JPH0954429A - レーザー感応性平版印刷版原版およびその製版方法 - Google Patents

レーザー感応性平版印刷版原版およびその製版方法

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JPH0954429A
JPH0954429A JP21068995A JP21068995A JPH0954429A JP H0954429 A JPH0954429 A JP H0954429A JP 21068995 A JP21068995 A JP 21068995A JP 21068995 A JP21068995 A JP 21068995A JP H0954429 A JPH0954429 A JP H0954429A
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JP
Japan
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laser
printing plate
lithographic printing
hydrophilic
plate precursor
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Application number
JP21068995A
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English (en)
Inventor
Masanao Isono
正直 磯野
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レーザー感応性の親水性膨潤層をインキ反撥性
層として使用することにより、レーザー感応性を損うこ
となく効率良くインキを反撥する。 【解決手段】本発明は、基板上にレーザー感応性で、相
分離構造を有する親水性膨潤層を積層したレーザー感応
性平版印刷版に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像処理が簡易で
耐刷性に優れたオフセット印刷用レーザー感応性平版印
刷版原版およびその製版方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来製版には、版下原稿からポジティブ
ワーキングまたはネガティブワーキング原画フィルムを
作製し、感光性平版印刷版原版に真空密着露光し、画像
を焼き付け、現像工程を経て刷版とする方法が広く普及
していた。
【0003】一方、近年コンピュータの普及につれて、
版材構成ともに種々の平版印刷版の製版方法が提案され
ている。すなわち、該原画フィルムを介することなく電
子組版機やDTP(デストップパブリッシュメント)機
などで編集、作製された電子的な版下原稿データ(印刷
画像情報)を、レーザーなどを用いて直接原版に印字し
製版するCTP(コンピュータ・ツウ・プレート)型の
印刷版原版および製版システムが多数提案されている。
【0004】該CTP型の印刷版原版としては、感光
型、感熱型、感電気エネルギー型などが挙げられる。こ
れらのうち感光型、感電気エネルギー型の印刷版原版
は、版材価格がPS版と比較して高価であり、また製版
装置などの周辺機器も大型かつ高価であるため実用化に
は至っていない。さらに、これらの版材は現像液の廃液
処理に関してもPS版と同様の問題を有する。
【0005】感熱型の印刷版原版は社内印刷を初めとす
る軽印刷用途において実用性のある提案がなされてい
る。例えば、特開昭63−64747号公報、特開平1
−113290号公報などに、支持体上に設けられた感
熱層に分散させた熱溶融樹脂および熱可塑性樹脂を熱印
字により溶融し、加熱部分を親水性から疎水性に変化さ
せる印刷版原版が提案されている。また、米国特許公報
4034183号公報、米国特許公報4063949号
公報では、支持体上に設けられた親水性ポリマをレーザ
照射し親水性基を消失させ、親油性に転換させる印刷版
原版が提案されている。しかし、これらの印刷版原版
は、版表面に残留した熱溶融物質によって非画線部がイ
ンキ受容し汚れたり、また耐刷性が不十分であった。
【0006】特開平3−108588号公報、特開平5
−8575号公報では、支持体上にマイクロカプセル化
された熱溶融物質とバインダポリマとからなる感熱記録
層を塗設し、加熱部分を親油性に変化させる印刷版原版
が提案されている。しかしながら、マイクロカプセル化
された熱溶融物質はいずれも反応性示さず、耐刷性にお
いて不十分なものであった。一方、特開昭62−164
596号公報、特開昭62−164049号公報では、
親水性表面を有する支持体上に活性水素を含有したバイ
ンダポリマおよびブロック化イソシアネートとからなる
記録層を設けた印刷版原版が提案されている。しかしな
がらこの印刷版は印字後、非印字部分を除去する現像工
程が必要であった。
【0007】さらにCTP型の印刷版原版として親水性
層表面に画線部をインキジェットやトナー転写等を用い
て画像形成する直描型平版印刷原版が提案されている。
【0008】たとえば特開昭62−1587号公報に
は、マイクロカプセル化した非反応性の熱溶融性物質を
塗布し、加熱印字によってトナー受理層を形成する方法
が提案されている。しかしながら、形成されたトナー受
理層に更に親油性のトナーを固着させるなど、刷版形成
には印字後後処理が必要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
従来のCTP型の印刷版原版における、版性能、製版装
置、製版作業性および価格などの面での問題を解決する
べく、低価格で、製造、製版工程が簡便であり、かつ、
画像再現性に優れたCTP型の印刷版原版の開発を鋭意
検討した結果、相分離構造を有する感熱性の親水性膨潤
層をインキ反撥層とした平版印刷版を用いることで実現
できることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。
【0011】(1) 基板上にレーザー感応性の親水性
膨潤層を備えた平版印刷版原版であって、親水性膨潤層
から主としてなる非画線部が少なくとも親水性ポリマを
主成分とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の
少なくとも2相から構成された相分離構造を有すること
を特徴とするレーザー感応性平版印刷版原版。
【0012】(2) 親水性膨潤層が熱硬化性の親油性
成分を含むことを特徴とする(1)記載のレーザー感応
性平版印刷版原版。
【0013】(3) 熱硬化性の親油性成分がエチレン
性不飽和基含有化合物であることを特徴とする(2)記
載のレーザー感応性平版印刷版原版。
【0014】(4) 親水性膨潤層が有機過酸化物を含
有することを特徴とする(1)記載のレーザー感応性平
版印刷版原版。
【0015】(5) 親水性膨潤層がレーザーの発光波
長領域に吸収帯を有する光−熱変換物質を含有すること
を特徴とする(1)記載のレーザー感応性平版印刷版原
版。
【0016】(6) 疎水性ポリマが、水性エマルジョ
ンから主として構成されることを特徴とする(1)記載
のレーザー感応性平版印刷版原版。
【0017】(7) 疎水性ポリマが、共役ジエン系化
合物を含有するラテックスから主として構成されること
を特徴とする(1)記載のレーザー感応性平版印刷版原
版。
【0018】(8) 基板と親水性膨潤層の間にプライ
マー層を備えることを特徴とする(1)記載のレーザー
感応性平版印刷版原版。
【0019】(9) (2)記載のレーザー感応性平版
印刷版原版の版表面にレーザー光線を照射し、画線部に
対応した部分の親水性膨潤層内の親油性成分を熱硬化さ
せることを特徴とするレーザー感応性平版印刷版の製版
方法。
【0020】(10) レーザー感応性平版印刷版原版
の非画線部に対応した部分の親水性膨潤層内の親油性成
分を版面を湿潤させることによって除去することを特徴
とする(9)記載のレーザー感応性平版印刷版の製版方
法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のレーザー感応性平版印刷
版原版は、親水性ポリマを主成分とする相および疎水性
ポリマを主成分とする相の少なくとも2相から構成され
た相分離構造を有する親水性膨潤層がインキ反撥性を示
し、非画線部の主成分を構成する。
【0022】該親水性膨潤層は3次元架橋構造を有する
ことで、湿し水に対する過度の膨潤を抑制し、支持体と
の間で接着力を発現し、かつ、機械的強度を維持し耐刷
性を実用レベルに高めることが可能となる。
【0023】親水性ポリマの3次元架橋構造は、レーザ
ー照射と同時あるいは印字後に形成することが可能であ
る。すなわち製版前には該親水性ポリマが3次元架橋構
造をとらず、印字後架橋構造を形成することも可能であ
るが、製版装置への版取扱い時などにおける傷つき防止
の観点からは、製版前の印刷版原版の段階において3次
元架橋構造が形成が完了していることが好ましい。
【0024】本発明に用いられる親水性ポリマについて
説明する。
【0025】本発明の効果を有効に発現する親水性ポリ
マとしては、カルボン酸塩系共重合体が挙げられる。本
発明に好ましく用いられるカルボン酸塩系共重合体とし
ては、吸水性および耐久性の観点から、カルボキシル
基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸イミ
ド、カルボン酸無水物などのカルボキシル基またはカル
ボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個または2個有
するα、β−不飽和化合物をモノマ成分として含有する
カルボン酸系共重合体のケン化反応物が挙げられる。
【0026】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタク
リル酸アミド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン
酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン
酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必
要な親水性を示す範囲で共重合可能な他のモノマ成分と
組合わせることが可能である。
【0027】共重合可能な他のモノマ成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリロニトリルなどのα−オレフィン、ビニ
ル化合物、ビニリデン化合物などが挙げられる。
【0028】他のモノマと組合わせる場合、カルボキシ
ル基もしくはこれに転化しうる基を含有するα、β−不
