JPH1063003A - 感光性平版印刷版原版 - Google Patents

感光性平版印刷版原版

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JPH1063003A
JPH1063003A JP22226496A JP22226496A JPH1063003A JP H1063003 A JPH1063003 A JP H1063003A JP 22226496 A JP22226496 A JP 22226496A JP 22226496 A JP22226496 A JP 22226496A JP H1063003 A JPH1063003 A JP H1063003A
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JP
Japan
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water
layer
hydrophilic
photosensitive
acid
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JP22226496A
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English (en)
Inventor
Kazuoki Goto
一起 後藤
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】現像が簡便で、不感脂化処理を行うことなく高
いインキ反発性を有し、湿し水のコントロール幅が広
く、湿し水のIPAレス化が可能なポジ型の感光性平版
印刷版原版を得る。 【解決手段】基板上に親水性膨潤層およびキノンジアジ
ド化合物より主としてなる光溶解性の感光層をそなえる
ことを特徴とする感光性平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性平版印刷版原
版に関するものであり、不感脂化処理を行なうことなく
高いインキ反撥性を有し、湿し水として純水を使用でき
る新規な感光性平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。またこのような平版印刷には通常、PS版が用い
られる。
【0003】ここで言うPS版とは、下記のものを意味
する。
【0004】すなわち、米澤輝彦著「PS版概論」
(株)印刷学会出版部(1993)p18〜p81に記
載されているように、親水化処理されたアルミニウム基
板上に親油性の感光性樹脂層を塗布し、フォトリソグラ
フィの技術により画線部は感光層が残存し、一方非画線
部は上記したアルミ基板表面が露出し、該表面に湿し水
層を形成してインキ反撥し、画像形成する水ありPS版
と、湿し水層の代わりにシリコーンゴム層をインキ反撥
層として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版であ
る。
【0005】ここで言う水なし平版とは、非画線部がシ
リコーンゴム、含フッ素化合物などの通常平版印刷で用
いられる油性インキに対してインキ反撥性を有する物質
からなり、湿し水を用いずにインキ着肉性の画線部との
間で画像形成し、印刷可能な印刷版を意味する。
【0006】前者の水ありPS版は実用上優れた印刷版
で、支持体に通常アルミニウムが用いられ、該アルミニ
ウム表面は保水性を有するとともに印刷中に親油性の感
光性樹脂層が該表面から剥離脱落しないように感光層と
の接着性に優れている必要があった。そのため、該アル
ミニウム表面は通常砂目立てされ、さらに必要に応じて
この砂目立てされた表面を陽極酸化するなどの処理が施
され、保水性の向上と該感光性樹脂層に対する接着性の
補強が計られてきた。また、該感光性樹脂層の保存安定
性を得るために該アルミニウム表面はフッ化ジルコニウ
ム、ケイ酸ナトリウムなどの化学処理が一般的に施され
ている。
【0007】このように水ありPS版は製造工程が複雑
であり、その簡易化が望まれていたが、該版の優れた印
刷特性(耐刷性、画像再現性など)から広く使用されて
いる。
【0008】上記問題を解決すべく、アルミニウム基板
と同等もしくはそれ以上の印刷特性を有し、しかも材料
コストが安くかつ簡易な製造工程によるアルミニウム基
板とは異なる新規な平版材料の提案がある。例えば、特
公昭56−2938号公報においては、アルミニウム基
板に代えて親水性高分子材料からなるインキ反撥層を塗
設した支持体を用い、該支持体上に感光層を形成する方
法が提案されている。しかしながら、該方法は、ポリ塩
化ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコールのアル
デヒド縮合物の耐水性層上に親水性層として尿素樹脂が
単純塗布されているものであるため、該層はインキ反撥
性が不十分であるうえ、感光性樹脂層との密着性にも劣
るものであり、耐刷性が不十分なものであった。また、
特開昭57−179852号公報においては、支持体上
に親水性ラジカル重合化合物を塗設し、活性光線の照射
によって該支持体表面を親水化処理し、感光性樹脂層を
塗設する方法が提案されている。しかしながら、該方法
によって形成された親水性表面層も剛直でインキ反撥性
は不十分であり、耐刷性にも乏しいものであった。
【0009】またこれらの水ありPS版の現像に際して
は、感光層を溶解してアルミ基板表面を露出させる方式
であるため、感光層成分が現像液中に溶解させることが
必須で、該現像液は短期間に大幅に組成変動が起こり疲
労してしまうため、大量の現像廃液が発生する。
【0010】そのため、該現像液は頻繁にメンテナンス
し交換する必要があった。また発生した現像廃液の処理
には多大な労力と費用が必要であった。
【0011】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有しP
PCを用いて画像形成し、非画像部をエッチ液などで不
感脂化処理して該画像受理層をインキ反撥層に変換させ
て使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供されてい
る。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バインダポリ
マ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を設けた
ものが一般的で、USP2532865号公報、特公昭
40−23581号公報、特開昭48−9802号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭60−2
309号公報、特開昭57−1791号公報、特開昭5
7−15998号公報、特開昭57−96900号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−1
66590号公報、特開昭63−166591号公報、
特開昭63−317388号公報、特開平1−1144
88号公報、特開平4−367868号公報などが挙げ
られる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反撥層
に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒドロ
キシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処理す
る以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよびア
クリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シリ
カ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミン
・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構成
されているものが提案されている。
【0012】また特開昭63−256493号公報など
では、不感脂化処理により加水分解されて親水性基が発
生する疎水性ポリマを主成分として用いる直描型平版印
刷原版が提案されている。このような直描型平版印刷原
版は、いずれも画像受理層をインキ反撥層に変換するた
めに、不感脂化処理が必須であり、該処理なしではイン
キ反撥性を殆ど示さない性質のものであった。
【0013】すなわち、実用レベルのインキ反撥性を得
るためには、不感脂化処理および、親水性バインダポリ
マを大量に使用する必要があるが、耐水性に劣る傾向に
