本発明のプロセスレス平版印刷版で使用される親水性層について説明する。本発明の親水層が含有する本発明の水溶性ポリマーは後述するエポキシ化合物との間で効率的に架橋反応が進行するための反応性基を分子内に含む事が必要である。ここで水溶性とは水に対する溶解度として、0.5質量%以上の水溶液を得る事が出来るだけの溶解度を有する事を意味する。上記反応性基として特に好ましい例は、カルボキシル基、アミノ基、水酸基が挙げられる。これらの反応性基を分子内に有する水溶性ポリマーを得るには、該反応性基を有する各種モノマーを共重合する形で組み込む事が好ましく行われる。本発明の水溶性ポリマーが有する、エポキシ基と反応して架橋構造を形成する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール等の含窒素複素環含有モノマー、N−メチロールアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類及びアセトアセトキシメタクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
本発明の水溶性ポリマーにおいて、エポキシ基と反応して架橋構造を形成する繰り返し単位の共重合体中に於ける割合は、繰り返し単位中の質量比で、1から40までの範囲にある事が好ましい。この範囲未満では架橋反応が進行しても耐水性が発揮出来ず、この範囲を超えれば、エチレンオキシ基の導入による親水性層の親水化の効果、及び画像部と親水層との接着による効果が薄れ、印刷による耐汚れ性、耐刷性が低下する場合がある。
次に、本発明の親水性層が含有する水溶性ポリマーが有する、エチレンオキシ基を有する繰り返し単位としては、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#600アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#600メタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
本発明の水溶性ポリマーにおいて、エチレンオキシ基を有する繰り返し単位におけるエチレンオキシの繰り返しは、1〜14までの範囲にあるのが好ましい。これを超えるとエポキシ基と反応して架橋構造を形成する繰り返し単位の割合に関わらず、架橋後の皮膜強度が弱くなる場合がある。また、エチレンオキシ基を有する繰り返し単位の共重合体中に於ける割合は、繰り返し単位の質量比で1から90までの範囲にある事が好ましい。
更に、本発明の水溶性ポリマーにおいて、更に親水性層の親水性を高めてブランケット汚れを防ぐために、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位の中に導入する事が好ましい。この目的に用いる親水性基を有するモノマーとしては、好ましくはビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホ基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウム、塩化2−トリメチルアンモニウムエチルアクリレート、塩化2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート、塩化2−トリエチルアンモニウムエチルアクリレート、塩化2−トリエチルアンモニウムエチルメタクリレート、塩化3−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド、塩化N,N,N−トリメチル−N−(4−ビニルベンジル)アンモニウム等の4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明に於ける好ましい水溶性ポリマーの例を以下に示す。
水溶性ポリマーの平均分子量は5000〜50万が好ましく、更に、1万〜20万がより好ましい。これより分子量が低い場合、親水性層が水と接触すると溶解したり、剥がれたりする場合がある。また、この範囲を超えると、塗液の粘度が高くなり、均一な塗布が不可能になる場合がある。
これらの親水性層が含有する水溶性ポリマーの塗布量は、0.1〜5g/m2が好ましく、更に好ましくは0.3〜3g/m2である。
本発明の親水性層が含有する架橋剤としては、エポキシ化合物を用いる。かかるエポキシ化合物は、水またはメタノールやエタノールに少なくとも10質量%以上可溶なものである。このようなエポキシ化合物は例えばナガセケムテックス(株)より「デナコール」の商品名で販売されており、容易に入手出来る。以下に化合物の好ましい例を挙げる。
特にエポキシ化合物として、下記構造のようなポリエチレングリコールグリシジルエーテルは特に親水性層の剥がれによる印刷汚れ、画像部と親水性層の剥がれによる耐刷性に優れ、好ましく用いられる。以下に例を挙げる。
上記のような種々のエポキシ化合物と本発明の水溶性ポリマーとの質量比に関しては好ましい範囲が存在する。該水溶性ポリマーに対して架橋剤は1〜90質量部の範囲で用いる事が好ましい。
本発明に用いる親水性層は、画像部の接着性を良好にし、かつ非画像部の親水性を高めるために、コロイダルシリカを含有する事が好ましい。本発明に用いられるコロイダルシリカは形状は球形でも良いし、鎖状、或いはパールネックレス状のコロイダルシリカも好ましく用いられる。
コロイダルシリカはSiO2単体から構成されるものでも良いが、シリカの分散性のpH依存性を変えるためにAl2O3などで表面を若干修飾したものを用いても良い。また、親水性層の塗液のpHによって、コロイダルシリカのアルカリ分散液、酸性分散液を選択して用いる事が出来る
球状のシリカとしては、例えば日産化学工業(株)製の「スノーテックスXS」、「スノーテックスS」、「スノーテックス20」、「MP−2040」、「MP−1040」、「スノーテックスZL」などが挙げられる。これらのコロイダルシリカはpHが9以上であるが、酸性の塗液を作製する場合には、Naイオンを脱塩して酸性にした「スノーテックスO」、「スノーテックスOL」などを用いる事も出来る。鎖状シリカとしては日産化学工業(株)製「スノーテックスUP」、ネックレス状シリカとしては日産化学工業(株)製「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」が挙げられる。
