JP3463404B2 - レーザー感応性平版印刷版原版 - Google Patents

レーザー感応性平版印刷版原版

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JP3463404B2
JP3463404B2 JP08949695A JP8949695A JP3463404B2 JP 3463404 B2 JP3463404 B2 JP 3463404B2 JP 08949695 A JP08949695 A JP 08949695A JP 8949695 A JP8949695 A JP 8949695A JP 3463404 B2 JP3463404 B2 JP 3463404B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C2210/00Preparation or type or constituents of the imaging layers, in relation to lithographic printing forme preparation
    • B41C2210/16Waterless working, i.e. ink repelling exposed (imaged) or non-exposed (non-imaged) areas, not requiring fountain solution or water, e.g. dry lithography or driography

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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は平版印刷版原版に関する
ものであり、特にデジタル処理された画像情報をレーザ
ーを用いて描画することが可能な新規なレーザー感応性
平版印刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。またこのような平版印刷には通常、PS版が用い
られる。
【0003】ここで言うPS版とは、下記のものを意味
する。
【0004】すなわち、米澤輝彦著「PS版概論」
(株)印刷学会出版部(1993)p18〜p81に記
載されているように、親水化処理されたアルミニウム基
板上に親油性の感光性樹脂層を塗布し、フォトリソグラ
フィの技術により画線部は感光層が残存し、一方非画線
部は上記したアルミ基板表面が露出し、該表面に湿し水
層を形成してインキ反撥し、画像形成する水ありPS版
と、湿し水層の代わりにシリコーンゴム層をインキ反撥
層として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版であ
る。
【0005】ここで言う水なし平版とは、非画線部がシ
リコ−ンゴム、含フッ素化合物などの通常平版印刷で用
いられる油性インキに対してインキ反撥性を有する物質
からなり、湿し水を用いずにインキ着肉性の画線部との
間で画像形成し、印刷可能な印刷版を意味する。
【0006】これらのPS版は、原画フィルムを通して
露光、現像と言ったフォトリソグラフィ技術による製版
工程を経て刷版となるが、近年これらに代替する技術と
して原画フィルムを用いずに、レーザーを用いてデジタ
ル処理された画像情報を直接版面に描画し、レーザー感
応性平版印刷版に関する提案されている。
【0007】湿し水を必要とする水ありPS版をレーザ
ー感応型にする方法としては、He−NeやArレーザ
ーに感応する高感度フォトポリマを用いて直接描画する
タイプのものが多く提案されているが、高感度であるが
故に版材の取扱性が悪く、大規模かつ高額な自動露光現
像製版装置が必要であった。
【0008】一方、水なし平版印刷版をレーザー感応型
にする方法としては、例えば、DE−A2512038
には、親油性面を担持するかまたは、有する支持体上に
ニトロセルロースおよびカーボンブラックを含有する層
および非硬化シリコーン層が積層されたヒートモード記
録材料を用い、レーザーを用いて画像形成を行なったの
ち、露光部分のシリコーン層をナフサなどの溶剤を用い
て溶解し、他の部分のシリコーン層を硬化する方法が提
案されてる。しかしながら、この方法は、製版中の版材
の取扱が困難でありかつ、シリコーン層の硬化工程が現
像工程に含まれ複雑であり、また有機溶剤を使用するこ
とから環境問題の点から不都合なものであった。
【0009】またFR−A1473751においては、
親油性表面を有する基体上に、ニトロセルロース、カー
ボンブラック、およびシリコーンを有する層を用いたヒ
ートモード記録材料が提案されており、レーザーを用い
て画像形成を行なったのち、像形成部分は親油性に変換
される。しかしながら、この方法はインキ着肉部分のシ
リコーンが版面から除去されないため、インキ着肉性が
悪いものであった。
【0010】またUSP−5353705においては、
ニトロセルロースおよびカーボンブラックからなるレー
ザー感応層上にポリビニルアルコールをインキ反撥性層
として積層したヒートモード記録材料が提案されてい
る。しかしながら、そのインキ反撥性は湿し水供給下で
も極めて不十分なものであった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
従来のレーザー感応性平版印刷版原版の製版作業性を改
善し、PS平版と同等以上のインキ反撥性を有し、ま
た、レーザーを用いてデジタル処理された画像情報を直
接版面に描画しうる新規なレーザー感応性平版印刷版原
版の開発を鋭意検討した結果、レーザー感応層上に特定
の材料群からなる相分離構造を有する親水性膨潤層をイ
ンキ反撥層として積層した構成を有するレーザー感応性
平版印刷版原版を用いることが極めて有効であることを
見出した。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。
【0013】(1)基板上に少なくとも、レーザー感応
層、インキ反撥性層をこの順に積層してなる平版印刷版
において、該インキ反撥性層が少なくとも親水性ポリマ
を主成分とする相および疎水性ポリマを主成分とする相
の少なくとも2相から構成された相分離構造を有する
水性膨潤層であることを特徴とするレーザー感応性平版
印刷版原版。
【0014】
【0015】
【0016】()親水性膨潤層がレーザー照射による
活性光線に感応して破壊的吸収を生ずることを特徴とす
る(1)記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
【0017】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版の
構成について説明する。
【0018】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、基板上に、少なくとも、レーザー感応層、インキ反
撥性層をこの順に積層してなるものである。
【0019】まずレーザー感応層について説明する。
【0020】本発明のレーザー感応層は、レーザー照射
によって破壊的吸収を起こすため、通常少なくともバイ
ンダー樹脂および感熱吸収剤から構成される。
