JPH0950118A - 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法 - Google Patents

感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法

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JPH0950118A
JPH0950118A JP20444195A JP20444195A JPH0950118A JP H0950118 A JPH0950118 A JP H0950118A JP 20444195 A JP20444195 A JP 20444195A JP 20444195 A JP20444195 A JP 20444195A JP H0950118 A JPH0950118 A JP H0950118A
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polymer
hydrophilic
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printing plate
water
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JP20444195A
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Masanao Isono
正直 磯野
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のPS版で必要な物理的現像工程を不要と
し製版工程を極めて簡便なものとする。またインキ反撥
性を発現するために必要な基板への特殊な表面処理も不
要とする。安価な平版印刷版を製造する。さらに、わず
かな湿し水の供給量で効率よくインキを反撥し、湿し水
のコントロール幅を拡大する。また、湿し水にイソプロ
パノール等を添加することも不要とする。 【解決手段】本発明の感光性平版印刷版原版は、親水性
ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマを主成分と
する相の少なくとも2相から構成された相分離構造を有
する親水性膨潤層の水膨潤性およびゴム弾性が、相内に
含まれる感光性基が光反応することによって変化し、露
光部と未露光部の間でインキ反撥性差を生じ、画像形成
を行なうものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性平版印刷版原
版に関するものであり、特に現像処理が簡便で、不感脂
化処理を行なうことなく高いインキ反撥性を有し、湿し
水として純水を使用できる新規な感光性平版印刷版原版
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。またこのような平版印刷には通常、PS版が用い
られる。
【0003】ここで言うPS版とは、下記のものを意味
する。
【0004】すなわち、米澤輝彦著「PS版概論」
(株)印刷学会出版部(1993)p18〜p81に記
載されているように、親水化処理されたアルミニウム基
板上に親油性の感光性樹脂層を塗布し、フォトリソグラ
フィの技術により画線部は感光層が残存し、一方非画線
部は上記したアルミ基板表面が露出し、該表面に湿し水
層を形成してインキ反撥し、画像形成する水ありPS版
と、湿し水層の代わりにシリコーンゴム層をインキ反撥
層として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版であ
る。
【0005】ここで言う水なし平版とは、非画線部がシ
リコ−ンゴム、含フッ素化合物などの通常平版印刷で用
いられる油性インキに対してインキ反撥性を有する物質
からなり、湿し水を用いずにインキ着肉性の画線部との
間で画像形成し、印刷可能な印刷版を意味する。
【0006】前者の水ありPS版は実用上優れた印刷版
で、支持体に通常アルミニウムが用いられ、該アルミニ
ウム表面は保水性を有するとともに印刷中に親油性の感
光性樹脂層が該表面から剥離脱落しないように感光層と
の接着性に優れている必要があった。そのため、該アル
ミニウム表面は通常砂目立てされ、さらに必要に応じて
この砂目立てされた表面を陽極酸化するなどの処理が施
され、保水性の向上と該感光性樹脂層に対する接着性の
補強が計られてきた。また、該感光性樹脂層の保存安定
性を得るために該アルミニウム表面はフッ化ジルコニウ
ム、ケイ酸ナトリウムなどの化学処理が一般的に施され
ている。
【0007】このように水ありPS版は製造工程が複雑
であり、その簡易化が望まれていたが、該版の優れた印
刷特性(耐刷性、画像再現性など)から広く使用されて
いる。
【0008】上記問題を解決すべく、アルミニウム基板
と同等もしくはそれ以上の印刷特性を有し、しかも材料
コストが安くかつ簡易な製造工程によるアルミニウム基
板とは異なる新規な平版材料の提案がある。例えば、特
公昭56−2938号公報においては、アルミニウム基
板に代えて親水性高分子材料からなるインキ反撥層を塗
設した支持体を用い、該支持体上に感光層を形成する方
法が提案されている。しかしながら、該方法は、ポリ塩
化ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコールのアル
デヒド縮合物の耐水性層上に親水性層として尿素樹脂が
単純塗布されているものであるため、該層はインキ反撥
性が不十分であるうえ、感光性樹脂層との密着性にも劣
るものであり、耐刷性が不十分なものであった。また、
特開昭57−179852号公報においては、支持体上
に親水性ラジカル重合化合物を塗設し、活性光線の照射
によって該支持体表面を親水化処理し、感光性樹脂層を
塗設する方法が提案されている。しかしながら、該方法
によって形成された親水性表面層も剛直でインキ反撥性
は不十分であり、耐刷性にも乏しいものであった。また
これらの水ありPS版の現像に際しては、感光層を溶解
してアルミ基板表面を露出させる方式であるため、感光
層成分が現像液中に溶解させることが必須で、該現像液
は短期間に大幅に組成変動が起こり疲労してしまうた
め、大量の現像廃液が発生する。
【0009】そのため、該現像液は頻繁にメンテナンス
し交換する必要があった。また発生した現像廃液の処理
には多大な労力と費用が必要であった。
【0010】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有しP
PCを用いて画像形成し、非画像部をエッチ液などで不
感脂化処理して該画像受理層をインキ反撥層に変換させ
て使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供されてい
る。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バインダポリ
マ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を設けた
ものが一般的で、USP2532865号公報、特公昭
40−23581号公報、特開昭48−9802号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭60−2
309号公報、特開昭57−1791号公報、特開昭5
7−15998号公報、特開昭57−96900号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−1
66590号公報、特開昭63−166591号公報、
特開昭63−317388号公報、特開平1−1144
88号公報、特開平4−367868号公報などが挙げ
られる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反撥層
に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒドロ
キシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処理す
る以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよびア
クリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シリ
カ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミン
・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構成
されているものが提案されている。また特開昭63−2
56493号公報などでは、不感脂化処理により加水分
解されて親水性基が発生する疎水性ポリマを主成分とし
て用いる直描型平版印刷原版が提案されている。
【0011】このような直描型平版印刷原版は、いずれ
も画像受理層をインキ反撥層に変換するために、不感脂
化処理が必須であり、該処理なしではインキ反撥性を殆
ど示さない性質のものであった。
【0012】すなわち、実用レベルのインキ反撥性を得
るためには、不感脂化処理および、親水性バインダポリ
マを大量に使用する必要があるが、耐水性に劣る傾向に
あり印刷耐久性が低下する。また親水性を高めるとトナ
ーなどの画像との接着性が低下する傾向にあるなどの問
題点があった。一方、印刷耐久性を向上するために耐水
化剤の添加量を多くしたり疎水性ポリマを添加したりし
て耐水性を増大させると、親水性が低下し、インキ反撥
性が大幅に低下してしまう問題点があった。
【0013】また、ユニオンカーバイド社が開発した親
水性/疎水性変換反応を利用した現像、ラッカー盛りお
よび不感脂化処理が一切不要な、いわゆる露光のみの一
工程版の技術が、特公昭42−131号公報、特公昭4
2−5365号公報、特公昭42−14328号公報、
特公昭42−20127号公報、USP3231377
号公報、USP3231381号公報、USP3231
382号公報などによって開示されている。該版はポリ
エチレンオキサイドとフェノール樹脂の会合体を感光剤
とともに塗設したものであるが、非画線部が剛直で柔軟
性に劣りインキ反撥性が不十分であり、また非画線部と
画線部との間でのインキ反撥/インキ着肉差が小さく、
実用性に乏しいものであった。
【0014】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適性な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0015】一方、後者の湿し水の代わりにシリコーン
ゴム層をインキ反撥層とする水なしPS版の場合、特公
昭54−26923号公報、特公昭57−3060号公
報、特公昭56−12862号公報、特公昭56−23
150号公報、特公昭56−30856号公報、特公昭
60−60051号公報、特公昭61−54220号公
報、特公昭61−54222号公報、特公昭61−54
223号公報、特公昭61−616号公報、特公昭63
−23544号公報、特公平2−25498号公報、特
公平3−56622号公報、特公平4−28098号公
報、特公平5−1934号公報、特開平2−63050
号公報、特開平2−63051号公報などに示されてい
るように湿し水を用いずに印刷できるため、前者の水あ
りPS版で必要な湿し水のコントロール作業がいっさい
必要なく、印刷作業が極めて簡便となることから、近年
急速に普及しつつある実用性の高い版材であるが、イン
キ反撥性層として力学的強度が弱いシリコーンゴム層を
用いるため、耐久性の不足が指摘され、耐久性に優れた
インキ反撥性材料の必要性が強く求められている。また
現像に際しては該シリコーンゴム層をブラシ擦りによっ
