JPH1152554A - 平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版

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Publication number
JPH1152554A
JPH1152554A JP20431397A JP20431397A JPH1152554A JP H1152554 A JPH1152554 A JP H1152554A JP 20431397 A JP20431397 A JP 20431397A JP 20431397 A JP20431397 A JP 20431397A JP H1152554 A JPH1152554 A JP H1152554A
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JP
Japan
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layer
printing plate
water
hydrophilic
fine particles
Prior art date
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Pending
Application number
JP20431397A
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English (en)
Inventor
Kazuoki Goto
一起 後藤
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不感脂化処理を行うことなく高いインキ反発性
を有し、湿し水のコントロール幅が広く、湿し水のIP
Aレス化が可能な平版印刷版を得る。 【解決手段】基板上に、少なくとも親水性膨潤層を有す
る平版印刷版において、親水性膨潤層が少なくともシリ
コーン微粒子を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版に関する
ものであり、不感脂化処理を行なうことなく高いインキ
反発性を有し、湿し水のコントロール幅が広く、湿し水
のIPAレス化が可能な新規な平版印刷版に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】平版印刷に供する版としては、親水化処
理されたアルミニウム基板上に親油性の感光層を塗布
し、フォトリソグラフィの技術により画線部は感光層が
残存し、一方非画線部は上記のアルミニウム基板表面が
露出し、表面に湿し水層を形成してインキ反発し、画像
形成する水ありPS版が知られている。
【0003】水ありPS版は実用上優れた印刷版で、支
持体には通常砂目立てされたアルミニウムが用いられて
いる。さらに、この砂目の表面は必要に応じて、陽極酸
化処理などが施され、保水性の向上と感光層に対する接
着性の補強がなされている。また、感光層の保存安定性
を得るために、アルミニウム表面はフッ化ジルコニウム
やケイ酸ナトリウムなどで化学処理が施される場合が一
般的である。
【0004】水ありPS版はその優れた印刷特性(耐刷
性、画像再現性など)から広く使用されているが、その
一方で、水ありPS版のこのような複雑な製造工程の簡
略化が望まれている。
【0005】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有し、
電子写真技術を用いて画像形成し、非画像部をエッチ液
などで不感脂化処理して画像受理層をインキ反発層に変
換させて使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供さ
れている。
【0006】具体的には、耐水性支持体上に水溶性バイ
ンダポリマー、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理
層を設けたものが一般的で、USP2532865号公
報、特公昭40−23581号公報、特開昭48−98
02号公報、特開昭57−205196号公報、特開昭
60−2309号公報、特開昭57−1791号公報、
特開昭57−15998号公報、特開昭57−9690
0号公報、特開昭57−205196号公報、特開昭6
3−166590号公報、特開昭63−166591号
公報、特開昭63−317388号公報、特開平1−1
14488号公報、特開平4−367868号公報など
が挙げられる。
【0007】これらの直描型平版印刷原版は、インキ反
撥層に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリ
ビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、
スチレン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処
理する以前から親水性を示す水溶性バインダポリマーお
よびアクリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ
ー、シリカ、炭酸カルシウム等のような無機顔料および
メラミン・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化
剤で構成されているものが提案されている。
【0008】このような直描型平版印刷原版は、いずれ
も画像受理層をインキ反撥層に変換するために、不感脂
化処理が必須であり、処理なしではインキ反撥性を殆ど
示さなかったり、また印刷時に湿し水として特殊な薬剤
を使用する必要があった。
【0009】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適正な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0010】このような問題点を解決すべく、アルミニ
ウム基板と同等もしくはそれ以上の印刷特性を有し、し
かも材料コストが安くかつ簡易な製造工程によるアルミ
ニウム基板とは異なる新規な平版材料の提案がある。
【0011】例えば、特公昭56−2938号公報にお
いては、アルミニウム基板に代えて親水性高分子材料か
らなるインキ反発層を塗設した支持体を用い、支持体上
に感光層を形成する方法が提案されている。しかしなが
ら、この平版印刷版は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタ
ン、ポリビニルアルコールのアルデヒド縮合物の耐水性
層上に親水性層として尿素樹脂が単純塗布されているも
のであるため、インキ反発性が不十分であるうえ、感光
