JPH106468A - 改良された感熱ダイレクト平版原版 - Google Patents

改良された感熱ダイレクト平版原版

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JPH106468A
JPH106468A JP16184096A JP16184096A JPH106468A JP H106468 A JPH106468 A JP H106468A JP 16184096 A JP16184096 A JP 16184096A JP 16184096 A JP16184096 A JP 16184096A JP H106468 A JPH106468 A JP H106468A
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JP
Japan
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polymer
meth
group
acrylate
monomer
Prior art date
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Withdrawn
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JP16184096A
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English (en)
Inventor
Masaaki Kurihara
正明 栗原
Motoaki Takahashi
源昭 高橋
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 熱により画像部に転換するマイクロカプ
セル化された親油性成分と三次元架橋された親水性バイ
ンダーポリマーを含有する画像形成層と基材及びそれら
の中間層に存在する三次元架橋構造を保有しかつ脂環族
または脂肪族化合物に結合する1級アミノ基またはその
鉱酸塩が固形分中少なくとも0.5ミリ当量/g存在す
るアンカー層とから構成される感熱ダイレクト平版原版
である。 【効果】 本発明によれば、画像形成層と基材の中間層
として適度な親水性と強固な耐水性を兼ね備えるアンカ
ー層を設置することにより、広範囲な組み合わせの画像
形成層の構成や基材に対し、簡便且つ安定に非画像部を
形成し、画像形成層が保持される感熱ダイレクト平版原
版が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像不要で耐刷性
に優れた感熱ダイレクト平版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの普及につれ、版材構成と
ともに種々の平版の製版方法が提案されている。実用面
からは、版下からポジ若しくはネガフィルムを作成して
平版印刷原版に焼き付ける方法が一般に行われている
が、該フィルムを介することなく版下から直接製版する
電子写真版や銀塩写真版、あるいは、電子組版、DTP
で編集・作成された印刷画像情報を可視画像化すること
なく直接版材にレーザー若しくはサーマルヘッドで印字
し製版する所謂コンピュータ・ツー・プレート(CT
P)タイプの平版材が登場するにいたっている。これら
はまだ実用化されていないが、特にCTPタイプは製版
工程の合理化と短縮化、材料費節減が可能となることか
らCTS化が完了した新聞製作等の分野で大いに期待さ
れている。
【0003】かかるCTP版材としては、感光性、感熱
性あるいは電気エネルギーで製版する版材が知られてい
る。感光性タイプの版材は、有機半導体、銀塩+感光性
樹脂系、高感度感光性樹脂等の材料を塗布しArレーザ
ー、半導体レーザー等で光照射による印字を行い、引き
続き現像して製版される。しかしながら、これらの版材
は、版価格が従来のPS版に比べ割高なものが多く、そ
の製造装置も大型かつ高価なものがある。そのため、こ
れらの版材および製版工程は市場が要求するコスト削減
を十分に満足するには至っていないうえに明室での利用
が困難であるため実用化には至っていない。さらに、こ
れらは現像液の廃棄処理の問題も有する。このほか、軽
印刷向けに銀塩写真版があるが、耐刷性が低いため、軽
印刷や限られた範囲での商業印刷のみに用いられてい
る。
【0004】またマイクロカプセル化された熱溶融物質
を支持体に塗布し、加熱部を親油性に変化させるタイプ
(特開平3−108588号公報)、熱溶融物質をマイ
クロカプセル化した上でシリコン樹脂とともに塗布し、
加熱部を親油性に変化させ、湿し水無しで印刷するタイ
プ(特開平5−8575号公報)が知られている。しか
し、マイクロカプセル化された熱溶融物質はいずれも反
応性を有しない。親水性表面を有する支持体上に活性水
素含有バインダーポリマーと共にブロックイソシアネー
トを親油性成分として用い、印字後、非印字部分を洗浄
除去するタイプ(特開昭62−164596号公報、特
開昭62−164049号公報)、上層の熱溶融層を穿
孔し、下層の親水層(または親油層)を露出するタイプ
(特開平3−53991号公報等)といった版材とその
製版方法も公知である。
【0005】これら従来の感熱性平版印刷用の版材は、
何れも耐刷力に乏しいか親油性に乏しいため、用途に限
定があり、また多くはその製版工程においてウエット現
像を要するものであった。本発明者らは、これら先行技
術が有する版性能、製版装置、製版作業性、あるいは版
材や製版、装置のコストの点で商業レベルでの実施上に
は問題を解決すべく特開平7−1849号公報に改良さ
れた感熱ダイレクト平版原版とその製造方法を提案し
た。しかしながら、本発明者らの提案においては画像形
成層の構成材料と支持体の種類の組み合わせによって
は、画像形成層構成材料と支持体の接着強度が不足した
り、画像形成層を支持体上に設ける際にいわゆるはじき
が発生する場合があり、均一な層を得るために多大なる
条件検討が必要な場合があった。
【0006】一方、アンカー層に関しては、PS版の支
持体の製造工程を簡略化し且つ非画像部形成能を向上さ
せる目的でアミン系の化合物を含むを中間層を設ける方
法が特開平4−275333号公報、特開平3−261
592号公報等に提案されているがいずれも架橋してい
ないために、強い耐水性が要求される高耐刷性の感熱ダ
イレクト平版原版用途には適さなかった。また、電子写
真オフセット印刷版の支持体の耐水化処理を目的として
メラミン樹脂を接着剤として用いた層を感光層の下層と
して設ける方法が特開昭59−137961号公報など
に提案されているが、プラスチック基材のような可撓性
基材に塗布し、耐水性を持たせるためにメラミン樹脂の
架橋を促進した場合は、メラミン樹脂の硬化収縮により
基材に反りが発生する場合があった。さらに、径が小さ
い版胴に巻き付けて印刷する場合は、ひび割れを起こす
場合もあった。また、親水性を持たせるためにアミノ基
を積極的の残存させた場合には、メラミン樹脂の反応度
を制御するのが難しく、部分的にアンカー剤の耐水性が
不足する場合があった。また、特開平4−292640
号公報に記載されているようなアリルアミンのホモまた
はコポリマーをアンカー層に設けたラミネート用支持体
は、架橋していないために上記のごとく強い耐水性が要
求される高耐刷性の感熱ダイレクト平版原版用途には適
さなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、本発
明者らが提案した従来のダイレクト型オフセット版材の
前記問題点を解決する特徴を維持しながらさらに耐刷性
を向上しかつ画像形成層の均一性を向上することを目的
とする。即ち、本発明の目的は、高耐刷性、高寸法精度
の平版印刷版が得られる平版印刷原版を安定かつ簡便に
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱により画像
部に転換するマイクロカプセル化された親油性成分と三
次元架橋された親水性バインダーポリマーを含有する画
像形成層と基材及びそれらの中間層に存在する三次元架
橋構造を保有しかつ脂環族または脂肪族化合物に結合す
る1級アミノ基またはその鉱酸塩が固形分中少なくとも
0.5ミリ当量/g存在するアンカー層とから構成され
る感熱ダイレクト平版原版に係わる。
【0009】又、本発明は、熱により画像部に転換する
マイクロカプセル化された親油性成分と親水性バインダ
ーポリマーを含有する画像形成層と基材及びそれらの中
間層に存在する三次元架橋構造を保有しかつ脂環族また
は脂肪族化合物に結合する1級アミノ基またはその鉱酸
塩が固形分中少なくとも0.5ミリ当量/g存在するア
ンカー層とから構成される平版原版であって、バインダ
ーポリマーがマイクロカプセル中の親油性成分と化学結
合を形成しうる官能基を有しており、該マイクロカプセ
ル中の親油性成分はカプセルの破壊後親水性バインダー
ポリマーと反応し得る反応性官能基を有する化合物であ
る感熱ダイレクト平版原版に関わる。
【0010】本発明の感熱ダイレクト平版原版におい
て、画像形成層と支持体の間に三次元架橋構造を保有し
かつ脂環族または脂肪族化合物に結合する1級アミノ基
またはその鉱酸塩が固形分中少なくとも0.5ミリ当量
/g存在することが必要である。好ましくは、1級アミ
ノ基を含有する物質が、脂環族または脂肪族化合物であ
りかつ付加重合性二重結合と1級アミノ基を分子内に少
なくともそれぞれ1つ含有する親水性のモノマー(モノ
マー1)を少なくとも30mol%含有するポリマー
(ポリマー1)を架橋した物質である。また、好ましく
は、親水性のモノマー1と共重合するモノマー(モノマ
ー2)の一部が親水性モノマーであり、全親水性モノマ
ーの構成比がポリマー1の全構成モノマーの中の少なく
とも70mol%以上である。更に好ましくは、ポリマ
ー1がモノマー1のホモポリマーであり、モノマー1の
分子量がアミノ基1つ当たり300以下であり、モノマ
ー1がアリルアミンである。また、架橋剤成分がポリマ
ー1の1級アミノ基と反応する官能基を2つ以上含有す
ることが好ましい。
【0011】本発明においてアンカー層は2つの機能を
合わせ持たなければならない。即ち、本発明の画像形成
層には、湿し水を用いたオフセット印刷の際に非画像を
形成する極めて高い親水性を持つバインダーポリマーが
用いられるため、画像形成層を塗布した際に、いわゆる
はじきが発生しない程度の親水性でなければならない。
また、本発明の感熱ダイレクト平版は、現像処理を一切
施さずに使用するため画像形成層及びアンカー層は、新
聞分野における印刷のように高い耐刷性能が要求される
印刷を行う際にも基材や画像形成層との剥離を発生せず
に強固な膜を保ち続けなければならない。さらに、工業
生産性の観点からアンカー層は簡便に形成されることが
望まれる。
【0012】以上の観点より、三次元架橋構造を保有し
かつ脂環族または脂肪族化合物に結合する1級アミノ基
またはその鉱酸塩が固形分中少なくとも0.5ミリ当量
/g存在するアンカー層は本発明の感熱ダイレクト平版
原版において極めて良好な特性を示す。1級アミノ基ま
たはその鉱酸塩を含有する化合物が画像形成層を設ける
際のアンカー剤組成として好適に用いられる理由は定か
ではないが、親水性が適度であるために支持体やバイン
ダーポリマーを含む画像形成層との界面エネルギーがい
ずれもさほど大きな値とはならずはじきが発生しないこ
とや、バインダーポリマーがもつ極性基との水素結合能
力が高いために広範囲な物質となじみが良くかつ接着強
度が高くなるなどであると考えられる。さらに、反応性
が高くかつ水素結合力があるために簡便に強固な三次元
架橋構造を保有するアンカー層を形成することができ
る。
【0013】本発明の感熱ダイレクト平版原版におい
て、乾燥固化後のアンカー層に含有される、脂環族また
は脂肪族化合物に結合する1級アミノ基またはその鉱酸
塩の存在量が0.5ミリ当量/g未満の場合、画像形成
層を均一に塗布することができない。また、画像形成層
に用いられるバインダーポリマーの種類や混合量によら
ず均一な塗布を行うには、1級アミノ基またはその鉱酸
塩が1.0ミリ当量/g以上含まれることが好ましい。
尚、上限に関しては通常使用可能な1級アミノ基を含有
する化合物の分子量を鑑みれば23ミリ当量/gであ
る。これら1級アミノ基は公知の様々な方法で定量でき
る。例えば、Hinsberg試験やケルダール法等の
化学的アミノ基定量法、熱分解ガスクロマトグラフ法を
骨子とする化学的有機元素分析法や蛍光X線元素分析法
等の物理的元素分析法と赤外線分光分析法とを組み合わ
せて用いる方法、該元素分析法とNMR分光分析法を組
み合わせて用いる方法等が例示できる。特に、NMR分
光分析法を用いる場合は、アミノ基の化学修飾法と組み
合わせて用いることが好ましい。また、これらの分析法
を組み合わせて使用することもできる。なお、アンカー
層の膜厚が薄い場合にはX線光電子分光法を元素分析法
として用いることもでき得る。更に、アンカー層を分解
して可溶化されない場合は、化学的分析法の精度を向上
する目的で例えば1級アミノ基量を上記の方法で定量し
