JPH10305669A - 平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版

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Publication number
JPH10305669A
JPH10305669A JP11825297A JP11825297A JPH10305669A JP H10305669 A JPH10305669 A JP H10305669A JP 11825297 A JP11825297 A JP 11825297A JP 11825297 A JP11825297 A JP 11825297A JP H10305669 A JPH10305669 A JP H10305669A
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JP
Japan
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fine particles
hydrophilic
water
swelling layer
printing plate
Prior art date
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Pending
Application number
JP11825297A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Kazuoki Goto
一起 後藤
Koichi Fujimaru
浩一 藤丸
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】インキ反発性に優れ、湿し水許容幅が広く、イ
ンキ着肉性の高い、さらに印刷耐久性に優れた平版印刷
版。 【解決手段】親水性膨潤層を備えた平版印刷版であっ
て、親水性膨潤層が特定の微粒子を含有する平版印刷
版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版に関する
ものであり、不感脂化処理を行うことなく高いインキ反
発性を有し、湿し水のコントロール幅が広く、湿し水の
IPAレス化が可能な新規な感光性平版印刷版に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷に供する版としては、親水化処
理されたアルミニウム基板上に親油性の感光層を塗布
し、フォトリソグラフィの技術により画線部には感光層
が残存し、一方非画線部は上記のアルミニウム基板表面
が露出し、表面に湿し水層を形成してインキを反発する
ことを利用して、インキ画像を形成する水ありPS版
と、湿し水の代わりにシリコーンゴム層をインキ反発層
として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版が知ら
れている。
【0003】水ありPS版は実用上優れた印刷版で、支
持体に通常砂目立てされたアルミニウムが用いられ、さ
らに必要に応じてこの砂目の表面を陽極酸化するなどの
処理が施され、湿し水の保水性の向上と感光層に対する
接着性が補強されている。また、感光層の保存安定性を
得るためにアルミニウム表面はフッ化ジルコニウム、ケ
イ酸ナトリウムなどの化学処理が施される場合が一般的
である。
【0004】水ありPS版はその優れた印刷特性(耐刷
性、画像再現性など)から広く使用されているが、その
一方で、水ありPS版はこのように製造工程が複雑であ
り、その簡略化が望まれている。
【0005】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有し、
電子写真技術を用いて画像形成し、非画像部をエッチ液
などで不感脂化処理して画像受理層をインキ反発層に変
換させて使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供さ
れている。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バイン
ダポリマ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を
設けたものが一般的で、USP2532865号公報、
特公昭40−23581号公報、特開昭48−9802
号公報、特開昭57−205196号公報、特開昭60
−2309号公報、特開昭57−1791号公報、特開
昭57−15998号公報、特開昭57−96900号
公報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−
166590号公報、特開昭63−166591号公
報、特開昭63−317388号公報、特開平1−11
4488号公報、特開平4−367868号公報などが
挙げられる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反
撥層に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリ
ビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、
スチレン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処
理する以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよ
びアクリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シ
リカ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミ
ン・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構
成されているものが提案されている。このような直描型
平版印刷原版は、いずれも画像受理層をインキ反発層に
変換するために、不感脂化処理が必須であり、処理なし
ではインキ反発性をほとんど示さなかったり、また印刷
時に湿し水として特殊な薬剤を使用する必要があった。
【0006】また、水ありPS版は印刷に際して湿し水
の量を常時コントロールする必要があり、適正な湿し水
量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0007】一方、特開平8−282142号公報、特
開平8−282144号公報、特開平8−292558
号公報には、親水性膨潤層を備えたインキ反発性の良好
な平版印刷版が開示されているが、さらに優れたインキ
反発性、湿し水許容幅、インキ着肉性を有する平版印刷
版用素材が求められている。
【0008】さらに、特開平5−19460号公報に
は、コロイド状シリカ、二酸化チタンなどの微粒子を親
水性層に添加した平版印刷版が開示されている。これは
主成分である微粒子をポリビニルアルコールのようなバ
インダー樹脂や架橋剤で固めた親水性層から構成されて
おり、親水性層の表面の凹凸状の粗い組織により湿し水
を貯留させ、ポリビニルアルコールの保水力を補ってい
る類の平版印刷版であった。そのため、親水性層自体が
硬く、実質的に水膨潤性がない結果、インキ反発性、湿
し水許容幅は必ずしも良好でなく、印刷耐久性の点でも
劣っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、不感脂
化処理を行うことなく高いインキ反発性を有し、湿し水
の許容幅が広く、湿し水のIPAレス化が可能な新規な
平版印刷版原版であって、インキ反発性にいっそう優
れ、印刷耐久性の高い平版印刷版原版について鋭意検討
した結果、親水性膨潤層に特定の微粒子を導入すること
により所期の目的が実現できることを見出し、本発明に
到達した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成を有
する。
【0011】(1)基板上に少なくとも親水性膨潤層を
備えた平版印刷版において、親水性膨潤層が表面親水化
処理を施した微粒子を含有することを特徴とする平版印
刷版。
【0012】(2)微粒子が無機微粒子であることを特
徴とする(1)記載の平版印刷版。
【0013】(3)微粒子が有機微粒子であることを特
徴とする(1)記載の平版印刷版。
【0014】(4)親水性膨潤層の固形分100重量部
に対して、平均一次粒子径が0.005〜5μmの微粒
子を5〜60重量部含有することを特徴とする(1)記
載の平版印刷版。
【0015】(5)平均一次粒子径が0.007〜0.
