかをあるいはこれらを組み合わせたセグメントを
繰り返し有する親水性バインダーポリマー、さらにこれ
らの親水性官能基と主鎖セグメントの一部にポリオキシ
エチレン基を有するものは親水性が高く好ましい。これ
らに加えて親水性バインダーポリマーの主鎖もしくは側
鎖にウレタン結合もしくはウレア結合を有するものは、
親水性のみならず非画像部の耐刷性も向上するのでさら
に好ましい。
【0014】上記の親水性官能基のポリマー中の割合
は、前述の主鎖セグメントの種類と使用する親水性官能
基の種類により、それぞれの試料について次に記載する
方法で実験的に適宜求めていけばよい。すなわち、本発
明の親水性バインダーポリマーの親水性は、支持体上に
架橋した親水性バインダーポリマーを実施例に記載する
印刷試験を行い、印刷用紙へのインキの付着の有無、あ
るいは、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差(例え
ば、大日本スクリーン製造(株)製、反射濃度計DM4
00)で評価するか、水−ケロシンを用いた水中油滴法
接触角測定法(例えば、協和界面科学製接触角計、型式
CA−A)でケロシンが試料に付着するか否かで評価す
る。
【0015】前者の方法で評価する場合、肉眼で観察
し、インキ汚れが認められなければ可、認められれば不
可とするか、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差が
0.02以下を可、0.02を越える場合を不可とす
る。後者の方法で評価する場合、新聞印刷のように低粘
度インキを使用する印刷版向けには、試料の該接触角が
約150度より大きいことが必要であり、さらには16
0度以上が好ましい。印刷前に練ってから使用する高粘
度インキを使用する印刷版向けには、約135度より大
きいことが必要である。
【0016】本発明の親水性バインダーポリマーは必要
に応じ、後述する種々のその他の成分を含んでよい。本
発明の三次元架橋された親水性バインダーポリマーの具
体例を以下に例示する。
【0017】親水性バインダーポリマーとして、(メ
タ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミ
ン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびア
ミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)
アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルア
ミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、
3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩お
よびアミン塩、ビニルスルフォン酸もしくはそのアルカ
リ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチル(メタ)ア
クリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルア
ミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基もしくはそれ
らの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基などの親水
性基を有する親水性モノマーから選ばれる少なくとも一
種を用いて親水性ホモもしくはコポリマーを合成する。
【0018】カルボキシル基、アミノ基もしくはそれら
の塩、水酸基およびエポキシ基などの官能基を有する親
水性バインダーポリマーは、これらの官能基を利用し、
ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等のエチレン
付加重合性不飽和基或いはシンナモイル基、シンナミリ
デン基、シアノシンナミリデン基,p−フェニレンジア
クリレート基等の環形成基を導入した不飽和基含有ポリ
マーを得る。これに、必要により、該不飽和基と共重合
し得る単官能、多官能モノマーと後述の重合開始剤と後
述の他の成分とを加え、適当な溶媒に溶解し、ドープを
調整する。これを支持体上に塗布し乾燥後或いは乾燥を
兼ねて反応させ三次元架橋させる。
【0019】水酸基、アミノ基およびカルボキシル基な
どの活性水素を含有する親水性バインダーポリマーは、
イソシアネート化合物あるいはブロックポリイソシアネ
ート化合物および後述の他の成分と共に上記の活性水素
非含有溶剤中に添加しドープを調合し支持体に塗布し乾
燥後或いは乾燥を兼ねて反応させ三次元架橋させる。
【0020】親水性バインダーポリマーの共重合成分と
してグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル
基、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基あるいは
アミノ基を有するモノマーを用いることができる。
【0021】グリシジル基を有する親水性バインダーポ
リマーは、架橋剤として、1,2−エタンジカルボン
酸、アジピン酸などのα,ω−アルカン若しくはアルケ
ンジカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン
酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、1,2−エタ
ンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、α,ω−ビス−(3−アミノプロピル)−ポリエチ
レングリコルエーテル等のポリアミン化合物、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール等のオリゴアルキレン
またはポリアルキレングリコール、トリメチロールプロ
パン、グリセリン、ペンタエリストール、ソルビトール
等のポリヒドロキシ化合物を用い、これらとの開環反応
を利用して三次元架橋出来る。
【0022】カルボキシル基またはアミノ基を有する親
水性バインダーポリマーは、架橋剤として、エチレンま
たはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレンまたはポリプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエテル等のポリ
エポキシ化合物を用いたエポキシ開環反応等を利用して
三次元架橋することができる。
【0023】親水性バインダーポリマーが、セルロース
誘導体などの多糖類、ポリビニルアルコールもしくはそ
の部分鹸化物、グリシドールホモもしくはコポリマー、
あるいはこれらをベースとした場合は、これらが含有す
る水酸基を利用し、前述の架橋反応し得る官能基を導入
し、前述の方法により三次元架橋できる。
【0024】ポリオキシエチレングリコール等の水酸基
をポリマー末端に有するポリオールまたはアミノ基をポ
リマー末端に有するポリアミンと2,4−トリレンジイ
ソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成し
た親水性ポリウレタン前駆体に、エチレン付加重合性不
飽和基または環形成基を導入して親水性バインダーポリ
マーとし、前述の方法で三次元架橋できる。
【0025】上記合成された親水性ポリウレタン前駆体
が、イソシアネート基末端を有する場合は、グリセロー
ルモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、N−モノメチロール(メタ)アクリ
ルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリル酸、桂皮酸および桂皮アルコール等の
活性水素を有する化合物と反応させる。親水性ポリウレ
タン前駆体が水酸基あるいはアミノ基末端を有する場合
は、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレ
ートおよび2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレー
トなどと反応させる。
【0026】親水性バインダーポリマーが、多塩基酸と
ポリオール、多塩基酸とポリアミンとから形成されるポ
リマーの場合は、それらを支持体に塗布後、加熱により
三次元架橋化させる。親水性バインダーポリマーが、カ
ゼイン、グルー、ゼラチン等の場合は、それらの水溶性
コロイド形成化合物を加熱により三次元架橋させて網目
構造を形成してもよい。
【0027】さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートおよびビニルアルコールなどの水酸基含有モ
ノマー、アリルアミンから合成したホモもしくはコポリ
マー、部分鹸化ポリビニルアルコール、セルロース誘導
体などの多糖類、グリシドールホモもしくはコポリマー
等の、水酸基やアミノ基を含有する親水性ポリマーと一
分子中に二個以上の酸無水基を有する多塩基酸無水物と
を反応させ、三次元架橋した親水性バインダーポリマー
を形成することもできる。この反応で用いる多塩基酸無
水物としては、エチレングリコール ビス アンヒドロ
トリメリテート、グリセロール トリス アンヒドロ
トリメリテート、1,3,3a,4,5,9b ヘキサ
ヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−
フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジ
オン、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラ
カル酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
ン酸二無水物等を例示できる。
【0028】親水性バインダーポリマーが、末端にイソ
シアネート基を有するポリウレタンとポリアミンまたは
ポリオール等の活性水素含有化合物とから形成される場
合には、それらの化合物と後述の他の成分とを溶剤中に
溶解もしくは分散させ支持体に塗布して溶剤を除去した
後、マイクロカプセルが破壊しない温度でキュアリング
し三次元架橋させることもできる。この場合、親水性は
ポリウレタンもしくは活性水素含有化合物のいずれかも
しくは両方のセグメント、または側鎖に親水性官能基を
導入することにより付与すればよい。親水性を発現する
セグメント、官能基としては上記記載の中から適宜選択
すればよい。
【0029】本発明において用いられるポリイソシアネ
ート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイ
ソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が例示でき
る。
【0030】塗布工程前後のハンドリング時、イソシア
ネート基が変化するのを防ぐことを目的に、イソシアネ
ート基を公知の方法でブロック化(マスク化)しておく
のが好ましい場合もある。たとえば、岩田敬治著「プラ
スチック材料講座ポリウレタン樹脂」日刊工業新聞社
刊(1974)、頁51−52、岩田敬治著「ポリウレ
タン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(198
7)、頁98、419、423、499、等に記載され
た方法に従い、酸性亜硫酸ナトリウム、芳香族2級アミ
ン、3級アルコール、アミド、フェノール、ラクタム、
複素環化合物、ケトオキシム等を使用し、ブロック化す
ることができる。中でも、イソシアネート再生温度が低
く、親水性のもの、例えば酸性亜硫酸ナトリウムが好ま
しい。前述の非ブロック化或いはブロック化ポリイソシ
アネートの何れかに付加重合性不飽和基を導入し、架橋