飽和化合物は、通常全モノマ成分中10モル%以上で、
40モル%以上であることがより好ましい。
【0029】カルボキシル基またはこれに転化しうる基
を含有するα、β−不飽和化合物をモノマとして含有す
る重合体は、通常ラジカル重合により調整される。重合
度は特に限定されるものではない。
【0030】このように調整される該重合体の中でも特
に、アクリル酸、メタクリル酸との重合体または共重合
体、α−オレフィン、ビニル化合物と無水マレイン酸と
の共重合体が好ましい。
【0031】これらの重合体または共重合体は、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、バリウムなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物また
は炭酸塩などの化合物、アンモニア、アミンなどを用い
てケン化反応させることによる親水性付与が好ましく行
なわれる。これらの反応は、該重合体または該共重合体
を各種の有機溶媒または水に溶解または分散させ、そこ
に前記したアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、アンモニア、アミンなどを撹拌下に添加することに
よって実施される。
【0032】このようなカルボン酸塩系共重合体の中で
も、ビニルエステル/(メタ)アクリル酸エステル共重
合体が、親水性膨潤層が適度な水膨潤性を示し、かつ印
刷耐久性およびインキ反撥性の両者を満足させる点で好
ましい。
【0033】本発明に好ましく用いられるビニルエステ
ル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体(以下の説明
で(メタ)□□□□とあるのは、□□□□またはメタ□
□□□を略したものである。)は公知の方法を用いて製
造することができる。例えば高分子化学、7巻、142
頁(1950)。すなわち、重合方式によって適宜選択
されるが、例えばジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾ
イルパーオキシドなどのパーオキシド類、過硫酸アンモ
ニウムなどの過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル
などのアゾ化合物などの重合開始剤を用いたラジカル重
合によって合成される。重合方式としては、溶液重合、
乳化重合、懸濁重合などが摘要される。該共重合体中の
(メタ)アクリル酸エステル成分が少ないと吸水性が小
さく、多すぎると高吸水状態となり膜強度が極端に低下
する傾向にある。
【0034】従って、出発物質となる該共重合体中にお
ける(メタ)アクリル酸エステル成分の割合は、一般に
20〜80mol%の範囲にあることが好ましく、吸水
性および含水時の力学強度を両立させるためには30〜
70mol%であることが好ましい。
【0035】本発明に用いられるビニルエステルとして
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニルなどが挙げられる。また(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、
具体的にはメチルエステル、エチルエステル、n−プロ
ピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエス
テル、t−ブチルエステルが挙げられる。
【0036】上記に説明した共重合体はアルカリ触媒の
存在下でケン化反応することが好ましい。ケン化反応に
用いられる溶媒としてはアルコールおよびアルコール水
溶液が好ましい。また、ケン化反応に用いられる触媒と
しては公知のアルカリ触媒が用いられるが、特に水酸化
ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化
物が好ましい。ケン化反応は20〜80℃で1〜10時
間で終結する。また、本発明のケン化反応物は、公知の
方法によって塩を任意に変えることが可能である。通常
用いられる塩形成物質としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノメチルアミ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプ
ロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−
ジメチルイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、ベンジルアミン、アニリン、ピリジンなどが挙げら
れる。
【0037】またマグネシウム、カルシウムなどのアル
カリ土類金属塩類の多価金属塩類も前記の塩と混合塩の
形態で添加することが可能である。
【0038】また本発明の効果を有効に発現する親水性
ポリマとして、N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体
が挙げられる。
【0039】N−ビニルカルボン酸アミド系共重合体と
は、下記一般式(I)で示されるN−ビニルカルボン酸
アミド(以下、NVAと略す)を必須の繰り返し単位と
する共重合体(以下、NVA系共重合体と略する)を意
味する。
【0040】
【化1】 (ここでR1 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基、R2 は水素原子またはメチル基、フェニル基、R3
は水素原子または炭素数1〜8の直鎖または分岐アルキ
ル基を表わす。) NVAの具体例としては、N−ビニルホルムアミド、N
−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル安息香酸アミ
ド、N−メチル−N−ビニル安息香酸アミド、N−フェ
ニル−N−ビニルアセトアミド、N−フェニル−N−ビ
ニル安息香酸アミドなどが挙げられるが、本発明はこれ
らの例に限定されるものではない。
【0041】本発明に好ましく用いられるNVA系共重
合体は、吸水性および耐久性の観点から、カルボキシル
基、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸イミ
ド、カルボン酸無水物などのカルボキシル基またはカル
ボキシル基に誘導しうる基を分子中に1個または2個有
するα、β−不飽和化合物を共重合単位として含有する
ことが好ましい。
【0042】α、β−不飽和化合物の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタク
リル酸アミド、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン
酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸、クロトン
酸、フマル酸、メサコン酸などが挙げられ、本発明に必
要な親水性を示す範囲で共重合可能な他のモノマ成分と
組合わせることが可能である。
【0043】共重合可能な他のモノマ成分の例として
は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブチレ
ン、ジイソブチレン、メチルビニルエーテル、スチレ
ン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステル、アクリロニトリルなどのα−オレフィン、ビニ
ル化合物、ビニリデン化合物などが挙げられる。
【0044】他のモノマと組合わせる場合、NVA単位
は、通常全モノマ成分中10モル%以上で、40モル%
以上であることがより好ましい。
【0045】NVAを含有する重合体は、通常ラジカル
重合により調整される。重合度は特に限定されるもので
はない。
【0046】NVA系共重合体の具体例としては、以下
のポリマが挙げられる。
【0047】ポリ(N−ビニルアセトアミド)、N−ビ
ニルアセトアミド/(メタ)アクリル酸共重合体および
その部分または完全中和物(「部分または完全中和物」
とは、共重合体中のカルボン酸、スルフォン酸、リン酸
など重合性官能基中の水素イオンの一部または全部がナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウ
ム、バリウムなどの金属土類塩化に置換されたものを意
味する)、N−ビニルアセトアミド/クロトン酸共重合
体およびその部分または完全中和物、N−ビニルアセト
アミド/マレイン酸共重合体およびその部分または完全
中和物、N−ビニルアセトアミド/フマル酸共重合体お
よびその部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミ
ド/シトラコン酸共重合体およびその部分または完全中
和物、N−ビニルアセトアミド/ケイ皮酸共重合体およ
びその部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド
/ビニルスルフォン酸共重合体およびその部分または完
全中和物、N−ビニルアセトアミド/無水マレイン酸共
重合体およびその部分または完全中和物、N−ビニルア
セトアミド/イタコン酸共重合体およびその部分または
完全中和物、N−ビニルアセトアミド/アコニット酸共
重合体およびその部分または完全中和物、N−ビニルア
セトアミド/3−ブテノン酸共重合体およびその部分ま
たは完全中和物、N−ビニルアセトアミド/4−ペンテ
ン酸共重合体およびその部分または完全中和物、N−ビ
ニルアセトアミド/アリルスルフォン酸共重合体および
その部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/
メタリルスルフォン酸共重合体およびその部分または完
全中和物、N−ビニルアセトアミド/アリルリン酸共重
合体およびその部分または完全中和物、N−ビニルアセ
トアミド/カルボキシエチルアクリレート共重合体およ
びその部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド
/2−アクロイルエチルリン酸共重合体およびその部分
または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/3−アク
ロイルプロピルリン酸共重合体およびその部分または完
全中和物、N−ビニルアセトアミド/8−メタクリロイ
ルオクチルリン酸共重合体およびその部分または完全中
和物、N−ビニルアセトアミド/2−アクリルアミド−
n−プロパンスルフォン酸共重合体およびその部分また
は完全中和物、N−ビニルアセトアミド/2−アクリル
アミド−n−オクタンスルフォン酸共重合体およびその
