JPH1016176A - 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の画像形成方法 - Google Patents

感光性平版印刷版原版および平版印刷版の画像形成方法

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JPH1016176A
JPH1016176A JP16931096A JP16931096A JPH1016176A JP H1016176 A JPH1016176 A JP H1016176A JP 16931096 A JP16931096 A JP 16931096A JP 16931096 A JP16931096 A JP 16931096A JP H1016176 A JPH1016176 A JP H1016176A
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water
image
ink
swelling layer
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Application number
JP16931096A
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English (en)
Inventor
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Kazuo Kitamura
和夫 北村
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication of JPH1016176A publication Critical patent/JPH1016176A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C1/00Forme preparation
    • B41C1/10Forme preparation for lithographic printing; Master sheets for transferring a lithographic image to the forme
    • B41C1/1066Forme preparation for lithographic printing; Master sheets for transferring a lithographic image to the forme by spraying with powders, by using a nozzle, e.g. an ink jet system, by fusing a previously coated powder, e.g. with a laser

Abstract

(57)【要約】 【課題】コンピュータやファクシミリなどのデジタル信
号から、製版用フイルムを用いることなく、解像性、印
刷耐久性に優れた平版印刷版を容易に得る。 【解決手段】基板上に少なくとも親水性膨潤層をそな
え、親水性膨潤層上に、光重合性インク組成物を用いて
インクジェット方式にて画線部を形成し、活性光線によ
り光硬化させてなる画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版に関する
ものであり、不感脂化処理を行なうことなく高いインキ
反撥性を有し、湿し水のコントロール幅が広く、湿し水
として純水を使用できる新規な平版印刷版の画像形成方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の印刷技術の発達とOA化の進展に
伴い、静電転写方式の複写機やプリンタ、熱転写方式の
プリンタ、インクジェットプリンタ等で、簡単に製版可
能な直描型平版印刷版を用いる印刷が普及しつつある。
【0003】従来の直描型平版印刷版材は、紙、プラス
チックフィルムなどからなる支持体上に、顔料、水溶性
バインダー及び耐水化剤を主成分として含有する画像受
容層を設けたものである。このような直描型平版印刷版
においては、親油性インキを用いて、画像受容層上に、
タイプライターまたは手書きによって親油性画像を形成
する方法、電子写真感光体上に形成したトナー画像を平
版印刷版の画像受容層に転写し、これを熱、光、圧力な
どにより定着することによって親油性画像を形成する方
法、熱転写プリンタでインクリボンから画像を熱溶融転
写して親油性画像を形成する方法、インクジェットプリ
ンタにより親油性画像を形成する方法、が知られてい
る。
【0004】しかしながら、このような印刷版を用いて
印刷するには、エッチング液で非画像部を不感脂化処理
して画像受容層をインキ反発層に変換する工程が必要で
あった。不感脂化を行わない場合、または不感脂化が不
十分な場合には、親水層のインキ反発性が不十分である
ため地汚れが発生するという問題点があった。
【0005】実用レベルのインキ反発性を得るために
は、不感脂化処理や親水性バインダポリマを大量に使用
する必要があるが、耐水性に劣ったり印刷耐久性が低下
する。
【0006】また親水性を高めるとトナーなどの画像と
の接着性が低下し、損傷を受けて画線部のドットが細り
易くなったり、失われたりするという問題点があった。
一方、印刷耐久性を向上するために耐水化剤の添加量を
多くしたり疎水性ポリマを添加したりして耐水性を増大
させると、親水性が低下し、インキ反発性が大幅に低下
してしまう問題点があった。
【0007】さらに、従来の印刷版に静電転写により画
像形成した場合、実際の印刷において、湿し水のコント
ロール幅が狭く、また湿し水にIPA(イソプロピルア
ルコール)などの有機成分を添加しなければ、安定した