あり印刷耐久性が低下する。また親水性を高めるとトナ
ーなどの画像との接着性が低下する傾向にあるなどの問
題点があった。一方、印刷耐久性を向上するために耐水
化剤の添加量を多くしたり疎水性ポリマを添加したりし
て耐水性を増大させると、親水性が低下し、インキ反撥
性が大幅に低下してしまう問題点があった。
【0014】また、ユニオンカーバイド社が開発した親
水性/疎水性変換反応を利用した現像、ラッカー盛りお
よび不感脂化処理が一切不要な、いわゆる露光のみの一
工程版の技術が、特公昭42−131号公報、特公昭4
2−5365号公報、特公昭42−14328号公報、
特公昭42−20127号公報、USP3231377
号公報、USP3231381号公報、USP3231
382号公報などによって開示されている。該版はポリ
エチレンオキサイドとフェノール樹脂の会合体を感光剤
とともに塗設したものであるが、非画線部が剛直で柔軟
性に劣りインキ反撥性が不十分であり、また非画線部と
画線部との間でのインキ反撥/インキ着肉差が小さく、
実用性に乏しいものであった。
【0015】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適性な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0016】一方、後者の湿し水の代わりにシリコーン
ゴム層をインキ反撥層とする水なしPS版の場合、特公
昭54−26923号公報、特公昭57−3060号公
報、特公昭56−12862号公報、特公昭56−23
150号公報、特公昭56−30856号公報、特公昭
60−60051号公報、特公昭61−54220号公
報、特公昭61−54222号公報、特公昭61−54
223号公報、特公昭61−616号公報、特公昭63
−23544号公報、特公平2−25498号公報、特
公平3−56622号公報、特公平4−28098号公
報、特公平5−1934号公報、特開平2−63050
号公報、特開平2−63051号公報などに示されてい
るように湿し水を用いずに印刷できるため、前者の水あ
りPS版で必要な湿し水のコントロール作業がいっさい
必要なく、印刷作業が極めて簡便となることから、近年
急速に普及しつつある実用性の高い版材であるが、イン
キ反撥性層として力学的強度が弱いシリコーンゴム層を
用いるため、耐久性の不足が指摘され、耐久性に優れた
インキ反撥性材料の必要性が強く求められている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の欠点に鑑み創案されたもので、その目的とすると
ころは、現像が簡便で、従来の水ありPS版の平版印刷
の湿し水のコントロール幅の拡大ならびに従来不可能と
されてきた湿し水からのIPAレス化を可能とし、また
直描型平版印刷原版のようにPPC方式で画像形成し不
感脂化処理するなどの複雑な製版工程を有することな
く、更にシリコーンゴム層をインキ反撥層とする水なし
平版の欠点である耐久性の不足を解消でき、また製造工
程が簡便な理想的な平版材料を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は下記の構成からなる。
【0019】(1)基板上に少なくとも親水性膨潤層、
光溶解性感光層をこの順に積層してなることを特徴とす
る感光性平版印刷版原版、(2)該光溶解性感光層が少
なくともキノンジアジド化合物を含有することを特徴と
する(1)記載の感光性平版印刷版原版、(3)親水性
膨潤層からなる非画線部の吸水量が1〜50g/m2
あることを特徴とする(1)記載の感光性平版印刷版原
版、(4)親水性膨潤層からなる非画線部の水膨潤率が
10〜2000%であることを特徴とする(1)記載の
感光性平版印刷版原版。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の感光性平版印刷版原版の
親水性膨潤層について説明する。
【0021】本発明の親水性膨潤層は親水性ポリマを主
成分とする組成物より得られる。
【0022】まず、はじめに親水性ポリマについて説明
する。
【0023】親水性ポリマとは、水に対して実質的に不
溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水溶性ポリマ(水に完
全溶解するものを意味する)、疑似水溶性ポリマ(両親
媒性を意味し、マクロには水に溶解するがミクロには非
溶解部分を含むものを意味する)、水膨潤性ポリマ(水
に膨潤するが溶解しないものを意味する)を意味する。
すなわち、通常の使用条件下で水を吸着または吸収する
ポリマを意味し、水に溶けるか或いは水に膨潤するポリ
マを意味する。
【0024】本発明の効果を有効に発現する親水性ポリ
マとしては、カルボン酸塩系共重合体が挙げられる。
【0025】本発明に好ましく用いられるカルボン酸塩
系共重合体としては、吸水性および耐久性の観点から、
カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カ
ルボン酸イミド、カルボン酸無水物などのカルボキシル
基またはカルボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個
または2個有するα、β−不飽和化合物をモノマ成分と
して含有するカルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙
げられる。
【0026】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド
(以下の説明で(メタ)□□□□とあるのは、□□□□
または/およびメタ□□□□を略したものである。)、
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸アミド、マレ
イン酸イミド、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、メ
サコン酸などが挙げられ、本発明に必要な親水性を示す
範囲で共重合可能な他のモノマ成分と組合わせることが
可能である。
【0027】共重合可能な他のモノマ成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、アクリ
ロニトリルなどのα−オレフィン、ビニル化合物、ビニ
リデン化合物などが挙げられる。
【0028】他のモノマと組合わせる場合、カルボキシ
ル基もしくはこれに転化しうる基を含有するα、β−不
飽和化合物は、通常全モノマ成分中10モル%以上で、
40モル%以上であることがより好ましい。
【0029】カルボキシル基またはこれに転化しうる基
を含有するα、β−不飽和化合物をモノマとして含有す
る重合体は、通常ラジカル重合により調製される。重合
度は特に限定されるものではない。
【0030】このように調製される該重合体の中でも特
に、(メタ)アクリル酸との重合体または共重合体、α
−オレフィン、ビニル化合物と無水マレイン酸との共重
合体が好ましい。
【0031】これらの重合体または共重合体は、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物また
は炭酸塩などの化合物、アンモニア、アミンなどを用い
てケン化反応させることによる親水性付与が好ましく行
なわれる。これらの反応は、該重合体または該共重合体
を各種の有機溶媒または水に溶解または分散させ、そこ
に前記したアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、アンモニア、アミンなどを撹拌下に添加することに
よって実施される。
【0032】このようなカルボン酸塩系共重合体の中で
も、特にビニルエステル/(メタ)アクリル酸エステル
共重合体が、親水性膨潤層が適度な水膨潤性を示し、か
つ印刷耐久性およびインキ反撥性の両者を満足させる点
で好ましい。
【0033】本発明に好ましく用いられるビニルエステ
ル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体は公知の方法
を用いて製造することができる。例えば高分子化学、7
巻、142頁(1950)。すなわち、重合方式によっ
て適宜選択されるが、例えばジ−t−ブチルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシドなどのパーオキシド類、過
硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、アゾビスイソブチ
ロニトリルなどのアゾ化合物などの重合開始剤を用いた
ラジカル重合によって合成される。重合方式としては、
溶液重合、乳化重合、懸濁重合などが摘要される。該共