の強化や親油性成分との反応に利用してもよい。
【0031】本発明の親水性バインダーポリマーの架橋
度、すなわち、架橋間平均分子量は、使用するセグメン
トの種類、会合性官能基の種類と量等により異なるが、
要求される耐刷性に応じ決めていけばよい。通常、架橋
間平均分子量は、500〜5万の範囲で設定される。5
00より小さいとかえって脆くなる傾向があり、耐刷性
が損なわれ、5万を超えると湿し水で膨潤し、耐刷性が
損なわれる場合もある。耐刷性および親水性の両者のバ
ランスを考慮すると、800〜3万程度が好ましく、さ
らには、1000〜1万程度が好ましい。
【0032】以上述べた中で、親水性バインダーポリマ
ーが(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩お
よびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩
およびアミン酸塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)
アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化
水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカ
リ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそ
のアルカリ金属塩およびアミン塩、
【0033】2−スルホエチレン(メタ)アクリレー
ト、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、アリルアミンもしく
はそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スル
ホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸
基、アミド基およびエーテル基などの親水性基を有する
親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて合
成した親水性ホモもしくはコポリマー、あるいは、ポリ
オキシメチレングリコールまたはポリオキシエチレング
リコールから構成された親水性バインダーポリマーを上
述の方法で三次元架橋したものが好ましい。
【0034】本発明の親水性バインダーポリマーは、下
記の単官能モノマー、多官能モノマーを併用させてもよ
い。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンド
ブック」大成社刊(1981)、加藤清視著「紫外線硬
化システム」総合技術センター刊(1989)、加藤清
視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子
刊行会(1985)、赤松清監修「新・感光性樹脂の実
際技術」シーエムシー、頁102−145、(198
7)等に記載されているN,N’−メチレンビスアクリ
ルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピ
リジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、
【0035】N−ビニル−2−ピロリドン、ダイアセト
ンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルア
ミド、パラスチレンスルホン酸もしくはその塩、メトキ
シトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メト
キシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
(PEGの数平均分子量400)、メトキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分
子量1000)、ブトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキ
シジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノ
キシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノ
ニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロ
ールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、
【0036】ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量400)、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分
子量600)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート(PEGの数平均分子量1000)、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート(PPG数平
均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタクリロ
ルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス
[4−(メタクリロイルオキシ・ジエトキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・
ポリエトキシ)フェニル]プロパンまたはそのアクリレ
ート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイド
ロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシ
エチハドロジェンサクシネート、ポリエチレンまたはポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、
【0037】1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グ
リセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートま
たはそのメタクリル体、N−フェニルマレイミド、N−
(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカ
ルバゾール、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレ
ン尿素等がある。
【0038】親水性バインダーポリマーの三次元架橋反
応をエチレン付加重合性不飽和基を用いて行うときは、
公知の光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いること
が反応効率上好ましい。
【0039】本発明で用いられる光重合開始剤として
は、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベン
ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラ
ーケトン、キサントン、チオキサントン、クロロキサン
トン、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェ
ニルアセトフェノン、ベンジル、2,2−ジメチル−2
−ヒドロキシアセトフェノン、(2−アクリロイルオキ
シエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化ア
ンモニウム、(4−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチ
ルアンモニウム、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒド
ロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキ
サントン−9−オン メソクロライド、
【0040】1−フェニル−1,2−プロパンジオン−
2−(O−ベンゾイル)オキシム、チオフェノール、2
−ベンゾチアゾールチオール、2−ベンゾオキサゾール
チオール、2−ベンズイミダゾールチオール、ジフェニ
ルスルフィド、デシルフェニルスルフィド、ジ−n−ブ
チルジスルフィド、ジベンジルスルフィド、ジベンゾイ
ルジスルフィド、ジアセチルジスルフィド、ジボルニル
ジスルフィドジメトキシキサントゲンジスルフィド、テ
トラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウ
ラムテトラスルフィド、ベンジルジメチルジチオカーバ
メイトキノキサリン、1,3−ジオキソラン、N−ラウ
リルピリジニウム等が例示できる。
【0041】これらの中から、製造工程で用いる光源の
波長領域に吸収を持ち、ドープを調合する際使用する溶
媒に溶解若しくは分散するものを適宜選択すればよい。
通常、使用する溶媒に溶解するものが反応効率が高く好
ましい。
【0042】本発明で用いられる光カチオン重合開始剤
としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、芳香族スルホニウム塩等がある。この開始剤を用い
るときは、架橋反応種としてエポキシ基も併用できる。
この場合、前述のエポキシ基含有化合物を架橋剤もしく
は、親水性バインダーポリマーとして用いるか、親水性
バインダーポリマーにエポキシ基を導入すればよい。光
二量化反応により三次元架橋させる場合は、2−ニトロ
フルオレン,5−ニトロアセナフテン等、該反応に一般
的によく知られた各種増感剤も使用できる。上記以外に
も、徳丸克巳他著「増感剤」、2章、4章、講談社刊
(1987)、加藤清視著「紫外線硬化システム」総合
技術センター刊)、頁62−147(1989)、ファ
インケミカル、Vol.20 No4、16(199
1)に記載されている公知の重合開始剤も使用できる。
【0043】上記重合開始剤の添加量は、ドープ中の溶
媒を除いた有効成分に対し、0.01%〜20重量%の
範囲で使用できる。0.01重量%より少ないと開始剤
の効果が発揮されず、20%重量より多いと、活性光線
の開始剤による自己吸収のため内部への光の到達が不良
となり所望する耐刷力を発揮することができなくなるこ
とがある。実用的には0.1〜10重量%の範囲で開始
剤の効果と非画像部の地汚れとのバランスで組成に応じ
て決定するのが好ましい。
【0044】照射光源としては、メタルハライドラン
プ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ等公知
のものが使用できる。照射光源からの熱がカプセル破壊
の恐れがある場合、冷却しながら照射する必要がある。
【0045】本発明で用いられる熱重合開始剤として
は、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスイソブチルニ
トリル、過硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム等の過酸化
物、アゾ化合物、レドックス開始剤といった公知のもの
が使用できる。使用に際しては、マイクロカプセルを破
壊する温度より低温で反応させなければならない。熱重
合開始剤の使用量は、ドープ溶媒を除いた成分に対し、
0.01〜10重量%の範囲がよい。0.01重量%よ
り少ないと硬化時間が長くなりすぎ、10重量%より多
いとドープ調合中に生じる熱重合開始剤の分解によりゲ
ル化が起こることがある。効果と取扱い性を考慮する
と、好ましくは、0.1〜5重量%である。
【0046】本発明の親水性バインダーポリマーは、マ