【0021】本発明に好ましく用いられる感熱吸収剤と
しては、レーザー照射波長領域に吸収を有することが必
要で、公知の顔料、染料などを用いることができる。顔
料としては、カーボンブラック、無機顔料、有機顔料が
ある。
【0022】バインダー樹脂としては公知の樹脂が使用
できる。例えばゼラチン、セルロース、酢酸セルロー
ス、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、エチレ
ン酢酸ビニル樹脂、塩素化PP、塩ビ樹脂、などが挙げ
られる。
【0023】上記の材料を用いたレーザー感応層を好ま
しく構成する方法としては、顔料をバインダ樹脂にセン
断力を加えて分散したカラーチップが好ましく用いられ
る。
【0024】カラーチップとしては、ニトロセルロース
チップ、樹脂チップがある。チップに含まれる顔料濃度
は5〜80重量%で、5〜40重量%が好ましい。
【0025】また本発明のレーザー感応層にはこれらの
材料の他に可塑剤、湿潤剤、艶消し剤、酸化防止剤など
が添加可能である。また、公知の架橋剤を添加すること
が可能である。
【0026】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0027】レーザー感応層の膜厚は、0.1g/m2
〜20g/m2 が好ましく、より好ましくは0.3g/
2 〜10g/m2 である。膜厚が0.1g/m2 より
も薄い場合はレーザー感応層の感度が低下し、20g/
2 よりも厚い場合にはインキの消費量が増加する傾向
にある。
【0028】次にインキ反撥性層について説明する。
【0029】インキ反撥性層としては、親水性膨潤層が
用いられる。
【0030】本発明に用いられる親水性膨潤層は、親水
性ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマを主成分
とする相の少なくとも2相から構成された相分離構造を
有する。
【0031】本発明の親水性膨潤層に用いられる親水性
ポリマについて説明する。
【0032】本発明の効果を有効に発現する親水性ポリ
マとしては、カルボン酸塩系共重合体が挙げられる。
【0033】本発明に好ましく用いられるカルボン酸塩
系共重合体としては、吸水性および耐久性の観点から、
カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カ
ルボン酸イミド、カルボン酸無水物などのカルボキシル
基またはカルボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個
または2個有するα、β−不飽和化合物をモノマ成分と
して含有するカルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙
げられる。
【0034】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタク
リル酸アミド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン
酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン
酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必
要な親水性を示す範囲で共重合可能な他のモノマ成分と
組合わせることが可能である。
【0035】共重合可能な他のモノマ成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリロニトリルなどのα−オレフィン、ビニ
ル化合物、ビニリデン化合物などが挙げられる。
【0036】他のモノマと組合わせる場合、カルボキシ
ル基もしくはこれに転化しうる基を含有するα、β−不
飽和化合物は、通常全モノマ成分中10モル%以上で、
40モル%以上であることがより好ましい。
【0037】カルボキシル基またはこれに転化しうる基
を含有するα、β−不飽和化合物をモノマとして含有す
る重合体は、通常ラジカル重合により調整される。重合
度は特に限定されるものではない。
【0038】このように調整される該重合体の中でも特
に、アクリル酸、メタクリル酸との重合体または共重合
体、α−オレフィン、ビニル化合物と無水マレイン酸と
の共重合体が好ましい。
【0039】これらの重合体または共重合体は、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物また
は炭酸塩などの化合物、アンモニア、アミンなどを用い
てケン化反応させることによる親水性付与が好ましく行
なわれる。これらの反応は、該重合体または該共重合体
を各種の有機溶媒または水に溶解または分散させ、そこ
に前記したアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、アンモニア、アミンなどを撹拌下に添加することに
よって実施される。
【0040】本発明に好ましく用いられるビニルエステ
ル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体は公知の方法
を用いて製造することができる。例えば高分子化学、7
巻、142頁(1950)。すなわち、重合方式によっ
て適宜選択されるが、例えばジ−t−ブチルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシドなどのパーオキシド類、過
硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、アゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ化合物などの重合開始剤を用いた
ラジカル重合によって合成される。重合方式としては、
溶液重合、乳化重合、懸濁重合などが摘要される。該共
重合体中の(メタ)アクリル酸エステル成分が少ないと
吸水性が小さく、多すぎると高吸水状態となり膜強度が
極端に低下する傾向にある。
【0041】従って、出発物質となる該共重合体中にお
ける(メタ)アクリル酸エステル成分の割合は、一般に
20〜80mol%の範囲にあることが好ましく、吸水
性および含水時の力学強度を両立させるためには30〜
70mol%であることが好ましい。
【0042】本発明に用いられるビニルエステルとして
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニルなどが挙げられる。また(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、
具体的にはメチルエステル、エチルエステル、n−プロ
ピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエス
テル、t−ブチルエステルが挙げられる。
【0043】上記に説明した共重合体はアルカリ触媒の
存在下でケン化反応することが好ましい。ケン化反応に
用いられる溶媒としてはアルコールおよびアルコール水
溶液が好ましい。また、ケン化反応に用いられる触媒と
しては公知のアルカリ触媒が用いられるが、特に水酸化
ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化
