JP2010115793A - レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法 - Google Patents

レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー彫刻用円筒状印刷原版を厚み精度高く大量に作製する製造方法を提供すること。
【解決手段】レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法であって、(1)円筒状支持体(a)の表面に接着剤層または粘着剤層を形成する工程、(2)シート状樹脂を前記円筒状支持体(a)に巻きつける工程、(3)前記円筒状に巻きつけたシート状樹脂の外側から熱収縮性チューブを装着する工程、(4)前記熱収縮性チューブを加熱して収縮させる工程、(5)前記接着剤層または粘着剤層を硬化させる工程、および
(6)収縮したチューブを取り外す工程を含む、レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法に関する。
近年、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびレタープレス印刷といった樹脂凸版を製造する場合や、エンボス加工等の表面加工を行う場合において、レーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより表面に凹凸パターンを形成するレーザー彫刻法が用いられるようになってきた。
レーザー彫刻法に適用される材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、および熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて得られる熱硬化性樹脂硬化物が用いられている。特に、近年、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する技術が増えてきた。
特許文献1には、熱可塑性エラストマーを主原料とする感光性樹脂組成物を光硬化させたレーザー彫刻印刷原版が記載され、また、シート状感光性樹脂を円筒状支持体上に貼り付け円筒状印刷原版を作製する方法が記載されている。
日本国特許2846954号
特許文献1に記載された方法においては、シート状感光性樹脂を円筒状支持体上に巻きつけ、端部を溶着し、円筒状支持体上に接着する工程までは、シート状感光性樹脂は未だに未硬化状態にある。したがって、押し出し成形等の手法で厚み精度高くシート状感光性樹脂を作製できたとしても、該シート状感光性樹脂表面に物体が接触することによって、厚み精度が低下するという課題がある。そのため、未硬化樹脂を円筒状に成形してから、円筒状支持体に接着し硬化させるまでの処理時間の短縮化が強く望まれている。
また、従来技術では、円筒状印刷原版を厚み精度高く大量に作製する観点からの方法はない。
本発明が解決しようとする課題は、レーザー彫刻用円筒状印刷原版を厚み精度高く大量に作製する製造方法を提供することにある。
上記事情に鑑みて、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(1)円筒状支持体(a)の表面に接着剤層または粘着剤層を形成する工程、(2)シート状樹脂を前記円筒状支持体(a)に巻きつける工程、(3)前記円筒状に巻きつけたシート状樹脂の外側から熱収縮性チューブを装着する工程、(4)前記熱収縮性チューブを加熱して収縮させる工程、(5)前記接着剤層または粘着剤層を硬化させる工程、および(6)収縮したチューブを取り外す工程を含む、レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の通りである。
1. レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法であって、
(1)円筒状支持体(a)の表面に接着剤層または粘着剤層を形成する工程、
(2)シート状樹脂を前記円筒状支持体(a)に巻きつける工程、
(3)前記円筒状に巻きつけたシート状樹脂の外側から熱収縮性チューブを装着する工程、
(4)前記熱収縮性チューブを加熱して収縮させる工程、
(5)前記接着剤層または粘着剤層を硬化させる工程、および
(6)収縮したチューブを取り外す工程を含む、レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
2. 前記工程(5)において、収縮したチューブを通して光線を照射する、1.に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
3. 前記接着剤層または粘着剤層が、光硬化する樹脂を含有する、2.に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
4. 前記工程(4)において、80℃以上200℃以下の温度に加熱する、1.から3.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
5. 前記熱収縮性チューブが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリ塩化ビニリデンからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有する、1.から4.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
6. 前記熱収縮性チューブの光線透過率が、波長350nmにおいて20%以上100%以下である、1.から5.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
7. 前記熱収縮性チューブが、シートの両端を0.5mm以上10mm以下の幅で重ね合わせて溶着して形成される、1.から6.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
8. 前記熱収縮性チューブが、リング押し出し法またはインフレーション法で製造され、該熱収縮性チューブに継ぎ目がない、1.から6.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
9. 前記熱収縮性チューブの厚さが、5μm以上200μm以下である、1.から8.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
10. 前記熱収縮性チューブの熱収縮率が、80℃において10%以上50%以下である、1.から9.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
11. 前記工程(6)において、レーザー切断法、刃物切断法、および高圧水切断法からなる群から選択される少なくとも1種類の方法により、前記収縮したチューブを除去する、1.から10.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
12. 前記工程(6)において、前記収縮したチューブを近赤外線レーザーにより切断する、1.から11.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
13. 前記熱収縮性チューブが、波長700nmから5μmの近赤外線を吸収する染料または顔料を含む、1.から12.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
14. 前記円筒状支持体(a)の厚さが、0.2mm以上2mm以下である、1.から13.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
15. 前記円筒状支持体(a)が、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、およびセラミックス繊維からなる群から選択される少なくとも1種類の繊維を含む繊維強化プラスチックを含有する、1.から14.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
16. 前記シート状樹脂が、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有する、1.から15.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
17. 前記シート状樹脂の厚さが、0.1mm以上5mm以下である、1.から16.のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
18. 1.から17.のいずれか1項に記載の方法によって製造されるレーザー彫刻用円筒状印刷原版に、レーザー光を照射して凹パターンを形成するレーザー彫刻工程を含む、レーザー彫刻円筒状印刷版の製造方法。
19. 前記レーザー彫刻円筒状印刷版が、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびグラビア印刷から選択される用途で使用される、18.に記載のレーザー彫刻円筒状印刷版の製造方法。
20. 18.に記載のレーザー彫刻円筒状印刷版を用いて、円筒状の被印刷物表面に印刷する、ドライオフセット印刷方法。
21. 脂肪族系炭化水素および/または芳香族系炭化水素を含有するインクを用いる、20.に記載のドライオフセット印刷方法。
本発明によれば、レーザー彫刻用円筒状印刷原版を厚み精度高く大量に作製する製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法]
本実施の形態のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法であって、(1)円筒状支持体(a)の表面に接着剤層または粘着剤層を形成する工程、(2)シート状樹脂を前記円筒状支持体(a)に巻きつける工程、(3)前記円筒状に巻きつけたシート状樹脂の外側から熱収縮性チューブを装着する工程、(4)前記熱収縮性チューブを加熱して収縮させる工程、(5)前記接着剤層または粘着剤層を硬化させる工程、および(6)収縮したチューブを取り外す工程を含む、レーザー印刷用円筒状印刷原版の製造方法である。
本実施の形態のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法は、円筒状支持体(a)表面に形成される接着剤層または粘着剤層を硬化させる工程(5)により、円筒状支持体(a)と、該円筒状支持体(a)に円筒状に巻きつけたシート状樹脂と、を接着させる方法である。本実施の形態の製造方法は、熱収縮性チューブをシート状樹脂の外側から装着することにより、シート状樹脂と円筒状支持体(a)との形状を長時間に渡り保持する簡便な手法であり、円筒状支持体(a)にシート状樹脂を接着し、硬化させるまでの処理時間の短縮化を図ることができる方法である。