層との密着性にも劣り、耐刷性が不十分であった。
【0012】特開平8−282142号公報、特開平8
−282144号公報、特開平8−292558号公報
には、親水性膨潤層を備えたインキ反発性の良好な平版
印刷版が開示されているが、さらに優れたインキ反発
性、湿し水許容幅を有する平版印刷版用素材が求められ
ていた。
【0013】特開平5−19460号公報には、ポリビ
ニルアルコールなどのバインダー樹脂に、酸化チタンや
コロイド状シリカなどの無機微粒子を添加し、架橋剤で
架橋した親水性層を有する平版印刷版が開示されてい
る。この印刷版は酸化チタンなどの無機多孔質を多量に
含有することによりポリビニルアルコールの保水力の不
足を補っているが、そのため層自体が硬く、また実質的
に膨潤できないためインキ反発性は必ずしも良好ではな
く、耐刷性も劣るという問題を有していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、不感脂
化処理などの複雑な製版工程を経ることなく、耐刷性と
高いインキ反発性を有し、湿し水の許容幅が広く、また
湿し水のIPAレス化が可能な平版印刷版に関し、イン
キ反発性の一層の向上について鋭意検討した結果、シリ
コーンの微粒子を有する親水性膨潤層を設けた平版印刷
版を用いることによって所期の目標を達成できることを
見出した。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は (1)基板上に、少なくとも親水性膨潤層を有する平版
印刷版において、該親水性膨潤層がシリコーン微粒子を
含有することを特徴とする平版印刷版。
【0016】(2)該シリコーン微粒子が、シリコーン
ゴム弾性体微粒子であることを特徴とする(1)記載の
平版印刷版。
【0017】(3)該シリコーン微粒子の粒径が0.1
μm〜10μmであることを特徴とする(1)または
(2)のいずれかに記載の平版印刷版。
【0018】(4)該シリコーン微粒子の親水性膨潤層
中に占める割合が2〜50重量%であることを特徴とす
る(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版。
【0019】(5)該親水性膨潤層が下記の性質を有す
ることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の
平版印刷版。
【0020】 吸水量 :1〜50g/m2 水膨潤率:10〜2000% を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、親水性膨潤層に
シリコーン微粒子を含有することにある。
【0022】本発明において、親水性膨潤層にシリコー
ンの微粒子を含有させることにより、インキ反発性を向
上させ、湿し水許容幅をより広くすることが出来る。
【0023】この理由は、印刷過程における湿し水供給
時の親水性膨潤層の挙動と関係があると考えられる。
【0024】すなわち、湿し水により親水性膨潤層全体
は大きく膨潤するが、前述のような優れた性能を発現す
るためには、層表面において局所的に膨潤の程度が異な
る部分が存在することが重要であると考えられる。
【0025】本発明において、シリコーン微粒子及びそ
れを含んだ部分の水に対する膨潤の程度は、シリコーン
微粒子を含まない部分の水に対する膨潤の程度に比べて
低くなるので、シリコーン微粒子を含む部分と含まない
部分で必然的に膨潤の程度の差、吸水の程度の差が生じ
る。
【0026】さらに、本発明の場合、膨潤の程度が低い
部分が、水やインキに対して特異な挙動をとるシリコー
ンであるため、シリコーン微粒子を含む部分と含まない
部分の膨潤の程度の差、吸水の程度の差は大きく、その
結果、層全体のインキ反発性は大きく向上するのだと推
察される。
【0027】シリコーンの微粒子としては、無機担持体
にシリコーンオイルなどの各種シリコーンポリマーを高
配合させた微粒子、ストレートシリコーンレジンやシリ
コーン変性有機レジンの微粒子、シリコーンゴム弾性体
の微粒子などが挙げられるが、親水性膨潤層の印刷耐久
性などの観点からシリコーンゴム弾性体の微粒子が好ま
しい。
【0028】本発明の親水性膨潤層は湿し水を層内に含
むことによって膨潤し、それ自体、ゴム弾性を有してい
る。したがって、親水性膨潤層はインキ反発層としての
機能を果たすだけでなく、版面上のインキをブランケッ
トや被印刷体に転移させる過程においてはクッションの
役割を果たしていると考えられる。
【0029】すなわち、版面がブランケットや紙に圧着
されて、インキとともに湿し水が転移する過程で、親水
性膨潤層内にスペーサー的な役割を果たす微粒子が存在
することで、親水性膨潤層の過度の圧縮、それに伴う湿
し水の過剰な転移が起こることを防ぐと考えられる。湿
し水の過剰な転移が防がれることで、湿し水の出入りが
少なくなり、印刷物の品質も向上する。
【0030】微粒子としてシリコーンゴム弾性体が好ま
しい理由は、圧縮時に、微粒子と親水性膨潤層の主成分
である親水性ポリマーの界面に加わる応力が緩和される
ためであり、その結果、界面での破壊、ひいては親水性
膨潤層自体の破壊が起こりにくくなるためである。
【0031】また、微粒子の形状としては、不定形、繊
維状、球状など種々のものがあるが、親水性膨潤層を構
成する主成分への分散性などの面から球状のものが好ま
しい。
【0032】微粒子の粒径は0.1μm〜10μmであ
ることが好ましく、さらには0.1μm〜5μmである
ことが好ましい。0.1μmより粒径が小さい場合は、
親水性膨潤層を構成する成分への分散が困難になった
り、微粒子添加の効果が発現しにくくなるためであり、
一方、10μmより大きい場合は、親水性膨潤層の厚さ
に比して粒子が大きすぎるため、親水性膨潤層内での微
粒子の安定性(耐スクラッチ性(耐傷性))や、画像形
成時の微小点の再現性などに悪影響を与えることになる
ためである。
【0033】また、微粒子の親水性膨潤層中に占める割
合は2〜50重量%であることが好ましく、さらには5
〜30重量%であることが好ましい。微粒子の占める割
合が2重量%より少ない場合は、微粒子添加の効果が発
現しにくくなるためであり、一方、50重量%より多い
場合は、親水性膨潤層としての親水性が発現しにくくな
ったり、膜物性が弱くなるためである。
【0034】シリコーンゴム弾性体微粒子としては、シ
リコーンオイルを含有したものや、各種反応性の官能基
を有するものもある。親水性膨潤層を構成する成分との
反応を考慮した場合、すなわち版性能的には親水性膨潤
層の耐スクラッチ性などを考慮した場合、官能基を有す
る微粒子が好ましい。このような官能基としては、水酸
基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキ
シ基、シリル基、二重結合などを挙げることが出来る