た架橋されたポリアリルアミンを基準として検量線を作
製し、該アンカー層の1級アミノ基量を測定する方法な
どを用いることもできる。これらの方法は、例えばモリ
ソンボイド著中西高爾他訳「モリソンボイド有機化学
(下)」(第4版)東京化学同人刊(1985)等に記
載されている。なお、1級アミノ基の鉱酸塩の定量は、
まず強塩基の存在下脱酸し上記の方法を用いて定量する
ことができる。
【0014】本発明において乾燥後の固形分とは、1m
mHg未満の減圧下、40℃で10時間乾燥した後に残
存する固形分を意味する。本発明においてアンカー層中
に1級アミノ基またはその鉱酸塩を導入する方法は、1
級アミノ基またはその鉱酸塩を含有する化合物が三次元
架橋構造内に含まれることによって固定されていれば公
知の如何なる方法でも構わないが、1級アミノ基または
その鉱酸塩を含有する化合物が脂環族または脂肪族の化
合物であることが好ましい。芳香族系の化合物である際
は、本発明の感熱ダイレクト印刷原版の性能に最も大き
な影響を与える画像形成層に用いられるバインダーポリ
マーの種類や混合量に制限がある。即ち、非画像部に汚
れが発生する印刷版は市場で受け入れられないため、画
像形成層に用いるバインダーポリマーは極めて親水性が
高いバインダーポリマーを使用する必要があり、これら
の物質は親水性が低くなりいわゆるはじきが発生し画像
形成層を均一に塗布するのが困難な場合がある。更に、
芳香族系の化合物の重合体は一般に剛直な膜を形成する
ため、可撓性基材上に設置して硬化した場合には、基材
がアンカー層の硬化収縮により反る場合がある。また、
径が小さい版胴に巻き付けて印刷版を用いる場合には、
ひび割れを起こす場合がある。
【0015】本発明において、芳香族化合物とはベンゼ
ン核を含有する化合物の他に非ベンゼノイド芳香族化合
物や炭素以外の元素を共役系内に含有する複素芳香環化
合物を含む。本発明において、アンカー層中の1級アミ
ノ基またはその鉱酸塩を含む化合物が三次元架橋構造内
に含有され固定されていることは必須である。1級アミ
ノ基またはその鉱酸塩を含有する化合物が三次元構造内
に含まれていない場合、画像形成層を塗布する際に1級
アミノ基またはその鉱酸塩を含有する化合物が溶出した
り、湿し水を用いて印刷した場合にアンカー層が膨潤し
高い接着強度が得られない等の問題が発生し好ましくな
い。三次元架橋構造の架橋密度は特に限定されず、該支
持体を用いた平版印刷版の用途に応じて選択できるが、
通常は該アンカー層内の架橋構造を含有する物質を体積
比100倍以上の水に25℃で5時間浸漬し乾燥した固
形分の重量減少が5重量%未満の状態で使用される。上
記方法で重量減少が5重量%を越える場合は、架橋密度
が不足しているため耐刷力を要求される新聞印刷用途な
どに対応する平版印刷版用の支持体として用いた場合に
は接着強度が不足する場合がある。
【0016】本発明において、アンカー層中の1級アミ
ノ基またはその鉱酸塩を含有する化合物を三次元架橋構
造内に含ませる方法は公知の如何なる方法でも構わな
い。例えば、多官能性アミンと多官能性イソシアネート
を組み合わせて用いる方法、多官能性アミンと多官能性
エポキシを組み合わせて用いる方法、多官能性アミンと
多官能性カルボン酸を組み合わせて用いる方法、多官能
性アミンと多官能性(メタ)アクリレートを組み合わせ
て用いる方法、1級アミノ基またはその鉱酸塩と付加重
合性二重結合を1分子内に少なくともそれぞれ1つ含有
する化合物と付加重合性二重結合を1分子内に少なくと
も2つ含有する架橋性モノマーをバインダーポリマーの
ところで例示するがごとく公知のラジカル開始剤ととも
に基材上に設け熱や光を用いて架橋する方法や予め1級
アミノ基またはその鉱酸塩を含有するポリマーを合成
し、そのポリマーを架橋して三次元化する方法等が例示
でき、これらの方法を組み合わせて用いることもでき
る。これらの方法の中で、予め1級アミノ基を含有する
ポリマーを合成し、そのポリマーを架橋して三次元化す
る方法が強度の高いアンカー層を安定かつ容易に作製で
きる点で好ましい。
【0017】また、いずれの方法を用いた場合にもアン
カー剤の成分中に芳香族系の化合物を含有した場合は、
本発明の感熱ダイレクト印刷原版の性能に最も大きな影
響を与える画像形成層に用いられるバインダーポリマー
の種類や混合量によっては、均一な塗膜を形成するため
に多大なる条件検討を要する場合があり、更に、芳香族
系の化合物の重合体は一般に剛直な膜を形成するため、
可撓性基材上に設置して硬化した場合には、基材がアン
カー層の硬化収縮により反る場合がある。これらの理由
により、アンカー剤の構成成分としては脂環族または脂
肪族の化合物が好ましく用いられる。
【0018】本発明において、アンカー層内の1級アミ
ノ基とその鉱酸塩の比率は画像形成層の構成に応じて任
意に選択できる。これらの比率は1級アミノ基の鉱酸塩
を強塩基を用いて全部または部分的に脱酸する方法や1
級アミノ基を鉱酸を用いて全部または部分的に鉱酸塩化
する方法等によって決定できる。また、全部または部分
的に脱酸または鉱酸塩化する処理は、アンカー層となる
溶液の状態でもアンカー層を基材上に設けた後でも行う
ことができ、架橋反応に用いる官能基の種類、アンカー
層を構成する溶液と基材の親和性、アンカー層を構成す
る溶液内のアミノ基との反応性のある官能基の有無等の
使用形態や製造上の経済性等の観点から好ましい工程を
任意に選択できる。
【0019】本発明において、鉱酸とは塩酸、硝酸、硫
酸、燐酸等を表す。本発明において、アンカー層の1級
アミノ基を含有するポリマーを得る方法としては、あら
かじめ1級アミノ基に転換できる官能基を含有するポリ
マーを合成し該ポリマーの官能基を1級アミノ基に転換
する方法や、付加重合性二重結合と1級アミノ基を分子
内に少なくともそれぞれ1つ含有する親水性のモノマー
(モノマー1)を重合して得る方法等が例示できる。ア
ミノ基に転換できる官能基を含有するポリマーをあらか
じめ合成し該ポリマーの官能基をアミノ基に転換する方
法としては、イソシアネート基を含有するポリマーを合
成した後に水を用いてイソシアネート基をアミノ基に転
換する方法やアミド基を含有するポリマーを合成した後
にアミド基をホフマン分解によって1級アミノ基に転換
する方法などが例示できる。何れの方法の場合も、アミ
ノ基に転換後の単量体を基準とした場合に1級アミノ基
を含有する単量体成分が該ポリマー中に30mol%以
上含有されることが好ましい。また、1級アミノ基を含
有するモノマー1を重合して用いる場合は、モノマー1
を30mol%以上含有するポリマー(ポリマー1)を
用いることが好ましい。即ち、架橋前のポリマーに含ま
れるアミノ基は架橋性反応基であると同時にアンカー層
への親水性付与基であるため該ポリマー中の1級アミノ
基の存在量が30mol%未満の場合は、強固な接着層
を得るためには画像形成層中のバインダーポリマーの種
類や濃度が制限されるために好ましくない場合がある。
また、更に好ましい実施形態はモノマー1がアリルアミ
ンである場合であり、最も好ましい形態はポリマー1と
してポリアリルアミンを用いた場合である。なお、本発
明でいうポリマー1にはモノマー1を重合したポリマー
の他に前記のあらかじめ1級アミノ基に転換できる官能
基を含有するポリマーを合成し該ポリマーの官能基を1
級アミノ基に転換する方法によって得られた1級アミノ
基を含有する単量体成分を30mol%以上含有するポ
リマーを含む。
【0020】本発明において、アンカー層を形成するポ
リマー1を架橋する方法は、公知の任意の方法を選択す
ることができる。例えば、モノマー2としてカルボキシ
ル基やエポキシ基等を含有する化合物を用いた場合のよ
うにポリマー1に分子内反応性がある場合には、ポリマ
ー1を合成後、合成溶媒とともに速やかに基材上に設
け、乾燥、硬化させることで三次元架橋構造を持たせる
方法、モノマー1とモノマー2の重合反応後、グリシジ
ルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルイソシ
アネート、メタクリロイルオキシイソシアネート等を用
いて未反応の付加重合性二重結合を導入したポリマー1
を用いる場合は、ポリマー1層を基材上に設けた後その
未反応付加重合性二重結合を公知のラジカル開始剤を用
いて開裂、反応させることで三次元化する方法や1分子
内に少なくとも2つ以上の付加重合性二重結合を含有す
る架橋性モノマーを架橋剤として用い公知のラジカル開
始剤を併用して三次元化する方法が用いられる。また、
分子内反応性が無く未反応二重結合も含有しないポリマ
ー1を用いる場合は、ポリマー1層を基材上に設けた
後、ポリマー1内に含有されるアミノ基などの官能基と
反応する多官能性の架橋剤を用いる方法が挙げられる。
架橋剤を用いる場合の架橋剤は、ポリマー1に含有され
るいずれの反応基と反応して架橋を形成しても構わな
い。架橋剤を用いる方法の場合の架橋剤としては1,6
−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸
ジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテ
ル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレング
リコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエ
ーテル等の2つ以上のエポキシ基を有する化合物、トリ
レンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソ
シアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、m
−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニ
ル−4,4’−ジイソシアネート等の2つ以上のイソシ
アネート基を有する化合物、シュウ酸、アジピン酸、テ
レフタル酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の2つ以上のカ
ルボキシル基を有する化合物および開環後実質的に2つ
以上のカルボキシル基を持つ形態となる無水酢酸、無水
こはく酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、二無水
ピロメリット酸等の酸無水物類、1,6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メ
タ)アクリレート等の2つ以上の(メタ)アクリロイル
基を有する化合物等およびグリシジル(メタ)アクリレ
ート、2ー(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸
等のこれらの官能基を複数組み合わせて1分子内に保有
する化合物が例示できる。さらに、これらの化合物を2
種以上組み合わせて使用することもできる。これらの中
で、ポリマー1に含まれるアミノ基と反応する化合物を
架橋剤として用いた場合は、低温、短時間で架橋できる
点で好ましい。これらの反応は、それぞれの反応速度な
どによって自由に使い分けることができる。例えば、反
応速度が速いことが望ましい製造工程においてはアミン
とアクリレートの反応などが好ましく用いられ、ドープ
の安定性が要求される製造工程においてはアミンとメタ
クリレートの反応などが好ましく用いられる。更に、エ
チレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート等で例示できる架橋剤分子内にオ
キシエチレン基を含有する物質を用いた場合は、親水性
が高い支持体を得ることができ高親水性化合物を画像形
成層に用いる場合に特に好ましい。更に必要に応じ、そ
れぞれの架橋反応を促進する反応触媒を添加することも
できる。また、これら架橋剤として用いられる成分も脂
環族または脂肪族の化合物であることが好ましい。
【0021】本発明において、アンカー層のモノマー1
はビニルアミン、アリルアミン、(メタ)アクリロイル
オキシエチルアミン、(メタ)アクリロイルアミン、
(メタ)アクリル酸ヒドラジド等で例示される脂環族ま
たは脂肪族化合物であり1分子内に付加重合性二重結合
と1級アミノ基を少なくともそれぞれ1つ含有する化合
物であれば如何なる構造の化合物でも構わないが、アミ
ノ基1つ当たりの分子量が平均で300以下の化合物を
用いた場合、アンカー層の親水性が高く画像形成層に高
親水性の化合物を設置する場合に好ましい。更に、モノ
マー1としてはこれらの化合物を組み合わせて使用する
こともできる。これらの化合物は、例えば、(メタ)ア
クリロイルオキシエチルイソシアネートや(メタ)アク
リロイルオキシイソシアネート等の付加重合性二重結合
とイソシアネート基を1分子内に含有する化合物を水と
反応させてアミノ化する方法、(メタ)アクリル酸や
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のイソシ
アネートと反応性がありかつ付加重合性二重結合を含有