[工程(1)]
工程(1)において、円筒状支持体(a)の表面に接着剤層または粘着剤層を形成する。
接着剤層または粘着剤層は、円筒状支持体(a)上に接着剤または粘着剤を積層することにより、円筒状支持体(a)の表面に形成させることができる。接着剤層または粘着剤層は、接着剤または粘着剤からなる。
接着剤は、樹脂(b)、有機化合物(c)、および重合開始剤を含有することが好ましく、光硬化する樹脂(b)を含有する光硬化性接着剤であることがより好ましく、公知の光硬化性接着剤を用いることもできる。
また、熱収縮性チューブやシート状樹脂の光線透過率が低い場合、接着剤層への光線の到達が難しい場合、空気中の湿度で硬化するタイプの嫌気性接着剤を用いることが好ましい。
接着剤は、シート状樹脂と組成が同一であってもよく、異なっていてもよい。
[光硬化性接着剤]
光硬化性接着剤は、20℃において液状であっても固体状であってもよい。
20℃において液状である場合、粘度は100Pa・s以上10kPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは500Pa・s以上5kPa・s以下であり、さらに好ましくは1kPa・s以上5kPa・s以下である。
20℃における粘度が上記範囲内であれば、円筒状支持体(a)上に塗布した際に、重力に耐えて液ダレを起こさずに形状を保持することができる。
20℃において固体状である場合、工程(2)においてシート状樹脂を円筒状支持体(a)に巻きつける際に、光硬化性接着剤が軟化する温度まで加熱することが好ましい。20℃において固体状の光硬化性接着剤は、溶剤に溶解させてスプレーコート、ブレードコート、またはロールコート等の方法を用いて塗布後、溶剤を乾燥除去することが好ましい。無溶剤タイプのホットメルト光硬化性接着剤を加熱した状態で塗布してもよい。
粘着剤は、表面に粘着性のあるものであれば特に限定されるものではなく、公知の粘着剤を用いることができる。
取り扱いおよび成形速度の観点から、液状の樹脂を光で硬化させるタイプの粘着剤が好ましい。粘着剤表面の引き剥がし強度は180°方向に引っ張る方法において、0.5kgf/cm以上であることが好ましく、より好ましくは1kgf/cm以上である。粘着剤は、スプレーコート、ブレードコート、ロールコート等の方法で塗布することが好ましい。
[円筒状支持体(a)]
円筒状支持体(a)としては、金属製、ゴム製、またはプラスチック製のシリンダー、および金属製、プラスチック製、または繊維強化プラスチック製のスリーブ等の中空円筒状支持体等を挙げることができ、重量や取り扱いの観点から、中空円筒状支持体であることが好ましい。
金属製シリンダーまたは金属製スリーブを構成する材料として、アルミニウム、ニッケル、および鉄等の材料を挙げることができる。
プラスチック製シリンダーまたはプラスチック製スリーブを構成する材料として、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンチオエーテル、ポリスルホン、およびエポキシ樹脂等の材料を挙げることができる。
繊維強化プラスチック製スリーブを構成する繊維材料として、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミックス繊維、および炭素繊維等の材料を挙げることができる。
ゴム製シリンダーを構成する材料として、EPDMゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、SBゴム、およびウレタンゴム等の材料を挙げることができる。
円筒状支持体(a)が中空円筒状支持体の場合、中空円筒状支持体の厚さは0.2mm以上2mm以下であることが好ましい。中空円筒状支持体の厚さは、より好ましくは0.3mm以上1.5mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上1mm以下である。
中空円筒状支持体の厚さが上記範囲内にあれば、エアーシリンダーへの装着が容易であり、折れたり割れたりせずに、充分に機械的強度を確保することができる。
[円筒状支持体(a)の表面処理]
円筒状支持体(a)の表面に物理的または化学的処理を行うことにより、接着剤層または粘着剤層との接着性を向上させることができる。
物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、および紫外線または真空紫外線照射法等を挙げることができる。
化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、およびカップリング剤処理法等を挙げることができる。
[工程(2)]
工程(2)において、シート状樹脂を円筒状支持体(a)に巻きつける。
具体的には、円筒状支持体(a)の表面に積層された接着剤層または粘着剤層の上に、シート状樹脂を巻きつける。
シート状樹脂を巻きつける方法としては、円筒状にシート状樹脂を巻きつけることが好ましく、円筒状支持体(a)の周方向の全周に巻きつけてもよく、周方向の一部分に巻きつけてもよい。また、手作業で巻きつけても、冶具を用いて巻きつけてもよい。シート状樹脂を巻きつけた後、接着剤層または粘着剤層上にテープ等を用いて仮留めすることもできる。
[シート状樹脂]
シート状樹脂は、熱可塑性樹脂、感光性樹脂組成物、および熱硬化性樹脂組成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料からなることが好ましい。シート状樹脂が、20℃において固体状の樹脂であることにより、流動せずにシートの形状を保持することができる。
シート状樹脂として、レーザー彫刻性、画像形成性、フレキシビリティー、機械的強度の確保の観点で、熱可塑性樹脂からなるシート状支持体上に、感光性樹脂硬化物または熱硬化性樹脂硬化物が積層されるシート状積層体であることが好ましい。
本実施の形態において、感光性樹脂硬化物は感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる樹脂硬化物であり、熱硬化性樹脂硬化物は熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて得られる樹脂硬化物を意味する(以下、単に、感光性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物を、「樹脂組成物」と、感光性樹脂硬化物および熱硬化性樹脂硬化物を、「樹脂硬化物」と記載する場合がある。)。
樹脂組成物として、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有していることが好ましい。
円筒状印刷原版がフレキソ印刷用である場合には、樹脂組成物が、比較的硬度の低いポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体等の材料を含有していることが好ましい。
円筒状印刷原版がドライオフセット印刷またはグラビア印刷用である場合には、樹脂組成物が、比較的硬度の高いポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、およびポリカーボネート等の材料を含有していることが好ましい。
シート状支持体としては、寸法安定性、軽量性、フレキシビリティー、平面平滑性の観点で、厚さが10μm以上500μm以下であることが好ましい。シート状支持体の厚さは、より好ましくは50μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。
シート状支持体の材料として、ニッケル、アルミニウム、または鉄等の金属と、ポリエステル、ポリアミド、およびポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂と、を挙げることができる。
シート状樹脂は、用いる光線を透過する材料であることが好ましく、使用する光線の波長におけるシート状樹脂の光線透過率は、50%以上100%以下であることが好ましく、より好ましくは70%以上100%以下であり、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
シート状樹脂の厚さは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
シート状樹脂の厚さがこの範囲であれば、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷等の印刷用途で使用することが可能となる。
[工程(3)]
工程(3)において、工程(2)において円筒状支持体(a)に巻きつけたシート状樹脂の外側から熱収縮性チューブを装着する。
[熱収縮性チューブ]
熱収縮性チューブは、中空円筒状のフィルムである。シート状のフィルムの両端部を熱溶着等の方法により繋ぎ合わせた継ぎ目のあるフィルムであっても、継ぎ目のないシームレスタイプのフィルムであってもよい。
継ぎ目が存在する熱収縮性チューブである場合、シートの両端を0.5mm以上10mm以下の幅で重ね合わせて溶着して形成されていることが好ましい。重ね合わせて溶着されるシートの両端の幅の範囲は1mm以上5mm以下であることがより好ましく、2mm以上5mm以下であることがさらに好ましい。シートの両端の重なりが上記幅の範囲であれば、加熱工程で収縮させても十分に機械的な強度を確保することができる。
シート状のフィルムから熱収縮性フィルムを作製する方法は、押し出し装置を用いて溶融させた樹脂をダイから押し出し、急冷固化させ、その後、延伸させて得られるフィルムの両端部を溶着させる方法が挙げられる。
継ぎ目のないフィルムである熱収縮性フィルムである場合、サーキュラーダイやリングダイから押し出して膨張させるリング押し出し法またはインフレーション法等により製造することができる。押し出して膨張させる際の延伸倍率としては、一方向に4から30倍程度が好ましい。
熱収縮性チューブの光線透過率が、使用する光線の波長において、20%以上100%以下であることが好ましく、50%以上100%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
特に、熱収縮性チューブの光線透過率が、波長350nmにおいて、20%以上100%以下であることが好ましく、50%以上100%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
光線透過率が上記範囲内にあれば、照射される光のエネルギーを消失させることなく、接着剤層または粘着剤において確保することができ、効率良く照射される光を円筒状支持体(a)とシート状樹脂との接着に用いることができる。
熱収縮性チューブの厚さは5μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは30μm以上50μm以下である。
熱収縮性チューブの厚さが上記範囲内であれば、柔軟性を充分に確保でき、円筒状支持体に追従し易く、機械的強度を確保することができる。
