JPH08292558A - 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版

Info

Publication number
JPH08292558A
JPH08292558A JP2524196A JP2524196A JPH08292558A JP H08292558 A JPH08292558 A JP H08292558A JP 2524196 A JP2524196 A JP 2524196A JP 2524196 A JP2524196 A JP 2524196A JP H08292558 A JPH08292558 A JP H08292558A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
hydrophilic
printing plate
water
lithographic printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2524196A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3036425B2 (ja
Inventor
Masanao Isono
正直 磯野
Yuzuru Baba
譲 馬場
Norimasa Ikeda
憲正 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26362839&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH08292558(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2524196A priority Critical patent/JP3036425B2/ja
Publication of JPH08292558A publication Critical patent/JPH08292558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3036425B2 publication Critical patent/JP3036425B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】効率良くインキを反撥することができる平版印
刷版原版を得る。 【解決手段】本発明は、基板上の非画線部に対応した部
分に親水性膨潤層をそなえ、該親水性膨潤層が親水性お
よび疎水性ポリマからなる相分離構造を有し、インキを
反撥することを特徴とする平版印刷版に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版に関する
ものであり、特に現像処理が簡便で、不感脂化処理を行
なうことなく高いインキ反撥性を有し、湿し水として純
水を使用できる新規な感光性平版印刷版原版から作製す
ることのできる平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。またこのような平版印刷には通常、PS版が用い
られる。
【0003】ここで言うPS版とは、下記のものを意味
する。
【0004】すなわち、米澤輝彦著「PS版概論」
(株)印刷学会出版部(1993)p18〜p81に記
載されているように、親水化処理されたアルミニウム基
板上に親油性の感光性樹脂層を塗布し、フォトリソグラ
フィの技術により画線部は感光層が残存し、一方非画線
部は上記したアルミ基板表面が露出し、該表面に湿し水
層を形成してインキ反撥し、画像形成する水ありPS版
と、湿し水層の代わりにシリコーンゴム層をインキ反撥
層として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版であ
る。
【0005】ここで言う水なし平版とは、非画線部がシ
リコ−ンゴム、含フッ素化合物などの通常平版印刷で用
いられる油性インキに対してインキ反撥性を有する物質
からなり、湿し水を用いずにインキ着肉性の画線部との
間で画像形成し、印刷可能な印刷版を意味する。
【0006】前者の水ありPS版は実用上優れた印刷版
で、支持体に通常アルミニウムが用いられ、該アルミニ
ウム表面は保水性を有するとともに印刷中に親油性の感
光性樹脂層が該表面から剥離脱落しないように感光層と
の接着性に優れている必要があった。そのため、該アル
ミニウム表面は通常砂目立てされ、さらに必要に応じて
この砂目立てされた表面を陽極酸化するなどの処理が施
され、保水性の向上と該感光性樹脂層に対する接着性の
補強が計られてきた。また、該感光性樹脂層の保存安定
性を得るために該アルミニウム表面はフッ化ジルコニウ
ム、ケイ酸ナトリウムなどの化学処理が一般的に施され
ている。
【0007】このように水ありPS版は製造工程が複雑
であり、その簡易化が望まれていたが、該版の優れた印
刷特性(耐刷性、画像再現性など)から広く使用されて
いる。
【0008】上記問題を解決すべく、アルミニウム基板
と同等もしくはそれ以上の印刷特性を有し、しかも材料
コストが安くかつ簡易な製造工程によるアルミニウム基
板とは異なる新規な平版材料の提案がある。例えば、特
公昭56−2938号公報においては、アルミニウム基
板に代えて親水性高分子材料からなるインキ反撥層を塗
設した支持体を用い、該支持体上に感光層を形成する方
法が提案されている。しかしながら、該方法は、ポリ塩
化ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコールのアル
デヒド縮合物の耐水性層上に親水性層として尿素樹脂が
単純塗布されているものであるため、該層はインキ反撥
性が不十分であるうえ、感光性樹脂層との密着性にも劣
るものであり、耐刷性が不十分なものであった。また、
特開昭57−179852号公報においては、支持体上
に親水性ラジカル重合化合物を塗設し、活性光線の照射
によって該支持体表面を親水化処理し、感光性樹脂層を
塗設する方法が提案されている。しかしながら、該方法
によって形成された親水性表面層も剛直でインキ反撥性
は不十分であり、耐刷性にも乏しいものであった。また
これらの水ありPS版の現像に際しては、感光層を溶解
してアルミ基板表面を露出させる方式であるため、感光
層成分が現像液中に溶解させることが必須で、該現像液
は短期間に大幅に組成変動が起こり疲労してしまうた
め、大量の現像廃液が発生する。
【0009】そのため、該現像液は頻繁にメンテナンス
し交換する必要があった。また発生した現像廃液の処理
には多大な労力と費用が必要であった。
【0010】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有しP
PCを用いて画像形成し、非画像部をエッチ液などで不
感脂化処理して該画像受理層をインキ反撥層に変換させ
て使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供されてい
る。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バインダポリ
マ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を設けた
ものが一般的で、USP2532865号公報、特公昭
40−23581号公報、特開昭48−9802号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭60−2
309号公報、特開昭57−1791号公報、特開昭5
7−15998号公報、特開昭57−96900号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−1
66590号公報、特開昭63−166591号公報、
特開昭63−317388号公報、特開平1−1144
88号公報、特開平4−367868号公報などが挙げ
られる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反撥層
に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒドロ
キシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処理す
る以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよびア
クリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シリ
カ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミン
・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構成
されているものが提案されている。また特開昭63−2
56493号公報などでは、不感脂化処理により加水分
解されて親水性基が発生する疎水性ポリマを主成分とし
て用いる直描型平版印刷原版が提案されている。
【0011】このような直描型平版印刷原版は、いずれ
も画像受理層をインキ反撥層に変換するために、不感脂
化処理が必須であり、該処理なしではインキ反撥性を殆
ど示さない性質のものであった。
【0012】すなわち、実用レベルのインキ反撥性を得
るためには、不感脂化処理および、親水性バインダポリ
マを大量に使用する必要があるが、耐水性に劣る傾向に
あり印刷耐久性が低下する。また親水性を高めるとトナ
ーなどの画像との接着性が低下する傾向にあるなどの問
題点があった。一方、印刷耐久性を向上するために耐水
化剤の添加量を多くしたり疎水性ポリマを添加したりし
て耐水性を増大させると、親水性が低下し、インキ反撥
性が大幅に低下してしまう問題点があった。
【0013】また、ユニオンカーバイド社が開発した親
水性/疎水性変換反応を利用した現像、ラッカー盛りお
よび不感脂化処理が一切不要な、いわゆる露光のみの一
工程版の技術が、特公昭42−131号公報、特公昭4
2−5365号公報、特公昭42−14328号公報、
特公昭42−20127号公報、USP3231377
号公報、USP3231381号公報、USP3231
382号公報などによって開示されている。該版はポリ
エチレンオキサイドとフェノール樹脂の会合体を感光剤
とともに塗設したものであるが、非画線部が剛直で柔軟
性に劣りインキ反撥性が不十分であり、また非画線部と
画線部との間でのインキ反撥/インキ着肉差が小さく、
実用性に乏しいものであった。
【0014】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適性な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0015】一方、後者の湿し水の代わりにシリコーン
ゴム層をインキ反撥層とする水なしPS版の場合、特公
昭54−26923号公報、特公昭57−3060号公
報、特公昭56−12862号公報、特公昭56−23
150号公報、特公昭56−30856号公報、特公昭
60−60051号公報、特公昭61−54220号公
報、特公昭61−54222号公報、特公昭61−54
223号公報、特公昭61−616号公報、特公昭63
−23544号公報、特公平2−25498号公報、特
公平3−56622号公報、特公平4−28098号公
報、特公平5−1934号公報、特開平2−63050
号公報、特開平2−63051号公報などに示されてい
るように湿し水を用いずに印刷できるため、前者の水あ
りPS版で必要な湿し水のコントロール作業がいっさい
必要なく、印刷作業が極めて簡便となることから、近年
急速に普及しつつある実用性の高い版材であるが、イン
キ反撥性層として力学的強度が弱いシリコーンゴム層を
用いるため、耐久性の不足が指摘され、耐久性に優れた
インキ反撥性材料の必要性が強く求められている。また