親水性層に含有するコロイダルシリカの量は、本発明の水溶性ポリマーとコロイダルシリカの質量比が1:1〜1:4である事が好ましく、更に好ましくは1:1.5〜1:3である。コロイダルシリカは単一の種類を添加しても良いし、2種以上を混合しても良い。混合する場合はコロイダルシリカの全固形分量と本発明のポリマーとの質量比が上記質量比になる事が好ましい。
他に、露光時以外の光を遮ったり、ハレーションを防止するために、染料や顔料を添加しても良い。更に、二酸化チタンや二酸化ケイ素などの無機微粒子を添加する事で表面に凹凸を作り、画像部の密着性を上げたり、非画像部の親水性を改善する事が出来る。
更に、エポキシ化合物と、本発明の親水性ポリマーを十分に架橋させるために、画像形成層の付与、或いは感光層を塗布する前に40〜100℃、好ましくは45〜80℃の温度下の条件で12時間〜1週間、好ましくは1日〜5日間保管する事が好ましい。
本発明の親水層上に、熱によって画像形成層を溶融固着させ、固着していない部分を水または印刷機上で除去する方法、或いはインクジェットヘッドで親油性物質を画像状に版面表面に印字する方法などを用いて、親油性の画像形成層を形成する事が出来る。好ましい熱溶融性の画像形成層としては、例えば特開2007−175924号公報記載の熱溶融性の微粒子化合物を用いた方法が挙げられる。また、インクジェット方式により画像形成層を形成する好ましいインク組成物としては、例えば特開2001−270261号公報などに記載されているようなワックスを主成分とする熱溶融固形インクのインク組成物、或いは特開昭56−10960号公報、特開平5−204138号公報などに記載されているような紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂を含有したインク組成物、或いは特開2004−66816号公報などに記載されている水系紫外線硬化樹脂を含有したインク組成物などがある。
本発明においては特に、画像部の接着性において、以下の様な画像形成層を用いる事が好ましい。本発明で好ましく用いられる画像形成層は、側鎖に重合性二重結合を有するカチオン性水溶性重合体(以降、重合体Aと称す)または側鎖に重合性二重結合及びスルホン酸基を有する水溶性重合体(以下、重合体Bと称す)、及び光重合開始剤または光酸発生剤を含有する感光層である。
本発明に用いられる重合体Aとは、カチオン性基を有する水溶性ポリマー中の側鎖に重合性二重結合が導入されている重合体を表す。以下に重合体Aについて詳細に説明する。
重合体Aにおけるカチオン性基とは、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ヨードニウム基、オキソニウム基等の有機オニウム基から選ばれる基であり、これらの内四級アンモニウム基が最も好ましい。
上述した有機オニウム基を導入した重合体は、特公昭55−13020号公報、特開昭55−22766号公報、特開平11−153859号公報、特開2000−103179号公報、米国特許第4,693,958号明細書、米国特許第5,512,418号明細書に記載されている従来公知の化学反応を用いて合成する事が出来る。即ち、所望の有機オニウム基を含有するモノマーを重合反応させたり、重合体を構成するポリマー鎖状に導入された三価のN原子、二価のS原子或いは三価のP原子等を、通常のアルキル化反応によって有機オニウム基を導入する方法が挙げられる。更にはアミン類、スルフィド類、ホスフィン類のような求核試薬とポリマー鎖状の脱離基(例えば、スルホン酸エステル類やハロゲン化物)との求核置換反応により、ポリマー主鎖または側鎖に有機オニウム基を導入する方法も挙げられる。
重合性二重結合含有ポリマーの側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、β−フェニルビニルメタクリレート、β−フェニルビニルアクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロビニルメタクリレート、α−クロロビニルアクリレート、β−メトキシビニルメタクリレート、β−メトキシビニルアクリレート、ビニルチオアクリレート、ビニルチオメタクリレート等が挙げられる。
重合体Aにおいて、光重合後の画像形成部と親水性層との接着性が良好な、ビニル基が置換したフェニル基を側鎖に有する重合体が特に好ましい。本発明に於いてビニル基が置換したフェニル基は、適当な連結基を介して重合体中に導入されている場合が好ましい。この場合の連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。更に該ビニル基及び該フェニル基は置換基を有していても良い。ビニル基が置換したフェニル基を導入した重合体としては、更に詳細には下記一般式(I)で表される基を側鎖に有するものである。
式中、R1、R2及びR3は同じであっても異なっていても良く、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。これらの基の中でも、R1が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R2、R3が水素原子であるものが特に好ましい。
式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基から選ばれる基を表し、これらの基を構成するアルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
式中、m1は1〜4の整数を表し、pは0または1を表し、q1は1〜4の整数を表す。
式中、L1は炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群からなる多価の連結基を表す。具体的には下記に例示される構造単位より構成される基及び下記に示す複素環基が挙げられる。これらの基は単独でも任意の2つ以上が組み合わされていても良い。