重合体中の(メタ)アクリル酸エステル成分が少ないと
吸水性が小さく、多すぎると高吸水状態となり膜強度が
極端に低下する傾向にある。
【0034】従って、出発物質となる該共重合体中にお
ける(メタ)アクリル酸エステル成分の割合は、一般に
20〜80モル%の範囲にあることが好ましく、吸水性
および含水時の力学強度を両立させるためには30〜7
0モル%であることが好ましい。
【0035】本発明に用いられるビニルエステルとして
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニルなどが挙げられる。また(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、
具体的にはメチルエステル、エチルエステル、n−プロ
ピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエス
テル、t−ブチルエステルが挙げられる。
【0036】上記に説明した共重合体はアルカリ触媒の
存在下でケン化反応することが好ましい。ケン化反応に
用いられる溶媒としてはアルコールおよびアルコール水
溶液が好ましい。また、ケン化反応に用いられる触媒と
しては公知のアルカリ触媒が用いられるが、特に水酸化
ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化
物が好ましい。ケン化反応は20〜80℃で1〜10時
間で終結する。また、本発明のケン化反応物は、公知の
方法によって塩を任意に変えることが可能である。通常
用いられる塩形成物質としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−
ジメチルイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ベンジルアミン、アニリン、ピリジンなどが挙げら
れる。
【0037】またマグネシウム、カルシウムなどのアル
カリ土類金属塩類の多価金属塩類も前記の塩と混合塩の
形態で添加することが可能である。
【0038】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マを、必要に応じて架橋または疑似架橋し、水に不溶
化、もしくは形態保持性を持たせることによって基板上
に積層形成される。
【0039】架橋もしくは疑似架橋は、親水性ポリマが
有する官能基を利用して、親水性ポリマ単独で行うこと
もできるし、あるいは架橋剤を添加することによっても
行うこともできるが、その効率などの面から架橋剤を添
加することが好ましい。
【0040】また、架橋反応は、共有結合性の架橋であ
っても、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0041】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、ポリアルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒド
ラジンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加
し反応を促進することが行なわれる。
【0042】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0043】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0044】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0045】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0046】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0047】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0048】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0049】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0050】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、液状ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェ
ニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シ
クロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニ
レンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシ
アネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシア
ネート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシ
アネート付加反応物が挙げられる。
【0051】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。
【0052】用いられる架橋剤としては、水溶性の多官
能性化合物を用いることが好ましい。すなわち、水溶性
のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、メラミン化
合物などを用いることが好ましい。
【0053】本発明の感光性平版印刷版原版に用いられ
る親水性膨潤層は、親水性部分の相および疎水性部分の
相の少なくとも2相から構成された相分離構造を有する
ことが好ましい。
【0054】このような相分離構造は上記のように
(1)親水性ポリマ単独および(2)親水性ポリマに架
橋剤を添加したもの、からも得ることが出来るし、それ
らに疎水性ポリマを添加した混合物、すなわち(3)親
水性ポリマと疎水性ポリマの系、(4)親水性ポリマ、
疎水性ポリマおよび架橋剤の系、からも得ることが出来
る。
【0055】本発明の親水性膨潤層に用いることの出来
る疎水性ポリマについて説明する。
【0056】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
い。
【0057】本発明で言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0058】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0059】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。
【0060】アクリル系ラテックスとしては、(メタ)
アクリル酸エステルを必須成分とした共重合体が挙げら
れる。具体的には、メタクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、スチレンなどの少なくとも1
種以上を共重合したものが挙げられる。
【0061】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独または(メタ)アクリル酸エステル、高級酢酸
ビニルエステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられ
る。
【0062】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0063】共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、
スチレン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アク
リロニトリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、
メタクリル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略
す)、クロロプレン系などが挙げられる。
【0064】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0065】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0066】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