が、これらに限定されるものではない。
【0035】これらの官能基は、親水性膨潤層内で親水
性ポリマーなどの層を構成する成分と直接、あるいは架
橋剤を介して間接的に結合することにより、膜物性を向
上させることが期待される。このような場合、シリコー
ンゴム弾性体微粒子が有する官能基としては、親水性ポ
リマーおよび/あるいは架橋剤と反応し得る官能基が好
ましい。
【0036】本発明の平版印刷版の非画線部は、親水性
膨潤層からなることを特徴とする。
【0037】本発明の親水性膨潤層は親水性ポリマーを
主成分とする組成物より得られる。
【0038】親水性ポリマーとは、水に対して実質的に
不溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水溶性ポリマー(水
に完全溶解するものを意味する)、疑似水溶性ポリマー
(両親媒性を意味し、マクロには水に溶解するがミクロ
には非溶解部分を含むものを意味する)、水膨潤性ポリ
マー(水に膨潤するが溶解しないものを意味する)を意
味する。すなわち、通常の使用条件下で水を吸着または
吸収するポリマーを意味し、水に溶けるか或いは水に膨
潤するポリマーを意味する。
【0039】本発明において、親水性ポリマーとしては
公知のものを使用することが出来る。
【0040】具体例を以下に挙げる。
【0041】(A)天然高分子類。
【0042】デンプン−アクリロニトリル系グラフト重
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
【0043】(B)合成高分子類。
【0044】ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ポ
リアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ポリメタアクリル酸アンモニウム、N−ビニルカル
ボン酸系ポリマー、アクリル酸系コポリマー、アクリル
エマルジョンコポリマー、ポリビニルアルコール系架橋
重合体、ポリアクリル酸ナトリウム系架橋体、ポリアク
リロニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート系ポリマー(以下の説明で(メタ)□
□□□とあるのは、□□□□またはメタ□□□□を略し
たものである。)、ポリ(ビニルメチルエーテル-co-無
水マレイン酸)、無水マレイン酸系共重合体、ビニルピ
ロリドン系共重合体、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート系架橋重合体、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体、N−ビニル
カルボン酸アミド共重合体など。
【0045】これらの中では、本発明の効果を特に有効
に発現する親水性ポリマーとしては、カルボン酸塩系共
重合体が挙げられる。カルボン酸塩系共重合体として
は、吸水性および耐久性の観点から、カルボキシル基、
カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸イミド、
カルボン酸無水物などのカルボキシル基またはカルボキ
シル基に誘導しうる基を分子中に1個または2個有する
α、β−不飽和化合物をモノマー成分として含有するカ
ルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙げられる。
【0046】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸アミ
ド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸アミド、
マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン酸、フマル
酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必要な親水性
を示す範囲で共重合可能な他のモノマー成分と組合わせ
ることが可能である。
【0047】共重合可能な他のモノマー成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、アクリ
ロニトリルなどのα−オレフィン、ビニル化合物、ビニ
リデン化合物などが挙げられる。
【0048】なお、上記の親水性ポリマーは発明の効果
を損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御
する目的から置換基が異なるモノマーや共重合成分を混
合して用いることが可能である。
【0049】また、親水性膨潤層は上記親水性ポリマー
の少なくとも一種以上を主成分として有する組成物を必
要に応じて架橋または疑似架橋し、水に不溶化させるこ
とにより基板上に形成される。このような架橋、疑似架
橋は通常親水性ポリマーが有する反応性の官能基を利用
することにより行われる。
【0050】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0051】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0052】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じて公知の有機溶剤を
添加することが可能である。
【0053】したがって、用いられる架橋剤としては、
水溶性の多官能性化合物を用いることが好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物、ポリシリル化合物、ポリアルデヒ
ド化合物などを用いることが好ましい。
【0054】また、親水性ポリマーにあらかじめ自己架
橋し得るような反応性官能基をペンダントしておき、そ
の官能基を利用することで架橋、疑似架橋構造を形成し
ても良い。
【0055】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される吸水量が特定の範囲である
ことが好ましい。
【0056】吸水量(g/m2)=WWET −WDRYDRY :乾燥状態における重量(g/m2) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2) [吸水量の測定方法]測定しようとする平版印刷版の非
画線部を所定面積に裁断し、25℃の精製水中に浸漬す
る。10分間浸漬した後、該印刷版の親水性膨潤層表面
および裏面に付着した余分の液体を「ハイゼガーゼ」
(コットン布:旭化成工業(株)製)にて素速く拭き取
り、該印刷版の膨潤重量WWET を秤量する。その後、該
印刷版を60℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥
重量WDRY を秤量する。
【0057】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部の
吸水量は、インキ反発性および形態保持性の観点から1
〜50g/m2であることが好ましく、2〜40g/m
2 、さらに3〜30g/m2であることがさらに好まし
い。
【0058】本発明に用いられる親水性膨潤層の水膨潤
率は、10〜2000%で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
100〜800%である。該水膨潤率が10%未満にな
ると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあり、また
塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くなる。また2
000%より大きくなると形態保持性が極端に低下する
傾向にある。
【0059】本発明で言う親水性膨潤層厚さとは、基板
上に塗設された乾燥させた感光性平版印刷版原版の親水
性膨潤層の塗布層を剥離し、重量法によって測定した値
を意味する。親水性膨潤層厚さは下記式に従って測定し
た。 親水性膨潤層厚さ(g/m2 )=(W−W0 )/α W:感光性平版印刷版原版の乾燥重量 (g) W0 :上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α:感光性平版印刷版原版の測定面積(m2 ) [親水性膨潤層厚さの測定方法] 測定しようとする感
光性平版印刷版原版を所定面積αに裁断した後、60℃
のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量Wを秤量す
る。その後、該原版を精製水に浸漬し、親水性膨潤層を
膨潤させ、スクレーパーなどを用いて該膨潤層を剥離脱
落させる。親水性膨潤層を剥離脱落させた原版を再度6
0℃のオーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量W0 を
秤量する。
【0060】本発明の親水性膨潤層は前述のようにゴム
弾性を有することが好ましい。すなわち、以下の方法に
より算出した親水性膨潤層の初期弾性率が特定の範囲内
にあることが好ましい。
【0061】[初期弾性率の測定方法]平版印刷版の非
画線部に対応した部分と同一組成の溶液をテフロンシャ
ーレ上に展開し、60℃×24時間乾燥させる。得られ
た乾燥硬化膜は、剃刀刃などを用いて、長さ40mm、
幅1.95mm、厚み約0.2mmの短冊状のテストピ
ースに裁断する。
【0062】得られたテストピースは、測定前に25℃
×50%RHの環境下にて24時間以上放置し、調湿し
た後、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張条
件で初期弾性率を測定した。データ処理は、JIS K
6301に準じて行った。
【0063】 引張速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰返し回数 4回 測定機 「RTM−100」((株)オリエンテッ
ク製) 親水性膨潤層の初期弾性率は、0.01〜10kgf/
mm2の範囲内にあることがインキ反発性および形態保
持性の観点から重要であり、0.01〜5kgf/mm
2の範囲が好ましく、0.01〜2kgf/mm2の範囲
がさらに好ましい。初期弾性率が0.01kgf/mm
2未満の場合は、親水性膨潤層の形態保持性が低下し、
印刷の耐久性が劣り、初期弾性率が10kgf/mm2
よりも大きくなるとインキ反発性が極端に低下する。
【0064】本発明に用いられる親水性膨潤層は以下の
方法にしたがって算出される水膨潤率が特定の範囲であ
ることが好ましい。
【0065】水膨潤率(%)=(ΘWET−ΘDRY)/Θ
DRY ×100 ΘDRY :乾燥状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) ΘWET :膨潤状態における非画線部からなる親水性膨潤
層の厚み(μm) [水膨潤率の測定方法(A)]測定しようとする平版印
刷版の非画線部を含む部位が断面となるように切削して
切片を作製する。この切片を常温にて1昼夜真空乾燥し
た後、光学顕微鏡にて当該部位の親水性膨潤層厚さを観
察し、これをΘDRY(μm)とする。なお、光学顕微鏡
観察は23℃、20%RHの環境下において手早く行っ
た。
【0066】さらに、この平版印刷版切片に過剰の水滴
を載せ、親水性膨潤層が十分に水膨潤した状態で断面を
光学顕微鏡観察し、当該部位の親水性膨潤層厚さを読み
とり、これをΘWET(μm)とする。
【0067】[水膨潤率の測定方法(B)]測定しよう
とする平版印刷版の非画線部をOsO4水溶液の雰囲気
下に1昼夜さらしてOsO4により親水性膨潤層を固定
した後、所定の部位が断面となるようにミクロトームで
切削して超薄切片を作製する。この切片を透過型電子顕
微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当該部位の
親水性膨潤層厚さを観察し、これをΘDRY(μm)とす
る。
【0068】一方、測定しようとする平版印刷版をOs
4水溶液に2〜3日浸漬し親水性膨潤層を水膨潤状態
で固化/固定する。所定の部位が断面となるようにミク
ロトームで切削して超薄切片を作製し、この切片を透過
型電子顕微鏡(TEM)にて1〜5万倍程度の倍率で当
該部位の親水性膨潤層厚さを読みとり、これをΘ
WET(μm)とする。
【0069】本発明の親水性膨潤層からなる非画線部
(インキ反発部分)の水膨潤率は、インキ反発性および
形態保持性の観点から10〜2000%であることが好
ましく、50〜1700%、さらには50〜700%の
範囲であることがより好ましい。水膨潤率が10%未満
になると非画線部のインキ反発性が低下し、一方非画線
部の水膨潤率が2000%を越える場合には該非画線部
の形態保持性が低いため印刷時に該非画線部が損傷を受
け易くなる。
【0070】本発明に用いられる親水性膨潤層にはシリ
コーン微粒子、上記した親水性ポリマーおよび必要に応
じて加えられる架橋剤の他にも、公知の染料、顔料、紫
外線吸収剤、pH指示薬、界面活性剤、可塑剤、疎水性
ポリマーなどを添加することも可能である。
【0071】また下層との接着性向上などの目的から、
公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合物、
触媒などを添加したり基板との間に中間層として設ける
ことも可能である。
【0072】次に本発明の平版印刷版の製造方法につい
てその一例を説明する。
【0073】本発明に用いられる平版印刷版原版の基板