L1を構成する複素環の例としては、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の含窒素複素環、フラン環、チオフェン環等が挙げられ、これらの複素環は置換基を有していても良い。
上述した多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
連結基L1を構成する任意の原子団に於いて、この中にカチオン性基を形成する4級アンモニウム基等の有機オニウム基が含まれている場合が特に好ましく利用される。連結基中に、こうした有機オニウム基が含まれない場合においては主鎖を構成する繰り返し単位中に、別途有機オニウム基を有する繰り返し単位を含む事が必要である。
重合体中にビニル基が置換したフェニル基を導入する方法については特に制限はなく、例えば特公昭49−34041号公報、特公平6−105353号公報、特開2000−181062号公報、特開2000−187322号公報等に示されるようないずれの方法を用いても良い。これらの場合には予め前駆体であるポリマーを合成する際に、有機オニウム基を有する繰り返し単位を共重合体の形で導入しておくか、前駆体ポリマーに重合性不飽和結合基を導入した形で、上述した方法等により、有機オニウム基を形成する事が必要である。
重合体Aを構成する事が出来るモノマーの具体例としては、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、(4−ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩モノマー、ジメチル−2−メタクリロイルオキシエチルスルホニウムメトスルフェート等の3級スルホニウム塩モノマー、2−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−ブロモメチルスチレン、2−クロロエチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート等のハロゲン化アルキル基含有モノマー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、重合体Aは、任意の他のモノマーとの共重合体を構成していても良く、これら共重合体を構成するモノマーは水溶性であっても非水溶性であっても良い。水溶性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、桂皮酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン、アクリルアミド−N−グリコール酸等のカルボキシル基含有モノマー及びこれらの塩、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー及びこれらの塩、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、4−アミノスチレン、4−アミノメチルスチレン、N,N−ジメチル−N−(4−ビニルベンジル)アミン、N,N−ジエチル−N−(4−ベニルベンジル)アミン等のアミノ基含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環含有モノマー及びこれらの4級アンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、メタクリル酸のアルキレンオキシ基含有(メタ)アクリレート類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら水溶性モノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
また、水現像性を最適化し、画像部の強度を向上させるために、非水溶性の任意のモノマーとの共重合体を形成する事も好ましく行われ、これらの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類またはアリールアルキル(メタ)アクリレート類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを挙げる事が出来る。これらの任意の組み合わせで構成される共重合体を重合体Aとして使用する事が出来る。
ビニル基が置換したフェニル基を主鎖に結合するための連結基を構成する任意の原子団に於いて、この中にカチオン性基を形成する4級アンモニウム基等の有機オニウム基が含まれている場合が最も好ましい。この場合においては、重合体中に含まれるビニル基が置換したフェニル基の数と有機オニウム基の数が正比例するため、感度を向上させるために重合体中に含まれるビニル基が置換したフェニル基の両方を同時に満足する事が出来る。上述したようなビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合の重合体の単位構造は、具体的には下記一般式(II)で表す事が出来る。
式中、A1 +はアンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ヨードニウム基、オキソニウム基等の有機オニウム基を表し、n1及びn2はそれぞれ0または1を表す。A1 +がヨードニウム基の場合はn1=n2=0であり、A1 +がスルホニウム基の場合はn1=1かつn2=0であり、A1 +がアンモニウム基またはホスホニウム基の場合はn1=n2=1である。
式中、R5及びR6は同じであっても異なっていても良く、それぞれアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等)またはアリール基(例えばフェニル基、1−ナフチル基等)を表し、これらの基は置換されていても良く、この場合の置換基の例としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。更にR5及びR6は、上記一般式(II)で表されるビニル基が置換したフェニル基を含有する基であっても良い。