ポリマ系ラテックスが挙げられる。
【0067】ここで言う共役ジエンポリマとしては、
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン
(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン(クロロプレン)
など1,3−位に炭素−炭素二重結合を有する非置換ま
たは置換1,3−ブタジエン骨格を有する化合物を意味
し、これらを必須成分とする単独またはブロック共重合
ゴム(ポリマ)が挙げられる。
【0068】ブロック共重合ゴムとしては、1,3−ブ
タジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)などの1,3−ジエンと、常温でガラス状重合体を
与えるスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのモノビニル置換芳香族化合物とのブロック共重合
体が挙げられる。
【0069】このようなブロック共重合ゴムとしては、
種々の公知のタイプが例示できるが、A−B−Aタイプ
のブロック共重合ゴム(ここでAはモノビニル置換芳香
族化合物からなり、好ましくはガラス転移点が70℃以
上で、重合度が10〜2500である重合体セグメント
を意味し、Bは1,3−ジエンを意味し、好ましくは数
平均分子量が500〜25000である非晶性重合体セ
グメントを意味する)などを好ましく挙げることができ
る。また該ブロック共重合ゴムの水素添加物も同様であ
る。
【0070】本発明に用いられる単独および共重合ゴム
の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン
(天然ゴムを含む)、ポリクロロプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体
(例えばブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート
共重合体)、メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソ
プレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合
体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−クロロプレン共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体などが挙げられる。
【0071】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスは、公知の方法で作製され、例えば必
須成分として共役ジエン系化合物を含むビニルモノマ組
成物に対して0.1〜20重量%の乳化重合分散剤(界
面活性剤など)と2〜50重量%の水を含む水性媒体中
で脱気窒素置換し、乳化させ、必要に応じて通常の乳化
重合に用いられる添加剤(分子量調整剤、酸化防止剤な
ど)を加えたのち、乳化重合用開始剤(例えば過酸化水
素、過硫酸カリウムなど)を添加し、常法に従って乳化
重合させることによって得ることができる。
【0072】原料ビニルモノマ組成物中、共役ジエン系
化合物以外に用いられるビニルモノマとしては特に限定
されないが、主として下記のI群:疎水性モノマ、II
群:親水性モノマ、III 群:架橋性モノマの3つの群に
分類できる。
【0073】I群:疎水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する疎水性ビニルモノマ(ここで言う疎水性と
は20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下の
ものを意味する)で、(メタ)アクリル酸エステル類、
ビニルエステル類、スチレン類、オレフィン類などが挙
げられる。
【0074】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2
−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、フェニルアクリレート、2−メトキシエ
チルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートな
どが挙げられる。
【0075】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、クロロベンジルメタクリレート、フルフリルメタク
リレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フ
ェニルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメ
タクリレート、2−エトキシエチルメタクリレートなど
が挙げられる。
【0076】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテー
ト、ビニルメトキシアセテート、ビニルアセトアセテー
ト、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香
酸ビニルなどが挙げられる。
【0077】スチレン類の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メト
キシスチレン、クロルスチレンなどが挙げられる。
【0078】オレフィン類の具体例としては、プロピレ
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンなどを挙げることができ
る。
【0079】その他アクリロニトリル、無水マレイン酸
なども挙げられる。
【0080】II群:親水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する親水性ビニルモノマで、(ここで言う親水
性とは、水に対する溶解度が大きく単独での水系乳化重
合が不可能なモノマを意味する)アミノ基、カルボキシ
ル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などの官能基
を有するモノマが挙げられる。
【0081】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノメチル(メタ)アクリレート、tert−ブ
チルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0082】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イタコ
ン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、イタ
コン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、マレ
イン酸モノアルキル、シトラコン酸、(メタ)アクリル
酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどが
挙げられる。
【0083】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、(メタ)アクリロイルオキ
シアルキルスルフォン酸(例えばアクリロイルオキシメ
チルスルフォン酸、アクリロイルオキシプロピルスルフ
ォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフォン酸、メタ
アクリロイルオキシブチルスルフォン酸など)、(メ
タ)アクリルアミドアルキルスルフォン酸(例えば2−
アクリルアミド−2−メチルエタンスルフォン酸、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2
−アクリルアミド−2−メチルブタンスルフォン酸、2
−メタクリルアミド−2−メチルブタンスルフォン酸な
ど)が挙げられる。
【0084】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0085】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0086】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0087】III 群:架橋性モノマとしては、反応性架
橋基(グリシジル基、ヒドロキシメチルアミド基、アル
コキシメチルアミド基、アシロキシメチルアミド基、イ
ソシアネート基など)を有するモノマ類および2つ以上
のビニル基を有する多官能性モノマが挙げられる。