印刷ができないという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、不感脂
化処理を行うことなく高いインキ反発性を有し、湿し水
のコントロール幅が広く、湿し水として純水を使用する
ことができ、印刷版の印刷耐久性の良好な平版印刷版の
画像形成方法について鋭意検討した結果、親水性膨潤層
をインキ反撥層とし、特定の方法で画像形成することに
より、所期の目的を達成することができることを見出し
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、 (1)基板上に少なとも親水性膨潤層を備えた平版印刷
版において、光重合性インク組成物を用いてインクジェ
ット方式により親水性膨潤層上に画線部を形成した後、
インク組成物が感光可能な活性光線を印刷版に照射して
インク組成物を硬化させることにより画線部を形成する
ことを特徴とする直描型平版印刷版の画像形成方法 (2)該インク組成物が親油性のエチレン性不飽和化合
物を含有することを特徴とする(1)記載の平版印刷版
の画像形成方法 (3)インクジェット方式により親水性膨潤層上に画線
部を形成した後、活性光線を露光するまでの間に、平版
印刷版上に保護層を形成する工程を有することを特徴と
する(1)記載の平版印刷版の画像形成方法 (4)親水性膨潤層からなる非画線部の吸水量が1〜5
0g/m2 であり、かつ画線部の吸水量が該非画線部の
吸水量未満であることを特徴とする(1)記載の平版印
刷版の画像形成方法 (5)親水性膨潤層からなる非画線部の水膨潤率が10
〜2000%であり、かつ画線部の水膨潤率が該非画線
部の水膨潤率未満であることを特徴とする(1)記載の
平版印刷版の画像形成方法 (6)親水性膨潤層が親水性ポリマを主成分とする相お
よび疎水性ポリマを主成分とする相の少なくとも2相か
ら構成された相分離構造を有することを特徴とする
(1)記載の平版印刷版の画像形成方法 (7)活性光線を照射することにより、画線部と非画線
部の水膨潤率の差を生ぜしめることを特徴とする請求項
1記載の平版印刷版の画像形成方法 (8)請求項1〜7記載の画像形成方法により画像形成
可能な平版印刷版原版を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の画像形成方法を用いるこ
とによりインキ反発性と印刷耐久性のバランスが特に優
れた直描型平版印刷版が得られる理由は、本発明の親水
性膨潤層が湿し水として供給される精製水などを層内に
包含することにより層が膨潤し、高い湿し水保持力を有
しているだけでなく、親水性膨潤層自体が膨潤によりゴ
ム弾性的な性質を有していることに基づくと推察され
る。
【0011】版表面に対して、湿し水ローラーによる湿
し水の供給、インキ付けローラーによる油性インキの供
給、圧胴による高圧力の元でのブランケットまたは用紙
へのインキの転写、が繰り返される印刷工程において、
一般に、印刷版の表面には種々の負担がかかり、版の印
刷適性が次第に低下し、ついには印刷不能に陥る。本発
明の印刷版においては、親水性膨潤層上にインキ受容性
物質によりインキ着肉層(画線部)が形成されており、
親水性膨潤層の持つゴム弾性/クッション性により印刷
版表面にかかる力学的負担が軽減され印刷耐久特性が優
れていると考えられる。加えて、親水性膨潤層のゴム弾
性は、親水性膨潤層の層内に包含している水の量により
変化する点も重要であると推察される。すなわち、版面
に湿し水として精製水を供給し親水性膨潤層を湿潤させ
版面に油性インキを着肉させ、版のインキ付着面を被印
刷体またはブランケットに圧着し油性インキを転移させ
るというサイクルにおいて、湿し水が供給され、親水性
膨潤層が最も膨潤したときゴム弾性が大きく、版面が被
印刷体またはブランケットに圧着されて親水性膨潤層か
ら水が押し出された時には親水性膨潤層が包含する水が
少なくなりゴム弾性が低下する。圧着の初期においては
ソフトに、圧着の後半においては比較的しっかりと版面
が被印刷体またはブランケットに接することにより十分
なインキ着肉性を発現すると同時に良好な印刷耐久性が
得られると考えられる。また、親水性膨潤層内に大量の
水を包含しているため親水性が高く、従って不感脂化処
理の必要がないだけでなく、湿し水保持力が高いため湿
し水のコントロール幅が広く、高いインキ反発性が発現
する。
【0012】以上のように、従来の印刷版においてはイ
ンキ反発性と印刷耐久性が相反する性質として発現する
のに対して、本発明の画像形成方法においてはインキ反
発性と印刷耐久性が両立することが挙げられる。
【0013】本発明の光重合性インク組成物は、その成
分として、光重合性化合物を含有する。光重合性化合物
は、活性光線照射下に光重合開始剤などの作用により付
加重合して、組成物を硬化させる化合物をいう。
【0014】具体的には、 (1)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸のような不飽和カルボン酸 (2)エタノール、プロパノール、ヘキサノール、2ー
エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ノナンジオール、
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ
プリピレングリコール、ω−メトキシポリエチレングリ
コール、1,2−ブタンジオール、ヘキサンジオール、
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ
トール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、など
のヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物と上記