式中、R7、R8及びR9は同じであっても異なっていても良く、それぞれ前記一般式(I)におけるR1、R2及びR3と同義である。これらの基の中でもR7が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)であり、R8及びR9が水素原子であるものが特に好ましい。R10は、前記一般式(I)におけるR4と同義である。L2及びL3は、それぞれ独立に炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式(I)におけるL1と同義である。m2は0〜4の整数を表し、p2は0または1の整数を表しq2は1〜4の整数を表す。
また、A1 +で表される有機オニウム基を形成するN原子、S原子及びP原子等と、R5、R6或いはL2、L3から任意に選ばれる基とが組み合わさって環構造(例えば、ピリジニウム環、2−キノリウム環、モルホニウム環、ピペリジニウム環、ピロリジニウム環、テトラヒドロチオフェニウム環等)を形成していても良い。これら環構造は、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等で置換されていても良い。
また、本発明の重合体Aの中には、上記したようなビニル基が置換したフェニル基がカチオン性基を介して主鎖と結合した繰り返し単位を有する重合体の他に、ビニル基が置換したフェニル基が直接もしくはカチオン性基を含まない連結基を介して主鎖に結合した繰り返し単位とカチオン性基を有する繰り返し単位とを有する重合体も用いる事が出来る。
本発明に於ける重合体Aの例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中における各繰り返し単位の質量%を表す。
本発明の重合体Aを構成する各繰り返し単位が、全重合体中に占める割合については好ましい範囲が存在する。上述したように側鎖に重合性二重結合がカチオン性基を介して主鎖と結合している場合には、その繰り返し単位が重合体トータル組成の10質量%から80質量%の範囲にある事が特に好ましい。
また、重合性二重結合が直接もしくはカチオン性基を含まない連結基を介して主鎖に結合した繰り返し単位とカチオン性基を有する繰り返し単位とからなる重合体の場合には、重合性二重結合を有する繰り返し単位の場合は、5質量%から50質量%の範囲にある事が特に好ましい。そして、カチオン性基を有する繰り返し単位が占める割合は、30質量%から95質量%の範囲にある事が好ましく、50質量%から90質量%の範囲にある事が特に好ましい。
本発明の重合体Aの分子量については好ましい範囲が存在し、質量平均分子量で1000から100万の範囲である事が好ましく、更に1万から30万の範囲にある事が特に好ましい。本発明に於ける重合体Aは、1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
次に、側鎖に重合性二重結合及びスルホン酸基を有する水溶性重合体(重合体B)について詳細に説明する。
本発明の重合体Bは、側鎖に重合性二重結合及びスルホン酸塩基がそれぞれ直接もしくは任意の連結基を介して主鎖と結合した重合体である。これらの連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。重合性二重結合及びスルホン酸塩基は、それぞれ独立して主鎖に結合していても良いし、或いはビニル基が置換したフェニル基とスルホン酸塩基が連結基の一部または全部を共有する形で結合していても良い。
重合性二重結合含有ポリマーの側鎖に重合性二重結合を導入する場合のモノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート、ビニルメタクリレート、1−プロペニルアクリレート、1−プロペニルメタクリレート、β−フェニルビニルメタクリレート、β−フェニルビニルアクリレート、ビニルメタクリルアミド、ビニルアクリルアミド、α−クロロビニルメタクリレート、α−クロロビニルアクリレート、β−メトキシビニルメタクリレート、β−メトキシビニルアクリレート、ビニルチオアクリレート、ビニルチオメタクリレート等が挙げられる。
重合体Bに於いても重合体Aと同様に、光重合後の画像形成部と親水性層との接着性が良好な、ビニル基が置換したフェニル基を有する重合体が特に好ましい。ビニル基が置換したフェニル基は、適当な連結基を介して重合体中に導入されている場合が好ましい。この場合の連結基としては特に限定されず、任意の基、原子またはそれらの複合した基が挙げられる。更に該ビニル基及び該フェニル基は、置換基を有していても良い。かかる置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
本発明の重合体Bは、更に詳細には、下記一般式(III)及び(IV)で表される基を側鎖に有するものである。
式中、R11、R12、及びR13は、同じであっても異なっていても良く、それぞれ前記一般式(I)に於けるR1、R2、及びR3と同義であり、R14は前記一般式(I)と同義である。L4は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式(I)におけるL1と同義である。m3は0〜4の整数を表し、p3は0または1を表し、q3は1〜4の整数を表す。
上記一般式で表される基の中でも、R11が水素原子もしくは炭素数4以下の低級アルキル基(メチル基、エチル基等)であり、かつR12及びR13が水素原子であるものが好ましい。また、連結基L4としては複素環を含むものが好ましく、q3は1または2であるものが好ましい。
式中、L5は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる原子または、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子原子群からなる多価の連結基を表し、具体的には前記一般式(I)におけるL1と同義である。更にL5は前記一般式(III)のL4の一部または全部を共有しても良い。