物が好ましい。ケン化反応は20〜80℃で1〜10時
間で終結する。また、本発明のケン化反応物は、公知の
方法によって塩を任意に変えることが可能である。通常
用いられる塩形成物質としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−
ジメチルイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ベンジルアミン、アニリン、ピリジンなどが挙げら
れる。
【0044】またマグネシウム、カルシウムなどのアル
カリ土類金属塩類の多価金属塩類も前記の塩と混合塩の
形態で添加することが可能である。
【0045】本発明の親水性膨潤層には発明の効果を損
わない範囲で公知の親水性ポリマを加えることが可能で
ある。公知の親水性ポリマとしては、以下の例を挙げる
ことができる。
【0046】(A)天然高分子類 デンプン−アクリロニトリル系グラフト重合体加水分解
物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合体、デンプン
−スチレンスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−
ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−アク
リルアミド系グラフト重合体、カルボキシル化メチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセ ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサン
トゲン酸セルロース、セルロース−アクリロニトリル系
グラフト重合体、セルロース−スチレンスルフォン酸系
グラフト重合体、カルボキシメチルセルロース系架橋
体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、ミルクカ
ゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイン、アンモニア
カゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼイン、グルー、
ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アルギ
ン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナ
トリウムアラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガ
ム、グアールガム、ロカストビーンガム、アイリッシュ
モス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、カルボキシル
化澱粉、寒天、デキストリン、マンナンなど。
【0047】(B)合成高分子類 ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキサイド)、水
性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒドロキシエチ
ル (メタ)アクリレート系ポリマ(以下の説明で(メ
タ)□□□□とあるのは、□□□□またはメタ□□□□
を略したものである。)、ポリ(ビニルメチルエーテル
-co-無水マレイン酸)、無水マレイン酸系共重合体、ビ
ニルピロリドン系共重合体、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート系架橋重合体、ポリプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体など。
【0048】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0049】次に本発明の親水性膨潤層に用いられる疎
水性ポリマについて説明する。
【0050】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0051】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0052】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0053】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、スチレ
ン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アクリロニ
トリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、メタク
リル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略す)、
クロロプレン系などが挙げられる。
【0054】アクリル系ラテックスとしては、アクリル
酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須成分とし
た共重合体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン
などの少なくとも1種以上を共重合したものが挙げられ
る。
【0055】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独またはアクリル酸エステル、高級酢酸ビニルエ
ステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
【0056】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0057】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0058】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0059】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
系化合物を含有するラテックスが挙げられる。
【0060】ここで言う共役ジエン系ゴムとしては、
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン
(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン(クロロプレン)
など1,3−位に炭素−炭素二重結合を有する非置換ま
たは置換1,3−ブタジエン骨格を有する化合物を意味
し、これらを必須成分とする単独またはブロック共重合
ゴム(ポリマ)が挙げられる。
【0061】ブロック共重合ゴムとしては、1,3−ブ
タジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)などの1,3−ジエンと、常温でガラス状重合体を
与えるスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのモノビニル置換芳香族化合物とのブロック共重合