(1)の不飽和カルボン酸とのエステル (3)エチルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、
エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、キシリレンジアミン、エタノールアミ
ン、アニリンなどのアミン化合物とアクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸グリシジルまたはアリルグリシジルエ
ーテルとの反応物 (4)酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メ
タクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石
酸、クエン酸などのカルボン酸化合物とアクリル酸グリ
シジル、メタクリル酸グリシジルまたはアリルグリシジ
ルエーテルとの反応物 (5)トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル (6)エピクロルヒドリンと2,2−ビス(4ーヒドロ
キシフェニル)−プロパンとの反応物 (7)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、t−ブチルアクリルアミド、メチレンビス(メタ)
アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、ヘキサメチレンビス
(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド
化合物 (8)その他に、特公昭48−41708号公報、特公
昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公
報に記載のウレタンアクリレート化合物、特開昭48−
64183号公報、特公昭49−43191号公報、特
公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアク
リレート化合物、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート化合物などが挙げられ
る。
【0015】これら光重合性化合物は、光重合性インク
組成物中に20〜99重量%の範囲で用いられることが
好ましい。光重合性化合物が20重量%を下回ると印刷
耐久性が低下する。
【0016】本発明の光重合性インク組成物は、親油性
のエチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。
【0017】本発明の親油性のエチレン性不飽和化合物
とは20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下
の光重合可能なモノマまたはオリゴマを意味する。
【0018】本発明に好ましく用いられる親油性のエチ
レン性不飽和化合物の具体例としては、下記一般式
(I)で表わされる化合物が挙げられる。
【0019】 CH2 =C(R1 )−CO−O−(CH2 )n −R2 (I) (ここで、R1 は水素またはメチル基を表わす。R2 は
水素、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル
基、ニトロ基、アジド基、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数4〜20の置換または無置換のアリール基、
置換または無置換のアラルキル基、アクリロキシ基、メ
タアクリロキシ基を表す。nは1〜30の整数。) 具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0020】CH2 =CHCOO(CH2 )n−OCO
CH=CH2 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )n−OCOC
(CH3 )=CH2 CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )n−OCOCH
=CH2 nは上記一般式で表わされる化合物の平均値を意味す
る。すなわち、上記一般式で表わされる化合物はnに分
布を持った混合物からなる。
【0021】これらの化合物はインキ着肉性の点からn
は4〜30の整数であることが好ましく、8〜13が更
に好ましい。nが3以下の場合、親油性が不足し、イン
キ着肉性が不足する傾向にある。nが31以上である
と、重量あたりの不飽和基当量が不足し感光性が低下す
る。例えば、nが4,5,6,7,8,9,10,1
3,22等の化合物を用いることができる。
【0022】上記一般式(I)以外の本発明に好ましく
用いられる親油性のエチレン性不飽和化合物の具体例と
しては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレ
ート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタク
リレートなどが挙げられる。
【0023】これらの親油性のエチレン性不飽和化合物
は、単独または2種以上を適宜混合して使用することが
可能である。
【0024】また、インクジェットノズル内でのインク
の溶媒の蒸発を抑制し、染料などの凝集によるノズルの
目づまりを防止する目的で揮発防止剤を添加しても良
い。その他、熱重合禁止剤、光重合開始剤、着色剤、可
塑剤、界面活性剤、カップリング剤を添加することもで
きる。
【0025】本発明の感光性平版印刷版原版に用いられ
る親水性膨潤層は、親水性ポリマを主成分とする相およ
び疎水性ポリマを主成分とする相の少なくとも2相から
構成された相分離構造を有することが好ましい。光重合
性インク組成物は、光重合性化合物を十分に溶解させる
