JPH1148630A - 高耐刷性の平版印刷原版 - Google Patents

高耐刷性の平版印刷原版

Info

Publication number
JPH1148630A
JPH1148630A JP21081897A JP21081897A JPH1148630A JP H1148630 A JPH1148630 A JP H1148630A JP 21081897 A JP21081897 A JP 21081897A JP 21081897 A JP21081897 A JP 21081897A JP H1148630 A JPH1148630 A JP H1148630A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
image
printing plate
meth
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21081897A
Other languages
English (en)
Inventor
Taro Suzuki
太郎 鈴木
Migaku Tanaka
琢 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP21081897A priority Critical patent/JPH1148630A/ja
Publication of JPH1148630A publication Critical patent/JPH1148630A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価であって高い耐刷性を有し、非画像部の
撥インキ性に優れ且つ地汚れし難く、画像再現性に優れ
た平版印刷原版及び平版印刷版を提供する。 【解決手段】 親水性バインダーポリマーと無機充填剤
からなる多孔質構造の画像受容層を支持体上に設けてな
る平版印刷原版であって、該親水性バインダーポリマー
が外部から供給される画像形成材料の親油性成分と化学
結合する官能基を有する平版印刷原版、及び該平版印刷
原版に画像形成材料を画像様に付着させて画像層を形成
してなる平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷に用いる
印刷版の作製に使用される印刷原版、その原版に適当な
手段を用いて画像層を形成してなる平版印刷版に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷時において
湿し水供給手段から水は受理するがインキロールからの
油性インキを受理しない親水性非画像部と、インキロー
ルからの油性インキを受理する親油性画像部とから構成
される。このような親水性非画像部と親油性画像部とを
発現する組み合わせは種々知られているが、一般的なも
のとしては、表面を脱脂、機械若しくは化学的に粗面化
後、陽極酸化し、さらに必要により水ガラス処理等の種
々の表面処理を施したアルミニウムシート上に親油性画
像部を形成させたものが知られている。このような方法
は例えば、米澤輝彦著、「PS版概論」、印刷学会、1
993年、18−35頁に記載されている。アルミニウ
ムの代わりにスチール、ステンレススチールを粗面化し
たものも知られている。
【0003】金属材料の他に、親水性非画像部を構成す
るものとして、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢
酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸
共重合体といった親水性ポリマーを架橋不溶化したもの
が知られている。この場合、必要により、シリカ、炭酸
カルシウムといった無機顔料が加えられることがある。
さらに耐水化剤で補強される場合もある。これらのもの
は耐水性が不十分で耐刷性が乏しい、または耐刷性は有
するが非画像性が乏しいという問題を抱えている。
【0004】また、電子写真オフセットマスターとして
知られている、酸化亜鉛と、アクリル樹脂、シリコーン
樹脂、アルキッド樹脂などのバインダー樹脂とを用いて
表面層を形成し、電子写真方式によりトナーを融着して
画像部を形成したのち、トナーの付着していない表面を
リン酸、リン酸塩、フェロシアン化カリウム、フィチン
酸及び界面活性剤などを含有する不感脂化液(エッチ
液)により不感脂化処理を行って非画像部を形成するも
のが知られている。これらのものは非画像部、画像部と
も耐刷性の乏しいものであり軽印刷といった少量印刷部
数の用途に限られている。
【0005】金属材料以外で非画像部を形成する上記材
料の問題点を解決するための方法としてアクリルアミド
重合体を非架橋、架橋形態で使用する方法が各種提案さ
れている(例えば、特開昭48−83902号公報、特
開昭53−17406号公報、特開昭53−17407
号公報、特開昭53−17408号公報、特開昭54−
6602号公報、特開昭54−6603号公報を参
照)。しかし、これらの方法では何れも耐水性が不足し
ているか、基材適合性が極めて狭い等の問題があった。
さらにこの点を改良する目的でアクリルアミド、付加重
合性不飽和カルボン酸及びエポキシ基含有付加重合性不
飽和化合物を含む共重合体を用いて非画像部を構成する
平版印刷版が提案された(特開昭59−67097号公
報)。このものは架橋により耐刷性は発揮されたが、ポ
リマー中の残留アクリルアミドモノマーの問題、同一ポ
リマー中にカルボキシル基とエポキシ基を含有するた
め、これらが反応してポリマー不溶化をもたらすという
貯蔵安定性上の問題を抱えていた。
【0006】また非画像部の撥インキ性と、そもそも親
油性である画像形成成分との接着性を両立するために、
無機充填剤を親水層に混合することによって該親水層表
面を多孔質化することが提案されており、例えば特開平
09−29924号公報、特開平09−99662号公
報に開示されている。しかし、多孔質化による接着面積
の増加だけでは実用上十分な画像部の耐刷性は得難いと
いう問題が依然として残っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、安価
であって高い耐刷性を有し、非画像部の撥インキ性に優
れ且つ地汚れし難く、画像再現性に優れた平版印刷原版
および平版印刷版を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる問題
を解決するために鋭意検討を行った結果、驚くべきこと
に特定の親水性ポリマーと無機充填剤からなる画像受容
層を支持体上に設けてなる平版印刷原版によって上記課
題が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至
った。
【0009】即ち、本発明は下記の通りである。 (1) 支持体の上に画像受容層を設け、該画像受容層
が親水性バインダーポリマーと平均1次粒子径が0.1
μm以下である無機充填剤とから構成され、空隙率30
〜80%および平均空孔径0.05〜1μmである多孔
質構造を有する平版印刷原版であって、該親水性バイン
ダーポリマーが外部より供給される画像形成材料の親油
性成分と化学結合する官能基を有する平版印刷原版。 (2) 親水性バインダーポリマーと画像形成材料に含
有される親油性成分との化学結合が、不飽和基の付加重
合反応、イソシアネート基またはブロック化イソシアネ
ート基と活性水素とのウレタン化反応またはウレア化反
応、カルボキシル基、水酸基、またはアミノ基とエポキ
シ基との反応による結合である上記(1)の平版印刷原
版。 (3) 親水性バインダーポリマーが、ポリ(メタ)ア
クリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン
系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アクリルア
ミド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアミン
系、ポリビニル系、多糖類系あるいはそれらの複合系な
どの、側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸
基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基、
ポリオキシエチレン基などの親水性官能基を一種類以上
且つ複数個含有する炭素−炭素結合から構成されるポリ
マー、酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少
なくとも一種以上で連結された炭素原子もしくは炭素−
炭素結合から構成されるポリマー、またはその側鎖にカ
ルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基もし
くはそれらの塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエチレ
ン基等の親水性官能基を一種類以上且つ複数個含有する