1μmの無機微粒子と平均一次粒子径が0.1〜1μm
の有機微粒子を併用することを特徴とする(1)記載の
平版印刷版。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の親水性膨潤層は、表面親
水化処理を施した微粒子を含有することを特徴とする。
【0017】本発明において、親水性膨潤層が特定の微
粒子を含有することにより、インキ反発性により優れ、
湿し水許容幅がより広くなるだけでなく、画線部の着肉
性もより高くなる、などの効果が得られる理由は必ずし
も明確ではないが、印刷時に湿し水が供給された親水性
膨潤層が親水性膨潤層全体としては大きく膨潤するが、
詳細に見ると親水性膨潤層内に実質的に膨潤しない部分
が存在することが重要であると考える。このような実質
的に膨潤しない部分の大きさが適度な大きさであること
が上記のインキ反発性、湿し水許容幅、インキ着肉性に
対する効果の発現に寄与する共に、水膨潤する部分と微
粒子の界面の濡れ、接着が良好であることが印刷耐久性
の面から重要であると推察される。
【0018】本発明の微粒子とは、無機微粒子、有機微
粒子、無機・有機複合微粒子を指す。
【0019】有機微粒子としては、乳化重合法、ソープ
フリ重合法、非水分散重合法などの湿式重合法、気相法
等により造粒した微粒子を、それ自体または粉砕または
粉砕・分級して製造された微粒子であって、具体的には
アクリル樹脂微粒子、ポリメタクリル酸メチル樹脂微粒
子、フッ素樹脂微粒子、フッ化ビニリデン樹脂微粒子、
ベンゾグアナミン樹脂微粒子、シリコーン樹脂、エポキ
シ樹脂、ナイロン6樹脂またはナイロン66樹脂、ナイ
ロン11、ナイロン12、ポリスチレン樹脂、フェノー
ル樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチ
レン樹脂、セルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹
脂を挙げることができる。また、カーボンブラックも用
いることができる。
【0020】無機微粒子としては、シリカ、珪酸アルミ
ニウム、アナターゼ型酸化チタンまたはルチル型酸化チ
タンなどの酸化チタン類、アルミナ(酸化アルミニウ
ム)、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、チタン酸バ
リウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウ
ム、タルク、クレー、ワラストナイト、カオリン、マイ
カ、セラミックビーズ、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウ
ム、炭化珪素、炭化ホウ素、ダイアモンドカーボランダ
ムなどの炭化物、窒化ホウ素などの窒化物、などを挙げ
ることができる。
【0021】また、上記の有機微粒子と無機微粒子から
なる複合微粒子も好ましく用いられる。複合微粒子を調
製する方法としては、機械的エネルギーを与える方法が
好ましく、芯粒子と微粒子の混合物に摩砕力を加える方
法、高速気流中に混合物を投入し粒子を加速させて混合
物に衝撃力を与える方法などがある。具体的な装置とし
ては、メカノフュージョン(ホソカワミクロン
(株))、I式ミル(日本ニューマチック工業
(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ハイブリ
タイザー(奈良機械製作所)、コスモマイザー(奈良機
械製作所)などを挙げることができる。
【0022】本発明に用いられる微粒子の平均一次粒子
径としては、0.005〜5μmが好ましく、0.00
7〜1μmがさらに好ましい。平均一次粒子径が5μm
よりも大きいと、インキ反発性の向上、湿し水許容幅の
拡大に効果が見られないだけでなく、画像形成時に微少
な網点を再現することが難しく、解像度の低下を招く。
さらに、水膨潤する部分と微粒子の界面の濡れ・接着が
不十分であるためか版面の耐擦り強度が低下し、印刷耐
久性が大きく低下する。一方、平均一次粒子径が0.0
05μmよりも小さいと、水膨潤しない部分の大きさが
小さすぎるためか、インキ反発性の向上、湿し水許容幅
の拡大、インキ着肉性の向上の効果が見られなくなる。
【0023】本発明に用いられる微粒子の含有量は、親
水性膨潤層の固形分100重量部に対して、5〜60重
量部であることが好ましい。微粒子の含有量が5重量部
よりも少ない場合には、水膨潤しない部分の領域が少な
すぎるためか、インキ反発性の向上、湿し水許容幅の拡
大、インキ着肉性の向上の効果が見られなくなる。微粒
子の含有量が60重量部よりも多いと、親水性膨潤層の
水膨潤率が低下して、親水性膨潤層本来の高いインキ反
発性、広い湿し水許容幅、といった性質が発現しなくな
る。
【0024】本発明の親水性膨潤層は湿し水を層内に包
含することによって、層が膨潤し、親水性膨潤層自体が
ゴム弾性の性質を有している。したがって、親水性膨潤
層はインキ反発層として機能するだけではなく、版面上
のインキを被印刷体に転移させるにあたっては、クッシ
ョンの役割を果たすために高い画質の印刷物を得ること
ができると考えられる。加えて、親水性膨潤層のゴム弾
性は親水性膨潤層内に包含している水の量により変化す
る点も重要であると推察される。すなわち、版面に湿し
水を供給し親水性膨潤層を湿潤させ版面に油性インキを
着肉させ、版のインキ付着面を被印刷体に圧着し、油性
インキを被印刷体に転移させるというサイクルにおい
て、湿し水が供給され、親水性膨潤層がもっとも膨潤し
たときにゴム弾性が大きく、版面が被印刷体に圧着され
て親水性膨潤層から水が押し出された時には親水性膨潤
層が包含する水の量は少なくなりゴム弾性は低下する。
被印刷体に圧着する初期においてはソフトに、圧着の後
半においては比較的しっかりと版面が被印刷体に接する
点が画質に強く影響すると考えられる。親水性膨潤層へ
特定の微粒子を添加することにより、より湿し水供給量
の多い場合であっても水負けすることなく刷り濃度の高
いインキ画像を得ることができるという効果が得られて
いる。
【0025】本発明の微粒子の親水化処理とは、水また
は水に対して任意の割合で混和が可能な有機溶媒に対し
て、微粒子が時間の経過に関わらず沈降せず、一次粒子
または一次粒子に近い状態で分散され、保持されること
を意味する。
【0026】具体的な微粒子の親水化処理方法として
は、(1)微粒子表面に親水性基(水酸基、カルボキシ
ル基、アミノ基など)を持たせる方法、(2)水または
水に対して任意の割合で混和が可能な有機溶媒に湿潤分
散剤を加え、溶媒に対して微粒子表面が濡らした後、バ
インダーポリマーを加えて微粒子表面をバインダーポリ
マーに分散させる方法、(3)湿潤分散効果のある化学