現像に際しては該シリコーンゴム層をブラシ擦りによっ
て機械的に剥離除去する必要があるため、剥離除去され
たシリコーンゴムかすを含んだ現像廃液が大量に発生す
る。そのため、ブラシの使用寿命が短く頻繁にブラシを
交換する必要がありまた、該シリコーンゴムかすを捕集
廃棄するなどのメンテナンス処置が必要であった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
従来の水ありPS版の平版印刷の湿し水のコントロール
幅の拡大ならびに従来不可能とされてきた湿し水からの
IPAレス化を可能とし、また直描型平版印刷原版のよ
うにPPC方式で画像形成し不感脂化処理するなどの複
雑な製版工程を有することなく、更にシリコーンゴム層
をインキ反撥層とする水なし平版の欠点である耐久性の
不足を解消できる上、従来のPS版で必須であった現像
メンテナンスを必要とせず、また製造工程が簡便な理想
的な平版材料の開発を鋭意検討した結果、特定の材料群
からなる相分離構造を有する親水性膨潤層をインキ反撥
層とした平版印刷版を用いることで実現できることを見
出した。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。
【0018】(1) 親水性膨潤層からなる非画線部が
少なくとも親水性ポリマを主成分とする相および疎水性
ポリマを主成分とする相の少なくとも2相から構成され
た相分離構造を有することを特徴とする平版印刷版。
【0019】(2) 疎水性ポリマが水性エマルジョン
から主として構成されることを特徴とする前記(1) 記載
の平版印刷版。
【0020】(3) 疎水性ポリマが共役ジエン系化合
物を含有するラテックスから主として構成されることを
特徴とする前記(1) 記載の平版印刷版。
【0021】(4) 親水性膨潤層の吸水率が10〜2
000%であることを特徴とする前記(1) 記載の平版印
刷版。
【0022】(5) 疎水性ポリマが親水性膨潤層中6
0〜95重量%であることを特徴とする前記(1) 記載の
平版印刷版。
【0023】(6) 基板上に、親水性ポリマを主成分
とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なく
とも2相から構成された相分離構造を有する親水性膨潤
層を備えた感光性平版印刷版原版の版表面に活性光線を
照射することを特徴とする前記(1) 記載の平版印刷版の
製造方法。
【0024】(7) 基板上に、親水性ポリマを主成分
とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なく
とも2相から構成された相分離構造を有する親水性膨潤
層を備えた平版印刷版原版。
【0025】(8) 疎水性ポリマが水性エマルジョン
から主として構成されることを特徴とする前記(7) 記載
の平版印刷版原版。
【0026】(9) 疎水性ポリマが共役ジエン系化合
物を含有するラテックスから主として構成されることを
特徴とする前記(7) 記載の平版印刷版原版。
【0027】(10) 親水性膨潤層の吸水率が10〜
2000%であることを特徴とする前記(7) 記載の平版
印刷版原版。
【0028】(11) 疎水性ポリマが親水性膨潤層中
60〜95重量%であることを特徴とする前記(7) 記載
の平版印刷版原版。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の平版印刷版の非画線部は
親水性膨潤層からなることを特徴とする。
【0030】かかる親水性膨潤層は、親水性ポリマを主
成分とする相および疎水性ポリマを主成分とする相の少
なくとも2相から構成された相分離構造を有することを
特徴とする。
【0031】本発明の親水性膨潤層に用いられる親水性
ポリマについて説明する。
【0032】親水性ポリマとは、水に対して実質的に不
溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水溶性ポリマ(水に完
全溶解するものを意味する)、疑似水溶性ポリマ(両親
媒性を意味し、マクロには水に溶解するがミクロには非
溶解部分を含むものを意味する)、水膨潤性ポリマ(水
に膨潤するが溶解しないものを意味する)を意味する。
すなわち、通常の使用条件下で水を吸着または吸収する
ポリマを意味し、水に溶けるか或いは水に膨潤するポリ
マを意味する。
【0033】本発明において親水性ポリマとしては、公
知のものを使用することができ、動物系ポリマ、植物系
ポリマ、合成系ポリマがある。例えば「Functio
nal Monomers」(Y.Nyquist著、
Dekker)、「水溶性高分子」(中村著、化学工業
社)、「水溶性高分子 水分散型樹脂の最新加工・改質
技術と用途開発 総合技術資料集」(経営開発センター
出版部)、 「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(シ
ーエムシー)などに記載の親水性ポリマが挙げられる。
具体例を下記に挙げる。
【0034】(A)天然高分子類 デンプン−アクリロニトリル系グラフト重合体加水分解
物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合体、デンプン
−スチレンスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−
ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−アク
リルアミド系グラフト重合体、カルボキシル化メチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサント
ゲン酸セルロース、セルロース−アクリロニトリル系グ
ラフト重合体、セルロース−スチレンスルフォン酸系グ
ラフト重合体、カルボキシメチルセルロース系架橋体、
ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、ミルクカゼイ
ン、酸カゼイン、レンネットカゼイン、アンモニアカゼ
イン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼイン、グルー、ゼラ
チン、グルテン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アルギン酸
アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリ
ウムアラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガム、グ
アールガム、ロカストビーンガム、アイリッシュモス、
大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、カルボキシル化澱
粉、寒天、デキストリン、マンナンなど。
【0035】(B)合成高分子類 ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキサイド)、水
性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ポリアクリル酸
アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、N−ビニル
カルボン酸アミド系ポリマ、ポリメタクリル酸アンモニ
ウム、アクリル系コポリマ、アクリルエマルジョンコポ
リマ、ポリビニルアルコール系架橋重合体、ポリアクリ
ル酸ナトリウム系架橋体、ポリアクリロニトリリル系重
合体ケン化物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
系ポリマ(以下の説明で(メタ)□□□□とあるのは、
□□□□またはメタ□□□□を略したものである。)、
ポリ(ビニルメチルエーテル-co-無水マレイン酸)、無
水マレイン酸系共重合体、ビニルピロリドン系共重合
体、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート系
架橋重合体、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート系架橋重合体など。
【0036】なお、上記の親水性化合物には発明の効果
が変化しない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制
御する目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を含
むことが可能である。
【0037】また本発明に用いられる親水性ポリマは、
単独または2種以上を適宜混合して用いることが可能で
ある。
【0038】次に本発明の親水性膨潤層に用いられる疎
水性ポリマについて説明する。
【0039】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0040】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0041】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0042】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、スチレン系
などが挙げられる。共役ジエンポリマ系ラテックスとし
ては、スチレン/ブタジエン系(以下、SB系と略
す)、アクリロニトリル/ブタジエン系(以下、NB系
と略す)、メタクリル酸メチル/ブタジエン系(以下、
MB系と略す)、クロロプレン系などが挙げられる。
【0043】アクリル系ラテックスとしては、アクリル
酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須成分とし
た共重合体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン
などの少なくとも1種以上を共重合したものが挙げられ
る。
【0044】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独またはアクリル酸エステル、高級酢酸ビニルエ
ステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
【0045】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0046】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0047】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0048】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
系化合物を含有するラテックスが挙げられる。
【0049】ここで言う共役ジエン系ゴムとしては、
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン
(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン(クロロプレン)
など1,3−位に炭素−炭素二重結合を有する非置換ま
たは置換1,3−ブタジエン骨格を有する化合物を意味
し、これらを必須成分とする単独またはブロック共重合
ゴム(ポリマ)が挙げられる。
【0050】ブロック共重合ゴムとしては、1,3−ブ
タジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)などの1,3−ジエンと、常温でガラス状重合体を
与えるスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのモノビニル置換芳香族化合物とのブロック共重合
体が挙げられる。
【0051】このような共重合ゴムとしては、種々の公
知のタイプが例示できるが、A−B−Aタイプのブロッ