ために、溶媒の親水性・親油性のバランスが重要であ
り、また画像形成過程おいて画像の滲みを少なくする目
的から上記のように、親水性ポリマを主成分とする相お
よび疎水性ポリマを主成分とする相の少なくとも2相か
ら構成された相分離構造を有することが好ましい。
【0026】本発明の親水性膨潤層に用いられる親水性
ポリマについて説明する。
【0027】親水性ポリマとは、水に対して実質的に不
溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水溶性ポリマ(水に完
全溶解するものを意味する)、疑似水溶性ポリマ(両親
媒性を意味し、マクロには水に溶解するがミクロには非
溶解部分を含むものを意味する)、水膨潤性ポリマ(水
に膨潤するが溶解しないものを意味する)を意味する。
【0028】すなわち、通常の使用条件下で水を吸着ま
たは吸収するポリマを意味し、水に溶けるか或いは水に
膨潤するポリマを意味する。
【0029】本発明において親水性ポリマとしては公知
のものを使用することができ、動物系ポリマ、植物系ポ
リマ、合成系ポリマがある。例えば、「Functio
mnal Monomers」(Y.Nyquist
著、Dekker)、「水溶性高分子」(中村著、化学
工業社)、「水溶性高分子 水分散型樹脂の最新加工・
改質技術と用途開発 総合技術資料集」(経営開発セン
ター出版部)、「新・水溶性ポリマの応用と市場」(シ
ーエムシー)などに記載の水溶性ポリマが挙げられる。
具体例を以下に示す。
【0030】(A)天然高分子類。
【0031】デンプン−アクリロニトリル系グラフト重
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
【0032】(B)合成高分子類。
【0033】ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート系ポリマ、ポリ
(ビニルメチルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マ
レイン酸系共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト系架橋重合体、ポリ(N−ビニルカルボン酸アミ
ド)、N−ビニルカルボン酸アミド共重合体、など。
【0034】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0035】本発明に好ましく用いられる親水性ポリマ
の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらの例に限定
されるものではない。
【0036】(1)マレイン酸または無水マレイン酸、
マレイン酸アミドもしくはマレイン酸イミドなどのマレ
イン酸誘導体とエチレン、プロピレン、ブチレン、イソ
ブチレンまたはジイソブチレンなどの炭素数が2〜12
好ましくは炭素数2〜8の直鎖または分岐状のα−オレ
フィンとの共重合体と、アルカリ金属化合物、アルカリ
土類金属化合物、アンモニア、アミンとの反応物の架橋
体。
【0037】(2)マレイン酸またはその誘導体とスチ
レン、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステルまたはアクリロニトリ
ルなどのビニルまたはビニリデン化合物との共重合体
と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ア
ンモニア、アミンとの反応物の架橋体。
【0038】(3)アクリル酸またはメタクリル酸と前
記(2)のビニルまたはビニリデン化合物との共重合体
と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ア
ンモニア、アミンとの反応物の架橋体。
【0039】特公昭58−37027号公報などに開示
されているポリオキシアルキレン系の親水性ポリマ、特
開昭60−104106号公報などに開示されているポ
リビニルピロリドン、スルフォン酸基を親水性基とする
ポリスチレンスルフォン酸、アクリルアミドメチルプロ
パンスルフォン酸共重合体などの架橋体、特開昭60−
42416号公報などに開示されている水酸基、アミノ
基を有する親水性ポリマにポリイソシアネートを架橋さ
せて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0040】次に、本発明の親水性膨潤層中に好ましく
含有される疎水性ポリマを主成分とする相について説明
する。
【0041】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0042】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0043】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0044】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、スチレ
ン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アクリロニ
トリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、メタク
リル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略す)、
クロロプレン系などが挙げられる。
【0045】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0046】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
系化合物を含有するラテックスが挙げられる。