構造を有するポリマーをバインダーポリマーとして用い
る方法、(4)微粒子表面の官能基を、バインダーポリ
マーまたはバインダーポリマーと反応可能な架橋剤と反
応させて、微粒子とバインダーポリマーとの間に化学結
合を持たせる方法、などが挙げられる。
【0027】(1)〜(4)の方法は、単独で用いるこ
とも2つ以上の方法を併用することもできる。
【0028】本発明において好ましく用いられる湿潤分
散剤としては、ジアルキルスルホコハク酸ソーダ、フッ
素系界面活性剤や低分子量界面活性剤などの界面活性
剤、ポリリン酸塩などの無機塩、ナフタレンスルホン酸
塩のホルマリン縮合物、またはポリスチレンスルホン酸
塩、またはポリアクリル酸塩、またはビニル系モノマー
とカルボン酸系モノマーとの共重合体の塩、またはカル
ボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコール
などの高分子型分散剤、を挙げることができる。
【0029】これらの内、高分子型分散剤それ自体を親
水性膨潤層を構成する親水性ポリマーとして用いること
も好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸ユニット
または(メタ)アクリル酸塩ユニット、および/または
ビニルアルコールユニットを構成単位とするバインダー
ポリマーが特に好ましい。このような湿潤分散効果のあ
る化学構造を有するポリマーをバインダーポリマーとし
て用いる場合には、予め少量のバインダーポリマー溶液
または水溶液で微粒子表面を処理してから、残りのバイ
ンダーポリマーを添加・混合しても良いし、最初からバ
インダーポリマー溶液または水溶液と微粒子を混合・攪
拌しても良い。
【0030】さらに、バインダーポリマーまたはバイン
ダポリマーと架橋可能な架橋剤が水酸基、カルボキシル
基、アルデヒド基、イソシアネート基、エポキシ基など
の反応性の官能基を有し、微粒子表面の官能基との間で
化学結合を通じて結合することによって、分散および分
散安定化する方法も好ましく用いられる。
【0031】このような親水化処理を施すにあたり、強
い攪拌、震蕩が必要な場合には次のような機器を用いる
ことが好ましい。例えば、ボールミル、ホモジナイザ
ー、スーパーミル、三本ロール、二軸ミキサー、ミキシ
ングロール、プラネタリミキサー、ニーダー、アトライ
ター、ユニバーサルミル、など。
【0032】また、微粒子の親水化処理として、親水化
処理剤の溶液または水溶液を霧状にし、その雰囲気中を
微粒子を通過させて、微粒子表面に均一に親水化処理剤
を添着または反応させる、いわゆるスプレードライヤー
方式も好ましいく用いられる。
【0033】本発明において、無機微粒子、有機微粒
子、無機−有機複合微粒子は、これを単独で用いても良
いし、異なる種類、粒子径の微粒子を2種以上併用して
用いても良い。とりわけ、平均一次粒子径が0.007
〜0.1μmの無機微粒子と平均一次粒子径が0.1〜
1μmの有機微粒子を併用することが好ましい。このよ
うな併用が好ましい理由は必ずしも明確でないが、上記
の親水化処理にも関わらず完全な一次粒子としての微粒
子の分散は難しく、特に無機微粒子はチェーン状に微粒
子が繋がった二次構造を取り易く、したがって小さな平
均一次粒子径のものが好ましい。一方、有機微粒子は比
較的一次分散が容易であり、大きな粒子であっても凝集
が見られにくい。両者を併用して用いることにより、親
水性膨潤層内の水膨潤しない部分が小さなものから大き
なものまでバランスよく存在して、インキ反発性向上、
湿し水の許容幅の拡大、インキ着肉性の向上に特に効果
的であると考えている。
【0034】本発明において親水性化処理を施した微粒
子は、以下の方法により得られる疎水化度の数値が実質
的に0であることが好ましい。
【0035】[疎水化度の測定]200mlのビーカー
に純水50mlを入れ、0.2gの微粒子を添加する。
そして、マグネティックスターラーで水面が陥没しない
程度に緩やかに攪拌しつつ、滴下時に先端が水中に浸漬
されたビュレットからメタノールを加え、浮かんでいる
微粒子が沈み始める時の滴下メタノールのml数を疎水
化度とする。メタノールは、この場合、界面活性作用を
有し、メタノールの滴下に伴って浮いているシリカがメ
タノールを介して水中に分散する(即ち沈み始める)の
で、疎水化度の大きい(メタノールの滴下量が多い)程
にシリカの疎水性が大きいことを意味する。
【0036】本発明の平版印刷版の非画線部は、親水性
膨潤層からなることを特徴とする。
【0037】かかる親水性膨潤層について説明する。
【0038】本発明にいう親水性とは、水に対して実質
的に不溶でかつ水膨潤性を示す性質を意味し、公知の親
水性ポリマを基板上に塗布または転写などにより積層
し、公知の方法を用いて架橋または疑似架橋し、水に不
溶化せしめて水膨潤性とした親水性膨潤層が用いられ
る。
【0039】ここでいう親水性ポリマとは、公知の水溶
性ポリマ(水に完全溶解するものを意味する)、疑似水
溶性ポリマ(両親媒性を意味し、マクロには水に溶解す
るがミクロには非溶解部分を含むものを意味する)、水
膨潤性ポリマ(水に膨潤するが溶解しないものを意味す
る)を意味する。すなわち、通常の使用条件下で水を吸
着または吸収するポリマを意味し、水に溶けるか或いは
水に膨潤するポリマを意味する。
【0040】本発明において親水性ポリマとしては公知
のものを使用することができ、動物系ポリマ、植物系ポ
リマ、合成系ポリマがある。例えば「Function
alMonomers」(Y.Nyquist著、De
kker)、「水溶性高分子」(中村著、化学工業
社)、「水溶性高分子 水分散型樹脂の最新加工・改質
技術と用途開発 総合技術資料集」(経営開発センター
出版部)、 「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(シ
ーエムシー)などに記載の親水性ポリマが挙げられる。
具体例を下記に挙げる。
【0041】(A)天然高分子類 デンプン−アクリロニトリル系グラフト重合体加水分解
物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合体、デンプン
−スチレンスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−
ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−アク
リルアミド系グラフト重合体、カルボキシル化メチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサント
ゲン酸セルロース、セルロース−アクリロニトリル系グ
ラフト重合体、セルロース−スチレンスルフォン酸系グ