としては、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性
と印刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある
以外には一切制限を受けない。代表的なものとしては、
アルミ、銅、鉄、などの金属板、ポリエステルフィルム
やポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルム
あるいはコート紙、ゴムシートなどが挙げられる。ま
た、該基板は上記の素材が複合されたものであってもよ
い。
【0074】これらの基板上に、直接あるいは間接的
に、すなわち検版性向上や接着性向上の目的から電気化
学的処理や酸塩基処理、コロナ放電処理など各種表面処
理を施した後、および/あるいは接着性向上やハレーシ
ョン防止の目的からプライマー層を塗布した後に、本発
明の親水性膨潤層を塗設する。
【0075】本発明の平版印刷版の画像形成には、公知
の感光性化合物やレーザー光感応性化合物、熱反応性化
合物を利用することが出来る。
【0076】これらの画像形成可能な組成物を、親水性
膨潤層を形成する際に組成物に添加し、該層内に存在さ
せる方法、または親水性膨潤層を形成した後、画像形成
組成物を該層上に塗布する方法、あるいは親水性膨潤層
の下層に塗設する方法などにより平版印刷版を得ること
が出来る。
【0077】公知の感光性化合物としては、例えば以下
の(1)から(6)のような光重合性化合物や光架橋性
化合物をまず挙げることができる。
【0078】(1)光重合性モノマーまたはオリゴマー アルコール類(エタノール、プロパノール、ヘキサノー
ル、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール、イソアミルアルコー
ル、ブトキシエチルアルコール、エトキシエチレングリ
コール、フェノキシエタノール、テトラヒドロフルフリ
ルアルコールなど)の(メタ)アクリル酸エステル、カ
ルボン酸類(酢酸、プロピオン酸、安息香酸、(メタ)
アクリル酸、マレイン酸、クエン酸など)と(メタ)ア
クリル酸グリシジルまたはテトラグリシジル−m−キシ
リレンジアミンまたはテトラグリシジル−m−テトラヒ
ドロキシリレンジアミンとの付加反応物、アミド誘導体
(アクリルアミド、メタクリルアミド、n−メチロール
アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、
エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物な
どを挙げることができる。
【0079】(2)光二量化型の感光性樹脂組成物 例えばポリ桂皮酸ビニルなどを含む感光層、例えば、P
−フェニレンジアクリル酸と1,4−ジヒドロキシエチ
ルオキシシクロヘキサンの1:1重縮合不飽和ポリエス
テルやシンナミリデンマロン酸と2官能性グリコ−ル類
とから誘導される感光性ポリエステル、ポリビニルアル
コ−ル、デンンプン、セルロ−スなどのような水酸基含
有ポリマーのケイ皮酸エステルなど。
【0080】(3)エポキシ基を有するモノマー、オリ
ゴマーまたはポリマーと公知の光酸発生剤との組合わせ
から成る組成物 (4)アリル基および/またはビニル基を有するモノマ
ー、オリゴマーまたはポリマーとメルカプト基を有する
モノマー、オリゴマーまたはポリマーとの組成物 (5)ジアゾニウム塩化合物と水酸基含有化合物との組
成物 本発明に用いられるジアゾ化合物としては、p−ジアゾ
ジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物で代表
される水不溶で有機溶媒可溶性のジアゾ樹脂などが挙げ
られる。具体的には特公昭47−1167号公報および
特公昭57−43890号公報に記載されているような
ものが挙げられる。
【0081】(6)ビスアジド化合物と環化したポリイ
ソプレンゴムやポリブタジエンゴム、またはクレゾール
ノボラック樹脂を主成分とする感光性組成物など。
【0082】また、光可溶化型化合物の具体例として
は、 (7)ベンゾキノンジアジドスルホン酸やナフトキノン
ジアジドスルホン酸およびそれらのフェノールホルムア
ルデヒドノボラック樹脂、ピロガロールアセトン樹脂な
どとのスルホン酸エステル、スルホン酸アミドなどの誘
導体。
【0083】(8)オニウム塩化合物、ハロゲン含有化
合物、スルホン化合物およびスルホネート化合物等の光
照射により酸を発生する化合物と酸の作用で溶剤に対す
る溶解性を変化させる化合物の組み合わせもまた光可溶
化型の組成物として利用できる。
【0084】酸の作用で溶解性を変化させる化合物群と
しては、t−ブトキシカルボニル基、t−ブチル基、テ
トラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基などを導入
したパラヒドロキシスチレン重合体やフェノ−ルホルム
アルデヒドノボラック樹脂、ピロガロ−ルアセトン樹脂
など、また、ポリ(p−ビニル安息香酸エステル)類や
ポリメタクリル酸エステル類の第3級エステル、ポリフ
タルアルデヒド類、ポリ(α−アセトキシスチレン)な
ど。さらに、ヒドロキシスチレンの共重合体やノボラッ
ク樹脂などのアルカリ可溶性化合物と溶解抑制剤として
のポリ−N,O−アセタール、各種t−ブチルエステ
ル、t−ブチルカーボネート、t−ブチルエーテルなど
の組み合わせなど。これらの画像形成可能な組成物を有
する平版印刷版に、例えば活性光線を照射することによ
って画像を形成することが出来る。
【0085】ここで言う活性光線とは、高圧水銀灯、カ
ーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光
灯などの紫外光〜可視光、また半導体レーザー、YAG
レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレ
ーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、炭酸ガスレーザ
ー、発光ダイオードなどの可視光〜赤外光を指す。
【0086】また、本発明の親水性膨潤層上にレーザー
感応性の層を塗設することで、直描型平版印刷版原版と
することもできる。直描型平版印刷版とは、製版用フィ
ルムを使用しないで原稿から直接オフセット印刷版を作
製するシステムに用いられる版材である。このシステム
は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷版が得
られる迅速性、多様なシステムから品質とコストに応じ
て選択可能である合理性などの特徴を生かして、最近、
軽印刷業界のみでなく、新聞印刷分野、さらには一般オ
フセット印刷、グラビア印刷の分野にも進出し始めてい
る。