【0047】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0048】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または疑
似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に積
層形成される。
【0049】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0050】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0051】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、ポリアルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒド
ラジンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加
し、反応を促進することが行なわれる。
【0052】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、カルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0053】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。
【0054】次に本発明に言う親水性膨潤層の相分離構
造について説明する。
【0055】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反撥性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
【0056】該相分離構造を構成する親水性ポリマ相と
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
【0057】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される吸水量が特定の範囲である
ことが好ましい。
【0058】吸水量(g/m2 )=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2 ) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2 ) [吸水量の測定方法]測定しようとする平版印刷版の画
線部または非画線部を所定面積に裁断し、25℃の精製
水中に浸漬する。10分間浸漬した後、該印刷版の親水
性膨潤層表面および裏面に付着した余分の液体を「ハイ
ゼガーゼ」(コットン布:旭化成工業(株)製)にて素
速く拭き取り、該印刷版の膨潤重量WWET を秤量する。
その後、該印刷版を60℃のオーブンにて約30分間乾
燥し、乾燥重量WDRY を秤量する。
【0059】本発明の親水性膨潤層の吸水量は、インキ
反発性および形態保持性の観点から1〜50g/m2
あることが好ましく、1〜10g/m2 、さらに2〜7
g/m2 であることがさらに好ましい。
【0060】本発明の親水性膨潤層はゴム弾性を有する
ことが好ましい。すなわち、以下の方法により算出した
親水性膨潤層の初期弾性率が特定の範囲内にあることが
好ましい。
【0061】[初期弾性率の測定方法]測定しようとす
る平版印刷版の親水性膨潤層と同一組成の溶液をテフロ
ンシャーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥させる。
得られた乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用いて、長さ40
mm、幅1.95mm、厚み約0.2mmの短冊状のテ
ストピースに裁断する。溶液塗布後、刷版とするまでに
画線部および/または非画線部に処理を施す場合には、
テストピースにも同様の処理を施す。例えば、後述の作
成方法による場合には、画線部に対応した部分は、刷版
処理と同一条件で露光処理し、感光性化合物を反応させ
る。
【0062】このようにして得られたテストピースは、
測定前に25℃×50%RHの環境下にて24時間以上
放置し、調湿した後、厚みをマイクロゲージにて測定
し、下記の引張条件で初期弾性率を測定した。データ処
理は、JIS K6301に準じて行った。
【0063】引張速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰返し回数 4回 測定機 「RTM−100」((株)オリエン
テック製) 親水性膨潤層の初期弾性率は、0.01〜10kgf/
mm2 の範囲内にあることがインキ反発性および形態保
持性の観点から重要であり、0.01〜5kgf/mm
2 の範囲が好ましく、0.01〜2kgf/mm2 の範
囲がさらに好ましい。
【0064】初期弾性率が0.01kgf/mm2 未満
の場合は、親水性膨潤層の形態保持性が低下し、印刷の
耐久性が劣り、初期弾性率が10kgf/mm2 よりも
大きくなるとインキ反発性が極端に低下する。
【0065】一方、画線部(インキ着肉部分)の初期弾
性率は非画線部の親水性膨潤層の初期弾性率よりも大き
いことが必要で、有利に画像形成を行うためには2倍以
上、好ましくは3倍以上である。
【0066】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される水膨潤率が特定の範囲であ
ることが好ましい。
【0067】水膨潤率(%)=(ΘWET −ΘDRY )/Θ
DRY ×100 ΘDRY :乾燥状態における非画線部または画線部からな
る親水性膨潤層の厚み(μm) ΘWET :膨潤状態における非画線部または画線部からな