部分または完全中和物、N−ビニルアセトアミド/2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸共重
合体およびその部分または完全中和物などが挙げられ
る。
【0048】このように調整される該重合体の中でも特
に、NVAとアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン
酸などカルボン酸塩系の共重合体は、親水性膨潤層が適
度な水膨潤性を示し、かつ印刷耐久性およびインキ反撥
性の両者を満足させる点から好ましい。
【0049】本発明の親水性膨潤層には発明の効果を損
わない範囲で公知の親水性ポリマを加えることが可能で
ある。公知の親水性ポリマとしては、以下の例を挙げる
ことができる。
【0050】(A)天然高分子類。
【0051】デンプン−アクリロニトリル系グラフト重
合体加水分解物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合
体、デンプン−スチレンスルフォン酸系グラフト重合
体、デンプン−ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、
デンプン−アクリルアミド系グラフト重合体、カルボキ
シル化メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、キサントゲン酸セルロース、セルロース−アクリ
ロニトリル系グラフト重合体、セルロース−スチレンス
ルフォン酸系グラフト重合体、カルボキシメチルセルロ
ース系架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲ
ン、ミルクカゼイン、酸カゼイン、レンネットカゼイ
ン、アンモニアカゼイン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼ
イン、グルー、ゼラチン、グルテン、大豆蛋白、アルギ
ン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウ
ム、アルギン酸ナトリウムアラビヤガム、トラガカント
ガム、カラヤガム、グアールガム、ロカストビーンガ
ム、アイリッシュモス、大豆レシチン、ペクチン酸、澱
粉、カルボキシル化澱粉、寒天、デキストリン、マンナ
ンなど。
【0052】(B)合成高分子類。
【0053】ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド、ポリ(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキ
サイド)、水性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート系ポリマ、ポリ
(ビニルメチルエーテル-co-無水マレイン酸)、無水マ
レイン酸系共重合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重
合体、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト系架橋重合体など。
【0054】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0055】次に本発明の親水性膨潤層に用いられる疎
水性ポリマについて説明する。
【0056】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0057】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0058】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0059】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、スチレ
ン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アクリロニ
トリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、メタク
リル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略す)、
クロロプレン系などが挙げられる。
【0060】アクリル系ラテックスとしては、アクリル
酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須成分とし
た共重合体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン
などの少なくとも1種以上を共重合したものが挙げられ
る。
【0061】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独またはアクリル酸エステル、高級酢酸ビニルエ
ステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
【0062】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0063】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0064】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0065】れる疎水性ポリマとしてはSB系、NB
系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン系化合物
を含有するラテックスが挙げられる。
【0066】ここで言う共役ジエン系ゴムとしては、
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン
(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン(クロロプレン)
など1,3−位に炭素−炭素二重結合を有する非置換ま
たは置換1,3−ブタジエン骨格を有する化合物を意味
し、これらを必須成分とする単独またはブロック共重合
ゴム(ポリマ)が挙げられる。
【0067】ブロック共重合ゴムとしては、1,3−ブ
タジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)などの1,3−ジエンと、常温でガラス状重合体を
与えるスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのモノビニル置換芳香族化合物とのブロック共重合
体が挙げられる。
【0068】このような共重合ゴムとしては、種々の公
知のタイプが例示できるが、A−B−Aタイプのブロッ
ク共重合ゴム(ここでAはモノビニル置換芳香族化合物
からなり、好ましくはガラス転移点が70℃以上で、重
合度が10〜2500である重合体セグメントを意味
し、Bは1,3−ジエンを意味し、好ましくは数平均分
子量が500〜25000である非晶性重合体セグメン
トを意味する)などを好ましく挙げることができる。ま
た該ブロック共重合ゴムの水素添加物も同様である。
【0069】本発明に用いられる単独および共重合ゴム
の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン
(天然ゴムを含む)、ポリクロロプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体
(例えばブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート
共重合体)、メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソ
プレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合
体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−クロロプレン共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体などが挙げられる。
【0070】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスは、公知の方法で作製され、例えば必
須成分として共役ジエン系化合物を含むビニルモノマ組
成物に対して0.1〜20重量%の乳化重合分散剤(界
面活性剤など)と2〜50重量%の水を含む水性媒体中
で脱気窒素置換し、乳化させ、必要に応じて通常の乳化
重合に用いられる添加剤(分子量調整剤、酸化防止剤な
ど)を加えたのち、乳化重合用開始剤(例えば過酸化水
素、過硫酸カリウムなど)を添加し、常法に従って乳化
重合させることによって得ることができる。
【0071】原料ビニルモノマ組成物中、共役ジエン系
化合物以外に用いられるビニルモノマとしては特に限定
されないが、主として下記のI群:疎水性モノマ、II
群:親水性モノマ、III 群:架橋性モノマの3つの群に
分類できる。
【0072】I群:疎水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する疎水性ビニルモノマ(ここで言う疎水性と
は20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下の
ものを意味する)で、アクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレ
フィン類などが挙げられる。
【0073】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2
−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、フェニルアクリレート、2−メトキシエ
チルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートな
どが挙げられる。
【0074】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリ
レート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、ベンジルメタクリレート、アセトアセトキ
シエチルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、フルフリルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニル
メタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリ
レート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エト
キシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0075】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテー
ト、ビニルメトキシアセテート、ビニルアセトアセテー
ト、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香
酸ビニルなどが挙げられる。
【0076】スチレン類の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフル
オルメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メト
キシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ト
リクロルスチレン、ブロムスチレンなどが挙げられる。
【0077】オレフィン類の具体例としては、プロピレ
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンなどを挙げることができ
る。
【0078】その他アクリロニトリル、無水マレイン酸
なども挙げられる。
【0079】II群:親水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する親水性ビニルモノマで、(ここで言う親水
性とは、水に対する溶解度が大きく単独での水系乳化重
合が不可能なモノマを意味する)アミノ基、カルボキシ
ル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などの官能基
を有するモノマが挙げられる。
【0080】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ter
t−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチ
ルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0081】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イ
タコン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、
マレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルな
ど)、シトラコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル
酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げ
られる。
【0082】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、アク
リロイルオキシアルキルスルフォン酸(例えばアクリロ
イルオキシメチルスルフォン酸、アクリロイルオキシプ
ロピルスルフォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフ
ォン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルフォ
ン酸(例えばメタクリロイルオキシメチルスルフォン
酸、メタクリロイルオキシメチルスルフォン酸、メタク
リロイルオキシプロピルスルフォン酸、メタクリロイル
オキシブチルスルフォン酸など)、アクリルアミドアル
キルスルフォン酸(例えば2−アクリルアミド−2−メ
チルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルブタンスルフォン酸など)、メタクリルアミドア
ルキルスルフォン酸(例えば2−メタクリルアミド−2
−メチルエタンスルフォン酸,2−メタクリルアミド−
2−メチルプロパンスルフォン酸、2−メタクリルアミ
ド−2−メチルブタンスルフォン酸など)が挙げられ
る。
【0083】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0084】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0085】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0086】III 群:架橋性モノマとしては、反応性架
橋基(グリシジル基、ヒドロキシメチルアミド基、アル
コキシメチルアミド基、アシロキシメチルアミド基、イ
ソシアネート基など)を有するモノマ類および2つ以上
のビニル基を有する多官能性モノマが挙げられる。
【0087】グリシジル基を有するモノマの具体例とし
ては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、p−ビニル安息香酸グリシジル、グリシジルクロ
トネート、ジグリシジルイタコネート、ジグリシジルマ
レエート、ジグリシジルメチレンマロネート、グリシジ
ルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル−α−クロルアクリレートなどが挙げられる。
【0088】ヒドロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、ヒドロキシメチルアクリルアミド、
ヒドロキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0089】アルコキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、メトキシメチルアクリルアミド、メ
トキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルメタクリルアミド、ブトキシ
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミ
ド、ヘキシルオキシメチルメタクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0090】アシロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、アセトキシメチルアクリルアミド、
アセトキシメチルメタクリルアミド、プロピオニルオキ
シメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0091】イソシアネート基を有するモノマの具体例
としては、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0092】多官能モノマの具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート(エ
チレン数n=1〜23)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(エチレン数n=1〜23)、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレートなどが挙げられる。
【0093】本発明に好ましく用いられるラテックスを
作製する際の適当なモノマの組合わせとしては、必須成
分である共役ジエン系化合物に加えて (1)少なくとも1種以上のI群モノマの共重合体 (2)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマとの共重合体 (3)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマおよび少なくとも1種以上のII
I 群モノマとの共重合体 (4)少なくとも1種以上のI群モノマおよびIII 群モ
ノマの共重合体 などの組合わせが挙げられるが、本発明はこれらの組合
わせに限定されない。
【0094】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスの具体例としては、JSR0561
(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0589(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0602(SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0700(ブタジエン
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR21
08(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0650(ビニルピリジン−SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0652
(ビニルピリジン−SB共重合ラテックス:日本合成ゴ
ム(株)製)、JSR0545(カルボキシ変性SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR05
48(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成
ゴム(株)製)、JSR0596(カルボキシ変性SB
共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0
597(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、JSR0598(カルボキシ変性S
B共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR
0619(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本
合成ゴム(株)製)、JSR0624(カルボキシ変性
SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JS
R0640(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR0693(カルボキシ変
性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0696(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0854(カルボキシ
変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、