ク共重合ゴム(ここでAはモノビニル置換芳香族化合物
からなり、好ましくはガラス転移点が70℃以上で、重
合度が10〜2500である重合体セグメントを意味
し、Bは1,3−ジエンを意味し、好ましくは数平均分
子量が500〜25000である非晶性重合体セグメン
トを意味する)などを好ましく挙げることができる。ま
た該ブロック共重合ゴムの水素添加物も同様である。
【0052】本発明に用いられる単独および共重合ゴム
の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン
(天然ゴムを含む)、ポリクロロプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体
(例えばブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート
共重合体)、メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソ
プレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合
体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−クロロプレン共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体などが挙げられる。
【0053】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスは、公知の方法で作製され、例えば必
須成分として共役ジエン系化合物を含むビニルモノマ組
成物に対して0.1〜20重量%の乳化重合分散剤(界
面活性剤など)と2〜50重量%の水を含む水性媒体中
で脱気窒素置換し、乳化させ、必要に応じて通常の乳化
重合に用いられる添加剤(分子量調整剤、酸化防止剤な
ど)を加えたのち、乳化重合用開始剤(例えば過酸化水
素、過硫酸カリウムなど)を添加し、常法に従って乳化
重合させることによって得ることができる。
【0054】原料ビニルモノマ組成物中、共役ジエン系
化合物以外に用いられるビニルモノマとしては特に限定
されないが、主として下記のI群:疎水性モノマ、II
群:親水性モノマ、III 群:架橋性モノマの3つの群に
分類できる。
【0055】I群:疎水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する疎水性ビニルモノマ(ここで言う疎水性と
は20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下の
ものを意味する)で、アクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレ
フィン類などが挙げられる。
【0056】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2
−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、フェニルアクリレート、2−メトキシエ
チルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートな
どが挙げられる。
【0057】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリ
レート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、ベンジルメタクリレート、アセトアセトキ
シエチルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、フルフリルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニル
メタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリ
レート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エト
キシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0058】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテー
ト、ビニルメトキシアセテート、ビニルアセトアセテー
ト、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香
酸ビニルなどが挙げられる。
【0059】スチレン類の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフル
オルメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メト
キシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ト
リクロルスチレン、ブロムスチレンなどが挙げられる。
【0060】オレフィン類の具体例としては、プロピレ
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンなどを挙げることができ
る。
【0061】その他アクリロニトリル、無水マレイン酸
なども挙げられる。
【0062】II群:親水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する親水性ビニルモノマで、(ここで言う親水
性とは、水に対する溶解度が大きく単独での水系乳化重
合が不可能なモノマを意味する)アミノ基、カルボキシ
ル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などの官能基
を有するモノマが挙げられる。
【0063】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ter
t−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチ
ルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0064】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イ
タコン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、
マレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルな
ど)、シトラコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル
酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げ
られる。
【0065】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、アク
リロイルオキシアルキルスルフォン酸(例えばアクリロ
イルオキシメチルスルフォン酸、アクリロイルオキシプ
ロピルスルフォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフ
ォン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルフォ
ン酸(例えばメタクリロイルオキシメチルスルフォン
酸、メタクリロイルオキシメチルスルフォン酸、メタク
リロイルオキシプロピルスルフォン酸、メタクリロイル
オキシブチルスルフォン酸など)、アクリルアミドアル
キルスルフォン酸(例えば2−アクリルアミド−2−メ
チルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルブタンスルフォン酸など)、メタクリルアミドア
ルキルスルフォン酸(例えば2−メタクリルアミド−2
−メチルエタンスルフォン酸,2−メタクリルアミド−
2−メチルプロパンスルフォン酸、2−メタクリルアミ
ド−2−メチルブタンスルフォン酸など)が挙げられ
る。
【0066】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0067】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0068】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0069】III 群:架橋性モノマとしては、反応性架
橋基(グリシジル基、ヒドロキシメチルアミド基、アル
コキシメチルアミド基、アシロキシメチルアミド基、イ
ソシアネート基など)を有するモノマ類および2つ以上
のビニル基を有する多官能性モノマが挙げられる。
【0070】グリシジル基を有するモノマの具体例とし
ては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、p−ビニル安息香酸グリシジル、グリシジルクロ
トネート、ジグリシジルイタコネート、ジグリシジルマ
レエート、ジグリシジルメチレンマロネート、グリシジ
ルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル−α−クロルアクリレートなどが挙げられる。
【0071】ヒドロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、ヒドロキシメチルアクリルアミド、
ヒドロキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0072】アルコキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、メトキシメチルアクリルアミド、メ
トキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルメタクリルアミド、ブトキシ
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミ
ド、ヘキシルオキシメチルメタクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0073】アシロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、アセトキシメチルアクリルアミド、
アセトキシメチルメタクリルアミド、プロピオニルオキ
シメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0074】イソシアネート基を有するモノマの具体例
としては、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0075】多官能モノマの具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート(エ
チレン数n=1〜23)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(エチレン数n=1〜23)、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレートなどが挙げられる。
【0076】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスを作製する際の適当なモノマの組合わ
せとしては、必須成分である共役ジエン系化合物に加え
て (1)少なくとも1種以上のI群モノマの共重合体 (2)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマとの共重合体 (3)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマおよび少なくとも1種以上のII