る親水性膨潤層の厚み(μm) [水膨潤率の測定方法(A)]測定しようとする平版印
刷版の画線部または非画線部を含む部位が断面となるよ
うに切削して切片を作製する。この切片を常温にて1昼
夜真空乾燥した後、光学顕微鏡にて当該部位の親水性膨
潤層厚さを観察し、これをΘDRY (μm)とする。
【0068】なお、光学顕微鏡観察は23℃、20%R
Hの環境下において手早く行った。
【0069】さらに、この平版印刷版切片に過剰の水滴
を載せ、親水性膨潤層が十分に水膨潤した状態で断面を
光学顕微鏡観察し、当該部位の親水性膨潤層厚さを読み
とり、これをΘWET (μm)とする。
【0070】[水膨潤率の測定方法(B)]測定しよう
とする平版印刷版の画線部または非画線部をOsO4
溶液の雰囲気下に1昼夜さらしてOsO4 により親水性
膨潤層を固定した後、所定の部位が断面となるようにミ
クロトームで切削して超薄切片を作製する。この切片を
透過型電子顕微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率
で当該部位の親水性膨潤層厚さを観察し、これをΘDRY
(μm)とする。
【0071】一方、測定しようとする平版印刷版をOs
4 水溶液に2〜3日浸漬し親水性膨潤層を水膨潤状態
で固化/固定する。所定の部位が断面となるようにミク
ロトームで切削して超薄切片を作製し、この切片を透過
型電子顕微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当
該部位の親水性膨潤層厚さを読みとり、これをΘ
WET(μm)とする。
【0072】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部の
水膨潤率は、インキ反発性および形態保持性の観点から
10〜2000%であることが好ましく、50〜170
0%、さらに50〜700%の範囲であることがより好
ましい。非画線部の水膨潤率が10%未満になると、イ
ンキ反発性が低下し、また塗工時にピンホールなどの欠
陥が生じ易くなる。一方、非画線部の水膨潤率が200
0%よりも大きくなると、形態保持性が大きく低下し、
印刷時に損傷を受け易くなる。
【0073】次に本発明の保護層について説明する。
【0074】本発明の平版印刷版の親水性膨潤層の表面
には、該親水性膨潤層を保護する目的で適当な保護層を
コーティングにより該親水性膨潤層上に形成したり、保
護フィルムをラミネートすることが行なわれる。
【0075】コーティングなどの方法により保護層を形
成する材料としては、例えば、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウ
ム塩のようなセルロース類およびポリエチレンオキサイ
ドなどが挙げられる。これらの材料を2種以上用いても
良い。
【0076】保護フィルムの具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタ
レート、セロファンなどが挙げられる。
【0077】また、特に保護層を設けずに、光重合性化
合物が感光可能な波長領域の波長を有する活性光線を透
過させ、かつ酸素を遮断するフイルム形成性の材料を光
重合性インキ組成物中に溶解させておき、画像形成時に
保護層として作用させることも可能である。例えば、以
下に示す材料の内の1種または2種以上を組合せて用い
ることができる。
【0078】ポリビニルアルコールおよびその誘導体、
ポリビニルエーテル、ヒドロキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、水溶性アルキド樹脂、ポリエチレンオキサイド、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびそのナト
リウム塩、アルギン酸ナトリウム、プルラン、水溶性ナ
イロン、マレイン酸共重合体、セロハン、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、など。
【0079】本発明の活性光線照射工程で用いられる光
源としては、例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キ
セノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯などが挙げられ
る。
【0080】本発明に用いられる平版印刷版の基板とし
ては、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印
刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外
には一切制限を受けない。
【0081】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0082】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0083】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0084】本発明のインクジェット方式について説明
する。
【0085】本発明に使用可能なインクジェット方式は
任意であり、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐
出させるいわゆる電界制御方式、ピエゾ素子の振動圧力
を利用してインクを吐出させるいわゆるドロップオンデ
マンド方式(圧力パルス方式)、高熱によって気泡を形
成、成長させることにより生じる圧力を利用してインク
を吐出させるいわゆるサーマルインクジェット方式など
の、各種の方式を用いることができる。
【0086】本発明の画像形成方法について説明する。
【0087】光重合性インク組成物により形成された画