ラフト重合体、カルボキシメチルセルロース系架橋体、
ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、ミルクカゼイ
ン、酸カゼイン、レンネットカゼイン、アンモニアカゼ
イン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼイン、グルー、ゼラ
チン、グルテン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アルギン酸
アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリ
ウムアラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガム、グ
アールガム、ロカストビーンガム、アイリッシュモス、
大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、カルボキシル化澱
粉、寒天、デキストリン、マンナンなど。
【0042】(B)合成高分子類 ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキサイド)、水
性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ポリアクリル酸
アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタク
リル酸アンモニウム、N−ビニルカルボン酸系ボリマ、
アクリル酸系コポリマ、アクリルエマルジョンコポリ
マ、ポリビニルアルコール系架橋重合体、ポリアクリル
酸ナトリウム系架橋体、ポリアクリロニトリリル系重合
体ケン化物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート系
ポリマ(以下の説明で(メタ)□□□□とあるのは、□
□□□またはメタ□□□□を略したものである。)、ポ
リ(ビニルメチルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水
マレイン酸系共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋
重合体、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート系架橋重合体など。
【0043】なお、上記の親水性化合物には発明の効果
が変化しない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制
御する目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を含
むことが可能である。
【0044】次に親水性ポリマの架橋方法について説明
する。
【0045】親水性膨潤層は上記の親水性ポリマの少な
くとも1種以上を必要に応じて架橋または疑似架橋し、
水に不溶化せしめることによって基板上に積層形成され
る。通常、架橋反応は、親水性ポリマの有する反応性官
能基を利用して三次元架橋反応することにより行なわれ
る。
【0046】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0047】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物などが挙げ
られ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、反応を促進す
ることが行なわれる。
【0048】これらの親水性ポリマは、該親水性膨潤層
の形態保持や水膨潤性の調整などの目的から単体または
2種以上の混合物として用いることが可能であり、非親
水性ポリマをブレンドすることも可能である。
【0049】該親水性膨潤層は、塗設時または塗設後に
熱処理などを加え、様々の熱履歴を与えてもよい。この
場合、親水性膨潤層の構成成分が同一であっても、その
熱履歴により吸水量や吸水率などの水膨潤性が変化する
こともある。
【0050】また、下層との接着性向上などの目的か
ら、公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合
物、触媒などを添加したり中間層として設けることも可
能である。
【0051】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される吸水量が特定の範囲である
ことが好ましい。
【0052】吸水量(g/m2)=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2) [吸水量の測定方法]測定しようとする平版印刷版の非
画線部を所定面積に裁断し、25℃の精製水中に浸漬す
る。10分間浸漬した後、該印刷版の親水性膨潤層表面
および裏面に付着した余分の液体を「ハイゼガーゼ」
(コットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取
り、該印刷版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、該
印刷版を60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥
重量WDRY を秤量する。
【0053】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部の
吸水量は、インキ反発性および形態保持性の観点から1
〜50g/m2であることが好ましく、1〜10g/m
2 、さらに2〜7g/m2であることがさらに好まし
い。
【0054】また、本発明の親水性膨潤層は以下の定義
に従って測定した吸水率の値が特定の範囲にあることが
好ましい。
【0055】吸水率(%)=吸水量(g/m2)/親水
性膨潤層厚さ(g/m2)×100 ここにおいて、親水性膨潤層厚さは、基板上に塗設され
た乾燥させた平版印刷版の非画線部に相当する部分の親
水性膨潤層の塗布層を剥離し、重量法によって測定した
値を意味する。親水性膨潤層厚さは下記式にしたがって
測定した。
【0056】 親水性膨潤層厚さ(g/m2)=(W−W0)/α W :平版印刷版の非画線部のみから形成された部分を
裁断したものの乾燥重量(g) W0:上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α :平版印刷版の測定面積(m2) [親水性膨潤層厚さの測定方法]測定しようとする平版
印刷版の非画線部のみから形成された部分を所定面積α
に裁断した後、60℃のオーブンにて約30分間乾燥