【0087】直描型平版印刷版を製版方法から分類する
と、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッドで書き
込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する方法、イ
ンクジェットでインキ反撥層またはインキ着肉層を形成
する方法などが挙げられるが、なかでもレーザー光を用
いる方法は解像度、および製版速度の面で他の方式より
も優れているとされている。
【0088】このレーザー光を用いる平版印刷版は、さ
らに光反応によるフォトンモードのものと、光熱変換を
行って熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプ
に分けられるが、高感度フォトポリマーを用いて直接描
画するフォトンモードのものは高感度であるが故に版材
の取扱性が悪く、また大規模かつ高額な自動露光現像製
版装置が必要であるという問題がある。それに対し、ヒ
ートモードタイプのものは、明室で取り扱えるといった
利点があり、また光源となる半導体レーザーの出力の急
激な進歩によって、最近その有用性が見直されてきてい
る。
【0089】レーザー光の作用で効率的に画像形成を行
うためには、レーザー光を効率よく吸収して熱に変換す
ることが好ましく、そのためには光熱変換物質を含有さ
せることが好ましい。
【0090】このような化合物としては、光を吸収して
熱に変換し得る物質であれば、特に限定されるものでは
ない。例えばカーボンブラック、アニリンブラック、シ
アニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタ
ロシアニン系の緑色顔料、ローダミン色素、ナフトキノ
ン系色素、カルコゲン系色素、ジアミン系金属錯体、ジ
チオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、
メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウ
ム金属塩類、硫酸銅、珪酸塩化合物や、酸化マンガン、
酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン等の金属酸化
物やこれらの金属の水酸化物、硫酸塩、さらにはビスマ
ス、スズ、テルル、鉄、アルミの金属粉等の添加剤を挙
げることが出来るが、光熱変換率および、経済性、およ
び取扱い性の面から、カーボンブラックが好ましい。
【0091】さらにはこれら以外の赤外線または近赤外
線を吸収する染料も、塗液の分散性、塗工性に関して有
利な事から、カーボンブラック同様特に好ましく用いら
れる。
【0092】特にアジン系の染料は有用であり、具体例
の一部としてはニグロシン、ニグロシンベースEX、ス
ピリットブラックSB、スピリットブラックABなど
や、バリファーストブラック3810や3820など、
さらにはナフトールブルーブラックなどを挙げることが
出来る。
【0093】次に本発明の平版印刷版を用いた印刷方法
について説明する。
【0094】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0095】画像形成を行った平版印刷版を、これらの
平版印刷機の版胴に装着し、該版面には接触するインキ
着けローラーからインキが供給される。
【0096】該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0097】本発明の平版印刷版原版から得られた平版
印刷版を印刷する際に使用される湿し水は、水ありPS
版で使用されるエッチ液を用いることはもちろん可能で
あるが、添加物を一切含有しない純水を使用することが
できる。本発明の平版印刷版原版から得られた平版印刷
版を用いて印刷する際には添加物を一切有さない純水を
使用することが好ましい。
【0098】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0099】
【実施例】
(合成例1)酢酸ビニル60gとアクリル酸メチル40
gに重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド0.5g
を計量し、これを、分散安定剤として部分ケン化ポリビ
ニルアルコール3gとNaCl10gを含む水300m
l中に分散させた。
【0100】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度
は2.10であった。
【0101】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5NのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0102】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%であ
り、赤外吸収スペクトルの測定の結果、3400cm-1
付近の水酸基に帰属されるブロードな吸収と、1570
cm-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認され
た。
【0103】(合成例2)34部のジフェニルアミン−
4−ジアゾニウム硫酸塩と、3.25部のパラホルムア
ルデヒドと4.5部の無水塩化亜鉛の混合物を徐々に1
35部の冷却硫酸(66゜ボーメ)に添加する。このと
き液温は6℃以下に保つ。褐色の反応液を2倍量の氷の
上に落とすと黒色のタール状物が得られる。これを水に
溶かし、さらに塩化亜鉛の飽和水溶液を過剰に加えると
黄色固体が得られる。これを再び水に溶かし、さらにア
ルコールを加えて目的のパラホルムアルデヒドと縮合し
たパラジフェニルアミン塩を得た。
【0104】(合成例3)6mlの水を含む5mol/
L濃度のアンモニア/エタノール溶液90mlに、4m
lのメチルトリエトキシシランを滴下し、密封した後、
一昼夜撹拌した。その後、エタノール洗浄により残存水
とアンモニアを除去し、エバポレーションでエタノール
を除去することにより、平均粒子径約3μmのシリコー
ンの微粒子−1を得た。
【0105】実施例1 厚さ0.24mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)
に、下記の組成の液を塗布した後、200℃×5分間加
熱処理して乾燥重量3g/m2 の厚みを有する親水性膨
潤層を塗設した。
【0106】 〈親水性膨潤層〉 (1)合成例1の親水性ポリマー 10重量部 (2)“トレフィル”E600 1重量部 (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 平均粒径2μmのシリコーンゴム弾性体微粒子 球状) (3)精製水 200重量部 次に、親水性膨潤層上に、下記の組成の感光性組成物を
