JP3528510B2 - レーザー感応性平版印刷版原版およびその製版方法 - Google Patents

レーザー感応性平版印刷版原版およびその製版方法

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JP3528510B2 JP09403697A JP9403697A JP3528510B2 JP 3528510 B2 JP3528510 B2 JP 3528510B2 JP 09403697 A JP09403697 A JP 09403697A JP 9403697 A JP9403697 A JP 9403697A JP 3528510 B2 JP3528510 B2 JP 3528510B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版原版に関
するものであり、製版工程においてはデジタル処理され
た画像情報をレーザーを用いて描画することが可能であ
り、印刷工程においては不感脂化処理を行なうことなく
高いインキ反発性を有し、湿し水のコントロール幅が広
く、湿し水のIPAレス化が可能な新規な平版印刷版原
版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷に供する版としては、親水化処
理されたアルミニウム基板上に親油性の感光層を塗布
し、フォトリソグラフィの技術により画線部には感光層
が残存し、一方非画線部は上記のアルミニウム基板表面
が露出し、表面に湿し水層を形成してインキを反発する
ことを利用して、インキ画像を形成する水ありPS版
と、湿し水の代わりにシリコーンゴム層をインキ反発層
として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版が知ら
れている。
【0003】水ありPS版は実用上優れた印刷版で、支
持体に通常砂目立てされたアルミニウムが用いられ、さ
らに必要に応じてこの砂目の表面を陽極酸化するなどの
処理が施され、湿し水の保水性の向上と感光層に対する
接着性が補強されている。また、感光層の保存安定性を
得るためにアルミニウム表面はフッ化ジルコニウム、ケ
イ酸ナトリウムなどの化学処理が施される場合が一般的
である。
【0004】水ありPS版はその優れた印刷特性(耐刷
性、画像再現性など)から広く使用されているが、その
一方で、水ありPS版はこのように製造工程が複雑であ
り、その簡略化が望まれている。そこで、この問題点を
解決すべく、アルミニウム基板と同等もしくはそれ以上
の印刷特性有し、しかも材料コストが安くかつ簡易な製
造工程によるアルミニウム基板とは異なる新規な平版材
料の提案がある。例えば、特公昭56−2938号公報
においては、アルミニウム基板に代えて親水性高分子材
料からなるインキ反発層を塗設した支持体を用い、支持
体上に感光層を形成する方法が提案されている。しかし
ながら、この平版印刷版は、ポリ塩化ビニル、ポリウレ
タン、ポリビニルアルコールのアルデヒド縮合物の耐水
性層上に親水性層として尿素樹脂が単純塗布されている
ものであるため、インキ反発性が不十分であるうえ、感
光層との密着性にも劣り、耐刷性が不十分であった。
【0005】特開平5−19460号公報には、ポリビ
ニルアルコール、架橋剤、酸化チタンなどの無機多孔質
材料からなる平版印刷版が開示されている。この印刷版
は酸化チタンなどの無機多孔質を多量に含有することに
よりポリビニルアルコールの保水力の不足を補っている
が、そのため層自体が硬く、また実質的に膨潤できない
ためインキ反発性は必ずしも良好ではなく、耐刷性も劣
っていた。
【0006】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有し、
電子写真技術を用いて画像形成し、非画像部をエッチ液
などで不感脂化処理して画像受理層をインキ反発層に変
換させて使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供さ
れている。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バイン
ダポリマ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を
設けたものが一般的で、USP2532865号公報、
特公昭40−23581号公報、特開昭48−9802
号公報、特開昭57−205196号公報、特開昭60
−2309号公報、特開昭57−1791号公報、特開
昭57−15998号公報、特開昭57−96900号
公報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−
166590号公報、特開昭63−166591号公
報、特開昭63−317388号公報、特開平1−11
4488号公報、特開平4−367868号公報などが
挙げられる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反
撥層に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリ
ビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、
スチレン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処
理する以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよ
びアクリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シ
リカ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミ
ン・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構
成されているものが提案されている。このような直描型
平版印刷原版は、いずれも画像受理層をインキ反撥層に
変換するために、不感脂化処理が必須であり、処理なし
ではインキ反発性をほとんど示さなかったり、また印刷
時に湿し水として特殊な薬剤を使用する必要があった。
【0007】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適正な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0008】これらのPS版は、原画フィルムを通して
露光、現像といったフォトリソグラフィ技術による製版
工程を経て刷版となるが、近年これらに代替する技術と
して原画フィルムを用いずに、レーザーを用いてデジタ
ル処理された画像情報を直接版面に描画し、レーザー感