体が挙げられる。
【0062】このような共重合ゴムとしては、種々の公
知のタイプが例示できるが、A−B−Aタイプのブロッ
ク共重合ゴム(ここでAはモノビニル置換芳香族化合物
からなり、好ましくはガラス転移点が70℃以上で、重
合度が10〜2500である重合体セグメントを意味
し、Bは1,3−ジエンを意味し、好ましくは数平均分
子量が500〜25000である非晶性重合体セグメン
トを意味する)などを好ましく挙げることができる。ま
た該ブロック共重合ゴムの水素添加物も同様である。
【0063】本発明に用いられる単独および共重合ゴム
の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン
(天然ゴムを含む)、ポリクロロプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体
(例えばブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート
共重合体)、メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソ
プレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合
体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−クロロプレン共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体などが挙げられる。
【0064】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスは、公知の方法で作製され、例えば必
須成分として共役ジエン系化合物を含むビニルモノマ組
成物に対して0.1〜20重量%の乳化重合分散剤(界
面活性剤など)と2〜50重量%の水を含む水性媒体中
で脱気窒素置換し、乳化させ、必要に応じて通常の乳化
重合に用いられる添加剤(分子量調整剤、酸化防止剤な
ど)を加えたのち、乳化重合用開始剤(例えば過酸化水
素、過硫酸カリウムなど)を添加し、常法に従って乳化
重合させることによって得ることができる。
【0065】原料ビニルモノマ組成物中、共役ジエン系
化合物以外に用いられるビニルモノマとしては特に限定
されないが、主として下記のI群:疎水性モノマ、II
群:親水性モノマ、III 群:架橋性モノマの3つの群に
分類できる。
【0066】I群:疎水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する疎水性ビニルモノマ(ここで言う疎水性と
は20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下の
ものを意味する)で、アクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレ
フィン類などが挙げられる。
【0067】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2
−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、フェニルアクリレート、2−メトキシエ
チルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートな
どが挙げられる。
【0068】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリ
レート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、ベンジルメタクリレート、アセトアセトキ
シエチルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、フルフリルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニル
メタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリ
レート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エト
キシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0069】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテー
ト、ビニルメトキシアセテート、ビニルアセトアセテー
ト、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香
酸ビニルなどが挙げられる。
【0070】スチレン類の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフル
オルメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メト
キシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ト
リクロルスチレン、ブロムスチレンなどが挙げられる。
【0071】オレフィン類の具体例としては、プロピレ
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンなどを挙げることができ
る。
【0072】その他アクリロニトリル、無水マレイン酸
なども挙げられる。
【0073】II群:親水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する親水性ビニルモノマで、(ここで言う親水
性とは、水に対する溶解度が大きく単独での水系乳化重
合が不可能なモノマを意味する)アミノ基、カルボキシ
ル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などの官能基
を有するモノマが挙げられる。
【0074】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ter
t−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチ
ルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0075】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イ
タコン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、
マレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルな
ど)、シトラコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル
酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げ
られる。
【0076】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、アク