式中、X+はスルホアニオンを中和するのに必要な電荷を持つカチオンを表す。このようなカチオンの具体例としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオン等の無機イオン(例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等)、有機アンモニウムイオン(例えばアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム等)、ヨードニウムイオン(例えばフェニルヨードニウム等)、スルホニウムイオン(例えばトリフェニルスルホニウム等)、ジアゾニウムイオン等が挙げられ、これらの中でもアルカリ金属イオンまたは有機アンモニウムイオンが特に好ましい。
重合体中にビニル基が置換したフェニル基を導入する方法については特に制限はないが、該ビニル基が置換したフェニル基を有するモノマーを重合させた場合には、該ビニル基も反応し、ゲル化を起こしてしまう事が予想され好ましくない。このため、ビニル基が置換したフェニル基を有さない前駆体ポリマーを合成しておき、しかる後、従来公知の高分子反応により該ビニル基が置換したフェニル基を導入する方法が特に好ましい。
重合体中にスルホン酸塩基を導入する方法については特に制限はなく、該スルホン酸塩基を有するモノマーを共重合させても良いし、スルホン酸塩基を有さない前駆体ポリマーを合成しておき、しかる後、従来公知の高分子反応により該スルホン酸塩基を導入しても良い。
本発明の重合体Bは、上述した側鎖に重合性二重結合を有する繰り返し単位、及びスルホン酸塩基を有する繰り返し単位からのみなる重合体であっても良いし、或いは本発明の効果を妨げない限り、更に他の繰り返し単位を導入した重合体であっても良い。また更に、他のモノマーとの共重合体であっても良く、このようなモノマーの具体例としては、重合体Aで例示した全ての水溶性モノマー及び非水溶性モノマーが挙げられ、これらモノマーは1種で用いても良いし、任意の2種類以上を用いても良い。
本発明の重合体Bの例を以下に示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例示された構造式の中の数字は共重合体トータル組成100質量%中に於ける各繰り返し単位の質量%を表す。
本発明の重合体Bの重量平均分子量は、1000から100万の範囲である事が好ましく、更に1万から30万の範囲にある事が特に好ましい。本発明における重合体Bは1種のみの単独で用いても良いし、任意の2種以上を混合して用いても良い。
前述した本発明の重合体A及びBの水に対する溶解性については好ましい範囲が存在する。即ち、25℃のイオン交換水100mlに対して前記重合体は0.5g以上溶解する事が好ましく、更に2.0g以上溶解する事が特に好ましい。
本発明の感光層は、上述した重合体AもしくはBの他に、任意の公知の各種バインダー樹脂を混合して用いる事も出来る。この場合のバインダー樹脂は特に制限されず、具体的には、上記で例示したモノマーから任意に構成される重合体や、ポリビニルフェノール、フェノール樹脂、ポリヒドロキシベンザール、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げる事が出来る。これらバインダー樹脂としては水溶性である事が好ましく、上記で例示したような水溶性モノマーを少なくとも1種以上用いた水溶性バインダー樹脂やゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性バインダー樹脂である事が好ましい。
本発明の平版印刷版の画像部は、前記した重合体AもしくはBと併せて、光重合開始剤または光酸発生剤を含有する。本発明に用いられる光重合開始剤としては、光または電子線の照射によりラジカルを発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いる事が出来る。
本発明に用いる事の出来る光重合開始剤の例としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)アジニウム化合物、(g)活性エステル化合物、(h)メタロセン化合物、(i)トリハロアルキル置換化合物、(j)有機ホウ素化合物等が挙げられる。
(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY ”J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK (1993)、P.77〜P.177に記載のベンゾフェノン骨格、或いはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン類、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン類、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類を挙げる事が出来る。
(b)芳香族オニウム塩の例としては、N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、TeまたはIの芳香族オニウム塩が含まれる。このような芳香族オニウム塩は、特公昭52−14277号公報、特公昭52−14278号公報、特公昭52−14279号公報等に例示されている化合物を挙げる事が出来る。
(c)有機過酸化物の例としては、分子中に酸素−酸素結合を一個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ−(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(tert−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(tert−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−tert−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化エステル系が好ましい。