ポリマーである上記(1)の平版印刷原版。 (4) 無機充填剤が、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、酸化チタン、および酸化ジルコニウムより選ばれる
少なくとも一種以上の無機充填剤であって、且つ三次元
網目状の凝集構造を形成しうる無機充填剤である上記
(1)の平版印刷原版。 (5) 上記(1)の平版印刷原版に、画像形成材料を
画像様に付着させて親油性の画像層を形成してなる平版
印刷版。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
よる平版印刷原版は、支持体の上に親水性で、且つ多孔
質である画像受容層を設けてなり、該画像受容層は、空
隙率30〜80%および平均空孔径0.05〜1μmな
る多孔質構造を有する。該多孔質構造は平均1次粒子径
0.1μm以下の無機充填剤と親水性バインダーポリマ
ーとから製造することができる。
【0011】また、本発明による平版印刷版は、支持体
上に親水性で、且つ多孔質である画像受容層を設け、該
画像受容層上に画像様に親油性の画像層を形成した基本
構成を有する。該画像層は三次元架橋構造を有し、且つ
該画像受容層とも化学結合による三次元架橋構造を有
し、強固な構造を有している。本発明の画像受容層を構
成する親水性バインダーポリマーは、画像形成材料中の
親油性成分と化学結合する官能基を有することが必要で
ある。画像形成材料中の親油性成分と画像受容層中の親
水性バインダーポリマーとが化学結合することによっ
て、高い画像耐刷性が得られる。
【0012】画像成材料中の親油性成分と親水性バイ
ンダーポリマーとを反応させるためには、後述する親油
性成分の反応性官能基に合わせ、それと反応する官能基
を、親水性バインダーポリマーの共重合モノマー中に導
入するか、或いは親水性バインダーポリマー合成後に導
入すればよい。本発明で適用する反応は反応速度の速い
反応が好ましく、例えば、不飽和基の付加重合反応、イ
ソシアネート基と活性水素との反応であるウレタン化反
応、ウレア化反応、アミノ基とエポキシ基との反応が好
ましく適用出来る。この他、カルボキシル基、水酸基と
エポキシ基の反応、酸無水基と水酸基、アミノ基、イミ
ノ基との反応等の開環付加反応や不飽和基とチオールと
の付加反応も使用できる。
【0013】本発明でいう親水性バインダーポリマーと
は、ポリ(メタ)アクリレート系、ポリオキシアルキレ
ン系、ポリウレタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ
(メタ)アクリルアミド系、ポリエステル系、ポリアミ
ド系、ポリアミン系、ポリビニル系、多糖類系あるいは
それらの複合系などの、側鎖にカルボキシル基、リン酸
基、スルホン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸
基、アミド基、ポリオキシエチレン基などの親水性官能
基を一種類以上且つ複数個含有する炭素−炭素結合から
構成されるポリマー、酸素、窒素、硫黄、リンからなる
ヘテロ原子の少なくとも一種以上で連結された炭素原子
もしくは炭素−炭素結合から構成されるポリマー、また
はその側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸
基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基、
ポリオキシエチレン基等の親水性官能基を一種類以上且
つ複数個含有するポリマーである。
【0014】中でも、側鎖に水酸基、カルボキシル基も
しくはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基もしくはその
アミン塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミ
ノ基もしくはそのハロゲン化水素酸塩、アミド基のいず
れかをあるいはこれらを組み合わせたセグメントを繰り
返し有する親水性バインダーポリマーが好ましい。更に
これらの親水性官能基と主鎖セグメントの一部にポリオ
キシエチレン基を有するものは親水性が高く好ましい。
これらに加えて親水性バインダーポリマーの主鎖もしく
は側鎖にウレタン結合もしくはウレア結合を有するもの
は、親水性のみならず画像受容層の耐刷性も向上するの
でさらに好ましい。
【0015】本発明において用いられる親水性バインダ
ーポリマーの数平均分子量はポリマー処理や塗布組成に
したときの使いやすさ、版にしたときの耐刷性から1.
5×103 〜1×106 の範囲が好ましい。さらに好ま
しくは、5×103 〜5×105 の範囲がより使いやす
い。ここで数平均分子量とはGPC法で求めた換算分子
量であり、測定方法の詳細は実施例に記載する。
【0016】上記の親水性官能基の親水性バインダーポ
リマー中の割合は、前述の主鎖セグメントの種類と使用
する親水性官能基の種類により、それぞれの試料につい
て次に記載する方法で実験的に適宜求めていけばよい。
即ち、本発明の親水性バインダーポリマーは、支持体上
に架橋した親水性バインダーポリマーを実施例に記載す
る印刷試験を行い、印刷用紙へのインキの付着の有無、
あるいは、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差(例
えば、大日本スクリーン製造(株)製、反射濃度計DM
400)で評価するか、水−ケロシンを用いた水中油滴
法接触角測定法(例えば、協和界面科学製接触角計、型
式CA−A)でケロシンが試料に付着するか否かで評価
する。
【0017】前者の方法で評価する場合、肉眼で観察
し、インキ汚れが認められなければ可、認められれば不
可とするか、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差が
0.01未満を可、0.01以上を不可とする。後者の
方法で評価する場合、新聞印刷のように低粘度インキを
使用する印刷向けには、試料の該接触角が約150度よ
り大きいことが必要であり、さらには160度以上が好
ましい。印刷前に練ってから使用する高粘度インキを使
用する印刷版向けには、約135度より大きいことが必
要である。
【0018】本発明の親水性バインダーポリマーは必要
に応じ、後述する種々のその他の成分を含んでよい。本
発明の親水性バインダーポリマーの具体例を以下に例示
する。親水性バインダーポリマーとして、(メタ)アク
リル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イ
タコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリル
アミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、ア
リルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニ
ルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩及びアミン
塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩及び
アミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポ
リオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、アリルアミンもしくはそ
のハロゲン化水素酸塩などの、カルボキシル基、スルホ
ン酸基、リン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸
基、アミド基及びエーテル基などの親水性基を有する親
水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて親水
性ホモもしくはコポリマーを合成する。
【0019】本発明において、平版印刷版の作製に際し
て外部から供給される画像形成材料中の親油性成分は親
水性バインダーポリマーと化学結合することができる反
応性官能基を有するものである。反応を十分に進行させ
るために、必要に応じて加熱昇温または活性光線の照射
を行ってもよい。親水性バインダーポリマーと化学結合
し得る反応性官能基とは、前記の例えば、不飽和基の付
加重合反応、イソシアネート基と活性水素との反応であ
るウレタン化反応、ウレア化反応、アミノ基とエポキシ
基との反応、この他、カルボキシル基、水酸基とエポキ
シ基の反応、酸無水基と水酸基、アミノ基、イミノ基と
の反応等の開環付加反応や不飽和基とチオールとの付加
反応等によって化学結合しうる反応性官能基であり、こ
れらの中から選択すればよい。これらの反応性官能基を
除く分子構成種は硬化したものが親油性を示すものであ
れば特に限定されるものではない。
【0020】上記反応性官能基の内、熱開始反応、光開
始反応とも行うものとしてはエチレン付加重合性不飽和
基、エポキシ基がある。光開始反応しか行わない官能基
としては、光二量化反応で環形成し得る炭素−炭素不飽
和基がある。熱反応のみ行う反応性官能基の組合せ例と
して、カルボキシル基、水酸基、アミノ基とエポキシ