【0088】グリシジル基を有するモノマの具体例とし
ては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、p−ビニル安息香酸グリシジル、グリシジルクロ
トネート、ジグリシジルイタコネート、ジグリシジルマ
レエート、ジグリシジルメチレンマロネート、グリシジ
ルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル−α−クロルアクリレートなどが挙げられる。
【0089】ヒドロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、ヒドロキシメチルアクリルアミド、
ヒドロキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0090】アルコキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、メトキシメチルアクリルアミド、メ
トキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルメタクリルアミド、ブトキシ
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミ
ド、ヘキシルオキシメチルメタクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0091】アシロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、アセトキシメチルアクリルアミド、
アセトキシメチルメタクリルアミド、プロピオニルオキ
シメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0092】イソシアネート基を有するモノマの具体例
としては、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0093】多官能モノマの具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート(エ
チレン数n=1〜23)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(エチレン数n=1〜23)、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレートなどが挙げられる。
【0094】本発明に好ましく用いられるラテックスを
作製する際の適当なモノマの組合わせとしては、必須成
分である共役ジエン系化合物に加えて (1)少なくとも1種以上のI群モノマの共重合体 (2)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマとの共重合体 (3)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマおよび少なくとも1種以上のII
I 群モノマとの共重合体 (4)少なくとも1種以上のI群モノマおよびIII 群モ
ノマの共重合体 などの組合わせが挙げられるが、本発明はこれらの組合
わせに限定されない。
【0095】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスの具体例としては、JSR0561、
JSR0589、JSR0602、JSR2108など
のSB共重合ラテックス(日本合成ゴム(株)製)、J
SR0700などのブタジエン重合ラテックス(日本合
成ゴム(株)製)、JSR0650、JSR0652な
どのビニルピリジン−SB共重合ラテックス(日本合成
ゴム(株)製)、JSR0545、JSR0548、J
SR0596、JSR0597、JSR0598、JS
R0619、JSR0624、JSR0640、JSR
0693、JSR0696、JSR0854、JSR0
863、JSR0898などのカルボキシ変性SB共重
合ラテックス(日本合成ゴム(株))製)、ラックスタ
ー4940B、ラックスター68−073S、ラックス
ターDN−704、ラックスターDN−702、ラック
スター68−074、ラックスターDN−703などの
カルボキシ変性NB共重合ラテックス(大日本インキ化
学工業(株)製)、ラックスターDM−801、ラック
スターDM−401、ラックスター4950C、ラック
スターDM−806などのカルボキシ変性MB共重合ラ
テックス(大日本インキ化学工業(株)製)などが挙げ
られる。
【0096】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0097】本発明の親水性膨潤層は先に述べたよう
に、親水性ポリマと上記の疎水性ポリマを混合し、必要
に応じて架橋または疑似架橋し、水に不溶化、もしくは
形態保持性を持たせることによって基板上に積層形成さ
れる。
【0098】架橋は、先に述べたような多官能性化合物
を用いて架橋構造を形成させる方法のほかに、本発明の
疎水性ポリマとして好ましく用いられる水性エマルジョ
ンを作製する際に、共重合成分としてカルボキシル基、
水酸基、メチロールアミド基、エポキシ基、カルボニル
基、アミノ基などの反応性官能基を存在させて自己架橋
させる方法が挙げられる。
【0099】また、本発明の親水性膨潤層には発明の効
果を損わない範囲で公知の親水性ポリマを加えることが
可能である。公知の親水性ポリマとしては、以下の例を
挙げることができる。
【0100】(A)天然高分子類 デンプンやセルロースにアクリロニトリルやアクリル
酸、アクリルアミド、スチレンスルフォン酸、あるいは
ビニルスルフォン酸などをグラフト重合させて得られる
化合物、カルボキシル化メチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ヒアルロン
酸、アガロース、コラーゲン、ミルクカゼインなどの各
種カゼイン類やその誘導体、グルー、ゼラチン、グルテ
ン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アラビヤガム、アイリッ
シュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、寒天、デキスト
リン、マンナンなど。
【0101】(B)合成高分子類 ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、水性
ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート系ポリマ、無水マレイン酸系共重
合体、N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体、ビニル
ピロリドン系共重合体、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート系架橋重合体、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体など。
【0102】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0103】分散媒としては主として水が用いられる
が、必要に応じて公知の有機溶剤を添加することが可能
である。有機溶剤の添加方法としては重合溶媒として添
加する方法、および乳化重合後エマルジョン溶液に混合
溶媒として添加する方法が可能である。
【0104】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される吸水量が特定の範囲である
ことが好ましい。
【0105】吸水量(g/m2 )=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2 ) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2 ) [吸水量の測定方法]測定しようとする感光性平版印刷
版原版を所定面積に裁断し、25℃の精製水中に浸漬す
る。10分間浸漬した後、該原版の親水性膨潤層表面お
よび裏面に付着した余分の液体を「ハイゼガーゼ」(コ
ットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取り、
該原版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、該原版を
60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量W
DRY を秤量する。
【0106】本発明の親水性膨潤層の吸水量は、インキ
反発性および形態保持性の観点から1〜50g/m2
あることが好ましく、1〜10g/m2 、さらに2〜7
g/m2 であることがさらに好ましい。
【0107】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される水膨潤率が特定の範囲であ
ることが好ましい。
【0108】 水膨潤率(%)=(ΘWET −ΘDRY )/ΘDRY ×100 ΘDRY :乾燥状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) ΘWET :膨潤状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) [水膨潤率の測定方法(A)]測定しようとする感光性
平版印刷版原版を十分に水洗・乾燥した後、所定の部位
が断面となるように切削して切片を作製する。この切片
を常温にて1昼夜真空乾燥した後、光学顕微鏡にて当該
部位の親水性膨潤層厚さを観察し、これをΘDR Y (μ
m)とする。なお、光学顕微鏡観察は23℃、20%R
Hの環境下において手早く行った。
【0109】さらに、この平版印刷版切片に過剰の水滴
を載せ、親水性膨潤層が十分に水膨潤した状態で断面を
光学顕微鏡観察し、当該部位の親水性膨潤層厚さを読み
とり、これをΘWET (μm)とする。
【0110】[水膨潤率の測定方法(B)]測定しよう
とする感光性平版印刷版原版を十分に水洗・乾燥した
後、OsO4水溶液の雰囲気下に1昼夜さらしてOsO
4 により親水性膨潤層を固定した後、所定の部位が断面
となるようにミクロトームで切削して超薄切片を作製す
る。この切片を透過型電子顕微鏡(TEM)にて1〜5
万倍程度の倍率で当該部位の親水性膨潤層厚さを観察
し、これをΘDRY (μm)とする。
【0111】一方、測定しようとする感光性平版印刷版
原版を十分に水洗・乾燥した後、をOsO4 水溶液に2
〜3日浸漬し親水性膨潤層を水膨潤状態で固化/固定す
る。所定の部位が断面となるようにミクロトームで切削
して超薄切片を作製し、この切片を透過型電子顕微鏡
(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当該部位の親水
性膨潤層厚さを読みとり、これをΘWET (μm)とす
る。
【0112】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部の
水膨潤率は、インキ反発性および形態保持性の観点から
10〜2000%であることが好ましく、50〜170
0%、さらに50〜700%の範囲であることがより好
ましい。水膨潤率が10%未満になると、インキ反発性
が低下し、また塗工時にピンホールなどの欠陥が生じ易
くなる。一方、水膨潤率が2000%よりも大きくなる
と、形態保持性が大きく低下し、印刷時に損傷を受け易
くなる。
【0113】次に、本発明の光溶解性感光層を説明す
る。
【0114】光溶解型感光層とは、露光により感光層の
耐溶剤性が変化し、その後の現像により露光部の感光層
のほとんどもしくは全部が除去される層のことを言う。
露光部においてはこのように感光層が除去され、親水性
膨潤層があらわれ非画像部となり、一方、非露光部は現
像においてもそのまま残存し画像部となる。
【0115】光溶解性感光層を形成する化合物として
は、露光により、酸やアルカリ、有機溶剤や水などのい
わゆる溶剤に対する溶解性が増す化合物が好ましく用い
られる。
【0116】本発明において、そのような化合物として
キノンジアジド化合物を挙げることが出来る。
【0117】ここでいうキノンジアジド化合物として
は、通常ポジ型PS版、ワイポン版、フォトレジストな
どに用いられているベンゾキノンジアジドスルホン酸お
よびその誘導体、ナフトキノンジアジドスルホン酸およ
びそのスルホン酸クロライドやスルホン酸エステル、ス
ルホン酸アミドなどの誘導体を挙げることができる。
【0118】ベンゾキノンジアジドスルホン酸およびナ
フトキノンジアジドスルホン酸の具体例としては、1,
2−ベンゾキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸、
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン
酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホ
ン酸、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−6−スル
ホン酸などを挙げることができる。
【0119】これらの中では1,2−ナフトキノン−2
−ジアジド−4−スルホン酸およびその誘導体、および
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸
およびその誘導体が好ましい。
【0120】1,2−ナフトキノン−2−ジアジドスル
ホン酸の誘導体としては、そのスルホン酸クロライド、
スルホン酸ナトリウムなどの各種塩類、公知の水酸基含
有化合物やアミノ基含有化合物とのエステル化物、アミ
ド化物が挙げられる。
【0121】公知の水酸基含有化合物としては、以下の
ようなものを挙げることが出来るがこれらに限定される
わけではない。
【0122】フェノール、カテコール、グアヤコール、
クレゾール、キシレノール、ナフトールなどのフェノー
ル類、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベ
ンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒ
ドロキシアントラキノン、ビスフェノールA、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノ
ール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シク
ロヘキサノール、アリルアルコール、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリ
エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトール、
ジペンタエリトリット、ソルビトール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコールなどやこれらのエ
ポキシ付加反応物等のアルコール類、メチルエチルケト
オキシムなどのオキシム化合物など。
【0123】ポリヒドロキシフェニルやフェノールホル
ムアルデヒドノボラック樹脂(フェノール、p−ter
t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−
ノニルフェノール、カルダノール、クレゾール、キシレ
ノール、カテコールおよびピロガロールなどのフェノー
ル類とホルムアルデヒド類とを酸性触媒存在下に縮合さ
せて得られる樹脂)、レゾール樹脂(例えば、上記フェ
ノール類とホルムアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下
に縮合させて得られる樹脂)、レゾルシンベンズアルデ
ヒド縮合樹脂、ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシ
スチレンの重合体および共重合体、ポリー4ービニルフ
ェノール、ポリー4ーオキシメタクリルアニリド、ポリ
ビニルアルコール、セルロースおよびその誘導体、キチ
ン、キトサン、水酸基を有するポリウレタン等など。
【0124】また、アルコール性水酸基を有するモノマ
ー、例えば2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリルアミド、トリエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジ
オールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオ
ールモノ(メタ)アクリレート、ジ(2−ヒドロキシエ
チル)マレエートなどの中から選ばれる1種類以上のモ
ノマーと他の水酸基を有さないモノマーの間での共重合
体や、フェノール性水酸基を有するモノマー、例えばN
−(4−ヒドキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、
N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、o−、m
−、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、な
どとの共重合体、またp−ヒドロキシ安息香酸とグリシ
ジル(メタ)アクリレートとの開環反応生成物、サリチ
ル酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの
反応生成物などの水酸基含有モノマーなどとの共重合体
も用いることが出来る。
【0125】公知のアミノ基含有化合物としては、以下
のようなものを挙げることが出来るがこれらに限定され
るわけではない。
【0126】また、アミノ基含有化合物としては、例え
ばアニリン、p−アミノジフェニルアミン、p−アミノ
ベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミ
ン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ポリ−4−ア
ミノスチレン等がある。
【0127】以上のようなキノンジアジド化合物に光が
照射されると、キノンジアジド基が光反応しカルボン酸
に変化する。それに伴い、アルカリに対する溶解性が増
す。
【0128】感光層にはその物性や液の塗工性改良など
のために、必要に応じて可塑剤やバインダー樹脂などを
添加しても良いが、露光部がアルカリで除去されるとい
う観点からアルカリ可溶性の可塑剤やバインダー樹脂が
好ましく用いられる。
【0129】アルカリ可溶性のバインダー樹脂として
は、先に述べたようなフェノールホルムアルデヒドノボ
ラック樹脂、ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシス
チレンの単独および共重合体などを挙げることが出来
る。
【0130】また、アルカリ条件下においては、キノン
ジアジド基とフェノール環がカップリング反応を誘起
し、感光層のアルカリに対する溶解性を逆に低くする。
【0131】以上のような観点から、アルカリ可溶性の
フェノール環を有する化合物が可塑剤あるいはバインダ
ー樹脂として、さらにはキノンジアジド化合物の誘導体
化に好ましく用いられる。
【0132】具体的には、フェノールホルムアルデヒド
ノボラック樹脂、レゾルシンベンズアルデヒド縮合樹
脂、ピロガロールアセトン樹脂、ヒドロキシスチレンの
重合体および共重合体などの1,2−ナフトキノン−2
−ジアジド−4−および/または−5−スルホン酸エス
テルがキノンジアジド化合物として好ましく用いられ
る。
【0133】ここに記載したことを含めてキノンジアジ
ド化合物に関しては永松、乾共著「感光性高分子」(講
談社、1977年発刊)、角田著「新・感光性樹脂」
(印刷学会出版部、1981年発刊)、山田、森田共
著、高分子学会編「感光性樹脂」(共立出版、1988
年発刊)および津田著、日本表面科学会編「超LSIレ
ジストの分子設計」(共立出版、1990年発刊)に記
載されたところに従うことが出来る。
【0134】これらキノンジアジド化合物は必要に応じ
2種以上併用してもよく、また本発明の効果を損なわな
い範囲で、染料、顔料、光発色剤、触媒などの添加剤、
さらには親水性膨潤層との接着性改良のためのカップリ
ング剤などを加えることは任意である。
【0135】感光性組成物の量は、乾燥状態で0.1〜
100g/m2 、好ましくは約0.1〜10g/m2
ある。組成物量が少なすぎる場合には感光性組成物の存
在が不均一となり、露光時に均質な画像部が得られない
だけでなく、印刷耐久性の点から不利となる。一方、感
光性組成物量が多すぎる場合には、乾燥工程の負担が重
く、経済的に不利であるばかりでなく印刷耐久性の点に
おいても不良となる。
【0136】本発明の感光性平版印刷版原版の表面に
は、版面を保護する目的で適当な保護層をコーティング
により最上層に形成したり、保護フィルムをラミネート
してもよい。
【0137】保護フィルムの具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタ
レート、セロファンなどが挙げられる。また、これらの
保護フィルムは画像露光時の焼枠における真空密着性を
改良するために、凹凸加工を施したり、表面をマット処
理したり、シリカ粒子などを含むプラスチック層を上記
保護フィルムの表面に塗布積層することも好ましく行な
われる。
【0138】また、保護層を設けない場合にも、画像露
光時の焼枠における真空密着性を改良するために、版表
面に凹凸加工を施したり、版表面をマット処理したり、
シリカ粒子などを含むプラスチック層を版表面に塗布積
層することも可能である。
【0139】次に本発明の感光性平版印刷版原版を用い
た平版印刷版の製造方法について説明する。
【0140】本発明の感光性平版印刷版原版は、ポジテ
ィブワーキング用の製版工程を経て刷版となる。すなわ
ち、基板上に形成された親水性膨潤層、キノンジアジド
化合物を含有する光溶解性感光層が、ポジ原画フィルム
および保護層を設けた場合にはこの保護層を通して露光
される。
【0141】本発明の感光性平版印刷版原版は露光後、
保護フイルムを設けた場合にはフイルムを剥離し、版表
面をアルカリ、水または適切な溶媒にて処理することで
製版される。
【0142】本発明の製版露光工程で用いられる光源と
しては、例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノ
ン灯、メタルハライド灯、蛍光灯などが挙げられる。
【0143】本発明に用いられる感光性平版印刷版原版
の基板としては、通常の平版印刷機に取り付けられるた
わみ性と印刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要
がある以外には一切制限を受けない。
【0144】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄な
どの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフ
ィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート紙、
ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記の素
材が複合されたものであってもよい。
【0145】また、該基板には検版性や接着性向上、ハ
レーション防止の目的から、各種表面処理やプライマー
層の塗設も可能である。
【0146】次に本発明の感光性平版印刷版原版から作
製された刷版を用いた印刷方法について説明する。
【0147】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0148】本発明の感光性平版印刷版原版を画像形成
したのち、これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面
には接触するインキ着けローラーからインキが供給され
る。該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部分は湿し
水供給装置から供給される湿し水によって膨潤し、イン
キを反撥する。一方、画線部分はインキを受容し、オフ
セットブランケット胴表面または被印刷体表面にインキ
を供給して印刷画像を形成する。
【0149】本発明の感光性平版印刷版原版から得られ
た刷版で印刷する際に使用される湿し水は、水ありPS
版で使用されるエッチ液を用いることはもちろん可能で
あるが、添加物を一切含有しない純水を使用することが
できる。
【0150】本発明の感光性平版印刷版を用いて印刷す
る際には添加物を一切有さない純水を使用することが好
ましい。
【0151】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
【0152】参考例1 〈親水性ポリマー1の合成〉酢酸ビニル60gとアクリ
ル酸40gに重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド
0.5gを加えたものを、これに分散安定剤として部分
ケン化ポリビニルアルコール3gとNaCl10gを含
む水300ml中に分散させた。
【0153】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度
は2.10であった。
【0154】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5gのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0155】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%で
あり、赤外吸収スペクトルの測定の結果、1570cm
-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認された。
【0156】実施例1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、180℃×30分間熱処理し
て3g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0157】 〈親水性膨潤層組成(重量部)〉 (1)親水性ポリマー1 10重量部 (2)精製水 90重量部 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、次に記す組
成の感光性組成物を塗布量が2.0g/m2 となるよう
均一に塗布し、100℃×3分間熱処理してポジ型の感
光性平版印刷用原版を得た。
【0158】 〈感光層組成(重量部)〉 (1)1,2−ナフトキノンー2ージアジド−5−スルホン酸 20重量部 クロライドとフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂 (住友デュレズ製:“スミライトレジン”PR50622) の部分エステル化物 (元素分析法によるエステル化度18%) (分子量:812.23) (2)メチルセロソルブ 80重量部 得られた平版印刷版原版は、高圧水銀灯「ジェットライ
ト330kw :オーク製作所(株)製」を用い、PC
W(PLATE CONTOROL WEDGE:KALLE社製)を貼込ん
だポジフィルムを通して90秒間密着露光(3.6mW/c
m2 )した。次いで、版全面を富士写真フィルム(株)
製ポジ型PS版処理液“DP−4”/水道水:1重量部
/8重量部の混合液に1分間リンスすることで、露光部
の感光性組成物を洗浄、除去して刷版とした。
【0159】得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機
「スプリント25:小森コーポレーション(株)製」に
装着したのち、湿し水として市販の精製水を供給しなが
ら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した。インキ反撥
性およびインキ着肉性は印刷物を目視観察することによ
り評価した。画線部および非画線部の吸水量は定義に従
って測定した結果、2.2g/m2 および21.5g/
2 であった。また、画線部および非画線部の水膨潤率
は定義にしたがって測定した結果、それぞれ125%お
よび670%であった。
【0160】また約3000枚の印刷を行なった時点
で、各刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラス
トを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0161】実施例2 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、150℃×80分間熱処理し
て3g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0162】 〈親水性膨潤層組成(重量部)〉 (1)親水性ポリマー1 75重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0548」 18重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:日本合成ゴム製 ] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、実施例1と
同様の感光層を塗設しポジ型の感光性平版印刷用原版を
得た。
【0163】得られた平版印刷版原版を実施例1と同様
に露光、現像し刷版を得た後、同様に評価したところ、
画線部および非画線部の吸水量は2.0g/m2 および
15.7g/m2 、画線部および非画線部の水膨潤率は
それぞれ107%および510%であった。
【0164】また約3000枚の印刷を行なった時点
で、各刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラス
トを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0165】実施例3 以下の感光性組成物を用いたこと以外は実施例1と同様
にして感光性平版印刷版原版を得た。
【0166】 〈感光層組成(重量部)〉 (1)1,2−ナフトキノンー2ージアジド−5−スルホン酸 50重量部 クロライドとフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂 (住友デュレズ製:“スミライトレジン”PR50622) の部分エステル化物 (元素分析法によるエステル化度18%) (分子量:812.23) (2)1,2−ナフトキノンー2ージアジド−4−スルホン酸 20重量部 ナトリウム塩 (3)ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製) 2重量部 (4)メチルセロソルブ 530重量部 (5)精製水 200重量部 得られた平版印刷版原版を実施例1と同様に露光した。
実施例1で用いた処理液(“DP−4”/水道水:1/
8)に1分間浸し、スキージした後、さらに水道水を含
んだハイゼガーゼで擦ることにより現像を行った。同様
に評価したところ、画線部および非画線部の吸水量は
2.4g/m2 および21.1g/m2 、画線部および
非画線部の水膨潤率はそれぞれ132%および647%
であった。
【0167】また約3000枚の印刷を行なった時点
で、各刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラス
トを有する明瞭な印刷物が得られた。
【0168】実施例4 実施例1に用いた平版印刷版と通常のPS版(FPQ;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら印刷を行った。
【0169】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0170】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。
【0171】
【発明の効果】本発明の感光性平版印刷版原版は、基板
上に親水性膨潤層および光溶解性の感光層をこの順に有
しているため、従来のPS版より簡便に印刷可能なポジ
型の版を供給できる。
【0172】該原版から得られた平版印刷版は、従来の
PS版でインキ反撥性を発現するために必要な基板への
特殊な表面処理を行なうことなく、高いインキ反撥性を
発現する。また、わずかな湿し水の給水量で効率良くイ
ンキを反撥することができ、湿し水のコントロール幅が
拡大される。さらに、湿し水に通常添加されるイソプロ
パノールなどの溶剤を用いることなく、印刷が可能とな
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも親水性膨潤層、光溶解
    性感光層をこの順に積層してなることを特徴とする感光
    性平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】該光溶解性感光層が少なくともキノンジア
    ジド化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の
    感光性平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】親水性膨潤層からなる非画線部の吸水量が
    1〜50g/m2 であることを特徴とする請求項1記載
    の感光性平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】親水性膨潤層からなる非画線部の水膨潤率
    が10〜2000%であることを特徴とする請求項1記
    載の感光性平版印刷版原版。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001029968A (ja) * 1999-05-20 2001-02-06 Toyo Gosei Kogyo Kk 1,2−ナフトキノン−2−ジアジド誘導体を製造する場合の廃水処理方法
JP2008238506A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Mitsubishi Paper Mills Ltd 平版印刷版用支持体、平版印刷版の製造方法および感光性平版印刷版材料

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