応性平版印刷版に関する提案されている。
【0009】湿し水を必要とする水ありPS版をレーザ
ー感応型にする方法としては、He−NeやArレーザ
ーに感応する高感度フォトポリマを用いて直接描画する
タイプのものが多く提案されているが、高感度であるが
故に明室での版材の取扱ができず、また大規模かつ高額
な自動露光現像製版装置が必要であった。
【0010】一方、水なし平版印刷版をレーザー感応型
にする方法としては、例えば、DE−A2512038
には、親油性面を担持するかまたは、有する支持体上に
ニトロセルロースおよびカーボンブラックを含有する層
および非硬化シリコーン層が積層されたヒートモード記
録材料を用い、レーザーを用いて画像形成を行なったの
ち、露光部分のシリコーン層をナフサなどの溶剤を用い
て溶解し、他の部分のシリコーン層を硬化する方法が提
案されてる。しかしながら、この方法は、製版中の版材
の取扱が困難であり、かつ現像工程においてシリコーン
層の硬化工程が必要であり、また有機溶剤の使用が必須
であることは環境問題の点から不都合なものであった。
【0011】またFR−A1473751においては、
親油性表面を有する基体上に、ニトロセルロース、カー
ボンブラック、およびシリコーンを有する層を用いたヒ
ートモード記録材料が提案されており、レーザーを用い
て画像形成を行なったのち、像形成部分は親油性に変換
される。しかしながら、この方法はインキ着肉部分のシ
リコーンが版面から除去されないため、インキ着肉性が
悪いものであった。
【0012】またUSP−5353705においては、
ニトロセルロースおよびカーボンブラックからなるレー
ザー感応層上にポリビニルアルコールをインキ反発性層
として積層したヒートモード記録材料が提案されてい
る。しかしながら、そのインキ反撥性は湿し水供給下で
も極めて不十分なものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、レーザ
ーを用いてデジタル処理された画像情報を直接版面に描
画可能であり、従来の水ありPS版よりも印刷時の湿し
水のコントロール幅が広く、湿し水のIPAレス化が可
能で、また不感脂化処理するなどの複雑な製版工程を経
ることなく高いインキ反発性を有する新規なレーザー感
応性平版印刷版原版の開発を鋭意検討した結果、レーザ
ー感応性の親水性膨潤層をインキ反発層とするレーザー
感応性平版印刷版原版を用いることにより所期の目的が
達成可能であることを見出した。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成を有
する。
【0015】(1)基板上に少なくとも親水性膨潤層を
備えた平版印刷版原版であって、最上層が剥離膜からな
り、剥離膜がレーザーに感応して剥離膜の下層に接着し
てインキ受容層を形成することを特徴とするレーザー感
応性平版印刷版原版。
【0016】(2)剥離膜がレーザーに感応して硬化す
ることを特徴とする(1)記載のレーザー感応性平版印
刷版原版。
【0017】(3)剥離膜を剥離・除去する前および/
または後に、水洗処理を行うことを特徴とする(1)記
載のレーザー感応性平版印刷版原版の製版方法。
【0018】(4)剥離膜がレーザー光線吸収剤を含有
することを特徴とする(1)〜(2)記載のレーザー感
応性平版印刷版原版。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の剥離膜は、フイルム形成
能を有するポリマー層を有する1つ以上の層からなる膜
であり、レーザーに感応して剥離膜または剥離膜の一部
が下層と接着し、インキ受容層を形成する。
【0020】剥離膜を構成する、フイルム形成能を有す
るポリマーとしては、公知のポリマーが使用できる。例
えば、ゼラチン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、デ
キストリン、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリ
ビニルアルコール、部分加水分解ポリビニルアセテー
ト、スルホン化ポリスチレンの塩、ポリアクリルアミ
ド、ポリアクリルアミド変性体、アクリル酸またはメタ
クリル酸および/またはその塩の重合体または共重合
体、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの重合体ま
たは共重合体、ポリエチレンオキサイドまたはその変性
体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール樹
脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、セルロースアセテートブチレート
樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン、塩化ビニル樹脂、などが挙げられる。また、水性エ
マルジョンから得られる膜も好ましく用いられる。ここ
でいう水性エマルジョンとは、微細なポリマ粒子と必要
に応じて粒子を包囲する保護層からなる粒子を水中に分
散させた疎水性ポリマ懸濁液をいう。
【0021】本発明の剥離膜には、これらの材料の他に
可塑剤、湿潤剤、艶消し剤、酸化防止剤などが添加でき
る。また、公知の架橋剤を添加することも可能である。
【0022】架橋反応に用いれられる化合物としては、
架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリ
エポキシ化合物、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン
樹脂、金属錯体化合物、ポリイソシアネート化合物、ポ
リ(メタ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポ
リアルコキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリア
ミン化合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒ
ドラジンなどが挙げられ、架橋反応は公知の触媒を使用
し、反応を促進してもよい。レーザー照射によって層内
に生ずる熱によって、これら架橋剤が反応して、剥離膜
または剥離膜の一部が硬化したり、剥離膜の下層と接着
する方法も好ましく用いられる。
【0023】剥離膜の厚みは、0.1〜20g/m2
好ましく、0.3〜10g/m2がさらに好ましい。膜
厚が0.1g/m2よりも薄い場合には、剥離膜の強度
が低下して剥離時に破損し易く、20g/m2よりも厚
い場合レーザー光線の透過を妨げたり、経済的にも不利
になる。また、レーザー照射により形成されるインキ受
容層の厚みは、0.1〜20g/m2が好ましく、0.