基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基とイソシアネー
ト基、水酸基、アミノ基と酸無水物との組合せ等があ
る。
【0021】熱反応、光反応とも行う親油性成分の具体
例として、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、
(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N
−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプ
ロピル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチ
ルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニ
ル−2ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−
メチロール(メタ)アクリルミド、パラスチレンスルホ
ン酸とその塩、メトキシトリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート(PEGの数平均分子量400)、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数
平均分子量600)、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(P
PG数平均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタ
クリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエ
トキシ)フェニル]プロパンまたはそのアクリレート
体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジ
ェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルハイドロジェンサクシネート、ポリエチレンまたはポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テ
トラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、イソ
ボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレ
ート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフ
ルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク
リレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシ
ッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グリセリン
モノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス(2−アク
リロキシエチル)イソシアヌレートまたはそのメタクリ
ル体、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等
の多官能(メタ)アクリルモノマー類或いはこれらと単
官能(メタ)アクリレートとの組合せ、さらには前記の
親水性基を含有する(メタ)アクリレートモノマーとの
組合せ;N−フェニルマレイミド、N−(メタ)アクリ
ルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカルバゾール、ジ
ビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、トリア
リルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物或いはこ
れらと単官能アリル化合物との組合せ、さらには、水酸
基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基等の反応性
基を利用してエチレン付加重合性不飽和基やエポキシ基
をポリマー分子両末端に含有する1,2−ポリブタジエ
ン、1,4−ポリブタジエン、水添化1,2−ポリブタ
ジエン、イソプレン等の液状ゴム;ウレタン(メタ)ア
クリレート;水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を利
用して、エチレン付加重合性不飽和基、エポキシ基が導
入された反応性ワックス;プロピレングリコール ジグ
リシジルエーテル、トリプロピレングリコール ジグリ
シジルエーテル、ポリプロピレングリコール ジグリシ
ジルエーテル、ネオペンチルグリコール ジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパン トリグリシジルエ
ーテル、水添ビスフェノールA ジグリシジルエーテル
等の多官能エポキシ化合物等が挙げられる。
【0022】光二量化反応のみを行う反応性官能基の具
体例として、シンナモイル基、シンナミリデン基、シア
ノシンナミリデン基,p−フェニレンジアクリレート基
等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル基
とイソシアネート基の組み合わせ、(メタ)アクリル基
とグリシジル基との組み合わせ化合物、熱・光両方で反
応する官能基を有する化合物が親水性バイダーポリマー
との反応が速やかに進行し、さらに親油性成分同士が反
応できるので好ましい。
【0023】これらの親油性成分は室温で固体状、液体
状何れでもよい。本発明の平版印刷版は、製版後は画像
受容層中の親水性バインダーポリマーが三次元架橋され
ており、且つ画像形成材料中の親油性成分が三次元架橋
されており、且つ該親水性バインダーポリマーと該親油
性成分が化学結合により三次元架橋されている。該親水
性バインダーポリマーは、画像形成材料を画像様に付着
させる製版工程の以前に、該画像形成材料中の親油性成
分と化学結合しうる反応性官能基を残した状態で、予め
三次元架橋させておいてもよい。または該製版工程後に
画像形成材料により形成される画像層と同時に三次元架
橋させてもよい。
【0024】カルボキシル基、アミノ基もしくはそれら
の塩、水酸基及びエポキシ基などの官能基を有する親水
性バインダーポリマーは、これらの官能基を利用し、ビ
ニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン
付加重合性不飽和基あるいはシンナモイル基、シンナミ
リデン基、シアノシンナミリデン基、p−フェニレンジ
アクリレート基などの環形成基を導入した不飽和基含有
ポリマーを得ることができる。これに、必要により、該
不飽和基と共重合し得る単官能、多官能モノマーと後述
の重合開始剤と無機充填剤、および必要に応じて後述の
滑剤とを加え、適当な溶媒に溶解し、ドープを調製す
る。これを支持体上に塗布し乾燥後あるいは乾燥を兼ね
て反応させ三次元架橋させることができる。
【0025】水酸基、アミノ基及びカルボキシル基など
の活性水素を含有する親水性バインダーポリマーは、イ
ソシアネート化合物あるいはブロック化ポリイソシアネ
ート化合物及び後述の無機充填剤、および必要に応じて
後述の滑剤とともに上記の活性水素非含有溶剤中に添加
しドープを調合し支持体に塗布し乾燥後あるいは乾燥を
兼ねて反応させ三次元架橋させることができる。
【0026】親水性バインダーポリマーの共重合成分と
してグリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル
基、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基あるいは
アミノ基を有するモノマーを用いることができる。グリ
シジル基を有する親水性バインダーポリマーは、架橋剤
として、1,2−エタンジカルボン酸、アジピン酸など
のα、ω−アルカンもしくはアルケンジカルボン酸、
1,2,3−プロパントリカルボン酸、トリメリット酸
などのポリカルボン酸、1,2−エタンジアミン、ジエ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、α、ω−ビス
−(3−アミノプロピル)−ポリエチレングリコールエ
ーテルなどのポリアミン化合物、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラ
エチレングリコールなどのオリゴアルキレンまたはポリ
アルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのポ
リヒドロキシ化合物を用い、これらとの開環反応を利用
して三次元架橋できる。
【0027】カルボキシル基またはアミノ基を有する親
水性バインダーポリマーは、架橋剤として、エチレンま
たはプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレンまたはポリプロピレングリコールジグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどの
ポリエポキシ化合物を用いたエポキシ開環反応などを利
用して三次元架橋することができる。
【0028】親水性バインダーポリマーが、セルロース
誘導体などの多糖類、ポリビニルアルコールもしくはそ
の部分鹸化物、グリシドールホモもしくはコポリマー、
あるいはこれらをベースとした場合は、これらが含有す
る水酸基を利用し、前記の架橋反応し得る官能基を導入
し、前記の方法により三次元架橋できる。ポリオキシエ
チレングリコールなどの水酸基をポリマー末端に有する
ポリオールまたはアミノ基をポリマー末端に有するポリ
アミンと2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−
トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポ
リイソシアネートとから合成した親水性ポリウレタン前
駆体に、エチレン付加重合性不飽和基または環形成基を
導入して親水性バインダーポリマーとし、前記の方法で
三次元架橋することができる。
【0029】上記合成された親水性ポリウレタン前駆体
が、イソシアネート末端を有する場合は、グリセロール
モノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリル酸、桂皮酸および桂皮アルコールなどの活
性水素を有する化合物と反応させ親水性バインダーポリ
マーとし、前記の方法で三次元架橋することができる。
親水性ポリウレタン前駆体が水酸基あるいはアミノ基末
端を有する場合は、(メタ)アクリル酸、グリシジル
(メタ)アクリレートおよび2−イソシアネートエチル
(メタ)アクリレートなどと反応させ親水性バインダー
ポリマーとし、前記の方法で三次元架橋することができ
る。
【0030】親水性バインダーポリマーが多塩基酸とポ
リオール、多塩基酸とポリアミンとから形成されるポリ
マーの場合は、それらを支持体に塗布後、加熱により三
次元架橋化させる。親水性バインダーポリマーが、カゼ
イン、グルー、ゼラチンなどの場合は、それらの水溶性
コロイド形成化合物を加熱により三次元架橋させて網目
構造を形成してもよい。
【0031】さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、ビニルアルコールといった水酸基含有モノ
マーやアリルアミンから合成したホモもしくはコポリマ
ー、部分鹸化ポリビニルアルコール、セルロース誘導体
といった多糖類、グリシドールホモ若しくはコポリマー
等の、水酸基、アミノ基含有親水性ポリマーと一分子中
に二個以上の酸無水基を有する多塩基酸無水物との反応
で三次元架橋した親水性バインダーポリマーを形成する
方法もある。多塩基酸無水物としては、エチレングリコ
ール ビス アンヒドロ トリメリテート、グリセロー
ル トリス アンヒドロトリメリテート、1,3,3
a,4,5,9b ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ
−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2
−C]フラン−1,3−ジオン、3,3′,4,4′−
ジフェニルスルホンテトラカル酸二無水物、1,2,
3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等を例示でき
る。
【0032】末端にイソシアネート基を残したポリウレ
タンとポリアミン或いはポリオール等の活性水素含有化
合物と後述の無機充填剤、および必要に応じて後述の滑
剤とを溶剤中に溶解若しくは分散させ支持体に塗布して
溶剤を除去した後、昇温によりキュアリングし三次元架
橋させることも出来る。この場合、親水性はポリウレタ
ン若しくは活性水素含有化合物のいずれか若しくは両方
のセグメント、側鎖に親水性官能基を導入することによ
り付与すればよい。親水性を発現するセグメント、官能
基としては上記記載の中から適宜選択すればよい。
【0033】使用することの出来るポリイソシアネート
化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイ
ソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシ
アネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビ
シクロヘプタントリイソシアネート等が例示できる。塗
布工程前後のハンドリング時、イソシアネート基が変化
するのを防ぐことを目的に、イソシアネート基を公知の
方法でブロック化(マスク化)しておくのが好ましい場
合もある。たとえば、岩田敬治著「プラスチック材料講
座ポリウレタン樹脂」日刊工業新聞社刊(197
4)、頁51−52、岩田敬治著「ポリウレタン樹脂ハ
ンドブック」日刊工業新聞社刊(1987)、頁98、
419、423、499等に従い、酸性亜硫酸ナトリウ
ム、芳香族2級アミン、3級アルコール、アミド、フェ
ノール、ラクタム、複素環化合物、ケトオキシム等が使
用できる。イソシアネート再生温度が低温であって親水
性のものが好ましく、例えば酸性亜硫酸ナトリウムが挙
げられる。
【0034】前述の非ブロック化或いはブロック化ポリ
イソシアネートの何れかに付加重合性不飽和基を導入
し、架橋の強化や親油性成分との反応に利用してもよ
い。架橋間平均分子量等架橋度の程度は、使用するセグ
メントの種類、架橋点を形成しうる官能基の種類と量等
により異なるが、要求される耐刷性に応じ決めていけば
よい。通常、架橋間平均分子量は500〜5万の範囲で
設定される。500より短いとかえって脆くなる傾向が
あり、5万より長いと湿し水で膨潤し耐刷性が損なわれ
るので好ましくない場合もある。耐刷性、親水性のバラ
ンス上、800〜3万さらには1000〜1万程度が実
用的である。
【0035】本発明の親水性バインダーポリマーは、下
記の単官能モノマー、多官能モノマーを併用させてもよ
い。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンド
ブック」大成社刊(1981)、加藤清視著「紫外線硬
化システム」総合技術センター刊(1989)、加藤清
視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子
刊行会(1985)、赤松清監修「新・感光性樹脂の実
際技術」シーエムシー、頁102−145、(198
7)等に記載されているN,N′−メチレンビスアクリ
ルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピ
リジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルア
ミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N
−メチロール(メタ)アクリルアミド、パラスチレンス
ルホン酸とその塩、メトキシトリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量4
00)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アク
リレート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシ
エチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル
(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカン
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(PEGの数平均分子量600)、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1
000)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PPG数平均分子量400)、2,2−ビス
[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキ
シ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタク
リロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンまたはそ
のアクリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチハドロジェンサクシネート、ポリエチレ
ンまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グ
リセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートまたはそ
のメタクリル体、N−フェニルマレイミド、N−(メ