線部に活性光線が照射されると、エチレン性不飽和化合
物などの光重合性化合物が光架橋し、親水性膨潤層内に
固定される。
【0088】印刷においては、光架橋/固定化された部
分は親水性膨潤層が湿し水と接触した際、光架橋された
親油性成分が親水性膨潤層の水膨潤性を阻害し、また架
橋密度の増加によってゴム弾性を減ずるため、インキ着
肉性の画線部となる。一方、光重合性インキ組成物を吹
き付けられなかった非画線部は、親水性膨潤層が水と接
触した際、大きく水膨潤することが可能である。画線部
と非画線部のこのような水膨潤性の差により、印刷イン
キの着肉および反発の差異が生じ、平版印刷版として機
能することができる。
【0089】以上のように本発明の平版印刷版は、光重
合性インク組成物中に含有させた親油性のエチレン性不
飽和化合物などの光重合性化合物の光反応によって、イ
ンキ反撥性の親水性膨潤層が有するゴム弾性や水膨潤性
を変化させて親油性の画線部を形成することによって画
像形成するものである。
【0090】次に本発明の平版印刷版から作製された刷
版を用いた印刷方法について説明する。
【0091】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0092】本発明の感光性平版印刷版原版を画像形成
したのち、これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面
には接触するインキ着けローラーからインキが供給され
る。
【0093】該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0094】本発明の感光性平版印刷版原版から得られ
た刷版で印刷する際に使用される湿し水は、水ありPS
版で使用されるエッチ液を用いることはもちろん可能で
あるが、添加物を一切含有しない純水を使用することが
できる。
【0095】本発明の感光性平版印刷版を用いて印刷す
る際には添加物を一切有さない純水を使用することが好
ましい。
【0096】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
【0097】実施例1〜2 厚さ0.125mmのポリエチレンテレフタレートフイル
ム(東レ(株)製)を基板として、フイルム上に以下の
組成物を塗布したのち、160℃×60分間熱処理して
3g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0098】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)親水性ポリマ 18重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 10重量部 (3)水性ラテックス「JSR0596」 72重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:日本合成ゴム (株)製] (4)精製水 900重量部 [親水性ポリマの合成例]酢酸ビニル60gとアクリル
酸メチル40gに重合開始剤としてベンゾイルパーオキ
シド0.5gを加えたものを、これに分散安定剤として
部分ケン化ポリビニルアルコール3gとNaCl10g
を含む水300ml中に分散させた。
【0099】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。
【0100】また30℃におけるベンゼン溶液中での極
限粘度は2.10であった。
【0101】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5gのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0102】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%で
あり、赤外吸収スペクトルの測定の結果、1570cm
-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認された。
【0103】上記の様にして塗設した親水性膨潤層上
に、表1に示した重合性モノマを用い、以下のような組
成の光重合性インク組成物を調製し、インクジェットプ
リンタXJ−500(富士通(株)製)にて画線部を形
成した。
【0104】 <光重合性インキ組成物(重量部)> (1)表1に示したモノマ 20重量部 (2)ミヒラー氏ケトン 2重量部 (3)2,4−ジエチルチオキサントン 2重量部 (4)エチレングリコール 20重量部 (5)「アイソパーE」(イソパラフィン系炭化水素:エッソ化学(株)製) 256重量部 次に、約50℃の温風を吹き付けた後、厚さ12ミクロ
ンの片面マット化二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマ
ット化されていない面が該親水性膨潤層と接するように
してラミネートした。さらに、メタルハライドランプを
照射して、画線部を硬化させて刷版とした。
【0105】実施例1で得られた刷版のインキ反撥部分
に対応した親水性膨潤層を水膨潤させたのち、OsO4
染色し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察した。観察の
結果、親水性膨潤層が、親水性ポリマを主成分とする相
および疎水性ポリマを主成分とする相から構成された相
分離構造を有することが確認された。また、画線部にお
いては、露光により光重合した親油性モノマが固定さ
れ、水膨潤を阻害していることが確認された。
【0106】
【表1】 得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機「スプリント2
5:小森コーポレーション(株)製」に装着したのち、