(d)ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(e)ケトオキシムエステルの例としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(f)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号公報、特開昭63−142345号公報、特開昭63−142346号公報、特開昭63−143537号公報、特公昭46−42363号公報等に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げる事が出来る。
(g)活性エステル化合物の例としては特公昭62−6223号公報等に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号公報、特開昭59−174831号公報等に記載の活性スルホネート類を挙げる事が出来る。
(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報等に記載のチタノセン化合物ならびに特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報等に記載の鉄−アレーン錯体等を挙げる事が出来る。
(i)トリハロアルキル置換化合物の例としては、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、米国特許第3,954,475号明細書、米国特許第3,987,037号明細書、米国特許第4,189,323号明細書、特開昭61−151644号公報、特開昭63−298339号公報、特開平4−69661号公報、特開平11−153859号公報等に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、特開昭54−74728号公報、特開昭55−77742号公報、特開昭60−138539号公報、特開昭61−143748号公報、特開平4−362644号公報、特開平11−84649号公報等に記載の2−トリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。また、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合した、特開2001−290271号公報等に記載のトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
(j)有機ホウ素塩化合物の例としては、特開平8−217813号公報、特開平9−106242号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素アンモニウム化合物、特開平6−175561号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−157623号公報等に記載の有機ホウ素スルホニウム化合物及び有機ホウ素オキソスルホニウム化合物、特開平6−175553号公報、特開平6−175554号公報等に記載の有機ホウ素ヨードニウム化合物、特開平9−188710号公報等に記載の有機ホウ素ホスホニウム化合物、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−292014号公報、特開平7−306527号公報等に記載の有機ホウ素遷移金属配位錯体化合物等が挙げられる。また、特開昭62−143044号公報、特開平5−194619号公報等に記載の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有するカチオン性色素が挙げられる。
本発明に関わる光重合開始剤については特に有機ホウ素塩が好ましく用いられる。更に好ましくは、有機ホウ素塩とトリハロアルキル置換化合物(例えばトリハロアルキル置換された含窒素複素環化合物としてs−トリアジン化合物及びオキサジアゾール誘導体、トリハロアルキルスルホニル化合物)を組み合わせて用いる事である。
有機ホウ素塩を構成する有機ホウ素アニオンは、下記一般式(V)で表される。
式中、R15、R16、R17及びR18は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R15、R16、R17及びR18の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
上記の有機ホウ素アニオンは、これと塩を形成するカチオンが同時に存在する。この場合のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、オニウムイオン及びカチオン性増感色素が挙げられる。オニウム塩としては、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウム及びホスホニウム化合物が挙げられる。アルカリ金属イオンまたはオニウムイオンと有機ホウ素アニオンとの塩を用いる場合には、別に増感色素を添加する事で色素が吸収する光の波長範囲での感光性を付与する事が行われる。また、カチオン性増感色素の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを含有する場合は、該増感色素の吸収波長に応じて感光性が付与される。しかし、後者の場合は更にアルカリ金属もしくはオニウム塩の対アニオンとして有機ホウ素アニオンを併せて含有するのが好ましい。
本発明に用いられる有機ホウ素塩としては、先に示した一般式(V)で表される有機ホウ素アニオンを含む塩であり、塩を形成するカチオンとしてはアルカリ金属イオン及びオニウムイオンが好ましく使用される。特に好ましい例は、有機ホウ素アニオンとのオニウム塩として、テトラアルキルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリアリールアルキルホスホニウム塩等のホスホニウム塩が挙げられる。特に好ましい有機ホウ素塩の例を下記に示す。