熱収縮性チューブの材料としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリ塩化ビニリデンからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有することが好ましい。また、柔軟性を付与する観点から、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンとイソプレンの共重合体等のエラストマー成分を添加することもできる。
[工程(4)]
工程(4)において、シート状樹脂の外側に装着した熱収縮性チューブを加熱して収縮させる。
熱収縮性チューブを収縮させることにより、円筒状支持体(a)とシート状樹脂とを密着させることができる。
熱収縮性チューブを加熱して収縮させる方法として、熱収縮性チューブに熱風を吹き付ける方法、オーブン等の加熱した雰囲気中に保持する方法、赤外線等の熱線を照射する方法、および加熱したシリンダーや平板と接触させる方法等を挙げることができる。
熱収縮性チューブを収縮させる際に、80℃以上200℃以下の温度に加熱することが好ましい。
熱収縮性チューブを収縮させる温度は、100℃以上180℃以下であることがより好ましく、さらに好ましくは120℃以上150℃以下である。
熱収縮性チューブを収縮させる温度が上記範囲内であれば、熱収縮性チューブを十分に収縮させて円筒状支持体(a)表面にシート状樹脂を密着させることができる。
熱収縮性チューブの熱収縮率が、80℃において10%以上50%以下であることが好ましく、20%以上50%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは20%以上40%以下である。
熱収縮性チューブの熱収縮率が上記範囲内であれば、円筒状支持体(a)とシート状樹脂とを、十分に接着させて固定化することができる。
[工程(5)]
工程(5)において、接着剤層または粘着剤層を硬化させることにより、円筒状支持体(a)上に、シート状樹脂を固定することができる。
接着剤層または粘着剤層を硬化させる方法としては、収縮したチューブを通して光線を照射して光硬化させる方法が挙げられる。
シート状樹脂が、感光性樹脂組成物である場合、工程(5)において、接着剤層または粘着剤層の硬化と共に、感光性樹脂組成物の光硬化も実施することができる。
接着剤層または粘着剤層を光硬化させる方法としては、以下に記載のシート状樹脂を光硬化する方法と同様の方法を挙げることができる。
光硬化に用いることのできる光源は、特に限定されるものではないが、波長200nm以上400nm以下の紫外線を発するものが好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、および殺菌灯等を挙げることができる。また、レーザー光源を用いることもできる。例えば、YAGレーザー、YVO4レーザー、およびファイバーレーザー等の近赤外線レーザーの第二、第三、第四高調波等を挙げることができる。レーザー光源を用いる場合、比較的大きなビーム径で用いることが好ましい。レーザー光源のビーム径は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以上5mm以下である。比較的大きなビーム径で用いることで、シート状樹脂にダメージを与えずに接着剤層あるいは粘着剤層を光硬化することができる。
[工程(6)]
工程(6)において、収縮したチューブを取り外す。収縮したチューブを取り外す方法は、特に限定されるものではないが、レーザー切断法、刃物切断法、および高圧水切断法からなる群から選択される少なくとも1種類の方法であることが好ましい。収縮したチューブを除去する際の精度の観点から、レーザー切断法が好ましく、近赤外線レーザーにより切断することがより好ましい。
レーザー切断法により、収縮したチューブを切断して除去する場合、熱収縮性チューブが、波長700nm以上5μm以下の近赤外線を吸収する染料または顔料を含有していると、収縮したチューブの下層にあるシート状樹脂にダメージを与えることなくチューブのみを切断することが可能となるため好適である。
近赤外線を吸収する染料または顔料として、好ましい化合物としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、フラーレン等の黒色顔料、フタロシアニン系、アゾ系、ペリノン系、アントラキノン系等の有機染料や有機顔料、酸化鉄、酸化銅等の金属酸化物、クロム酸塩、硫化物、ケイ酸塩、炭酸塩、フェロシアン化物等の無機顔料等を挙げることができる。
本実施の形態において、シート状樹脂の樹脂組成物は、樹脂(b)および有機化合物(c)を含有していることが好ましい。
[樹脂(b)]
樹脂(b)の数平均分子量は、1000以上30万以下であることが好ましく、より好ましくは2000以上20万以下であり、さらに好ましくは5000以上15万以下である。
樹脂(b)の数平均分子量が1000以上であれば、後に架橋して作成する樹脂硬化物が強度を保ち、印刷用基材等として用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。
樹脂(b)の数平均分子量が30万以下であれば、押し出し成形時に樹脂組成物の溶融粘度が過度に上昇することもなく、シート状の樹脂硬化物を作製することができる。
本実施の形態において、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値を意味する。
樹脂(b)は、分子内に重合性不飽和基を有していてもよい。
樹脂(b)として、好適には、1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基の数を有する化合物を挙げることができる。
重合性不飽和基の数が1分子あたり平均で0.7以上であれば、樹脂硬化物の機械強度に優れ、耐久性も良好で、特に印刷用基材として繰り返しの使用にも耐えられるものとなり好ましい。
樹脂硬化物の機械強度の観点で、樹脂(b)の重合性不飽和基の数は1分子あたり0.7以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、より好ましくは1以上10以下であり、さらに好ましくは1以上5以下である。
樹脂(b)の1分子あたりの重合性不飽和基の数の上限については特に限定されるものではないが、1分子あたりの重合性不飽和基の数は20以下であることが好ましい。樹脂(b)の1分子あたりの重合性不飽和基の数が20以下であれば、硬化時の収縮を低く抑えることができ、また表面近傍でのクラック等の発生も抑制することができる。
本実施の形態において分子内に重合性不飽和基を有するとは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端、高分子主鎖中、および高分子側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合等も含まれる。
樹脂(b)として、下記に示すようなポリマーを骨格として、分子内に重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。
ポリマーの例として、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリブタジエンおよびポリイソプレン等のポリジエン類;ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリエーテルポリオール、およびポリイミド等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体等からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のポリマーをもちいることができる。複数の高分子を用いる場合の形態としては共重合体、ブレンドどちらでもよい。
フレキソ印刷版用途のように柔軟なレリーフ画像が必要な場合には、樹脂(b)の一部として、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、好ましくはガラス転移温度が0℃以下の液状樹脂を添加することもできる。
液状樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、および水添ポイソプレン等の炭化水素類;アジペートおよびポリカプロラクトン等のポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート;ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類;(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体の重合体ならびにこれらの混合物やコポリマー類を挙げることができる。
液状樹脂の含有量は、樹脂(b)全体に対して30質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。
液状樹脂として、耐候性の観点から、ポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。不飽和ポリウレタン類として、ポリウレタン分子鎖の末端にアクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を有する樹脂およびポリウレタン分子鎖中に二重結合を有する樹脂等を挙げることができる。
樹脂(b)の分子中に重合性不飽和基を導入する方法として、例えば、直接、重合性の不飽和基をその分子末端または分子鎖中に導入した単量体を用いて重合する方法を挙げることができる。
別法として、樹脂(ポリマー)と、重合性不飽和基を有する化合物と、を反応させて樹脂の末端に重合性不飽和基を導入する方法も挙げることができる。具体的には、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、およびエステル基等の反応性基を複数有する化合物に、反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば、反応性基が水酸基またはアミノ基である場合、結合剤としてポリイソシアネート等を挙げることができる。)を反応させ、分子量の調節、および末端の結合性基への変換を行った後に、該反応によって得られた樹脂と、該樹脂の末端結合性基と反応する官能基および重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、該樹脂の末端に重合性不飽和基を導入する方法である。
樹脂硬化物をレーザー彫刻用印刷基材として使用する場合、樹脂(b)として、熱分解性の高いポリマーを使用することが好ましい。例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、およびアクリル酸エステルの単位、またはカーボネート結合およびカーバメート結合等を分子内に有するポリマーは、熱分解性の高い化合物として知られている。
熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータを用いることができる。
樹脂(b)の重量が半減する時点の温度が、150℃以上450℃以下の範囲内であることが好ましい。樹脂(b)の重量が半減する時点の温度は、より好ましくは250℃以上400℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは250℃以上380℃以下の範囲内である。
樹脂(b)として、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物が好ましい。熱分解が狭い温度範囲で起こることの指標として、熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が、100℃以下であることが好ましい。温度差がより好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
[有機化合物(c)]
有機化合物(c)は、ラジカル重合反応または開環重合反応に関与する重合性不飽和基を有した化合物であり、樹脂(b)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下であることが好ましい。
有機化合物(c)として、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類;アセチレン類;(メタ)アクリル酸およびその誘導体;ハロオレフィン類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;アリルアルコールおよびアリルイソシアネート等のアリル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸等の不飽和ジカルボン酸ならびにそれらの誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾール;シアネートエステル類等を挙げることができる。
有機化合物(c)として、種類の豊富さおよび価格等の観点から、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体が好ましい。
上記誘導体として、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、およびビシクロアルケン基等の官能基を有する脂環族化合物;ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、およびスチリル基等の官能基を有する芳香族化合物;アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、およびグリシジル基等の官能基を有する化合物等のエステル化合物またはアミド化合物、ならびにアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物等を挙げることができる。
重合性不飽和基を有する有機化合物(c)は、その目的に応じて1種または2種以上の化合物を選択できる。例えば、円筒状印刷原版を印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるため、有機化合物(c)として、長鎖脂肪族、脂環族、または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上を選択することが好ましい。
樹脂硬化物の機械強度を高めるためには、有機化合物(c)として、脂環族基または芳香族基等の置換基(官能基)を有する化合物を少なくとも1種類以上を選択することが好ましく、脂環族基または芳香族基等の置換基を有する化合物が、有機化合物(c)の全体量の20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
本実施の形態におけるシート状樹脂は、感光性樹脂組成物または感光性樹脂硬化物であってもよく、感光性樹脂組成物中に光重合開始剤を含有していることが好ましい。
[光重合開始剤]
感光性樹脂組成物を光硬化する際の光として、紫外線、可視光線、電子線、およびX線等の高エネルギー線を用いることができる。
紫外線または可視光線を用いて光硬化させる場合、感光性樹脂組成物に光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤として、水素引き抜き型光重合開始剤(d)および/または崩壊型光重合開始剤(e)を挙げることができる。
[水素引き抜き型光重合開始剤(d)]
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として、特に限定されるものではないが、芳香族ケトンを挙げることができる。
芳香族ケトンは、光励起により効率よく励起三重項状態になる。この励起三重項状態として、周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与すると考えられる。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)として、励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば特に限定されない。
芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、およびアントラキノン類を挙げることができ、前述した化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾフェノン類として、ベンゾフェノンおよびその誘導体を挙げることができ、具体的には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ミヒラーケトン類として、ミヒラーケトンおよびその誘導体を挙げることができる。
キサンテン類として、キサンテンおよびアルキル基、フェニル基、またはハロゲン基で置換された誘導体を挙げることができる。
チオキサントン類として、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体を挙げることができ、具体的には、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、およびクロロチオキサントン等を挙げることができる。
アントラキノン類として、アントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、またはハロゲン基等で置換された誘導体を挙げることができる。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)の添加量が、上記範囲内にあれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、硬化物として、長期保存時に表面にクラック等が発生せず、耐候性を確保することができる。
「崩壊型光重合開始剤(e)」
崩壊型光重合開始剤(e)として、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を意味し、特に限定されるものではない。
具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、およびジケトン類等を挙げることができる。
崩壊型光重合開始剤(e)として、前述した化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾインアルキルエーテル類として、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。
2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンおよび2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。
アセトフェノン類として、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、および2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。
アシルオキシムエステル類として、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、およびテトラゼン化合物等を挙げることができる。
ジケトン類としては、ベンジルおよびメチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。
崩壊型光重合開始剤(e)の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
崩壊型光重合開始剤(e)の添加量が、上記範囲内にあれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性を充分に確保することができる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。
該光重合開始剤として、α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。
α−アミノアセトフェノン類として、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等を挙げることができる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
該光重合開始剤の添加量が上記範囲内にあれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性を充分に確保することができる。
[光酸発生剤、光塩基発生剤]
光照射によって、酸または塩基を発生する光酸発生剤または光塩基発生剤を光重合開始剤として用いることができる。
光酸発生剤または光塩基発生剤を用いることにより、開環重合反応する官能基を有する化合物、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物等を開環重合させることができる。
本実施の形態におけるシート状樹脂は、熱硬化性樹脂組成物または熱硬化性樹脂硬化物であってもよく、熱硬化性樹脂組成物中に熱重合開始剤を含有していることが好ましい。
[熱重合開始剤]
熱重合開始剤として、好適な化合物は、ラジカル重合反応または開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤である。
ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、およびアルデヒド化合物等を挙げることができる。