し、乾燥重量Wを秤量する。その後、平版印刷版を精製
水に浸漬し、親水性膨潤層を膨潤させ、スクレーパーな
どを用いて該膨潤層を剥離脱落させる。親水性膨潤層を
剥離脱落させた平版印刷版を再度60℃のオーブンにて
約30分間乾燥し、乾燥重量W0を秤量する。
【0057】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部
(インキ反発部分)の吸水率は、インキ反発性および形
態保持性の観点から10〜2000%であることが好ま
しく、50〜1700%、さらに50〜700%の範囲
であることがより好ましい。吸水率が10%未満になる
と非画線部のインキ反発性が低下し、一方非画線部の吸
水率が2000%を越える場合には該非画線部の形態保
持性が低いため印刷時に該非画線部が損傷を受け易くな
る。
【0058】本発明の親水性膨潤層はゴム弾性を有する
ことが好ましい。すなわち、以下の方法により算出した
親水性膨潤層の初期弾性率が特定の範囲内にあることが
好ましい。
【0059】[初期弾性率の測定方法]平版印刷版の非
画線部に対応した部分と同一組成の溶液をテフロンシャ
ーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥させる。得られ
た乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用いて、長さ40mm、
幅1.95mm、厚み約0.2mmの短冊状のテストピ
ースに裁断する。
【0060】得られたテストピースは、測定前に25℃
×50%RHの環境下にて24時間以上放置し、調湿し
た後、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張条
件で初期弾性率を測定した。データ処理は、JIS K
6301に準じて行った。
【0061】引張速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰返し回数 4回 測定機 「RTM−100」((株)オリエンテッ
ク製) 親水性膨潤層の初期弾性率は、0.01〜10kgf/
mm2の範囲内にあることがインキ反発性および形態保
持性の観点から重要であり、0.01〜5kgf/mm
2の範囲が好ましく、0.01〜2kgf/mm2の範囲
がさらに好ましい。初期弾性率が0.01kgf/mm
2未満の場合は、親水性膨潤層の形態保持性が低下し、
印刷の耐久性が劣り、初期弾性率が10kgf/mm2
よりも大きくなるとインキ反発性が極端に低下する。
【0062】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される水膨潤率が特定の範囲であ
ることが好ましい。
【0063】 水膨潤率(%)=(ΘWET−ΘDRY)/ΘDRY ×100 ΘDRY :乾燥状態における非画線部または画線部からな
る親水性膨潤層の厚み(μm) ΘWET :膨潤状態における非画線部または画線部からな
る親水性膨潤層の厚み(μm) [水膨潤率の測定方法(A)]測定しようとする平版印
刷版の非画線部を含む部位が断面となるように切削して
切片を作製する。この切片を常温にて1昼夜真空乾燥し
た後、光学顕微鏡にて当該部位の親水性膨潤層厚さを観
察し、これをΘDRY(μm)とする。なお、光学顕微鏡
観察は23℃、20%RHの環境下において手早く行っ
た。
【0064】さらに、この平版印刷版切片に過剰の水滴
を載せ、親水性膨潤層が十分に水膨潤した状態で断面を
光学顕微鏡観察し、当該部位の親水性膨潤層厚さを読み
とり、これをΘWET(μm)とする。
【0065】[水膨潤率の測定方法(B)]測定しよう
とする平版印刷版の非画線部をOsO4水溶液の雰囲気
下に1昼夜さらしてOsO4により親水性膨潤層を固定
した後、所定の部位が断面となるようにミクロトームで
切削して超薄切片を作製する。この切片を透過型電子顕
微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当該部位の
親水性膨潤層厚さを観察し、これをΘDRY(μm)とす
る。
【0066】一方、測定しようとする平版印刷版をOs
4水溶液に2〜3日浸漬し親水性膨潤層を水膨潤状態
で固化/固定する。所定の部位が断面となるようにミク
ロトームで切削して超薄切片を作製し、この切片を透過
型電子顕微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当
該部位の親水性膨潤層厚さを読みとり、これをΘ
WET(μm)とする。
【0067】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部
(インキ反発部分)の水膨潤率は、インキ反発性および
形態保持性の観点から10〜2000%であることが好
ましく、50〜1700%、さらに50〜700%の範
囲であることがより好ましい。水膨潤率が10%未満に
なると非画線部のインキ反発性が低下し、一方非画線部
の水膨潤率が2000%を越える場合には該非画線部の
形態保持性が低いため印刷時に該非画線部が損傷を受け
易くなる。
【0068】次に本発明における平版印刷版の製造方法
の一例について説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0069】本発明の平版印刷版の画像は、例えば、基
板上に親水性膨潤層を備えた感光性平版印刷版原版の版
表面に活性光線を照射することにより形成することがで
きる。
【0070】ここでいう活性光線とは、高圧水銀灯、カ
ーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光
灯などの紫外光〜可視光、また半導体レーザー、YAG
レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレ
ーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、炭酸ガスレーザ
ー、発光ダイオードなどの可視光〜赤外光を指す。
【0071】このような画像形成には公知の感光性化合
物が用いられる。
【0072】公知の光架橋または光硬化性の感光性化合
物としては下記の(1)〜(5)の具体例が挙げられ
る。
【0073】(1)光重合性モノマまたはオリゴマ アルコール類(エタノール、プロパノール、ヘキサノー
ル、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、イソ
アミルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルア
ルコール、ブトキシエチルアルコール、エトキシエチレ
ングリコール、メトキシエチレングリコール、メチキシ