イクロカプセル中の親油性成分と化学結合する官能基を
有している必要がある。両者が化学結合することによっ
て、高い耐刷性が得られる。マイクロカプセル中の親油
性成分と三次元架橋された親水性バインダーポリマーと
を反応させるためには、後述する親油性成分の反応性官
能基に合わせそれと反応する官能基を有するモノマーを
用いて親水性バインダーポリマーを合成することによ
り、目的の官能基をポリマー中に導入するか、ポリマー
合成後導入すればよい。
【0047】親水性バインダーポリマーと親油性成分と
の反応は、反応速度の速い反応、例えば、水酸基もしく
はカルボキシル基、あるいはアミノ基を有する親水性バ
インダーポリマーとイソシアネート基を有する親油性成
分とのウレタン化反応、あるいは尿素化反応、水酸基、
カルボキシル基またはアミノ基を有する親水性バインダ
ーポリマーとエポキシ基を有する親性成分との反応、
あるいは不飽和基の付加重合反応が好ましい。酸無水基
を有する親水性バインダーポリマーと水酸基、アミノ基
またはイミノ基を有する親油性成分との開環付加反応や
不飽和基とチオールとの付加反応でもよい。耐刷性を向
上させるためには、前記化学結合が三次元架橋構造をと
ることが好ましい。
【0048】本発明の親油性成分は、上記親水性バイン
ダーポリマーと反応する官能基を有し、熱印字によりカ
プセル外に出現し親水性バインダーポリマーと速やかに
反応し化学結合されたインキを受容する画像部を形成す
る。耐刷性を向上させるためには、親油性成分自身も架
橋構造をとることが好ましい。
【0049】本発明の親油性成分としては、例えばフェ
ニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル
ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、キシリレンジイソシネート、リ
ジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシ
アネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリ
デンジイソシアネート、ポリメチレン ポリフェニルイ
ソシアネート、ポリメリック ポリイソシアネート等の
イソシアネート;トリメチロールプロパンと1,6−ヘ
キサンジイソシアネートあるいは2,4−トリレンジイ
ソシアネートといった上記ジイソシアネートとの1対3
モル付加体等のポリイソシアネート、
【0050】2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレ
ートのオリゴマーまたはポリマーなどのイソシアネート
化合物;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(メ
タ)アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−メ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジメチルア
ミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−
2ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチ
ロール(メタ)アクリルミド、パラスチレンスルホン酸
もしくはその塩、
【0051】メトキシトリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、
【0052】ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量400)、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分
子量600)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート(PEGの数平均分子量1000)、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート(PPG数平
均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタクリロ
ルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス
[4−(メタクリロイルオキシ・ジエトキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロイルオ
キシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンまたはそのア
クリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチル
ハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイル
オキシエチルハイドロジェンサクシネート、ポリエチレ
ンまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、
【0053】1,3−ブチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グ
リセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートま
たはそのメタクリル体、2−イソシアナトエチル(メ
タ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー
類あるいはこれらと単官能(メタ)アクリレートとの組
合せ、
【0054】さらには前述の親水性基を含有する(メ
タ)アクリレートモノマーとの組合せ;N−フェニルマ
レイミド、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミ
ド、N−ビニルカルバゾール、ジビニルエチレン尿素、
ジビニルプロピレン尿素、トリアリルイソシアヌレート
等の多官能アリル化合物或いはこれらと単官能アリル化
合物との組合せ;さらには、水酸基、カルボキシル基、
アミノ基、ビニル基、チオール基、エポキシ基等の反応
性基をポリマー分子両末端に含有する1,2−ポリブタ
ジエン、1,4−ポリブタジエン、水添加1,2−ポリ
ブタジエン、イソプレン等の液状ゴム;ウレタン(メ
タ)アクリレート等の各種テレキーリック性ポリマー;
炭素−炭素不飽和基、水酸基、カルボキシル基、アミノ
基、エポキシ基含有反応性ワックス;プロピレングリコ
ール ジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコー
ル ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール ジ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパン トリグ
リシジルエーテル、水添ビスフェノールA ジグリシジ
ルエーテル等の多官能エポキシ化合物等が使用できる。
さらには、既存のPS版の画像成分として使用されてい
る架橋前の公知の、(メタ)アクリルコポリマーやウレ
タンアクリレート、ジアゾ樹脂も使用出来る。
【0055】親油性成分は、室温で固体状、液体状何れ
でもよい。室温で固体のポリイソシアネート化合物とし
て、例えば、トリデンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、ポリメチレン ポリフェニルイソシアネー
ト、ポリメリック ポリイソシアネート等がある。
【0056】親油性成分中に含まれるエチレン付加重合
性モノマー、オリゴマーの二重結合反応を利用して、親
油性成分と親水性バインダーポリマーとを化学反応させ
るか、あるいは親油性成分自身を反応させる場合は、以
下の熱重合開始剤を用いることができる。熱重合開始剤
は、50℃以下で貯蔵しても安定であるものが好まし
く、60℃以下で安定であれば、さらに好ましい。
【0057】たとえば、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、シクロヘキサノンパーオキサイド、n−ブチル
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカ
ン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ク
メンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパ
ーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブ
チルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキ
シイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ
ベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t
−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化物が挙げら
れる。
【0058】熱重合開始剤添加の方法としては、これを
をマイクロカプセル化して親油性成分のマイクロカプセ
ル中にカプセル−イン−カプセルの形で用いても良く、
親水層にそのまま分散させてもよい。親油性成分の硬化
は、重合反応だけでなく、親油性成分と親水性バインダ
ーポリマーとの化学結合の際の反応を利用することもで
きる。
【0059】画像部の耐刷性向上の観点から、本発明の
画像部は、ウレタン若しくはウレア構造を有するのが好
ましい。親油性成分を印字による熱反応でウレタン若し
くはウレア構造に変えるか、親油性成分若しくは親水性
バインダーポリマーのセグメントにあらかじめウレタン
もしくはウレア構造を導入するか、何れかの方法で実施
できる。
【0060】親油性成分のカプセル化は、例えば経営開
発センター経営教育部編「マイクロカプセル化の新技術
とその用途開発・応用実例」経営開発センター出版部刊
(1978)記載の公知の方法に従う。たとえば、互い
に溶解しあわない二つの液体の界面で、予め各々の液体
に添加してあるリアクタントを重縮合させ、両溶媒に不
要なポリマー膜を形成させ、カプセル膜を作る界面重合
法、芯物質の内側または外側のどちらか一方のみからリ
アクタントを供給し、芯物質の周囲にポリマー壁を形成
させるin−situ法、親水性ポリマー溶液中に分散
させた疎水性物質の表面に、親水性ポリマーを相分離さ
せ、カプセル膜を作るコンプレックスコアセルベート
法、有機溶液系からの相分離法等により行うことができ
る。中でも、界面重合法、in−situ法が比較的多
くの芯物質のカプセル化が行いやすく好ましい。親油性
成分とは異なる材料でカプセル化してもよい。
【0061】本発明でいうカプセル化は、室温で固体の
ポリイソシアネート化合物を微粉末化し微粒子表面を前
記ブロック化剤でブロック化することにより周囲の活性
水素と室温で反応出来ないようにする方法も含む。何れ
にしろ印字の際の熱でカプセル内の親油性成分がカプセ
ル外に放出され、最初のカプセルの形態が破壊されるこ
とが必要である。例えば、カプセル壁の膨張、圧縮、溶
融、化学分解により、親油成分が放出されたり、カプセ
ルの該壁材が膨張することにより密度が低下し親油性成
分が壁材層を透過して放出される場合等がある。
【0062】カプセル外殻表面は、マイクロカプセルが
親水層に含有された状態で印刷した際に、非画像部の地
汚れが発生しなければ特に限定されるものではないが、
親水性であることが好ましい。マイクロカプセルのサイ
ズは、平均10μm以下、高解像力の用途には平均5μ
m以下が好ましい。カプセル全体に対する親油性成分の
割合が低すぎると画像形成効率が低下するので平均0.
