JPH1062984A - 感光性平版印刷版原版 - Google Patents

感光性平版印刷版原版

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JPH1062984A
JPH1062984A JP22226796A JP22226796A JPH1062984A JP H1062984 A JPH1062984 A JP H1062984A JP 22226796 A JP22226796 A JP 22226796A JP 22226796 A JP22226796 A JP 22226796A JP H1062984 A JPH1062984 A JP H1062984A
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JP
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water
photosensitive
plate
hydrophilic
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JP22226796A
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English (en)
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Koichi Fujimaru
浩一 藤丸
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】現像が簡便で、不感脂化処理を行うことなく高
いインキ反発性を有し、湿し水のコントロール幅が広
く、湿し水のIPAレス化が可能な、印刷耐久性に優れ
た感光性平版印刷版原版を得る。 【解決手段】基板上に親水性膨潤層をそなえ、アジド化
合物を含有することを特徴とする感光性平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性平版印刷版原
版に関するものであり、不感脂化処理を行なうことなく
高いインキ反撥性を有し、湿し水として純水を使用でき
る新規な感光性平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。またこのような平版印刷には通常、PS版が用い
られる。
【0003】ここで言うPS版とは、下記のものを意味
する。
【0004】すなわち、米澤輝彦著「PS版概論」
(株)印刷学会出版部(1993)p18〜p81に記
載されているように、親水化処理されたアルミニウム基
板上に親油性の感光性樹脂層を塗布し、フォトリソグラ
フィの技術により画線部は感光層が残存し、一方非画線
部は上記したアルミ基板表面が露出し、該表面に湿し水
層を形成してインキ反撥し、画像形成する水ありPS版
と、湿し水層の代わりにシリコーンゴム層をインキ反撥
層として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版であ
る。
【0005】ここで言う水なし平版とは、非画線部がシ
リコ−ンゴム、含フッ素化合物などの通常平版印刷で用
いられる油性インキに対してインキ反撥性を有する物質
からなり、湿し水を用いずにインキ着肉性の画線部との
間で画像形成し、印刷可能な印刷版を意味する。
【0006】前者の水ありPS版は実用上優れた印刷版
で、支持体に通常アルミニウムが用いられ、該アルミニ
ウム表面は保水性を有するとともに印刷中に親油性の感
光性樹脂層が該表面から剥離脱落しないように感光層と
の接着性に優れている必要があった。そのため、該アル
ミニウム表面は通常砂目立てされ、さらに必要に応じて
この砂目立てされた表面を陽極酸化するなどの処理が施
され、保水性の向上と該感光性樹脂層に対する接着性の
補強が計られてきた。また、該感光性樹脂層の保存安定
性を得るために該アルミニウム表面はフッ化ジルコニウ
ム、ケイ酸ナトリウムなどの化学処理が一般的に施され
ている。
【0007】このように水ありPS版は製造工程が複雑
であり、その簡易化が望まれていたが、該版の優れた印
刷特性(耐刷性、画像再現性など)から広く使用されて
いる。
【0008】上記問題を解決すべく、アルミニウム基板
と同等もしくはそれ以上の印刷特性を有し、しかも材料
コストが安くかつ簡易な製造工程によるアルミニウム基
板とは異なる新規な平版材料の提案がある。例えば、特
公昭56−2938号公報においては、アルミニウム基
板に代えて親水性高分子材料からなるインキ反撥層を塗
設した支持体を用い、該支持体上に感光層を形成する方
法が提案されている。しかしながら、該方法は、ポリ塩
化ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコールのアル
デヒド縮合物の耐水性層上に親水性層として尿素樹脂が
単純塗布されているものであるため、該層はインキ反撥
性が不十分であるうえ、感光性樹脂層との密着性にも劣
るものであり、耐刷性が不十分なものであった。また、
特開昭57−179852号公報においては、支持体上
に親水性ラジカル重合化合物を塗設し、活性光線の照射
によって該支持体表面を親水化処理し、感光性樹脂層を
塗設する方法が提案されている。しかしながら、該方法
によって形成された親水性表面層も剛直でインキ反撥性
は不十分であり、耐刷性にも乏しいものであった。
【0009】またこれらの水ありPS版の現像に際して
は、感光層を溶解してアルミ基板表面を露出させる方式
であるため、感光層成分が現像液中に溶解させることが
必須で、該現像液は短期間に大幅に組成変動が起こり疲
労してしまうため、大量の現像廃液が発生する。
【0010】そのため、該現像液は頻繁にメンテナンス
し交換する必要があった。また発生した現像廃液の処理
には多大な労力と費用が必要であった。
【0011】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有しP
PCを用いて画像形成し、非画像部をエッチ液などで不
感脂化処理して該画像受理層をインキ反撥層に変換させ
て使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供されてい
る。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バインダポリ
マ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を設けた
ものが一般的で、USP2532865号公報、特公昭
40−23581号公報、特開昭48−9802号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭60−2