て機械的に剥離除去する必要があるため、剥離除去され
たシリコーンゴムかすを含んだ現像廃液が大量に発生す
る。そのため、ブラシの使用寿命が短く頻繁にブラシを
交換する必要がありまた、該シリコーンゴムかすを捕集
廃棄するなどのメンテナンス処置が必要であった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
従来の水ありPS版の平版印刷の湿し水のコントロール
幅の拡大ならびに従来不可能とされてきた湿し水からの
IPAレス化を可能とし、また直描型平版印刷原版のよ
うにPPC方式で画像形成し不感脂化処理するなどの複
雑な製版工程を有することなく、更にシリコーンゴム層
をインキ反撥層とする水なし平版の欠点である耐久性の
不足を解消できる上、従来のPS版で必須であった現像
メンテナンスを必要とせず、また製造工程が簡便な理想
的な平版材料の開発を鋭意検討した結果、特定の材料群
からなる相分離構造を有する感光性の親水性膨潤層をイ
ンキ反撥層とした感光性平版印刷版原版を用いることで
実現できることを見出した。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。
【0018】基板上に少なくとも感光性の親水性膨潤層
を備えた感光性平版印刷版原版であって、該親水性膨潤
層が親水性ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマ
を主成分とする相の少なくとも2相から構成された相分
離構造を有し、該親水性ポリマおよび/または疎水性ポ
リマがエチレン性不飽和基を有することを特徴とする感
光性平版印刷版原版。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の感光性平版印刷版原版の
親水性膨潤層について説明する。
【0020】該親水性膨潤層は、親水性ポリマを主成分
とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なく
とも2相から構成された相分離構造を有する。また、該
親水性ポリマおよび/または疎水性ポリマがエチレン性
不飽和基を有する。
【0021】親水性ポリマとは、水に対して実質的に不
溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水溶性ポリマ(水に完
全溶解するものを意味する)、疑似水溶性ポリマ(両親
媒性を意味し、マクロには水に溶解するがミクロには非
溶解部分を含むものを意味する)、水膨潤性ポリマ(水
に膨潤するが溶解しないものを意味する)を意味する。
すなわち、通常の使用条件下で水を吸着または吸収する
ポリマを意味し、水に溶けるか或いは水に膨潤するポリ
マを意味する。
【0022】本発明の親水性膨潤層に用いられる親水性
ポリマについて説明する。
【0023】本発明の効果を有効に発現する親水性ポリ
マとしては、カルボン酸塩系共重合体が挙げられる。
【0024】本発明に好ましく用いられるカルボン酸塩
系共重合体としては、吸水性および耐久性の観点から、
カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カ
ルボン酸イミド、カルボン酸無水物などのカルボキシル
基またはカルボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個
または2個有するα、β−不飽和化合物をモノマ成分と
して含有するカルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙
げられる。
【0025】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタク
リル酸アミド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン
酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン
酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必
要な親水性を示す範囲で共重合可能な他のモノマ成分と
組合わせることが可能である。
【0026】共重合可能な他のモノマ成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリロニトリルなどのα−オレフィン、ビニ
ル化合物、ビニリデン化合物などが挙げられる。
【0027】他のモノマと組合わせる場合、カルボキシ
ル基もしくはこれに転化しうる基を含有するα、β−不
飽和化合物は、通常全モノマ成分中10モル%以上で、
40モル%以上であることがより好ましい。
【0028】カルボキシル基またはこれに転化しうる基
を含有するα、β−不飽和化合物をモノマとして含有す
る重合体は、通常ラジカル重合により調整される。重合
度は特に限定されるものではない。
【0029】このように調整される該重合体の中でも特
に、アクリル酸、メタクリル酸との重合体または共重合
体、α−オレフィン、ビニル化合物と無水マレイン酸と
の共重合体が好ましい。
【0030】これらの重合体または共重合体は、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物また
は炭酸塩などの化合物、アンモニア、アミンなどを用い
てケン化反応させることによる親水性付与が好ましく行
なわれる。これらの反応は、該重合体または該共重合体
を各種の有機溶媒または水に溶解または分散させ、そこ
に前記したアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、アンモニア、アミンなどを撹拌下に添加することに
よって実施される。
【0031】このようなカルボン酸塩系共重合体の中で
も、特にビニルエステルと、メタアクリル酸またはアク
リル酸エステルとの共重合体が、親水性膨潤層が適度な
水膨潤性を示し、かつ印刷耐久性およびインキ反撥性の
両者を満足させる点で好ましい。
【0032】本発明に好ましく用いられるビニルエステ
ル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体は公知の方法
を用いて製造することができる。例えば高分子化学、7
巻、142頁(1950)。すなわち、重合方式によっ
て適宜選択されるが、例えばジ−t−ブチルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシドなどのパーオキシド類、過
硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、アゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ化合物などの重合開始剤を用いた
ラジカル重合によって合成される。重合方式としては、
溶液重合、乳化重合、懸濁重合などが摘要される。該共
重合体中の(メタ)アクリル酸エステル成分が少ないと
吸水性が小さく、多すぎると高吸水状態となり膜強度が
極端に低下する傾向にある。
【0033】従って、出発物質となる該共重合体中にお
ける(メタ)アクリル酸エステル成分の割合は、一般に
20〜80mol%の範囲にあることが好ましく、吸水
性および含水時の力学強度を両立させるためには30〜
70mol%であることが好ましい。
【0034】本発明に用いられるビニルエステルとして
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニルなどが挙げられる。また(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、
具体的にはメチルエステル、エチルエステル、n−プロ
ピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエス
テル、t−ブチルエステルが挙げられる。
【0035】上記に説明した共重合体はアルカリ触媒の
存在下でケン化反応することが好ましい。ケン化反応に
用いられる溶媒としてはアルコールおよびアルコール水
溶液が好ましい。また、ケン化反応に用いられる触媒と
しては公知のアルカリ触媒が用いられるが、特に水酸化
ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化
物が好ましい。ケン化反応は20〜80℃で1〜10時
間で終結する。また、本発明のケン化反応物は、公知の
方法によって塩を任意に変えることが可能である。通常
用いられる塩形成物質としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−
ジメチルイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ベンジルアミン、アニリン、ピリジンなどが挙げら
れる。
【0036】またマグネシウム、カルシウムなどのアル
カリ土類金属塩類の多価金属塩類も前記の塩と混合塩の
形態で添加することが可能である。
【0037】また、本発明の効果を有効に発現する親水
性ポリマとして、N−ビニルカルボン酸アミド系共重合
体が挙げられる。
【0038】N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体と
は、下記一般式(I)で示されるN−ビニルカルボン酸
アミド(以下、NVAと略す)を必須の繰り返し単位と
する共重合体(以下、NVA系共重合体と略する)を意
味する。
【0039】
【化1】 (ここで、R1 は水素原子または炭素数1〜4のアルキ
ル基、R2 は水素原子またはメチル基、フェニル基、R
3 は水素原子または炭素数1〜8の直鎖または分岐アル
キル基を表す。) NVAの具体例としては、N−ビニルホルムアミド、N
−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル安息香酸アミ
ド、N−メチル−N−ビニル安息香酸アミド、N−フェ
ニル−N−ビニルアセトアミド、N−フェニル−N−ビ
ニル安息香酸アミドなどが挙げられるが、本発明はこれ
らの例に限定されるものではない。
【0040】本発明に好ましく用いられるNVA共重合
体は、吸水性および耐久性の観点から、カルボキシル
基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸イミ
ド、カルボン酸無水物などのカルボキシル基またはカル
ボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個または2個有
するα、β−不飽和化合物を共重合単位として含有する
ことが好ましい。
【0041】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタク
リル酸アミド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン
酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン
酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必
要な親水性を示す範囲で共重合可能な他のモノマ成分と
組合わせることが可能である。
【0042】共重合可能な他のモノマ成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリロニトリルなどのα−オレフィン、ビニ
ル化合物、ビニリデン化合物などが挙げられる。
【0043】他のモノマと組合わせる場合、NVA単位
は、通常全モノマ成分中10モル%以上で、40モル%
以上であることがより好ましい。
【0044】NVAを含有する重合体は、通常ラジカル
重合により調製される。重合度は特に限定されるもので
はない。
【0045】このように調製される該重合体の中でも特