固形分が1.0g/m2の厚さとなるように塗布し、7
0℃×3分間加熱処理してネガ型の平版印刷用原版を得
た。
【0107】 〈感光性組成物(重量部)〉 (1)合成例2のパラホルムアルデヒドと縮合したパラジフェニルアミンの塩 20重量部 (2)ポリビニルアルコールGL−05(日本合成化学製) 70重量部 (3)ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学製) 2重量部 (4)メチルセロソルブ 898重量部 得られた平版印刷版は、高圧水銀灯「ジェットライト3
30 3kW:オーク製作所(株)製」を用い、PCW
(PLATE CONTOROL WEDGE:KALLE社製)を貼込んだ
ネガフィルムを通して90秒間密着露光(3.6mW/cm2
した。次いで、版全面を水道水でリンスし、未露光部の
感光性組成物を洗浄して刷版とした。
【0108】得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機
「スプリント25:小森コーポレーション(株)製」に
装着したのち、湿し水として市販の精製水を供給しなが
ら上質紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した。
【0109】評価としては、インキ反発性、湿し水許容
幅を調べた。用いたシリコーン微粒子を表1に、結果を
表2に示す。
【0110】
【表1】
【表2】 インキ反発性の評価は、通常の印刷におけるそれよりも
厳しい条件で行った。すなわち、市販の油性インキ(T
RANS−G、墨:大日本インキ化学工業(株))10
0重量部にダイアレン168(三菱化学(株))を30
重量部加えたインキで印刷を行い、標準の湿し水量(5
目盛り)で地汚れが発生するか否かを調べた。地汚れが
ない印刷物が得られた場合を○、地汚れが見られた場合
を×とした。
【0111】さらに、印刷を継続したところ5000枚
まで印刷しても、印刷物に汚れなどは観察されなかっ
た。
【0112】湿し水の許容幅の評価としては、市販のイ
ンキ(TRANS−G、墨:大日本インキ化学工業
(株))をにて印刷を行い、各湿し水量(目盛り)で地
汚れ、水負けがなく良好な印刷物が得られた場合を○、
地汚れまたは水負けが見られる場合を×とした。より広
い範囲の湿し水量(目盛り)で印刷可能であることは、
湿し水許容幅がより広いことを示すと判断した。
【0113】また、非画線部の吸水量、水膨潤率を定義
に従って測定したところ、吸水量28.4g/m2、水
膨潤率945%であった。
【0114】比較例1 実施例1において、親水性膨潤層がシリコーン微粒子を
含まない以外は全く実施例1と同様に版を作製し、評価
した。
【0115】非画線部の吸水量、水膨潤率は、それぞれ
20.0g/m2、水膨潤率667%であった。
【0116】インキ反発性は悪く地汚れが発生し、ま
た、湿し水の許容幅も実施例1に比べ狭いものであっ
た。
【0117】比較例2 比較例1の親水性膨潤層のキュア条件を190℃×2分
とした以外は、比較例1と同様に版を作製し、評価し
た。
【0118】非画線部の吸水量、水膨潤率は、それぞれ
27.1g/m2、水膨潤率930%であった。
【0119】比較例1に比べ、吸水量、水膨潤率とも高
くなったが、インキ反発性は悪く地汚れが発生し、ま
た、湿し水の許容幅も比較例1と同様、実施例1に比べ
狭いものであった。
【0120】実施例2 実施例1において、シリコーン微粒子をエポキシ基を含
有するシリコーンゴム弾性体微粒子“トレフィル”E6
01(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製、球
状)とした以外は実施例1と同様の方法で平版印刷版を
得、評価を行った。
【0121】実施例3 実施例1において、シリコーン微粒子を“トレフィル”
F202(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)
製、粒径10μm〜、不定形)とした以外は実施例1と
同様の方法で平版印刷版を得、評価を行った。
【0122】また、印刷を継続したところ、3000枚
までは印刷物に汚れは観察されなかった。
【0123】実施例4 実施例1において、シリコーン微粒子を“トレフィル”
R902AE(東レ・ダウコーニング・シリコーン
(株)製、平均粒径8μm、不定形)とした以外は実施
例1と同様の方法で平版印刷版を得、評価を行った。
【0124】また、印刷を継続したところ、3000枚
までは印刷物に汚れは観察されなかった。
【0125】実施例5 厚さ0.24mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)
に、下記のプライマー層組成物を塗布した後、180℃
×1分間加熱処理し、乾燥重量で1g/m2の厚みを有
するプライマー層を塗設した。
【0126】〈プライマー層組成物〉 (1)レゾール樹脂 15重量部 (2)ジグライム 85重量部 次に、下記の組成の液を塗布した後、180℃×5分間
加熱処理して乾燥重量3g/m2 の厚みを有する親水性
膨潤層を塗設した。
【0127】 〈親水性膨潤層〉 (1)合成例1の親水性ポリマー 10重量部 (2)“トレフィル”E601 1重量部 (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 平均粒径2μmのシリコーンゴム弾性体微粒子 球状、エポキシ基含有) (3)N−ヒドロキシエチルキシリレンジアミン 1重量部 (4)精製水 200重量部 次に、親水性膨潤層上に、実施例1と同じ感光層を塗設
し印刷版原版を得た。その後、実施例1と同様の方法で
平版印刷版を得、評価を行った。
【0128】さらに、6000枚まで印刷を継続した
が、印刷物に汚れなどは観察されなかった。
【0129】また、非画線部の吸水量、水膨潤率を定義
に従って測定したところ、吸水量24.6g/m2、水
膨潤率762%であった。
【0130】実施例6 実施例5において、N−ヒドロキシエチルキシリレンジ
アミンの代わりにTSL8350(東芝シリコーン
(株)製、シランカップリング剤)を用いた以外は実施
例5と同様の方法で平版印刷版を得、評価を行った。
【0131】実施例7 実施例5のプライマー層上に、下記の組成の液を塗布し
た後、180℃×3分間加熱処理して乾燥重量3g/m
2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0132】 〈親水性膨潤層〉 (1)親水性ポリマー 75重量部 (アクリルアミド/n−ブチルメタクリレート :70/30の共重合体) (2)合成例3のシリコーンの微粒子−1 15重量部 (3)エチレングリコールジグリシジルエーテル 10重量部 (4)精製水 900重量部 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、次に記す組