開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始剤を入れた潜在性熱重合開始剤を挙げることができる。
熱重合開始剤は、樹脂(b)または有機化合物(c)との混合の容易性の観点から、20℃において液状であることが好ましい。
熱重合開始剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体量に対し、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。熱重合開始剤の含有量は、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
熱重合開始剤の含有量が上記範囲内にあれば、熱硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができ、熱硬化物の表面の粘着性を低減することが可能となる。
本実施の形態において、好適に熱重合を行うためには、熱重合開始剤の選択は重要である。熱重合開始剤の熱安定性は、通常、10時間半減期温度(10h−t1/2)の方法によって、すなわち、熱重合開始剤の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。
10時間半減期温度に関する詳細については、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
熱重合開始剤の10時間半減期温度が、少なくとも60℃であることが好ましく、より好ましくは少なくとも70℃であり、さらに好ましくは80℃〜150℃である。
熱重合開始剤として、熱硬化性の観点および熱硬化性樹脂組成物との相溶性の観点から、有機過酸化物が特に好ましい。
熱重合開始剤として、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル、および2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン等のペルオキシエステル類;1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、およびエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート等のジペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、および2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン等のジアルキルぺルオキシド;ジベンゾイルペルオキシドおよびジアセチルペルオキシド等のジアシルペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、およびクミルヒドロペルオキシド等のt−アルキルヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。
熱重合開始剤として、気泡を含有させるクッション層を形成する際に好ましい化合物として、アゾ化合物を挙げることができる。
アゾ化合物として、例えば、1−(t−ブチルアゾ)ホルムアミド、2−(t−ブチルアゾ)イソブチロニトリル、1−(t−ブチルアゾ)シクロヘキサンカルボニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル、2,2’−アゾビス(2−アセトキシプロパン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、および2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)等を挙げることができる。
[微粒子]
樹脂組成物に無機系微粒子、有機系微粒子、および/または有機無機複合微粒子を添加することができる。これらの微粒子を添加することにより硬化させて得られる樹脂硬化物の機械的物性の向上、樹脂硬化物表面の濡れ性改善、また、樹脂組成物の粘度の調整、樹脂硬化物の粘弾性特性の調整等が可能となる。
無機系微粒子または有機系微粒子として、その材質は特に限定されるものではなく、公知の微粒子を用いることができる。
有機無機複合微粒子として、無機系微粒子の表面に有機物層もしくは有機系微粒子を形成した微粒子、または有機系微粒子表面に無機物層もしくは無機微粒子を形成した微粒子等を挙げることができる。
微粒子として、樹脂硬化物の機械的物性を向上させる目的で、窒化珪素、窒化ホウ素、および炭化珪素等の剛性の高い無機系微粒子またはポリイミド等の有機系微粒子を用いることができる。
得られた樹脂硬化物の耐溶剤特性を向上させる目的で、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質で形成された有機系微粒子を添加することもできる。
レーザー彫刻法により樹脂硬化物層表面または樹脂硬化物を貫通したパターンを形成する目的のために、レーザー彫刻時に発生する粘稠性液状残渣の吸着除去特性に優れる無機多孔質微粒子を添加してもよい。
微粒子として、特に限定されるものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、および多孔質ガラス等を挙げることができる。
微粒子の数平均粒子径が0.01〜100μmであることが好ましい。 微粒子の数平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは1〜10μmである。数平均粒子径の範囲が上記範囲内にある微粒子を用いた場合、樹脂(b)および有機化合物(c)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合を生じることなく、樹脂硬化物表面に凹凸が発生することもない。
本実施の形態において、微粒子の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値を意味する。
微粒子の粒子形状は特に限定されるものではなく、微粒子として、球状、扁平状、針状、無定形、または表面に突起のある粒子等を用いることができ、耐磨耗性の観点からは、球状粒子であることが好ましい。
微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびその他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化または疎水性化した微粒子を用いることもできる。
本実施の形態において、これらの微粒子は1種または2種以上のものを選択することができる。
[樹脂組成物の組成比率]
樹脂組成物における樹脂(b)、有機化合物(c)、微粒子の割合は、樹脂(b)100質量部に対して、有機化合物(c)は5〜200質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。
樹脂(b)100質量部に対して、微粒子は1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜50質量部であり、さらに好ましくは2〜20質量部である。
有機化合物(c)の割合が、上記範囲内にある場合、得られる樹脂硬化物の硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、硬化時の収縮も小さい範囲に収まり、厚み精度を確保することができる。
樹脂組成物には用途や目的に応じて、重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、および香料等を添加することができる。
[シート状樹脂の製造方法]
シート状樹脂の製造方法として、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。
シート状樹脂製造方法として、例えば、注型法、ポンプまたは押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法、およびスプレー等を用いて噴霧する方法等を挙げることができる。
シート状樹脂を成形する際、熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能であり、必要に応じて、圧延処理および研削処理等をほどこしてもよい。
[光硬化方法]
成形された感光性樹脂組成物は、光照射により架橋せしめ、感光性樹脂硬化物を形成する。
感光性樹脂組成物を成形しながら光照射により架橋させて感光性樹脂硬化物を形成することもできる。
光硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、およびメタルハライドランプ等を挙げることができる。
感光性樹脂組成物に照射される光は、200nmから400nmの波長の光を有することが好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから400nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物の表面の硬化性を充分に確保することができる。光硬化に用いる光源は、1種類でもよいが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも好ましい。
[熱硬化方法]
硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合、加熱処理により、熱硬化性樹脂硬化物とする。
加熱方法は、赤外線を照射する方法、オーブン等で加熱した雰囲気に曝す方法、および加熱した金属等の物体と接触する方法等が挙げられる。加熱温度は、熱重合開始剤の種類に応じて選択する。
[クッション層]
本実施の形態において、接着剤層または粘着剤層がクッション層を兼ねていてもよく、シート状樹脂の下部(円筒状支持体(a)と接触する側)にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。また、円筒状支持体(a)の表面にクッション層を形成してもよい。
クッション層としては、ショアA硬度が10度以上70度以下の、またはASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。
ショアA硬度が10度以上またはASKER−C硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。
ショアA硬度が70度以下またはASKER−C硬度が85度以下である場合、クッション層としての役割を果たすことができる。
ショアA硬度は20〜60度またはASKER−C硬度は45〜75度であることが好ましい。ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