に、NVAとアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン
酸などカルボン酸塩系の共重合体は、親水性膨潤層が適
度な水膨潤性を示し、かつ印刷耐久性およびインキ反発
性の両者を満足させる点から好ましい。
【0046】本発明において、感光性を付与する目的か
ら、親水性ポリマにエチレン性不飽和基を導入すること
ができる。
【0047】すなわち本発明の感光性平版印刷版原版
は、親水性膨潤層のうち、露光部が光架橋硬化し、未露
光部と比較して高い初期弾性率を示しかつ、水膨潤性の
低下した物性に変化することを利用して画像形成するも
のであり、親水性ポリマに感光性を付与することによっ
て、露光部の親水性ポリマを光架橋し、上記の物性に変
化させることが好ましく行なわれる。
【0048】エチレン性不飽和基の導入方法としては、
親水性ポリマに存在するカルボキシル基や水酸基などの
反応性官能基を利用して、グリシジル(メタ)アクリレ
ートなどのエポキシ基をカルボキシル基と反応させて
(メタ)アクリル基を導入する方法や、(メタ)アクリ
ル酸クロライドなどを水酸基と反応させる方法が挙げら
れる。
【0049】反応に際しては、アルカリ金属の水酸化物
やアミン類などの公知の触媒が好ましく添加される。
【0050】また、共重合成分としてグリシジル基、フ
ェニル基、ヒドロキシアルキル基などの反応性官能基を
有するモノマを加え、これらの反応性官能基を利用して
エチレン性不飽和化合物を導入することも可能である。
【0051】エチレン性不飽和基の導入量は、親水性ポ
リマの全官能基に対して1〜50mol%の範囲が好ま
しい。
【0052】また、感光性や水膨潤性を調製する目的か
ら、エチレン性不飽和基を含まない親水性ポリマとのブ
レンドや導入量の異なる親水性ポリマとのブレンドも自
由である。
【0053】エチレン性不飽和基を過度に導入すると、
感光性は向上するが、未露光部の親水性膨潤層のインキ
反撥性が低下する傾向にあり、また導入量が不足すると
感光性が低下する。
【0054】また本発明の親水性膨潤層には発明の効果
を損わない範囲で、公知の親水性ポリマを加えることが
可能である。公知の親水性ポリマとしては、以下の例を
挙げることができる。
【0055】(A)天然高分子類。
【0056】デンプン−アクリロニトリル系グラフト重
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
【0057】(B)合成高分子類。
【0058】ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒ
ドロキシエチル (メタ)アクリレート系ポリマ(以下
の説明で(メタ)□□□□とあるのは、□□□□または
メタ□□□□を略したものである。)、ポリ(ビニルメ
チルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マレイン酸系
共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体、ポリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体など。
【0059】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0060】次に本発明の親水性膨潤層に用いられる疎
水性ポリマについて説明する。
【0061】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0062】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0063】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0064】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、スチレ
ン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アクリロニ
トリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、メタク
リル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略す)、
クロロプレン系などが挙げられる。
【0065】アクリル系ラテックスとしては、アクリル
酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須成分とし
た共重合体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン
などの少なくとも1種以上を共重合したものが挙げられ
る。
【0066】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独またはアクリル酸エステル、高級酢酸ビニルエ
ステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
【0067】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0068】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0069】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0070】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
系化合物を含有するラテックスが挙げられる。
【0071】ここで言う共役ジエン系ゴムとしては、
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン
(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン(クロロプレン)
など1,3−位に炭素−炭素二重結合を有する非置換ま
たは置換1,3−ブタジエン骨格を有する化合物を意味
し、これらを必須成分とする単独またはブロック共重合
ゴム(ポリマ)が挙げられる。
【0072】ブロック共重合ゴムとしては、1,3−ブ
タジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)などの1,3−ジエンと、常温でガラス状重合体を
与えるスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのモノビニル置換芳香族化合物とのブロック共重合
体が挙げられる。
【0073】このような共重合ゴムとしては、種々の公
知のタイプが例示できるが、A−B−Aタイプのブロッ
ク共重合ゴム(ここでAはモノビニル置換芳香族化合物
からなり、好ましくはガラス転移点が70℃以上で、重
合度が10〜2500である重合体セグメントを意味
し、Bは1,3−ジエンを意味し、好ましくは数平均分
子量が500〜25000である非晶性重合体セグメン
トを意味する)などを好ましく挙げることができる。ま
た該ブロック共重合ゴムの水素添加物も同様である。
【0074】本発明に用いられる単独および共重合ゴム
の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン
(天然ゴムを含む)、ポリクロロプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体
(例えばブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート
共重合体)、メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソ
プレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合
体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−クロロプレン共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体などが挙げられる。
【0075】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスは、公知の方法で作製され、例えば必
須成分として共役ジエン系化合物を含むビニルモノマ組
成物に対して0.1〜20重量%の乳化重合分散剤(界
面活性剤など)と2〜50重量%の水を含む水性媒体中
で脱気窒素置換し、乳化させ、必要に応じて通常の乳化
重合に用いられる添加剤(分子量調整剤、酸化防止剤な
ど)を加えたのち、乳化重合用開始剤(例えば過酸化水
素、過硫酸カリウムなど)を添加し、常法に従って乳化
重合させることによって得ることができる。
【0076】原料ビニルモノマ組成物中、共役ジエン系
化合物以外に用いられるビニルモノマとしては特に限定
されないが、主として下記のI群:疎水性モノマ、II
群:親水性モノマ、III 群:架橋性モノマの3つの群に
分類できる。
【0077】I群:疎水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する疎水性ビニルモノマ(ここで言う疎水性と
は20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下の
ものを意味する)で、アクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレ
フィン類などが挙げられる。
【0078】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2
−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、フェニルアクリレート、2−メトキシエ
チルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートな
どが挙げられる。
【0079】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリ
レート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、ベンジルメタクリレート、アセトアセトキ
シエチルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、フルフリルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニル
メタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリ
レート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エト
キシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0080】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテー
ト、ビニルメトキシアセテート、ビニルアセトアセテー
ト、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香
酸ビニルなどが挙げられる。
【0081】スチレン類の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフル
オルメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メト
キシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ト