309号公報、特開昭57−1791号公報、特開昭5
7−15998号公報、特開昭57−96900号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−1
66590号公報、特開昭63−166591号公報、
特開昭63−317388号公報、特開平1−1144
88号公報、特開平4−367868号公報などが挙げ
られる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反撥層
に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒドロ
キシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処理す
る以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよびア
クリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シリ
カ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミン
・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構成
されているものが提案されている。
【0012】また特開昭63−256493号公報など
では、不感脂化処理により加水分解されて親水性基が発
生する疎水性ポリマを主成分として用いる直描型平版印
刷原版が提案されている。このような直描型平版印刷原
版は、いずれも画像受理層をインキ反撥層に変換するた
めに、不感脂化処理が必須であり、該処理なしではイン
キ反撥性を殆ど示さない性質のものであった。
【0013】すなわち、実用レベルのインキ反撥性を得
るためには、不感脂化処理および、親水性バインダポリ
マを大量に使用する必要があるが、耐水性に劣る傾向に
あり印刷耐久性が低下する。また親水性を高めるとトナ
ーなどの画像との接着性が低下する傾向にあるなどの問
題点があった。一方、印刷耐久性を向上するために耐水
化剤の添加量を多くしたり疎水性ポリマを添加したりし
て耐水性を増大させると、親水性が低下し、インキ反撥
性が大幅に低下してしまう問題点があった。
【0014】また、ユニオンカーバイド社が開発した親
水性/疎水性変換反応を利用した現像、ラッカー盛りお
よび不感脂化処理が一切不要な、いわゆる露光のみの一
工程版の技術が、特公昭42−131号公報、特公昭4
2−5365号公報、特公昭42−14328号公報、
特公昭42−20127号公報、USP3231377
号公報、USP3231381号公報、USP3231
382号公報などによって開示されている。該版はポリ
エチレンオキサイドとフェノール樹脂の会合体を感光剤
とともに塗設したものであるが、非画線部が剛直で柔軟
性に劣りインキ反撥性が不十分であり、また非画線部と
画線部との間でのインキ反撥/インキ着肉差が小さく、
実用性に乏しいものであった。
【0015】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適性な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0016】一方、後者の湿し水の代わりにシリコーン
ゴム層をインキ反撥層とする水なしPS版の場合、特公
昭54−26923号公報、特公昭57−3060号公
報、特公昭56−12862号公報、特公昭56−23
150号公報、特公昭56−30856号公報、特公昭
60−60051号公報、特公昭61−54220号公
報、特公昭61−54222号公報、特公昭61−54
223号公報、特公昭61−616号公報、特公昭63
−23544号公報、特公平2−25498号公報、特
公平3−56622号公報、特公平4−28098号公
報、特公平5−1934号公報、特開平2−63050
号公報、特開平2−63051号公報などに示されてい
るように湿し水を用いずに印刷できるため、前者の水あ
りPS版で必要な湿し水のコントロール作業がいっさい
必要なく、印刷作業が極めて簡便となることから、近年
急速に普及しつつある実用性の高い版材であるが、イン
キ反撥性層として力学的強度が弱いシリコーンゴム層を
用いるため、耐久性の不足が指摘され、耐久性に優れた
インキ反撥性材料の必要性が強く求められている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とすると
ころは、現像が簡便で、従来の水ありPS版の平版印刷
の湿し水のコントロール幅の拡大ならびに従来不可能と
されてきた湿し水からのIPAレス化を可能とし、また
直描型平版印刷原版のようにPPC方式で画像形成し不
感脂化処理するなどの複雑な製版工程を有することな
く、更にシリコーンゴム層をインキ反撥層とする水なし
平版の欠点である耐久性の不足を解消でき、また製造工
程が簡便な理想的な平版材料を得ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は以下の構成からなる。
【0019】(1)基板上に少なくとも感光性の親水性
膨潤層を備えた感光性平版印刷版原版であって、親水性
膨潤層内、および/または親水性膨潤層上に形成された
感光層内にアジド化合物を含有することを特徴とする感
光性平版印刷版原版。
【0020】(2)アジド化合物が水溶性であることを
特徴とする(1)記載の感光性平版印刷版原版。
【0021】(3)アジド化合物が水溶性のビスアジド
化合物であることを特徴とする(1)記載の感光性平版
印刷版原版。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の感光性平版印刷版原版の
親水性膨潤層に用いられる親水性ポリマーについて説明
する。
【0023】親水性ポリマとは、水に対して実質的に不
溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水溶性ポリマ(水に完
全溶解するものを意味する)、疑似水溶性ポリマ(両親
媒性を意味し、マクロには水に溶解するがミクロには非
溶解部分を含むものを意味する)、水膨潤性ポリマ(水
に膨潤するが溶解しないものを意味する)を意味する。
すなわち、通常の使用条件下で水を吸着または吸収する
ポリマを意味し、水に溶けるか或いは水に膨潤するポリ
マを意味する。
【0024】本発明の効果を有効に発現する親水性ポリ
マとしては、カルボン酸塩系共重合体が挙げられる。
【0025】本発明に好ましく用いられるカルボン酸塩
系共重合体としては、吸水性および耐久性の観点から、
カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カ