プロピレングリコール、フェノキシエタノール、フェノ
キシジエチレングリコール、テトラヒドロフルフリルア
ルコールなど)の(メタ)アクリル酸エステル、カルボ
ン酸類(酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、
メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石
酸、クエン酸など)と(メタ)アクリル酸グリシジルと
の付加反応物、m−キシリレンジアミン、ベンジルアミ
ンと(メタ)アクリル酸グリシジルとの付加反応物、ア
ミド誘導体(アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミ
ドなど)、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付
加反応物などを挙げることができる。
【0074】(2)光二量化型の感光性樹脂組成物 例えばポリ桂皮酸ビニルなどを含む感光層、例えば、p
−フェニレンジアクリル酸と1,4−ジヒドロキシエチ
ルオキシシクロヘキサンの1:1重縮合不飽和ポリエス
テルやシンナミリデンマロン酸と2官能性グリコ−ル類
とから誘導される感光性ポリエステル、ポリビニルアル
コ−ル、デンンプン、セルロ−スなどのような水酸基含
有ポリマのケイ皮酸エステルなど。
【0075】(3)エポキシ基を有するモノマ、オリゴ
マまたはポリマと公知の光酸発生剤との組合わせから成
る組成物 これは露光すると光酸発生剤がルイス酸やブレンステッ
ド酸を生成し、エポキシ基がカチオン重合して架橋す
る。
【0076】(4)アリル基および/またはビニル基を
有するモノマ、オリゴマまたはポリマとメルカプト基を
有するモノマ、オリゴマまたはポリマとの組成物 これは露光するとメルカプト基がアリル基およびまたは
ビニル基に付加し架橋する。
【0077】(5)ジアゾニウム塩化合物と水酸基含有
化合物との組成物 p−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮
合物で代表されるジアゾ樹脂などが挙げられる。
【0078】具体的には特公昭47−1167号公報お
よび特公昭57−43890号公報に記載されているよ
うなものが挙げられる。
【0079】(6)ビスアジド化合物と環化したポリイ
ソプレンゴムやポリブタジエンゴム、またはクレゾール
ノボラック樹脂を主成分とする感光性組成物など これらの感光性化合物は、基板上に親水性膨潤層を形成
する際に組成物に添加し該層内に存在させる方法、また
は親水性膨潤層を形成した後、感光性組成物を該層上に
塗布し該層内に含浸させる方法などを用いて添加され
る。
【0080】比較的高分子量のポリマ、オリゴマなどを
用いた感光性組成物の場合には、前者の親水性膨潤層形
成時に同時添加する方法が有利に行なわれ、比較的低分
子量のモノマ、オリゴマなどを用いた感光性組成物の場
合には、後者の含浸方法が有利である。
【0081】また、原版の親水性膨潤層にはこれらの感
光性化合物を増感させる目的から公知の光増感剤を添加
することが可能である。
【0082】また、該親水性膨潤層には、染料や顔料、
pH指示薬、ロイコ染料、界面活性剤、有機酸などの各
種添加剤を微量添加することも可能である。特に、製版
工程おいて画線部または非画線部が染色または退色する
ことが好ましい。
【0083】本発明においてプライマー層を設ける場合
には、基板と親水性膨潤層の間に設けることが好まし
く、親水性膨潤層に接してプライマー層を設けることが
特に好ましい。
【0084】本発明のプライマー層として用いられる樹
脂の具体例としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、アクリレート系重合体、アクリル
樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブ
チラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴ
ム、ポリ酢酸ビニル−ポリカーボネート樹脂、セルロー
スおよびその誘導体、キチン、キトサン、ミルクカゼイ
ン、ゼラチン、大豆タンパク質、アルブミンなどが挙げ
られる。
【0085】これらの樹脂は単独で、あるいは2種以上
混合して、さらに必要に応じてエポキシ化合物、イソシ
アネート化合物、ブロック化イソシアネート化合物、な
ど公知の架橋剤などが添加される。この中でも、親水性
膨潤層との接着性の観点からレゾール樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂などを単独で、または2種以上混合して用
いることが好ましい。また、上記プライマーを構成する
アンカー剤として、例えばシランカップリング剤、有機
チタネート、などを添加することも好ましい。さらに、
塗工性を改良する目的で、界面活性剤を添加することも
任意である。
【0086】本発明に用いられる平版印刷版の基板とし
ては、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印
刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外
には一切制限を受けない。
【0087】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0088】次に、本発明の平版印刷版を用いた製版方
法について説明する。
【0089】本発明の平版印刷版は、ネガティブワーキ
ング用の製版工程を経て刷版とすることができる。すな
わち、ネガ原画フィルムを通じて、通常の露光光源によ
って画像露光される。
【0090】この露光工程で用いられる光源としては、
例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メ
タルハライド灯、蛍光灯などが挙げられる。
【0091】本発明の平版印刷版は、レーザーを用いた
いわゆるダイレクト製版を経て刷る版とすることができ
る。すなわち、レーザー光線の照射により、画像形成が
行われる。
【0092】このような露光を行なった後、必要に応じ
て、水または現像液でリンスすると、未露光部の親水性
膨潤層内に存在する感光性化合物が溶解除去または不感
光化され、水膨潤性の非画線部となり、露光部は感光性
化合物が光架橋硬化する。
【0093】次に本発明の平版印刷版を用いた印刷方法
について説明する。
【0094】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0095】本発明の平版印刷版を画像形成したのち、
これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面には接触す
るインキ着けローラーからインキが供給される。
【0096】該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0097】本発明の平版印刷版を印刷する際に使用さ
れる湿し水は、水ありPS版で使用されるエッチ液を用
いることはもちろん可能であるが、添加物を一切含有し
ない純水を使用することができる。
【0098】本発明の平版印刷版を用いて印刷する際に
は添加物を一切有さない純水を使用することが好まし
い。
【0099】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0100】
【実施例】実施例1〜13、比較例3〜8、において用
いた微粒子は次の通り。アルミナ(デグサ社製「アルミ
ニウムオキサイドC」、平均一次粒子径0.013μ
m)、アルミナ/シリカ溶融混合物微粒子(デグサ社製
「アエロジルMOX80」、平均一次粒子径0.030
μm)、酸化ジルコニウム(第一希元素(株)製「E
P」、平均一次粒子径0.040μm)、酸化亜鉛(堺
化学(株)製「亜鉛華1号」、平均一次粒子径0.52
μm)、カーボンブラック(キャボット社製「ブラック
パールズ130」、平均一次粒子径0.075μm)、
フッ化ビニリデン(エルフアトケム社製「カイナーF3
10」、平均一次粒子径0.20μm)、アクリル樹脂
(綜研化学(株)製「MP−1000」平均一次粒子径
0.40μm)、アクリル樹脂微粒子(綜研化学(株)
製「MP−1400」、平均一次粒子径2.0μm)。
これら微粒子は予め処理例1〜3のいずれかの方法で親
水化処理を行ってから使用した。
【0101】処理例 1 下記の親水化処理組成物を振動ミル中に入れ、スチール
球と共に3時間振動・攪拌し、親水化処理を行った。
【0102】<親水化処理組成物(重量部)> (1)表1記載の微粒子 30重量部 (2)湿潤分散剤 3重量部 (3)精製水 67重量部 処理例 2 下記の親水化処理組成物をホモジナイザーにて1000
0回転×5分間攪拌して、親水化処理を行った。
【0103】 <親水化処理組成物(重量部)> (1)表1記載の微粒子 20重量部 (2)湿潤分散効果のあるバインダーポリマー 2重量部 (3)精製水 78重量部 処理例 3 下記の親水化処理組成物をフラスコに計量し、100℃
にて8時間反応させた。
【0104】 <親水化処理組成物(重量部)> (1)表1記載の微粒子 10重量部 (2)水酸化アルミニウム(反応性架橋剤) 5重量部 (3)酢酸 3重量部 (4)エチルセロソルブ 40重量部 (5)精製水 45重量部 実施例1〜9 親水性膨潤層の塗設例(い) 厚さ0.24mmのアルミ基板(住友軽金属(株)製)
に、下記の親水性膨潤層塗布液を塗布した後、180℃
×3分間熱処理し、乾燥重量で3g/m2の厚みを有す
る親水性膨潤層を塗設した。
【0105】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)親水性ポリマー 75重量部 [アクリルアミド−n−ブチルメタクリレート共重合体(重量組成比70 /30)] (2)表1記載の微粒子 15重量部 (3)エチレングリコールジグリシジルエーテル 10重量部 (4)精製水 900重量部 親水性膨潤層の塗設例(ろ) 厚さ0.24mmのアルミ基板(住友軽金属(株)製)
に、下記の親水性膨潤層塗布液を塗布した後、160℃
×10分間熱処理し、乾燥重量で2.4g/m2の厚み
を有する親水性膨潤層を塗設した。
【0106】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)親水性ポリマ 32重量部 [酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体(重量組成比50/50)ケン 化物] (2)水性ラテックス「JSR0596」 32重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:日本合成 ゴム(株)製] (3)表1記載の微粒子 30重量部 (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 6重量部 (5)精製水 900重量部 親水性膨潤層上に下記のような感光層組成物を塗布し、
その後100℃×2分間熱処理して、1.2g/m2
感光層組成物を塗布・含浸させて、平版印刷版原版を得
た。
【0107】 <感光層組成物(重量部)> (1)パラホルムアルデヒドと縮合したパラジフェニルアミンの塩 20重量部 (2)ポリビニルアルコールGL−05(日本合成化学(株)製) 70重量部 (3)ボクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学(株)製) 2重量部 (4)メチルセロソルブ 898重量部 得られた平版印刷版原版は、高圧水銀灯「ジェットライ
ト3303kW ;オーク製作所(株)製」を用い、PCW
(PLATE CONTOROL WEDGE:KALLE社製)を貼込んだ
ネガフィルムを通して90秒間密着露光(3.6mW/cm2
した。次いで、版全面を水道水でリンスし、未露光部の
感光層組成物を洗浄して刷版とした。
【0108】得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機
「スプリント25:小森コーポレーション(株)製」に
装着したのち、湿し水として市販の精製水を供給しなが
ら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した。
【0109】評価方法としては、インキ反発性、湿し水
許容幅、インキ着肉性、耐擦り性の評価を行った。
【0110】インキ反発性の評価としては、通常の印刷
におけるそれよりも厳しい条件で評価を行った。すなわ
ち、市販の油性インキ(TRANS−G、墨:大日本イ
ンキ化学工業(株))100重量部に腰切り剤(大日精
化工業(株)製「オロティックス5040」)を10重
量部加えたインキで印刷を行い、標準の湿し水量(5目
盛)で地汚れが発生しないかを調べた。地汚れのない印
刷物が得られた場合を○、地汚れが見られた場合を×と
した。
【0111】湿し水許容幅の評価としては、市販のイン
キ(TRANS−G、墨:大日本インキ化学工業
(株))にて印刷行い、各湿し水量(目盛り)において
地汚れ・水負けがなく良好な印刷物が得られた場合を
○、地汚れまたは水負けが見られる場合を×とした。よ
り広い範囲の湿し水量(目盛り)で印刷可能であること
が湿し水許容幅がより広いことを示すと判断した。
【0112】インキ着肉性の評価としては、湿し水7.