リロイルオキシアルキルスルフォン酸(例えばアクリロ
イルオキシメチルスルフォン酸、アクリロイルオキシプ
ロピルスルフォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフ
ォン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルフォ
ン酸(例えばメタクリロイルオキシメチルスルフォン
酸、メタクリロイルオキシメチルスルフォン酸、メタク
リロイルオキシプロピルスルフォン酸、メタクリロイル
オキシブチルスルフォン酸など)、アクリルアミドアル
キルスルフォン酸(例えば2−アクリルアミド−2−メ
チルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルブタンスルフォン酸など)、メタクリルアミドア
ルキルスルフォン酸(例えば2−メタクリルアミド−2
−メチルエタンスルフォン酸,2−メタクリルアミド−
2−メチルプロパンスルフォン酸、2−メタクリルアミ
ド−2−メチルブタンスルフォン酸など)が挙げられ
る。
【0077】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0078】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0079】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0080】III 群:架橋性モノマとしては、反応性架
橋基(グリシジル基、ヒドロキシメチルアミド基、アル
コキシメチルアミド基、アシロキシメチルアミド基、イ
ソシアネート基など)を有するモノマ類および2つ以上
のビニル基を有する多官能性モノマが挙げられる。
【0081】グリシジル基を有するモノマの具体例とし
ては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、p−ビニル安息香酸グリシジル、グリシジルクロ
トネート、ジグリシジルイタコネート、ジグリシジルマ
レエート、ジグリシジルメチレンマロネート、グリシジ
ルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル−α−クロルアクリレートなどが挙げられる。
【0082】ヒドロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、ヒドロキシメチルアクリルアミド、
ヒドロキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0083】アルコキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、メトキシメチルアクリルアミド、メ
トキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルメタクリルアミド、ブトキシ
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミ
ド、ヘキシルオキシメチルメタクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0084】アシロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、アセトキシメチルアクリルアミド、
アセトキシメチルメタクリルアミド、プロピオニルオキ
シメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0085】イソシアネート基を有するモノマの具体例
としては、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0086】多官能モノマの具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート(エ
チレン数n=1〜23)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(エチレン数n=1〜23)、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレートなどが挙げられる。
【0087】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスを作製する際の適当なモノマの組合わ
せとしては、必須成分である共役ジエン系化合物に加え
て (1)少なくとも1種以上のI群モノマの共重合体 (2)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマとの共重合体 (3)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマおよび少なくとも1種以上のII
I 群モノマとの共重合体 (4)少なくとも1種以上のI群モノマおよびIII 群モ
ノマの共重合体 などの組合わせが挙げられるが、本発明はこれらの組合
わせに限定されない。
【0088】本発明に好ましく用いられるラテックスの
具体例としては、JSR0561(SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0589(SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR06
02(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0700(ブタジエン重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR2108(SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0650
(ビニルピリジン−SB共重合ラテックス:日本合成ゴ
ム(株)製)、JSR0652(ビニルピリジン−SB
共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0
545(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、JSR0548(カルボキシ変性S
B共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR
0596(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本
合成ゴム(株)製)、JSR0597(カルボキシ変性
SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JS
R0598(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR0619(カルボキシ変
性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0624(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0640(カルボキシ