ルボン酸イミド、カルボン酸無水物などのカルボキシル
基またはカルボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個
または2個有するα、β−不飽和化合物をモノマ成分と
して含有するカルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙
げられる。
【0026】これらの重合体または共重合体は、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物また
は炭酸塩などの化合物、アンモニア、アミンなどを用い
てケン化反応させることによる親水性付与が好ましく行
なわれる。これらの反応は、該重合体または該共重合体
を各種の有機溶媒または水に溶解または分散させ、そこ
に前記したアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、アンモニア、アミンなどを撹拌下に添加することに
よって実施される。
【0027】このようなカルボン酸塩系共重合体の中で
も、特にビニルエステル/(メタ)アクリル酸エステル
共重合体が、親水性膨潤層が適度な水膨潤性を示し、か
つ印刷耐久性およびインキ反撥性の両者を満足させる点
で好ましい。
【0028】本発明の親水性膨潤層には発明の効果を損
わない範囲で公知の親水性ポリマを加えることが可能で
ある。公知の親水性ポリマとしては、以下の例を挙げる
ことができる。
【0029】(A)天然高分子類 デンプン−アクリロニトリル系グラフト重合体加水分解
物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合体、デンプン
−スチレンスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−
ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−アク
リルアミド系グラフト重合体、カルボキシル化メチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサント
ゲン酸セルロース、セルロース−アクリロニトリル系グ
ラフト重合体、セルロース−スチレンスルフォン酸系グ
ラフト重合体、カルボキシメチルセルロース系架橋体、
ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、ミルクカゼイ
ン、酸カゼイン、レンネットカゼイン、アンモニアカゼ
イン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼイン、グルー、ゼラ
チン、グルテン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アルギン酸
アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリ
ウムアラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガム、グ
アールガム、ロカストビーンガム、アイリッシュモス、
大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、カルボキシル化澱
粉、寒天、デキストリン、マンナンなど。
【0030】(B)合成高分子類 ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキサイド)、水
性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒドロキシエチ
ル (メタ)アクリレート系ポリマ(以下の説明で(メ
タ)□□□□とあるのは、□□□□またはメタ□□□□
を略したものである。)、ポリ(ビニルメチルエーテル
-co-無水マレイン酸)、無水マレイン酸系共重合体、N
−ビニルカルボン酸アミド系共重合体、ビニルピロリド
ン系共重合体、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート系架橋重合体、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート系架橋重合体など。
【0031】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0032】次に本発明の親水性膨潤層に用いられる疎
水性ポリマについて説明する。
【0033】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0034】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0035】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0036】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。
【0037】アクリル系ラテックスとしては、アクリル
酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須成分とし
た共重合体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン
などの少なくとも1種以上を共重合したものが挙げられ
る。
【0038】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独またはアクリル酸エステル、高級酢酸ビニルエ
ステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
【0039】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0040】共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、
スチレン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アク
リロニトリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、
メタクリル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略
す)、クロロプレン系などが挙げられる。
【0041】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0042】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0043】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