01μm以上であることが好ましい。
【0063】マイクロカプセル化された親油性成分の使
用量は印刷用途毎の必要とされる耐刷性に応じて決めれ
ばよい。通常は、マイクロカプセル/親水性バインダー
ポリマー重量比率が1/20〜10/1の範囲、さらに
は感度、耐刷性の観点からは、1/15〜5/1の範囲
で使用するのが好ましい。
【0064】本発明の親水層には、他の成分として、カ
プセルの熱破壊促進、親油性成分と該成分と反応する官
能基を有する反応物質との反応促進、親油性成分と親水
性バインダーポリマーとの反応促進を目的としてさら
に、増感剤を添加することが出来る。添加により、印字
感度の高感度化、耐刷性の向上および高速製版が可能と
なる。かかる増感剤として、例えばニトロセルロース等
の自己酸化性物質、置換されたシクロプロパン、キュバ
ン等高歪み化合物がある。
【0065】親油性成分の重合反応触媒も増感剤として
使用できる。例えば、親油性成分の反応がイソシアネー
ト基の反応であれば、ジブチルチンジラウレート、塩化
第二スズ、アミン化合物等のウレタン化触媒、エポキシ
基の開環反応であれば第四級アンモニウム塩等の開環触
媒が例示出来る。増感剤は、ドープ調合時に添加する方
法、親油性成分のマイクロカプセル化の際に同時に包含
させる方法、あるいは支持体と親水層の中間にバインダ
ー樹脂と一緒に設ける方法がある。その使用量は用いる
増感剤の効果、非画像部の耐刷性、といった観点から決
めればよい。
【0066】レーザー印字の場合、用いるレーザーの発
光波長領域に吸収帯を有する光−熱変換物質をさらに使
用することも出来る。かかる物質としては、例えば、松
岡賢著「JOEM ハンドブック2 アブソープション
スペクトル オブ ダイズ フォー ダイオード レ
イザーズ」ぶんしん出版(1990)、シーエムシー編
集部「90年代 機能性色素の開発と市場動向」シーエ
ムシー(1990)第2章2.3に記載されているポリ
メチン系色素(シアニン色素)、フタロシアニン系色
素、ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン、アント
ラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウ
ム、ジインモニウム系色素、アゾ系分散染料、インドア
ニリン金属錯体色素、分子間型CT色素等の染料、顔料
および色素がある。
【0067】具体的には、N−[4−[5−(4−ジメ
チルアミノ−2−メチルフェニル)−2,4−ペンタジ
エニリデン]−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエ
ン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウムア
セテート、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−3−フェニル−2−ペンテン−4−イン−1−
イリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデ
ン]−N,N−ジメチルアンモニウム パークロレー
ト、N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N
−[4−[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニ
ル)アミノ]フェニル]−アミニウム ヘキサフルオロ
アンチモネート、5−アミノ−2,3−ジシアノ−8−
(4−エトキシフェニルアミノ)−1,4−ナフトキノ
ン、
【0068】N’−シアノ−N−(4−ジエチルアミノ
−2−メチルフェニル)−1,4−ナフトキノンジイミ
ン、4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシブチル)
−1−オキソ−3−チオキソピロロ[3,4−b]アン
トラセン−5,10−ジオン、5,16(5H,16
H)−ジアザ−2−ブチルアミノ−10,11−ジチア
ジナフト[2,3−a:2’3’−c]−ナフタレン−
1,4−ジオン、ビス(ジクロロベンゼン−1,2−ジ
チオール)ニッケル(2:1)テトラブチルアンモニウ
ム、テトラクロロフタロシアニン アルミニウムクロラ
イド、ポリビニルカルバゾール−2,3−ジシアノ−5
−ニトロ−1,4−ナフトキノン錯体等が例示出来る。
【0069】マイクロカプセルの熱破壊を促進する目的
で、親油性成分と共に加熱されると気化または体積膨張
しやすい物質をカプセル中に親油性成分と共に入れるこ
とができる。例えば、シクロヘキサン、ジイソプロピル
エーテル、エチルアセテート、エチルメチルケトン、テ
トラハイドロフラン、t−ブタノール、イソプロパノー
ル、1,1,1−トリクロロエタンといった沸点が室温
より十分高く、60〜100℃付近の炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケト
ン化合物がある。
【0070】印字部のみが発色する公知の感熱色素を親
油性成分と併用し、印字部の可視化を計ると検版を行な
いやすいので好ましい。例えば、3−ジエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオランとビスフェノール
Aなどのロイコ染料および粉砕した顕色剤の組合せ等が
ある。大河原信他編「色素ハンドブック」講談社刊(1
986)等の成書に開示されている感熱色素が使用でき
る。
【0071】親水性バインダーポリマーとは別に、親油
性成分の架橋度を高めるために親油性成分と反応する官
能基を有する反応性物質を用いることができる。その添
加量は、親水性バインダーポリマーの撥インキ性、親水
性の程度に従い、地汚れを引き起こさない程度の量とす
る。かかる反応性物質として、例えば、親油性成分の架
橋反応がウレタン生成なら水酸基、アミノ基、カルボキ
シル基を複数個有する化合物、例えばポリビニルアルコ
ール、ポリアミン、ポリアクリル酸、トリメチロールプ
ロパン等が例示できる。親水性の調整を目的として、使
用する親水性バインダーポリマーおよび親油性成分と反
応しない非反応性親水性ポリマーを耐刷性を損なわない
範囲で親水層に添加してもよい。
【0072】サーマルヘッドで印字する場合、加熱によ
り生ずる溶融物がサーマルヘッドに付着するのを防止す
る目的で溶融物の吸収剤として、炭酸カルシウム、シリ
カ、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、焼成カオリン、
加水ハロイサイト、アルミナゾル、ケイソウ土、タルク
等公知の化合物を添加することが出来る。さらに、版の
滑り性向上、版と版とを重ねたときの密着防止を兼ね、
ステアリン酸、ミリスチン酸、ジラウリルチオジプロピ
オネート、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛等の
常温固体の滑剤を親水層に少量添加することが出来る。
【0073】本発明に使用される支持体は、印刷分野に
要求される性能とコストを勘案して公知の材料から選択
すればよい。多色刷りといった高寸法精度が要求される
場合、版胴への装着方式が金属支持体に合わせて出来上
がっている印刷機で用いる場合には、アルミニウム、ス
チール製等の金属支持体が好ましい。多色印刷せず高耐
刷性が要求される場合はポリエステル等のプラスチック
支持体、さらに低コストが要求される分野には紙、合成
紙、防水樹脂ラミネート或いはコート紙支持体が使用で
きる。支持体と接触する材料との接着性向上のために支
持体自身の表面処理を施したものを使用してもよい。か
かる表面処理の例としてアルミシートの場合、各種研摩