I 群モノマとの共重合体 (4)少なくとも1種以上のI群モノマおよびIII 群モ
ノマの共重合体 などの組合わせが挙げられるが、本発明はこれらの組合
わせに限定されない。
【0077】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスの具体例としては、JSR0561
(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0589(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0602(SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0700(ブタジエン
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR21
08(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0650(ビニルピリジン−SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0652
(ビニルピリジン−SB共重合ラテックス:日本合成ゴ
ム(株)製)、JSR0545(カルボキシ変性SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR05
48(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成
ゴム(株)製)、JSR0596(カルボキシ変性SB
共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0
597(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、JSR0598(カルボキシ変性S
B共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR
0619(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本
合成ゴム(株)製)、JSR0624(カルボキシ変性
SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JS
R0640(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR0693(カルボキシ変
性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0696(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0854(カルボキシ
変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、
JSR0863(カルボキシ変性SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0898(カルボ
キシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、ラックスター4940B(カルボキシ変性NB共
重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラ
ックスター68−073S(カルボキシ変性NB共重合
ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラック
スターDN−704(カルボキシ変性NB共重合ラテッ
クス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター
DN−702(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:
大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター68−
074(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本
インキ化学工業(株)製)、ラックスターDN−703
(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ
化学工業(株)製)、ラックスターDM−801(カル
ボキシ変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工
業(株)製)、ラックスターDM−401(カルボキシ
変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスター4950C(カルボキシ変性
MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)
製)、ラックスターDM−806(カルボキシ変性MB
共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)な
どが挙げられる。
【0078】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0079】本発明の親水性膨潤層は上記の親水性ポリ
マと疎水性ポリマを混合し、必要に応じて架橋または疑
似架橋し、水に不溶化せしめることによって基板上に積
層形成される。
【0080】架橋には親水性ポリマおよび疎水性ポリマ
が有する反応性官能基を用いて架橋反応することが好ま
しい。
【0081】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0082】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0083】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、アルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0084】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0085】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0086】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0087】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0088】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0089】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0090】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0091】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0092】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシア
ネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシア
ネート付加反応物が挙げられる。
【0093】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じて公知の有機溶剤を
添加することが可能である。有機溶剤の添加方法として
は重合溶媒として添加する方法、および乳化重合後エマ
ルジョン溶液に混合溶媒として添加する方法が可能であ
る。
【0094】本発明の親水性膨潤層の親水性ポリマと疎
水性ポリマを混合する方法としては、3本ロールなどの
ロールミキサ、ニーダーなど混合機を用いて混練りする
方法、ホモジナイザー、ボールミルなどのディスパーサ
ーを用いて湿式混合分散する方法など、塗料やパテを製
造する際に用いられる公知の方法で好ましく混合され
る。
【0095】また本発明の親水性膨潤層を形成する方法
としては、疎水性ポリマとして水性のエマルジョンを好
ましく用いることから、水溶液系で各成分(親水性ポリ
マ、疎水性ポリマなど)を混合し、必要に応じて架橋剤
が添加される方法が、均質な相分離構造を実現しインキ
反撥性を向上させる点から好ましい。
【0096】従って、用いられる架橋剤としては、水溶
性の多官能性化合物を用いることが特に好ましい。すな
わち、水溶性のポリエポキシ化合物、ポリアミン化合
物、メラミン化合物などを用いることが好ましい。
【0097】次に本発明に言う親水性膨潤層の相分離構
造について説明する。
【0098】本発明に用いられる親水性膨潤層は、上記
した親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポリマを主
成分とする相の少なくとも2相から構成された相分離構
造を有することを特徴としている。
【0099】親水性ポリマを主成分とする相と疎水性ポ
リマを主成分とする相から構成された相分離構造とする
ことにより、インキ反撥性と印刷耐久性の両者を広い組
成範囲において実現することが可能となる。
【0100】該相分離構造を構成する親水性ポリマ相と
疎水性ポリマ相の組成比は自由であり、 (1)いずれか一方が連続相で、他方が分散相である形
態、 (2)親水性および疎水性ポリマ相がそれぞれ連続相お
よび分散相を有する形態 (3)親水性および疎水性ポリマ相がいずれも連続相と
なる形態 の中から自由に選択することができる。 上記(1)〜
(3)の相分離構造の一例をそれぞれ図1〜3に示す。
【0101】すなわち親水性ポリマが比較的強い親水性
を示す材料を選択した場合(水溶性ポリマおよび疑似水
溶性ポリマなど)、親水性膨潤層に含まれる該親水性ポ
リマの割合は、インキ反撥性および印刷耐久性の点から
比較的少量で十分であり、疎水性ポリマの割合が相対的
に多くなるため、親水性ポリマを分散相とする上記の
(1)または(2)の形態となることが好ましい。一
方、親水性ポリマが比較的弱い親水性を示す材料を選択
した場合(水膨潤性ポリマなど)、親水性膨潤層に含ま
れる該親水性ポリマの割合は、インキ反撥性および印刷
耐久性の点から比較的多量に必要であり、疎水性ポリマ
の割合が相対的に少なくなるため、上記の(1)、
(2)または(3)の形態となることが好ましい。
【0102】すなわち本発明に用いられる親水性膨潤層
の好ましい相分離構造は、該層が有するゴム弾性および
水膨潤性によって異なるが、親水性ポリマの親水性の程
度によって異なる。
【0103】(1)の形態をとる場合、疎水性ポリマ相
が主として連続相であるためには、疎水性ポリマの組成
が50重量%以上であり、60〜95重量%であること
が好ましく、70〜90重量%であることが更に好まし
い。疎水性ポリマの組成比が50重量%以下となると親
水性膨潤層のインキ反撥層としての性能は印刷初期にお
いては向上するが、印刷耐久性が急激に低下する傾向に
ある。一方、疎水性ポリマの組成比が95重量%を越え
ると親水性膨潤層内の親水性ポリマが十分に吸水でき
ず、親水性が不足してインキ反撥性が極端に低下する傾
向にある。
【0104】(2)および(3)の形態をとる場合、親
水性ポリマおよび疎水性ポリマの両者が20重量%以上
であり、40重量%以上であることが好ましい。
【0105】該親水性膨潤層はゴム弾性を有することが
好ましい。
【0106】親水性膨潤層のゴム弾性は以下に説明する
方法によって測定された初期弾性率の値によって特徴付
けられる。
【0107】[親水性膨潤層の初期弾性率の測定方法]
測定しようとする平版印刷版の親水性膨潤層の組成と同
一組成の溶液をテフロンシャーレ上に展開し、60℃×
24時間乾燥硬化させる。得られた乾燥硬化膜は剃刀刃
などを用いて、長さ40mm、幅1.95mm、厚み約