する化合物とヘキサメチレンジイソシアネート等のジイ
ソシアネート化合物と反応させて作製した付加重合性二
重結合とイソシアネート基を1分子内に含有する化合物
を更に水と反応させてアミノ化し作製する方法、メタク
リル酸やグリシジルメタクリレート等のアミンと反応性
がありかつ付加重合性二重結合を含有する化合物とヘキ
サメチレンジアミン等のジアミン化合物と反応させて作
製する方法等で作製することもできる。ただし、モノマ
ー1そのものが(メタ)アクリル酸誘導体である場合
は、該モノマー作製時及び作製後のゲル化を防止するた
め低温下の反応、低温化での保存、更に重合反応時のモ
ノマー濃度を低くして低温下重合するなどしてゲル化を
防止しなければならない。また、アミノ基を酸によって
中和した状態で重合し、ポリマーを得た後に強塩基を加
えて脱酸するような方法で重合体を得ることもできる。
ここで用いる酸は、限定される物ではなく無機酸でも有
機酸でも構わない。また、脱酸の際に生じる塩類は透析
などの手段によって除去される方が好ましい場合が多い
が限定されるものではない。
【0022】本発明において、アンカー層のモノマー2
は付加重合性二重結合を含有する化合物で有れば画像形
成層を構成する物質の種類によって自由に選択できる。
例えば、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルスルホ
ン酸、ジアリルアミン、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキ
シプロピル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
ナトリウム、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸、スチレン等であり、これ
らの物質から2種類以上の物質を選択することもでき
る。これらのなかで、ビニルスルホン酸、ジアリルアミ
ン、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)ア
クリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、2
−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸等の親水性化合物をモノマー2の1つの成分として
用い、その組成量がモノマー1と合わせて全ポリマー中
の少なくとも70mol%以上含有することがアンカー
層の親水性が高く画像形成層の親水性が高い場合に好ま
しい。更に好ましくは、モノマー1のホモポリマーを用
いることである。また、アクリル酸誘導体等のようにア
ミノ基に対し反応性を有する化合物をモノマー2として
選択する場合は、アミノ基を含有するモノマーのアミノ
基を酸によって中和した状態で共重合し、ポリマーを得
た後に強塩基を加えて脱酸するような方法で共重合体を
得ることができる。ここで用いる酸は、限定される物で
はなく無機酸でも有機酸でも構わない。また、脱酸の際
に生じる塩類は透析などの手段によって除去される方が
好ましい場合が多いが限定されるものではない。
【0023】本発明において親水性化合物とは、25℃
の条件下、水に1wt%以上溶解する化合物を意味す
る。本発明においてアンカー層を構成するポリマー1を
得る重合方法は、ポリマー1を構成するモノマーの付加
重合性二重結合を開裂して重合させる方法で有れば公知
の如何なる方法でも構わない。これらの方法に関して
は、例えば、井本稔他編「合成高分子I」(第3版)朝
倉書店刊(1970)等に記載されている。
【0024】本発明において、GPCを用いポリエチレ
ングリコール換算で求めたアンカー層を構成するポリマ
ー1の数平均分子量は、モノマー1をポリマー中に1つ
以上含有していれば特に限定されるものではないが、好
ましくは300〜1,000,000でありかつ単量体
を少なくとも5単位は含有しなければならない。通常は
モノマー1の分子量にもよるが、アンカー層の強度やア
ンカー層を構成する液の粘度等の観点から上記平均分子
量で1,000〜500,000の範囲で用いられる。
【0025】本発明において、基材上に該アンカー層を
形成する際には溶剤を用いることができる。溶剤として
は、アンカー層を構成する物質を溶解または分散できる
化合物で有れば公知の如何なる化合物でも良いが、均一
に溶解または分散できる溶剤を用いることが好ましい。
溶剤としては、水、エタノール、イソプロパノール、n
−ブタノールといったアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトンといったケトン類、ジエチレングリコール
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサ
ン、テトラハイドロフラン、ジエチレングリコールとい
ったエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルといったエス
テル類、トルエン、キシレンといった芳香族炭化水素、
n−ヘキサン、デカリンといった脂肪族炭化水素、塩化
メチレン、クロロホルムといったハロゲン化炭化水素、
ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ア
セトニトリル或いはこれらの混合溶剤を使用することが
できる。
【0026】本発明において、基材に該アンカー層を形
成する際にはアンカー層と基材の親和性向上、アンカー
層の物理特性向上、アンカー層の凹凸付与による画像形
成層の表面性改善等の目的で公知の無機、有機の添加剤
を上層の均一塗布性や接着強度を損なわない範囲で併用
することもできる。無機の添加剤としては、シリカ、ア
ルミナ、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、酸
化亜鉛、酸化チタン等の無機酸化物類、タルク、カオリ
ン、ケイソウ土等の鉱物類等が例示でき有機の添加剤と
しては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等
の金属石鹸類、パラフィンワックス、カルナウバワック
スなどのワックス類、ポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレン、セルロースなどの高分子体等が例示でき、更
にこれらの物質を2種以上組み合わせて使用することも
できる。
【0027】本発明において、アンカー層内に基材や画
像形成層と接着強度を向上させるための成分を均一塗布
性を損なわない範囲で併用することができる。例示すれ
ば、金属基材を用いる場合は、公知のシランカップリン
グ剤等、画像形成層のバインダーポリマーとして付加重
合性二重結合を含有する化合物を用いる場合は、メタク
リル酸、グリシジルメタクリレート、メタクリロイルオ
キシエチルイソシアネート等の付加重合性二重結合を含
有する化合物や公知のラジカル開始剤等である。更に、
これらの化合物を2種以上組み合わせて使用することも
できる。
【0028】本発明において、アンカー層のポリマー1
と基材や画像形成層との接着強度を高めたりアンカー層
の物理特性を改善する目的で均一塗布性を損なわない範
囲でポリマー1と反応性がある添加剤を併用することが
できる。反応性の添加剤としては2−エチルヘキシルグ
リシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエー
テル等のエポキシ基を含有する化合物、n−ドデシルイ
ソシアネート、p−トルエンスルフォニルイソシアネー
ト、フェニルイソシアネート、エチルイソシアネート、
4ークロロフェニルイソシアネート等のイソシアネート
基を含有する化合物、酪酸、ペンタン酸、安息香酸、ヘ
キサデカン酸、ステアリン酸、ミスチリン酸等のカルボ
キシル基を含有する化合物、ラウリルアクリレート、メ
トキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキ
シポリエチレングリコールアクリレート等のアクリロイ
ル基を含有する化合物等が例示でき、これらの化合物を
2種以上組み合わせて使用することもできる。また、こ
れら架橋剤として用いられる成分も脂環族または脂肪族
の化合物であることが好ましい。
【0029】本発明に使用される基材は、印刷分野に要
求される性能とコストを勘案して公知の材料から選択す
ればよい。多色刷りといった高寸法精度が要求される場
合、版胴への装着方式が金属基材に合わせて出来上がっ
ている印刷機で用いる場合には、アルミ、スチール製等
の金属基材が好ましい。多色印刷せず高耐刷性が要求さ
れる場合はポリエステル等のプラスチック基材、さらに
低コストが要求される分野には紙、合成紙、防水樹脂ラ
ミネート或いはコート紙基材が使用できる。基材と接触
する材料との接着性向上のために基材自身の表面処理を
施したものを使用してもよい。かかる表面処理の例とし
てアルミシートの場合、各種研摩処理、陽極酸化処理が
あり、プラスチックシートの場合、コロナ放電処理、ブ
ラスト処理等がある。本発明の基材の厚みは平版印刷版
の用途や印刷時に用いるオフセット印刷機の仕様にあわ
せて設定できるが通常は1mm以下の範囲で用いられ
る。
【0030】本発明において、基材上に該アンカー層を
形成する手段は、公知のいずれの手段でも構わない。例
えば、ドクターブレード法、バーコート法、ロールコー
ト法、スプレーコート、カーテンコート法、ディップコ
ート法で塗工する方法、吹き付ける方法、ラミネートす
る方法等を例示できる。本発明において、支持体上に該
アンカー層を設ける厚みは任意に設定できるが、コスト
を鑑みれば好ましくは10μm以下、更に好ましくは5
μm以下である。尚、下限に関しては、支持体の塗膜の
均一性の観点から平均で0.001μm以上であること
が好ましく通常は、0.05μm以上の範囲で用いられ
る。
【0031】本発明において、アンカー層を乾燥及び硬
化する方法は、バインダーポリマーのところで例示す
る、公知の方法から任意に選択できる。本発明の画像形
成層を構成する親水性バインダーポリマーは、インキを
撥き非画像部を構成するが、三次元架橋構造を有してい
ることが必要である。三次元架橋構造とすることで、親
水層は、湿し水で膨潤することなく、支持体との接着強
度や親水層の機械的物性を維持し、高い耐刷性を示す。
三次元架橋構造は製版前に形成されているか、印字と同
時或いは印字後に形成されればよい。取扱い時の傷付け
防止、およびサーマルヘッドで印字する場合、熱溶融し
た親水層成分のサーマルヘッドへの付着を防止する観点
からは、製版前に三次元架橋構造を形成しているのが好
ましい。製版前に親水性バインダーポリマーが三次元架
橋構造をとっていないものも、平版材料として用いるこ
とができる。
【0032】本発明でいう三次元架橋構造を有する親水
性バインダーポリマーとは、炭素−炭素結合から構成さ
れたポリマーに側鎖として、カルボキシル基、アミノ
基、リン酸基、スルフォン酸基、またはこれらの塩、水
酸基、アミド基、ポリオキシエチレン基等の親水性官能
基を一種類以上かつ複数個含有する網目化されたポリマ
ー、または炭素原子、炭素−炭素結合の何れかが、少な
くとも一種以上の酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテ
ロ原子で連結されたポリマー若しくはその側鎖にカルボ
キシル基、アミノ基、リン酸基、スルフォン酸基、また
はこれらの塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエチレン
基等の親水性官能基を一種類以上かつ複数個含有する網
目化されたポリマーであり、具体的には、ポリ(メタ)
アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタ
ン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリル
酸系、ポリ(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル
系、ポリアミド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖
類系或いはその複合系等のポリマーが例示出来る。
【0033】中でも、セグメントの側鎖に水酸基、カル
ボキシル基またはそのアルカリ金属塩、アミノ基または
そのハロゲン化水素塩、スルホン酸基またはそのアミ
ン、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミド基の
いずれかをまたはこれらを組み合わせたものを繰り返し
有するもの、さらにこれらの親水性官能基と主鎖セグメ
ントの一部にポリオキシエチレン基を重ね有するものは
親水性が高く好ましい。これらに加えて親水性バインダ
ーポリマーの主鎖若しくは側鎖にウレタン結合若しくは
ウレア結合を有するものは親水性のみならず非画像部の
耐刷性も向上するのでさらに好ましい。
【0034】上記の親水性官能基のポリマー中の割合
は、前述の主鎖セグメントの種類と使用する親水性官能