ポリマ系ラテックスが挙げられる。
【0044】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスの具体例としては、JSR0561
(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0589(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0602(SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0700(ブタジエン
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR21
08(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0650(ビニルピリジン−SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0652
(ビニルピリジン−SB共重合ラテックス:日本合成ゴ
ム(株)製)、JSR0545(カルボキシ変性SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR05
48(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成
ゴム(株)製)、JSR0596(カルボキシ変性SB
共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0
597(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、JSR0598(カルボキシ変性S
B共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR
0619(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本
合成ゴム(株)製)、JSR0624 (カルボキシ変
性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0640 (カルボキシ変性SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0693 (カル
ボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0696 (カルボキシ変性SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0854
(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0863 (カルボキシ変性SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR08
98 (カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、ラックスター4940B(カルボキ
シ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスター68−073S(カルボキシ
変性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスターDN−704(カルボキシ変
性NB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)
製)、ラックスターDN−702(カルボキシ変性NB
共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、
ラックスター68−074(カルボキシ変性NB共重合
ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラック
スターDN−703(カルボキシ変性NB共重合ラテッ
クス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター
DM−801(カルボキシ変性MB共重合ラテックス:
大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスターDM−
401(カルボキシ変性MB共重合ラテックス:大日本
インキ化学工業(株)製)、ラックスター4950C
(カルボキシ変性MB共重合ラテックス:大日本インキ
化学工業(株)製)、ラックスターDM−806(カル
ボキシ変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工
業(株)製)などが挙げられる。
【0045】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0046】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または疑
似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に積
層形成される。
【0047】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0048】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0049】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、ポリアルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒド
ラジンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加
し、反応を促進することが行なわれる。
【0050】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、カルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0051】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0052】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0053】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0054】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0055】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0056】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0057】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0058】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0059】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシア
ネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシア
ネート付加反応物が挙げられる。
【0060】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。
【0061】分散媒としては主として水が用いられる
が、必要に応じて公知の有機溶剤を添加することが可能
である。有機溶剤の添加方法としては重合溶媒として添
加する方法、および乳化重合後エマルジョン溶液に混合
溶媒として添加する方法が可能である。
【0062】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0063】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な相分離構造を実現しインキ
反撥性を向上させる点から好ましい。
【0064】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0065】次に本発明に言う親水性膨潤層の相分離構
造について説明する。
【0066】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反撥性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
【0067】該相分離構造を構成する親水性ポリマ相と
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
【0068】すなわち親水性ポリマが比較的強い親水性
を示す材料を選択した場合(水溶性ポリマおよび疑似水
溶性ポリマなど)、親水性膨潤層に含まれる該親水性ポ
リマの割合は、インキ反撥性および印刷耐久性の点から
比較的少量で十分であり、疎水性ポリマの割合が相対的
に多くなるため、親水性ポリマを分散相とする上記の
(1)または(2)の形態となることが好ましい。一
方、親水性ポリマが比較的弱い親水性を示す材料を選択
した場合(水膨潤性ポリマなど)、親水性膨潤層に含ま
れる該親水性ポリマの割合は、インキ反撥性および印刷
耐久性の点から比較的多量に必要であり、疎水性ポリマ
の割合が相対的に少なくなるため、上記の(1)、
(2)または(3)の形態となることが好ましい。
【0069】次に本発明のアジド化合物について説明す
る。
【0070】本発明に用いられるアジド化合物として
は、アジド基が直接又はカルボニル基又はスルホニル基
を介して芳香環に結合している芳香族アジドがある。こ
れらは光によりアジド基が分解して、ナイトレンを生
じ、ナイトレンが種々の反応を起こして不溶化するもの
である。好ましい芳香族アジド化合物としては、アジド
フェニル、アジドスチリル、アジドベンザル、アジドベ
ンゾイル及びアジドシンナモイルのような基を1個又は
それ以上含む化合物で、例えば4,4’−ジアジドカル
コン、4−アジド−4’−(4−アジドベンゾイルエト
キシ)カルコン、N,N−ビス−p−アジドベンザル−
p−フェニレンジアミン、1,2,6−トリ(4’アジ
ドベンゾキシ)ヘキサン、2−アジド−3−クロロ−ベ
ンゾキノン、2,4−ジアジド−4’−エトキシアゾベ
ンゼン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−メ
チルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンゾフェ
ノン、2,5−ジアジド−3,6−ジクロロベンゾキノ
ン、2,5−ビス(4−アジドスチリル)−1,3,4
−オキサジアゾール、2−(4−アジドシンナモイル)
チオフェン、2,5−ジ(4’−アジドベンザル)シク
ロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、
1−(4−アジドフェニル)−5−フリル−2−ペンタ
−2,4−ジエン−1−オン、1−(4−アジドフェニ
ル)−5−(4−メトキシフェニル)−ペンタ−1,4
−ジエン−3−オン、1−(4−アジドフェニル)−3
−(1−ナフチル)プロペン−1−オン、1−(4−ア
ジドフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)
−プロパン−1−オン、1−(4−アジドフェニル)−
5−フェニル−1,4−ペンタジエン−3−オン、1−
(4−アジドフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)
−2−プロペン−1−オン、1−(4−アジドフェニ
ル)−3−(2−フリル)−2−プロペン−1−オン、
1,2,6−トリ(4’−アジドベンゾキシ)ヘキサ
ン、2,6−ビス−(4−アジドベンジリジン−p−t
−ブチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベン
ザルアセトン、4,4’−ジアジドスチルベン−2,
2’−ジスルホン酸、4’−アジドベンザルアセトフェ
ノン−2−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン
−α−カルボン酸、ジ−(4−アジド−2’−ヒドロキ
シベンザル)アセトン−2−スルホン酸、4−アジドベ
ンザルアセトフェノン−2−スルホン酸、4,4’−ジ
アジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸塩、4’−
アジドベンザルアセトフェノン−2−スルホン酸塩、
4,4’−ジアジドスチルベン−α−カルボン酸塩、ジ
−(4−アジド−2’−ヒドロキシベンザル)アセトン
−2−スルホン酸塩、4−アジドベンザルアセトフェノ
ン−2−スルホン酸塩、2−アジド−1、4−ジベンゼ
ンスルホニルアミノナフタレン、4,4’−ジアジド−
スチルベン−2,2’−ジスルホン酸アニリド等を挙げ
ることができる。
【0071】架橋性を考慮すると、水溶性のビスアジド
化合物が特に好ましく用いられ、次のような化合物が用
いられる。
【0072】
【化1】 またこれらの低分子芳香族アジド化合物以外にも、p−
アジド安息香酸をポリビニルアルコールに導入したポリ
(ビニル−p−アジドベンゾエート)のようなアジド基
含有ポリマーも用いる事ができる。
【0073】さらにこれらのアジド化合物は、光により
アジド基が分解して生じたナイトレンが、親水性膨潤層
内または感光層内のポリマー、オリゴマーおよびモノマ
ーと水素引き抜き反応や二重結合への挿入反応、カップ
リング反応するなどして不溶化されるものものと共に使
用される。このようなものとしてはビニルポリマ類、未
加流ゴム、ポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエ
ステル類、ポリウレタン類、ポリアミド類など水又は有
機溶媒可溶でかつフィルム形成能のあり、さらに水酸基
やメルカプト基、アミノ基、不飽和基などの官能基を有
するものが好ましい。
【0074】アジド化合物からなる感光性分には、染料
や顔料、可塑剤、ミヒラーケトン、9−フルオレノン、
1−ニトロピレン、1,8−ジニトロピレン、2−クロ
ロ−1,2−ベンズアントラキノン、2−ブロモ−1,
2−ベンズアントラキノン、ピレン−1,6−キノン、
2−クロロ−1,8−フタロイルナフタレン、シアノア
クリジンなどの増感剤などの添加剤を加えることができ
る。
【0075】これらアジド化合物の感光性組成物中の含
有量は、1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%で
ある。また、必要に応じ、アジド化合物を2種以上併用
してもよい。
【0076】感光性組成物の量は、乾燥状態で0.1〜
100g/m2 、好ましくは約0.1〜10g/m2 で
ある。組成物量が少なすぎる場合には感光性組成物の存
在が不均一となり、露光時に均質な画像部が得られない
だけでなく、印刷耐久性の点から不利となる。一方、感
光性組成物量が多すぎる場合には、乾燥工程の負担が重
く、経済的に不利であるばかりでなく印刷耐久性の点に
おいても不良となる。
【0077】次に本発明の保護層について説明する。
【0078】本発明の感光性平版印刷版原版の表面に
は、版面を保護する目的で適当な保護層をコーティング
により最上層に形成したり、保護フィルムをラミネート
してもよい。また、該保護層中には感光性化合物を曝光
(露光光源以外の光で、本来非照射部分に光が照射され
ることを意味する)から保護する目的で、光退色性物質
を含有せしめることもできる。
【0079】保護フィルムの具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタ
レート、セロファンなどが挙げられる。また、これらの
保護フィルムは画像露光時の焼枠における真空密着性を
改良するために、凹凸加工を施したり、表面をマット処
理したり、シリカ粒子などを含むプラスチック層を上記
保護フィルムの表面に塗布積層することも好ましく行な
われる。
【0080】また、保護層を設けない場合にも、画像露
光時の焼枠における真空密着性を改良するために、版表
面を凹凸加工を施したり、版表面をマット処理したり、
シリカ粒子などを含むプラスチック層を版表面に塗布積
層することも可能である。
【0081】次に本発明の感光性平版印刷版原版を用い
た平版印刷版の製造方法について説明する。
【0082】本発明の感光性平版印刷版原版は、ネガテ
ィブワーキング用の製版工程を経て刷版となる。すなわ
ち、基板上に形成された親水性膨潤層内、および/また
は親水性膨潤層上に含有されたアジド化合物が、ネガ原
画フィルムおよび保護層を設けた場合にはこの保護層を
通して露光される。
【0083】本発明の感光性平版印刷版原版は露光後、
保護フイルムを設けた場合にはフイルムを剥離し、版表
面を水または適切な溶媒にて洗浄するのみで基本的に製
版が終了する。
【0084】また、洗浄の効率を高める上から、スプレ
ー、シャワー、浸漬、ブラッシング、ラビングなど公知
の自動現像機で用いられるリンス液供給および現像促進
手段を用いることは自由である。また、供給する洗浄液
の温度は制限されない。
【0085】露光部においては感光性組成物が光架橋
し、親水性膨潤層内、および/または親水性膨潤層の上
に設けられた感光層内で硬化/固定される。
【0086】上記のように本発明の感光性平版印刷版原
版は、感光性化合物であるアジド化合物を含有する感光
性組成物の光反応によって、インキ反撥性の親水性膨潤
層の相分離構造が有する吸水率、ゴム弾性や水膨潤率を
変化させる親油性の画線部を形成することによって画像
形成するものである。
【0087】本発明の製版露光工程で用いられる光源と
しては、例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノ
ン灯、メタルハライド灯、蛍光灯などが挙げられる。
【0088】本発明に用いられる感光性平版印刷版原版
の基板としては、通常の平版印刷機に取り付けられるた
わみ性と印刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要
がある以外には一切制限を受けない。
【0089】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0090】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0091】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0092】次に本発明の感光性平版印刷版原版から作
製された刷版を用いた印刷方法について説明する。
【0093】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0094】本発明の感光性平版印刷版原版を画像形成
したのち、これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面
には接触するインキ着けローラーからインキが供給され
る。該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部分は湿し
水供給装置から供給される湿し水によって膨潤し、イン
キを反撥する。一方、画線部分はインキを受容し、オフ
セットブランケット胴表面または被印刷体表面にインキ
を供給して印刷画像を形成する。
【0095】本発明の感光性平版印刷版原版から得られ
た刷版で印刷する際に使用される湿し水は、水ありPS
版で使用されるエッチ液を用いることはもちろん可能で
あるが、添加物を一切含有しない純水を使用することが
できる。
【0096】本発明の感光性平版印刷版を用いて印刷す
る際には添加物を一切有さない純水を使用することが好
ましい。
【0097】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