5目盛りにおいて、ベタ部の反射濃度が1.7を越えた
場合を○、1.5〜1.7の場合を△、1.5未満の場
合を×とした。
【0113】耐擦り性の評価としては、以下の方法で行
った。テスト後の版面を目視観察して、版面に傷が全く
ない場合を○、版面に少し傷が見られる場合(少部数の
印刷(軽印刷)なら使用可能なレベル)を△、版面に剥
がれが見られる場合を×とした。
【0114】<耐擦り性テスト>6×6cmに切ったハ
イゼガーゼを3枚重ね、その上に5×5×2.5cmの
直方体(鉄製、約500g)を載せ、水で湿した印刷版
を1000往復擦った。
【0115】比較例 1 親水化処理した微粒子を用いないこと以外は実施例1と
同様にして、平版印刷版を作製した。親水性膨潤層組成
として、親水性膨潤層の塗設例(い)に従った。
【0116】比較例 2 親水化処理した微粒子を用いないこと、親水性膨潤層の
塗設例(ろ)に従ったこと、以外は実施例1と同様にし
て、平版印刷版を作製した。
【0117】比較例 3〜5 実施例1において、微粒子の親水化処理を行わなかった
こと以外は実施例1と同様にして平版印刷版を作製し
た。
【0118】比較例 6 平均一次粒子径の大きな微粒子を親水化処理をしてから
親水性膨潤層に導入したことを除いては、実施例1と同
様にして平版印刷版を作製した。
【0119】評価結果を表1にまとめて示す。
【0120】
【表1】 実施例10〜13、比較例7〜8 実施例1において下記のような親水性膨潤層組成を用い
たこと以外は実施例1と同様にして平版印刷版を得、印
刷評価を行った。親水性ポリマー、微粒子の添加量につ
いては表2に記載した通りである。
【0121】親水性膨潤層の塗設例(は) 厚さ0.24mmのアルミ基板(住友軽金属(株)製)
に、下記の親水性膨潤層塗布液を塗布した後、140℃
×30分間熱処理し、乾燥重量で2.0g/m2の厚み
を有する親水性膨潤層を塗設した。
【0122】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)親水性ポリマー [アクリルアミド−n−ブチルメタクリレート共重合体(重量組成比70 /30)] (2)実施例1の微粒子 (3)エチレングリコールジグリシジルエーテル 10重量部 (4)精製水 900重量部 評価結果を表2にまとめて示す。
【0123】
【表2】 親水性膨潤層に親水化処理した微粒子を導入することに
より、インキ反発性が向上し、湿し水許容幅が広く、イ
ンキ着肉性により優れた平版印刷版が得られることが分
かる。さらに、耐擦り性が向上することから、印刷耐久
性についても向上が期待される。
【0124】
【発明の効果】本発明の平版印刷版は、インキ反発層に
優れ、湿し水許容幅が広く、インキ着肉性が高い。さら
に、親水性膨潤層の印刷耐久性が良好である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも親水性膨潤層を備えた
    平版印刷版において、親水性膨潤層が表面親水化処理を
    施した微粒子を含有することを特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】微粒子が無機微粒子であることを特徴とす
    る請求項1記載の平版印刷版。
  3. 【請求項3】微粒子が有機微粒子であることを特徴とす
    る請求項1記載の平版印刷版。
  4. 【請求項4】親水性膨潤層の固形分100重量部に対し
    て、平均一次粒子径が0.005〜5μmの微粒子を5
    〜60重量部含有することを特徴とする請求項1記載の
    平版印刷版。
  5. 【請求項5】平均一次粒子径が0.007〜0.1μm
    の無機微粒子と平均一次粒子径が0.1〜1μmの有機
    微粒子を併用することを特徴とする請求項1記載の平版
    印刷版。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100766648B1 (ko) 2000-10-31 2007-10-15 인텔 코포레이션 포지티브형 감광성 수지 조성물,포지티브형 감광성 수지조성물의 제조방법 및 반도체장치

Cited By (1)

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KR100766648B1 (ko) 2000-10-31 2007-10-15 인텔 코포레이션 포지티브형 감광성 수지 조성물,포지티브형 감광성 수지조성물의 제조방법 및 반도체장치

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