変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、
JSR0693(カルボキシ変性SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0696(カルボ
キシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0854(カルボキシ変性SB共重合ラテ
ックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0863(カ
ルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0898(カルボキシ変性SB共重
合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、ラックスター
4940B(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大
日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター68−0
73S(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本
インキ化学工業(株)製)、ラックスターDN−704
(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本イン
キ化学工業(株)製)、ラックスターDN−702(カ
ルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学
工業(株)製)、ラックスター68−074(カルボキ
シ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスターDN−703(カルボキシ変
性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)
製)、ラックスターDM−801(カルボキシ変性MB
共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、
ラックスターDM−401(カルボキシ変性MB共重合
ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラック
スター4950C(カルボキシ変性MB共重合ラテック
ス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスターD
M−806(カルボキシ変性MB共重合ラテックス:大
日本インキ化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0089】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0090】本発明の親水性膨潤層は、例えば上記の親
水性ポリマと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋
または疑似架橋し、水に不溶化せしめることによって基
板上に積層形成される。
【0091】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0092】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0093】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0094】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、アルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0095】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0096】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0097】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0098】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0099】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0100】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0101】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0102】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0103】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシア
ネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシア
ネート付加反応物が挙げられる。
【0104】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。
【0105】分散媒としては主として水が用いられる
が、必要に応じて公知の有機溶剤を添加することが可能
である。有機溶剤の添加方法としては重合溶媒として添
加する方法、および乳化重合後エマルジョン溶液に混合
溶媒として添加する方法が可能である。
【0106】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0107】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法がインキ反撥性の点から好ましい。
【0108】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0109】また本発明の親水性膨潤層にはインキ反撥
性を損わない範囲で、本発明のレーザー感応層に好まし
く用いられるバインダー樹脂および感熱吸収剤を添加す
ることができ、親水性膨潤層自身をレーザー感応性とす
ることも好ましい。
【0110】該バインダー樹脂および感熱吸収剤は、該
レーザー感応層に用いられる材料と同一でも異なっても
よい。
【0111】次に本発明に言う親水性膨潤層の相分離構
造について説明する。
【0112】本発明に用いられる親水性膨潤層は、上記
した親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポリマを主
成分とする相の少なくとも2相から構成された相分離構
造を有することが好ましく、さらにゴム弾性を有するこ
とが好ましい。
【0113】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反撥性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
【0114】該相分離構造を構成する親水性ポリマ相と