基の種類により、それぞれの試料について次に記載する
方法で実験的に適宜求めていけばよい。すなわち、本発
明の親水性バインダーポリマーの親水性は、支持体上に
架橋した親水性バインダーポリマーを実施例に記載する
印刷試験を行い、印刷用紙へのインキの付着の有無、あ
るいは、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差(例え
ば、大日本スクリーン製造(株)製、反射濃度計DM4
00で測定)で評価するか、水−ケロシンを用いた水中
油滴法接触角測定法(例えば、協和界面科学製接触角
計、型式CA−A)でケロシンが試料に付着するか否か
で評価する。前者の方法で評価する場合、肉眼で観察
し、インキ汚れが認めらなければ可、認められれば不可
とするか、印刷後の非画像部の用紙反射濃度と印刷前の
用紙反射濃度との差が0.02以下を可、0.02を越
える場合を不可とする。後者の方法で評価する場合、新
聞印刷のように低粘度インキを使用する印刷版向けに
は、試料の該接触角が約150度より大きいことが必要
であり、さらには160度以上が好ましい。印刷前に練
ってから使用する高粘度インキを使用する印刷版向けに
は、約135度より大きいことが必要である。
【0035】本発明のバインダーポリマーは必要に応
じ、後述する種々のその他の成分を含んでよい。本発明
の三次元架橋された親水性バインダーポリマーの具体例
を以下に例示する。親水性バインダーポリマーとして、
(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、
イタコン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
アミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、
N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、3−ビニル
プロピオン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、ビニル
スルフォン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、2−ス
ルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホ
オキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、アリルアミン若しくはその鉱酸塩等の水酸
基、カルボキシル基あるいはその塩、スルホン酸基ある
いはその塩、リン酸あるいはその塩、アミド基、アミノ
基、エーテル基といった親水性基を有する親水性モノマ
ーの中から少なくとも一種を用いて親水性ホモ若しくは
コポリマーを合成する。
【0036】親水性ポリマー中の水酸基、カルボキシル
基、アミノ基或いはその塩、エポキシ基といった官能基
を有する親水性バインダーポリマーは、これらの官能基
を利用し、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等
の付加重合性二重結合、或いはシンナモイル基、シンナ
ミリデン基、シアノシンナミリデン基,p−フェニレン
ジアクリレート基等の環形成基を導入した不飽和基含有
ポリマーを得る。これに、必要により、該不飽和基と共
重合し得る単官能、多官能モノマーと後述の重合開始剤
と後述の他の成分とを加え、適当な溶媒に溶解し、ドー
プを調整する。これを前記の支持体上にコーティングし
乾燥後或いは乾燥を兼ねて三次元架橋させる。
【0037】水酸基、アミノ基、カルボキシル基といっ
た活性水素を含有する親水性バインダーポリマーは、イ
ソシアネート化合物或いはブロックポリイソシアネート
化合物および後述の他の成分と共に上記の活性水素非含
有溶剤中に添加しドープを調合し支持体に塗布し乾燥後
或いは乾燥を兼ねて反応させ三次元架橋させる。親水性
バインダーポリマーの共重合成分にグリシジル(メタ)
アクリレートなどのグリシジル基、(メタ)アクリル酸
などのカルボキシル基を有するモノマーを併用すること
ができる。グリシジル基を有する親水性バインダーポリ
マーは、架橋剤として、1,2−エタンジカルボン酸、
アジピン酸といったα,ω−アルカン若しくはアルケン
ジカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、
トリメリット酸等のポリカルボン酸、1,2−エタンジ
アミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
α,ω−ビス−(3−アミノプロピル)−ポリエチレン
グリコルエーテル等のポリアミン化合物、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール等のオリゴアルキレンま
たはポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリストール、ソルビトール等
のポリヒドロキシ化合物を用い、これらとの開環反応を
利用して三次元架橋出来る。
【0038】カルボキシル基、アミノ基を有する親水性
バインダーポリマーは、架橋剤として、エチレンまたは
プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチ
レンまたはポリプロピレングリコールジグリシジルエー
テル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリ
メチロールプロパントリグリシジルエーテル等のポリエ
ポキシ化合物を用いたエポキシ開環反応等を利用して三
次元架橋することが出来る。
【0039】親水性バインダーポリマーが、セルロース
誘導体などの多糖類やポリビニルアルコールあるいはそ
の部分鹸化物、グリシドールホモ若しくはコポリマー若
しくはこれらをベースとした親水性バインダーポリマー
は、これらが含有する水酸基を利用し、前述の架橋反応
し得る官能基を導入し、前述の方法で三次元架橋構造を
もたらすことが出来る。
【0040】ポリオキシエチレングリコール等の水酸基
またはアミノ基をポリマー末端に含有するポリオールあ
るいはポリアミンと2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキ
サメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート等のポリイソシアネートとから合成した親水性ポリ
ウレタン前駆体に、付加重合性二重結合あるいは環形成
基を導入したポリマーを用い前述の方法で三次元架橋で
きる。
【0041】合成された親水性ポリウレタン前駆体が、
イソシアネート基末端を有する場合は、グリセロールモ
ノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ジメチロール(メタ)アクリリルアミド、(メ
タ)アクリル酸、桂皮酸、桂皮アルコール等の活性水素
を有する化合物と、または、水酸基あるいはアミノ基末
端を有する場合は、(メタ)アクリル酸、グリシジル
(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メ
タ)アクリレートなどと反応させる。
【0042】多塩基酸とポリオールや多塩基酸とポリア
ミンとを塗布後、加熱により三次元架橋化させたり、カ
ゼイン、グルー、ゼラチン等の水溶性コロイド形成化合
物を加熱により三次元架橋させて網目構造を有する親水
性バインダーポリマーを形成してもよい。さらに、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルアルコ
ールといった水酸基含有モノマーやアリルアミンから合
成したホモもしくはコポリマー、部分鹸化ポリビニルア
ルコール、セルロース誘導体といった多糖類、グリシド
ールホモ若しくはコポリマー等の、水酸基、アミノ基含
有親水性ポリマーと一分子中に二個以上の酸無水基を有
する多塩基酸無水物との反応で三次元架橋した親水性バ
インダーポリマーを形成する方法もある。
【0043】多塩基酸無水物としては、エチレングリコ
ール ビス アンヒドロ トリメリテート、グリセロー
ル トリス アンヒドロトリメリテート、1,3,3
a,4,5,9b ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ
−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2
−C]フラン−1,3−ジオン、3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカル酸二無水物、1,2,
3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等を例示でき
る。
【0044】末端にイソシアネート基を残したポリウレ
タンとポリアミン或いはポリオール等の活性水素含有化
合物と後述の他の成分とを溶剤中に溶解若しくは分散さ
せ支持体に塗布して溶剤を除去した後、マイクロカプセ
ルが破壊しない温度でキュアリングし三次元架橋させる
ことも出来る。この場合、親水性はポリウレタン若しく
は活性水素含有化合物のいずれか若しくは両方のセグメ
ント、側鎖に親水性官能基を導入することにより付与す
ればよい。親水性を発現するセグメント、官能基として
は上記記載の中から適宜選択すればよい。
【0045】本発明において用いられるポリイソシアネ
ート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−
4,4’−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、
トリフェニルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプ
タントリイソシアネート等が例示できる。
【0046】塗布工程前後のハンドリング時、イソシア
ネート基が変化するのを防ぐことを目的に、イソシアネ
ート基を公知の方法でブロック化(マスク化)しておく
のが好ましい場合もある。たとえば、岩田敬治著「プラ
スチック材料講座ポリウレタン樹脂」日刊工業新聞社
刊(1974)、頁51−52、岩田敬治著「ポリウレ
タン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(198
7)、頁98、419、423、499、等に従い、酸
性亜硫酸ナトリウム、芳香族2級アミン、3級アルコー
ル、アミド、フェノール、ラクタム、複素環化合物、ケ
トオキシム等が使用できる。イソシアネート再生温度が
低温であって親水性のものが好ましく、例えば酸性亜硫
酸ナトリウムがあげられる。
【0047】前述の非ブロック化或いはブロック化ポリ
イソシアネートの何れかに付加重合性二重結合を導入
し、架橋の強化や親油性成分との反応に利用してもよ
い。架橋間平均分子量等架橋度の程度は、使用するセグ
メントの種類、会合性官能基の種類と量等により異なる
が、要求される耐刷性に応じ決めていけばよい。通常、
架橋間平均分子量は500〜5万の範囲で設定される。
500より短いとかえって脆くなる傾向があり、5万よ
り長いと湿し水で膨潤し耐刷性が損なわれるので好まし
くない場合もある。耐刷性、親水性のバランス上、80
0〜3万さらには1000〜1万程度が実用的である。
本発明の親水性バインダーポリマーは、下記の単官能モ
ノマー、多官能モノマーを併用させてもよい。
【0048】以上述べた中で、親水性バインダーポリマ
ーが(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩お
よびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩
およびアミン酸塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)
アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化
水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカ
リ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそ
のアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン
(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリ
オキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カ
ルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしく
はそれらの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基など
の親水性基を有する親水性モノマーから選ばれる少なく