タ)アクリルオキシコハク酸イミド、N−ビニルカルバ
ゾール、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿
素等がある。
【0036】親水性バインダーポリマーの三次元架橋反
応をエチレン付加重合性不飽和基を用いて行うときは、
ラジカル重合開始剤を用いることが反応効率上好まし
い。ラジカル重合開始剤は、アゾ系開始剤、過酸化物系
開始剤、レドックス系開始剤といった公知の開始剤を使
用することができ、反応温度、溶剤、所望する平均分子
量、残存開始剤後処理などを考慮し選択すればよい。過
剰に用いて重合反応終了後に行う付加反応時に実質的に
残存しないよう、適正量添加することが大切である。も
し重合反応後残存開始剤量が無視できない場合、加熱し
て失活させるか、一旦得られたポリマーを単離精製する
操作を施すことが必要となる。
【0037】熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベ
ンゾイル、2,2−アゾビスイソブチルニトリル、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等
の過硫酸塩、過硫酸塩−亜硫酸水素ナトリウム等の過酸
化物、アゾ化合物、レドックス開始剤といった公知のも
のが使用できる。熱重合開始剤の使用量は、ドープ溶媒
を除いた成分に対し、0.01〜10重量%の範囲がよ
い。0.01重量%より少ないと硬化時間が長くなりす
ぎ、10重量%より多いとドープ調合中に生じる熱重合
開始剤の分解によりゲル化が起こることがある。効果と
取扱い性を考慮すると、好ましくは、0.1〜5重量%
である。
【0038】光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイ
ン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプ
ロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、キ
サントン、チオキサントン、クロロキサントン、アセト
フェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフ
ェノン、ベンジル、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシ
アセトフェノン、(2−アクリロイルオキシエチル)
(4−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化アンモニウ
ム、(4−ベンゾイルベンジル)塩化トリメチルアンモ
ニウム、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプ
ロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン
−9−オン−メソクロライド、1−フェニル−1,2−
プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、チ
オフェノール、2−ベンゾチアゾールチオール、2−ベ
ンゾオキサゾールチオール、2−ベンズイミダゾールチ
オール、ジフェニルスルフィド、デシルフェニルスルフ
ィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジベンジルスルフ
ィド、ジベンゾイルジスルフィド、ジアセチルジスルフ
ィド、ジボルニルジスルフィドジメトキシキサントゲン
ジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、
テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンジルジメ
チルジチオカーバメイトキノキサリン、1,3−ジオキ
ソラン、N−ラウリルピリジニウム等が例示できる。こ
れらの中から、製造工程で用いる光源の波長領域に吸収
を持ち、ドープを調合する際使用する溶媒に溶解若しく
は分散するものを適宜選択すればよい。通常、使用する
溶媒に溶解するものが反応効率が高く好ましい。
【0039】光カチオン重合開始剤としては、芳香族ジ
アゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニ
ウム塩等がある。この開始剤を用いるときは、架橋反応
種としてエポキシ基も併用できる。前述のエポキシ基含
有化合物を架橋剤もしくは、親水性バインダーポリマー
として用いるか、親水性バインダーポリマーにエポキシ
基を導入すればよい。光二量化反応の場合、2−ニトロ
フルオレン,5−ニトロアセナフテン等、該反応に一般
的によく知られた各種増感剤も使用できる。
【0040】上記以外にも、徳丸克巳他著「増感剤」、
2章、4章、講談社刊(1987)、加藤清視著「紫外
線硬化システム」総合技術センター刊)、頁62−14
7(1989)、ファインケミカル、Vol.20 N
o4、16(1991)に記載されている公知の重合開
始剤も使用できる。添加量は、ドープ中の溶媒を除いた
有効成分に対し、0.01%〜20重量%の範囲で使用
できる。0.01重量%より少ないと光開始剤の効果が
発揮されず、20%重量より多いと、活性光線の開始剤
による自己吸収のため内部への光の到達が不良となり所
望する耐刷力を発揮することが出来なくなることがあ
る。実用的には0.1〜10重量%の範囲で開始剤とし
ての効果と非画像部の地汚れとのバランスで組成に応じ
て決定するのが好ましい。
【0041】活性光線の光源としては、メタルハライド
ランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、ケミ
カルランプ、殺菌線ランプ等公知のものが使用できる。
また熱源としては、赤外線ランプ、通常のニクロムヒー
ター、熱風などが例示できる。本発明の画像受容層は無
機充填剤を有することが必要である。該無機充填剤とし
ては、一次粒子の平均径は0.1μm以下であることが
必要であり、好ましくは5〜30nmである。また、三
次元網目状の凝集構造を形成するものが好ましい。例え
ば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナ
イト、ハロイサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム等を例示することができる。中でも
三次元網目状の凝集構造を形成する二酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムが好まし
く、三次元網目状の凝集構造を形成する二酸化珪素が特
に好ましい。
【0042】二酸化珪素の微粒子を工業的に製造する方
法は、火炎加水分解法と湿式法とに大別される。火炎加
水分解法では、内部表面積を持たない球状一次粒子が三
次元網目状に凝集した生成物として得られる。湿式法で
は製造条件により得られる生成物が大きく異なるが、適
切な条件制御により三次元網目状の凝集構造を有する生
成物が得られる。より詳しくはILER,R.K.Th
e Chemistry of Silica、A W
iley−Interscience Publica
tion、John Wiley & Sons、Ne
w York、1979またはBRINKER、C.
J.;SCHERER、G.W. Sol−Gel S
cience. The Physics and C
hemistry of Sol−Gel Proce
ssing、Academic Press In
c.、Boston、1990に記載されている。
【0043】三次元網目状の凝集構造を形成する酸化ア
ルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等も、上記
の二酸化珪素と同様な処理をすることで製造することが
できる。本発明の平版印刷原版は、三次元網目状の凝集
構造を形成する無機充填剤を水に分散させ、該分散液に
親水性バインダーポリマーを溶解させたドープを、後述
する支持体に塗布乾燥させることで得られ、多孔質構造
を有する。該多孔質構造は、その保水性による非画像性
の向上、また表面積の拡大による画像受容性および画像
耐刷性の向上に有効である。また、無機充填剤が三次元
網目状の凝集構造を有していない場合には、公知の多孔
質形成方法により所望の構造を得ることができる。本発
明に応用できる多孔質形成方法として、以下の(1)〜
(3)の方法が例示できる。 (1)可溶性物質の微粒子を分散させた、親水性バイン
ダーポリマーおよび無機充填剤を含むドープを支持体に
塗布乾燥し、該可溶性物質のみを溶解除去できる適当な
溶剤で溶出させ多孔質構造を得る方法。 (2)親水性バインダーポリマーの融点よりも高い温度
で発泡する物質を上記ドープに混合し、該塗布液を支持
体に塗布した後、該親水性バインダーポリマーの融点よ
り高い温度で発泡剤を分解させ多孔質構造を得る方法。 (3)蒸発により除去可能な物質を上記ドープに混合
し、該塗布液を支持体に塗布した後、該物質を蒸発させ
多孔質構造を得る方法。
【0044】本発明の印刷材料に用いる無機充填剤とし
