JP2010064401A - 円筒状印刷原版および円筒状印刷版の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】円筒状印刷原版を外径精度高く、生産性高く作製するに適する製造方法の提供。
【解決手段】円筒状印刷原版の製造方法であって、(1)シート状感光性樹脂組成物を露光用円筒状支持体(a)に取り付ける工程、(2)取り付けられたシート状感光性樹脂組成物を光硬化させ円筒状硬化物を形成する工程、(3)形成された円筒状硬化物を露光用円筒状支持体(a)から取り外す工程、(4)表面に固定層を形成した印刷原版用円筒状支持体(b)表面に、作製した円筒状硬化物を巻き付け積層する工程、(5)固定層を介して円筒状硬化物を印刷原版用円筒状支持体(b)に固定する工程、を含む円筒状印刷原版の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、円筒状印刷原版および円筒状印刷版の製造方法に関する。
近年、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、レタープレス印刷といった樹脂凸版を用いた印刷、あるいはエンボス加工などの表面加工において、レーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより表面に凹凸パターンを形成するレーザー彫刻法が用いられるようになってきた。レーザー彫刻法に適用される材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂組成物を熱処理により硬化させたものが用いられている。特に、近年、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する技術が増えてきた。
特許文献1では、熱可塑性エラストマーを主原料とする感光性樹脂組成物を光硬化させたレーザー彫刻印刷原版の記載がある。シート状の感光性樹脂組成物を円筒状支持体上に巻きつけて、端部を溶着し、その後、露光して光硬化させる方法の記載がある。
特許第2846954号公報
しかし、外径精度の高いシート状感光性樹脂組成物を用いて、その精度を損なうことなく円筒状印刷原版を容易にかつ生産性高く作製できる方法はいまだ知られていないのが実情である。
特許文献1に記載の技術では、シート状感光性樹脂組成物を円筒状支持体上に巻き付け、更に端部を溶着するまでに相当の時間を要する。更に、これらの一連の作業途上では、シート状感光性樹脂組成物は依然として未硬化状態であるので、作業中にシート状感光性樹脂組成物の表面に何かが接触して、外径精度が低下することが懸念された。
このように、従来技術では外径精度の高いシート状感光性樹脂組成物を用いて、その精度を損なうことなく円筒状印刷原版を容易に作製できる方法は存在していなかった。
すなわち本発明は、表面にパターンを形成する円筒状印刷原版を外径精度高く、生産性高く作製するに適する製造方法の提供するものである。
本発明者らは鋭意検討し、シート状支持体上に形成されたシート状感光性樹脂組成物を、印刷原版用円筒状支持体(b)の表面に沿う曲面を有する露光用円筒状支持体(a)の外周にシート状支持体側が接するように巻きつけて光硬化させ、曲面からなるシート状硬化物を形成し、さらに固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定する製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記のとおりである。
[1]
(1)シート状支持体上に形成されたシート状感光性樹脂組成物を、印刷原版用円筒状支持体(b)の表面に沿う曲面を有する露光用円筒状支持体(a)の外周にシート状支持体側が接するように巻きつけて光硬化させ、曲面からなるシート状硬化物を形成する工程と、
(2)形成された曲面からなるシート状硬化物を、固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定することを特徴とする円筒状印刷原版の製造方法であって、
前記シート状支持体の厚さが10μm以上300μm以下であり、前記シート状感光性樹脂組成物の厚さが0.1mm以上5mm以下である円筒状印刷原版の製造方法。
[2]
前記シート状感光性樹脂組成物が20℃において固体状である前項[1]記載の円筒状印刷原版の製造方法。
[3]
露光用円筒状支持体(a)の外径が、印刷原版用円筒状支持体(b)の外径よりも小さい前項[1]または[2]記載の円筒状印刷原版の製造方法。
[4]
前記工程(1)が、シート状感光性樹脂組成物を露光用円筒状支持体(a)に巻きつける際に、シート状感光性樹脂組成物の両端部が幅1mm以上50mm以下で重なるように配置し、重なった部分を遮光しながら光硬化させ、重なった部分が未硬化である曲面からなるシート状硬化物を形成する工程であり、
前記工程(2)が、形成された重なった部分が未硬化である曲面からなるシート状硬化物を、固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定した後に、さらに、未硬化の両端部を溶着し、未硬化部に光を照射し光硬化させる工程を含む前項[1]から[3]いずれか一項記載の円筒状印刷原版の製造方法。
[5]
前記固定層が、光硬化性樹脂を含有する前項[1]から[4]いずれか一項記載の円筒状印刷原版の製造方法。
[6]
前記工程(2)において、固定層を光硬化させる工程を含む前項[5]に記載の円筒状印刷原版の製造方法。
[7]
前項[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法によって製造された円筒状印刷原版に、レーザー光を照射して凹凸パターンを形成するレーザー彫刻工程を含む円筒状印刷版の製造方法。
[8]
前項[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法によって得られうる円筒状印刷原版。
[9]
前項[8]に記載の円筒状印刷原版をレーザー彫刻して得られうる円筒状印刷版。
本発明によれば、円筒状印刷原版を外径精度高く、かつ生産性高く作製するのに適する製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[円筒状印刷原版の製造方法]
本実施形態の円筒状印刷原版の製造方法は、(1)シート状支持体上に形成されたシート状感光性樹脂組成物を、印刷原版用円筒状支持体(b)の表面に沿う曲面を有する露光用円筒状支持体(a)の外周にシート状支持体側が接するように巻きつけて光硬化させ、曲面からなるシート状硬化物を形成する工程と、(2)形成された曲面からなるシート状硬化物を、固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定することを特徴とする。
未硬化状態のシート状感光性樹脂組成物を印刷原版用円筒状支持体に固定する従来法では、その後に続く印刷原版製造工程への適用等を考慮してなされる繋ぎ目を平坦化する作業等の精度を要求される緻密な作業の際に樹脂組成物表面に何かが接触するなどして、該接触した部分の外径精度が低下するという問題が発生していた。
これに対して、本実施形態の製造方法は、上記繋ぎ目の平坦化等の精度を要求される緻密な作業をせずに、シート状感光性樹脂組成物を光硬化せしめた後に印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定するため、光硬化した部分に何かが接触しても、該接触した部分は変形等することなく印刷原版を作製することができ、従来技術で発生していた前記問題点の発生を抑制でき、高生産性と良好な外径精度とを達成できるという効果を奏する。
[周端部の整形処理工程を含む円筒状印刷原版の製造方法]
また、本実施形態の円筒状印刷原版の製造方法は、出来上がった円筒状印刷原版をレーザー彫刻して得られる円筒状印刷版の印刷精度の向上の観点から、前記工程(1)が、シート状感光性樹脂組成物を露光用円筒状支持体(a)に巻きつける際に、シート状感光性樹脂組成物の両端部が幅1mm以上50mm以下で重なるように配置し、重なった部分を遮光しながら光硬化させ、重なった部分が未硬化である曲面からなるシート状硬化物を形成する工程であり、かつ、前記工程(2)が、形成されたシート状硬化物を、固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)外周面に固定した後に、さらに、未硬化の両端部同士を溶着し、未硬化部に光を照射し光硬化させる工程(以下、周端部の整形処理工程ともいうことがある)を含んでもかまわない。
印刷原版用円筒状支持体(b)とシート状硬化物との接着強度を確保した円筒状印刷原版を製造する場合、積層するシートの両端部の処理が重要となる。シート状感光性樹脂組成物を、一度、全面的に硬化させてしまっては、両端部も硬化状態となるため、シート状硬化物を接着する工程の前に、両周端部の重なる部分を精密に切削し、接着剤を均一に塗布し、更に硬化するまで固定する等の操作が必要となる。
したがって、上記周端部の整形処理工程を含む円筒状印刷原版の製造方法によれば、上記操作を行うことなく接着強度を確保することができる。
また、上記周端部の整形処理工程を含む場合は、露光用円筒状支持体(a)と印刷原版用円筒状支持体(b)において、露光用円筒状支持体(a)の外径が、印刷原版用円筒状支持体(b)の外径よりも小さいことが好ましい。露光用円筒状支持体(a)の外径が、印刷原版用円筒状支持体(b)の外径よりも小さければ、露光用円筒状支持体(a)の上に設置してシート状感光性樹脂組成物を光硬化させた硬化物の曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)ので、印刷原版用円筒状支持体(b)に装着した際に、落下したり、外れたりすることを防ぐことができる。特に、印刷原版用円筒状支持体(b)の曲率よりもシート状感光性樹脂組成物を光硬化させた硬化物の曲率のほうが大きい場合、印刷原版用円筒状支持体(b)に装着した際に落下したり外れたりすることをより防ぐことができるため好ましい。
工程(2)で用いる固定層としては、例えば接着剤層や粘着材層が挙げられる。接着剤は化学的な反応を伴うものであり、粘着材は化学的な反応を伴わず親和力によるものとして区別した。接着剤としては例えば熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤、嫌気性接着剤が挙げられ、粘着材としては例えばシート状の粘着材が取り扱いの観点から好適である。
印刷原版用円筒状支持体(b)とシート状硬化物を固定できれば特に制限されないが、作業性の観点から熱硬化性または光硬化性固定層であることが好ましく、短時間で硬化を完了できる観点から光硬化性固定層であることがより好ましい。短時間で接着できる場合、作製される円筒状印刷原版の外径精度を確保することが可能となる。光硬化性固定層としては光硬化性樹脂を含有していることが好ましい。固定層が、光硬化性樹脂を含有する場合、工程(2)において、光硬化させる工程を更に含むことが好ましい。
[シート状感光性樹脂組成物]
本実施形態で用いるシート状感光性樹脂組成物は、露光用円筒状支持体(a)に巻きつける際に流動せずにシートの形状を保持することができれば特に制限されない。例えば室温において流動性を有する感光性樹脂組成物であっても、例えば温度を低下させることに代表されるような流動性をなくす操作を加えれば本実施形態の印刷原版の製造方法は実行可能である。しかし、余分な操作を省くためには20℃において固体状の感光性樹脂組成物であることが好ましい。
本実施形態のシート状感光性樹脂組成物は、後述の樹脂(c)および有機化合部(d)を含有することが好ましい。
シート状感光性樹脂組成物の厚さは製造される円筒状印刷原版の用途の観点から、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。厚みがこの範囲であれば、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷等の印刷用途で使用することが可能となる。
[樹脂(c)]
樹脂(c)の数平均分子量は、1000以上30万以下、より好ましくは2000以上15万以下、更に好ましくは5000以上5万以下である。樹脂(c)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して作成する感光性樹脂硬化物が強度を保ち、印刷用基材などとして用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。また、樹脂(c)の数平均分子量の上限は、20万以下が好ましい。30万以下であれば、押し出し成形時に感光性樹脂組成物の溶融粘度が過度に上昇することもなく、シート状の感光性樹脂硬化物を作製することができる。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
樹脂(c)は、分子内に重合性不飽和基を有していても構わない。特に好ましい化合物として1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーを挙げることができる。1分子あたり平均で0.7以上であれば、本実施形態のシート状感光性樹脂組成物より得られる光硬化物の機械強度に優れ、耐久性も良好で、特に印刷用基材として繰り返しの使用にも耐えらるものとなり好ましい。感光性樹脂硬化物の機械強度を考慮すると、樹脂(c)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。また、1分子あたりの重合性不飽和基数の上限については特に限定しないが、好ましい範囲としては20以下である。20以下であれば、光硬化時の収縮を低く抑えることができ、また表面近傍でのクラック等の発生も抑制できる。
ここで言う分子内とは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。
具体的な樹脂(c)としては、下記に示すようなポリマーを骨格として、前記特定官能基を有するものを挙げることができる。骨格となるポリマーの例として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子等からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のものをもちいることができる。複数の高分子を用いる場合の形態としては共重合体、ブレンドどちらでもよい。
特にフレキソ印刷版用途のように柔軟なレリーフ画像が必要な場合には、樹脂(c)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を添加することもできる。このような液状樹脂として、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類、アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類、(メタ)アクリル酸及び/またはその誘導体の重合体及びこれらの混合物やコポリマー類があげられる。その含有量は、樹脂(c)全体に対して30wt%以上100wt%以下含有することが好ましい。特に耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。
樹脂(c)を構成する化合物に重合性不飽和基を導入する方法として、例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端あるいは分子鎖中に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する化合物に、前記反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後に、反応によって得られた化合物と、この化合物の末端結合性基と反応する官能基および重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
また、本実施形態の円筒状印刷原版をレーザー彫刻用印刷基材として使用する場合、樹脂(c)として熱分解性の高い化合物を使用することが好ましい。例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合、カルバメート結合等を分子内に有する化合物は、熱分解性の高い化合物として知られている。熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータを用いることができる。好ましい樹脂としては、重量が半減する時点の温度が、150℃以上450℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は、250℃以上400℃以下、更に好ましくは、250℃以上380℃以下である。また、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物が好ましい。その指標として、前記熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が、100℃以下であることが好ましい。より好ましくは、80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
本実施形態の円筒状印刷版をドライオフセット印刷あるいはグラビア印刷用途で用いる場合、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、から選択される少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましい。
また、本実施形態の円筒状印刷版をフレキソ印刷用途で用いる場合、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体から選択される少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましい。
[有機化合物(d)]
有機化合物(d)は、ラジカル重合反応あるいは開環重合反応に関与する不飽和結合を有した化合物であり、樹脂(c)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下が好ましい。有機化合物(d)は例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びそれらの誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等があげられるが、その種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体が好ましい例である。
該誘導体は、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基等の官能基を有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、スチリル基等の官能基を有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基等の官能基を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物等があげられる。
これら重合性不飽和基を有する有機化合物(d)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物より得られる光硬化物の機械強度を高めるためには、有機化合物(d)としては脂環族または芳香族置換基を有する化合物が、少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(d)の全体量の20wt%以上100wt%以下であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上100wt%以下である。
[光重合開始剤]
本実施形態では、感光性樹脂組成物に光を照射して硬化させてシート状硬化物を形成する。光としては、紫外線、可視光線の他、電子線、X線等の高エネルギー線を用いることもできる。特に紫外線、可視光線を用いて光硬化させる場合、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤(e)あるいは/および崩壊型光重合開始剤(f)を添加することが好ましい。
[水素引き抜き型光重合開始剤(e)]
水素引き抜き型光重合開始剤(e)として、特に限定するものではないが、芳香族ケトンを用いることが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。水素引き抜き型光重合開始剤(e)として励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば何でも構わない。芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノンあるいはその誘導体を指し、具体的には3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3‘,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。ミヒラーケトン類とはミヒラーケトンおよびその誘導体をいう。キサンテン類とはキサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をさし、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等を挙げることができる。アントラキノン類とはアントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、長期保存時に表面にクラック等が発生せず、退候性を確保することができる。
[崩壊型重合開始剤(f)]
崩壊型光重合開始剤(f)とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を指し、特に限定するものではない。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。崩壊型光重合開始剤(f)の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性は充分に確保できる。
[水素引き抜き型/崩壊型光重合開始剤]
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等の化合物を挙げることができる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する光重合開始剤の添加量としては、感光性樹脂組成物全体量の0.3wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.5wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性は充分に確保できる。
[微粒子]
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物には目的に応じて無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子を添加することができる。これらの微粒子を添加することにより光硬化させて得られるシート状硬化物の機械的物性の向上、シート状硬化物表面の濡れ性改善、あるいは感光性樹脂組成物の粘度の調整、シート状硬化物の粘弾性特性の調整等が可能となる。無機系微粒子あるいは有機系微粒子の材質は特に限定するものではなく、公知のものを用いることができる。また、有機無機複合微粒子として、無機系微粒子の表面に有機物層あるいは有機系微粒子を形成した微粒子、あるいは有機系微粒子表面に無機物層あるいは無機微粒子を形成した微粒子等をあげることができる。
シート状硬化物の機械的物性を向上させる目的では、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素等の剛性の高い無機系微粒子あるいはポリイミド等の有機系微粒子を用いることができる。更に、得られたシート状硬化物の耐溶剤特性を向上させる目的で、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質で形成された有機系微粒子を添加することもできる。
また、レーザー彫刻法によりシート状硬化物層表面あるいはシート状硬化物を貫通したパターンを形成する目的のために、レーザー彫刻時に発生する粘稠性液状残渣の吸着除去特性に優れる無機多孔質微粒子を添加しても構わない。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。
微粒子は、数平均粒径が0.01〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲の微粒子を用いた場合、樹脂(c)及び有機化合物(d)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合を生じることなく、シート状硬化物表面に凹凸が発生することもない。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.1〜20μmであり、更に好ましい範囲は1〜10μmである。本実施形態の微粒子の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値である。
微粒子の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。
また、微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物において、これらの微粒子は1種類もしくは2種類以上のものを選択できる。
[感光性樹脂組成物の組成比率]
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物における樹脂(c)、有機化合物(d)の割合は、特に制限はされないが通常、樹脂(c)100重量部に対して、有機化合物(d)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。又、微粒子は1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20重量部である。 有機化合物(d)の割合が、上記の範囲である場合、得られるシート状硬化物の硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、光硬化時の収縮も小さい範囲に収まり、外径精度を確保することができる。微粒子の割合が、上記の範囲である場合、添加の目的を達成することができる。
[その他添加剤]
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物には用途や目的に応じてその他添加剤として、重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。その他添加剤の添加量は特に制限されないが、感光性樹脂組成物全体に対してその他添加剤の総量が0.1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。
[シート状感光性樹脂組成物の製造方法]
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物をシート状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等、スプレー等を用いて噴霧する方法が例示できる。その際、感光性樹脂組成物の熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。
[露光用円筒状支持体(a)]
露光用円筒状支持体(a)は、真円度高く成形された円筒状のものであって、機械的強度が確保できるものであれば、特に限定するものではないが、加工精度、機械的強度の観点から、金属製のシリンダーが好ましい。
[印刷原版用円筒状支持体(b)]
印刷原版用円筒状支持体(b)は、シート状硬化物を外周面に固定し円筒状印刷原版を形成し得るものであれば特に制限されないが、円筒状印刷原版の搬送性やレーザー彫刻装置への装着性の観点から中空円筒状であることが好ましい。印刷原版用円筒状支持体(b)が中空円筒状である場合は、厚さ0.3mm以上0.8mm以下の繊維強化プラスチックからなることが好ましい。厚さがこの範囲であれば、機械的な強度を十分に確保でき、軽量化することもできる。また、高速印刷時の中空円筒状支持体の捩れ抑制の観点から、前記繊維強化プラスチックが、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維から選択される少なくとも1種類の繊維を含有することが好ましい。
[シート状支持体]
本実施形態で用いるシート状支持体は、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アルミニウム、ニッケル、鉄から選択される少なくとも1種類の材料を含むことが好ましい。材料の入手性や取り扱い性の観点から、プラスチック製シートが好ましい。シート状支持体は寸法安定性の高い材料が好ましい。しがたって、線熱膨張係数は、−100ppm/℃以上100ppm/℃以下であることが好ましい。シート状支持体の厚さは、10μm以上300μm以下であり、好ましくは50μm以上250μm以下であり、より好ましくは、50μm以上100μm以下である。厚さが10μm以上300μm以下の範囲であれば、機械的強度を確保でき、かつ、印刷原版用円筒状支持体(b)上にシート状硬化物を巻きつける際に、円筒面への追従性が高く作業が容易となる。
[シート状硬化物・光硬化]
露光用円筒状支持体(a)に取り付けられたシート状感光性樹脂組成物は光照射により架橋せしめることにより、シート状硬化物を形成する。また、シート状に成型しながら光照射により架橋せしめることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、シート状硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。光硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
シート状硬化物の厚さは、0.1mm以上5mm以下であれば特に制限されないが、用途によって好ましい範囲が異なる。ドライオフセット印刷では、0.1mm以上1.5mm以下が好ましく、0.3mm以上0.8mm以下がより好ましい。フレキソ印刷においてフィルム印刷の分野で使用されるならば、1mm以上3mm以下が好ましく、段ボール印刷の分野で使用されるならば、3mm以上5mm以下が好ましい範囲である。
本実施の形態に用いられるシート状硬化物のショアD硬度は、20度以上100度以下が好ましい。より好ましくは30度以上70度以下、更に好ましくは、30度以上50度以下である。高精細な印刷物が求められるドライオフセット印刷やフレキソ・フィルム印刷では、ショアD硬度で25度以上70度以下の比較的硬い硬度の硬化物層であることが好ましい。
[クッション層]
本実施形態では、シート状硬化物と印刷原版用円筒状支持体(b)との間にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。クッション層としては、ショアA硬度が10以上70度以下、あるいはASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が10度以上あるいはASKER−C硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、ショアA硬度が70度以下あるいはASKER−C硬度が85度以下であれば、クッション層としての役割を果たすことができる。より好ましいショアA硬度の範囲は20〜60度、ASKER−C硬度では45〜75度の範囲である。ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
クッション層の材質は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。特に円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
クッション層が、シート状硬化物を含み、且つ気泡あるいは有機系微粒子を含有することが好ましい。また、前記有機系微粒子が中空マイクロカプセルであって、該中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着しているものを用いることが好ましい。前記有機系微粒子の平均粒子径が1μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は10μm以上300μm以下、更にこのましくは80μm以上200μm以下である。
クッション層の密度は、0.1g/cm以上0.9g/cm以下であることが好ましい。より好ましくは0.3g/cm以上0.7g/cm以下、更に好ましくは0.4g/cm以上0.6g/cm以下である。クッション層の密度がこの範囲であれば、印刷工程においてレーザー彫刻層にかかる衝撃を充分に吸収することができる。
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、液状樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状感光性樹脂組成物などを挙げることができる。本実施形態では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、必要な機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の化合物を架橋剤として用いる非硫黄架橋型ゴムでも構わない。
更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
また、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の材質で、独立あるいは連続気泡を層内に有するクッション層であっても構わず、市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用することもでき、クッション層の片面あるいは両面に固定層が塗布されたものであっても構わない。
[レーザー彫刻]
本実施形態の円筒状印刷原版を、レーザー彫刻法を用いてパターンを形成する印刷基材として使用する場合、レーザー彫刻法においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、印刷基材にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、印刷原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。
[円筒状印刷版の表面処理]
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去しても良い。
本実施形態において、レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状あるいは粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行っても構わない。用いる感光性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。更に、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光しても構わない。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光しても構わない。
[用途]
本実施形態で製造されたシート状印刷版の用途として、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷を挙げることができる。特に精度の高い印刷物が要求されるフレキソ印刷のラベル印刷等のナローウェッブや、缶印刷やチューブ印刷等のドライオフセット印刷の曲面印刷が、好ましい用途である。
ドライオフセット印刷においてインキが脂肪族炭化水素及び/又は芳香族炭化水素を含む場合、シート状硬化物層にポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましい。これらの樹脂材料は、上記の溶剤に対する耐性を有するため好ましい。上記脂肪族炭化水素として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ジペンテン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、高沸点石油溶剤(インキオイル)等の化合物を挙げることができる。また、芳香族炭化水素として、トルエン、キシレン、ジメチルベンゼン、ジクロロベンゼン、ソルベントナフタ、テトラリン等の化合物を挙げることができる。
本実施形態を更に詳細に説明するために、以下に、実施例および比較例を示すが、これらの実施例は本実施形態の説明およびそれによって得られる効果などを具体的に示すものであって、本実施形態を何ら制限するものではない。なお、以下の実施例及び比較例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
[測定方法]
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻はコヒーレント社製(米国)の出力250W炭酸ガスレーザー(レーザーの発振波長は10.6μm)を搭載した、ZED社製(英国)の炭酸ガスレーザー彫刻機「ZED−mini−1000」(商標)を用いて行った。彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。
(2)粘度
感光性樹脂組成物あるいは有機化合物(d)の粘度は、東京計器社製(日本国)のB型粘度計「B8H型」(商標)を用い、20℃で測定した。
(3)数平均分子量の測定
樹脂(c)、有機化合物(d)の平均分子量は、GPC法を用いて求めた多分散度(Mw/Mn)が1.1より大きいものであったため、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。具体的には、樹脂(c)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8020」(商標)と東ソー社製のポリスチレン充填カラム「TSKgel GMHXL」(商標)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、示差屈折計を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。
(4)円筒状印刷原版の生産性
円筒状印刷原版の生産性は、感光性樹脂組成物を所定のシート状に切り出してから円筒状印刷原版を得られるまでに要した時間を測定し、3回の測定結果の平均で評価した。
(5)円筒状印刷原版の外径精度
円筒状印刷原版の外径精度は、レーザー測長機(キーエンス社製)を用いて、円筒状印刷原版の10箇所を測定し標準偏差とした。ただし、継ぎ目部分は外して測定を行った。
(実施例1)
樹脂(c)として、大日精化社製の数平均分子量が約10万のポリカーボネートポリウレタン「レザミンP890」(商標)70重量部、有機化合物(d)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)30重量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(分子量338)1重量部、微粒子として富士シリシア化学社製の多孔質性微粉末シリカ「サイロスフェアC―1504」(商標)(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)5重量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5重量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、を、ニーダーを用いて温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調整した。得られた感光性樹脂組成物を2軸押し出し装置を用いて、接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ50μmのPETフィルム上に、厚さ0.4mmで押し出し、更にシリコーン離型処理した厚み50μmのカバーフィルムで挟み、シート状感光性樹脂組成物を形成した。この感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
得られたシート状感光性樹脂組成物を幅180mm、長さ708mmにカットし、カバーフィルムを剥離して、露光用円筒状支持体(a)として外径225mm、幅200mmの金属シリンダー(外周長:706.86mm)上に、端部が約3mm重なるように巻きつけ、シート状感光性樹脂組成物が落下しないように両面テープで固定した。また、端部の重なる部分をアルミニウム箔で遮光した。シリンダーを回転させながらフュージョン社製のメタルハライドランプ「F450V型UVランプ」(商標)の光を350nmにおいて4000mJ/cmの条件で露光し、両端部のみ未硬化状態のシート状硬化物を得た。
次いで、得られたシート状硬化物を、固定層として光硬化性接着剤を厚さ0.1mmで塗布した厚さ0.45mm、内径226.12mm、幅200mmのナイロンクロスで強化された印刷原版用中空円筒状支持体(b)(外径:226.72mm、外周長:712.10mm)に巻きつけ、未硬化部分を加熱しながらプレスし、未硬化樹脂部分が重なるように圧延した後、冷却した。
その後、未硬化樹脂部分と光硬化性接着剤層を光硬化させるために、中空円筒状支持体を回転させながら、前述のメタルハライドランプの光を350nmにおいて4000mJ/cmの条件で露光し、円筒状印刷原版を得た。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は平均で20分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は20μmであった。
さらに、得られたレーザー彫刻円筒状印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成し、円筒状印刷版を得た。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版8本を準備し、ストーレーマシーナリー社製(米国)のドライオフセット缶印刷機にセットし、アルミニウム缶の表面に8色の印刷を施した。上記得られた円筒状印刷版を印刷用シリンダーに装着するための中空円筒状エアーシリンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり平均2分であった。従来のシート版を装着して位置合わせする操作に要した時間(1本あたり平均20分)に比較して、格段に短縮できた。
アルミニウム缶への印刷は、1秒あたり25本のスピードで実施した。アルミニウム缶の表面には、良好な印刷品質で印刷されていることが確認できた。100万本印刷しても耐久性に特に問題は発生しなかった。
(実施例2)
樹脂(c)として、数平均分子量が約10万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体70重量部、有機化合物(d)として、ヘキサメチレンジアクリレート(分子量254)10重量部、数平均分子量2000の液状ポリブタジエン15重量部、脂環族炭化水素可塑剤10重量部、微粒子としてC―1504を5重量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5重量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部を、ニーダーを用いて温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調整した。得られた感光性樹脂組成物を2軸押し出し装置を用いて、接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ50μmのPETフィルム上に、厚さ1.5mmで押し出し、更にシリコーン離型処理した厚み50μmのカバーシートで挟み、シート状の感光性樹脂組成物を形成した。この感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
実施例1と同様にして、円筒状印刷原版を得た。シート状印刷原版のショアD硬度は、25度であった。このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は平均で20分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は20μmであった。
その後、実施例2と同様にして、円筒状印刷版を作製した。
得られたシート状印刷版を、外径226.12mmの金属製シリンダーを有する伊予機械製作所社製のフレキソ印刷機にセットし、ポリエチレンフィルム表面に印刷を実施した。円筒状印刷版の印刷機の版胴への装着は、2分以内に実施できた。
(実施例3)
露光用円筒状支持体(a)を外径250mm、(外周長:785.40mm)幅200mmの紙管を用い、露光用円筒状支持体(a)に巻きつけたシート状感光性樹脂組成物の両周端部3mmをアルミニウム箔で遮光した以外は実施例1と同様にして円筒状印刷原版および円筒状印刷版を得たのち、実施例1と同様にアルミニウム缶への印刷を行った。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は平均で20分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は40μmであった。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。また、アルミニウム缶への印刷は、1秒あたり25本のスピードで実施した。アルミニウム缶の表面には、良好な印刷品質で印刷されていることが確認できた。100万本印刷しても耐久性に特に問題は発生しなかった。
(実施例4)
得られたシート状感光性樹脂組成物を幅180mm、長さ715.9mmにカットし、カバーフィルムを剥離して、露光用円筒状支持体(a)として外径228mm(外周長:716.28mm)、幅200mmの金属シリンダー上に、重複部分がないように巻きつけ、シート状感光性樹脂組成物が落下しないように両面テープで固定し、印刷原版用円筒状支持体(b)に取り付ける際に両周端部が重なる部分をフライス盤で夫々切削し、嵌め合う部分に嫌気型接着剤を均一に塗布し、両周端部を重ね合わせた後、動かないようにテープで固定した以外は実施例1と同様にして円筒状印刷原版および円筒状印刷版を得たのち、実施例1と同様にアルミニウム缶への印刷を行った。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は平均で35分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は20μmであった。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。また、アルミニウム缶への印刷は、1秒あたり25本のスピードで実施した。アルミニウム缶の表面には、良好な印刷品質で印刷されていることが確認できた。100万本印刷しても耐久性に特に問題は発生しなかった。
(実施例5)
印刷原版用円筒状支持体(b)として光硬化性接着剤の代わりに、嫌気性接着剤からなる固定層を積層したナイロンクロスで強化された中空円筒状支持体を用いた以外は実施例1と同様にして円筒状印刷版を得たのち、実施例1と同様にアルミニウム缶への印刷を行った。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は平均で60分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は25μmであった。この系では、嫌気性接着剤が硬化するのに時間を要したが、印刷原版用円筒状支持体(b)への装着時間は実施例1と同様であった。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。また、アルミニウム缶への印刷は、1秒あたり25本のスピードで実施した。アルミニウム缶の表面には、良好な印刷品質で印刷されていることが確認できた。100万本印刷しても耐久性に特に問題は発生しなかった。
(比較例1)
実施例1で作製したシート状感光性樹脂組成物を、本実施形態の工程(2)および(3)を経ずに未硬化状態のまま、実施例1で用いた印刷原版用円筒状支持体(b)に巻きつけ、シート状感光性樹脂組成物の端部3mmを加熱し若干重なるように圧延して、その後冷却した。
未硬化樹脂部分に手が接触するなど、得られた表面には、凸凹が目視で観察された。その後、前述のメタルハライドランプの光を350nmにおいて8000mJ/cmの条件で露光し、円筒状印刷原版を得た。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は平均で40分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は50μmであった。印刷原版用円筒状支持体(b)へ巻きつけたシート状感光性樹脂組成物は、未硬化状態であり、印刷原版用円筒状支持体(b)表面に積層されている接着剤層とシート状感光性樹脂組成物とを気泡が入らないようにしながら慎重に密着させる必要があり、シート状感光性樹脂組成物の表面に可能な限り接触させないようにして周端部を溶着する処理を行ったため、処理時間がかかった。
さらに得られた円筒状印刷原版をレーザー彫刻し、表面に画像パターンを形成した後、実施例1と同じようにドライオフセット印刷を実施した。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。また、表面の凸凹のため、凸凹に対応する印刷不良が発生した。
(比較例2)