とも一種を用いて合成した親水性ホモもしくはコポリマ
ー、あるいは、ポリオキシメチレングリコールまたはポ
リオキシエチレングリコールから構成された親水性バイ
ンダーポリマーを上述の方法で三次元架橋したものが好
ましい。
【0049】本発明の親水性バインダーポリマーは、下
記の単官能モノマー、多官能モノマーを併用させてもよ
い。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンド
ブック」大成社刊(1981)、加藤清視著「紫外線硬
化システム」総合技術センター刊(1989)、加藤清
視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子
刊行会(1985)、赤松清監修「新・感光性樹脂の実
際技術」シーエムシー、頁102−145、(198
7)等に記載されているN,N’−メチレンビスアクリ
ルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピ
リジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N
−メチロール(メタ)アクリルアミド、パラスチレンス
ルホン酸もしくはその塩、メトキシトリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレング
リコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子
量400)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)
アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、ブト
キシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル
(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカン
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(PEGの数平均分子量600)、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1
000)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PPG数平均分子量400)、2,2−ビス
[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタク
リロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンまたはそ
のアクリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチハドロジェンサクシネート、ポリエチレ
ンまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グ
リセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートまたはそ
のメタクリル体、N−フェニルマレイミド、N−(メ
タ)アクリルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカルバ
ゾール、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿
素等がある。
【0050】本発明の親水性バインダーポリマーは、マ
イクロカプセル中の親油性成分と化学結合する官能基を
有していることが好ましい。両者が化学結合することに
よって、高い耐刷性が得られる。耐刷性を向上させるた
めには、前記化学結合が三次元架橋構造をとることが好
ましい。マイクロカプセル中の親油性成分と三次元架橋
された親水性バインダーポリマーとを反応させるために
は、後述する親油性成分の反応性官能基に合わせそれと
反応する官能基を親水性バインダーポリマーの共重合モ
ノマー中に導入するか、ポリマー合成後導入すればよ
い。反応速度の速い反応が好ましく、例えば、不飽和基
の付加重合反応、イソシアネート基と活性水素との反応
であるウレタン化反応、尿素化反応、アミノ基とエポキ
シ基との反応が適用出来る。この他、カルボキシル基、
水酸基とエポキシ基の反応、酸無水基と水酸基、アミノ
基、イミノ基との反応等の開環付加反応や不飽和基とチ
オールとの付加反応も使用出来る。
【0051】親水性バインダーポリマーの三次元架橋反
応を付加重合性二重結合を用いて行うときは、公知の光
重合開始剤若しくは熱重合開始剤を用いることが反応効
率上好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベ
ンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピル
エーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、キサント
ン、チオキサントン、クロロキサントン、アセトフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、ベンジル、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセ
トフェノン、(2−アクリロイルオキシエチル)(4−
ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化アンモニウム、(4
−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチルアンモニウム、
2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−
オン メソクロライド、1−フェニル−1,2−プロパ
ンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、チオフェ
ノール、2−ベンゾチアゾールチオール、2−ベンゾオ
キサゾールチオール、2−ベンズイミダゾールチオー
ル、ジフェニルスルフィド、デシルフェニルスルフィ
ド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジベンジルスルフィ
ド、ジベンゾイルジスルフィド、ジアセチルジスルフィ
ド、ジボルニルジスルフィドジメトキシキサントゲンジ
スルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テ
トラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンジルジメチ
ルジチオカーバメイトキノキサリン、1,3−ジオキソ
ラン、N−ラウリルピリジニウム等が例示できる。これ
らの中から、製造工程で用いる光源の波長領域に吸収を
持ち、ドープを調合する際使用する溶媒に溶解若しくは
分散するものを適宜選択すればよい。通常、使用する溶
媒に溶解するものが反応効率が高く好ましい。
【0052】本発明で用いられる光重合開始剤として
は、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベン
ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラ
ーケトン、キサントン、チオキサントン、クロロキサン
トン、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェ
ニルアセトフェノン、ベンジル、2,2−ジメチル−2
−ヒドロキシアセトフェノン、(2−アクリロイルオキ
シエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化ア
ンモニウム、(4−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチ
ルアンモニウム、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒド
ロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキ
サントン−9−オン メソクロライド、1−フェニル−
1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキ
シム、チオフェノール、2−ベンゾチアゾールチオー
ル、2−ベンゾオキサゾールチオール、2−ベンズイミ
ダゾールチオール、ジフェニルスルフィド、デシルフェ
ニルスルフィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジベン
ジルスルフィド、ジベンゾイルジスルフィド、ジアセチ
ルジスルフィド、ジボルニルジスルフィドジメトキシキ
サントゲンジスルフィド、テトラメチルチウラムモノス
ルフィド、テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベ
ンジルジメチルジチオカーバメイトキノキサリン、1,
3−ジオキソラン、N−ラウリルピリジニウム等が例示
できる。
【0053】これらの中から、製造工程で用いる光源の
波長領域に吸収を持ち、ドープを調合する際使用する溶
媒に溶解若しくは分散するものを適宜選択すればよい。
通常、使用する溶媒に溶解するものが反応効率が高く好
ましい。本発明で用いられる光カチオン重合開始剤とし
ては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、
芳香族スルホニウム塩等がある。この開始剤を用いると
きは、架橋反応種としてエポキシ基も併用できる。この
場合、前述のエポキシ基含有化合物を架橋剤もしくは、
親水性バインダーポリマーとして用いるか、親水性バイ
ンダーポリマーにエポキシ基を導入すればよい。
【0054】光二量化反応により三次元架橋させる場合
は、2−ニトロフルオレン,5−ニトロアセナフテン
等、該反応に一般的によく知られた各種増感剤も使用で
きる。上記以外にも、徳丸克巳他著「増感剤」、2章、
4章、講談社刊(1987)、加藤清視著「紫外線硬化
システム」総合技術センター刊)、頁62−147(1
989)、ファインケミカル、Vol.20 No4、
16(1991)に記載されている公知の重合開始剤も
使用できる。
【0055】上記重合開始剤の添加量は、ドープ中の溶
媒を除いた有効成分に対し、0.01〜20重量%の範
囲で使用できる。0.01重量%より少ないと開始剤の
効果が発揮されず、20重量%より多いと、活性光線の
開始剤による自己吸収のため内部への光の到達が不良と
なり所望する耐刷力を発揮することができなくなること
がある。実用的には0.1〜10重量%の範囲で開始剤
の効果と非画像部の地汚れとのバランスで組成に応じて
決定するのが好ましい。
【0056】照射光源としては、メタルハライドラン
プ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ等公知
のものが使用できる。照射光源からの熱がカプセル破壊
の恐れがある場合、冷却しながら照射する必要がある。
本発明で用いられる熱重合開始剤としては、過酸化ベン
ゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミヂン)ジハ
イドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イ
ミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライ
ド、過硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム等の過酸化物、ア
ゾ化合物、レドックス開始剤といった公知のものが使用
できる。使用に際しては、マイクロカプセルを破壊する
温度より低温で反応させなければならない。熱重合開始
剤の使用量は、ドープ溶媒を除いた成分に対し、0.0
1〜10重量%の範囲がよい。0.01重量%より少な
いと硬化時間が長くなりすぎ、10重量%より多いとド
ープ調合中に生じる熱重合開始剤の分解によりゲル化が
起こることがある。効果と取扱い性を考慮すると、好ま
しくは、0.1〜5重量%である。
【0057】本発明の親水性バインダーポリマーは、マ
イクロカプセル中の親油性成分と化学結合する官能基を
有していることが好ましい。両者が化学結合することに
よって、高い耐刷性が得られる。マイクロカプセル中の
親油性成分と三次元架橋された親水性バインダーポリマ
ーとを反応させるためには、後述する親油性成分の反応
性官能基に合わせそれと反応する官能基を有するモノマ
ーを用いて親水性バインダーポリマーを合成することに
より、目的の官能基をポリマー中に導入するか、ポリマ
ー合成後導入すればよい。
【0058】本発明の親油性成分は、上記親水性バイン
ダーポリマーと反応する官能基を有していることが好ま
しい。熱印字によりカプセル外に出現した親油成分が親