ては、一次粒子径の大小により、一次粒子の凝集力、細
孔径、空隙率などの凝集構造が変化する。本発明におい
ては平均一次粒子径は0.1μm以下であることは必要
であり、好ましくは5〜30nmである。二酸化珪素の
場合については5〜20nmのものが特に好ましい。無
機充填剤の混合量は、親水性バインダーポリマーの20
〜140重量%が好ましく、50〜100重量%が特に
好ましい。20重量%よりも少ない場合は画像受容層の
強度が不足し、逆に140重量%よりも多い場合は多孔
質構造が不適切になり画像受理性、保水性、耐刷性など
の性能が不足する。
【0045】本発明の画像受容層は、空隙率30〜80
%が好ましい。空隙率が30%より小さい場合は非画像
性が低下し汚れが発生し易く、画像部の耐刷力も悪化す
る。空隙率が80%より大きい場合には、画像受容層の
機械的強度に乏しく、画像部および非画像部ともに耐刷
性が低下する。また、画像受容層の平均空孔径は0.0
5〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmが特に好ま
しい。0.05μmより小さい場合および1μmより大
きい場合は、非画像性が低下し汚れが発生しやすい。
【0046】画像受容層とコントラストが良好な発色を
示す公知の色素を画像形成材料に混合し、画像層の可視
化を図ると検版を行ないやすいので好ましい。親水性ま
たは画像受容性の調整を目的として、使用する親水性バ
インダーポリマーおよび親油性成分と反応しない非反応
性親水性ポリマーを耐刷性を損なわない範囲で親水性画
像受容層に添加してもよい。
【0047】さらに、版の滑り性向上、版と版とを重ね
たときの密着防止を兼ね、ステアリン酸、ミリスチン
酸、ジラウリルチオジプロピオネート、ステアリン酸ア
ミド、ステアリン酸亜鉛等の常温固体の滑剤を親水性画
像受容層に少量添加することが出来る。本発明の平版印
刷原版は、上記親水性バインダーポリマーおよび無機充
填剤からなる親水性画像受容層を支持体の上に、公知の
方法で、一定の厚みに設けて得られる。具体的には親水
性バインダーポリマーと無機充填剤を含む塗布液を支持
体上にロールコート、ブレードコート、スプレーコー
ト、バーコート、カーテンコートといったコーティング
方法でコーティングするか、キャスティング方法で支持
体上に膜形成して設ける等の方法がある。用いられる溶
剤若しくは分散溶媒としては、例えば水、トルエン、酢
酸エチル、メチルエチルケトン、THF、アセトニトリ
ル、これらを中心とした混合溶剤等、高沸点でなければ
大概の溶剤が使用できる。溶解状態で塗布するには水が
好ましい。水を用いる場合でも、蒸発速度制御上、水に
溶解度を有する溶剤を少量添加してもよい。分散状態で
塗布する際、分散安定化のために、ノニルまたはオクチ
ルフェノールのエチレンオキサイド付加物、直鎖アルキ
ルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、プルロニック型洗
剤等といった公知の界面活性剤を少量併用することも出
来る。親水性画像受容層の厚みは特に限定されないが、
0.01μmないし100μmの範囲が適用される。通
常は0.5μmないし10μmの範囲である。
【0048】本発明に使用される支持体は、印刷分野に
要求される性能とコストを勘案して公知の材料から選択
すればよい。多色刷りといった高寸法精度が要求される
場合、版胴への装着方式が金属支持体に合わせて出来上
がっている印刷機で用いる場合には、アルミ、スチール
製等の金属支持体が好ましい。多色印刷せず高耐刷性が
要求される場合はポリエステル等のプラスチック支持
体、さらに低コストが要求される分野には紙、合成紙、
防水樹脂ラミネート或いはコート紙支持体が使用でき
る。支持体と接触する材料との接着性向上のために支持
体自身の表面処理を施したものを使用してもよい。かか
る表面処理の例としてアルミシートの場合、各種研摩処
理、陽極酸化処理があり、プラスチックシートの場合、
コロナ放電処理、ブラスト処理等がある。
【0049】耐刷力等の必要に応じ、支持体の上に接着
剤層を設けることが出来る。一般的には高耐刷性を必要
とする場合、接着剤層を設ける。接着剤は親水性画像受
容層成分と使用する支持体に合わせ選択・設計する必要
がある。山田章三郎監「接着・粘着の事典」朝倉書店刊
(1986)、日本接着協会編「接着ハンドブック」日
本工業新聞社刊(1980)等に記載のアクリル系、ウ
レタン系、セルロース系、エポキシ系等接着剤が使用で
きる。これらの中でも、高親水性ポリマーを支持体上に
設ける観点から、ポリアリルアミン系接着剤が好まし
い。接着剤層の厚みは均一に設けらられていれば特に制
約はないが、平均的に0.1〜3μmの範囲で塗布すれ
ばよい。通常は1μm前後で塗布される。
【0050】本発明の平版印刷原版は、該平版印刷原版
の親水性画像受容層上に親油性画像層を形成し、一方非
画像性能は親水性画像受容層で発現させることで、平版
印刷版として使用するものである。架橋処理の施されて
いない平版印刷原版を用いた場合には、上記したように
印刷前の何れかの段階で架橋処理を行う。以下に平版印
刷原版上に親油性画像層を形成し、平版印刷版を作製す
る方法を示す。 1)支持体上に設けた親水性画像受容層上にポジタイプ
(光照射された領域が可溶化)若しくはネガタイプ(光
照射された領域が不溶化)の公知の感光層を設け、画像
担体フィルムを介し画像形成露光を行うかディジタルデ
ータに基づきレーザーで直接露光描画し、現像液で溶解
する感光層を除去し親水性画像受容層を露出させ親水性
非画像部を形成する。現像処理で除去されなかった感光
層は親油性画像部を形成する。こうして平版印刷版が作
製される。 2)支持体上に設けた親水性画像受容層上に熱硬化性の
親油性感熱層を設け、レーザーで画像描画露光を行い、
未硬化部分を洗い出し除去し親水性画像受容層を露出さ
せ非画像部を形成し、硬化層は親油性画像部となる。こ
うして平版印刷版が作製される。 3)支持体上に設けた親水性画像受容層上に親油層を設
け、レーザーで親油層上に描画し非画像相当領域親油層
をレーザーでアブレージョンさせ下層の親水性画像受容
層を露出させ親水性非画像部を形成する。アブレージョ
ンされなかった領域は親油性画像部となる。光硬化性親
油層を用い、アブレージョン前には架橋させずアブレー
ジョン後に全面露光してアブレージョンに要するエネル
ギーを低くさせ、かつ描画後の露光により親油層の機械
的強度を向上することも出来る。こうして平版印刷版が
作製される。 4)支持体上に設けた親水性画像受容層上に直接、イン
キ、塗料を用い、描画、印刷、転写、タイプすることに
より親油性画像部を形成し平版印刷版を作製することが
出来る。さらに具体的には、インキジェット方式で画像
描画する方法、昇華性材料若しくは熱溶融性材料を用い
転写層としたテープあるいはシートを介しレーザ若しく
はサーマルヘッドで熱転写する方法がある。熱溶融性材
料として感光性材料を用いた場合、転写された部分を全
面露光することにより画像部を強化出来、耐刷性を著し
く向上させることが可能である。 5)支持体上に設けた親水性画像受容層上に電子写真方
式でトナーを熱融着させ親油性画像部を形成し平版印刷
版とすることも出来る。
【0051】本発明の平版印刷原版は、通常の平版印刷
の他にショートラン印刷、さらには校正印刷の用途にも
使用できる。校正印刷版作製は画像担体フィルムを介し
たアナログ露光方式と画像データをディジタル信号のま
ま直接描画する方式がある。最近ではフィルムを出力し
ないダイレクトディジタル方式が注目されている。本発
明の親水性バインダーポリマーを用いることにより洗い
出し、現像工程が一切不要のダイレクト平版材が可能に
なり、画像形成工程変動を最小に抑制でき印刷画像品質
の管理が容易になることから、本方式にも本発明の平版
印刷原版は効果的である。
【0052】
【発明の実施の形態】以下本発明を実施例をもってさら
に具体的に説明する。文中、部は注意書きがない限り重
量部である。なお、一次ポリマー及び二次ポリマーのG
PC法による数平均分子量測定は以下のように行った。
機器:日本分光製TRI−ROTAR VI、カラム:
SB−804HQ 1本、ガードカラム:SB−G 1
本、溶離液:NaNO3 50ミリモル水溶液、カラム温
度:30℃、流量:0.5ml/min、検出器:R
I、検量線作成標準物質:PEG−PEO。
【0053】
【実施例1】 (1)親水性バインダーポリマーP1の製造 セパラブルフラスコ中にアクリル酸216部、トルエン
1920部を計量し、室温で攪拌しながらアゾビスイソ
ブチロニトリル(以下AIBNと略記する。)2.46
部を徐々に滴下し加えた。その後、60℃に昇温し3時
間攪拌した。生成して沈殿した重合体を濾過しトルエン
約2リットルで洗浄し、80℃で大凡乾燥した。次い
で、該重合体を、水を入れたセパラブルフラスコに移し
溶かした。その溶液にアセトニトリルを滴下し重合体を
再分離し洗浄した。濾過した重合体を恒量になるまで乾
燥し、一次ポリマー204部を得た(GPC法による数
平均分子量:6×104 )。
【0054】次いで、セパラブルフラスコ中のN,N−
ジメチルフォルムアミド(以下DMFと略記する。)