【0098】実施例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、190℃×4分間熱処理して
3g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0099】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)親水性ポリマ 80重量部 (2)水性ラテックス「JSR0548」 10重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:日本合成ゴム 製] (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (4)精製水 900重量部 [親水性ポリマの合成例]酢酸ビニル60gとアクリル
酸メチル40gに重合開始剤としてベンゾイルパーオキ
サイド0.5gを加えたものを、これに分散安定剤とし
て部分ケン化ポリビニルアルコール3gとNaCl10
gを含む水300ml中に分散させた。
【0100】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。
【0101】また30℃におけるベンゼン溶液中での極
限粘度は2.10であった。
【0102】次に該共重合体8.6gを200gのメタ
ノールと10gの水および5NのNaOH40mlから
なるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×1
時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温し、
さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0103】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%で
あり、赤外吸収スペクトルの測定の結果、1570cm
-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認された。
【0104】上記の様にして塗設した親水性膨潤層上
に、次に記す組成の感光性組成物を塗布量が1.2g/
m2 となるよう均一に塗布し、70℃×3分間熱処理し
てネガ型の感光性平版印刷用原版を得た。
【0105】得られた平版印刷版原版は、高圧水銀灯
「ジェットライト3303kW :オーク製作所(株)製」
を用い、PCW(PLATE CONTOROL WEDGE:KALLE社
製)を貼込んだネガフィルムを通して90秒間密着露光
(3.6mW/cm2 )した。次いで、版全面を水道水でリンス
し、未露光部の感光性組成物を洗浄して刷版とした。
【0106】 <感光性組成物(重量部)> (1)4、4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸ナトリウム 1重量部 (2)スーパーフレックスR−5000(第一工業製薬製) 8重量部 (3)ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製) 0.01重量部 (4)メチルセロソルブ 91重量部 得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機「スプリント2
5:小森コーポレーション (株)製」に装着したの
ち、湿し水として市販の精製水を供給しながら上質紙
(62.5kg/菊)を用いて印刷した。インキ反撥性および
インキ着肉性は印刷物を目視観察することにより評価し
た。
【0107】また約10000枚の印刷を行なった時点
で、各刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラス
トを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0108】実施例 2 以下の感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様
にして感光性平版印刷版原版を得、評価を行った。
【0109】 <感光性組成物(重量部)> (1)化合物(2) 1重量部 (2)ペンタエリスリトールトリアクリレート 8重量部 (3)酸化チタンCR−50(石原産業製) 20重量部 (4)ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製) 2重量部 (5)メチルセロソルブ 50重量部 (6)精製水 850重量部 約10000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にイン
キ汚れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な
印刷物が得られた。
【0110】実施例 3 実施例1に用いた平版印刷版と通常のPS版(FNS;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら印刷を行った。
【0111】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0112】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。
【0113】
【発明の効果】本発明の感光性平版印刷版原版は、感光
成分としてアジド化合物を用いるため、画線部のインキ
着肉性に優れ、簡便に製版できる。
【0114】該原版から得られた平版印刷版は、従来の
PS版でインキ反撥性を発現するために必要な基板への
特殊な表面処理を行なうことなく、高いインキ反撥性を
発現する。また、わずかな湿し水の給水量で効率良くイ
ンキを反撥することができ、湿し水のコントロール幅が
拡大される。さらに、湿し水に通常添加されるイソプロ
パノールなどの溶剤を用いることなく、印刷が可能とな
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも感光性の親水性膨潤層
    を備えた感光性平版印刷版原版であって、親水性膨潤層
    内、および/または親水性膨潤層上に形成された感光層
    内にアジド化合物を含有することを特徴とする感光性平
    版印刷版原版。
  2. 【請求項2】アジド化合物が水溶性であることを特徴と
    する請求項1記載の感光性平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】アジド化合物が水溶性のビスアジド化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷
    版原版。
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