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
【0115】上記(1)〜(3)の相分離構造の一例を
それぞれ図1〜3に示す。
【0116】すなわち親水性ポリマが比較的強い親水性
を示す材料を選択した場合(水溶性ポリマおよび疑似水
溶性ポリマなど)、親水性膨潤層に含まれる該親水性ポ
リマの割合は、インキ反撥性および印刷耐久性の点から
比較的少量で十分であり、疎水性ポリマの割合が相対的
に多くなるため、親水性ポリマを分散相とする上記の
(1)または(2)の形態となることが好ましい。一
方、親水性ポリマが比較的弱い親水性を示す材料を選択
した場合(水膨潤性ポリマなど)、親水性膨潤層に含ま
れる該親水性ポリマの割合は、インキ反撥性および印刷
耐久性の点から比較的多量に必要であり、疎水性ポリマ
の割合が相対的に少なくなるため、上記の(1)、
(2)または(3)の形態となることが好ましい。
【0117】すなわち本発明に用いられる親水性膨潤層
の好ましい相分離構造は、該層が有するゴム弾性および
水膨潤性によって異なるが、親水性ポリマの親水性の程
度によって異なる。
【0118】(1)の形態をとる場合、疎水性ポリマ相
が主として連続相であるためには、疎水性ポリマの組成
が50重量%以上であり、60〜95重量%であること
が好ましく、70〜90重量%であることが更に好まし
い。疎水性ポリマの組成比が50重量%以下となると親
水性膨潤層のインキ反撥層としての性能は印刷初期にお
いては向上するが、印刷耐久性が急激に低下する傾向に
ある。一方、疎水性ポリマの組成比が95重量%を越え
ると親水性膨潤層内の親水性ポリマが十分に吸水でき
ず、親水性が不足してインキ反撥性が極端に低下する傾
向にある。
【0119】(2)および(3)の形態をとる場合、親
水性ポリマおよび疎水性ポリマの両者が20重量%以上
であり、40重量%以上であることが好ましい。
【0120】本発明の親水性膨潤層厚さは、0.1〜1
00g/m2 で用いることが可能であるが、インキ反撥
性および形態保持性の観点から、好ましくは0.3〜1
0g/m2 である。該厚みが薄すぎる場合には、インキ
反撥性が極端に低下する傾向にあり、また塗工時にピン
ホールなどの欠陥が生じやすくなる。また厚すぎる場合
には、水膨潤時の形態保持性が劣化する傾向にあり経済
的にも不利である。
【0121】本発明に用いられるレーザー感応性平版印
刷版原版の基板としては、通常の平版印刷機に取り付け
られるたわみ性と印刷時に加わる荷重に耐えうるもので
ある必要がある以外には一切制限を受けない。
【0122】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0123】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0124】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版の
製版方法について説明する。
【0125】本発明においてレーザー感応性とは、ヒー
トモードで行なわれる画像形成が可能なことを意味す
る。すなわち、レーザー照射に対応した部分のレーザー
感応層および/またはインキ反撥性層が瞬間的に燃焼お
よび/または蒸発などの破壊的吸収を生じ、インキ着肉
性の凹部が形成される。
【0126】インキ着肉性の凹部としては、基板をその
まま露出させて用いることもできるが、基板とレーザー
感応層の接着を強固にし、またインキ着肉性を向上さ
せ、ハレーションを防止する目的から、プライマー層を
設けてもよい。本発明で用いられるプライマー層とし
て、例えば、特公昭61−54219号公報に示される
ようなエポキシ樹脂を含むものの他、ポリウレタン樹
脂、フェノ−ル樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、尿
素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート
樹脂、ポリアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポ
リエーテル樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ミルク
カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらの樹脂は単
独であるいは二種以上混合して用いることができる。
【0127】これらの中では、ポリウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂
等を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることが
好ましい。
【0128】また、上記プライマー層を構成するアンカ
ー剤としては、例えばシランカップリング剤等の、公知
の接着剤を用いることができ、また有機チタネート等も
有効である。
【0129】さらに塗工性を改良する目的で、界面活性
剤を添加することも任意である。
【0130】また、インキ着肉性の凹部として、該プラ
イマー層が露出してこれが画線部となる場合、このプラ
イマー層中に染料、顔料等の添加剤を含有させて検版性
を向上させることが好ましい。この場合の染料、顔料は
感光層と異なる色相であれば、どのようなものでも使用
できるが、緑色、青色、紫色系の染料及び顔料、または
白色顔料が好ましい。
【0131】上記のプライマー層を形成するための組成
物は、DMF、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジオキサン等の適当な有機溶剤に溶解させるこ
とによって組成物溶液として調整される。かかる組成物
溶液を基板上に均一に塗布し必要な温度で必要な時間加
熱することにより、プライマー層が形成される。
【0132】プライマ−層の厚さは0.5〜50g/m
2 が好ましく、より好ましくは1〜10g/m2 であ
る。厚さが0.5g/m2 よりも薄いと基板表面の形態
欠陥および化学的悪影響の遮断効果がおとり、50g/
2 よりも厚いと経済的見地から不利となるので上記の
範囲が好ましい。
【0133】本発明に好ましく用いられるレーザーとし
ては、半導体レーザー、Nd−YAGレーザー、アルゴ
ンレーザーなどが挙げられ、40〜7500mWのパワ
ー出力のものが好ましく用いられる。中でも、ヒートモ
ード記録を効率良く行なう点から、500〜300mW
の半導体レーザーが好ましく用いられる。
【0134】通常1回のレーザー照射によって形成され
るインキ着肉性の凹部の直径は3〜100μm程度であ
る。
【0135】次に本発明のレーザー感応性平版印刷版原
版から得られた印刷版を用いた印刷方法について説明す
る。
【0136】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0137】本発明の平版印刷版原版を画像形成したの
ち、これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面には接
触するインキ着けローラーからインキが供給される。