0.2mmの短冊状のテストピースに裁断する。溶液塗
布後、刷版とするまでに非画線部に処理を施す場合に
は、テストピースにも同様の処理を施す。
【0108】得られたテストピースは、測定前に25℃
50%RHの環境にて24時間以上放置し調湿したの
ち、厚みをマイクロゲージにて測定し、下記の引張り条
件で初期弾性率を測定した。データ処理はJIS K6
301に準じて行なった。
【0109】引張り速度 200mm/分 チャック間距離 20mm 繰り返し数 4回 測定機 (株)オリエンテック製「RTM−100」 本発明に用いられる親水性膨潤層の初期弾性率は、0.
01〜10kgf/mm2 の範囲にあることがインキ反
撥性および形態保持性の観点から好ましい。好ましく
は、0.01〜5kgf/mm2 の範囲であり、0.0
1〜2kgf/mm2 の範囲が更に好ましい。
【0110】すなわち初期弾性率が、0.01kgf/
mm2 未満になると親水性膨潤層の形態保持性が極端に
低下し、印刷時の耐久性が極端に低下する傾向にある。
【0111】一方該初期弾性率が10kgf/mm2
り大きくなるとゴム弾性が不足し、インキ反撥性が極端
に低下する傾向にある。
【0112】また、本発明に用いられる親水性膨潤層は
以下の定義に従って測定した吸水率の値が特定の範囲で
あることが好ましい。
【0113】
【数1】 ただし、吸水量とは、以下の定義に従って測定した値を
意味する。
【0114】吸水量(g/m2 )=WWET −WDRY WDRY :乾燥状態における重量(g/m2 ) WWET :水中に25℃×10分間浸漬した後の重量(g
/m2 ) [吸水量の測定方法]測定しようとする平版印刷版の非
画線部のみから形成された部分を所定面積に裁断し、2
5℃の精製水に浸漬する。10分間浸漬した後、該平版
印刷版の親水性膨潤層表面および裏面に付着した余分の
水分を「ハイゼガーゼ」(コットン布:旭化成工業
(株)製)にて素速く拭き取り、該平版印刷版の膨潤重
量WWET を秤量する。その後、該平版印刷版を60℃の
オーブンにて約30分間乾燥し、乾燥重量WDRY を秤量
する。
【0115】本発明に用いられる親水性膨潤層の吸水率
は、10〜2000%で用いることが可能であるが、イ
ンキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは5
0〜1700%、さらに好ましくは50〜700%であ
る。該吸水率が10%未満になると、インキ反撥性が極
端に低下する傾向にあり、また塗工時にピンホ−ルなど
の欠陥が生じ易くなる。また2000%より大きくなる
と形態保持性が極端に低下する傾向にある。
【0116】本発明で言う親水性膨潤層厚さとは、基板
上に塗設された乾燥させた平版印刷版の非画線部に相当
する部分の親水性膨潤層の塗布層を剥離し、重量法によ
って測定した値を意味する。親水性膨潤層厚さは下記式
に従って測定した。
【0117】 親水性膨潤層厚さ(g/m2 )=(W−W0 )/α W:平版印刷版の非画線部のみから形成された部分を裁
断したものの乾燥重量(g) W0 :上記Wから親水性膨潤層を剥離脱落した後の乾燥
重量(g) α:平版印刷版の測定面積(m2 ) [親水性膨潤層厚さの測定方法]測定しようとする平版
印刷版の非画線部のみから形成された部分を所定面積α
に裁断した後、60℃のオーブンにて約30分間乾燥
し、乾燥重量Wを秤量する。その後、平版印刷版を精製
水に浸漬し、親水性膨潤層を膨潤させ、スクレーパーな
どを用いて該膨潤層を剥離脱落させる。親水性膨潤層を
剥離脱落させた平版印刷版を再度60℃のオーブンにて
約30分間乾燥し、乾燥重量W0 を秤量する。
【0118】本発明に用いられる親水性膨潤層厚さは、
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.2〜10g/m2 である。該厚みが0.2g/m2
未満になると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 以上は水膨潤時の形態保持性が劣
化する傾向にあり経済的にも不利である。
【0119】本発明に用いられる親水性膨潤層には上記
した親水性ポリマ、疎水性ポリマおよび必要に応じて加
えられる架橋剤の他にも、ゴム組成物において通常添加
される公知の老化防止剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止
剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、可塑剤などを本発明の
効果を損わない範囲で添加することが可能である。
【0120】該親水性膨潤層は、塗設時または塗設後に
熱処理を加え、様々の熱履歴を与えてもよい。この場
合、親水性膨潤層の構成成分が同一であっても、その熱
履歴により吸水量や吸水率などの水膨潤性が変化するこ
ともある。
【0121】また下層との接着性向上などの目的から、
公知のシランカップリング剤やイソシアネート化合物、
触媒などを添加したり基板との間に中間層として設ける
ことも可能である。
【0122】次に本発明における平版印刷版の製造方法
の一例について説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0123】本発明の平版印刷版の画像は、例えば、基
板上に親水性膨潤層を備えた感光性平版印刷版原版の版
表面に活性光線を照射することにより形成することがで
きる。すなわち、画線部および非画線部の差を活性光線
の照射により生じさせる。
【0124】そのような感光性平版印刷版原版の親水性
膨潤層は、上記平版印刷版における非画線部と同様の相
分離構造、厚み、吸水率等を有することが好ましい。
【0125】好ましくは、本発明の平版印刷版はネガテ
ィブワーキングの画像形成により作製される。すなわ
ち、親水性膨潤層の活性光線が照射されなかった部分
(以下未露光部と称する)と比較して活性光線が照射さ
れた部分(以下露光部と称する)の初期弾性率が上昇す
る等してインキ着肉性の画線部となり、未露光部はイン
キ反撥性の非画線部となる。
【0126】このような画像形成には公知の感光性化合
物が用いられる。
【0127】すなわち、原版の親水性膨潤層に公知の光
架橋または光硬化性の感光性化合物を含有させ、露光部
を選択的に架橋および/または硬化し、初期弾性率を上
昇させることによって画像形成が達成される。
【0128】公知の光架橋または光硬化性の感光性化合
物としては下記の(1)〜(5)の具体例が挙げられ
る。
【0129】(1)光重合性モノマまたはオリゴマ アルコール類(エタノール、プロパノール、ヘキサノー
ル、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、イソ
アミルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルア
ルコール、ブトキシエチルアルコール、エトキシエチレ
ングリコール、メトキシエチレングリコール、メチキシ
プロピレングリコール、フェノキシエタノール、フェノ
キシジエチレングリコール、テトラヒドロフルフリルア
ルコールなど)の(メタ)アクリル酸エステル、カルボ
ン酸類(酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、
メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石
酸、クエン酸など)と(メタ)アクリル酸グリシジルま
たはテトラグリシジル−m−キシリレンジアミンまたは
テトラグリシジル−m−テトラヒドロキシリレンジアミ
ンとの付加反応物、アミド誘導体(アクリルアミド、メ
タクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド、メチ
レンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物と(メ
タ)アクリル酸との付加反応物などを挙げることができ
る。
【0130】さらに具体的には、特公昭48−4170
8号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−
37193号公報に記載されているウレタンアクリレー
ト、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43
191号公報、特公昭52−30490号公報に記載さ
れているポリエステルアクリレート、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸を反応させた多官能エポキシ(メ
タ)アクリレート、米国特許4540649 に記載されている
N−メチロールアクリルアミド誘導体などを挙げること
ができる。更に日本接着協会誌VOL.20,No.7,p300〜308
に紹介されている光硬化性モノマおよびオリゴマを用い
ることができる。
【0131】(2)光二量化型の感光性樹脂組成物 例えばポリ桂皮酸ビニルなどを含む感光層、例えば、P
−フェニレンジアクリル酸と1,4−ジヒドロキシエチ
ルオキシシクロヘキサンの1:1重縮合不飽和ポリエス
テルやシンナミリデンマロン酸と2官能性グリコ−ル類
とから誘導される感光性ポリエステル、ポリビニルアル
コ−ル、デンンプン、セルロ−スなどのような水酸基含
有ポリマのケイ皮酸エステルなど。
【0132】(3)エポキシ基を有するモノマ、オリゴ
マまたはポリマと公知の光酸発生剤との組合わせから成
る組成物 これは露光すると光酸発生剤がルイス酸やブレンステッ
ド酸を生成し、エポキシ基がカチオン重合して架橋す
る。光酸発生剤としては、アリルジアゾニウム塩化合
物、ジアリルヨードニウム塩化合物、トリアリルスルフ
ォニウム塩化合物、トリアリルセレノニウム塩化合物、
ジアルキルフェナシルスルフォニウム塩化合物、ジアル
キル−4−フェナシルスルフォニウム塩化合物、α−ヒ
ドロキシメチルベンゾインスルフォン酸エステル、N−
ヒドロキシイミノスルフォネート、α−スルフォニロキ
シケトン、β−スルフォニロキシケトン、鉄−アレーン
錯体化合物(ベンゼン−シクロペンタジエニル−鉄(I
I)ヘキサフルオロフォスフェートなど)、o−ニトロ
ベンジルシリルエーテル化合物などが挙げられる。
【0133】エポキシ基を有するモノマ、オリゴマまた
はポリマとしては、下記のものが好ましく用いられる。
【0134】メチルグリシジルエーテル、エチルグリシ
ジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、n−ブチ
ルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテ
ル、ペンチルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリ
シジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテ
ルなどが挙げられる。
【0135】(4)アリル基および/またはビニル基を
有するモノマ、オリゴマまたはポリマとメルカプト基を
有するモノマ、オリゴマまたはポリマとの組成物 これは露光するとメルカプト基がアリル基およびまたは
ビニル基に付加し架橋する。
【0136】(5)ジアゾニウム塩化合物と水酸基含有
化合物との組成物 本発明に用いられるジアゾ化合物としては、p−ジアゾ
ジフェニルアミンとホルムアルデヒドとの縮合物で代表
される水不溶で有機溶媒可溶性のジアゾ樹脂などが挙げ
られる。
【0137】具体的には特公昭47−1167号公報お
よび特公昭57−43890号公報に記載されているよ
うなものが挙げられる。
【0138】本発明に好ましく用いられるジアゾ樹脂に
おけるジアゾモノマーとしては、例えば4−ジアゾ−ジ
フェニルアミン、1−ジアゾ−4−N,N−ジメチルア
ミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N,N−ジエチルアミ
ノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−エチル−N−ヒドロ
キシエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−メチ
ル−N−ヒドロキシエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ
−2,5−ジエトキシ−4−ベンゾイルアミノベンゼ
ン、1−ジアゾ−4−N−ベンジルアミノベンゼン、1
−ジアゾ−4−N,N−ジメチルアミノベンゼン、1−
ジアゾ−4−モルフォリノベンゼン、1−ジアゾ−2,
5−ジメトキシ−4−p−トリルメルカプトベンゼン、
1−ジアゾ−2−エトキシ−4−N,N−ジメチルアミ
ノベンゼン、p−ジアゾ−ジメチルアニリン、1−ジア
ゾ−2,5−ジブトキシ−4−モルフォリノベンゼン、
1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4−モルフォリノベ
ンゼン、1−ジアゾ−2,5−ジメトキシ−4−モルフ
ォリノベンゼン、1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4
−p−トリルメルカプトベンゼン、1−ジアゾ−4−N
−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノベンゼン、1−
ジアゾ−3−エトキシ−4−N−メチル−N−ベンジル
アミノベンゼン、1−ジアゾ−3−クロロ−4−ジエチ
ルアミノベンゼン、1−ジアゾ−3−メチル−4−ピロ
リジノベンゼン、1−ジアゾ−2−クロロ−4−N,N
−ジメチルアミノ−5−メトキシベンゼン、1−ジアゾ
−3−メトキシ−4−ピロリジノベンゼン、3−メトキ
シ−4−ジアゾジフェニルアミン、3−エトキシ−4−
ジアゾジフェニルアミン、3−(n−プロポキシ)−4
−ジアゾジフェニルアミン、3−(イソプロポキシ)−
4−ジアゾジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0139】また、これらのジアゾモノマーとの縮合剤
として用いられるアルデヒドとしては、例えば、ホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ベンズ
アルデヒドなどが挙げられる。更に陰イオンとしては、
塩素イオンやトリクロロ亜鉛酸などを用いることにより
水溶性のジアゾ樹脂を得ることができ、また四フッ化ホ
ウ素、六フッ化燐酸、トリイソプロピルナフタレンスル
フォン酸、4,4’−ビフェニルスルフォン酸、2、5
−ジメチルベンゼンスルフォン酸、2−ニトロベンゼン
スルフォン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベ
ンゾイル−ベンゼンスルフォン酸などを用いることによ
り、有機溶剤可溶性のジアゾ樹脂を得ることができる。
【0140】またこれらのジアゾ樹脂は下記に説明する
ような水酸基を有する高分子化合物が通常混合して使用
される。
【0141】すなわち、水酸基を有する高分子化合物と
しては、アルコール性水酸基を有するモノマー、例えば
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、2、3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリルアミド、トリエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、1、3−プロパンジオール
モノ(メタ)アクリレート、1、4−ブタンジオールモ
ノ(メタ)アクリレート、ジ(2−ヒドロキシエチル)
マレエートなどの中から選ばれる少なくとも1種類以上
のモノマーと他の水酸基を有さないモノマーとの間での
共重合体や、フェノール性水酸基を有するモノマー、例
えば N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリ
ルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミ
ド、o−、m−、p−ヒドロキシスチレン、o−、m
−、p−ヒドロキフェニル(メタ)アクリレート、など
との共重合体、また、p−ヒドロキシ安息香酸とグリシ
ジル(メタ)アクリレートとの開環反応生成物、サリチ
ル酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの
反応生成物などの水酸基含有モノマーなどとの共重合体
が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、セルロー
ス、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトールなどやこれらの
エポキシ付加反応物、その他の水酸基含有天然高分子化
合物なども用いることができる。
【0142】(5)ビスアジド化合物と環化したポリイ
ソプレンゴムやポリブタジエンゴム、またはクレゾール
ノボラック樹脂を主成分とする感光性組成物など。
【0143】これらの感光性化合物は基板上に親水性膨
潤層を形成する際に組成物に添加し該層内に存在させる
方法、または親水性膨潤層を形成した後、感光性組成物
を該層上に塗布し該層内に含浸させる方法などを用いて
添加される。
【0144】比較的高分子量のポリマ、オリゴマなどを
用いた感光性組成物の場合には、前者の親水性膨潤層形
成時に同時添加する方法が有利に行なわれ、比較的低分
子量のモノマ、オリゴマなどを用いた感光性組成物の場
合には、後者の含浸方法が有利である。
【0145】また原版の親水性膨潤層にはこれらの感光
性化合物を増感させる目的から公知の光増感剤を添加す
ることが可能である。公知の光増感剤としては、公知の
光増感剤が自由に選択できるが、各種の置換ベンゾフェ
ノン系化合物、置換チオキサントン系化合物、置換アク
リドン系化合物などが好ましく用いられる。また、米国
特許236766に記載されているビシナールポリケタルドニ
ル化合物、米国特許2367661、米国特許2367670 に開示さ
れているα−カルボニル化合物、米国特許2722512 に開
示されているα−炭化水素で置換された芳香族アシロイ
ン化合物、米国特許3046127 、米国特許2951758 に開示
されている多核キノン化合物、米国特許3549367 に開示
されているトリアリールイミダゾールダイマ/p−アミ
ノフェニルケトンの組合わせ、米国特許3870524 に開示
されているベンゾチアゾール系化合物、米国特許423985
0 に開示されているベンゾチアゾール系化合物/トリハ
ロメチル−s−トリアジン系化合物および米国特許3751
259 に開示されているアクリジンおよびフェナジン化合
物、米国特許4212970 に開示されているオキサジアゾー
ル化合物、米国特許3954475 、米国特許4189323 などに
開示されている発色団基を有するトリハロメチル−s−
トリアジン系化合物、特開昭59−197401号公
報、特開昭60−76503号公報に開示されているベ
ンゾフェノン基含有ペルオキシエステル化合物などが具
体例として挙げられる。
【0146】本発明に用いられる平版印刷版の基板とし
ては、通常の平版印刷機に取り付けられるたわみ性と印
刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要がある以外
には一切制限を受けない。
【0147】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0148】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0149】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0150】次に、該感光性平版印刷版原版を用いた製
版方法について説明する。
【0151】該感光性平版印刷版原版は、ネガティブワ
ーキング用の製版工程を経て刷版とすることができる。
すなわち、ネガ原画フィルムを通じて、通常の露光光源
によって画像露光される。
【0152】この露光工程で用いられる光源としては、
例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メ
タルハライド灯、蛍光灯などが挙げられる。このような
通常の露光を行なったのち水または現像液でリンスする
と、未露光部の親水性膨潤層内に存在する感光性化合物
が溶解除去または不感光化され、インキ反撥するのに適
した相分離構造および水膨潤性を有する非画線部とな
り、露光部は感光性化合物が光架橋硬化し未露光部と比
較して、高い初期弾性率を示しかつ、水膨潤性の低下し
た画線部となる。
【0153】上記のように該感光性平版印刷版原版は、
感光性化合物の光化学反応の助けを借りて親水性膨潤層
の相分離構造が有するゴム弾性や水膨潤性を変化させる
ことによって画像形成するものである。
【0154】次に本発明の平版印刷版を用いた印刷方法
について説明する。
【0155】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0156】本発明の平版印刷版を画像形成したのち、
これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面には接触す
るインキ着けローラーからインキが供給される。
【0157】該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部
分は湿し水供給装置から供給される湿し水によって膨潤
し、インキを反撥する。一方、画線部分はインキを受容
し、オフセットブランケット胴表面または被印刷体表面
にインキを供給して印刷画像を形成する。
【0158】本発明の平版印刷版を印刷する際に使用さ
れる湿し水は、水ありPS版で使用されるエッチ液を用
いることはもちろん可能であるが、添加物を一切含有し
ない純水を使用することができる。
【0159】本発明の感光性平版印刷版を用いて印刷す
る際には添加物を一切有さない純水を使用することが好
ましい。
【0160】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0161】
【実施例】
実施例 1〜7 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、表
1に示した親水性ポリマを用いた下記組成物を塗布した
のち、150℃×60分間熱処理して2g/m2 の厚み
を有する親水性膨潤層を塗設した。
【0162】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)表1に示された親水性ポリマ 28重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ラテックス「JSR0596」 65重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部
【表1】 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、下記組成の
感光性組成物を塗布し、100℃×3分間熱処理して感
光性組成物0.5g/m2 を親水性膨潤層中に含浸させ
た。
【0163】その後厚さ12ミクロンの片面マット化二
軸延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていない
面が該親水性膨潤層と接するようにしてカレンダーロー
ラーを用いてラミネートし、ネガ型の平版印刷用原版を
得た。
【0164】得られた平版印刷版は、高圧水銀灯「ジェ
ットライト3303kW :オーク製作所(株)製」を用
い、PCW(PLATE CONTOROL WEDGE:KALLE社製)
を貼込んだネガフィルムを通して90秒間密着露光(3.