水性バインダーポリマーと速やかに反応し化学結合が形
成された場合は耐刷性が高い画像部を形成できる。耐刷
性をさらに向上させるためには、親油性成分自身も架橋
構造をとることが好ましい。
【0059】親水性バインダーポリマーと親油性成分と
の反応は、反応速度の速い反応、例えば、水酸基もしく
はカルボキシル基、あるいはアミノ基を有する親水性バ
インダーポリマーとイソシアネート基を有する親油性成
分とのウレタン化反応、あるいは尿素化反応、水酸基、
カルボキシル基またはアミノ基を有する親水性バインダ
ーポリマーとエポキシ基を有する親水性成分との反応、
あるいは付加重合性二重結合の付加重合反応が好まし
い。酸無水基を有する親水性バインダーポリマーと水酸
基、アミノ基またはイミノ基を有する親油性成分との開
環付加反応や不飽和基とチオールとの付加反応、不飽和
基とアミノ基の付加反応でもよい。耐刷性を向上させる
ためには、前記化学結合が三次元架橋構造をとることが
好ましい。
【0060】本発明の親油性成分は、上記親水性バイン
ダーポリマーと反応する官能基を有していることが好ま
しい。熱印字によりカプセル外に出現した親油成分が親
水性バインダーポリマーと速やかに反応し化学結合が形
成された場合は耐刷性が高い画像部を形成できる。耐刷
性をさらに向上させるためには、親油性成分自身も架橋
構造をとることが好ましい。
【0061】本発明の親油性成分としては、例えばフェ
ニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル
ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシネート、リジンジイソシアネート、トリフ
ェニルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプタント
リイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ポリメ
チレン ポリフェニルイソシアネート、ポリメリック
ポリイソシアネート等のイソシアネート;トリメチロー
ルプロパンと1,6−ヘキサンジイソシアネートあるい
は2,4−トリレンジイソシアネートといった上記ジイ
ソシアネートとの1対3モル付加体等のポリイソシアネ
ート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートの
オリゴマーまたはポリマーなどのイソシアネート化合
物;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(メタ)
アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−メチル
(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)
アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N’−ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、N,N’−ジメチルアミ
ノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2
ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロ
ール(メタ)アクリルミド、パラスチレンスルホン酸も
しくはその塩、メトキシトリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート(PEGの数平均分子量400)、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数
平均分子量600)、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(P
PG数平均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタ
クリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエ
トキシ)フェニル]プロパンまたはそのアクリレート
体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジ
ェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルハイドロジェンサクシネート、ポリエチレンまたはポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テ
トラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、イソ
ボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレ
ート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフ
ルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク
リレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシ
ッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グリセリン
モノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス(2−アク
リロキシエチル)イソシアヌレートまたはそのメタクリ
ル体、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等
の多官能(メタ)アクリルモノマー類あるいはこれらと
単官能(メタ)アクリレートとの組合せ、さらには前述
の親水性基を含有する(メタ)アクリレートモノマーと
の組合せ;N−フェニルマレイミド、N−(メタ)アク
リルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカルバゾール、
ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、トリ
アリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物或いは
これらと単官能アリル化合物との組合せ;さらには、水
酸基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基、チオール
基、エポキシ基等の反応性基をポリマー分子両末端に含
有する1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエ
ン、水添加1,2−ポリブタジエン、イソプレン等の液
状ゴム;ウレタン(メタ)アクリレート等の各種テレキ
ーリック性ポリマー;炭素−炭素不飽和基、水酸基、カ
ルボキシル基、アミノ基、エポキシ基含有反応性ワック
ス;プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリ
プロピレングリコール ジグリシジルエーテル、ポリプ
ロピレングリコール ジグリシジルエーテル、ネオペン
チルグリコール ジグリシジルエーテル、トリメチロー
ルプロパン トリグリシジルエーテル、水添ビスフェノ
ールA ジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合
物等が使用できる。さらには、既存のPS版の画像成分
として使用されている架橋前の公知の、(メタ)アクリ
ルコポリマーやウレタンアクリレート、ジアゾ樹脂も使
用出来る。
【0062】親油性成分は、室温で固体状、液体状何れ
でもよい。室温で固体のポリイソシアネート化合物とし
て、例えば、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’
−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチ
レン ポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリ
イソシアネート、3,3’−ジクロロビフェニル−4,
4’−ジイソシアネート等がある。
【0063】親油性成分中に含まれるエチレン付加重合
性モノマー、オリゴマーの二重結合反応を利用して、親
油性成分と親水性バインダーポリマーとを化学反応させ
る場合、あるいは前述のごとく、耐刷性を向上させるた
めに親油性成分自身を架橋反応させる場合は、以下の熱
重合開始剤を用いることができる。熱重合開始剤は、5
0℃以下で貯蔵しても安定であるものが好ましく、60
℃以下で安定であれば、さらに好ましい。
【0064】たとえば、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、シクロヘキサノンパーオキサイド、n−ブチル
4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカ
ン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ク
メンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパ
ーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブ
チルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキ
シイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ
ベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t
−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化物が挙げら
れる。
【0065】熱重合開始剤添加の方法としては、これを
をマイクロカプセル化して親油性成分のマイクロカプセ
ル中にカプセル−イン−カプセルの形で用いても良く、
親水層にそのまま分散させてもよい。親油性成分の硬化
は、重合反応だけでなく、親油性成分と親水性バインダ
ーポリマーとの化学結合の際の反応を利用することもで
きる。
【0066】画像部の耐刷性向上の観点から、本発明の
画像部は、ウレタン若しくはウレア構造を有するのが好
ましい。親油性成分を印字による熱反応でウレタン若し
くはウレア構造に変えるか、親油性成分若しくは親水性
バインダーポリマーのセグメントにあらかじめウレタン
もしくはウレア構造を導入するか、何れかの方法で実施
できる。
【0067】親油性成分のカプセル化は、例えば経営開
発センター経営教育部編「マイクロカプセル化の新技術
とその用途開発・応用実例」経営開発センター出版部刊
(1978)記載の公知の方法に従う。たとえば、互い
に溶解しあわない二つの液体の界面で、予め各々の液体
に添加してあるリアクタントを重縮合させ、両溶媒に不
要なポリマー膜を形成させ、カプセル膜を作る界面重合
法、芯物質の内側または外側のどちらか一方のみからリ
アクタントを供給し、芯物質の周囲にポリマー壁を形成
させるin−situ法、親水性ポリマー溶液中に分散
させた疎水性物質の表面に、親水性ポリマーを相分離さ
せ、カプセル膜を作るコンプレックスコアセルベート
法、有機溶液系からの相分離法等により行うことができ
る。中でも、界面重合法、in−situ法が比較的多
くの芯物質のカプセル化が行いやすく好ましい。親油性
成分とは異なる材料でカプセル化してもよい。
【0068】本発明でいうカプセル化は、室温で固体の
ポリイソシアネート化合物を微粉末化し微粒子表面を前
記ブロック化剤でブロック化することにより周囲の活性
水素と室温で反応出来ないようにする方法も含む。何れ
にしろ印字の際の熱でカプセル内の親油性成分がカプセ
ル外に放出され、最初のカプセルの形態が破壊されるこ
とが必要である。例えば、カプセル壁の膨張、圧縮、溶
融、化学分解により、親油成分が放出されたり、カプセ
ルの該壁材が膨張することにより密度が低下し親油性成
分が壁材層を透過して放出される場合等がある。
【0069】カプセル外殻表面は、特に限定される物で
はないが、バインダーポリマーの溶液に分散し易くかつ
その溶媒によって溶解しない材料であることが好まし
い。マイクロカプセルのサイズは、平均10μm以下、
高解像力の用途には平均5μm以下が好ましい。カプセ
ル全体に対する親油性成分の割合が低すぎると画像形成
効率が低下するので平均0.01μm以上であることが
好ましい。
【0070】マイクロカプセル化された親油性成分の使
用量は印刷用途毎の必要とされる耐刷性に応じて決めれ
ばよい。通常は、マイクロカプセル/親水性バインダー
ポリマー重量比率が1/20〜10/1の範囲、さらに
は感度、耐刷性の観点からは、1/15〜5/1の範囲
で使用するのが好ましい。本発明の親水層には、他の成
分として、カプセルの熱破壊促進、親油性成分と該成分