処理、陽極酸化処理があり、プラスチックシートの場
合、コロナ放電処理、ブラスト処理等がある。
【0074】耐刷力等必要に応じ支持体の上に接着剤層
を設けることが出来る。一般的に高耐刷性を必要とする
場合、接着剤層を設ける。接着剤は親水層成分と使用す
る支持体に合わせ選択・設計する必要がある。山田章三
郎監「接着・粘着の事典」朝倉書店刊(1986)、日
本接着協会編「接着ハンドブック」日本工業新聞社刊
(1980)等に記載のアクリル系、ウレタン系、セル
ロース系、エポキシ系等接着剤が使用できる。
【0075】本発明の感熱平版原版は、以下の方法で製
造できる。上述の成分をその種類、親水性バインダーポ
リマーの架橋方法に従って選択した溶媒と共にペイント
シェーカー、ボールミル、超音波ホモジナイザー等でよ
く分散し、得られた塗布液(ドープ)をドクターブレー
ド法、バーコート法、ロールコート法等公知の方法で支
持体上に塗布し乾燥し、感熱平版印刷材料を得る。
【0076】溶媒としては、水、エタノール、イソプロ
パノール、n−ブタノールといったアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトンといったケトン類、ジエチレ
ングリコールジエチルエテル、ジイソプロピルエーテ
ル、ジオキサン、テトラハイドロフラン、ジエチレング
リコールといったエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル
といったエステル類、トルエン、キシレンといった芳香
族炭化水素、n−ヘキサン、デカリンといった脂肪族炭
化水素、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキ
シド、アセトニトリルまたはこれらの混合溶剤を使用す
ることができる。
【0077】さらに必要なら親水性バインダーポリマー
を三次元架橋させるためにマイクロカプセルが破壊する
温度より低温で追加の加熱或いは紫外線照射を行なう。
塗膜の厚みは数μm〜100μmの間で任意に設定すれ
ばよい。通常は性能とコストの関係から1〜10μmの
厚みが好ましい。表面平滑性を高める必要があれば、塗
布・乾燥後、若しくは親水性バインダーポリマーの三次
元架橋化反応後にカレンダー処理を行えばよい。特に高
度の平滑性が必要なら塗布・乾燥後に行うのが好まし
い。
【0078】本発明の感熱平版原版を製版するには、電
子組版機、DTP、ワードプロセッサー、パーソナルコ
ンピュータ等で作製・編集された文書・画像をサーマル
ヘッド、熱モードのレーザーで描画・印字するだけで現
像工程は一切行なわず完了する。印字後、カプセルが破
壊しない温度で加温(ポストキュアー)若しくは版全面
に活性光線照射することにより画像部の架橋度を高める
ことが出来る。後者の方法を実行する場合、親水層中に
前述の光重合開始剤や光カチオン重合開始剤とそれによ
って反応が進む官能基を有する化合物とを併用するか親
油性成分に該官能基を導入することが必要である。該開
始剤、官能基を有する化合物は前述のほか、例えば、加
藤清視著「紫外線硬化システム」総合技術センター刊
(1989)、加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブッ
ク(原料編)」高分子刊行会(1985)等の成書に記
載の公知のものを使用しうる。
【0079】以上のようにして得られた印刷版は、市販
のオフセット印刷機にセットし通常の方法で印刷するこ
とができる。印刷する際、必要ならば印刷版に通常のエ
ッチング処理を施してから印刷することが出来る。
【0080】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明は何らこれに限定されることはない。な
お、文中、部と記してあるのは特に断りの無い限り重量
部である。また、架橋間平均分量は、反応が100%進
行したと仮定した上での、設計上の計算値で示してあ
る。
【0081】親水性バインダーポリマーP−1の製造例 2−ヒドロキシエチルアクリレート5.8g、アクリル
酸16.2g、アクリルアミド16.0g、連鎖移動剤
としてドデシルメルカプタン0.2g、水/イソプロピ
ルアルコール(1/1重量比)100gの混合溶液を撹
拌しながら70℃に昇温した。この溶液に熱重合開始剤
として2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(以
下、AIBN)0.38gを添加し4時間反応した。引
き続き、グリシジルメタクリレート6.4g、重合禁止
剤としてt−ブチルハイドロキノン0.5gおよびベン
ジルトリメチルアンモニウムクロライド(以下、BTM
AC)1gを加え、130℃で6時間反応した。次いで
アセトンを加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄して精製
し親水性バインダーポリマーP−1(GPCによる数平
均分子量:1.5×104 、架橋間平均分子量:0.8
×103 、水−ケロシン系の水中油滴法接触角:160
°以上)を得た。
【0082】親水性バインダーポリマーP−2の製造例 2−ヒドロキシエチルアクリレート5.8g、アクリル
酸16.2g、アクリルアミド16.0g、ドデシルメ
ルカプタン0.2g、イソプロピルアルコール/トルエ
ン(1/1重量比)100gの混合溶液を撹拌しながら
70℃に昇温した。この溶液にAIBNを0.3g添加
し4時間反応した。次いでアセトンを加えポリマーを沈
殿させ、よく洗浄して精製し親水性バインダーポリマー
P−2(GPCによる数平均分子量:1.7×104
水−ケロシン系の水中油滴法接触角:160°以上)を
得た。
【0083】親水性バインダーポリマーP−3の製造例 2−ヒドロキシエチルアクリレート52.2g、アクリ
ルアミド35.5g、アクリル酸3.6g、ドデシルメ
ルカプタン0.9g、水/イソプロピルアルコール(1
/1重量比)100gの混合溶液を反応器中で70℃に
加温した。これにAIBNを1g添加し5時間反応し
た。引き続きグリシジルメタクリレート7.2g、t−
ブチルハイドロキノン0.5g、BTMAC1gを加
え、130℃で6時間反応した。次いでアセトンを加え
ポリマーを沈殿、洗浄し親水性バインダーポリマーP−
3(GPCによる数平均分子量:1.5×104 、架橋
間平均分子量:1.8×103 、水−ケロシン系の水中
油滴接触角:160°以上)を得た。
【0084】親水性バインダーポリマーのP−4製造例 2−ヒドロキシエチルアクリレート58g、アクリルア
ミド35.5g、ドデシルメルカプタン0.9、水10
0gの混合溶液を反応器中で70℃に加温し、これにA
IBNを1g添加し5時間反応した。次いでアセトンを
加え、ポリマーを沈殿、洗浄して精製し、親水性バイン
ダーポリマーP−4(GPCによる数平均分子量:1.
5×104 、水−ケロシン系の水中油滴接触角:160
°以上)を得た。
【0085】親水性バインダーポリマーP−5の製造例 アクリルアミド33.8g,アクリル酸1.8g,2−
ヒドロキシアクリレート11.6gとを酢酸エチル/ト
ルエン(80/20重量比)320gに溶解した。反応
液に窒素ガスを導入し、撹拌しながら45℃に昇温し、
同じ混合溶剤20gに溶かしたAIBN0.41gを添
加したのち、55℃、6時間反応させた。得られたスラ
リー状ポリマーをろ過、洗浄を繰り返し精製した。つい
で該ポリマー20gを水270gに溶解し、エアーを導
入しながら80℃に昇温した。イソプロピルアルコール
に溶かした重合禁止剤の2,6−ターシャリーブチル
パラクレゾール(以下、BHT)0.4g、トリメチル
ベンジルアンモニウムハイドロオキサイド(以下、TM
BAHO)4.8g、グリシジルメタクリレート16.