に、一次ポリマー27.3部を仕込んだ。減圧脱水を行
い溶液中の水分をカールフィッシャー法で測定し180
0ppmになったところで、乾燥空気気流中、乾燥DM
Fに溶かした2−イソシアナトエチルメタクリレート
9.3部と2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
(BHT)0.1部とを滴下ロートからフラスコ内を攪
拌しながら30分間かけて添加した。添加終了後、徐々
に昇温し60℃で1時間攪拌した時点で赤外分光法でイ
ソシアナト基の特性吸収が検出出来なくなった。内容物
を冷却し、アセトニトリル中でポリマーを単離乾燥し、
再度メタノールに溶解、アセトニトリルで単離を行い精
製し二次ポリマーを得た(NMR法による付加重合性不
飽和基導入率:5.3モル%)。このポリマーを水に溶
解し計算量の苛性ソーダでカルボン酸を80当量%分中
和して本発明の親水性バインダーポリマー(P1)を製
造した(ナトリウム塩化前の数平均分子量:6.5×1
4 )。 (2)平版印刷原版の作製 脱脂した厚み0.24mmのアルミ板に下記組成のアン
カー剤を塗工し乾燥・硬化させた支持体(アンカー層の
厚み:1μm)上に、(1)で製造したポリマー(P
1)10部、三次元網目状の凝集構造を有する二酸化珪
素(日本アエロジル製 アエロジル200 平均一次粒
子径約12nm)5部、ラジカル重合開始剤として(2
−アクリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジ
ル)ジメチル臭化アンモニウム0.2部、水80部から
なるドープ液をバーコータで塗布乾燥し平版印刷原版を
作製した。アンカー剤組成:ポリアリルアミン(日東紡
績製PAA−10C、10wt%水溶液)10部、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル(n=9)
0.8部、アセトン8部。
【0055】得られた平版印刷原版を走査型電子顕微鏡
((株)日立製作所製 S−2700)で観察し、空孔
径を測定した。500点の測定結果より計算したとこ
ろ、平均空孔径は0.15μmであった。同様に得られ
た平版印刷原版の断面を観察し画像受容層の平均厚みを
計算したところ、3.0μmであった。面積既知の該平
版印刷原版の画像受容層作製前後の重量変化および該平
均画像受容層厚みから計算したところ、空隙率は50%
であった。 (3)平版印刷版の作製及び印刷 特公昭49−34041号公報記載の実施例1に準拠し
て製造した。ポリアクリル酸−スチレン共重合体にグリ
シジルメタクリレートをカルボキシル基に対し、68モ
ル%付加させて得られる側鎖に不飽和基を有するアクリ
ル樹脂100部、モノマーとしてテトラメチロールメタ
ンテトラメタクリレート25部、光重合開始剤として
1,2−ベンズアントラキノン0.9部、ベンゾインメ
チルエーテル0.1部とからなる感光性樹脂を、(2)
で得られた平版印刷原版にブレードコーターを用いて乾
燥塗布後の厚みが2g/m2 となるように塗布して感光
層を設けた。次いで、この感光層面にネガフィルムを密
着させ、約1m離したところから水冷式高圧水銀灯で9
0秒間露光した後、リン酸ナトリウム1部、メタノール
10部、水100部の割合から成る現像液で現像し未露
光部の感光層を除去して、親水性非画像部と親油性画像
部を形成し平版印刷版を作製した。こうして得られた印
刷版をオフセット印刷機(ハマダ611XLA)に装着
し、湿し水(富士写真フィルム(株)製、EU−3、1
00倍希釈)、インキ(大日本インキ工業(株)製、G
EOS−G)を用い上質紙に対し印刷したところ、地汚
れもなく、2万枚の印刷物を得ることが出来た。版面の
インキを除去した他は何の処理も加えず版をそのまま装
着し翌日、印刷を再開したところ損紙も初回に比べ増え
ることなく良好に印刷出来た。
【0056】
【実施例2】 (1)親水性バインダーポリマーP2の製造 実施例1と同様にして、数平均分子量12×104 のポ
リアクリル酸一次ポリマーを得た。該一次ポリマー2
8.5部に対し、2−イソシアナトエチルアクリレート
8.1部を添加して反応させた。得られたポリマーを単
離してNMR法により付加重合性不飽和基導入率を測定
したところ、11当量%であった。このポリマーを水に
溶解させ苛性ソーダで部分中和しカルボン酸の70当量
%までナトリウム塩化し、本発明の親水性ポリマー(P
2)を製造した(ナトリウム塩化前の数平均分子量:1
4×104 )。 (2)平版印刷原版の作製 コロナ放電処理を施してある100μm厚みのポリエス
テルシート上に実施例1で使用したのと同一のアンカー
剤を塗布して支持体とした(アンカー層の厚み:1μ
m)。アンカー層上に(1)で得られたポリマー(P
1)10部、二酸化珪素(日本アエロジル製 アエロジ
ル300 平均一次粒子径約7nm)5部、ラジカル重
合開始剤として(2−アクリロイルオキシエチル)(4
−ベンゾイルベンジル)ジメチル臭化アンモニウム0.
2部、水80部からなるドープ液をバーコータで塗布し
乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線露光し(露光量:7J/
cm2)平版印刷版材を作製した。実施例1と同様に計
算したところ、画像受容層の平均空孔径0.12μm、
平均厚み3.2μm、空隙率は60%であった。 (3)平版印刷版の作製及び印刷 市販されているインキジェット用インキ10部に対し2
−ヒドロキシエチルアクリレート2部と4−(2−ヒド
ロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロ
ピル)ケトン0.2部を混合し感光性のインキを作製し
た。このインキを用いインキジェットプリンターで画像
描画し、全面を実施例1の水銀灯で60秒間露光した。
こうしてインキで描画された領域が親油性画像部、描画
されない領域は親水性非画像部を成す平版印刷版を作製
した。こうして得られた印刷版を実施例1で用いた印刷
条件にて印刷したところ高品位な印刷物が得られた。
【0057】
【実施例3】 (1)親水性バインダーポリマーP3の製造 セパラブルフラスコにアセトン300部、スルフォエチ
ルメタクリレート21部、アクリル酸15.8部を仕込
み、窒素気流中、45℃に加温し攪拌しているところ
に、アセトンに溶解したAIBN0.52部を約30分
間かけて滴下した。6時間攪拌したところで生成した重
合体を濾過しアセトン洗浄を数回繰り返し、ラジカル重
合開始剤、モノマーの残存がほぼないことを確認した。
この重合体を真空乾燥し一次ポリマーを得た(GPC法
による数平均分子量:16.4×104 。元素分析から
求めた重合体中のモノマー組成比率は上記の順に、33
/67と概ね仕込みモル比率に合致していた。) 次いで、該一次ポリマー10.8部をトルエン133
部、BHT0.012部が既に仕込んであるセパラブル
フラスコに計り取り、乾燥空気気流中、攪拌しながら9
0℃に昇温した。そこに2−イソシアナトエチルメタク
リレート1.6部とジブチル錫ジラウレート0.03部
を徐々に滴下した。約9時間攪拌したところで赤外分光
法におけるイソシアナト基の特性吸収がほぼ無視できる
までに反応が進行した。分散しているポリマーを濾過し
アセトンで数回洗浄し、真空乾燥した(NMR法で測定
した付加重合性不飽和基の導入率は5.6当量%。)。
得られたポリマーを水に溶解し、苛性カリでカルボキシ
ル基とスルフォン酸基との60当量%を部分中和し本発
明の親水性バインダーポリマー(P3)を製造した(カ
リウム塩化前の数平均分子量:17.3×104 )。 (2)平版印刷原版の作製 (1)で得られた親水性ポリマー(P3)を用いる他は
実施例1と同様にして表面親水性を有する平版印刷原版
を作製した。実施例1と同様に計算したところ、画像受
容層の平均空孔径0.18μm、平均厚み2.8μm、
空隙率は45%であった。 (3)印刷版の作製及び印刷 (2)で作製した平版印刷原版に実施例1で用いた感光
性樹脂を塗布した後、実施例1の平版印刷版作製と同様
の方法で平版印刷版を作製した。この印刷版を実施例1
で使用した印刷機でインキ(日本新聞インキ(株)製、
新聞用オフ輪インキ<高粘度タイプ>)、湿し水(日本
新聞インキ(株)製、ドンエッチ)を用い印刷したとこ
ろ画像品位に優れた印刷物が1万部を過ぎても得られ
た。
【0058】
【比較例1】 (1)ポリマーP4の製造 実施例1で得られた一次ポリマーと同様にして親水性ポ
リマー(P4)を製造した。 (2)印刷版材、印刷版の作製並びに印刷 (1)で得られた親水性ポリマー(P4)を用い、実施
例1と同様にして印刷用版材を作製し、次いで画像形成
し印刷版を作製した。百部もしないうちから画像部の反
射濃度低下および部分的欠損が発生し、画像部の耐刷力
が不十分であった。
【0059】
【比較例2】 (1)ポリマーP5の製造 実施例1で得られた親水性バインダーポリマー(P1)
と同様にして親水性ポリマー(P5)を製造した。 (2)印刷版材、印刷版の作製並びに印刷 (1)で得られた親水性ポリマーP5を用い、二酸化珪
素を添加しないこと以外は実施例1と同様にして印刷用
版材を作製し、次いで画像形成し印刷版を作製した。百