6mW/cm2 )した。次いで、版全面を水道水でリンスし、
未露光部の感光性組成物を洗浄除去して刷版とした。
【0165】実施例1〜7で得られた刷版のインキ反撥
部分に対応した親水性膨潤層を水膨潤させた状態で、O
sO4 染色し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察した。
【0166】観察の結果、図2に示されるような親水性
ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマを主成分と
する相から構成された相分離構造を有することが確認さ
れた。
【0167】 (1)キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/メチルグリシジルエー テルの1/2/2mol比反応物 10重量部 (2)CH2=CHCOO-(C2H4O)14-COCH=CH2 10重量部 (3)ミヒラー氏ケトン 2重量部 (4)2,4−ジエチルチオキサントン 2重量部 (5)エチルアルコール 76重量部 得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機「スプリント2
5:小森コーポレーション(株)製」に装着したのち、
湿し水として市販の精製水を供給しながら上質紙(62.5
kg/菊)を用いて印刷した。インキ反撥性およびインキ
着肉性は印刷物を目視観察することにより評価した。画
線部および非画線部の初期弾性率、吸水率は定義に従っ
て測定した。評価結果を表2に示す。
【0168】
【表2】 約1000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にインキ
汚れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な印
刷物が得られた。
【0169】比較例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に下記
組成物を塗布したのち、150℃×120分間熱処理し
て2g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設し
た。
【0170】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)実施例3に用いた親水性ポリマ 93重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (4)精製水 900重量部 得られた親水性膨潤層上に実施例1と同様にして感光性
組成物を塗設後、感光性平版印刷版とし、実施例1と同
様の製版工程を経て刷版とした。親水性膨潤層の吸水率
は2500%であった。得られた刷版のインキ反撥部分
に対応した親水性膨潤層を水膨潤させた状態で、OsO
4 染色し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察した。
【0171】観察の結果、親水性膨潤層が、親水性ポリ
マを主成分とする相から構成された均一相構造を有する
ことが確認された。
【0172】印刷評価を行なった結果、約50枚の印刷
を行なった時点で、親水性膨潤層が基板から脱落し、イ
ンキ汚れが発生した。
【0173】実施例8〜11 実施例3の水性ラテックスを下記表3のポリマに変更し
た以外は同様にして、感光性平版印刷版を作製した。得
られた刷版のインキ反撥部分に対応した親水性膨潤層を
水膨潤させた状態で、OsO4 染色し、TEM(透過型
電子顕微鏡)観察した。
【0174】観察の結果、各親水性膨潤層が、図2に示
されるような疎水性ポリマを主成分とする相を連続相と
し親水性ポリマを主成分とする相を分散相とする相分離
構造を有することが確認された。
【0175】評価結果を表4に示す。
【0176】
【表3】
【表4】 約5000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にインキ
汚れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な印
刷物が得られた。
【0177】実施例 12〜18 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、表
1に示した親水性ポリマを用いた下記組成物を塗布した
のち、150℃×60分間熱処理して2g/m2 の厚み
を有する親水性膨潤層を塗設した。
【0178】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)表1に示された親水性ポリマ 28重量部 (2)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 5重量部 (3)水性ポリマエマルジョン「AB−735」 65重量部 [アクリル系エマルジョン:大日本インキ化学工業(株)製] (4)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (5)精製水 900重量部 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、実施例1と
同様の感光性組成物を塗布し、100℃×3分間熱処理
して感光性組成物0.5g/m2 を親水性膨潤層中に含
浸させた。その後厚さ12ミクロンの片面マット化二軸
延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていない面
が該親水性膨潤層と接するようにしてカレンダーローラ
ーを用いてラミネートし、ネガ型の平版印刷用原版を得
たのち、実施例1と同様の製版処理を経て刷版とした。
得られた刷版のインキ反撥部分に対応した親水性膨潤層
を水膨潤させた状態で、OsO4 染色し、TEM(透過
型電子顕微鏡)観察した。
【0179】観察の結果、図3に示されるような親水性
ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマを主成分と
する相から構成された相分離構造を有することが確認さ
れた。評価結果を表5に示す。
【0180】
【表5】 約5000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にインキ
汚れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な印
刷物が得られた。
【0181】実施例19〜22 実施例3のラテックスを下記表6のポリマに変更した以
外は同様にして、感光性平版印刷版を作製した。得られ
た刷版のインキ反撥部分に対応した親水性膨潤層を水膨
潤させた状態で、OsO4 染色し、TEM(透過型電子
顕微鏡)観察した。
【0182】観察の結果、図2に示されるような各親水
性膨潤層が、疎水性ポリマを主成分とする相を連続相と
し親水性ポリマを主成分とする相を分散相とする相分離
構造を有することが確認された。
【0183】評価結果を表7に示す。
【0184】
【表6】
【表7】 約5000枚の印刷を行なった時点で、各刷版にインキ
汚れは発生せず、十分にコントラストを有する明瞭な印
刷物が得られた。
【0185】実施例23 実施例1に用いた平版印刷版と通常のPS版(FNS;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら実施例1と同様にして印刷を行っ
た。
【0186】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0187】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。なお、湿し水の
供給量は印刷機のダイヤル目盛り値にて相対的に比較し
た。評価結果を表8に示す。
【0188】
【表8】
【0189】
【発明の効果】本発明の平版印刷版は、相分離構造を有
する親水性膨潤層を非画線部として使用しているため、
わずかな湿し水の給水量で効率良くインキを反撥するこ
とができ、湿し水のコントロール幅が拡大される。ま
た、湿し水に通常添加されるイソプロパノールなどの溶
剤を用いることなく、印刷が可能となる。
【0190】本発明の感光性平版印刷版から感光性化合
物の助けを借りて画像形成を行なった場合、従来のPS
版で必要な物理的現像が一切不要で製版工程が極めて簡
便となる。またインキ反撥性を発現するために必要な基
板への特殊な表面処理も不要であるため、安価な感光性
平版印刷版を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる平版印刷版の親水性膨潤層の相
分離構造の一例を表す。
【図2】本発明にかかる平版印刷版の親水性膨潤層の相
分離構造の一例を表す。
【図3】本発明にかかる平版印刷版の親水性膨潤層の相
分離構造の一例を表す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性膨潤層からなる非画線部が少なく
    とも親水性ポリマを主成分とする相および疎水性ポリマ
    を主成分とする相の少なくとも2相から構成された相分
    離構造を有することを特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】 疎水性ポリマが水性エマルジョンから主
    として構成されることを特徴とする請求項1記載の平版
    印刷版。
  3. 【請求項3】 疎水性ポリマが共役ジエン系化合物を含
    有するラテックスから主として構成されることを特徴と
    する請求項1記載の平版印刷版。
  4. 【請求項4】 親水性膨潤層の吸水率が10〜2000
    %であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版。
  5. 【請求項5】 疎水性ポリマが親水性膨潤層中60〜9
    5重量%であることを特徴とする請求項1記載の平版印
    刷版。
  6. 【請求項6】 基板上に、親水性ポリマを主成分とする
    相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なくとも2
    相から構成された相分離構造を有する親水性膨潤層を備
    えた感光性平版印刷版原版の版表面に活性光線を照射す
    ることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 基板上に、親水性ポリマを主成分とする
    相および疎水性ポリマを主成分とする相の少なくとも2
    相から構成された相分離構造を有する親水性膨潤層を備
    えた平版印刷版原版。
  8. 【請求項8】 疎水性ポリマが水性エマルジョンから主
    として構成されることを特徴とする請求項7記載の平版
    印刷版原版。
  9. 【請求項9】 疎水性ポリマが共役ジエン系化合物を含
    有するラテックスから主として構成されることを特徴と
    する請求項7記載の平版印刷版原版。
  10. 【請求項10】 親水性膨潤層の吸水率が10〜200
    0%であることを特徴とする請求項7記載の平版印刷版
    原版。
  11. 【請求項11】 疎水性ポリマが親水性膨潤層中60〜
    95重量%であることを特徴とする請求項7記載の平版
    印刷版原版。
JP2524196A 1995-02-22 1996-02-13 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版 Expired - Fee Related JP3036425B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2524196A JP3036425B2 (ja) 1995-02-22 1996-02-13 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3354195 1995-02-22
JP7-33541 1995-02-22
JP2524196A JP3036425B2 (ja) 1995-02-22 1996-02-13 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08292558A true JPH08292558A (ja) 1996-11-05
JP3036425B2 JP3036425B2 (ja) 2000-04-24

Family

ID=26362839

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2524196A Expired - Fee Related JP3036425B2 (ja) 1995-02-22 1996-02-13 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3036425B2 (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1249342A2 (en) 2001-04-09 2002-10-16 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