クッション層の材料として、特に限定されるものではなく、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、および熱硬化型エラストマー等のゴム弾性を有するエラストマーを挙げることができる。
円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
クッション層が、樹脂硬化物を含み、且つ気泡または有機系微粒子を含有することが好ましい。有機系微粒子が中空マイクロカプセルであって、中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着しているものを用いることが好ましい。有機系微粒子の平均粒子径が1μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上300μm以下であり、さらに好ましくは80μm以上200μm以下である。
クッション層の密度は、0.1g/cm3以上0.9g/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下であり、さらに好ましくは0.4g/cm3以上0.6g/cm3以下である。
クッション層の密度が上記範囲内にあれば、印刷工程においてレーザー彫刻層にかかる衝撃を充分に吸収することができる。
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、およびSEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、ならびにフッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
クッション層に用いる光硬化型エラストマーとしては、熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤、および光重合開始剤等を混合した組成物、液状樹脂に光重合性モノマーおよび光重合開始剤等を混合した組成物等を挙げることができる。
クッション層に用いるエラストマーとしては、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、およびチオ尿素等の化合物を架橋剤として用いる非硫黄架橋型ゴムでもよい。テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
クッション層として、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の材質で、独立または連続気泡を層内に有するクッション層であってもよく、市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用することもでき、クッション層の片面または両面に、接着剤または粘着剤が塗布されたものであってもよい。
本実施の形態の感光性樹脂硬化物の表面に改質層を形成させることにより、印刷基材表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤またはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、または多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、およびモノクロロシリル基を挙げることができる。
これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。
シランカップリング剤を構成する化合物として、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、およびメルカプト基からなる群から選ばれる少なくとも1個の官能基を有する化合物、または長鎖アルキル基を有する化合物を用いることができる。
[レーザー彫刻]
本実施の形態において樹脂硬化物を、レーザー彫刻法を用いてパターンを形成する印刷基材として使用する場合、レーザー彫刻法においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、印刷基材にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザー光は、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが好ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、および半導体レーザー等の赤外線または赤外線放出固体レーザーを挙げることができる。
可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3または第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
[レーザー彫刻カスの除去方法]
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、または高圧スチームを照射する方法等を用いて除去してもよい。
[レーザー彫刻円筒状印刷版表面の処理]
本実施の形態において、レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状または粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行ってもよい。用いる感光性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。さらに、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光してもよい。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光してもよい。
[用途]
本実施の形態の製造方法により製造されるレーザー彫刻用円筒状印刷原版の用途として、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷等の印刷技術において用いられる印刷原版または印刷版を挙げることができる。特に精度の高い印刷物が要求されるフレキソ印刷のラベル印刷等のナローウェッブや、缶印刷やチューブ印刷等のドライオフセット印刷の曲面印刷が、好ましい用途である。
印刷においてインキが脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素を含む場合、シート状樹脂にポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましい。これらの樹脂材料は、上記の溶剤に対する耐性を有するため好ましい。
脂肪族炭化水素として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ジペンテン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、および高沸点石油溶剤(インキオイル)等の化合物を挙げることができる。
芳香族炭化水素として、トルエン、キシレン、ジメチルベンゼン、ジクロロベンゼン、ソルベントナフタ、およびテトラリン等の化合物を挙げることができる。
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法および評価方法は以下のとおりである。
[測定方法]
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製、ZED−mini−1000;米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載、レーザーの発振波長は10.6μm)を用いて行った。彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。
(2)粘度
樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(東京計器社製、B8H型)を用い、20℃で測定した。
(3)数平均分子量の測定
樹脂(b)および有機化合物(c)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(東ソー社製、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(東ソー社製、TSKgel GMHXL)を用い、テトラヒドロフランで展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、注入量10μLとした。また、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(4)熱収縮率の測定
100mm角のフィルム試料を80℃に設定したオーブンに入れ、自由に収縮する状態で30分間処理した後、フィルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値を百分率で表わした。縦方向と横方向の値の平均値を熱収縮率とした。
(実施例1)
樹脂(b)として、数平均分子量が約10万のポリカーボネートポリウレタン(大日精化社製、「レザミン(登録商標)P890」)70質量部、有機化合物(c)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)30質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(分子量338)1質量部、微粒子として、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学社製、「サイロスフェア(登録商標)C−1504」、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5mL/g、灼熱減量2.5質量%、吸油量290mL/100g、以下、同様。)5質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン0.5質量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として、2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を、ニーダー(モリヤマ社製、「D1−5」)を用いて温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調整した。得られた感光性樹脂組成物を2軸押し出し装置(テクノベル社製、「KZW−TW」)を用いて、ウレタン接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製)上に、厚さ0.4mmで押し出し、さらにシリコーン離型処理した厚さ50μmのカバーシート(藤森工業社製)で挟み、シート状樹脂を形成した。シート状樹脂の感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
得られたシート状樹脂を幅180mm、長さ710mmにカットした。エアーシリンダーに装着した内径226.12mm、厚さ0.45mm、幅200mmの繊維強化プラスチック製スリーブ(独国、AKL社製)上に嫌気性接着剤(スリーボンド社製、「TB−1530」)を厚み0.1mmで塗布し、10分間放置した。その上に上記シート状樹脂を巻き付け、カバーフィルムを剥離して、その外側に厚さ25μmのポリエチレン製熱収縮チューブを被せ、赤外線ヒーター(ウシオ電機社製、「UH−USF−CL300」)を用いて収縮させた。ポリエチレン製チューブ表面の温度は、約120℃であった。使用した繊維強化プラスチック製スリーブは、ナイロンクロスで強化されたエポキシ樹脂製のものであった。また、熱収縮性チューブの内面は、シリコーン離型剤(信越化学工業社製、「KS−774」)で処理されたものを使用した。熱収縮性チューブは、ポリエチレンフィルム(瀧川化学工業社製)を所定の大きさに裁断し、両端部を3mm程度重ねて熱溶着して作製した。この継ぎ目部が、シート状樹脂の継ぎ目部に対応するように熱収縮性チューブを装着して被覆させた。熱収縮性チューブの一部を裁断し、熱収縮率の測定に使用した。その結果、80℃における熱収縮率は、30%であった。また、用いた熱収縮性チューブの波長350nmにおける光線透過率は90%以上であった。
熱収縮させたチューブで固定した状態で、エアーシリンダーを回転させながらメタルハライドランプ(フュージョン社製、「F450V型UVランプ」)の光を、350nmに感度の中心波長を有する光量測定器(オーク製作所社製、「M02+UV35」)を用いて測定した場合に4000mJ/cm2である条件で露光し、感光性樹脂組成物を光硬化させた。
その後、熱収縮性チューブを炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製、「ZED−mini―1000」)で切断し、円筒状印刷原版を得た。感光性樹脂硬化物のショアD硬度は、50度であった。また、得られた円筒状印刷原版の外径をレーザー測長器を用いて5箇所について測定した。外径精度は、±20μmであった。
得られた円筒状印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版8本を準備し、ドライオフセット缶印刷機(米国、ストーレーマシーナリー社製)にセットし、アルミニウム缶の表面に8色の印刷を施した。円筒状印刷版をエアーシリンダーに装着し、位置合わせを行う操作に要した時間は、1本あたり2分以内であった。従来のシート版を装着して位置合わせする操作に要した時間(1本あたり20分程度)に比較して、格段に短縮できた。アルミニウム缶への印刷は、1秒あたり25本のスピードで実施した。アルミニウム缶の表面には、良好な印刷品質で印刷されていることが確認できた。100万本印刷しても耐久性に特に問題は発生しなかった。
(実施例2)
樹脂(b)として、数平均分子量が約10万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体70質量部、数平均分子量2000の液状ポリブタジエン15質量部、脂環族炭化水素可塑剤(新日本石油化学社製、「B2000」)10質量部、有機化合物(c)として、ヘキサメチレンジアクリレート(分子量254)10質量部、微粒子として、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学社製、「サイロスフェア(登録商標)C−1504」)5質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン0.5質量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を、ニーダー(モリヤマ社製、「D1−5」)を用いて温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調整した。得られた感光性樹脂組成物を2軸押し出し装置(テクノベル社製、「KZW−TW」)を用いて、ウレタン接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製)上に、厚さ0.4mmで押し出し、更にシリコーン離型処理した厚さ50μmのカバーシート(藤森工業社製)で挟み、シート状樹脂を形成した。シート状樹脂の感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
実施例1と同様にして、円筒状印刷原版を得た。シート状印刷原版のショアD硬度は、25度であった。円筒状印刷原版の外径精度は、±20μmに入っていた。
その後、実施例1と同様にして、円筒状印刷版を作製した。
得られた円筒状印刷版を、外径226.12mmの金属製シリンダーを有するフレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム表面に印刷を実施した。円筒状印刷版の印刷機の版胴への装着は、2分以内に実施できた。
(実施例3)
熱収縮性チューブが、ポリエチレンテレフタレート製チューブを用いる以外は、実施例1と同様にして円筒状印刷原版を得た。ポリエチレンテレフタレート製チューブは、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、「S7001」)を両端部が3mm重なるようにして溶着して作製した。ポリエチレンテレフタレート製チューブの熱収縮率は80℃において20%であった。また、波長350nmにおける光線透過率は90%以上であった。
得られた円筒状印刷原版の外径精度は、±20μm中に入っていた。
実施例1と同様にして、円筒状印刷版を作製し、アルミニウム缶の表面印刷に用いた。印刷物の品質は良好であった。
(実施例4)
実施例2で作製したシート状樹脂の感光性樹脂組成物を、ガラス平板上に設置し、両面からケミカルランプ(蘭国、フィリップス社製、「10R」)から放出される紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)照射し、シート状樹脂の感光性樹脂硬化物を形成した。
得られたシート状樹脂を幅180mm、長さ710mmにカットした。エアーシリンダーに装着した内径226.12mm、厚さ0.45mm、幅200mmの繊維強化プラスチック製スリーブ(独国、AKL社製)上に嫌気性接着剤(スリーボンド社製、「TB−1530」)を厚み0.1mmで塗布し、10分間放置した。その上に上記シート状樹脂を巻き付け、カバーフィルムを剥離して、実施例1と同様にして、その外側にポリエチレン製熱収縮チューブを被せ、赤外線ヒーターを用いて収縮させ、1時間放置した。
その後、熱収縮性チューブをカッターで切断し、円筒状印刷原版を得た。また、得られた円筒状印刷原版の外径をレーザー測長器を用いて5箇所について測定した。外径精度は、±15μmであった。
得られた円筒状印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成し、実施例1と同様にドライオフセット印刷に用いた。
(実施例5)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコにポリカーボネートジオール(旭化成株式会社製、「PCDL(登録商標)L4672」、数平均分子量1990、OH価56.4)447.24質量部とトリレンジイソシアナート30.83質量部を加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83質量部を添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
樹脂(b)として、樹脂(ア)70質量部、有機化合物(c)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部およびポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、微粒子として、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学株式会社製「サイロスフェア(登録商標)C−1504」)5質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン0.5質量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として、2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合した感光性樹脂組成物を調整した。
得られた感光性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1200Pa・sであった。
作製した感光性樹脂組成物を、ガラス板上に設置した、厚さ50μmのポリイミドフィルム上に厚み0.4mmで塗布し、上下からケミカルランプ(蘭国、フィリップス社製、「10R」)の紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)照射し、シート状樹脂を得た。得られたシート状樹脂を用いる以外は、実施例4と同様にして、円筒状印刷原版を作製した。ただし、熱収縮させたポリエチレンチューブは、炭酸ガスレーザーを用いて切断した。また、上記ポリイミドフィルムとして、ポリイミドフィルム(東レデュポン社製)表面を波長172nmのエキシマーランプ(MDエキシマ社製、「MEBF」)の光を照射し、その後、メタクリレート基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製、「KBE−502」)で処理し、その上に光硬化性接着剤を10μmの厚さで塗布してものを使用した。
得られた円筒状印刷原版の外径精度は、±15μmであった。
実施例1と同様しにして、アルミニウム缶表面への印刷を実施したが、印刷品質上は特に問題は発生しなかった。
(実施例6)
嫌気性接着剤(スリーボンド社製、「TB−1530」)の代わりに、光硬化性接着剤(ノーテープ工業社製、「アクリタック(登録商標)」)を使用する以外の材料は、実施例1と同様にして円筒状印刷原版を作製した。実施例1において嫌気性接着剤を塗布して10分間放置する工程の代わりに、光硬化性接着剤を塗布し、直ちにシート状樹脂を円筒状支持体に巻きつける工程を経た以外は、実施例1と同じ工程で、円筒状印刷原版を作製した。
得られた円筒状印刷原版の外径精度は、±15μmであった。
実施例1と同様しにして、アルミニウム缶表面への印刷を実施したが、印刷品質上は特に問題は発生しなかった。
(実施例7)
樹脂(b)として、樹脂(ア)70質量部、有機化合物(c)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量 206)20質量部およびポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」)1質量部を70℃にて混合し、安定剤として、2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合し熱硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた熱硬化性樹脂組成物を、金属板上に固定したPET製カバーフィルム(東レ社製)上に、厚み1.5mmで塗布し、その上に厚さ50μmのPETフィルムを被せ、さらに、その上に金属板を置き、130℃に温調したオーブン中に入れて、20分間加熱しシート状樹脂を形成した。
得られたシート状樹脂を幅180mm、長さ710mmにカットした。エアーシリンダーに装着した内径226.12mm、厚さ0.45mm、幅200mmの繊維強化プラスチック製スリーブ(独国、AKL社製)上に嫌気性接着剤(スリーボンド社製、「TB−1530」)を厚み0.1mmで塗布し、10分間放置した。その上に上記のシート状樹脂を巻き付け、カバーフィルムを剥離して、その外側に実施例1と同じポリエチレン製熱収縮チューブを被せ、赤外線ヒーターを用いて収縮させ、1時間放置した。
その後、熱収縮性チューブをカッターで切断し、円筒状印刷原版を得た。また、得られた円筒状印刷原版の外径を、レーザー測長器を用いて5箇所について測定した。外径精度は、±25μmであった。
得られた円筒状印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成し、フレキソ印刷に用いた。
(実施例8)
不活性ガス雰囲気下で加熱融解したポリエチレンにカーボンブラック(東海カーボン社製、「シースト5H(登録商標)」)を0.1質量%添加し混合し、更に二軸押し出し機(テクノベル社製、「KZW−TW」)を用いてシート状に押し出し、二軸延伸機(東芝機械社製)を用いて厚さ50μmのフィルムを作製した。その後、得られたフィルムを所定の大きさに裁断し、両端部を3mm程度重ねて熱溶着して熱収縮性チューブを作製した。熱収縮性チューブの一部を裁断し、熱収縮率の測定に使用した。その結果、80℃における熱収縮率は、25%であった。また、用いた熱収縮性チューブの波長1064nm(ファイバーレーザーの発振波長)における光線透過率は1%未満であった。更に、波長350nmにおける光線透過率も1%未満であった。
実施例2で作製したシート状樹脂の感光性樹脂組成物にケミカルランプ(蘭国、フィリップス社製、「10R」)から放出される紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)照射し、シート状樹脂の感光性樹脂硬化物を形成した。
得られたシート状樹脂を幅180mm、長さ710mmにカットした。エアーシリンダーに装着した内径226.12mm、厚さ0.45mm、幅200mmの繊維強化プラスチック製スリーブ(独国、AKL社製)上に嫌気性接着剤(スリーボンド社製、「TB−1530」)を厚み0.1mmで塗布し、10分間放置した。その上に上記シート状樹脂を巻き付け、カバーフィルムを剥離して、作製した熱収縮性チューブを被せ、赤外線ヒーターを用いて収縮させ、1時間放置した。
その後、熱収縮性チューブをファイバーレーザー彫刻機(独国、エスコグラフィックス社製、「スパーク(登録商標)」)を用いて切断し、円筒状印刷原版を得た。また、得られた円筒状印刷原版の外径をレーザー測長器を用いて5箇所について測定した。外径精度は、±15μmであった。
得られた円筒状印刷版を、金属製シリンダーを有するフレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム表面に印刷を実施した。円筒状印刷版の印刷機の版胴への装着は、2分以内に実施できた。
(比較例1)
実施例1で作製したシート状樹脂を、実施例1で用いた中空円筒状支持体上に巻きつけ、熱収縮性チューブを被覆せずに、シート状樹脂を両端部にテープを貼り付け固定した。未硬化樹脂部分に手が接触する等、得られた表面には、凸凹が目視で観察された。その後、メタルハライドランプ(フュージョン社製、「F450V型UVランプ」)の光を8000mJ/cm2(350nmでの積算光量)の条件で露光し、円筒状印刷原版を得た。
得られた円筒状印刷原版の中空円筒状支持体とシート状樹脂との間には、所々、ボイドが観察された。円筒状印刷原版の外径精度は、±80μmであった。
得られた円筒状印刷原版をレーザー彫刻し、表面に画像パターンを形成した後、実施例1と同じようにドライオフセット印刷を実施した。しかしながら、表面の凸凹のため、凸凹に対応する印刷不良が発生した。
本発明は、レーザー彫刻用円筒状印刷原版を厚み精度高く大量に作製する製造方法として好適である。
本発明のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法は、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびグラビア印刷等の印刷分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (21)

  1. レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法であって、
    (1)円筒状支持体(a)の表面に接着剤層または粘着剤層を形成する工程、
    (2)シート状樹脂を前記円筒状支持体(a)に巻きつける工程、
    (3)前記円筒状に巻きつけたシート状樹脂の外側から熱収縮性チューブを装着する工程、
    (4)前記熱収縮性チューブを加熱して収縮させる工程、
    (5)前記接着剤層または粘着剤層を硬化させる工程、および
    (6)収縮したチューブを取り外す工程を含む、レーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  2. 前記工程(5)において、収縮したチューブを通して光線を照射する、請求項1に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  3. 前記接着剤層または粘着剤層が、光硬化する樹脂を含有する、請求項2に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  4. 前記工程(4)において、80℃以上200℃以下の温度に加熱する、請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  5. 前記熱収縮性チューブが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリ塩化ビニリデンからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  6. 前記熱収縮性チューブの光線透過率が、波長350nmにおいて20%以上100%以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  7. 前記熱収縮性チューブが、シートの両端を0.5mm以上10mm以下の幅で重ね合わせて溶着して形成される、請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  8. 前記熱収縮性チューブが、リング押し出し法またはインフレーション法で製造され、該熱収縮性チューブに継ぎ目がない、請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  9. 前記熱収縮性チューブの厚さが、5μm以上200μm以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  10. 前記熱収縮性チューブの熱収縮率が、80℃において10%以上50%以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  11. 前記工程(6)において、レーザー切断法、刃物切断法、および高圧水切断法からなる群から選択される少なくとも1種類の方法により、前記収縮したチューブを除去する、請求項1から10のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  12. 前記工程(6)において、前記収縮したチューブを近赤外線レーザーにより切断する、請求項1から11のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  13. 前記熱収縮性チューブが、波長700nmから5μmの近赤外線を吸収する染料または顔料を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  14. 前記円筒状支持体(a)の厚さが、0.2mm以上2mm以下である、請求項1から13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  15. 前記円筒状支持体(a)が、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、およびセラミックス繊維からなる群から選択される少なくとも1種類の繊維を含む繊維強化プラスチックを含有する、請求項1から14のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  16. 前記シート状樹脂が、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、およびスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有する、請求項1から15のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  17. 前記シート状樹脂の厚さが、0.1mm以上5mm以下である、請求項1から16のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用円筒状印刷原版の製造方法。
  18. 請求項1から17のいずれか1項に記載の方法によって製造されるレーザー彫刻用円筒状印刷原版に、レーザー光を照射して凹パターンを形成するレーザー彫刻工程を含む、レーザー彫刻円筒状印刷版の製造方法。
  19. 前記レーザー彫刻円筒状印刷版が、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびグラビア印刷から選択される用途で使用される、請求項18に記載のレーザー彫刻円筒状印刷版の製造方法。
  20. 請求項18に記載のレーザー彫刻円筒状印刷版を用いて、円筒状の被印刷物表面に印刷する、ドライオフセット印刷方法。
  21. 脂肪族系炭化水素および/または芳香族系炭化水素を含有するインクを用いる、請求項20に記載のドライオフセット印刷方法。
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