2gとを添加し、酸価がゼロになるまで4時間反応し
た。このポリマーを真空乾燥し親水性バインダーポリマ
ーP−5(GPCによる数平均分子量:1.9×1
5 、架橋間平均分子量:1.8×103 、水−ケロシ
ン系の水中油滴接触角:160°以上)を得た。
【0086】親水性バインダーポリマーP−6の製造例 ポリオキシエチレングリコール(数平均分子量:1×1
3 )100gと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ
ート25.2gとを80℃で撹拌し、両末端にイソシア
ネート基を有する鎖延長されたポリマーを合成した。つ
いで、85℃に昇温し、乾燥エアーを導入し、グリセリ
ンモノメタクリレート32gとBHT0.1gを添加し
た。赤外分光光度計でイソシアネート特性吸収が認めら
れなくなるまで反応し、親水性バインダーポリマーP−
6を得た(数平均分子量:2.8×103 、架橋間平均
分子量:2.8×103 、水−ケロシン系の水中油滴接
触角:160°以上)。
【0087】 マイクロカプセル化した親油性成分M−1の製造例 脱溶剤し固体状にしたコロネートL(日本ポリウレタン
製、トリメチロールプロパンと2,4−トリレンジイソ
シアネートとの1対3モル付加体)10g、エチルアル
コール8g、精製水2g、ポリアクリルアミドの5%水
溶液を容器に採りペイントシェイカーで室温のもと1時
間振盪し、微粒子表面がブロック化されたイソシアネー
トのマイクロカプセルM−1を調製した。一次分散粒子
の平均サイズは1.0μmであった。
【0088】 マイクロカプセル化した親油性成分M−2の製造例 ビスフェノールAのジグリシジルエーテル50gを加熱
溶解し、60℃の5%酸処理ゼラチン水溶液200g中
に加え乳化分散した。油滴の大きさが平均3μmになっ
たところで5%カルボキシメチルセルロース水溶液(エ
ーテル化度0.6、平均重合度160)を加え、pH
5.5にした後、10℃に冷却した。10%ホルマリン
12gを加え、10%苛性ソーダでpH10に調整しマ
イクロカプセル化した親油性成分M−2を得た。
【0089】 マイクロカプセル化した親油性成分M−3の製造例 3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシア
ネート13.2g,2−ヒドロキシエチルアクリレート
5.9gと触媒のジブチルチンジラウレート0.05g
とを酢酸エチル80gに溶解し、50℃、15分間撹拌
した後70℃、2時間反応しアクリル基とイソシアネー
ト基とを同一分子中に有する化合物を合成した。この後
溶剤を留去し、さらに真空乾燥した。得られた固化物を
乳鉢で粉砕し、この中に該固化物とほぼ同量のポリビニ
ルアルコールの5%水/エタノール(5.5/2.5重
量比)溶液とアルミナボールと加え、ペイントシェーカ
ーで1時間振とう、粉砕しマイクロカプセル化した親油
性成分M−3を調製した。一次分散粒子の平均サイズは
0.9μmであった。
【0090】 マイクロカプセル化した親油性成分M−4の製造例 ノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物(HLB
15)3g,部分鹸化ポリビニルアルコール3g、ポリ
オキシエチレングリコール(数平均分子量:2×1
3 )5gを水150gに溶解、分散して乳化剤水溶液
を調合した。この溶液をホモジナイザー中に入れ、60
度に保ち、あらかじめ60度で混合しておいたトリメチ
ロールプロパントリアクリレート5g、テトラエチレン
グリコールジメタクリレート10g、ラウリルアクリレ
ート5gおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト0.44gを添加し、8000回転で、3時間撹拌し
た。こうして平均粒径2.4μmのマイクロカプセル化
した親油性成分M−4を得た。
【0091】実施例1 ウレタン系接着剤が塗布してある厚み180μmのポリ
エステル支持体の上に、あらかじめペイントシェーカー
で室温下30分間よく分散させたのち脱泡した下記組成
のドープをブレードコーターで塗布した。 親水性バインダーポリマーP−1(15%固形分): 12.0部 マイクロカプセル化した親油性成分M−1(20%固形分): 6.0部 AIBN: 1.0部 炭酸カルシウム(吸収剤): 0.8部 ステアリン酸亜鉛(滑剤): 0.5部 水: 18.7部
【0092】次いで、30分間風乾し、真空乾燥機中で
30℃、3時間乾燥し、次にカレンダー処理を行い、平
版印刷材料を得た。さらにこれを40℃、4時間反応を
兼ねて乾燥させ、塗布厚み平均4.5μmの平版印刷原
版を得た。この原版を電子組版機と接続した、サーマル
ヘッド(東芝製 TPH−293R7)搭載の製版装置
で印刷画像を印字し現像することなく製版し、印刷版を
得た。この版を所定の寸法にトリミングしオフセット印
刷機(ハマダ印刷機械株式会社製、HAMADA611
XL、ハードブランケット使用)に装着し上質紙に対し
印刷した(用いたインキはBSD オフセットインキ
ニューラバー 墨ゴールド、エッチ処理あり、湿し水は
エッチ液を水で50倍希釈したものを使用した)。2万
部を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷出来
た。印刷前後の非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計
(DM400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測
定したところ、両者の差は、0.01以下であった。
【0093】実施例2 実施例1のドープ組成において、親水性バインダーポリ
マーP−1をP−3に変更し、さらに架橋剤としてトリ
メチロールプロパン2.0部、発色剤として3−ジエチ
ルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(固形
分40%、平均粒径2.5μm)2.0部およびビスフ
ェノールA分散液(固形分30%、平均粒径2.5μ
m)10.0部を加えたほかは実施例1と同様の方法
で、塗布厚み平均3μmの平版印刷原版を得、製版、印
刷を行なった。印字後一切の現像なしに製版された印刷
版の画像部は黒色に着色しており検版が容易であった。
印刷の結果、3万部過ぎても地汚れもなく鮮明に印刷出
来た。印刷前後の非画像部の用紙反射濃度差は、0.0
1以下であった。
【0094】実施例3 ポリエステル支持体にかえて電解研磨されたアルミ支持
体上に、実施例1と同様の方法で下記組成のドープを塗
布した(親水性バインダーポリマーの架橋間平均分子
量:2.5×103 )。30分間風乾後、真空乾燥機中
で30℃、3時間乾燥し、次にカレンダー処理を行い、
平版印刷材料を得た。さらにこれを60℃、8時間反応
を兼ねて乾燥させ、塗布厚み平均2.5μmの平版印刷
原版を製造し、実施例1同様製版、印刷した。
【0095】 親水性バインダーポリマーP−2(20%固形分): 12.5部 グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート: 0.2部 マイクロカプセル化された親油性成分M−2(20%固形分): 7.0部 加水ハロイサイト(吸収剤): 1.0部 ステアリン酸アミド(滑剤): 1.0部 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン (固形分40% 平均粒径2.5μm): 2.0部 ビスフェノールA分散液(固形分30%、平均粒径 2.5μm): 10.0部 水: 18.5部 現像工程なしで得られた印刷版は画像部の検版が容易で
あり、1万部を過ぎても地汚れ無く鮮明な印刷物が得ら
れた。印刷前後の非画像部の用紙反射濃度差は、0.0
1以下であった。
【0096】実施例4 電解研磨されたアルミ支持体上に下記組成のドープをブ
レードコーターを用い塗布した(親水性バインダーポリ
マーの架橋間平均分子量:1.3×103 )。 親水性バインダーポリマーP−4の15%トルエン溶液: 12.0部 酸性亜硫酸ナトリウムでマスクされたヘキサメチレンジイソシアネート誘導体 : 0.25部 マイクロカプセル化された親油性成分M−1(固形分99%): 1.2部 カオリン(吸収剤): 5.0部 トルエン: 18.0部
【0097】次いで、30分間風乾し、平版印刷材料を
得た。これを真空乾燥器中で55℃、4時間乾燥し、次
に、カレンダー処理を行ない塗布厚み平均3μmの平版
印刷原版を得た。実施例1同様製版、印刷を行なったと
ころ2万部を過ぎても地汚れなく、鮮明な画像の印刷物
が得られた。印刷前後の非画像部の用紙反射濃度差は、
0.01以下であった。
【0098】実施例5 実施例2のドープに増感剤として、ニトロセルロース
(硝化度1.8)0.5部を添加した以外同様にして塗
布平均厚3μmの平版印刷原版を得た。実施例2と同様
に製版、印刷を行なったところ、実施例2に比べ7割の
印加エネルギーで実施例2と同レベルの印刷物が得られ
た。印刷前この非画像部の用紙反射濃度差は、0.01
以下であった。
【0099】実施例6 アルカリで脱脂した厚み200μmのアルミシートの片
面にγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを塗
布し50℃、1時間キュアーした支持体に下記の組成の