3〜10g/m2がさらに好ましい。インキ受容層の膜
厚が0.1g/m2よりも薄い場合には、インキ受容層
としての印刷耐久性が低下し、20g/m2よりも厚い
場合レーザーによるインキ受容層の形成が不完全になる
ばかりでなく、経済的にも不利になる。
【0024】上記の材料を用いた剥離膜は、レーザーの
エネルギーを吸収する目的でレーザー光線吸収剤を用い
ることが好ましい。
【0025】本発明のレーザー光線吸収剤としては、使
用するレーザーの波長領域に吸収を有する物質であれば
特に制限されないが公知の顔料、染料、などを用いるこ
とができる。
【0026】これらレーザー光線吸収剤は、レーザービ
ーム光線を熱に変化させる物質として作用し、カーボン
ブラックや、可視光線・近赤外線・赤外線を吸収する染
料、顔料、金属などがある。染料としては、シアニン色
素、スクワリリウム色素、メチン系色素、ナフトキノン
色素、キノンイミン系色素、キノンジイミン系色素、フ
タロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ジチオール
金属錯体色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素、ト
リスアゾ色素、ピリリウム塩系色素、アミニウム系色
素、クマリン系色素などが挙げられる。
【0027】金属としては、クロム、ゲルマニウム、白
金、ニッケル、チタン、ケイ素、アルミニウム、鉄、テ
ルル、スズ、アンチモン、ガリウム、マグネシウム、ポ
ロニウム、セレン、タリウム、亜鉛、ビスマス、などが
挙げられる。
【0028】顔料としては黒色顔料が好ましく、具体的
にはカーボンブラック、アニリンブラック、鉄黒、チタ
ンブラックの他、顔料と樹脂を混合分散させたピグメン
トレジンカラー(顔料樹脂捺染剤)などが挙げられる。
カーボンブラックとしては、その原料によりガスブラッ
ク、アセチレンブラック、オイルブラックに大別され、
その製造法によりチャネルブラック、ファーネスブラッ
ク、アセチレンブラックなどに大別されるがそのいずれ
も使用できる。ピグメントレジンカラーとしては、油中
水滴型(W/O型)と水中油滴型(O/W型)に大別さ
れる。W/O型は、顔料を樹脂の溶剤溶液中に分散させ
た油中分散ペーストと希釈剤としてのW/O型エマルシ
ョン(エクステンダー)からなる。一方、O/W型は、
顔料を界面活性剤(分散剤)と安定剤で水中に分散させ
たカラーベースとこの顔料を非着色物に固着させるO/
W樹脂エマルション(バインダー)と以上2者を希釈し
捺染適性を付与するためのO/Wエマルションの3成分
からなる。いずれのピグメントレジンカラーであっても
特に限定されない。
【0029】染料としては、その染着様式から酸性染
料、塩基性染料、直接染料、分散染料、反応性染料、油
溶性染料などに大別されるが、そのいずれであってもよ
い。また、染料としては黒色の染料が好ましい。
【0030】好ましい黒色染料としては、酸性染料およ
び塩基性染料が挙げられる。酸性染料としてはクロム、
銅、コバルトなどの金属錯塩系アゾ染料が、また塩基性
染料としてはアミノ基または第四級アンモニウム塩など
の置換アミノ基を有するポリメチン染料、アゾ染料、ア
ゾメチン染料、アントラキノン系染料、トリフェニルメ
タン染料などが特に好ましい。
【0031】金属錯塩系アゾ染料の具体例としてはアイ
ゼンスピロンブラックBNH、MH、RLH、BHを、
また塩基性染料の具体例としてはアイゼンカチロンブラ
ックSBH、BXH、SH、NH、MH、AWH、KB
H(以上すべて保土ヶ谷化学工業(株))などが挙げら
れる。
【0032】本発明におけるレーザー光線吸収剤の各層
内おける割合は、固形分ベースで、3〜70重量%、好
ましくは5〜50重量%である。70重量%を越えると
各層の本来の機能が著しく低下するのに対して、黒色物
質の割合が3重量%未満では、レーザー感応性が不十分
となり不適である。
【0033】本発明の親水性膨潤層にはインキ反発性を
損なわない範囲で、本発明に好ましく用いられるレーザ
ー光線吸収剤を添加することができ、親水性膨潤層自体
をレーザー光線受容層とすることも好ましい。
【0034】本発明の親水性膨潤層について説明する。
【0035】本発明の平版印刷版原版から得られる印刷
版は、不感脂化処理を行なうことなく高いインキ反発性
を有し、湿し水のコントロール幅が広く、IPAなどを
用いない湿し水で印刷が可能な新規な平版印刷版であ
る。本発明の印刷版原版から得られる印刷版がこのよう
な優れた特徴を有する理由は、高い水膨潤率で膨潤可能
な親水性膨潤層によると考えられる。さらに詳細な理由
づけは必ずしも明確ではないが、高い割合で水を含んだ
重合体はそれ自体が油性インキ反発性が高く、非常に薄
い湿し水層であってもその表面に安定に存在せしめるこ
とができるためと推察される。さらに、親水性膨潤層を
有する平版印刷版の非画線部および画線部は、印刷時に
繰り返して圧力やインキの引き剥がし力を受けるが、高
い水膨潤率で膨潤した親水性膨潤層がこのような力を分
散・吸収するために印刷耐久性にも優れている。
【0036】本発明に用いられる親水性膨潤層は、親水
性ポリマを成分とする。
【0037】本発明にいう親水性とは、水に対して実質
的に不溶でかつ水膨潤性を示す性質を意味し、公知の親
水性ポリマを基板上に塗布または転写などにより積層
し、公知の方法を用いて架橋または疑似架橋し、水に不
溶化せしめて水膨潤性とした親水性膨潤層が用いられ
る。
【0038】ここでいう親水性ポリマとは、公知の水溶
性ポリマ(水に完全に溶解するものを意味する)、疑似
水溶性ポリマ(両親媒性を意味し、マクロには水に溶解
するがミクロには非溶解部分を含むものを意味する)、
水膨潤性ポリマ(水に膨潤するが溶解しないものを意味
する)を指す。すなわち、通常の使用条件下で水を吸着
または吸収するポリマを意味し、水に溶けるか或いは水
に膨潤するポリマを意味する。
【0039】本発明において親水性ポリマとしては公知
のものを使用することができ、動物系ポリマ、植物系ポ
リマ、合成系ポリマがある。例えば、「Functio
nal Monomers」(Y.Nyquist著、
Dekker)、「水溶性高分子」(中村著、化学工業
社)、「水溶性高分子 水分散型樹脂の最新加工・改質
技術と用途開発 総合技術資料集」(経営開発センター
出版部)、「新・水溶性ポリマの応用と市場」(シーエ
ムシー)などに記載の水溶性ポリマが挙げられる。具体
例を以下に示す。
【0040】(A)天然高分子類。
【0041】デンプン−アクリロニトリル系グラフト重
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
【0042】(B)合成高分子類。
【0043】ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒ
ドロキシエチル (メタ)アクリレート系ポリマ(以下
の説明で(メタ)□□□□とあるのは、□□□□または
メタ□□□□を略したものである。)、ポリ(ビニルメ
チルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マレイン酸系
共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体、ポリ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミド)、N−ビニ
ルカルボン酸アミド共重合体、など。
【0044】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0045】本発明に好ましく用いられる親水性ポリマ
の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらの例に限定
されるものではない。
【0046】(1)マレイン酸または無水マレイン酸、
マレイン酸アミドもしくはマレイン酸イミドなどのマレ
イン酸誘導体とエチレン、プロピレン、ブチレン、イソ
ブチレンまたはジイソブチレンなどの炭素数が2〜12
好ましくは炭素数2〜8の直鎖または分岐状のα−オレ
フィンとの共重合体と、アルカリ金属化合物、アルカリ
土類金属化合物、アンモニア、アミンとの反応物の架橋
体。
【0047】(2)マレイン酸またはその誘導体とスチ
レン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリ
ルなどのビニルまたはビニリデン化合物との共重合体
と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ア
ンモニア、アミンとの反応物の架橋体。
【0048】(3)アクリル酸またはメタクリル酸と前
記(2)のビニルまたはビニリデン化合物との共重合体
と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ア
ンモニア、アミンとの反応物の架橋体。
【0049】特公昭58−37027号公報などに開示
されているポリオキシアルキレン系の親水性ポリマ、特
開昭60−104106号公報などに開示されているポ
リビニルピロリドン、スルフォン酸基を親水性基とする
ポリスチレンスルフォン酸、アクリルアミドメチルプロ
パンスルフォン酸共重合体などの架橋体、特開昭60−
42416号公報などに開示されている水酸基、アミノ
基を有する親水性ポリマにポリイソシアネートを架橋さ
せて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0050】次に、親水性ポリマの架橋方法について説
明する。
【0051】親水性膨潤層は、既述の親水性ポリマの少
なくとも1種以上を必要に応じて架橋または疑似架橋
し、基板上に積層形成される。架橋には、親水性ポリマ
の有する反応性官能基を用いて架橋反応することにより
行われる。
【0052】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0053】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0054】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0055】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0056】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0057】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0058】(3)ポリエポキシ化合物、フェノール樹
脂(炭化水素置換フェノールを含むフェノール類とホル
ムアルデヒドのポリ縮合物)、フェノール樹脂のグリシ
ジルエーテル化物、尿素樹脂、ポリアミン、メラミン樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無水物など。
【0059】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、
ビスフェノール類もしくはそれらの水素添加物とエピハ
ロヒドリンとのポリ縮合物、などが挙げられる。
【0060】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミン、ポリア
ミドアミンなどが挙げられる。
【0061】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0062】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシア
ネート、液状ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリ
メチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネー
ト、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、イソ
プロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、などの
芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシ
アネート、シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、ま
たポリプロピレングリコール/トリレンジイソシアネー
ト付加反応物などが挙げられる。
【0063】(5)シラン化合物 メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエト
キシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、など。
【0064】(6)チタネート化合物 テトラエチルオルトシリケート、ビス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルト
リアクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリル
イソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステア
ロイルジアクリルチタネート、イソプロピル(ジオクチ
ルホスフェート)チタネート)、イソプロピルトリクミ
ルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノ
エチルアミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオ
キシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレ
ンチタネート、イソプロピルトリインステアロイルチタ
ネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニル
チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルホスフェ
ート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチ
ルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジ
トリジシルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2
ージアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデ
シルホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロ
ホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジ
オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネ
ート、など。
【0065】(7)アルデヒド化合物 ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデ
ヒド、ブチルアルデヒド、グリオキサール、グルタルア
ルデヒド、テレフタルアルデヒド、など。
【0066】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じて公知の有機溶剤を
添加することが可能である。
【0067】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、水溶液系で、必要に応じて架橋剤を添加する
方法が、均質な架橋構造の形成し、インキ反発性を向上
させる点から好ましい。
【0068】したがって、用いられる架橋剤としては、
水溶性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。
すなわち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化
合物、メラミン化合物、アルデヒド化合物などを用いる
ことが好ましい。
【0069】また、水および水と混合する有機溶媒中に
エマルジョンとして存在する架橋剤も好ましい。
【0070】また、本発明に用いられる親水性膨潤層は
以下の方法にしたがって算出される吸水量、吸水率、初
期弾性率、水膨潤率の値が特定の範囲にあることが好ま
しい。
【0071】吸水率(%)=吸水量(g/m2)/親水
性膨潤層厚さ(g/m2)×100 ここで、吸水量とは以下の定義にしたがって測定した値
を意味する。
【0072】吸水量(g/m2)=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2) [吸水量の測定方法]測定しようとする平版印刷版の非
画線部を所定面積に裁断し、25℃の精製水中に浸漬す
る。10分間浸漬した後、印刷版の親水性膨潤層表面お
よび裏面に付着した余分の液体を「ハイゼガーゼ」(コ
ットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取り、
該印刷版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、印刷版
を60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量W
DRY を秤量する。
【0073】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部の
吸水量は、インキ反発性および形態保持性の観点から1
〜50g/m2であることが好ましく、2〜40g/m
2 、さらに3〜30g/m2であることがさらに好まし
い。親水性膨潤層からなる非画線部の吸水量が、1g/
2未満ではインキ反発性が不十分になり印刷時に地汚
れが発生し易く、一方吸水量が50g/m2を越えると
形態保持性が著しく低下する。
【0074】本発明に用いられる親水性膨潤層の吸水率
は、10〜2000%で用いることが可能であるが、イ
ンキ反発性および形態保持性の観点から、好ましくは5
0〜1700%、さらに好ましくは50〜700%であ
る。吸水率が10%未満になると、インキ反発性が極端
に低下する傾向にあり、また塗工時にピンホ−ルなどの
欠陥が生じ易くなる。また、2000%より大きくなる
と形態保持性が極端に低下する傾向にある。
【0075】本発明でいう親水性膨潤層厚さとは、基板
上に塗設された乾燥させた平版印刷版原版の親水性膨潤
層の塗布層を剥離し、重量法によって測定した値を意味
する。親水性膨潤層厚さは下記式に従って測定した。
【0076】 親水性膨潤層厚さ(g/m2 )=(W−W0 )/α W:平版印刷版原版の乾燥重量 (g) W0 :上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α:感光性平版印刷版原版の測定面積(m2 ) [親水性膨潤層厚さの測定方法] 測定しようとする平
版印刷版原版を所定面積αに裁断した後、60℃のオー
ブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量Wを秤量する。そ
の後、該原版を精製水に浸漬し、親水性膨潤層を膨潤さ
せ、スクレーパーなどを用いて該膨潤層を剥離脱落させ
る。親水性膨潤層を剥離脱落させた原版を再度60℃の
オーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量W0 を秤量す
る。
【0077】本発明に用いられる親水性膨潤層厚さは、
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.2〜10g/m2 である。該厚みが0.1g/m2
未満になると、インキ反発性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 以上は水膨潤時の形態保持性が劣
化する傾向にあり経済的にも不利である。
【0078】本発明の親水性膨潤層はゴム弾性を有する
ことが好ましい。すなわち、以下の方法により算出した
親水性膨潤層の初期弾性率が特定の範囲内にあることが
好ましい。
【0079】[初期弾性率の測定方法]平版印刷版の非
画線部に対応した部分と同一組成の溶液をテフロンシャ
ーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥させる。得られ
た乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用いて、長さ40mm、
幅1.95mm、厚み約0.2mmの短冊状のテストピ
ースに裁断する。
【0080】得られたテストピースは、測定前に25℃
×50%RHの環境下にて24時間以上放置し、調湿し
た後、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張条
件で初期弾性率を測定した。データ処理は、JIS K
6301に準じて行った。