【0138】該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0139】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0140】
【実施例】
実施例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、200℃×5分間、加熱硬化
して2g/m2 の厚みを有するインキ着肉層を塗設し
た。
【0141】 <インキ着肉層組成(重量部)> (1)ポリエステル樹脂「バイロン−200:東洋紡績(株)製」 20重量部 (2)メラミン樹脂「スミマールM−40S:住友化学(株)製」 10重量部 (3)トルエン 40重量部 (4)メチルエチルケトン 10重量部 (5)酢酸ブチル 30重量部 (6)シクロヘキサノン 50重量部 次に下記組成物を塗布したのち、180℃×2分間、熱
処理して1g/m2 の厚みを有するレーザー感応層を塗
設した。
【0142】 <レーザー感応層組成(重量部)> (1)ニトロセルロースチップ 100重量部 カーボンブラック (三菱#960) 25重量部 ニトロセルロース (H1/2タイプ) 75重量部 (2)メチルエチルケトン 800重量部 更に表1に示した親水性ポリマを用いた下記組成物を塗
布したのち、150℃×60分間、熱処理して2g/m
2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0143】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)アクリル酸Na−ビニルアルコール共重合体 28重量部 (アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体のNaOHケン化反応物) 組成比:48/52(モル%比) (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0596」 65重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部 [実施例1に用いた親水性ポリマの合成例]酢酸ビニル
60gとアクリル酸40gに重合開始剤としてベンゾイ
ルパーオキシド0.5gを加えたものを、これに分散安
定剤として部分ケン化ポリビニルアルコール3gとNa
Cl10gを含む水300ml中に分散させた。
【0144】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度
は2.10であった。
【0145】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5NのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0146】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%で
あり、赤外吸収スペクトルの測定の結果、1570cm
-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認された。
【0147】得られたレーザー感応性平版印刷版原版の
表面に半導体レーザーを下記条件で照射し、インキ着肉
性の画素を形成した。
【0148】レーザー出力:1W(800nm) スポット径:6μm パルス幅:10μsec レーザー照射に対応した部分のレーザー感応層および親
水性膨潤層が燃焼破壊し、除去され、6.3μmのスポ
ット径を有するインキ着肉性のピットが形成された。
【0149】このようなピットを有する平版印刷版を平
版印刷機の版胴にPS版(FPQ:富士写真フィルム
(株)製)と共に装着し、該版面に接触するインキ着け
ローラーからインキを供給し、また同時に湿し水供給装
置から水を供給して印刷を行なった。その結果ピットが
形成された画線部はインキが受容し、オフセットブラン
ケット胴を介して印刷物にピット径に対応した明瞭なイ
ンキ画素が形成された。
【0150】一方、親水性膨潤層は湿し水によって膨潤
し、完全にインキを反撥したPS版と同等のコントラス
トを持つ印刷物が得られた。印刷を5000枚終了した
後も親水性膨潤層はインキ反撥性を保持し、印刷物にイ
ンキ汚れは発生しなかった。
【0151】実施例2 親水性膨潤層の組成を下記に変更した以外は実施例1と
同様にして、レーザー感応性平版印刷版原版を作製し
た。なおニトロセルロースチップはボールミルを用いて
粉砕し、他の組成物と混合後、ホモジナイザーを用いて
分散した。
【0152】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)アクリル酸Na−ビニルアルコール共重合体 28重量部 (アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体のNaOHケン化反応物) 組成比:48/52(モル%比) (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0596」 55重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)ニトロセルロースチップ(実施例1と同じ組成) 10重量部 (6)精製水 900重量部 実施例1と同様の条件でレーザー照射した結果、レーザ
ー照射に対応した部分のレーザー感応層および親水性膨
潤層が燃焼破壊し、除去され、6.1μmのスポット径
を有するインキ着肉性のピットが形成された。また湿し
水を供給して平版印刷を行なった結果、親水性膨潤層は
実施例1と同様のインキ反撥性を示した。
【0153】
【発明の効果】本発明のレーザー感応性平版印刷版は、
レーザー感応層の上に親水性膨潤層からなるインキ反撥
性層を有するため、優れたレーザー感応性を有しかつ従
来のPS版と同等以上の高いインキ反撥を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレーザー感応性平版印刷版原版
の親水性膨潤層の相分離構造の一例を表す。
【図2】本発明にかかるレーザー感応性平版印刷版原版
の親水性膨潤層の相分離構造の一例を表す。
【図3】本発明にかかるレーザー感応性平版印刷版原版
の親水性膨潤層の相分離構造の一例を表す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも、レーザー感応層、イ
    ンキ反撥性層をこの順に積層してなる平版印刷版におい
    て、該インキ反撥性層が少なくとも親水性ポリマを主成
    分とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の少な
    くとも2相から構成された相分離構造を有する親水性膨
    潤層であることを特徴とするレーザー感応性平版印刷版
    原版。
  2. 【請求項2】親水性膨潤層がレーザー照射による活性光
    線に感応して破壊的吸収を生ずることを特徴とする請求
    項1記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
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