ドープをブレードコーターにより塗布した。 親水性バインダーポリマーP−5(15%固形分): 5.0部 マイクロカプセル化した親油性成分M−3(15%固形分): 25.0部 (2−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化 アンモニウム(光重合開始剤): 0.01部 KIP−103(三井東圧化学製、フタロシアニン系色素): 0.03部 部分鹸化ポリビニルアルコール(5%固形分): 10.0部 水: 16.0部
【0100】次いで、30分間風乾後、40度で3時間
乾燥して平版印刷材料を得た。さらに、これを、ケミカ
ルランプで6J/cm2 照射し、塗布厚み平均4μmの
平版印刷原版を得た。この原版を電子組版装置と接続し
た、1W半導体レーザー素子搭載の印字装置で印刷画像
を熱印字し、次いで現像工程を経ず版全面を高圧水銀灯
で1分間照射し印刷版を得た。この版をトリミングし、
実施例1同様に印刷したところ、5万部を過ぎても地汚
れもなく鮮明な印刷物が得られた。印刷前後の非画像部
の用紙反射濃度は0.01以下であった。
【0101】実施例7 実施例6に使用した支持体上に下記の組成のドープをブ
レードコーターで塗布した。 親水性バインダーポリマーP−6(15%固形分): 5.0部 マイクロカプセル化された親油性成分M−1(20%固形分):20.0部 (2−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化 アンモニウム(光重合開始剤): 0.01部 KIP−101(三井東圧化学製、アントラキノン系色素): 0.01部 部分鹸化ポリビニルアルコール(5%固形分): 10.0部 水: 16.0部
【0102】次いで、30分間風乾後、真空乾燥器内で
30℃で3時間乾燥して平版印刷原版を得た。さらに、
これを、ケミカルランプで6J/cm2 照射し、塗布平
均厚み3.5μmの平版印刷原版を得た。この原版を実
施例6の印字装置で、現像工程を経ず印刷版を得た。こ
の版をトリミングし実施例1同様に印刷したところ、2
万部を過ぎても地汚れがなく鮮明な印刷物が得られた。
印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度は0.01以下で
あった。
【0103】実施例8 コロナ放電処理した厚み200μmのポリエステルフィ
ルム上に、5〜10℃で調合された下記組成のドープを
ブレードコーターで素早く塗布した。 ポリアリルアミン(親水性バインダーポリマー、日東紡績(株)製 品種PA A−H、20%水溶液): 12.0部 ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(オキシエチレン基繰り返し数 :23): 1.0部 マイクロカプセル化した親油性成分M−3(15%固形分): 6.5部 マイクロカプセル化した親油性成分M−4(15%固形分): 3.0部 シリカ: 0.5部 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(固形分40%、 平均粒径2.5μm): 0.5部 ビスフェノールA分散液(固形分30%、平均粒径2.5μm):0.5部 水: 18.0部
【0104】次いで、発泡しないよう徐々に真空度を上
げながら真空乾燥器中で20℃、3時間乾燥し、40℃
で1時間反応を重ね乾燥された。次いで、10%HCl
水溶液中に浸漬し、取り出してから水洗いした後、40
℃で1時間乾燥した。この後、カレンダー処理を行な
い、塗布厚み平均3μmの平版印刷原版を得た。実施例
1同様に製版、印刷を行ったところ、2万部を過ぎても
地汚れなく鮮明な印刷ができた。印刷前後の非画像部の
用紙反射濃度差は0.01以下であった。なお、上記支
持体上に、このポリアミンを上記ジグリシジルエーテル
で架橋した膜の水−ケロシン水中油滴法接触角は160
°以上であった。
【0105】比較例1 実施例1においてマイクロカプセル化された親油性成分
M−1にかえて、反応性基を有しない平均粒径1.0μ
mのワックスを同量添加した他は同じ組成のドープを調
合し、実施例1と同様にして塗布、製版、印刷した。そ
の結果、6百部あたりから印刷物の画像部がカスレ始め
た。
【0106】比較例2 マイクロカプセル化された親油性成分M−1にかえて、
メチルメタクリレート−スチレン−ジエチレングリコー
ルジメタクリレート系ミクロゲル(平均粒径0.5μ
m、反応性官能基非含有タイプ)を酸性ゼラチンでコア
セルベーション法によりカプセル化したマイクロカプセ
ルを同量使用した以外は実施例1と同じ組成のドープで
実施例1同様にして平版印刷原版を作製し、製版、印刷
を行なった。その結果、2千部を過ぎたあたりから印刷
物の画像部がカスレ始めた。印刷を中断し版のインキを
丁寧に拭き去り、カスレの部分をSEMで観察したとこ
ろ、カプセルサイズ相当のへこみが認められた。カスレ
のない所はかかる現象が認められなかった。
【0107】比較例3 実施例3において、グリセロールトリスアンヒドロトリ
メリテートを使用しない以外、同じ組成のドープを用い
て塗布、乾燥し平版印刷原版を得た。実施例1同様に製
版、印刷したところ、4〜5百部から地汚れし版の非画
像部相当領域の一部が剥離を始めていた。
【0108】
【発明の効果】本発明の感熱平版印刷原版は、親水性バ
インダーポリマーが三次元架橋されており、かつ、印字
により、マイクロカプセルから露出した親油性成分は該
バインダーポリマーと化学的に結合し、画像部を形成す
る。そのため、得られた平版印刷版は、耐刷性において
格段に優れ、かつ、地汚れのない鮮明な画像の印刷物を
得ることができる。その結果、単なる社内印刷を中心と
する軽印刷だけでなく、新聞輪転印刷、フォーム印刷等
本格的な印刷用の版材としても実用に供することができ
る。また、本発明の感熱平版印刷原版は、親油性成分が
マイクロカプセル化されているので印字に際して初め
て、親油性成分と親水性バインダーポリマー等と反応さ
せることができ、非画像部の地汚れを考慮する必要度が
低く、また、高い貯蔵安定性がある。
【0109】本発明の感熱平版印刷原版は、その機能を
各々の構成部分が受け持っているため、版の設計上の自
由度が高い。さらに、本発明の感熱平版印刷原版は、接
触印字方式のサーマルヘッド印字をしても、サーマルヘ
ッドへの付着物は極小に押さえられ、製版時のサーマル
ヘッドの清掃頻度が激減し製版作業性が大幅に向上す
る。本発明の感熱平版印刷原版は、その非画像部は主と
して三次元架橋された親水性ポリマーで形成されている
ため、本発明の製版工程では現像が不要である。現像液
の管理、廃液の処理といった作業が要らないため作業効
率、コスト削減が計られる。製版装置もコンパクトにな
り、精度は要求されるものの装置価格も低く設計出来
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−52570(JP,A) 特開 平5−24374(JP,A) 特開 平5−8575(JP,A) 特開 平3−108588(JP,A) 特開 昭61−92884(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/14 B41C 1/055 501

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱により画像部に転換するマイクロカプ
    セル化された親油性成分と親水性バインダーポリマーと
    を含有する親水層及び支持体とから構成される感熱平版
    印刷原版であって、該親水性バインダーポリマーは三次
    元架橋されており、かつ、該マイクロカプセル中の親油
    性成分とカプセルの破壊後化学結合する官能基を有して
    おり、該マイクロカプセル中の親油性成分はカプセルの
    破壊後該親水性バインダーポリマーと化学結合する官能
    基を有している感熱平版印刷原版。
  2. 【請求項2】 親水性バインダーポリマーが、ポリ(メ
    タ)アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウ
    レタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アク
    リル酸系、ポリ(メタ)アクリルアミド系ポリエステ
    ル系、ポリアミド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多
    糖類系あるいはそれらの複合系の、側鎖にカルボキシル
    基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基もしくはこれら
    の塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエチレン基からな
    親水性官能基を一種以上かつ複数個含有する炭素−炭
    素結合から構成されるポリマー、酸素、窒素、硫黄、リ
    ンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以上で結合され
    た炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構成されるポリ
    マー、またはその側鎖にカルボキシル基、リン酸基、ス
    ルホン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、ア
    ミド基、ポリオキシエチレン基からなる親水性官能基を