成の組成物を塗布量が1.0g/m2となるよう均一に
塗布し、100℃×3分間熱処理して直描型平版印刷用
原版を得た。
【0133】 〈感熱層組成〉 (1)ニトロセルロース(粘度1/2秒、窒素含有量11.0% “Bergerac NC”) (エス・エヌ・ピー・イージャパン(株)製) 25重量部 (2)カーボンブラック(#30 三菱化学(株)製) 15重量部 (3)3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 2重量部 (4)ポリビニルブチラール(#2000―L 電気化学工業(株)製) 20重量部 (5)イルガキュアー651(チバーガイギー(株)製) 7重量部 (6)メチルエチルケトン 700重量部 この印刷原版を感熱式イメージセッター TE―R10
70(大日本スクリーン(株)製)に装着し、画像露光
を行った。得られた印刷版を水道水を染み込ませた現像
パッド(3M製)で擦ることでポジ型の刷版を得た。得
られた版は実施例1と同様に評価した。
【0134】実施例8 実施例5のプライマー層上に、下記の組成の液を塗布し
た後、150℃×60分間加熱処理して乾燥重量2g/
2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0135】 〈親水性膨潤層〉 (1)アクリルアミド/n−ブチルメタクリレート 80重量部 :70/30の共重合体 (2)合成例3のシリコーンの微粒子−1 25重量部 (平均粒径3μm) (3)エチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (4)水性ラテックス“JSR0548” 15重量部 (大日本インキ化学工業(株)製、カルボキシ変性 スチレン−ブタジエン共重合ラテックス) (5)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (6)精製水 900重量部 次に、親水性膨潤層上に下記の組成の感光性組成物を塗
布し、100℃×2分間熱処理して感光性組成物1.0
g/m2 を親水性膨潤層中に含浸させた。
【0136】 〈感光性組成物〉 (1)キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート: 1/4モル比反応物 7重量部 (2)CH2 =CHCOO-(C 2 H 4 O)9-COCH=CH2 7重量部 (3)ミヒラー氏ケトン 2重量部 (4)2,4−ジエチルチオキサントン 2重量部 (5)メチルセロソルブ 22重量部 (6)精製水 50重量部 その後、厚さ12μmの片面マット化二軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムをマット化されていない面が該親水性膨
潤層と接するようにしてカレンダーローラーを用いてラ
ミネートし、ネガ型の平版印刷用原版を得た。
【0137】得られた平版印刷版原版は、実施例1と同
様の方法で製版し、評価を行った。
【0138】実施例9 実施例8において、親水性膨潤層を下記組成よりなる層
を用い、180℃で5分間処理し、乾燥膜厚3μmの厚
みを有する層とし、感光層を実施例1と同様の感光層と
した以外は実施例8と全く同様に版を作製し、評価し
た。
【0139】 〈親水性膨潤層〉 (1)合成例1の親水性ポリマー 50重量部 (2)“トレフィル”E601 45重量部 (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製平均粒径2μmのシリコー ンゴム弾性体微粒子、球状、エポキシ基含有) (3)TSL8350 5重量部 (東芝シリコーン(株)製、シランカップリング剤) (4)精製水 900重量部 実施例10 実施例9において、親水性膨潤層を下記組成よりなる層
を用い、180℃で5分間処理し、乾燥膜厚3μmの厚
みを有する層とした以外は実施例9と全く同様に版を作
製し、評価した。
【0140】 〈親水性膨潤層〉 (1)合成例1の親水性ポリマー 30重量部 (2)“SM5512” 70重量部 (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 シリコーンエマルジョン) (3)精製水 900重量部 また、非画線部の吸水量、水膨潤率を定義に従って測定
したところ、吸水量10.2g/m2、水膨潤率350
%であった。
【0141】比較例3 実施例10のプライマー層上に下記組成の親水性膨潤層
を塗設し、180℃で5分間処理し、乾燥膜厚3μmの
厚みを有する層とした。
【0142】 〈親水性膨潤層〉 (1)合成例1の親水性ポリマー 95重量部 (2)“SF8411” 5重量部 (東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製 エポキシ基含有変性シリコーンオイル) (3)精製水 400重量部 実施例1と同様の感光層を塗布したが、感光液の一部が
はじき満足な印刷版原版を得ることが出来なかった。
【0143】
【発明の効果】本発明の平版印刷版は、インキ反発層と
しての親水性膨潤層に少なくともシリコーン微粒子を含
有することで、耐刷性と高いインキ反発性が得られ、ま
た湿し水量のコントロール幅が拡大され、さらに、湿し
水に通常添加されるイソプロパノールなどの溶剤を用い
ることなく印刷が可能となる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも親水性膨潤層を有す
    る平版印刷版において、該親水性膨潤層がシリコーン微
    粒子を含有することを特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】該シリコーン微粒子が、シリコーンゴム弾
    性体微粒子であることを特徴とする請求項1記載の平版
    印刷版。
  3. 【請求項3】該シリコーン微粒子の粒径が0.1μm〜
    10μmであることを特徴とする請求項1または2のい
    ずれかに記載の平版印刷版。
  4. 【請求項4】該シリコーン微粒子の親水性膨潤層中に占
    める割合が2〜50重量%であることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版。
  5. 【請求項5】該親水性膨潤層が下記の性質を有すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷
    版。 吸水量 :1〜50g/m2 水膨潤率:10〜2000%
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