JSR0863(カルボキシ変性SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0898(カルボ
キシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、ラックスター4940B(カルボキシ変性NB共
重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラ
ックスター68−073S(カルボキシ変性NB共重合
ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラック
スターDN−704(カルボキシ変性NB共重合ラテッ
クス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター
DN−702(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:
大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター68−
074(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本
インキ化学工業(株)製)、ラックスターDN−703
(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ
化学工業(株)製)、ラックスターDM−801(カル
ボキシ変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工
業(株)製)、ラックスターDM−401(カルボキシ
変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスター4950C(カルボキシ変性
MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)
製)、ラックスターDM−806(カルボキシ変性MB
共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)な
どが挙げられる。
【0095】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0096】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または疑
似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に積
層形成される。
【0097】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0098】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0099】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0100】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、アルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0101】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0102】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0103】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0104】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0105】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0106】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0107】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0108】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0109】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシア
ネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシア
ネート付加反応物が挙げられる。
【0110】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じて公知の有機溶剤を
添加することが可能である。有機溶剤の添加方法として
は重合溶媒として添加する方法、および乳化重合後エマ
ルジョン溶液に混合溶媒として添加する方法が可能であ
る。
【0111】次に本発明の親水性膨潤層のレーザー感応
性成分について説明する。
【0112】親水性膨潤層は、熱硬化性の親油性成分を
含有することが好ましい。該熱硬化性の親油性成分は、
熱により画像部に転換するものである。
【0113】本発明に用いられる親油性成分としては、
レーザ照射に伴う加熱によって画像部に転換することが
必要であることから、親油性エチレン性不飽和基含有化
合物が好ましく用いられる。
【0114】特に親油性エチレン性不飽和基含有化合物
は、加熱により親水性膨潤層内で熱重合させて親水性を
阻害し、インキ着肉性の画像部に転換することが有利に
行なわれる。
【0115】本発明の親油性のエチレン性不飽和基含有
化合物とは20℃において、水に対する溶解度が8重量
%以下の熱重合可能なモノマまたはオリゴマを意味す
る。
【0116】親油性エチレン性不飽和基含有化合物の具
体例としては、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、テトラメチロールプロパンテトラまたはトリ(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イ
ソボロニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)
アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソ
デシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、トリス(2−アク
リロキシプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられ
る。中でも本発明に好ましく用いられる親油性のエチレ
ン性不飽和基含有化合物の具体例としては、下記一般式
(II)で表わされる化合物が挙げられる。
【0117】 CH2 =C(R1 )−CO−O−(CH2 )n −R2 (II) (ここで、R1 は水素またはメチル基を表わす。R2 は
水素、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル
基、ニトロ基、アジド基、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数4〜20の置換または無置換のアリール基、
置換または無置換のアラルキル基、アクリロキシ基、メ
タアクリロイロキシ基を表す。nは1〜30の整数。) 具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0118】
【化2】 nは上記一般式で表わされる化合物の平均値を意味す
る。すなわち、上記一般式で表わされる化合物はnに分
布を持った混合物からなる。
【0119】これらの化合物はインキ着肉性の点からn
は4〜30の整数であることが好ましく、8〜13が更
に好ましい。nが3以下の場合、親油性が不足し、イン
キ着肉性が不足する傾向にある。nが31以上である
と、重量あたりの不飽和基当量が不足し感光性が低下す
る。例えば、nが4,5,6,7,8,9,10,1
3,22などの化合物を用いることができる。
【0120】上記一般式(II)以外の本発明に好ましく
用いられる親油性のエチレン性不飽和化合物の具体例と
しては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレ
ート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタク
リレートなどが挙げられるが、本発明はこれらの例に限
定されない。
【0121】これらの親油性のエチレン性不飽和基含有
化合物は、単独または2種以上を適宜混合して使用する
ことが可能である。また本発明の効果を損わない範囲
で、公知の親水性のエチレン性不飽和基含有化合物を混
合添加することも可能である。
【0122】親油性のエチレン性不飽和基含有化合物を
親水性ポリマとの間、あるいは該エチレン性不飽和基含
有化合物自身で反応させ、インキ着肉性の画像部に転換
するため、有機過酸化物などに代表される熱重合開始剤
を親水性膨潤層に添加することが行なわれる。
【0123】有機過酸化物の具体例としては、パーオキ
サイド、オキシケタール、パーオキシケタール、ハイド
ロパーキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシル
パーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカ
ーボネートなどが挙げられる。
【0124】具体的には、アセチルシクロヘキシルスル
フォニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、
クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパ
ーオキシジカルボネート、ジアリルパーオキシジカルボ
ネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、
ジミリスチルパーオキシジカルボネート、クミルパーオ
キシネオヘキサノエート、ジ(2−エトキシエチル)パ
ーオキシジカルボネート、ジ(メトキシイソプロピル)
パーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)
パーオキシジカルボネート、t−ヘキシルパーオキシネ
オデカノエート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチ
ル)パーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサ
ノエート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキ
シルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバ
エート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキ
サイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオ
キシオクタノエート、サクシニックアシッドパーオキサ
イド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
(2−エチルヘキサノエート)、m−トルオイルパーオ
キサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t
−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパ
ーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5
−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオ
キサオド、t−ブチルパーオキシアリルカルボネート、
t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタ
ン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バリレート、ジ−t−ブチルパーオキシ
イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、
ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α′−ビス
(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼ
ン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン−3、1,1,3,3,−テトラメチルブ
チルハイドロパーオキサイド、2,5−ジヒドロパーオ
キサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパー
オキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、
アセチルアセトンパーオキサイド、ビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブ
チルパーオキシアリルカーボネイト、シクロヘキサノン
パーオキシド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチル
パーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロドデカン、クメンハイドロパーオキシ
ド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシ
ド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、
t−ヘキシルパーオキシベンゾエートなどが挙げられ
る。
【0125】これらの有機過酸化物のなかでも、レーザ
ー照射に対する感度および保存安定性を両立させる観点
から、室温付近では安定で高温で急速に分解するものが
好ましい。すなわち、有機過酸化物の安定性の指標であ
る「半減期10時間を得るための分解温度」が、50℃
以上で170℃以下の範囲であることが好ましい。さら
に好ましくは60℃以上で140℃以下である。
【0126】親水性膨潤層に該熱重合開始剤を添加する
方法としては、マイクロカプセル化して親油性成分に添
加したり、親水性膨潤層内に単純分散することが可能で
ある。
【0127】また、本発明の親油性成分を親水性膨潤層
に添加する方法としてマイクロカプセル化することも可
能である。
【0128】マイクロカプセル化の方法については、例
えば「マイクロカプセル化の新技術とその用途開発・応
用実例」経営開発センター経営教育部編、経営開発セン
ター出版部編(1978)などに記載の公知の方法が用
いられる。すなわち、互いに溶解しあわない2つの液体
界面で、予め各々の液体に添加されたモノマを液体界面
で重縮合し、両溶媒に不溶なポリマ膜を形成し、カプセ
ル化する界面重合法、芯物質の内部または外側のどちら
か一方にみからリアクタントを供給し、芯物質の周囲に
ポリマ壁を形成させるin−situ法、親水性ポリマ
溶液中に分散させた疎水性物質の表面に、親水性ポリマ
を相分離させ、カプセル膜を作るコンプレックスコアセ
ルベート法、有機溶液系からの相分離法などが挙げられ
る。
【0129】本発明の親水性膨潤層には、マイクロカプ
セルの熱破壊促進、熱反応の促進などの観点から、ニト
ロセルロースなどに代表される自己酸化性化合物、置換
シクロプロパン、キュバンなどに代表される高歪み化合
物などが添加することも可能である。
【0130】またレーザー感応性を向上させる観点か
ら、用いるレーザーの発光波長領域に吸収帯をを有する
光−熱変換物質を添加することが好ましい。
【0131】例えば、「JOEMハンドブック2:アブ
ソープションスペクトル オブ ダイズ フォ ダイオ
ードレーザーズ」松岡賢著,ぶんしん出版(199
0)、「90年代機能性色素の開発と市場動向」シーエ
ムシー編(1990)などに記載されている公知の色素
が用いられる。例えば、ポリメチン系色素(シアニン色
素)、フタロシアニン系色素、ジチオール金属錯塩系色
素、ナフトキノン、アントラキノン系色素、トリフェニ
ルメタン系色素、アミニウム、ジインモニウム系色素、
アゾ系色素、インドアニリン金属錯塩系色素、分子間C
T錯体型色素などが挙げられる。
【0132】具体的には、N−[4−[5−(4−ジメ
チルアミノ−2−メチルフェニル)−2,4−ペンタジ
エニリデン]−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエ
ン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウムア
セテート、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−3−フェニル−2−ペンテン−4−イン−1−
イリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデ
ン]−N,N−ジメチルアンモニウムパークロレート、
N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N−
[4−[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)
アミノ]フェニル]アミニウムヘキサフルオロアンチモ
ネート、5−アミノ−2,3−ジシアノ−8−(4−エ
トキシフェニルアミノ)−1,4−ナフトキノン、N′
−シアノ−N−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェ
ニル)−1,4−ナフトキノンジイミン、4,11−ジ
シアノ−2−(3−メトキシブチル)−1−オキソ−3
−チオキソピロロ[3,4−b]アントラセン−5,1
0−ジオン、5,16(5H,16H)−ジアザ−2−
ブチルアミノ−10,11−ジチアジナフト[2,3−
a:2′,3′−c]−ナフタレン−1,4−ジオン、
ビス(ジクロロベンゼン−1,2−ジチオール)ニッケ
ル(2:1)テトラブチルアンモニウム、テトラクロロ
フタロシアニンアルミニウムクロライド、ポリビニルカ
ルバゾール−2,3−ジシアノ−5−ニトロ−1,4−
ナフトキノン錯体などが挙げられる。
【0133】またマイクロカプセルの熱破壊を促進する
目的で、親油性成分と共に加熱されると気化または体積
膨張する物質として60〜100℃近辺に沸点を有する
炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトンな
どを該カプセル内に添加することも可能である。例え
ば、シクロヘキサン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エ
チル、メチルエチルケトン、トトラヒドロフラン、t−
ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、1,1,
1−トリクロロエタンなどが挙げられる。
【0134】また、製版後の検版性を得る目的から、レ
ーザー照射部分のみが発色する公知の感熱色素を親油性
成分と併用することも好ましい。感熱色素の具体例とて
は、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフ
ルオランとビスフェノールAといったロイコ染料および
粉砕した顕色剤の組合わせなどが挙げられる。
【0135】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0136】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な相分離構造を実現しインキ
反撥性を向上させる点から好ましい。
【0137】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0138】次に本発明に言う親水性膨潤層の相分離構
造について説明する。
【0139】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反撥性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。該相分離構
造を構成する親水性ポリマ相と疎水性ポリマ相の組成比
は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。
【0140】すなわち本発明に用いられる親水性膨潤層
の好ましい相分離構造は、該層が有するゴム弾性および
水膨潤性によって異なるが、親水性ポリマの親水性の程
度によって異なる。
【0141】(1)の形態をとる場合、疎水性ポリマ相
が主として連続相であるためには、疎水性ポリマの組成
が50重量%以上であり、60〜95重量%であること
が好ましく、70〜90重量%であることが更に好まし
い。疎水性ポリマの組成比が50重量%以下となると親
水性膨潤層のインキ反撥層としての性能は印刷初期にお
いては向上するが、印刷耐久性が急激に低下する傾向に
ある。一方、疎水性ポリマの組成比が95重量%を越え
ると親水性膨潤層内の親水性ポリマが十分に吸水でき