湿し水として市販の精製水を供給しながら上質紙(62.5
kg/菊)を用いて印刷した。2万枚の印刷を行った時点
で、印刷耐久性の指標として、インキ反撥性およびイン
キ着肉性を評価した。インキ反撥性は、白地部の汚れ具
合を目視観察して評価した。インキ着肉性は版面の網点
の形状を光学顕微鏡観察し、100個の網点について、
各網点の網点径の最大値と最小値を測定し、その分布の
幅を求めた。画線部および非画線部の吸水量、水膨潤率
は定義に従って測定した。
【0107】実施例3 親水性ポリマとして両末端ブロックイソシアネート化ポ
リオキシエチレン#20000を選び以下のような親水
性膨潤層を塗布したのち、160℃×60分間熱処理し
て2g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0108】 <親水性膨潤層組成物(重量部)> (1)親水性ポリマ 100重量部 (2)エチレングリコールジグリシジルエーテル 25重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (4)精製水 873重量部 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、表1に示し
た重合性モノマを用い、以下のような組成の光重合性イ
ンク組成物をインクジェットプリンタBJC−400J
(キヤノン(株)製)にて画像形成した。
【0109】 <光重合性インキ組成物(重量部)> (1)表1に示したモノマ 20重量 部 (2)ポリビニルアルコール(重合度500、ケン化度98.5%) 6重量部 (3)ミヒラー氏ケトン 2重量部 (4)2,4−ジエチルチオキサントン 2重量部 (5)エチレングリコール 3重量 部 (6)エタノール 227重量 部 (7)精製水 40重量 部 次に、メタルハライドランプを照射して、画線部を硬化
させて刷版とした。
【0110】評価方法は実施例1と同様にして行った。
【0111】比較例1 親水性ポリマーとしてヒドロキシメチルセルロースを用
いたこと以外は実施例3と同様にして印刷版の作製およ
び評価を行った。なお、インキ着肉性については版面全
体にインキ汚れが発生していたため、インキを拭き取っ
てから版面の画線部の観察を行った。
【0112】評価結果をまとめて表2に示す。
【0113】
【表2】 表2から、印刷枚数が増加するにしたがって画線部であ
る網点が損傷を受けて次第に網点径が小さくなっていく
様子が分かる。また、網点の形状については、インクジ
ェットで吹きつけたときの滲みのため、実施例1に比べ
て実施例3の初期の網点の分布幅がやや大きくなってい
た。
【0114】実施例4 実施例1に用いた平版印刷版と通常のPS版(FNS;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら実施例1と同様にして印刷を行っ
た。
【0115】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0116】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。評価結果を表3
に示す。
【0117】
【表3】
【0118】
【発明の効果】本発明の平版印刷版は、不感脂化処理を
行うことなく高いインキ反発性を有し、湿し水のコント
ロール幅が広く、湿し水として純水を使用することので
きる印刷耐久性に優れた直描型の平版印刷版を得ること
ができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なとも親水性膨潤層を備えた平
    版印刷版において、光重合性インク組成物を用いてイン
    クジェット方式により親水性膨潤層上に画線部を形成し
    た後、活性光線を印刷版に照射してインク組成物を硬化
    させることにより画線部を形成することを特徴とする直
    描型平版印刷版の画像形成方法。
  2. 【請求項2】該インク組成物が親油性のエチレン性不飽
    和化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の平
    版印刷版の画像形成方法。
  3. 【請求項3】インクジェット方式により親水性膨潤層上
    に画線部を形成した後、活性光線を露光するまでの間
    に、平版印刷版上に保護層を形成する工程を有すること
    を特徴とする請求項1記載の平版印刷版の画像形成方
    法。
  4. 【請求項4】親水性膨潤層からなる非画線部の吸水量が
    1〜50g/m2 であり、かつ画線部の吸水量が該非画
    線部の吸水量未満であることを特徴とする請求項1記載
    の平版印刷版の画像形成方法。
  5. 【請求項5】親水性膨潤層からなる非画線部の水膨潤率
    が10〜2000%であり、かつ画線部の水膨潤率が該
    非画線部の水膨潤率未満であることを特徴とする請求項
    1記載の平版印刷版の画像形成方法。
  6. 【請求項6】親水性膨潤層が親水性ポリマを主成分とす
    る相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なくとも
    2相から構成された相分離構造を有することを特徴とす
    る請求項1記載の平版印刷版の画像形成方法。
  7. 【請求項7】活性光線を照射することにより、画線部と
    非画線部の水膨潤率の差を生ぜしめることを特徴とする
    請求項1記載の平版印刷版の画像形成方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7記載の画像形成方法により画
    像形成可能な平版印刷版原版。
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