と反応する官能基を有する反応物質との反応促進、親油
性成分と親水性バインダーポリマーとの反応促進を目的
としてさらに、増感剤を添加することが出来る。添加に
より、印字感度の高感度化、耐刷性の向上および高速製
版が可能となる。かかる増感剤として、例えばニトロセ
ルロース等の自己酸化性物質、置換されたシクロプロパ
ン、キュバン等高歪み化合物がある。
【0071】親油性成分の重合反応触媒も増感剤として
使用できる。例えば、親油性成分の反応がイソシアネー
ト基の反応であれば、ジブチルチンジラウレート、塩化
第二スズ、アミン化合物等のウレタン化触媒、エポキシ
基の開環反応であれば第四級アンモニウム塩等の開環触
媒が例示出来る。増感剤は、ドープ調合時に添加する方
法、親油性成分のマイクロカプセル化の際に同時に包含
させる方法、あるいは支持体と親水層の中間にバインダ
ー樹脂と一緒に設ける方法がある。その使用量は用いる
増感剤の効果、非画像部の耐刷性、といった観点から決
めればよい。
【0072】レーザー印字の場合、用いるレーザーの発
光波長領域に吸収帯を有する光−熱変換物質をさらに使
用することも出来る。かかる物質としては、例えば、松
岡賢著「JOEM ハンドブック2 アブソープション
スペクトル オブ ダイズ フォー ダイオード レ
イザーズ」ぶんしん出版(1990)、シーエムシー編
集部「90年代 機能性色素の開発と市場動向」シーエ
ムシー(1990)第2章2.3に記載されているポリ
メチン系色素(シアニン色素)、フタロシアニン系色
素、ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン、アント
ラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウ
ム、ジインモニウム系色素、アゾ系分散染料、インドア
ニリン金属錯体色素、分子間型CT色素等の染料、顔料
および色素がある。
【0073】具体的には、N−[4−[5−(4−ジメ
チルアミノ−2−メチルフェニル)−2,4−ペンタジ
エニリデン]−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエ
ン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウムア
セテート、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−3−フェニル−2−ペンテン−4−イン−1−
イリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデ
ン]−N,N−ジメチルアンモニウム パークロレー
ト、N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N
−[4−[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニ
ル)アミノ]フェニル]−アミニウム ヘキサフルオロ
アンチモネート、5−アミノ−2,3−ジシアノ−8−
(4−エトキシフェニルアミノ)−1,4−ナフトキノ
ン、 N’−シアノ−N−(4−ジエチルアミノ−2−
メチルフェニル)−1,4−ナフトキノンジイミン、
4,11−ジアミノ−2−(3−メトキシブチル)−1
−オキソ−3−チオキソピロロ[3,4−b]アントラ
セン−5,10−ジオン、5,16(5H,16H)−
ジアザ−2−ブチルアミノ−10,11−ジチアジナフ
ト[2,3−a:2’3’−c]−ナフタレン−1,4
−ジオン、ビス(ジクロロベンゼン−1,2−ジチオー
ル)ニッケル(2:1)テトラブチルアンモニウム、テ
トラクロロフタロシアニン アルミニウムクロライド、
ポリビニルカルバゾール−2,3−ジシアノ−5−ニト
ロ−1,4−ナフトキノン錯体等が例示出来る。
【0074】マイクロカプセルの熱破壊を促進する目的
で、親油性成分と共に加熱されると気化または体積膨張
しやすい物質をカプセル中に親油性成分と共に入れるこ
とができる。例えば、シクロヘキサン、ジイソプロピル
エーテル、エチルアセテート、エチルメチルケトン、テ
トラハイドロフラン、t−ブタノール、イソプロパノー
ル、1,1,1−トリクロロエタンといった沸点が室温
より十分高く、60〜100℃付近の炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケト
ン化合物がある。
【0075】印字部のみが発色する公知の感熱色素を親
油性成分と併用し、印字部の可視化を計ると検版を行な
いやすいので好ましい。例えば、3−ジエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオランとビスフェノール
Aなどのロイコ染料および粉砕した顕色剤の組合せ等が
ある。大河原信他編「色素ハンドブック」講談社刊(1
986)等の成書に開示されている感熱色素が使用でき
る。
【0076】親水性バインダーポリマーとは別に、親油
性成分の架橋度を高めるために親油性成分と反応する官
能基を有する反応性物質を用いることができる。その添
加量は、親水性バインダーポリマーの撥インキ性、親水
性の程度に従い、地汚れを引き起こさない程度の量とす
る。かかる反応性物質として、例えば、親油性成分の架
橋反応がウレタン生成なら水酸基、アミノ基、カルボキ
シル基を複数個有する化合物、例えばポリビニルアルコ
ール、ポリアミン、ポリアクリル酸、トリメチロールプ
ロパン等が例示できる。
【0077】親水性の調整を目的として、使用する親水
性バインダーポリマーおよび親油性成分と反応しない非
反応性親水性ポリマーを耐刷性を損なわない範囲で親水
層に添加してもよい。サーマルヘッドで印字する場合、
加熱により生ずる溶融物がサーマルヘッドに付着するの
を防止する目的で溶融物の吸収剤として、炭酸カルシウ
ム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリン、焼成カ
オリン、加水ハロイサイト、アルミナゾル、ケイソウ
土、タルク等公知の化合物を添加することが出来る。
【0078】さらに、版の滑り性向上、版と版とを重ね
たときの密着防止を兼ね、ステアリン酸、ミリスチン
酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ステアリン酸ア
ミド、ステアリン酸亜鉛等の常温固体の滑剤を親水層に
少量添加することが出来る。本発明の感熱平版原版は、
以下の方法で製造できる。まず、前記の方法で基材上に
アンカー層を形成し支持体を得る。次いで、画像形成層
を上述の成分の種類、バインダーポリマーの架橋方法に
従って選択した溶媒と共にペイントシェーカー、ボール
ミル、超音波ホモジナイザー、サンドグラインダー等で
よく分散し、得られた塗布液(ドープ)をドクターブレ
ード法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコー
ト、カーテンコート法、ディップコート法等で前記の支
持体上に塗布し乾燥し、感熱平版印刷材料を得る。付加
重合性二重結合を含有する成分を使用する場合、貯蔵安
定性上必要ならドープ中に前述の公知の熱安定剤を0.
01〜5%の範囲で添加してもよい。
【0079】ドープ溶媒としては、水、エタノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノールといったアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトンといったケトン類、
ジエチレングリコールジエチルエテル、ジイソプロピル
エーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン、ジエチ
レングリコールといったエーテル類、酢酸エチル、酢酸
ブチルといったエステル類、トルエン、キシレンといっ
た芳香族炭化水素、n−ヘキサン、デカリンといった脂
肪族炭化水素、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスル
フォキシド、アセトニトリル或いはこれらの混合溶剤を
使用することができる。
【0080】さらに必要ならバインダーポリマーやアン
カー剤を三次元架橋させるためにマイクロカプセルが破
壊する温度より低温で追加の加熱を行なう。アンカー層
の三次元架橋化は画像形成層を設ける前でも設けた後で
も行うことができる。画像形成層膜の厚みは数μm〜1
00μmの間で任意に設定すればよい。通常は性能とコ
ストの関係から1〜10μmの厚みが好ましい。表面平
滑性を高める必要があれば、塗布・乾燥後、若しくはバ
インダーポリマーの三次元架橋化反応後にカレンダー処
理を行えばよい。特に高度の平滑性が必要なら塗布・乾
燥後に行うのが好ましい。
【0081】本発明の感熱平版原版を製版するには、電
子組版機、DTP、ワードプロセッサー、パーソナルコ
ンピュータ等で作製・編集された文書・画像をサーマル
ヘッド、熱モードのレーザーで描画・印字するだけで現
像工程は一切行なわず完了する。印字後、カプセルが破
壊しない温度で加温(ポストキュアー)若しくは版全面
に活性光線照射することにより画像部の架橋度を高める
ことが出来る。後者の方法を実行する場合、親水層中に
前述の光重合開始剤や光カチオン重合開始剤とそれによ
って反応が進む官能基を有する化合物とを併用するか親
油性成分に該官能基を導入することが必要である。該開
始剤、官能基を有する化合物は前述のほか、例えば、加
藤清視著「紫外線硬化システム」総合技術センター刊
(1989)、加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブッ
ク(原料編)」高分子刊行会(1985)等の成書に記
載の公知のものを使用しうる。
【0082】以上のようにして得られた印刷版は、市販
のオフセット印刷機にセットし通常の方法で印刷するこ
とができる。印刷する際、必要ならば印刷版に通常のエ
ッチング処理を施してから印刷することが出来る。
【0083】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を具
体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されること
はない。なお、文中、部と記してあるのは特に断りの無
い限り重量部である。 支持体作製例1[B−1] ポリアリルアミンの10重量%水溶液(日東紡績(株)
製PAA−10C)25部とポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル(平均オキシエチレン基繰り返し単
位数=9)2部とグリシジルメタクリレート1部とアセ
トン20部からなる混合液をブレードコーターを用いて
コロナ放電処理を施したPETに塗布厚み1μmになる
ように塗布し、50℃で2時間硬化をかねて乾燥し支持
体B−1を得た。B−1に残存する1級アミノ基は0.
5ミリ当量/g以上であった。
【0084】支持体作製例2[B−2] アリルアミン、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸−n−ブチルを原料とし、水、エタノール
混合液を溶媒、過硫酸アンモニウムをラジカル開始剤、
炭酸ナトリウムを還元剤として窒素雰囲気下30℃で重
合して得たポリマー(AP−1)をNMR、GPC、I
Rを用いて分析した結果、数平均分子量がポリエチレン
グリコール換算で1,500で単量体構成が平均でアリ
ルアミン:50mol%、メタクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル:30mol%、メタクリル酸−n−ブチル:
20mol%であった。AP−1の10重量%水溶液4
0部と1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
1部とテトラハイドロフラン20部からなる混合溶液を
ポリエチレンテレフタレートにワイヤーバーを用いて塗
布厚み1μmになるように塗布し、50℃で2時間硬化
をかねて乾燥し、支持体B−2を得た。B−2に残存す
る1級アミノ基は0.5ミリ当量/g以上であった。
【0085】支持体作製例3[B−3] ポリアリルアミンの10重量%水溶液(日東紡績(株)
製PAA−10C)20部とポリエチレングリコールジ
メタクリレート(平均オキシエチレン基繰り返し単位数
=9)2部とアセトン20部からなる混合液をブレード
コーターを用いてウレタン系接着剤を塗布したPETに
塗布厚み1.5μmになるように塗布し、50℃で8時
間硬化をかねて乾燥し支持体B−3を得た。B−3に残
存する1級アミノ基は0.5ミリ当量/g以上であっ
た。
【0086】支持体例4[B−4] コロナ放電処理を施したPET(ダイアホイルヘキスト
(株)製S−100C)を支持体B−4とした。 支持体例5[B−5] サンドブラスト法、陽極酸化処理法を用いて表面処理を
施したアルミ板を支持体B−5とした。
【0087】親水性ポリマーの製造例1[P−1] アクリル酸36.0g、あらかじめモレキュラーシーブ