    一種以上かつ複数個含有するポリマーである請求項1記
    載の感熱平版印刷原版。
  3. 【請求項3】 親水性バインダーポリマーが、側鎖に水
    酸基、カルボキシル基もしくはそのアルカリ金属塩、ア
    ミノ基もしくはそのハロゲン化水素酸塩、スルホン酸基
    もしくはそのアミン塩、アルカリ金属塩およびアルカリ
    土類金属塩およびアミド基のいずれかまたはこれらを組
    合せたセグメントを繰り返し有する請求項1記載の感熱
    平版印刷原版。
  4. 【請求項4】 親水性バインダーポリマーが、主鎖セグ
    メントにポリオキシエチレン基を有する請求項1記載の
    感熱平版印刷原版。
  5. 【請求項5】 親水性バインダーポリマーが、主鎖セグ
    メントあるいは側鎖にウレタン結合またはウレア結合
    する請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  6. 【請求項6】 親水性バインダーポリマーが、0.02
    以下の印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差の親水性
    を有する請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  7. 【請求項7】 親水性バインダーポリマーが、(メタ)
    アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン
    塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミ
    ン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
    (メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)
    アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルア
    ミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、
    3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩お
    よびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ
    金属塩およびアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アク
    リレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)
    アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
    ンスルホン酸、アッシドホスホオキシポリオキシエチレ
    ングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアミン
    もしくはそのハロゲン化水素酸塩の、カルボキシル基、
    スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの
    塩、水酸基、アミド基またはエーテル基からなる親水性
    基を有する親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種
    を用いて合成された親水性ホモもしくはコポリマーから
    構成される請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  8. 【請求項8】 親水性バインダーポリマーが、ポリオキ
    シメチレングリコールまたはポリオキシエチレングリコ
    ールから構成される請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  9. 【請求項9】 親油性成分が、イソシアネート化合物、
    多官能(メタ)アクリルモノマーあるいはこれと単官能
    (メタ)アクリレート親水性基含有(メタ)アクリレ
    ートモノマーのいずれかとの組合せ、多官能アリル化合
    物あるいはこれと単官能(メタ)アクリレート化合物と
    の組合せあるいは(メタ)アクリレート化合物との組合
    せ、テレキーリック性ポリマー、炭素−炭素不飽和結合
    基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基およびエポキシ基
    からなる反応性基を含有する反応性ワックス、多官能エ
    ポキシ化合物、ジアゾ樹脂、(メタ)アクリルコポリマ
    ー、ウレタンアクリレートから選ばれる少なくとも一種
    以上から構成される請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  10. 【請求項10】 親油性成分が、ウレタンまたはウレア
    構造を有している請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  11. 【請求項11】 親油性成分が、架橋構造をとりうる請
    求項1記載の感熱平版印刷原版。
  12. 【請求項12】 親油性成分が、平均10μm以下0.
    01μm以上の粒子径のマイクロカプセルである請求項
    1記載の感熱平版印刷原版。
  13. 【請求項13】 親油性成分が、親水性バインダーポリ
    マーに対して1/20〜10/1(重量比)である請求
    項1記載の感熱平版印刷原版。
  14. 【請求項14】 化学結合が不飽和基の付加重合、イソ
    シアネート基と活性水素とのウレタン化反応または尿素
    化反応、カルボキシル基、水酸基またはアミノ基とエポ
    キシ基との反応による結合である請求項1記載の感熱平
    版印刷原版。
  15. 【請求項15】 化学結合が、三次元架橋構造をとって
    いる請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  16. 【請求項16】 親水層に、前記親油性成分と化学結合
    をする反応性物質を含有している請求項1記載の感熱平
    版印刷原版。
  17. 【請求項17】 親水層に、炭酸カルシウム、シリカ、
    酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、焼成カオリン、加水
    ハロサイト、アルミナゾル、硅藻土、タルクから選ばれ
    る少なくとも一種以上の吸収剤が含有されている請求項
    1記載の感熱平版印刷原版。
  18. 【請求項18】 記親水層に、常温で固体の滑剤が含有
    されている請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  19. 【請求項19】 親油性成分に、印字部のみが発色する
    感熱色素が含有されている請求項1記載の感熱平版印刷
    原版。
  20. 【請求項20】 支持体の上に、さらに接着層を設けた
    請求項1記載の感熱平版印刷原版。
  21. 【請求項21】 熱により画像部に転換するマイクロカ
    プセル化した親油性成分と親水性バインダーポリマーと
    を含有する親水層及び支持体とから構成される感熱平版
    印刷材料であって、該親水性バインダーポリマーが三次
    元架橋しうる官能基と、該マイクロカプセル中の親油性
    成分とカプセルの破壊後化学結合する官能基を有してお
    り、該マイクロカプセル中の親油性成分はカプセルの破
    壊後親水性バインダーポリマーと化学結合する官能基を
    有している感熱平版印刷材料。
  22. 【請求項22】 熱により画像部に転換するマイクロカ
    プセル化された親油性成分と親水性バインダーポリマー
    とを含有する親水層及び支持体とから構成される感熱平
    版印刷原版であって、該親水性バインダーポリマーは三
    次元架橋されており、かつ、該マイクロカプセル中の親
    油性成分とカプセルの破壊後化学結合する官能基を有し
    ており、該マイクロカプセル中の親油性成分はカプセル
    の破壊後バインダーポリマーと化学結合する官能基を有
    している感熱平版印刷原版を熱記録手段で印字して得ら
    れる平版印刷版。
  23. 【請求項23】 熱により画像部に転換するマイクロカ
    プセル化された親油性成分と親水性バインダーポリマー
    とを含有する親水層及び支持体とから構成される感熱平
    版印刷原版であって、該親水性バインダーポリマーは三
    次元架橋されており、かつ、該マイクロカプセル中の親
    油性成分とカプセルの破壊後化学結合する官能基を有し
    ており、該マイクロカプセル中の親油性成分はカプセル
    の破壊後該親水性バインダーポリマーと化学結合する官
    能基を有している感熱平版印刷原版を熱記録手段で印字
    する感熱平版印刷原版の製版方法。
  24. 【請求項24】 印字後、版全面をマイクロカプセルの
    破壊温度より低温で加熱する請求項23記載の感熱平版
    印刷原版の製版方法。
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