部を越えた程度から画像部の反射濃度低下および部分的
欠損が発生し、画像部の耐刷力が不十分であった。更に
非画像部の地汚れも発生した。
【0060】
【発明の効果】本発明の平版印刷原版を用いて作製され
た平版印刷版は、安価であって高い耐刷性を有し、撥イ
ンキ性に優れ、高い画像再現性を示す。通常平版印刷で
非画像部として使用される陽極酸化されたアルミ支持体
に匹敵する耐刷性の非画像性能を発揮する。特に、通常
の練りインキ使用印刷分野はもとより、新聞用オフセッ
トインキといった練りインキに比べ遥かに低粘度のイン
キ使用印刷においても、良好な印刷性能を発揮する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の上に画像受容層を設け、該画像
    受容層が親水性バインダーポリマーと平均1次粒子径が
    0.1μm以下である無機充填剤とから構成され、空隙
    率30〜80%および平均空孔径0.05〜1μmであ
    る多孔質構造を有する平版印刷原版であって、該親水性
    バインダーポリマーが外部より供給される画像形成材料
    の親油性成分と化学結合する官能基を有する平版印刷原
    版。
  2. 【請求項2】 親水性バインダーポリマーと画像形成材
    料に含有される親油性成分との化学結合が、不飽和基の
    付加重合反応、イソシアネート基またはブロック化イソ
    シアネート基と活性水素とのウレタン化反応またはウレ
    ア化反応、カルボキシル基、水酸基またはアミノ基とエ
    ポキシ基との反応による結合である請求項1記載の平版
    印刷原版。
  3. 【請求項3】 親水性バインダーポリマーが、ポリ(メ
    タ)アクリレート系、ポリオキシアルキレン系、ポリウ
    レタン系、エポキシ開環付加重合系、ポリ(メタ)アク
    リルアミド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリア
    ミン系、ポリビニル系、多糖類系あるいはそれらの複合
    系などの、側鎖にカルボキシル基、リン酸基、スルホン
    酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド
    基、ポリオキシエチレン基などの親水性官能基を一種類
    以上且つ複数個含有する炭素−炭素結合から構成される
    ポリマー、酸素、窒素、硫黄、リンからなるヘテロ原子
    の少なくとも一種以上で連結された炭素原子もしくは炭
    素−炭素結合から構成されるポリマー、またはその側鎖
    にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基
    もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ポリオキシエ
    チレン基等の親水性官能基を一種類以上且つ複数個含有
    するポリマーである請求項1記載の平版印刷原版。
  4. 【請求項4】 無機充填剤が、二酸化珪素、酸化アルミ
    ニウム、酸化チタン、および酸化ジルコニウムより選ば
    れる少なくとも一種以上の無機充填剤であって、且つ三
    次元網目状の凝集構造を形成しうる無機充填剤である請
    求項1記載の平版印刷原版。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の平版印刷原版に、画像形
    成材料を画像様に付着させて親油性の画像層を形成して
    なる平版印刷版。
JP21081897A 1997-08-05 1997-08-05 高耐刷性の平版印刷原版 Pending JPH1148630A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21081897A JPH1148630A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 高耐刷性の平版印刷原版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21081897A JPH1148630A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 高耐刷性の平版印刷原版

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005239817A Division JP2006027278A (ja) 2005-08-22 2005-08-22 高耐刷性の平版印刷原版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1148630A true JPH1148630A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16595640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21081897A Pending JPH1148630A (ja) 1997-08-05 1997-08-05 高耐刷性の平版印刷原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1148630A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003065087A1 (fr) * 2002-02-01 2003-08-07 Nitto Denko Corporation Film optique auto-adhesif et affichage d'image

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003065087A1 (fr) * 2002-02-01 2003-08-07 Nitto Denko Corporation Film optique auto-adhesif et affichage d'image
CN100359347C (zh) * 2002-02-01 2008-01-02 日东电工株式会社 粘合型光学薄膜和图像显示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5569573A (en) Lithographic printing original plates and platemaking process using the same
JP3157843B2 (ja) ダイレクト感熱平版印刷版とその製造方法
JPH10333321A (ja) 印刷現像感光性平版印刷版及びその製版方法
JP3064807B2 (ja) 平版印刷原版およびその製版方法
JPH08292558A (ja) 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版
JP3206297B2 (ja) 感熱ダイレクト平版原版とその製版方法
JPH1148630A (ja) 高耐刷性の平版印刷原版
JP3841546B2 (ja) オフセット印刷版材
JP2006027278A (ja) 高耐刷性の平版印刷原版
JPH106468A (ja) 改良された感熱ダイレクト平版原版
JP3769107B2 (ja) 高性能なダイレクト感熱平版印刷原版
JP2000025353A (ja) 改良された平版印刷原版
JP3654473B2 (ja) 改良された感熱ダイレクト平版原版の製造方法
JPH1165098A (ja) 感光性平版印刷版の製版方法
CN109263338B (zh) 一种在机显影免处理热敏版及其制备方法
JP3744622B2 (ja) 平版材および平版印刷版
JPH08234415A (ja) 感光性平版印刷版原版
JPH1152555A (ja) 平版印刷版
JP2001353976A (ja) 撥インク層及び印刷版
JPH10211771A (ja) オフセット印刷用版材
JPH0950120A (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JPH09230582A (ja) 感光性平版印刷版原版の製造方法
JPH0950118A (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JPH09230583A (ja) 感光性平版印刷版原版およびそれを用いた平版印刷版の製造方法
JPH1184636A (ja) 平版印刷版

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20041216

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050621

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050822

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060307