EP1281515A2 (en) 2001-08-03 2003-02-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
EP1304229A2 (en) 2001-10-22 2003-04-23 Fuji Photo Film Co., Ltd. Hydrophilic member, hydrophilic graft polymer, and support of planographic printing plate
EP1338434A2 (en) 2002-02-26 2003-08-27 Toray Industries, Inc. Directly imageable waterless planographic printing plate precursor
EP1396339A2 (en) 2002-09-05 2004-03-10 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
US6977132B2 (en) 2001-12-07 2005-12-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
US7045276B2 (en) 2001-10-11 2006-05-16 Fuji Photo Film Co., Ltd. Hydrophilic member precursor and pattern forming material that utilizes it, support for planographic printing plate, and planographic printing plate precursor
US7056642B2 (en) 2002-09-18 2006-06-06 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of graft polymerization and variety of materials utilizing the same as well as producing method thereof
US7090957B2 (en) 2002-09-11 2006-08-15 Fuji Photo Film Co., Ltd. Polymerizable composition and planographic printing plate precursor using the same
EP1707397A1 (en) 2005-03-29 2006-10-04 Fuji Photo Film Co. Ltd. Lithographic printing plate comprising support and imaging layer
US7273691B2 (en) 2001-06-11 2007-09-25 Fujifilm Corporation Planographic printing plate precursor, substrate for the same and surface hydrophilic material
US7306895B2 (en) 2003-04-21 2007-12-11 Fujifilm Corporation Pattern forming method, image forming method, fine particle adsorption pattern forming method, conductive pattern forming method, pattern forming material and planographic printing plate
US8012668B2 (en) 2007-02-28 2011-09-06 Fujifilm Corporation Planographic printing plate precursor

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1249342A2 (en) 2001-04-09 2002-10-16 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
US7306850B2 (en) 2001-06-11 2007-12-11 Fujifilm Corporation Planographic printing plate precursor, substrate for the same and surface hydrophilic material
US7351513B2 (en) 2001-06-11 2008-04-01 Fujifilm Corporation Planographic printing plate precursor, substrate for the same and surface hydrophilic material
US7273691B2 (en) 2001-06-11 2007-09-25 Fujifilm Corporation Planographic printing plate precursor, substrate for the same and surface hydrophilic material
EP1281515A2 (en) 2001-08-03 2003-02-05 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
US6911295B2 (en) 2001-08-03 2005-06-28 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
US7045276B2 (en) 2001-10-11 2006-05-16 Fuji Photo Film Co., Ltd. Hydrophilic member precursor and pattern forming material that utilizes it, support for planographic printing plate, and planographic printing plate precursor
US6936399B2 (en) 2001-10-22 2005-08-30 Fuji Photo Film Co., Ltd. Hydrophilic member, hydrophilic graft polymer, and support of planographic printing plate
EP1304229A2 (en) 2001-10-22 2003-04-23 Fuji Photo Film Co., Ltd. Hydrophilic member, hydrophilic graft polymer, and support of planographic printing plate
US6977132B2 (en) 2001-12-07 2005-12-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
EP1338434A2 (en) 2002-02-26 2003-08-27 Toray Industries, Inc. Directly imageable waterless planographic printing plate precursor
EP1396339A2 (en) 2002-09-05 2004-03-10 Fuji Photo Film Co., Ltd. Planographic printing plate precursor
US7192683B2 (en) 2002-09-05 2007-03-20 Fuji Photo Film Co., Ltd Planographic printing plate precursor
US7090957B2 (en) 2002-09-11 2006-08-15 Fuji Photo Film Co., Ltd. Polymerizable composition and planographic printing plate precursor using the same
US7314698B2 (en) 2002-09-11 2008-01-01 Fujifilm Corporation Polymerizable composition and planographic printing plate precursor using the same
US7368544B2 (en) 2002-09-11 2008-05-06 Fujifilm Corporation Polymerizable composition and planographic printing plate precursor using the same
US7056642B2 (en) 2002-09-18 2006-06-06 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of graft polymerization and variety of materials utilizing the same as well as producing method thereof
US7306895B2 (en) 2003-04-21 2007-12-11 Fujifilm Corporation Pattern forming method, image forming method, fine particle adsorption pattern forming method, conductive pattern forming method, pattern forming material and planographic printing plate
EP1707397A1 (en) 2005-03-29 2006-10-04 Fuji Photo Film Co. Ltd. Lithographic printing plate comprising support and imaging layer
US8012668B2 (en) 2007-02-28 2011-09-06 Fujifilm Corporation Planographic printing plate precursor

Also Published As

Publication number Publication date
JP3036425B2 (ja) 2000-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6093509A (en) Lithographic printing plate
JP3036425B2 (ja) 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版
JPH0980744A (ja) 感光性平版印刷版原版
JP3013733B2 (ja) 感光性平版印刷版原版
JP3036390B2 (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JPH0954428A (ja) 感光性平版印刷版原版
JPH0954425A (ja) 平版印刷版原版
JPH0950118A (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JP3028770B2 (ja) 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版
JPH0950120A (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JPH08282142A (ja) 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版
JPH09230583A (ja) 感光性平版印刷版原版およびそれを用いた平版印刷版の製造方法
JPH09281695A (ja) 感光性平版印刷版原版
JPH09230582A (ja) 感光性平版印刷版原版の製造方法
JPH09156070A (ja) 平版印刷版の湿し水供給量の計測方法、制御方法および平版印刷版の湿し水供給量制御装置
JPH09230581A (ja) 感光性平版印刷版原版およびそれを用いた平版印刷版の製造方法
JPH09127684A (ja) 平版印刷の方法
JPH08282144A (ja) 平版印刷版、その製造方法および平版印刷版原版
WO1996025295A1 (fr) Plaque offset
JPH1063003A (ja) 感光性平版印刷版原版
JPH1062969A (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JPH1062971A (ja) 平版印刷版
JPH09218506A (ja) 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法
JPH09160225A (ja) 感光性平版印刷版原版
JP3528510B2 (ja) レーザー感応性平版印刷版原版およびその製版方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees