JP2006326928A - 平版印刷版原版および平版印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体上に、酸性基を有する構造単位を有し、塩基性基を有する構造単位とエチレン性不飽和結合を有するモノマーの少なくとも一つがイオン結合により結ばれているポリマー、または塩基性基を有する構造単位を有し、酸性基を有する構造単位とエチレン性不飽和結合を有するモノマーの少なくとも一つがイオン結合により結ばれているポリマーを含む光重合層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
【選択図】 なし
Description
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部となる画像記録層を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させる方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる方法、印刷機のローラー類やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤等の浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラー類やブランケット胴との接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の画像記録層の未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の画像記録層の未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。したがって、このような技術に適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
また、機上現像可能な平版印刷版としては、例えば、特許文献1には、親水性結合剤中に疎水性熱可塑性重合体粒子を分散させた像形成層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。この特許文献1には、上記平版印刷版原版を赤外線レーザーにより露光して、疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体させて画像を形成させた後、印刷機のシリンダー上に取り付け、湿し水および/またはインキにより機上現像することが可能である旨記載されている。
このように微粒子の単なる熱融着による合体で画像を形成させる方法は、良好な機上現像性を示すものの、画像強度(支持体との密着性)が極めて弱く、耐刷性が不十分であるという問題を有していた。
また、特許文献4には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する画像記録層(感光層)を設けた平版印刷版原版が記載されている。
このような重合反応を用いる方法は、重合体微粒子の熱融着により形成される画像部に比べ、画像部の化学結合密度が高いため画像強度が比較的良好であるという特徴を有するが、実用的な観点から見ると、機上現像性、細線再現性および耐刷性のいずれも未だ不十分であり、実用化には至っていない。
しかし、この技術は、機上現像性は良好ではあるが、細線再現性および耐刷性は未だ不十分である。
2.支持体上に、赤外線吸収剤を含有する前記1記載の平版印刷版原版。
3.該ポリマーが、エチレン性不飽和結合を、下記一般式(1)〜(3)の群から選ばれる少なくとも一つの基として有するモノマーの少なくとも一つと、イオン結合により結ばれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平版印刷版原版。式中、X、YおよびZは、連結基または単結合を表す。
5.該光重合層またはその他の層に少なくとも(a1)エチレン性不飽和基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体を含むことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
6.該光重合層が印刷インキおよび/または湿し水により除去可能であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版。
7.前記1〜5に記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、レーザーで画像様に露光した後、または、レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に油性インキと水性成分とを供給して、光重合層の未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
平版印刷版原版であって、支持体上に少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有するポリマーを含む光重合層(画像記録層)を有し、該ポリマー側鎖とエチレン性不飽和結合部位がイオン性結合で結ばれていることを特徴とする。
また、本発明の平版印刷方法は、上記平版印刷版原版を、印刷機に装着し、レーザーで画像様に露光した後、または、レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に油性インキと湿し水を供給して、光重合層の未露光部分を除去し、印刷するものである。
以下、本発明の平版印刷版原版の構成要素および平版印刷方法について詳細に説明する。
本発明のポリマーは、酸性基あるいは塩基性基を有する構造単位とエチレン性不飽和結合を有するモノマーの少なくとも一つがイオン結合により結ばれていることを特徴とする。このポリマーを用いることによって、機上現像性を良好に保持しつつ、細線再現性および耐刷性が優れた平版印刷版原版を提供できる。
以下に本発明に用いるポリマーについて詳細に説明する。
このような構成単位としては、高分子主鎖に直接、あるいは高分子側鎖に酸性基を有する炭素を含む原子数1以上の有機連結基を介して高分子主鎖に酸性基が連結された構造単位であれば、特に制限なく用いることができる。
上記構造単位における酸性基としては、酸解離定数pKaが12以下の酸性基であれば限定することなく用いることができる。具体的には、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基、チオール基の他、特開平11−84657号公報に記載のスルホンアミド基、活性イミド基等を用いることができる。
本発明の感光性組成物を印刷機上で現像する場合の現像性と耐刷の観点からは、酸性基のpKaは8以下であることが好ましい。
そのような観点から、上記具体例の中でも、ホスホン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、原料入手および合成が容易なことからカルボン酸基あるいはスルホン酸基が特に好ましい。
本発明に係る有機連結基としては、少なくとも1つの炭素原子を含む原子数1以上の有機基であれば限定することなく用いることができるが、酸性基が、アミド基、アミノ基などの塩基性成分とイオン結合を形成し、エチレン性不飽和結合ユニットを導入するという観点や、未露光部における機上現像性を向上させるといった観点から、有機連結基の原子
数、即ち、主鎖と酸性基との間に介在する有機連結基を構成する原子の総数が1〜18であることが好ましく、原子数が1〜10であることがさらに好ましい。
このような有機連結基の具体例としては、アルキレン基、置換基を有していてもよいアリレン基、または下記構造式(i)〜(iii)から選択される構造のもの等が挙げられ、ラジカル重合により高分子化合物を合成する場合の重合性や入手性等の観点から、フェニレン基に代表されるアリレン基、または下記構造式(i)の如くカルボニル構造を有するものが好ましく、下記構造式(i)で表されるものが特に好ましい。
Yとしては、炭素数1〜16のアルキレン基または単結合が好ましく、アルキレン基内のメチレン(−CH2−)は、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−またはOCO−)、アミド結合(−CONR−またはNRCO−;Rは水素原子またはアルキル基)で置換されていてもよく、メチレン基を置換する結合としてはエーテル結合、エステル結合が特に好ましい。このような2価の連結基Yのうち、特に好ましい具体例を以下に挙げる。
上記モノマーとしては、塩基性基およびエチレン性不飽和結合部位を有する化合物なら、特に制限なく用いることができる。
上記化合物の塩基性基としては、共役酸の酸解離定数pKaが、段落番号[0022]記載の酸性基よりも大きければ、特に制限なく用いることができるが、原料入手および合成の容易さからアミノ基であることが好ましい。本発明におけるアミノ基は、一般的なアミノ基の構造(−NH2)に加え、Hが炭化水素基により置換された、−NHR1、−NR1R2(R1、R2はそれぞれ独立に一価の炭化水素基を表す。また、R1およびR2は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)で表される置換アミノ基、および、ピリジル基などを包含する。ここで、R1、R2で表される炭化水素基としては、炭素数1〜20程度のアルキル基、または炭素数6〜20程度のアリール基、アラルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数1〜6程度のアルキル基、または、フェニル基が特に好ましい。
なお、アミノ基が、ポリマー側鎖の酸性基とイオン結合を形成して、露光部における耐刷性を向上させるといった観点から、本発明におけるアミノ基は、上記−NH2、−NH
R1で表されるアミノ基または置換アミノ基であることが好ましく、ここで、R1はアルキル基であることが好ましい。
本発明におけるエチレン性不飽和結合に特に制限はないが、下記一般式(1)〜(3)で表される基を有することが好ましい。
このような構成単位としては、高分子主鎖に直接、あるいは高分子側鎖に塩基性基を有する炭素を含む原子数1以上の有機連結基を介して高分子主鎖に塩基性基が連結された構造単位であれば、特に制限なく用いることができる。
上記構造単位における塩基性基としては、共役酸の酸解離定数pKaが、段落番号[0038]に記載の酸性基よりも大きければ、特に制限なく用いることができるが、原料入手および合成の容易さからアミノ基であることが好ましい。本発明におけるアミノ基は、一般的なアミノ基の構造(−NH2)に加え、Hが炭化水素基により置換された、−NHR1、−NR1R2(R1、R2はそれぞれ独立に一価の炭化水素基を表す。また、R1およびR2は互いに結合して環構造を形成していてもよい。)で表される置換アミノ基、または、ピリジル基などを包含する。ここで、R1、R2で表される炭化水素基としては、炭素数1〜20程度のアルキル基、または炭素数6〜20程度のアリール基、アラルキル基等が挙げられ、中でも、炭素数1〜6程度のアルキル基、または、フェニル基が特に好ましい。
なお、アミノ基が、ポリマー側鎖の酸性基とイオン結合を形成して、露光部における耐刷性を向上させるといった観点から、本発明におけるアミノ基は、上記−NH2、−NHR1で表されるアミノ基または置換アミノ基であることが好ましく、ここで、R1はアルキル基であることが好ましい。
また、高分子主鎖とアミノ基とを連結する有機基としては、前記酸性基を有する構成単位における有機連結基と同様に、炭素数1以上の有機連結基なら特に制限なく用いることができる。
上記モノマーとしては、酸性基およびエチレン性不飽和結合部位を有する化合物なら、特に制限なく用いることができる。
(酸性基)
上記構造単位における酸性基としては、酸解離定数pKaが12以下の酸性基であれば限定することなく用いることができる。具体的には、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基、チオール基の他、特開平11−84657号公報に記載のスルホンアミド基、活性イミド基等を用いることができる。
本発明の感光性組成物を印刷機上で現像する場合の現像性と耐刷の観点からは、酸性基のpKaは8以下であることが好ましい。
そのような観点から、上記具体例の中でも、ホスホン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、原料入手および合成が容易なことからカルボン酸基あるいはスルホン酸基が特に好ましい。
(エチレン性不飽和結合部位)
酸性基を有する上記モノマーのエチレン性不飽和結合部位としては、前記の塩基性基およびエチレン性不飽和結合部位を有するモノマーの場合と同じものが挙げられる。
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンジルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、アクリロイルオキシメチルスルホン酸など);メタクリロイルオキシアルキルスルホン酸(例えば、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸など);アクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−アクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸など);メタクリルアミドアルキルスルホン酸(例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルエタンスルホン酸など);アクリロイルオキシアルキルホスフェート(例えば、アクリロイルオキシエチルホスフェートなど);が挙げられる。これらのうちで好ましいのはアクリル酸、メタクリル酸であり、特にメタクリル酸が好ましい。
本発明の特定高分子化合物は機上現像性などの諸性能を向上させるために、親水性基を有するラジカル重合性化合物を共重合させてもよい。このような親水性基としては、たとえば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボキシレート基、ヒドロキシエチル基、ポリオキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ポリオキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アンモニウム基、アミド基、カルボキシメチル基、スルホン酸基、リン酸基等などがあり、好ましいのはアミド基、水酸基、ポリオキシエチル基である。親水性基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレンオキシアクリレート、ポリオキシエチレンモノメタクリレート、ポリオキシエチレンモノアクリレートが挙げられる。これらを1種あるいは1種以上用いることができ、これらの共重合成分の好適に使用される含有量は、0〜85モル%であり、特に好ましくは5〜70モル%である。
これらラジカル重合性化合物のうち、好適に使用されるのは、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類である。これらを1種あるいは2種以上用いることができ、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、0〜95モル%であり、特に好ましくは、20〜90モル%である。
塩基性基を有する構造単位の共重合比は、全共重合成分中0.5〜70モル%であることが好ましく、1〜55モル%であることがより好ましい。塩基性基を有する構造単位の共重合比がこの範囲内において、優れた機上現像性と耐刷性を達成できる。また、このような特定高分子化合物を含む感光性組成物を平版印刷版原版の記録層として用いた場合、インキの着肉性に優れるため好ましい。
本発明の平版印刷版原版に含まれる特定高分子化合物の含有量は固形分で好ましくは約5〜95質量%であり、より好ましくは、約10〜85質量%である。この範囲内で、良好な機上現像性と耐刷性が得られる。
更に、重合に際しては、メルカプト化合物等に代表される公知の連鎖移動剤を併用することにより共重合体の末端部の組成や分子量を制御してもよい。更に各々のモノマー単位は共重合体中にブロックまたはランダムのいずれの状態で導入してもよい。
本発明の平版印刷版原版を、760〜1200nmの赤外線を発するレーザーを光源により画像形成する場合には、通常、赤外線吸収剤を用いることが必須である。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述する重合開始剤(ラジカル発生剤)に電子移動/エネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
また、特に好ましい他の例としてさらに、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
光重合層の吸光度は、光重合層に添加する赤外線吸収剤の量と光重合層の厚みにより調整することができる。吸光度の測定は常法により行うことができる。測定方法としては、例えば、アルミニウム等の反射性の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの光重合層を形成し、反射濃度を光学濃度計で測定する方法、積分球を用いた反射法により分光光度計で測定する方法等が挙げられる。
本発明に用いられる重合発生剤としては、光、熱或いはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明に使用できる重合発生剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができ、本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物は、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。本発明に係る熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ素化合物、ジスルホン化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
を使用することができる。
Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、具体的には、下記の構造式で示される化合物が挙げられる。
387 (1974)、 T.S.Bal et al, Polymer, 21, 423 (1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号公報等に記載のアンモ
ニウム塩、米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号の明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の公報に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同第390,214号、同第233,567号、同第297,443号、同第297,442号、米国特許第4,933,377号、同第161,811号、同第410,201号、同第339,049号、同第4,760,013号、同第4,734,444号、同第2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同第3,604,580号、同第3,604,581号の明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al, Macromolecules, 10(6), 1307 (1977)、J.V.Crivello et al, J.Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al, The, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988) に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
2のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基またはアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。Z21 −は1価の陰イオンを表す。具体的には、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンが挙げられる。中でも、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
以下に本発明に好適なオニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
本発明の光重合層には、効率的な硬化反応を行うため重合性化合物を含有させることが好ましい。本発明に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モ
ノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、および単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、光重合層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板や後述の保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明の光重合層には、前記ポリマー以外に、バインダーポリマーを含有させることができる。本発明に用いることができるバインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
アミド残基の具体例としては、−CH2 CH=CH2 、−CH2 CH2 −Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2 CH2 −OCO−CH=CH2 が挙げられる。
インキに対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親油的な方が好ましく、湿し水に対する溶解性または分散性を向上させるためには、バインダーポリマーは、親水的な方が好ましい。このため、本発明においては、親油的なバインダーポリマーと親水的なバインダーポリマーを併用することも有効である。
バインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等の公知の化合物を用いることができる。
また、重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で0.5/1〜4/1となる量で用いるのが好ましい。
本発明において、光重合層には、印刷開始時の機上現像性を促進させるため、および、塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類が挙げられる。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、光重合層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
本発明では、更に必要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
方が好ましい。なお、添加量は、画像記録材料全固形分に対し、0.01〜10質量%の割合である。
本発明の光重合層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
本発明の光重合層には、光重合層の製造中または保存中において重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、光重合層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
本発明の光重合層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で光重合層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、光重合層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
本発明の光重合層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤の含有量は、光重合層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
本発明の光重合層は、画像部の硬化皮膜強度向上および非画像部の機上現像性向上のために、無機微粒子を含有してもよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。
無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、光重合層中に安定に分散して、光重合層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することが
できる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、光重合層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
本発明の光重合層は、機上現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有しても良い。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩等が上げられる。
本発明においては、上記の光重合層構成成分を光重合層に含有させる方法として、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号公報に記載のごとく、該構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する態様であり、もう一つは、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、光重合層の構成成分をマイクロカプセルに内包させて光重合層に含有させる態様(マイクロカプセル型光重合層)である。さらに、マイクロカプセル型光重合層において、該構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。マイクロカプセル型光重合層においては、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有させることが好ましい態様である。より良好な機上現像性を得るためには、光重合層は、マイクロカプセル型光重合層であることが好ましい。
カプセル壁に、前記バインダーポリマー導入可能なエチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を有する化合物を導入しても良い。
本発明の光重合層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状物であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
のがより好ましく、0.2〜0.3mmであるのが更に好ましい。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
支持体に表面処理を施した後または下塗層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高
分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 )4 、Si(OC2 H5 )4 、Si(OC3 H7 )4 、Si(OC4 H9 )4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
本発明の平版印刷版原版においては、特に機上現像型平版印刷版原版の場合、必要に応じて、光重合層と支持体との間に下塗層を設けることができる。下塗層は、未露光部において、光重合層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、機上現像性が向上する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。
下塗層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい下塗層としては、吸着性基を有するモノマー/親水性基を有するモノマー/架橋性基を有するモノマーを共重合した高分子樹脂が挙げられる。
試験化合物を易溶性の溶媒に溶解させた塗布夜を作製し、その塗布夜を乾燥後の塗布量が30mg/m2となるように支持体上に塗布・乾燥させる。次に試験化合物を塗布した支持体を、易溶性溶媒を用いて十分に洗浄した後、洗浄除去されなかった試験化合物の残存量を測定して支持体吸着量を算出する。ここで残存量の測定は、残存化合物量を直接定量してもよいし、洗浄液中に溶解した試験化合物量を定量して算出してもよい。化合物の定量は、例えば蛍光X線測定、反射分光吸光度測定、液体クロマトグラフィー測定などで実施できる。支持体吸着性がある化合物は、上記のような洗浄処理を行っても1mg/m2以上残存する化合物である。
酸基は、酸解離定数(pKa)が7以下であることが好ましい。酸基の例は、フェノール性水酸基、カルボキシル基、−SO3H、−OSO3H、−PO3H2、−OPO3H2、−CONHSO2−、−SO2NHSO2−および−COCH2COCH3を含む。リン酸基(−OPO3H2、―PO3H2)が特に好ましい。またこれら酸基は、金属塩であっても構わない。
カチオン性基は、オニウム基であることが好ましい。オニウム基の例は、アンモニウム基、ホスホニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、セレノニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基を含む。アンモニウム基、ホスホニウム基およびスルホニウム基が好ましく、アンモニウム基およびホスホニウム基がさらに好ましく、アンモニウム基が最も好ましい。
式(III)において、Xは、酸素原子(−O−)またはイミノ(−NH−)である。Xは、酸素原子であることがさらに好ましい。式(III)において、Lは、2価の連結基である。Lは、2価の脂肪族基(アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(アリレン基、置換アリレン基)または2価の複素環基であるか、あるいはそれらと、酸素原子(−O−)、硫黄原子(―S―)、イミノ(−NH−)、置換イミノ(−NR−、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)またはカルボニル(−CO−)との組み合わせであることが好ましい。
脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10が最も好ましい。脂肪族基は、不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基および複素環基を含む。
芳香族基の炭素原子数は、6乃至20が好ましく、6乃至15がさらに好ましく、6乃至10が最も好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
複素環基は、複素環として5員環または6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R、Rは脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基および複素環基を含む。
Lは、複数のポリオキシアルキレン構造を含む二価の連結基であることが好ましい。ポリオキシアルキレン構造は、ポリオキシエチレン構造であることがさらに好ましい。言い換えると、Lは、−(OCH2CH2)n−(nは2以上の整数)を含むことが好ましい。
式(III)において、Zは、親水性支持体表面に吸着する官能基である。また、Yは、炭素原子または窒素原子である。Y=窒素原子でY上にLが連結し四級ピリジニウム基になった場合、それ自体が吸着性を示すことからZは必須ではない。
吸着性の官能基については、前述した通りである。
以下に、式(III)または(IV)で表される代表的なモノマーの例を示す。
=CR2R3、−(CH2)nNH−CO−O−CH2CR1=CR2R3、−(CH2)n−O−CO−CR1=CR2R3、および−(CH2CH2O)2−X(式中、R1〜R3はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基を表し、R1とR2またはR3とは互いに結合して環を形成してもよい。nは、1〜10の整数を表す。Xは、ジシクロペンタジエニル残基を表す。)を挙げることができる。
エステル残基の具体例としては、−CH2CH=CH2(特公平7−21633号公報に記載されている。)、−CH2CH2O−CH2CH=CH2、−CH2C(CH3)=CH2、−CH2CH=CH−C6H5、−CH2CH2OCOCH=CH−C6H5、−CH2CH2NHCOO−CH2CH=CH2、および−CH2CH2O−X(式中、Xはジシクロペンタジエニル残基を表す。)が挙げられる。
アミド残基の具体例としては、−CH2CH=CH2、−CH2CH2O−Y(式中、Yはシクロヘキセン残基を表す。)、−CH2CH2OCO−CH=CH2が挙げられる。
下塗り用高分子樹脂の架橋性基を有するモノマーとしては、上記架橋性基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドが好適である。
下塗り用の高分子樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等のいずれでもよいが、ランダムポリマーであるのが好ましい。
下塗層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
また、上記の、(a1)エチレン性不飽和基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体を前記光重合層に含有させることもできる。
本発明の平版印刷版原版には、酸素遮断性付与、光重合層での傷等の発生防止、高照度レーザー露光時に生じるアブレーション防止等のために、必要に応じて光重合層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることができる。
通常、平版印刷版の露光処理は大気中で実施する。露光処理によって生じる光重合層中での画像形成反応は、大気中に存在する酸素、塩基性物質等の低分子化合物によって阻害され得る。保護層は、この酸素、塩基性物質等の低分子化合物が光重合層へ混入することを防止し、結果として大気中での画像形成阻害反応を抑制する。従って、保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性を低くすることであり、更に、露光に用いられる光の透過性が良好で、光重合層との密着性に優れ、かつ、露光後の機上現像処理工程で容易に除去することができるものである。このような特性を有する保護層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書および特公昭55−49729号公報に記載されている。
A(B,C)2-5 D4 O10(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母および鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3 (AlSi3O10)F2 、カリ四ケイ素雲母KMg2.5 Si4 O10)F2等の非膨潤性雲母、およびNaテトラシリリックマイカNaMg2.5 (Si4 O10)F2、NaまたはLiテニオライト(Na,Li)Mg2 Li(Si4 O10)F2、モンモリロナイト系のNaまたはLiヘクトライト(Na,Li)1/8 Mg2 /5Li1/8 (Si4O10)F2 等の膨潤性雲母等が挙げられる。また合成スメクタイトも有用である。
層状化合物の粒子径は、その平均径が1〜20μm、好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜5μmである。粒子径が1μmよりも小さいと酸素や水分の透過の抑制が不十分であり、効果を十分に発揮できない。また20μmよりも大きいと塗布液中での分散安定性が不十分であり、安定的な塗布を行うことができない問題が生じる。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。例えば、無機質の層状化合物のうち、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μm程度である。
保護層中の無機質層状化合物の含有量は、保護層に使用されるバインダーの量に対し、質量比で5/1〜1/100であることが好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これら無機質の層状化合物の合計量が上記の質量比であることが好ましい。
乾燥することで保護層を形成する。塗布溶剤はバインダーとの関連において適宜選択することができるが、水溶性ポリマーを用いる場合には、蒸留水、精製水を用いることが好ましい。保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書または特公昭55−49729号公報に記載されている方法など公知の方法を適用することができる。具体的には、例えば、保護層は、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等が挙げられる。
保護層の塗布量としては、乾燥後の塗布量で、0.01〜10g/m2 の範囲であることが好ましく、0.02〜3g/m2 の範囲がより好ましく、最も好ましくは0.02〜1g/m2の範囲である。
本発明の平版印刷版原版を露光する光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。望ましい光源の波長は300nm〜1200nmであり、具体的には各種レーザーを光源として用いることが好適であり、中でも、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザーが好適に用いられる。
露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
また、本発明の平版印刷版原版に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザー、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
本発明の平版印刷方法においては、上述したように、本発明の平版印刷版原版を赤外線レーザーで画像様に露光した後、何らの現像処理工程を経ることなく油性インキと水性成分とを供給して印刷する。
具体的には、平版印刷版原版を赤外線レーザーで露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に装着して印刷する方法、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上において赤外線レーザーで露光し、現像処理工程を経ることなく印刷する方法等が挙げられる。
その結果、水性成分は露出した親水性の表面に付着し、油性インキは露光領域の光重合層に着肉し、印刷が開始される。ここで、最初に版面に供給されるのは、水性成分でもよく、油性インキでもよいが、水性成分が未露光部の光重合層により汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給するのが好ましい。水性成分および油性インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、平版印刷版原版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
75℃に昇温した1-メトキシ-2-プロパノール40gに、メタクリル酸メチル15.5g、ブレンマーPE 14.3g、メタクリル酸4.5g、V-601 0.20g、1-メトキシ-2-プロパノール40gの混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、75℃で120分攪拌した後、30分かけて90℃まで昇温し、さらに60分攪拌した。V-601 0.2gを加え、さらに90℃で120分攪拌し、室温まで放冷した。室温まで放冷後、ハイドロキノン(重合禁止剤)62.4mgとアミノエチルメタクリレート 6.7gを加え、室温下2時間攪拌した。反応溶液を水2L中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより35gのポリマー(A−1)を得た。質量平均分子量を表1に示す。
上記合成例の塩基性基およびエチレン性不飽和結合部位を有するモノマー(塩基性モノマー、アミノエチルメタクリレート)を表1のように代えた以外はポリマー(A−1)の合成と同様の方法でポリマー(A−2)〜(A−5)を得た。質量平均分子量を表1に示す。
75℃に昇温した1-メトキシ-2-プロパノール40gに、メタクリル酸メチル14.6g、ブレンマーPE 13.4g、アミノエチルメタクリレート 6.3g、V-601 0.2g、1-メトキシ-2-プロパノール40gの混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、75℃で120分攪拌した後、30分かけて90℃まで昇温し、さらに60分攪拌した。V-601 0.2gを加え、さらに90℃で120分攪拌し、室温まで放冷した。室温まで放冷後、ハイドロキノン(重合禁止剤)62.4mgとメタクリル酸4.5gを加え、室温下2時間攪拌した。反応溶液を水2L中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより21gのポリマー(A−1)を得た。質量平均分子量を表1に示す。
上記合成例の酸性基およびエチレン性不飽和結合部位を有するモノマー(酸性モノマー、メタクリル酸)を表2のように代えた以外はポリマー(B−1)の合成と同様の方法でポリマー(B−2)〜(B−5)を得た。質量平均分子量を表2に示す。
75℃に昇温した1-メトキシ-2-プロパノール40gに、メタクリル酸メチル15.5g、ブレンマーPE14.3g、メタクリル酸4.5g、V-601 0.20g、1-メトキシ-2-プロパノール40gの混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、75℃で120分攪拌した後、30分かけて90℃まで昇温し、さらに60分攪拌した。V-601 0.2gを加え、さらに90℃で120分攪拌し、室温まで放冷した。室温まで放冷後、反応溶液を水2L中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより21gのポリマー(C−1)を得た(質量平均分子量1.4×105)。
75℃に昇温した1-メトキシ-2-プロパノール40gに、メタクリル酸メチル14.6g、ブレンマーPE 13.4g、アミノエチルメタクリレート 6.3g、V-601 0.2g、1-メトキシ-2-プロパノール40gの混合溶液を2時間30分かけて滴下した。滴下終了後、75℃で120分攪拌した後、30分かけて90℃まで昇温し、さらに60分攪拌した。V-601 0.2gを加え、さらに90℃で120分攪拌し、室温まで放冷した。室温まで放冷後、反応溶液を水2L中に攪拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより21gのポリマー(C−2)を得た(質量平均分子量1.4×105)。
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム板表面を砂目立てして、水でよく洗浄し
た。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
更に、下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布し、以下の実験に用いる支持体を作製した。
・下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
<平版印刷版原版の作製>
上記支持体上に、下記組成の光重合層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の光重合層を形成して平版印刷版原版1〜10および比較用平版印刷版原版1’,2’を得た。
・下記の赤外線吸収剤(1) 0.05g
・下記の重合開始剤(1) 0.2g
・表3に記載のポリマー 0.5g
・重合性化合物 1.0g
アロニックスM-215(東亜合成(株)製)
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.02g
・下記のフッ素系界面活性剤(1) 0.1g
・メチルエチルケトン 18.0g
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を行った。
一般に、ネガ型平版印刷版原版の場合、露光量が少ないと光重合層(画像記録層)の硬化度が低くなり、露光量が多いと硬化度が高くなる。光重合層の硬化度が低すぎる場合には、平版印刷版の耐刷性が低くなり、また、小点や細線の再現性が不良となる。一方、光重合層の硬化度が高い場合には、耐刷性が高くなり、また、小点や細線の再現性が良好となる。
本実施例では、以下に示すように、上記で得られたネガ型平版印刷版原版1〜10および1’を、上述した同一の露光量条件で耐刷性および細線再現性を評価することにより、平版印刷版原版の感度の指標とした。即ち、耐刷性における印刷枚数が高いほど、また、細線再現性における細線幅が細いほど、平版印刷版原版の感度が高いと言える。
前記のように印刷を開始し、100枚印刷後、印刷用紙上の非画像部にインキ汚れのない印刷物が得られるまでに要した印刷用紙の枚数を数え、機上現像枚数とした。枚数が少ないほど機上現像性が高いと評価する。
上述したように100枚印刷して非画像部にインキ汚れがない印刷物が得られたことを確認した後、続けて500枚の印刷を行った。合計600枚目の印刷物の細線チャート(10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、60、80、100および200μmの細線を露光したチャート)を25倍のルーペで観察し、途切れることなくインキで再現された細線幅により、細線再現性を評価した。結果を表3に示す。
上述のように細線再現性評価の印刷を行った後、更に印刷を続けた。印刷枚数を増やしていくと徐々に光重合層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。結果を表3に示す。
れていることが分かる。従って、本発明の平版印刷版原版は、感度の点でも優れていると言える。
実施例1で用いたのと同じ支持体上に、下記組成の光重合層塗布液(2)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.8g/m2の光重合層を形
成して平版印刷版原版を得た。引き続き、下記組成の保護層塗布液(1)を前記光重合層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成することで平版印刷版原版11〜15および比較用平版印刷版原版3’、4’を得た。
感光液(1)
・下記の赤外線吸収剤(2) 0.02g
・表4記載のポリマー 0.16g
・上記の重合開始剤(1) 0.10g
・重合性モノマー、アロニックスM-215(東亜合成(株)製) 0.39g
・上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 8.6g
・メチルエチルケトン 1.1g
マイクロカプセル液(1)
・下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.64g
・水 2.43g
・下記無機粒子分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコールPVA105 0.06g
((株)クラレ製、ケンカ度98.5モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドンK30 0.01g
(東京化成工業(株)製、分子量Mw=4万)
・ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体LUVITEC VA64W 0.01g
(ISP社製、共重合比=6/4)
・ノニオン系界面活性剤エマレックス710 0.01g
日本エマルジョン(株)製
・イオン交換水 6.0g
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル社製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井
武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM-215(東亞合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
Claims (7)
- 支持体上に、酸性基を有する構造単位を有し、塩基性基を有する構造単位とエチレン性不飽和結合を有するモノマーの少なくとも一つがイオン結合により結ばれているポリマー、または塩基性基を有する構造単位を有し、酸性基を有する構造単位とエチレン性不飽和結合を有するモノマーの少なくとも一つがイオン結合により結ばれているポリマーを含む光重合層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
- 支持体上に、赤外線吸収剤を含有する請求項1記載の平版印刷版原版。
- 該光重合層が、マイクロカプセルを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 該光重合層またはその他の層に少なくとも(a1)エチレン性不飽和基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位と(a2)支持体表面と相互作用する官能基を少なくとも1つ含有する繰り返し単位とを有する共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 該光重合層が印刷インキおよび/または湿し水により除去可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 請求項1〜5に記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、レーザーで画像様に露光した後、または、レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に油性インキと水性成分とを供給して、光重合層の未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
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