感光性樹脂組成物を0.05mmで押し出したことと、印刷原版用円筒状支持体(b)の内径を226.72mm(外径:227.27mm、外周長:713.99mm)とした以外は実施例1と同様にして円筒状印刷原版および円筒状印刷版を得たのち、実施例1と同様にドライオフセット印刷を実施した。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は約20分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は30μmであった。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。しかし、印刷原版の厚みが0.1mm未満であるため、彫刻深さも0.1mm未満に制限されてしまうため、アルミニウム缶の表面には、印刷ムラが発生した。
(比較例3)
感光性樹脂組成物を10mmで押し出したことと、印刷原版用円筒状支持体(b)の内径を206.92mm(外径:207.47mm、外周長651.79mm)とした以外は実施例1と同様にして円筒状印刷原版および円筒状印刷版を得たのち、実施例1と同様にアルミニウム缶への印刷を行った。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は約30分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は60μmであった。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。しかし、印刷原版の厚みが5mm以上であるため、接着剤硬化時に印刷原版用円筒状支持体(b)から浮き上がりが発生し、印刷版の円心度を確保できず、アルミニウム缶の表面には印刷ムラが発生した。
(比較例4)
厚さ350μmのPETフィルムを用いたことと、印刷原版用円筒状支持体(b)の内径を225.52mm(外径:226.07mm、外周長710.22mm)とした以外は実施例1と同様にして円筒状印刷原版および円筒状印刷版を得たのち、実施例1と同様にアルミニウム缶への印刷を行った。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は約40分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は100μmであった。
円筒状印刷版をエアーシンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。しかし、PETフィルムの厚みが300μmを超えて厚いため、接着剤硬化時に印刷原版用円筒状支持体(b)から浮き上がりが発生し、接着剤硬化時に印刷原版用円筒状支持体(b)から浮き上がりが発生し、印刷版の円心度を確保できず、アルミニウム缶の表面には印刷ムラが発生した。
(比較例5)
実施例1で得られたシート状感光性樹脂組成物を幅180mm、長さ708mmにカットし、カバーフィルムを剥離して、平板状にシート状硬化性樹脂組成物を設置し露光することで平板状印刷原版を得た。
その後、印刷原版用円筒状支持体(b)として光硬化性接着剤を厚さ0.1mmで塗布した厚さ0.45mm、内径226.12mm、幅200mmのナイロンクロスで強化された中空円筒状支持体上に得られた平板状印刷原版を巻きつけ、光硬化性接着剤層を光硬化させるために、中空円筒状支持体を回転させながら、前述のメタルハライドランプの光を350nmにおいて4000mJ/cmの条件で露光し、円筒状支持体上に固定し、円筒状印刷原版を得た。
このとき、シート状感光性樹脂組成物を切り出してから、円筒状印刷原版を得るまでに要した時間は約40分であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径精度は120μmであった。
上記作業を繰り返し、表面にパターンを形成した円筒状印刷版8本を準備し、ドライオフセット缶印刷機にセットし、アルミニウム缶の表面に8色の印刷を施した。円筒状印刷版をエアーシリンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり20分であった。
上記実施例1〜5および比較例1〜5の製造条件および評価を表1にまとめた。
Figure 2010064401
表1からも分かるとおり、本願発明による各実施例はいずれも円筒状印刷原版の優れた生産性と外径精度を両立しており、また該円筒状印刷原版を用いた場合の円筒状印刷版の耐久性はいずれも実用上十分な性能を有していた。
本発明の製造方法は、円筒状印刷原版を外径精度高く、生産性高く作製する製造方法として好適である。特に、レーザー彫刻方で表面にパターンを形成する印刷版に用いる円筒状印刷原版として好適である。また本発明の製造方法により得られる印刷原版は、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷等の印刷分野において好適に用いられる。

Claims (9)

  1. (1)シート状支持体上に形成されたシート状感光性樹脂組成物を、印刷原版用円筒状支持体(b)の表面に沿う曲面を有する露光用円筒状支持体(a)の外周にシート状支持体側が接するように巻きつけて光硬化させ、曲面からなるシート状硬化物を形成する工程と、
    (2)形成された曲面からなるシート状硬化物を、固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定することを特徴とする円筒状印刷原版の製造方法であって、
    前記シート状支持体の厚さが10μm以上300μm以下であり、前記シート状感光性樹脂組成物の厚さが0.1mm以上5mm以下である円筒状印刷原版の製造方法。
  2. 前記シート状感光性樹脂組成物が20℃において固体状である請求項1記載の円筒状印刷原版の製造方法。
  3. 露光用円筒状支持体(a)の外径が、印刷原版用円筒状支持体(b)の外径よりも小さい請求項1または2記載の円筒状印刷原版の製造方法。
  4. 前記工程(1)が、シート状感光性樹脂組成物を露光用円筒状支持体(a)に巻きつける際に、シート状感光性樹脂組成物の両端部が幅1mm以上50mm以下で重なるように配置し、重なった部分を遮光しながら光硬化させ、重なった部分が未硬化である曲面からなるシート状硬化物を形成する工程であり、
    前記工程(2)が、形成された重なった部分が未硬化である曲面からなるシート状硬化物を、固定層を介して印刷原版用円筒状支持体(b)の外周面に固定した後に、さらに、未硬化の両端部を溶着し、未硬化部に光を照射し光硬化させる工程を含む請求項1から3いずれか一項記載の円筒状印刷原版の製造方法。
  5. 前記固定層が、光硬化性樹脂を含有する請求項1から4いずれか一項記載の円筒状印刷原版の製造方法。
  6. 前記工程(2)において、固定層を光硬化させる工程を含む請求項5に記載の円筒状印刷原版の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって製造された円筒状印刷原版に、レーザー光を照射して凹凸パターンを形成するレーザー彫刻工程を含む円筒状印刷版の製造方法。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって得られうる円筒状印刷原版。
  9. 請求項8に記載の円筒状印刷原版をレーザー彫刻して得られうる円筒状印刷版。
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