ず、親水性が不足してインキ反撥性が極端に低下する傾
向にある。
【0142】(2)および(3)の形態をとる場合、親
水性ポリマおよび疎水性ポリマの両者が20重量%以上
であり、40重量%以上であることが好ましい。
【0143】該親水性膨潤層はゴム弾性を有することが
好ましい。
【0144】親水性膨潤層のゴム弾性は以下に説明する
方法によって測定された初期弾性率の値によって特徴付
けられる。
【0145】[親水性膨潤層の初期弾性率の測定方法]
測定しようとする感光性平版印刷版原版の親水性膨潤層
の組成と同一組成の溶液をテフロンシャーレ上に展開
し、60℃×24時間乾燥硬化させる。得られた乾燥硬
化膜は剃刀刃などを用いて、長さ40mm、幅1.95
mm、厚み約0.2mmの短冊状のテストピースに裁断
する。
【0146】得られたテストピースは、測定前に25℃
50%RHの環境にて24時間以上放置し調湿したの
ち、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張り条
件で初期弾性率を測定した。データ処理はJIS K6
301に準じて行なった。
【0147】 引張り速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰り返し数 4回 測定機 「RTM−100」テンシロン万能試験機 ((株)オリエンテック製) 本発明の感光性平版印刷版原版に用いられる親水性膨潤
層の初期弾性率は、0.01〜10kgf/mm2 の範
囲にあることがインキ反撥性および形態保持性の観点か
ら好ましい。より好ましくは、0.01〜5kgf/m
m2 の範囲であり、0.01〜2kgf/mm2 の範囲
が更に好ましい。
【0148】すなわち初期弾性率が、0.01kgf/
mm2 未満になると親水性膨潤層の形態保持性が極端に
低下し、印刷時の耐久性が極端に低下する傾向にある。
【0149】一方該初期弾性率が10kgf/mm2 よ
り大きくなるとゴム弾性が不足し、インキ反撥性が極端
に低下する傾向にある。
【0150】本発明に用いられる親水性膨潤層厚さは、
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.3〜10g/m2 である。該厚みが0.3g/m2
未満になると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 以上は水膨潤時の形態保持性が劣
化する傾向にあり経済的にも不利である。
【0151】次に本発明の保護層について説明する。
【0152】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版の
親水性膨潤層の表面には、該親水性膨潤を保護する目的
で適当な保護層をコーティングにより該親水性膨潤層上
に形成したり、保護フィルムをラミネートすることが行
なわれる。
【0153】本発明においては、親水性膨潤層が水洗な
どによって抽出除去が可能な親油性のエチレン性不飽和
化合物を含有するので、他物質との接触による該原版表
面からの転移を防ぎ、またレーザ照射による該化合物の
熱硬化を促進する上から保護層を形成することが好まし
い。
【0154】保護フィルムの具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタ
レート、セロファンなどが挙げられる。
【0155】次に本発明のレーザー感応性平版印刷版原
版を用いた平版印刷版の製造方法について説明する。
【0156】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版
は、デジタル化処理された文字、網点などの画像データ
を用い、画線部に対応した部分の親水性膨潤層表面にレ
ーザー光を照射し、該部分をインキ着肉化することによ
って刷版となる。すなわち、基板上に形成された親水性
膨潤層内に存在する親油性のエチレン性不飽和化合物
は、レーザー照射により該層内に好ましく存在する光−
熱変換物質および有機過酸化物の助けによって熱重合
し、硬化して親水性が阻害されインキ着肉性の画線部と
なる。
【0157】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版は
レーザー照射後、好ましく配置された保護フィルムを剥
離し、版表面を水洗するのみで基本的に製版が終了す
る。水洗工程に用いる水には特殊な添加物が一切必要な
く、水道水など用いてを版表面を水洗するのみでよい。
【0158】また、水洗の効率を高める上から、スプレ
ー、シャワー、浸漬、ブラッシング、ラビングなど公知
の自動現像機で用いられるリンス液供給および現像促進
手段を用いることは自由である。また、供給する水温は
制限されない。
【0159】また水洗処理したのち、抽出除去された親
油性のエチレン性不飽和化合物の残留物を版面から完全
に除去する目的から油性溶剤で洗浄することが好まし
い。
【0160】油性溶剤の具体例としては、パラフィン系
炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、シクロパラフィ
ン系炭化水素および芳香族炭化水素が単一または混合さ
れた形で用いられる。これらの炭化水素系溶媒の代表的
なものとしては、石油の分留品およびその改質品などが
挙げられる。
【0161】露光部においては、エチレン性不飽和化合
物を含む場合にはこれが光架橋し、親水性膨潤層内に固
定される。露光部分は、該親水性膨潤層が水と接触した
際、光架橋された親油性成分が親水性膨潤層の水膨潤性
を阻害し、また架橋密度の増加によってゴム弾性を減ず
るため、インキ着肉性の画線部となる。一方、未露光部
の親水性膨潤層内に存在する親油性のエチレン性不飽和
化合物は、該親水性膨潤層が水と接触した際、親水性膨
潤層が水膨潤する際に該層から容易に抽出除去され、イ
ンキ反撥するのに適した相分離構造および水膨潤性を有
する非画線部となる。水洗工程によって非画線部に対応
する部分の親水性膨潤層内から抽出さらた親油性のエチ
レン性不飽和化合物は、水に非溶解であるため、公知の
吸油材料(例えば、「東レWOSEP」:東レ(株)製
など)を洗浄水排水溝などに配置することによって、容
易に吸着分離することができる。
【0162】上記のように本発明のレーザー感応性平版
印刷版原版は、感光性化合物の親油性のエチレン性不飽
和化合物の光反応によって、インキ反撥性の親水性膨潤
層の相分離構造が有するゴム弾性や水膨潤性を変化させ
る親油性の画線部を形成することによって画像形成する
ことが好ましい。
【0163】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発光波長領域が300〜1500nm
の範囲にあるものが用いられる。すなわち、Arイオ
ン、Krイオン、He−Ne、He−Cd、ルビー、ガ
ラス、YAG、チタンサファイア、色素、窒素、金属蒸
気、エキシマ、自由電子、半導体などの各種レーザーが
使用される。
【0164】これらの中でも本発明の印刷版原版を製版
する目的から、近赤外領域付近に発光波長領域が存在す
る半導体レーザーが好ましく、特に高出力半導体レーザ
ーが好ましく用いられる。
【0165】本発明に用いられるレーザー感応性平版印
刷版原版の基板としては、通常の平版印刷機に取り付け
られるたわみ性と印刷時に加わる荷重に耐えうるもので
ある必要がある以外には一切制限を受けない。
【0166】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0167】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0168】またこれらの基板上にはプライマー層を形
成することが好ましい。すなわち、本発明のレーザー照
射による親油性のエチレン性不飽和基含有化合物の熱硬
化を促進する目的から、基板への熱拡散を阻害し、断熱
する観点から基板と親水性膨潤層の間にプライマー層を
備えることが好ましい。
【0169】プライマー層に用いられる材料としては、
エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ア
クリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミ
ン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリビニ
ルブチラール樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、
ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル−ブタジ
エン系共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルスル
フォン樹脂、ミルクカゼイン、ゼラチンなどを単体もし
くは複合したものが挙げられる。またこれらに公知の光
または熱硬化性化合物を添加し、架橋することも可能で
ある。
【0170】本発明に用いられるプライマー層厚さは、
0.1〜10g/m2 で用いることが可能であるが、断
熱性の観点から、好ましくは0.5〜10g/m2 であ
る。該厚みが0.5g/m2 未満になると、断熱性が極
端に低下する傾向にあり、また塗工時にピンホ−ルなど
の欠陥が生じ易くなる。また10g/m2 以上は乾燥硬
化性および、経済的に観点から不利である。
【0171】次に本発明のレーザー感応性平版印刷版原
版から作製された刷版を用いた印刷方法について説明す
る。
【0172】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0173】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版を
画像形成したのち、これらの平版印刷機の版胴に装着
し、該版面には接触するインキ着けローラーからインキ
が供給される。 該版面上の親水性膨潤層を有する非画
線部分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって
膨潤し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを
受容し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体
表面にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0174】本発明のレーザー感応性平版印刷版原版か
ら得られた刷版で印刷する際に使用される湿し水は、水
ありPS版で使用されるエッチ液を用いることはもちろ
ん可能であるが、添加物を一切含有しない純水を使用す
ることができる。