リクロルスチレン、ブロムスチレンなどが挙げられる。
【0082】オレフィン類の具体例としては、プロピレ
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンなどを挙げることができ
る。
【0083】その他アクリロニトリル、無水マレイン酸
なども挙げられる。
【0084】II群:親水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する親水性ビニルモノマで、(ここで言う親水
性とは、水に対する溶解度が大きく単独での水系乳化重
合が不可能なモノマを意味する)アミノ基、カルボキシ
ル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などの官能基
を有するモノマが挙げられる。
【0085】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ter
t−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチ
ルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0086】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イ
タコン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、
マレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルな
ど)、シトラコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル
酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げ
られる。
【0087】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、アク
リロイルオキシアルキルスルフォン酸(例えばアクリロ
イルオキシメチルスルフォン酸、アクリロイルオキシプ
ロピルスルフォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフ
ォン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルフォ
ン酸(例えばメタクリロイルオキシメチルスルフォン
酸、メタクリロイルオキシメチルスルフォン酸、メタク
リロイルオキシプロピルスルフォン酸、メタクリロイル
オキシブチルスルフォン酸など)、アクリルアミドアル
キルスルフォン酸(例えば2−アクリルアミド−2−メ
チルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルブタンスルフォン酸など)、メタクリルアミドア
ルキルスルフォン酸(例えば2−メタクリルアミド−2
−メチルエタンスルフォン酸,2−メタクリルアミド−
2−メチルプロパンスルフォン酸、2−メタクリルアミ
ド−2−メチルブタンスルフォン酸など)が挙げられ
る。
【0088】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0089】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0090】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0091】III 群:架橋性モノマとしては、反応性架
橋基(グリシジル基、ヒドロキシメチルアミド基、アル
コキシメチルアミド基、アシロキシメチルアミド基、イ
ソシアネート基など)を有するモノマ類および2つ以上
のビニル基を有する多官能性モノマが挙げられる。
【0092】グリシジル基を有するモノマの具体例とし
ては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、p−ビニル安息香酸グリシジル、グリシジルクロ
トネート、ジグリシジルイタコネート、ジグリシジルマ
レエート、ジグリシジルメチレンマロネート、グリシジ
ルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル−α−クロルアクリレートなどが挙げられる。
【0093】ヒドロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、ヒドロキシメチルアクリルアミド、
ヒドロキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0094】アルコキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、メトキシメチルアクリルアミド、メ
トキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルメタクリルアミド、ブトキシ
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミ
ド、ヘキシルオキシメチルメタクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0095】アシロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、アセトキシメチルアクリルアミド、
アセトキシメチルメタクリルアミド、プロピオニルオキ
シメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0096】イソシアネート基を有するモノマの具体例
としては、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0097】多官能モノマの具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート(エ
チレン数n=1〜23)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(エチレン数n=1〜23)、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレートなどが挙げられる。
【0098】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスを作製する際の適当なモノマの組合わ
せとしては、必須成分である共役ジエン系化合物に加え
て (1)少なくとも1種以上のI群モノマの共重合体 (2)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマとの共重合体 (3)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマおよび少なくとも1種以上のII
I 群モノマとの共重合体 (4)少なくとも1種以上のI群モノマおよびIII 群モ
ノマの共重合体 などの組合わせが挙げられるが、本発明はこれらの組合
わせに限定されない。
【0099】本発明に好ましく用いられるラテックスの
具体例としては、JSR0561(SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0589(SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR06
02(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0700(ブタジエン重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR2108(SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0650
(ビニルピリジン−SB共重合ラテックス:日本合成ゴ
ム(株)製)、JSR0652(ビニルピリジン−SB
共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0
545(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、JSR0548(カルボキシ変性S
B共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR
0596(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本
合成ゴム(株)製)、JSR0597(カルボキシ変性
SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JS
R0598(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR0619(カルボキシ変
性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0624(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0640(カルボキシ
変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、
JSR0693(カルボキシ変性SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0696(カルボ
キシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0854(カルボキシ変性SB共重合ラテ
ックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0863(カ
ルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0898(カルボキシ変性SB共重
合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、ラックスター
4940B(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大
日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター68−0
73S(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本
インキ化学工業(株)製)、ラックスターDN−704
(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ
化学工業(株)製)、ラックスターDN−702(カル
ボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工
業(株)製)、ラックスター68−074(カルボキシ
変性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスターDN−703(カルボキシ変
性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)
製)、ラックスターDM−801(カルボキシ変性MB
共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、
ラックスターDM−401(カルボキシ変性MB共重合
ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラック
スター4950C(カルボキシ変性MB共重合ラテック
ス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスターD
M−806(カルボキシ変性MB共重合ラテックス:大
日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0100】本発明において、感光性を付与する目的か
ら、疎水性ポリマ、好ましくは水性エマルジョン、より
好ましくは共役ジエンポリマ系ラテックスにエチレン性
不飽和基を導入することができる。
【0101】すなわち本発明の感光性平版印刷版原版
は、親水性膨潤層のうち、露光部が光架橋硬化し、未露
光部と比較して高い初期弾性率を示しかつ、水膨潤性の
低下した物性に変化することを利用して画像形成するも
のであり、疎水性ポリマに感光性を付与することによっ
て、露光部の疎水性ポリマを光架橋し、初期弾性率を向
上させることが好ましく行なわれる。
【0102】エチレン性不飽和基の導入方法としては、
疎水性ポリマ、好ましくは水性エマルジョン、より好ま
しくは共役ジエンポリマ系ラテックスに共重合成分とし
て、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド基、エ
ポキシ基、カルボニル基、アミノ基などの反応性官能基
を存在させてこれらの反応性官能基を利用して、グリシ
ジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基をカルボキ
シル基と反応させて(メタ)アクリル基を導入する方法
や、(メタ)アクリル酸クロライドなどを水酸基と反応
させる方法が挙げられる。
【0103】反応に際しては、アルカリ金属の水酸化物
やアミン類などの公知の触媒が好ましく添加される。
【0104】また、水性エマルジョン、より好ましくは
共役ジエンポリマ系ラテックスを合成する際、グリシジ
ル基、フェニル基、ヒドロキシアルキル基などの反応性
官能基を有するモノマを加え、これらの反応性官能基を
利用してエチレン性不飽和化合物を導入することも可能
である。
【0105】エチレン性不飽和基の導入量は、疎水性ポ
リマの全官能基に対して1〜90mol%の範囲が好ま
しい。
【0106】また、感光性や水膨潤性を調製する目的か
ら、エチレン性不飽和基を含まない疎水性ポリマとのブ
レンドや導入量の異なる疎水性ポリマとのブレンドも自
由である。
【0107】エチレン性不飽和基を過度に導入すると、
感光性は向上するが、水性エマルジョン、より好ましく
は共役ジエンポリマ系ラテックスの水溶液中での分散が
不安定化する傾向にあり、また導入量が不足すると感光
性が低下する。
【0108】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マと疎水性ポリマとを混合し、必要に応じて架橋または
疑似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に
積層形成される。
【0109】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0110】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0111】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0112】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、アルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0113】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0114】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0115】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0116】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0117】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0118】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0119】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0120】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0121】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシア
ネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシア
ネート付加反応物が挙げられる。
【0122】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じて公知の有機溶剤を
添加することが可能である。有機溶剤の添加方法として
は重合溶媒として添加する方法、および乳化重合後エマ
ルジョン溶液に混合溶媒として添加する方法が可能であ
る。
【0123】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0124】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な相分離構造を実現しインキ
反撥性を向上させる点から好ましい。
【0125】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0126】次に本発明に言う親水性膨潤層の相分離構
造について説明する。
【0127】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反発性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
【0128】該相分離構造を構成する親水性ポリマ相と
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
【0129】上記(1)〜(3)の相分離構造の一例を
それぞれ図1〜3に示す。
【0130】すなわち親水性ポリマが比較的強い親水性
を示す材料を選択した場合(水溶性ポリマおよび疑似水
溶性ポリマなど)、親水性膨潤層に含まれる該親水性ポ
リマの割合は、インキ反撥性および印刷耐久性の点から
比較的少量で十分であり、疎水性ポリマの割合が相対的
に多くなるため、親水性ポリマを分散相とする上記の
(1)または(2)の形態となることが好ましい。一
方、親水性ポリマが比較的弱い親水性を示す材料を選択
した場合(水膨潤性ポリマなど)、親水性膨潤層に含ま
れる該親水性ポリマの割合は、インキ反撥性および印刷
耐久性の点から比較的多量に必要であり、疎水性ポリマ
の割合が相対的に少なくなるため、上記の(1)、
(2)または(3)の形態となることが好ましい。
【0131】すなわち本発明に用いられる親水性膨潤層
の好ましい相分離構造は、該層が有するゴム弾性および
水膨潤性によって異なるが、親水性ポリマの親水性の程
度によって異なる。
【0132】(1)の形態をとる場合、疎水性ポリマ相
が主として連続相であるためには、疎水性ポリマの組成
が50重量%以上であり、60〜95重量%であること
が好ましく、70〜90重量%であることが更に好まし
い。疎水性ポリマの組成比が50重量%以下となると親
水性膨潤層のインキ反撥層としての性能は印刷初期にお
いては向上するが、印刷耐久性が急激に低下する傾向に
ある。一方、疎水性ポリマの組成比が95重量%を越え
ると親水性膨潤層内の親水性ポリマが十分に吸水でき
ず、親水性が不足してインキ反撥性が極端に低下する傾
向にある。
【0133】(2)および(3)の形態をとる場合、親
水性ポリマおよび疎水性ポリマの両者が20重量%以上
であり、40重量%以上であることが好ましい。
【0134】該親水性膨潤層はゴム弾性を有することが
好ましい。
【0135】親水性膨潤層のゴム弾性は以下に説明する
方法によって測定された初期弾性率の値によって特徴付
けられる。
【0136】[親水性膨潤層の初期弾性率の測定方法]
測定しようとする感光性平版印刷版原版の親水性膨潤層
の組成と同一組成の溶液をテフロンシャーレ上に展開
し、60℃×24時間乾燥硬化させる。得られた乾燥硬
化膜は剃刀刃などを用いて、長さ40mm、幅1.95
mm、厚み約0.2mmの短冊状のテストピースに裁断
する。
【0137】得られたテストピースは、測定前に25℃
50%RHの環境にて24時間以上放置し調湿したの
ち、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張り条
件で初期弾性率を測定した。データ処理はJIS K6
301に準じて行なった。
【0138】引張り速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰り返し数 4回 測定機 「RTM−100」テンシロン万能試
験機((株)オリエンテック製) 本発明の感光性平版印刷版原版に用いられる親水性膨潤
層の初期弾性率は、0.01〜10kgf/mm2 の範
囲にあることがインキ反撥性および形態保持性の観点か
ら好ましい。より好ましくは、0.01〜5kgf/m
2 の範囲であり、0.01〜2kgf/mm2 の範囲
が更に好ましい。
【0139】すなわち初期弾性率が、0.01kgf/
mm2 未満になると親水性膨潤層の形態保持性が極端に
低下し、印刷時の耐久性が極端に低下する傾向にある。
【0140】一方該初期弾性率が10kgf/mm2
り大きくなるとゴム弾性が不足し、インキ反撥性が極端
に低下する傾向にある。
【0141】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
定義に従って測定した水膨潤率の値が特定の範囲である
ことが好ましい。
【0142】
【数1】 ただし、吸水量とは、以下の定義に従って測定した値を
意味する。
【0143】吸水量(g/m2 )=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2 ) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2 ) [吸水量の測定方法]測定しようとする感光性平版印刷
版原版を所定面積に裁断し、25℃の精製水に浸漬す
る。10分間浸漬した後、該原版の親水性膨潤層表面お
よび裏面に付着した余分の水分を「ハイゼガーゼ」(コ
ットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取り、
該原版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、該原版を
60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量W
DRY を秤量する。
【0144】本発明に用いられる親水性膨潤層の水膨潤
率は、10〜1000%で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
50〜500%である。該水膨潤率が10%未満になる
と、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあり、また塗
工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くなる。また10
00%より大きくなると形態保持性が極端に低下する傾
向にある。
【0145】本発明で言う親水性膨潤層厚さとは、基板
上に塗設された乾燥させた感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の塗布層を剥離し、重量法によって測定した値