本発明に用いられる光酸発生剤としては、光または電子線の照射により分解し、塩酸、スルホン酸等の強酸やルイス酸の如き酸を発生しうる化合物であれば任意の化合物を用いる事が出来る。本発明に用いる事の出来る光酸発生剤の例としては、(k)芳香族ジアゾニウム塩化合物、(l)ピバリン酸−o−ニトロベンジルエステル、ベンゼンスルホン酸−o−ニトロベンジルエステル等のo−ニトロベンジルエステル類、(m)9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸−4−ニトロベンジルエステル、ピロガロールトリスメタンスルホネート、ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル類等のスルホン酸エステル誘導体、(n)ジベンジルスルホン、4−クロロフェニル−4′−メトキシフェニルジスルホン等のスルホン類、(o)リン酸エステル誘導体及び(p)米国特許第3,332,936号明細書、特開平2−83638号公報、特開平11−322707号公報、特開2000−1469号公報等に記載のスルホニルジアゾメタン化合物等を挙げる事が出来る。
本発明において、有機ホウ素塩とともに用いる事で更に高感度化、硬調化が具現される光重合開始剤としてトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。上記トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体及びオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を下記に示す。
上記光重合開始剤及び光酸発生剤は単独で用いても良いし、任意の2種以上の組み合わせで用いても良い。また、任意の光重合開始剤と任意の光酸発生剤を組み合わせて用いる事も出来る。光重合開始剤及び光酸発生剤の含有量は、重合体AまたはBのいずれかの量に対して、1〜100質量%の範囲が好ましく、更に1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
本発明に於ける感光層を構成する他の好ましい要素として、分子内に重合性不飽和結合基を有する重合性モノマーを挙げる事が出来る。重合性不飽和結合基とは、光重合開始剤または光酸発生剤の作用により、光重合反応或いは光架橋反応に寄与しうるエチレン性不飽和二重結合基を表す。特に、分子内に重合性不飽和結合基を2つ以上有する多官能重合性モノマーを使用する事が好ましい。このような重合性モノマーの例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート系モノマー、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えた多官能メタクリレート系モノマー、同様にイタコン酸エステル系モノマー、クロトン酸エステル系モノマー、マレイン酸エステル系モノマー等が挙げられる。
他の重合性モノマーの例としては、スチレン誘導体が挙げられる。このスチレン誘導体としては、分子内に2つ以上のビニルフェニル基を有する化合物が好ましい。例えば、1,4−ジビニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ビス(4−ビニルベンジルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(4−ビニルベンジルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ビニルベンジルオキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル]プロパン、1,1,2,2−テトラキス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)フェニル]エタン、α,α,α′,α′−テトラキス[4−(4−ビニルベンジルオキシ)]p−キシレン、1,2−ビス(4−ビニルベンジルチオ)エタン、1,4−ビス(4−ビニルベンジルチオ)ブタン、ビス[2−(4−ビニルベンジルチオ)エチル]エーテル、2,5−ビス(4−ビニルベンジルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,4,6−トリス(4−ビニルベンジルチオ)−1,3,5−トリアジン、N,N−ビス(4−ビニルベンジル)−N−メチルアミン、N,N,N′,N′−テトラキス(4−ビニルベンジル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N′,N′−テトラキス(4−ビニルベンジル)−p−フェニレンジアミン、マレイン酸ビス(4−ビニルベンジル)エステル等が挙げられる。
或いは、上記の重合性モノマーに代えてラジカル重合性を有する重合性オリゴマーも好ましく用いる事が出来る。例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種オリゴマーとしてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等を重合性モノマーと同様に用いる事が出来る。
上述した重合体A及び重合体Bを用いた感光層の中で、特に、重合体Bを用いた感光性組成物が、画像部の強度が特に優れている点で好ましい。重合体Bからなる感光層をプロセスレス平版印刷版として使用した場合には、現像処理を行わずに印刷機に装着して印刷するのに特に好適であり、かつ耐刷性に優れたプロセスレス平版印刷版を得る事が出来る。
本発明のプロセスレス平版印刷版に感光層を用いた場合、感光層に色素を添加する事で、様々な波長の光に対して感度を持たせる事が出来る。
700〜900nmにおける増感色素として、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、クマリン、ポリフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、スクアリリウム化合物、ピリリウム化合物が挙げられ、更に、欧州特許第0,568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、米国特許第5,227,227号明細書に記載の化合物も用いる事が出来る。