スで乾燥したN,N−ジメチルフォルムアミド150g
の混合溶液を乾燥窒素をバブリングし、撹拌しながら6
0℃に昇温した。この溶液に2,4−アゾビス(ジメチ
ルバレロニトリル)(以下ADVNと略記)0.20g
を添加し2時間反応した。引き続き乾燥窒素を乾燥空気
に切り替え、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール
(以下、BHT)0.40gを添加し80℃に昇温し4
時間撹拌を続けた。その後、撹拌を続けながら60℃ま
で放冷した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシ
アネート(以下MOIと略記)10.0gとジブチル錫
ジラウレート0.1gを添加し3時間反応した。約3時
間攪拌したところで赤外分光法におけるイソシアナト基
の特性吸収がほぼ無視できるまでに反応が進行した。次
いで水酸化ナトリウムでカルボキシル基の80当量%を
部分中和し、アセトンを加えポリマーを沈殿させ、よく
洗浄して精製し親水性ポリマーP−1(NMR法で測定
した不飽和基の導入率は8.2当量%。GPCによる数
平均分子量:7.5×104 、水−ケロシン系の水中油
滴法接触角:160度以上)を得た。
【0088】親水性ポリマーの製造例2[P−2] アクリル酸36.0g、トルエン150gの混合溶液を
乾燥窒素をバブリングし、撹拌しながら60℃に昇温し
た。この溶液にADVN0.20gを添加し2時間反応
した。得られたポリマーの沈殿物を濾取洗浄を繰り返し
た後、ポリマー18gを精製水100gに溶解し、次い
で水酸化ナトリウムでカルボキシル基の80当量%を部
分中和し親水性ポリマーP−2の水溶液を得た。(GP
Cによる数平均分子量:6.5×104 、水−ケロシン
系の水中油滴法接触角:160度以上)を得た。
【0089】親水性ポリマーの製造例3[P−3] セパラブルフラスコにアセトン300g、スルフォエチ
ルメタクリレート21g、アクリル酸15.8gを仕込
み、窒素雰囲気下、45℃に加温し攪拌しているところ
に、アセトンに溶解したAIBN0.52gを約30分
間かけて滴下した。6時間攪拌したところで生成したポ
リマーを濾過しアセトン洗浄を数回繰り返し、開始剤、
モノマーの残存がほぼないことを確認した。このポリマ
ーを真空乾燥し一次ポリマーを得た(GPC法による数
平均分子量:16.4×104。元素分析から求めたポ
リマー中のモノマー組成比率は上記の順に、33/67
と概ね仕込みモル比率に合致していた。) 次いで、該一次ポリマー10.8gをトルエン133
g、BHT0.012gが既に仕込んであるセパラブル
フラスコに計り取り、乾燥空気気流中、攪拌しながら9
0℃に昇温した。そこにMOI1.6gとジブチル錫ジ
ラウレート0.03gを徐々に滴下した。約9時間攪拌
したところで赤外分光法におけるイソシアナト基の特性
吸収がほぼ無視できるまでに反応が進行した。分散して
いるポリマーを濾過しアセトンで数回洗浄し、真空乾燥
した(NMR法で測定した不飽和基の導入率は5.6当
量%。)。得られたポリマーを水に溶解し、水酸化カリ
ウムでカルボキシル基とスルフォン酸基との60当量%
を部分中和しP−3(GPCによるカリウム塩化前の数
平均分子量:17.3×104 、水−ケロシン系の水中
油滴法接触角:160度以上)を得た。
【0090】マイクロカプセル化した親油性成分の製造
例1[M−1] コロネートL(日本ポリウレタン製、3官能イソシアネ
ート)を脱溶剤したイソシアネート化合物10gを水/
エチルアルコール混合溶媒中で粉砕球としてアルミナビ
ーズを用いてペイントシェーカーで粉砕し、平均粒径
0.8μmの粒子表面のイソシアネート基がブロック化
されたマイクロカプセルM−1を調製した。
【0091】マイクロカプセル化した親油性成分の製造
例2[M−2] グリシジルメタクリレート18gコロネートL(日本ポ
リウレタン製、3官能イソシアネート)3g近赤外線吸
収色素(日本化薬(株)製KayasorbIR−82
0B)1gと2,2−ジメトキシフェニルアセトフエノ
ン0.5gの混合溶液を1重量%ポリエチレングリコー
ル(オキシエチレン基平均繰り返し単位数9)水溶液2
00部中で強撹拌したのち、60℃まで昇温し3時間反
応させ、平均粒径5μmのマイクロカプセルM−2を得
た。
【0092】マイクロカプセル化した親油性成分の製造
例3[M−3] 3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシア
ネート13.2g,2−ヒドロキシエチルアクリレート
5.9gと触媒のジブチルチンジラウレート0.05g
とを酢酸エチル80gに溶解し、50℃、15分間撹拌
した後70℃、2時間反応しアクリル基とイソシアネー
ト基とを同一分子中に有する化合物を合成した。次い
で、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製Kayaso
rbIR−820B)1gと2,2−ジメトキシ−2−
フェニルアセトフェノン0.38gを溶解したアセトン
50gを添加、混合した後溶剤を留去し、さらに真空乾
燥した。得られた固化物を乳鉢で粉砕し、この中に該固
化物とほぼ同量の水/エタノール(5.5/2.5重量
比)溶液とアルミナボールと加え、ペイントシェーカー
で1時間振とう、粉砕しマイクロカプセル化した親油性
成分M−3を調製した。一次分散粒子の平均サイズは
1.8μmであった。
【0093】
【実施例1】支持体B−1の上に、あらかじめペイント
シェーカーで室温下30分間よく分散させたのち脱泡し
た下記組成のドープをブレードコーターで塗布した。 親水性ポリマー:P−1(15%固形分): 8.0 部 マイクロカプセル:M−1(20%固形分): 6.0 部 (2−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化 アンモニウム(光重合開始剤): 0.03部 部分鹸化PVA: 0.1 部 ステアリン酸亜鉛: 0.5 部 炭酸カルシウム: 0.8 部 水: 8.0 部 次いで、10分間風乾し、真空乾燥機中で35℃、3時
間乾燥し、次にカレンダー処理を行った。
【0094】この原版を電子組版機と接続した、サーマ
ルヘッド(東芝製 TPH−293R7)搭載の印字装
置(製版装置)で印刷画像を印字し、その後でケミカル
ランプ(λmax.365nm、UV強度;5mW/平
方センチメートル)で全面を紫外線照射し現像すること
なく製版を行なった。この版を所定の寸法にトリミング
しオフセット印刷機(ハマダ印刷機械株式会社製、HA
MADA611XL、ハードブランケット使用)に装着
し上質紙に対し印刷した(用いたインキはBSD オフ
セットインキ ニューラバー 墨 ゴールド、エッチ処
理あり、湿し水はエッチ液を水で50倍希釈したものを
使用した)。3万部を過ぎても地汚れがなく、画像部も
鮮明に印刷出来た。
【0095】
【実施例2】支持体B−2の上に、あらかじめペイント
シェーカーで室温下30分間よく分散させたのち脱泡し
た下記組成のドープをブレードコーターで塗布した。 親水性ポリマー:P−3(15%固形分): 8.0 部 マイクロカプセル:M−2(20%固形分): 6.0 部 (2−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化 アンモニウム(光重合開始剤): 0.03部 部分鹸化PVA: 0.1 部 水: 8.0 部 次いで、10分間風乾し、真空乾燥機中で35℃、3時
間乾燥して。この原版を電子組版装置と接続した1W半
導体レーザー素子搭載の印字装置で印刷画像を熱印字
し、次いで現像工程を経ず版全面を高圧水銀灯で1分間
照射し、さらに、90℃で30分間反応させ印刷版を得
た。この版をトリミングし、実施例1同様に印刷したと
ころ、5万部を過ぎても安定した印刷物が得られた。
【0096】
【実施例3】支持体をB−1、マイクロカプセルをM−
3、親水性ポリマーをP−1とし、カレンダー処理を施
さなかった以外は実施例2と同様にして作製した原版
を、90℃で30分間の反応を行わなかった以外は実施
例2と同様の方法で製版印刷したところ、3万部を過ぎ
ても安定した印刷物が得られた。
【0097】
【実施例4】支持体をBー3とした以外は実施例3と同
様にして作製した実施例3と同様の方法で製版印刷した
ところ、3万部を過ぎても安定した印刷物が得られた。
【0098】
【比較例1】支持体B−5の上に、あらかじめペイント
シェーカーで室温下30分間よく分散させたのち脱泡し
た下記組成のドープをブレードコーターで塗布した。 親水性ポリマー:P−1(15%固形分): 6.0 部 マイクロカプセル:M−3(20%固形分): 6.0 部 (2−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化 アンモニウム(光重合開始剤): 0.03部 部分鹸化PVA: 0.1 部 エタノール: 1.5 部 水: 8.0 部 次いで、2分間風乾し、真空乾燥機中で35℃、3時間
乾燥し、次にカレンダー処理を行った。
【0099】この原版を実施例2と同様の方法で製版印
刷したところ、印刷物を見る限り非画像部と画像部は実
施例3と遜色なかったが、1万部を過ぎたあたりから非
画像部の画像形成層が支持体から剥がれ始めた。さら
に、均一に画像形成層を設置するために乾燥条件の検
討、分散媒組成の検討に多大な労力を要した。
【0100】
【比較例2】支持体をB−4、親水性ポリマーをP−2
とした以外は実施例3と同様に製版印刷したところ、1
千部あたりから非画像部に地汚れが発生し、2千部あた
りで画像形成層が剥離した。
【0101】
【比較例3】実施例1においてマイクロカプセルM−1
を使用する代わりに反応性基を有しない平均粒径1.0
μmのワックスを同量添加した他はまったく同じドープ
組成を調合し、実施例1と同様にして塗布、製版印字、
印刷した。その結果、6百部あたりから印刷物の画像部
がカスレ始めた。
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、画像形成層と基材の中
間層として適度な親水性と強固な耐水性を兼ね備えるア
ンカー層を設置することにより、広範囲な組み合わせの
画像形成層の構成や基材に対し、簡便且つ安定に非画像
部を形成し、画像形成層が保持される感熱ダイレクト平
版原版が得られる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱により画像部に転換するマイクロカプ
    セル化された親油性成分と三次元架橋された親水性バイ
    ンダーポリマーを含有する画像形成層及び基材とから構
    成される平版原版であって、画像形成層と基材間に、三
    次元架橋構造を保有しかつ脂環族または脂肪族化合物に
    結合する1級アミノ基またはその鉱酸塩が固形分中少な
    くとも0.5ミリ当量/g存在するアンカー層が形成さ
    れていることを特徴とする感熱ダイレクト平版原版。
  2. 【請求項2】 親水性バインダーポリマーは、マイクロ
    カプセル中の親油性成分と化学結合を形成しうる官能基
    を有しており、該マイクロカプセル中の親油性成分はカ
    プセルの破壊後バインダーポリマーと反応し得る反応性
    官能基を有する化合物であることを特徴とする請求項1
    記載の感熱ダイレクト平版原版。
  3. 【請求項3】 アンカー層中の1級アミノ基を含有する
    物質が、付加重合性二重結合と1級アミノ基を分子内に
    少なくともそれぞれ1つ含有する親水性のモノマー(モ
    ノマー1)を少なくとも30mol%含有するポリマー
    (ポリマー1)を架橋した物質である請求項1又は2に
    記載の感熱ダイレクト平版原版。
  4. 【請求項4】 アンカー層中の親水性のモノマー1と共
    重合するモノマー(モノマー2)の一部が親水性モノマ
    ーであり、全親水性モノマーの構成比がポリマー1の全
    構成モノマー中の少なくとも70mol%以上である請
    求項3に記載の感熱ダイレクト平版原版。
  5. 【請求項5】 アンカー層中のポリマー1がモノマー1
    のホモポリマーである請求項3に記載の感熱ダイレクト
    平版原版。
  6. 【請求項6】 アンカー層中の架橋剤成分がポリマー1
    の1級アミノ基と反応する官能基を2つ以上含有する請
    求項4〜6のいずれかに記載の感熱ダイレクト平版原
    版。
  7. 【請求項7】 アンカー層中の架橋剤の構成成分にオキ
    シエチレン基を含有する請求項3〜6のいずれかに記載
    の感熱ダイレクト平版原版。
  8. 【請求項8】 アンカー層中のモノマー1の分子量がア
    ミノ基1つあたり300以下である請求項3〜7のいず
    れかに記載の感熱ダイレクト平版原版。
  9. 【請求項9】 アンカー層中のモノマー1がアリルアミ
    ンである請求項3〜7のいずれかに記載の感熱ダイレク
    ト平版原版。
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