を意味する。親水性膨潤層厚さは下記式に従って測定し
た。
【0146】 親水性膨潤層厚さ(g/m2 )=(W−W0 )/α W:感光性平版印刷版原版の乾燥重量 (g) W0 :上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α:感光性平版印刷版原版の測定面積(m2 ) [親水性膨潤層厚さの測定方法]測定しようとする感光
性平版印刷版原版を所定面積αに裁断した後、60℃の
オーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量Wを秤量す
る。その後、該原版を精製水に浸漬し、親水性膨潤層を
膨潤させ、スクレーパーなどを用いて該膨潤層を剥離脱
落させる。親水性膨潤層を剥離脱落させた原版を再度6
0℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量W0
秤量する。
【0147】本発明に用いられる親水性膨潤層厚さは、
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.3〜10g/m2 である。該厚みが0.3g/m2
未満になると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 以上は水膨潤時の形態保持性が劣
化する傾向にあり経済的にも不利である。
【0148】本発明に用いられる親水性膨潤層には上記
した親水性ポリマ、疎水性ポリマおよび必要に応じて加
えられる架橋剤の他にも、ゴム組成物において通常添加
される公知の老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止
剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、可塑剤などを添加する
ことが可能である。
【0149】また下層との接着性向上などの目的から、
公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合物、
触媒などを添加したり基板との間に中間層として設ける
ことも可能である。
【0150】本発明の感光性平版印刷版原版の親水性膨
潤層の表面には、該親水性膨潤層を保護する目的で適当
な保護層をコーティングにより該親水性膨潤層上に形成
したり、保護フィルムをラミネートすることが好ましく
行なわれる。また、該保護層中には感光性基を曝光(露
光光源以外の光で、本来非照射部分に光が照射されるこ
とを意味する)から保護する目的で、光退色性物質を含
有せしめることもできる。
【0151】本発明においては、親水性膨潤層が感光性
基としてエチレン性不飽和基を有するので、該層を外気
から遮断し、露光時における該官能基の光硬化を促進す
る上から保護層を形成することが好ましい。
【0152】保護フィルムの具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタ
レート、セロファンなどが挙げられる。また、これらの
保護フィルムは画像露光時の焼枠における真空密着性を
改良するために、凹凸加工を施したり、表面をマット処
理したり、シリカ粒子などを含むプラスチック層を上記
保護フィルムの表面に塗布積層することも好ましく行な
われる。
【0153】次に本発明の感光性平版印刷版原版を用い
た平版印刷版の製造方法について説明する。
【0154】本発明の感光性平版印刷版原版は、基板上
に形成された親水性膨潤層に活性光線が照射されること
によって画像形成される。すなわち、画線部および非画
線部の初期弾性率等の差が版表面に照射される活性光線
によって生じることを特徴としている。
【0155】また本発明の感光性平版印刷版原版はネガ
ティブワーキング用の画像形成を行なう。すなわち、ネ
ガ原画フィルムを通じて、通常の露光光源によって画像
露光される。この露光工程で用いられる光源としては、
例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メ
タルハライド灯、蛍光灯などが挙げられる。
【0156】親水性膨潤層の活性光線が照射されなかっ
た部分(以下未露光部と称する)と比較して活性光線が
照射された部分(以下露光部と称する)の初期弾性率が
上昇し、水膨潤性が低下してインキ着肉性の画線部とな
り、未露光部はインキ反撥性の非画線部となる。
【0157】すなわち、露光部の親水性膨潤層中の親水
性ポリマおよび/または疎水性ポリマが有するエチレン
性不飽和基が光架橋し、該部分の初期弾性率が上昇し、
水膨潤性が低下してインキ着肉性の画線部となる。
【0158】このような通常の露光を行なったのち、親
水性膨潤層上の好ましく配置される保護層を剥離除去
し、水または現像液でリンスすると、後述の未露光部の
親水性膨潤層内に存在する感光性化合物が溶解除去、ま
たある場合は不感光化され、インキ反撥するのに適した
相分離構造および水膨潤性を有する非画線部となり、露
光部は感光性化合物が光架橋硬化し未露光部と比較し
て、高い初期弾性率を示しかつ、水膨潤性の低下した画
線部となる。
【0159】上記のように該感光性平版印刷版原版は、
感光性のエチレン性不飽和基の光架橋反応の助けを借り
て親水性膨潤層の相分離構造が有するゴム弾性や水膨潤
性を変化させることによって画像形成するものである。
【0160】また本発明の親水性膨潤層には、上記のエ
チレン性不飽和基の光反応を促進、補助する目的から、
公知の光架橋または光硬化性の感光性化合物が添加さ
れ、下記の(1)〜(5)の具体例が挙げられる。
【0161】(1)光重合性モノマまたはオリゴマ アルコール類(エタノール、プロパノール、ヘキサノー
ル、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、イソ
アミルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルア
ルコール、ブトキシエチルアルコール、エトキシエチレ
ングリコール、メトキシエチレングリコール、メチキシ
プロピレングリコール、フェノキシエタノール、フェノ
キシジエチレングリコール、テトラヒドロフルフリルア
ルコールなど)の(メタ)アクリル酸エステル、カルボ
ン酸類(酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、
メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石
酸、クエン酸など)と(メタ)アクリル酸グリシジルま
たはテトラグリシジル−m−キシリレンジアミンまたは
テトラグリシジル−m−テトラヒドロキシリレンジアミ
ンとの付加反応物、アミド誘導体(アクリルアミド、メ
タクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド、メチ
レンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物と(メ
タ)アクリル酸との付加反応物などを挙げることができ
る。
【0162】さらに具体的には、特公昭48−4170
8号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−
37193号公報に記載されているウレタンアクリレー
ト、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43
191号公報、特公昭52−30490号公報に記載さ
れているポリエステルアクリレート、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸を反応させた多官能エポキシ(メ
タ)アクリレート、米国特許4540649 に記載されている
N−メチロールアクリルアミド誘導体などを挙げること
ができる。更に日本接着協会誌VOL.20,No.7,p300〜308
に紹介されている光硬化性モノマおよびオリゴマを用い
ることができる。
【0163】また、下記一般式(I)で表わされる親油
性のエチレン性不飽和化合物が露光部のインキ着肉性を
向上させる点から好ましく挙げられる。
【0164】 CH2 =C(R1 )−CO−O−(CH2 n −R2 (I) (ここで、R1 は水素またはメチル基を表わす。R2
水素、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル
基、ニトロ基、アジド基、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数4〜20の置換または無置換のアリール基、
置換または無置換のアラルキル基、アクリロキシ基、メ
タアクリロイロキシ基を表す。nは1〜30の整数。) 具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0165】
【化2】 nは上記一般式で表わされる化合物の平均値を意味す
る。すなわち、上記一般式で表わされる化合物はnに分
布を持った混合物からなる。
【0166】これらの化合物はインキ着肉性の点からn
は4〜30の整数であることが好ましく、8〜13が更
に好ましい。nが4未満の場合、親油性が不足し、イン
キ着肉性が不足する傾向にある。nが30より多いと、
重量あたりの不飽和基当量が不足し感光性が低下する。
例えば、nが4,5,6,7,8,9,10,13,2
2等の化合物を用いることができる。
【0167】上記一般式(I)以外の本発明に好ましく
用いられる親油性のエチレン性不飽和化合物の具体例と
しては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレ
ート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタク
リレートなどが挙げられる。
【0168】(2)光二量化型の感光性樹脂組成物 例えばポリ桂皮酸ビニルなどを含む感光層、例えば、P
−フェニレンジアクリル酸と1,4−ジヒドロキシエチ
ルオキシシクロヘキサンの1:1重縮合不飽和ポリエス
テルやシンナミリデンマロン酸と2官能性グリコ−ル類
とから誘導される感光性ポリエステル、ポリビニルアル
コ−ル、デンンプン、セルロ−スなどのような水酸基含
有ポリマのケイ皮酸エステルなど。
【0169】(3)エポキシ基を有するモノマ、オリゴ
マまたはポリマと公知の光酸発生剤との組合わせから成
る組成物 これは露光すると光酸発生剤がルイス酸やブレンステッ
ド酸を生成し、エポキシ基がカチオン重合して架橋す
る。光酸発生剤としては、アリルジアゾニウム塩化合
物、ジアリルヨードニウム塩化合物、トリアリルスルフ
ォニウム塩化合物、トリアリルセレノニウム塩化合物、
ジアルキルフェナシルスルフォニウム塩化合物、ジアル
キル−4−フェナシルスルフォニウム塩化合物、α−ヒ
ドロキシメチルベンゾインスルフォン酸エステル、N−
ヒドロキシイミノスルフォネート、α−スルフォニロキ
シケトン、β−スルフォニロキシケトン、鉄−アレーン
錯体化合物(ベンゼン−シクロペンタジエニル−鉄(I
I)ヘキサフルオロフォスフェートなど)、o−ニトロ
ベンジルシリルエーテル化合物などが挙げられる。
【0170】エポキシ基を有するモノマ、オリゴマまた
はポリマとしては、下記のものが好ましく用いられる。
【0171】メチルグリシジルエーテル、エチルグリシ
ジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、n−ブチ
ルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテ
ル、ペンチルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリ
シジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテ
ルなどが挙げられる。
【0172】(4)アリル基および/またはビニル基を
有するモノマ、オリゴマまたはポリマとメルカプト基を
有するモノマ、オリゴマまたはポリマとの組成物 これは露光するとメルカプト基がアリル基およびまたは
ビニル基に付加し架橋する。
【0173】(5)ジアゾニウム塩化合物と水酸基含有
化合物との組成物 本発明に用いられるジアゾ化合物としては、p−ジアゾ
ジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物で代表
される水不溶で有機溶媒可溶性のジアゾ樹脂などが挙げ
られる。
【0174】具体的には特公昭47−1167号公報お
よび特公昭57−43890号公報に記載されているよ
うなものが挙げられる。
【0175】本発明に好ましく用いられるジアゾ樹脂に
おけるジアゾモノマーとしては、例えば4−ジアゾ−ジ
フェニルアミン、1−ジアゾ−4−N,N−ジメチルア
ミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N,N−ジエチルアミ
ノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−エチル−N−ヒドロ
キシエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−メチ
ル−N−ヒドロキシエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ
−2,5−ジエトキシ−4−ベンゾイルアミノベンゼ
ン、1−ジアゾ−4−N−ベンジルアミノベンゼン、1
−ジアゾ−4−N,N−ジメチルアミノベンゼン、1−
ジアゾ−4−モルフォリノベンゼン、1−ジアゾ−2,
5−ジメトキシ−4−p−トリルメルカプトベンゼン、
1−ジアゾ−2−エトキシ−4−N,N−ジメチルアミ
ノベンゼン、p−ジアゾ−ジメチルアニリン、1−ジア
ゾ−2,5−ジブトキシ−4−モルフォリノベンゼン、
1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4−モルフォリノベ
ンゼン、1−ジアゾ−2,5−ジメトキシ−4−モルフ
ォリノベンゼン、1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4
−p−トリルメルカプトベンゼン、1−ジアゾ−4−N
−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノベンゼン、1−
ジアゾ−3−エトキシ−4−N−メチル−N−ベンジル
アミノベンゼン、1−ジアゾ−3−クロロ−4−ジエチ
ルアミノベンゼン、1−ジアゾ−3−メチル−4−ピロ
リジノベンゼン、1−ジアゾ−2−クロロ−4−N,N
−ジメチルアミノ−5−メトキシベンゼン、1−ジアゾ
−3−メトキシ−4−ピロリジノベンゼン、3−メトキ
シ−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エトキシ−4−
ジアゾジフェニルアミン、3−(n−プロポキシ)−4
−ジアゾジフェニルアミン、3−(イソプロポキシ)−
4−ジアゾジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0176】また、これらのジアゾモノマーとの縮合剤
として用いられるアルデヒドとしては、例えば、ホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ベンズ
アルデヒドなどが挙げられる。更に陰イオンとしては、
塩素イオンやトリクロロ亜鉛酸などを用いることにより
水溶性のジアゾ樹脂を得ることができ、また四フッ化ホ
ウ素、六フッ化燐酸、トリイソプロピルナフタレンスル
フォン酸、4,4’−ビフェニルスルフォン酸、2、5
−ジメチルベンゼンスルフォン酸、2−ニトロベンゼン
スルフォン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベ
ンゾイル−ベンゼンスルフォン酸などを用いることによ
り、有機溶剤可溶性のジアゾ樹脂を得ることができる。
【0177】またこれらのジアゾ樹脂は下記に説明する
ような水酸基を有する高分子化合物が通常混合して使用
される。
【0178】すなわち、水酸基を有する高分子化合物と
しては、アルコール性水酸基を有するモノマー、例えば
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、2、3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリルアミド、トリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、1、3−プロパンジオール
モノ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールモ
ノ(メタ)アクリレート、ジ(2−ヒドロキシエチル)
マレエートなどの中から選ばれる少なくとも1種類以上
のモノマーと他の水酸基を有さないモノマーとの間での
共重合体や、フェノール性水酸基を有するモノマー、例
えばN−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリル
アミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、
o−、m−、p−ヒドロキシスチレン、o−、m−、p
−ヒドロキフェニル(メタ)アクリレート、などとの共
重合体、また、p−ヒドロキシ安息香酸とグリシジル
(メタ)アクリレートとの開環反応生成物、サリチル酸
と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応
生成物などの水酸基含有モノマーなどとの共重合体が挙
げられる。また、ポリビニルアルコール、セルロース、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
グリセリン、ペンタエリスリトールなどやこれらのエポ
キシ付加反応物、その他の水酸基含有天然高分子化合物
なども用いることができる。
【0179】(5)ビスアジド化合物と環化したポリイ
ソプレンゴムやポリブタジエンゴム、またはクレゾール
ノボラック樹脂を主成分とする感光性組成物など。
【0180】これらの感光性化合物は親水性膨潤層を形
成する際に組成物に添加し、該層内に存在させる方法、
または親水性膨潤層を形成した後、感光性組成物を該層
上に塗布し、該層内に含浸させる方法などを用いて添加
される。
【0181】比較的高分子量のポリマ、オリゴマなどを
用いた感光性組成物の場合には、前者の親水性膨潤層形
成時に同時添加する方法が有利に行なわれ、比較的低分
子量のモノマ、オリゴマなどを用いた感光性組成物の場
合には、後者の含浸方法が有利である。
【0182】また原版の親水性膨潤層にはエチレン性不
飽和基の光架橋反応を増感させる目的から公知の光増感
剤を添加することが可能である。公知の光増感剤として
は、公知の光増感剤が自由に選択できるが、各種の置換
ベンゾフェノン系化合物、置換チオキサントン系化合
物、置換アクリドン系化合物などが好ましく用いられ
る。また、米国特許236766に記載されているビシナール
ポリケタルドニル化合物、米国特許2367661 、 米国特許
2367670 に開示されているα−カルボニル化合物、米国
特許2722512 に開示されているα−炭化水素で置換され
た芳香族アシロイン化合物、米国特許3046127 、米国特
許2951758 に開示されている多核キノン化合物、米国特
許3549367 に開示されているトリアリールイミダゾール
ダイマ/p−アミノフェニルケトンの組合わせ、米国特
許3870524 に開示されているベンゾチアゾール系化合
物、米国特許4239850 に開示されているベンゾチアゾー
ル系化合物/トリハロメチル−s−トリアジン系化合物
および米国特許3751259 に開示されているアクリジンお
よびフェナジン化合物、米国特許4212970 に開示されて
いるオキサジアゾール化合物、米国特許3954475 、米国
特許4189323 などに開示されている発色団基を有するト
リハロメチル−s−トリアジン系化合物、特開昭59−
197401号公報、特開昭60−76503号公報に
開示されているベンゾフェノン基含有ペルオキシエステ
ル化合物などが具体例として挙げられる。
【0183】本発明に用いられる平版印刷版の基板とし
ては、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印
刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外
には一切制限を受けない。
【0184】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0185】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0186】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0187】次に本発明の感光性平版印刷版原版から得
られた平版印刷版を用いた印刷方法について説明する。
【0188】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0189】平版印刷版を画像形成したのち、これらの
平版印刷機の版胴に装着し、該版面には接触するインキ
着けローラーからインキが供給される。
【0190】該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0191】平版印刷版を印刷する際に使用される湿し
水は、水ありPS版で使用されるエッチ液を用いること
はもちろん可能であるが、添加物を一切含有しない純水
を使用することができる。本発明により得られる平版印
刷版を用いて印刷する際には添加物を一切有さない純水
を使用することが好ましい。
【0192】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0193】
【実施例】 実施例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、150℃×2分間熱処理して
3g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0194】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)エチレン性不飽和基を有する親水性ポリマ 2重量% (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.5重量% (3)水性ラテックス「JSR0596」 7.3重量% [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 0.2重量% (5)精製水 90重量% [エチレン性不飽和基を有する親水性ポリマの合成例]
酢酸ビニル60gとアクリル酸40gに重合開始剤とし
てベンゾイルパーオキシド0.5gを加えたものを、こ
れに分散安定剤として部分ケン化ポリビニルアルコール
3gとNaCl10gを含む水300ml中に分散させ
た。
【0195】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度
は2.10であった。
【0196】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5gのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。得られたケン
化反応物はメタノールで十分に洗浄し、凍結乾燥した。
ケン化度は98.3モル%であり、赤外吸収スペクトル
の測定の結果、1570cm-1に−COO- 基に帰属さ
れる強い吸収が確認された。
【0197】次に、該共重合体ケン化反応物を高速撹拌
下、精製水に添加溶解させ、5%水溶液(5gを95g
に溶解)とした後、空気気流下でピリジンを触媒量添加
し、グリシジルメタクリレート(GMA)1gを70℃
×5時間反応させた。
【0198】上記の様にして塗設した親水性膨潤層上
に、下記組成の増感剤組成物を塗布し、100℃×2分
間熱処理して感光性成分2g/m2 を親水性膨潤層中に
含浸させた。
【0199】その後カバーフィルムとして、厚さ7ミク
ロンのポリエチレンテレフタレートフィルムをカレンダ
ーローラーを用いてラミネートし、ネガ型の平版印刷用
原版を得た。
【0200】得られた平版印刷版は、メタルハライド灯
「アイドルフィン2000 2kW :アイグラフィックス
(株)製」を用い、「UGRAオフセット検査カイル1
982」(販売元:コーハンデンシトグラフ販売
(株))を貼込んだネガフィルムを通して60秒間密着
露光(11mW/cm 2 )した。次いで、カバーフィルムを剥
離し、版全面を水道水でリンスし、未露光部の増感剤を
洗浄して刷版とした。
【0201】得られた刷版のインキ反撥部分に対応した
親水性膨潤層を水膨潤させたのち、OsO4 染色し、T
EM(透過型電子顕微鏡)観察した。
【0202】観察の結果、親水性膨潤層が、図2に示さ
れるような親水性ポリマを主成分とする相および疎水性
ポリマを主成分とする相から構成された相分離構造を有
することが確認された。また、画線部においては、露光
により親水性ポリマに含まれるエチレン性不飽和基が光
架橋し、水膨潤を阻害していることが確認された。
【0203】 (1)ミヒラー氏ケトン 5重量% (2)2,4−ジエチルチオキサントン 5重量% (3)エチルセロソルブ 90重量% 得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機「スプリント2
5:小森コーポレーション(株)製」に装着したのち、
湿し水として市販の精製水を供給しながら上質紙(62.5
kg/菊)を用いて印刷した。インキ反撥性およびインキ
着肉性は印刷物を目視観察することにより評価した。約
1000枚の印刷を行なった時点で、刷版にインキ汚れ
は発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な印刷物
が得られた。
【0204】実施例 2 実施例1の親水性膨潤層を下記組成物に替えた以外は、
同様にして、ネガ型の平版印刷用原版を得た。
【0205】 (1)「酢酸ビニル/アクリル酸メチル共重合体ケン化物:実施例1の親水性ポ リマの非GMA付加反応物」 2重量% (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.5重量% (3)エチレン性不飽和基を有する水性ラテックス 7.3重量% (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 0.2重量% (5)精製水 90重量% [エチレン性不飽和基を有する水性ラテックスの合成
例]カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテッ
クス「JSR0596:日本合成ゴム(株)製」100
g(固形分濃度50%)を空気気流下でピリジンを触媒
量添加し、グリシジルメタクリレート5gを70℃×5
時間反応させた。
【0206】得られた原版は、図1に示されるような相
分離構造を有するものであった。該原版を実施例1と同
様に製版処理し刷版としたのち、枚葉オフセット印刷機
「スプリント25:小森コーポレーション(株)製」に
装着し、湿し水として市販の精製水を供給しながら上質
紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した。
【0207】インキ反撥性およびインキ着肉性は印刷物
を目視観察することにより評価した。約1000枚の印
刷を行なった時点で、刷版にインキ汚れは発生せず、十
分にコントラストを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0208】実施例 3 親水性膨潤層の親水性ポリマおよび水性ラテックスを下
記組成物に替えた以外は、実施例1と同様にして、ネガ
型の平版印刷用原版を得た。
【0209】 (1)エチレン性不飽和基を有する親水性ポリマ(実施例1と同一) 2重量% (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 0.5重量% (3)エチレン性不飽和基を有する水性ラテックス(実施例2と同一) 7.3重量% (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 0.2重量% (5)精製水 90重量% 得られた原版は、図1に示されるような相分離構造を有
するものであった。実施例1と同様に製版処理し刷版と
したのち、枚葉オフセット印刷機「スプリント25:小
森コーポレーション(株)製」に装着し、湿し水として
市販の精製水を供給しながら上質紙(62.5kg/菊)を用
いて印刷した。
【0210】インキ反撥性およびインキ着肉性は印刷物
を目視観察することにより評価した。約1000枚の印
刷を行なった時点で、刷版にインキ汚れは発生せず、十
分にコントラストを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0211】実施例 4 実施例3の感光性成分を下記組成物に替えた以外は、同
様にして、ネガ型の平版印刷用原版を得た。
【0212】 (1)1,9−ノナンジアクリレート 20重量% (2)ミヒラー氏ケトン 5重量% (3)2,4−ジエチルチオキサントン 3重量% (4)エチルセロソルブ 72重量% 得られた原版は、図1に示されるような相分離構造を有
するものであった。実施例1と同様に製版処理し刷版と
したのち、枚葉オフセット印刷機「スプリント25:小
森コーポレーション(株)製」に装着し、湿し水として
市販の精製水を供給しながら上質紙(62.5kg/菊)を用
いて印刷した。
【0213】インキ反撥性およびインキ着肉性は印刷物
を目視観察することにより評価した。約1000枚の印
刷を行なった時点で、刷版にインキ汚れは発生せず、十
分にコントラストを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0214】実施例 5 実施例1に用いた平版印刷版と通常のPS版(FPQ;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら実施例1と同様にして印刷を行っ
た。
【0215】湿し水を供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0216】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。
【0217】
【発明の効果】本発明の感光性平版印刷版原版は、親水
性ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマを主成分
とする相の少なくとも2相から構成された相分離構造を
有する親水性膨潤層の水膨潤性およびゴム弾性が、相内
に含まれる感光性基が光反応することによって変化し、
露光部と未露光部の間でインキ反撥性差を生じ、画像形
成を行なう。
【0218】このため、従来のPS版で必要な物理的現
像工程が一切不要で製版工程が極めて簡便となる。また
インキ反撥性を発現するために必要な基板への特殊な表
面処理も不要であるため、安価な平版印刷版を製造する
ことが可能となる。さらに、わずかな湿し水の供給量で
効率よくインキを反撥することができ、湿し水のコント
ロール幅が拡大される。また、湿し水にイソプロパノー
ル等を添加することも不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の相分離構造の一例を表す。
【図2】 本発明にかかる感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の相分離構造の一例を表す。
【図3】 本発明にかかる感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の相分離構造の一例を表す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の相分離構造の一例を模式的に表したものであ
る。
【図2】 本発明にかかる感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の相分離構造の一例を模式的に表したものであ
る。
【図3】 本発明にかかる感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の相分離構造の一例を模式的に表したものであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも感光性の親水性膨潤
    層を備えた感光性平版印刷版原版であって、該親水性膨
    潤層が親水性ポリマを主成分とする相および疎水性ポリ
    マを主成分とする相の少なくとも2相から構成された相
    分離構造を有し、該親水性ポリマおよび/または疎水性
    ポリマがエチレン性不飽和基を有することを特徴とする
    感光性平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 疎水性ポリマがエチレン性不飽和基を有
    する水性エマルジョンから主として構成されることを特
    徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 疎水性ポリマがエチレン性不飽和基を有
    する共役ジエン系化合物を含有するラテックスから主と
    して構成されることを特徴とする請求項1記載の感光性
    平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】 親水性ポリマがエチレン性不飽和基を有
    するビニルエステルと、メタアクリル酸またはアクリル
    酸エステルとの共重合体のケン化反応物から主として構
    成されることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印
    刷版原版。
  5. 【請求項5】 親水性ポリマがN−ビニルカルボン酸ア
    ミド系共重合体から主として構成されることを特徴とす
    る請求項1記載の感光性平版印刷版原版。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の感光性
    平版印刷版原版の版表面に活性光線を照射し、画線部に
    対応した部分のエチレン性不飽和基を光架橋することを
    特徴とする平版印刷版の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100663100B1 (ko) * 2000-09-01 2007-01-02 후지 휘루무오린 가부시키가이샤 감광성 조성물, 감광성 도포물 및 미세패턴 구조체

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100663100B1 (ko) * 2000-09-01 2007-01-02 후지 휘루무오린 가부시키가이샤 감광성 조성물, 감광성 도포물 및 미세패턴 구조체

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