【0175】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0176】
【実施例】
実施例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、200℃×5分間、加熱硬化
して2g/m2 の厚みを有するプライマ層を塗設した。
【0177】 <インキ着肉層組成(重量部)> (1)ポリエステル樹脂「バイロン−200:東洋紡績(株)製」 20重量部 (2)メラミン樹脂「スミマールM−40S:住友化学(株)製」 10重量部 (3)トルエン 40重量部 (4)メチルエチルケトン 10重量部 (5)酢酸ブチル 30重量部 (6)シクロヘキサノン 50重量部 次に下記組成物を塗布したのち、180℃×2分間、熱
処理して2g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設
した。
【0178】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)アクリル酸Na−ビニルアルコール共重合体 28重量部 (アクリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体のNaOHケン化反応物) 組成比:48/52(モル%比) (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0596」 65重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部 [実施例1に用いた親水性ポリマの合成例]酢酸ビニル
60gとアクリル酸40gに重合開始剤としてベンゾイ
ルパーオキシド0.5gを加えたものを、これに分散安
定剤として部分ケン化ポリビニルアルコール3gとNa
Cl10gを含む水300ml中に分散させた。
【0179】該分散液を65℃×6時間撹拌し、懸濁重
合を行なった。得られた共重合体のアクリル酸メチル成
分はNMRスペクトルから同定した結果48モル%であ
った。また30℃におけるベンゼン溶液中での極限粘度
は2.10であった。
【0180】次に、該共重合体8.6gを200gのメ
タノールと10gの水および5NのNaOH40mlか
らなるケン化反応液中に添加し撹拌懸濁させ、25℃×
1時間ケン化反応を行なった後、温度を65℃に昇温
し、さらに5時間ケン化反応を行なった。
【0181】得られたケン化反応物はメタノールで十分
に洗浄し、凍結乾燥した。ケン化度は98.3モル%で
あり、赤外吸収スペクトルの測定の結果、1570cm
-1に−COO- 基に帰属される強い吸収が確認された。
【0182】上記の様にして塗設した親水性膨潤層上
に、下記に示した組成のレーザー感応性成分溶液を塗布
し、100℃×3分間熱処理してレーザー感応性成分を
0.5g/m2 を親水性膨潤層中に含浸させた。
【0183】その後厚さ7ミクロンの片面マット化二軸
延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていない面
が該親水性膨潤層と接するようにしてカレンダーローラ
ーを用いてラミネートし、ネガ型のレーザー感応性平版
印刷版原版を得た。
【0184】 <レーザー感応性成分組成(重量部)> (1)キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/メチルグリシジルエー テル1/2/2mol比反応物 4重量部 (2)CH2 =CHCOO-(CH2 ) 9 -COCH=CH2 16重量部 (3)t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート 10重量部 (4)N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N−[4−[N,N−ビ ス(4−ジブチルアミノフェニル)アミノ]フェニル]アミニウムヘキサフルオ ロアンチモネート 10重量部 (5)ジグライム 60重量部 得られたレーザー感応性平版印刷版原版の表面に半導体
レーザーを下記条件で照射し、インキ着肉性の画素を形
成した。
【0185】レーザー出力:0.75W(780nm) ビーム径:16μm パルス幅:10μsec レーザー照射に対応した部分の親水性膨潤層内に含浸し
た親油性の熱重合性化合物が、固定され、16μmのス
ポット径に対応したインキ着肉性の親油性画素が形成さ
れた。
【0186】保護層であるラミネートフィルムを剥離せ
ずに、枚葉オフセット印刷機「スプリント25:小森コ
ーポレーション(株)製」に装着した。その後、機上に
てラミネートフィルムを剥離したのち、湿し水供給装置
から水道水を版表面に供給し湿潤させた。その結果、非
画線部に対応した部分の親水性膨潤層に含浸したレーザ
ー感応性の親油性の熱重合性化合物が抽出除去された刷
版が得られ、コート紙(62.5kg/菊)を用いて印刷した
結果、印刷初期から画像再現性に優れた印刷物が得られ
た。
【0187】印刷を5000枚終了した後も親水性膨潤
層はインキ反撥性を保持し、印刷物にインキ汚れは発生
しなかった。
【0188】実施例 2〜12 レーザー感応性成分組成中の有機過酸化物および光−熱
変換物質を下記の表1および表2の通り変更した以外は
実施例1と同様にしてレーザー感応性平版印刷版原版を
作成し、同様にレーザー照射後、保護層であるフィルム
を剥離し、版全体を水槽(水温30℃)内に約10秒間
浸漬した。
【0189】その後、水槽から版を取り出したところ、
実施例1と同様に非画線部に対応した部分の親水性膨潤
層に含浸した熱重合性化合物が抽出除去された刷版が得
られた。画像再現性の評価結果を表3に示した。
【0190】
【表1】
【表2】
【表3】 実施例 13 実施例1と同様組成のレーザー感応性平版印刷版原版を
レーザー照射後、保護層であるフィルムを剥離し、PS
版の自動現像機「PS600V」(ローラー搬送による
液浸漬方式:富士写真フイルム(株)製)の処理液を全
て水道水に変更した条件で、処理速度1000mm/分
で通版した。その結果、実施例1と同様に非画線部に対
応した部分の親水性膨潤層に含浸した熱重合性化合物が
抽出除去された刷版が得られ、印刷した結果、同様の画
像再現性に優れた印刷物が得られた。
【0191】実施例 14 実施例1と同様組成のレーザー感応性平版印刷版原版を
レーザー照射後、保護層であるラミネートフィルムを剥
離し、水なし平版印刷版の自動現像機「TWL650」
(ローラー搬送による下記3工程の逐次処理:液シャワ
ー/回転ブラシによる水洗擦り/回転ブラシによる染
色:東レ(株)製)の処理液を全て水道水に変更した条
件で、処理速度100mm/分で通版した。その結果、
実施例1と同様に非画線部に対応した部分の親水性膨潤
層に含浸した熱重合性化合物が抽出除去された刷版が得
られ、印刷した結果、同様の画像再現性に優れた印刷物
が得られた。
【0192】実施例 15 実施例1で得られた刷版を150℃×15分間熱処理し
た後、同様の条件で印刷を行なった。その結果1000
00枚終了した後も画線部に文字欠けなどのトラブルは
生じず、親水性膨潤層はインキ反撥性を保持し、印刷物
にインキ汚れは発生しなかった。
【0193】
【発明の効果】本発明のレーザー感応性平版印刷版は、
レーザー感応性の親水性膨潤層からなるインキ反撥性層
を有するため、優れたレーザー感応性を有しかつ従来の
PS版と同等以上の高いインキ反撥性を発現する。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にレーザー感応性の親水性膨潤層
    を備えた平版印刷版原版であって、親水性膨潤層から主
    としてなる非画線部が少なくとも親水性ポリマを主成分
    とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なく
    とも2相から構成された相分離構造を有することを特徴
    とするレーザー感応性平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 親水性膨潤層が熱硬化性の親油性成分を
    含むことを特徴とする請求項1記載のレーザー感応性平
    版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 熱硬化性の親油性成分がエチレン性不飽
    和基含有化合物であることを特徴とする請求項2記載の
    レーザー感応性平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】 親水性膨潤層が有機過酸化物を含有する
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザー感応性平版印
    刷版原版。
  5. 【請求項5】 親水性膨潤層がレーザーの発光波長領域
    に吸収帯を有する光−熱変換物質を含有することを特徴
    とする請求項1記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
  6. 【請求項6】 疎水性ポリマが、水性エマルジョンから
    主として構成されることを特徴とする請求項1記載のレ
    ーザー感応性平版印刷版原版。
  7. 【請求項7】 疎水性ポリマが、共役ジエン系化合物を
    含有するラテックスから主として構成されることを特徴
    とする請求項1記載のレーザー感応性平版印刷版原版。
  8. 【請求項8】 基板と親水性膨潤層の間にプライマー層
    を備えることを特徴とする請求項1記載のレーザー感応
    性平版印刷版原版。
  9. 【請求項9】 請求項2記載のレーザー感応性平版印刷
    版原版の版表面にレーザー光線を照射し、画線部に対応
    した部分の親水性膨潤層内の親油性成分を熱硬化させる
    ことを特徴とするレーザー感応性平版印刷版の製版方
    法。
  10. 【請求項10】 レーザー感応性平版印刷版原版の非画
    線部に対応した部分の親水性膨潤層内の親油性成分を版
    面を湿潤させることによって除去することを特徴とする
    請求項9記載のレーザー感応性平版印刷版の製版方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007148164A (ja) * 2005-11-29 2007-06-14 Mitsubishi Paper Mills Ltd ネガ型平版印刷版
JPWO2005063498A1 (ja) * 2003-12-26 2007-07-19 三井化学株式会社 平版印刷用原版及び平版印刷用版

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