好ましく用いる事の出来る増感色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。700〜900nm付近の近赤外光に対応する増感色素を下記に示す。
上記のような増感色素の含有量には好ましい範囲が存在し、感光性組成物1平方メートル当たり1〜300mgの範囲で添加する事が好ましく、更に、感光性組成物1平方メートル当たり5〜200mgの範囲で添加する事が特に好ましい。
本発明のプロセスレス平版印刷版は、上述した成分以外にも種々の目的で他の成分を添加する事も好ましく行われる。特に、重合性不飽和結合基の熱重合或いは熱架橋を防止し、長期にわたる保存性を向上させる目的で、種々の重合禁止剤を添加する事が好ましく行われる。この場合の重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物やキノン類化合物等が好ましく使用され、特にハイドロキノンが好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、重合体100質量部に対して0.1質量部から10質量部の範囲で使用する事が好ましい。
プロセスレス平版印刷版に感光層を塗布する場合の他の要素として、着色剤の添加も好ましく行う事が出来る。着色剤としては、露光及び現像処理後に於いて、画像部の視認性を高める目的で使用されるものであり、カーボンブラック、フタロシアニン系色素、トリアリールメタン系色素、アントラキノン系色素、アゾ系色素等の各種の色素及び顔料を使用する事が出来、重合体1質量部に対して0.005質量部から0.5質量部の範囲で使用する事が好ましい。
プロセスレス平版印刷版に感光層を塗布する場合の構成する要素については、上述の要素以外にも種々の目的で他の要素を追加して添加する事も出来る。例えば、感光性組成物のブロッキングを防止する目的もしくは現像後の画像のシャープネス性を向上させる等の目的で無機物微粒子或いは有機物微粒子を添加する事も好ましく行われる。
プロセスレス平版印刷版に感光層を塗布する場合は、上述した要素から構成される感光性組成物の塗液を、支持体上に塗布、乾燥して作製される。塗布方法としては、公知の種々の方法を用いる事が出来、例えば、バーコーター塗布、カーテン塗布、ブレード塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、回転塗布、ディップ塗布等を挙げる事が出来る。平版印刷版として使用する場合の感光層自体の厚みに関しては、支持体上に0.5μmから10μmの範囲の乾燥厚みで形成する事が好ましく、更に1μmから5μmの範囲である事が耐刷性を大幅に向上させるために好ましい。
本発明のプロセスレス平版印刷版の支持体として用いられるプラスチックフィルム支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース等が挙げられる。これらプラスチックフィルム支持体の表面は、親水性層との接着性を良好にし、非画像部に保水性を与える目的で、各種親水化処理が施される。このような親水化処理としては、化学的処理、放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面処理、及び表面に親水性層を塗設する方法等が挙げられ、これらの処理は組み合わせて実施しても良い。
上記のようにして親水性層上に形成された感光性の画像形成層は、密着露光或いはレーザー走査露光を行った後、現像液により未露光部を除去する事でパターン形成が行われる。露光された部分は架橋する事で現像液に対する溶解性が低下し、画像部が形成される。
本発明のプロセスレス感光性平版印刷版における感光性の画像形成層は、水現像出来る事が大きな特徴である。水現像に用いられる現像液は、従来から一般に用いられているアルカリ剤を多量に含有する強アルカリの現像液(通常pH10を超える)とは異なり、実質的にアルカリ剤は含まない。従って、本発明の水現像に用いられる現像液のpHは10以下であり、好ましくはpH9.5以下であり、より好ましくはpH9以下である。pHの下限は3程度である。本発明の水現像に用いられる現像液は、水が現像液全体の70質量%以上、更には80質量%以上を占めるものであり、他に添加剤として、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルセルソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール等の各種有機溶剤、或いは、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤等を添加する事も出来る。
次に、本発明の親水性層に用いられる水溶性ポリマーの代表的な合成例を挙げるが、他の例示化合物も同様の方法、或いは上述したような従来公知の方法を参考にして容易に合成する事が出来る。感光層の重合体の合成方法は特開2003−215301号公報に記載の合成例に従って合成する事が出来る。
合成例1
親水性ポリマー(WP−7)の合成例
スチレンスルホン酸ナトリウム(120g)を、還流管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた1リッター4つ口フラスコ内に秤取し、エタノール(100g)及び純水(500g)を加えて撹拌した。これに室温下でリン酸(27.7g)を添加した。次いで、ジメチルアミノエチルメタクリレート(40g)を添加し、更にメトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート(40g)を添加して撹拌、溶解した。窒素雰囲気下、75℃の水浴上に移し、撹拌を行った。内温70℃に達した時点で、アゾビススアミジノプロパン2塩酸塩1.4gを添加して重合を開始し、重合開始後10〜30分で発熱が認められ、エタノールの還流が認められた。内温75℃に保ったまま重合開始後4時間加熱撹拌を続け、得られた共重合体溶液は精製せず、そのまま評価に用いた。ここで得られた親水性ポリマーの平均分子量は約10万であった。他の関連する水溶性ポリマーも基本的には同様の合成方法にて合成した。