【0081】引張速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰返し回数 4回 測定機 「RTM−100」((株)オリエンテッ
ク製) 親水性膨潤層の初期弾性率は、0.01〜10kgf/
mm2の範囲内にあることがインキ反発性および形態保
持性の観点から重要であり、0.01〜5kgf/mm
2の範囲が好ましく、0.01〜2kgf/mm2の範囲
がさらに好ましい。初期弾性率が0.01kgf/mm
2未満の場合は、親水性膨潤層の形態保持性が低下し、
印刷の耐久性が劣り、初期弾性率が10kgf/mm2
よりも大きくなるとインキ反発性が極端に低下する。
【0082】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される水膨潤率が特定の範囲であ
ることが好ましい。
【0083】 水膨潤率(%)=(ΘWET−ΘDRY)/ΘDRY ×100 ΘDRY :乾燥状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) ΘWET :膨潤状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) [水膨潤率の測定方法(A)]測定しようとする平版印
刷版の非画線部を含む部位が断面となるように切削して
切片を作製する。この切片を常温にて1昼夜真空乾燥し
た後、光学顕微鏡にて当該部位の親水性膨潤層厚さを観
察し、これをΘDRY(μm)とする。なお、光学顕微鏡
観察は23℃、20%RHの環境下において手早く行っ
た。
【0084】さらに、この平版印刷版切片に過剰の水滴
を載せ、親水性膨潤層が十分に水膨潤した状態で断面を
光学顕微鏡観察し、当該部位の親水性膨潤層厚さを読み
とり、これをΘWET(μm)とする。
【0085】[水膨潤率の測定方法(B)]測定しよう
とする平版印刷版の非画線部をOsO4水溶液の雰囲気
下に1昼夜さらしてOsO4により親水性膨潤層を固定
した後、所定の部位が断面となるようにミクロトームで
切削して超薄切片を作製する。この切片を透過型電子顕
微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当該部位の
親水性膨潤層厚さを観察し、これをΘDRY(μm)とす
る。
【0086】一方、測定しようとする平版印刷版をOs
4水溶液に2〜3日浸漬し親水性膨潤層を水膨潤状態
で固化/固定する。所定の部位が断面となるようにミク
ロトームで切削して超薄切片を作製し、この切片を透過
型電子顕微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当
該部位の親水性膨潤層厚さを読みとり、これをΘ
WET(μm)とする。
【0087】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部
(インキ反発部分)の水膨潤率は、インキ反発性および
形態保持性の観点から100〜1000%であることが
好ましく、500〜1700%、さらに好ましくは50
〜700%の範囲であることがより好ましい。水膨潤率
が10%未満になると非画線部のインキ反発性が低下
し、一方非画線部の水膨潤率が2000%を越える場合
には該非画線部の形態保持性が低いため印刷時に該非画
線部が損傷を受け易くなる。
【0088】本発明の親水性膨潤層には疎水性ポリマを
用いてもよい。疎水性ポリマとしては、水性エマルジョ
ンから主として構成されたものが好ましく用いられる。
【0089】本発明にいう水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0090】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0091】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはスチレ
ン/ブタジエン系、アクリロニトリル/ブタジエン系、
メタクリル酸メチル/ブタジエン系、クロロプレン系な
どの共役ジエン系化合物を含有するラテックスが挙げら
れる。
【0092】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または擬
似架橋し、基板上に積層形成してもよい。
【0093】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0094】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0095】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0096】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な構造を実現しインキ反発性
を向上させる点から好ましい。
【0097】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0098】本発明に用いられる親水性膨潤層には上記
した親水性ポリマ、疎水性ポリマおよび必要に応じて加
えられる架橋剤の他にも、ゴム組成物において通常添加
される公知の老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止
剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、可塑剤などを添加する
ことが可能である。
【0099】また下層との接着性向上などの目的から、
公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合物、
触媒などを添加したり、また基板との間に接着層を設け
ることも可能である。
【0100】また本発明に用いられる親水性膨潤層に
は、染料や顔料、pH指示薬、ロイコ染料、界面活性
剤、有機酸などの各種添加剤を微量添加することも可能
である。本発明に用いられる平版印刷版の基板として
は、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印刷
時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外に
は一切制限を受けない。
【0101】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0102】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0103】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0104】用いられるプライマー層として、例えば、
特公昭61−54219号公報に示されるようなエポキ
シ樹脂を含むものの他、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル
樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾ
グアナミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリエーテル樹
脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ミルクカゼイン、ゼ
ラチン等が挙げられる。これらの樹脂は単独であるいは
二種以上混合して用いることができる。
【0105】これらの中では、ポリウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂
等を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることが
好ましい。
【0106】また、上記プライマー層を構成するアンカ
ー剤としては、例えばシランカップリング剤などの、公
知の接着剤を用いることができ、有機チタネートなども
有効である。
【0107】さらに、塗工性を改良する目的で、界面活
性剤を添加することも任意である。
【0108】上記のプライマー層を形成するための組成
物は、DMF、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ジオキサン等の適当な有機溶剤に溶解させるこ
とによって組成物溶液として調整される。かかる組成物
溶液を基板上に均一に塗布し必要な温度で必要な時間加
熱することにより、プライマー層が形成される。
【0109】プライマ−層の厚さは0.5〜50g/m
2 が好ましく、より好ましくは1〜10g/m2 であ
る。厚さが0.5g/m2 よりも薄いと基板表面の形態
欠陥および化学的悪影響の遮断効果がおとり、50g/
2 よりも厚いと経済的見地から不利となるので上記の
範囲が好ましい。
【0110】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版の
製版方法について説明する。
【0111】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、レーザーを用いて像にしたがって露光することによ
り印刷版が得られる。好ましく使用するレーザーには、
例えば半導体レーザー、YAGレーザー、アルゴンイオ
ンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、ヘリウム−カド
ミウムレーザー、炭酸ガスレーザーなどがあり、特に限
定されないが、赤外線タイプのレーザー例えば半導体レ
ーザーが好ましい。パワー出力としては、40〜500
00mWのパワー出力のものが好ましく用いられる。中
でも、ヒートモード記録を効率よく行う点から、500
〜30000mWの半導体レーザーが好ましく用いられ
る。通常1回のレーザー照射によって形成されるインキ
反発性の凸部の直径は3〜100μm程度である。
【0112】本発明においてレーザー感応性とは、ヒー
トモードで画像形成が可能なことを意味する。すなわ
ち、レーザーが照射された部位は剥離膜がその下層と接
着してインキ受容層(印刷時に油性インキが着肉し、イ
ンキ画像を形成する)を形成するのに対して、レーザー
の未照射部位は剥離膜を剥離・除去することによって、
親水性膨潤層が露出して非画線部(印刷時に湿し水膜が
形成され、インキ反発部となる)となる。
【0113】剥離膜を剥離・除去する場合には、溶媒に
浸漬して剥離・除去が容易なるよう処理することが好ま
しい。溶媒としては有機溶媒であっても水であっても良
いが、臭気や廃溶媒の処理の問題から水であることが特
に好ましい。有機溶媒や水をシャワリングしたり、これ
ら溶媒に浸漬する際に、ブラシなどによる擦りを加えて
剥離・除去を行ってもよい。
【0114】次に本発明のレーザー感応性平版印刷版原
版から得られた印刷版を用いた印刷方法について説明す
る。
【0115】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0116】本発明の平版印刷版原版にレーザー光線に
より描画し、剥離膜を剥離・除去して画像形成した後、
これらを平版印刷機の版胴に装着し、版面には接触する
インキ着けローラーからインキが供給される。
【0117】版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
は、湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反発する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0118】本発明の画像形成方法により描画した、親
水性膨潤層を備えた平版印刷版を印刷する際に使用され
る湿し水は、通常の平版印刷において使用されるエッチ
液を用いることも可能であるが、添加物を一切添加しな
い純水を使用することができる。
【0119】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0120】
【実施例】 合成例 1 1リットルの4ツ口セパラブルフラスコに攪拌棒、温度
計および窒素導入管を装着し、これにN−ビニルアセト
アミド100gを280gの脱イオン水に溶解した水溶
液を仕込んだ。窒素ガスを約10分間導入して、溶存酸
素を追い出し、液温度を30℃に上昇させ、重合開始剤
として2,2’−アゾビス−2−アミノプロパン二塩酸
塩の5%水溶液を20g添加し、約10時間重合反応を
行った。得られた各重合体の粘度はB型粘度計(0.2
%水溶液:30℃、回転数20rpm)で測定した結
果、235cpsであった。
【0121】合成例 2 酢酸ビニル60gとアクリル酸メチル40gに重合開始
剤としてベンゾイルパーオキシド0.5gを計量し、こ
れを、分散安定剤として部分ケン化ポリビニルアルコー
ル3gとNaCl10gを含む水300ml中に分散さ
せた。
【0122】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度
は2.10であった。
【0123】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5NのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0124】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%で
あり、赤外吸収スペクトルの測定の結果、3400cm
-1付近にブロードな−OH基に帰属される吸収が、また
1570cm-1に−COO-基に帰属される強い吸収が
確認された。
【0125】実施例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記の親水性膨潤層塗布液を塗布したのち、150℃×2
0分間加熱処理して2.5g/m2 の厚みを有する親水
性膨潤層を塗設した。
【0126】 <親水性膨潤層塗布液> (1)合成例1の共重合体 100重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル 20重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (4)精製水 800重量部 さらに、下記の剥離膜層塗布液を塗布した後、120℃
×7分間加熱処理して、1.2g/m2の剥離膜層を形
成した。
【0127】 <剥離膜層塗布液> (1)両末端ブロックトイソシアネート化ポリエチレンオキサイド#50000 70重量部 (2)水溶性メラミン樹脂「スミレーズ613」(住友化学(株)製) 27重量部 (3)カーブンブラック「RENOL BLACK R−HW」(ヘキスト社製 ) 3重量部 (4)イソプロピルアルコール 200重量部 (5)精製水 700重量部 得られたレーザー感応性平版印刷版原版をX−Yテーブ
ルに装着した半導体レーザー(SLD−304XT、出
力1W、波長809nm、ソニー(株)製)を用いて、
ビーム直径20μm、露光時間10μsでパルス露光を
行った。
【0128】続いて、剥離膜のレーザー未照射部分を剥
離除去し、約1分間水道水で水洗処理を行って刷版を得
た。
【0129】レーザー照射に対応した部分の剥離膜が親
水性膨潤層に接着し、水洗処理時には水をはじいていた
のに対して、未照射部は親水性膨潤層が露出していた。
【0130】非画線部の吸水量、吸水率、水膨潤率は定
義に従って測定したところ、それぞれ10.0g/
2、400%、405%であった。
【0131】この平版印刷版を平版印刷機の版胴に装着
し、版面に接触するインキ着けローラーからインキを供
給し、また同時に湿し水供給装置から水を供給して印刷
を行なった。その結果インキ受容層露出部(画線部)は
インキが受容し、オフセットブランケット胴を介して印
刷物にビーム径に対応した明瞭なインキ画素が形成され
た。
【0132】得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機
「スプリント25:小森コーポレーション(株)製」に
装着したのち、湿し水として市販の精製水を供給しなが
ら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した。
【0133】約1000枚の印刷を行なった時点で、各
刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラストを有
する明瞭な印刷物が得られた。
【0134】実施例 2 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記の親水性膨潤層塗布液を塗布したのち、160℃×1
0分間加熱処理して1.5g/m2 の厚みを有する親水
性膨潤層を塗設した。
【0135】 <親水性膨潤層塗布液> (1)合成例2の親水性ポリマー 30重量部 (2)ジエチレングリコールグリシジルエーテル 7重量部 (3)水性ラテックス「ラックスター2800A」(大日本インキ化学工業(株 )製) 70重量部 [カルボキシ変性スチレンーブタジエン共重合体] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部 次に、下記の剥離膜塗布液1を塗布した後、120℃×
10分間加熱処理して、1.0g/m2のインキ受容層
形成性層を塗設した。
【0136】 <剥離膜層塗布液1> (1)水性ラテックス「ラックスター2800A」(大日本インキ化学工業(株 )製) 65重量部 [カルボキシ変性スチレンーブタジエン共重合体] (2)脂肪族エポキシ系架橋剤「CR−5L」(大日本インキ化学工業(株)製 ) 10重量部 (3)水溶性メラミン樹脂「スミレーズ613」(住友化学(株)製) 20重量部 (4)黒色染料 5重量部 (5)精製水 900重量部 続いて、下記の剥離膜塗布液2を塗布した後、120℃
×2分間加熱して、5g/m2の層を塗設した。
【0137】 <剥離膜塗布液2> (1)両末端ブロックトイソシアネート化ポリエチレンオキサイド#50000 100重量部 (2)イソプロピルアルコール 200重量部 (3)精製水 700重量部 実施例1と同様にして、レーザー露光を行って、画線部
を形成した。全面にわたって剥離膜を剥離・除去して、
印刷版上に黒色の画線部を形成した。
【0138】この印刷版を刷版として印刷評価を行っ
た。約1000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にイ
ンキ汚れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭
な印刷物が得られた。
【0139】実施例 3 実施例2に用いた平版印刷版と通常のPS版(FNS;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら実施例2と同様にして印刷を行っ
た。
【0140】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例2に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0141】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例2に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。なお、湿し水の
供給量は印刷機のダイヤル目盛り値にて相対的に比較し
た。評価結果を表1に示す。
【0142】
【表1】 以上のように本発明の平版印刷版は、湿し水の許容幅が
広く、純水を湿し水として良好な印刷画像を得ることが
できる。
【0143】
【発明の効果】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、レーザーによる描画が可能であり、また印刷工程に
おいてはインキ反発性が高く、湿し水の許容幅が広く、
湿し水のIPAレス化が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/14 B41C 1/055 501

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも親水性膨潤層を備えた
    平版印刷版原版であって、最上層が剥離膜からなり、剥
    離膜がレーザーに感応して剥離膜の下層に接着してイン
    キ受容層を形成することを特徴とするレーザー感応性平
    版印刷版原版。
  2. 【請求項2】剥離膜がレーザーに感応して硬化すること
    を特徴とする請求項1記載のレーザー感応性平版印刷版
    原版。
  3. 【請求項3】剥離膜を剥離・除去する前および/または
    後に、水洗処理を行うことを特徴とする請求項1記載の
    レーザー感応性平版印刷版原版の製版方法。
  4. 【請求項4】剥離膜がレーザー光線吸収剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜2の記載のレーザー感応性平
    版印刷版原版。
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