JP5305587B2 - レーザー彫刻印刷原版 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー彫刻法で表面にパターンを形成するレーザー彫刻印刷原版、それを用いた印刷版、およびそれに用いる感光性樹脂組成物に関する。
近年、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、レタープレス印刷といった樹脂凸版を用いた印刷、あるいはエンボス加工などの表面加工において、レーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより表面に凹凸パターンを形成するレーザー彫刻法が用いられるようになってきた。レーザー彫刻法に適用される材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂組成物を熱処理により硬化させたものが用いられている。特に、近年、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する技術が増えてきた。
特許文献1(日本国特許2846954号)では、熱可塑性エラストマーを主原料とする感光性樹脂組成物にカーボンブラックを添加したレーザー彫刻印刷原版の記載がある。この特許文献では、カーボンブラック等で黒色化させているため、印刷原版の透明性が極めて低く、印刷原版中にボイド等の欠陥が存在していても、欠陥を検出することが極めて難しいという問題があった。
特許文献2(特開2001−328365号公報)には、グラフト共重合体を用いたレーザー彫刻印刷原版の記載があり、実施例においてカーボンブラック等の黒色顔料や、Brilliant Blue Rという青色染料、Basazol Red 71Pという赤色染料が用いられている。染料を用いた場合、染料分子は分子レベルで感光性樹脂組成物中に混ざるため、特に紫外線波長領域に吸収の強い化合物を用いた際には、紫外線の光線透過率が極めて低くなり、厚膜での光硬化が非常に困難となる。したがって、染料を添加する場合には、その添加量を極めて低くすることが必要となる。更に、着色が低い場合には、レーザー彫刻法により表面にパターンを形成した際に、パターンコントラストが低くなるという大きな問題があった。
このように、従来技術のレーザー彫刻印刷原版において、内部の欠陥が検出され易いように透明性が高く、レーザー彫刻した際にコントラストが高いレーザー彫刻印刷版を形成できる材料が存在していなかった。
特許第2846954号 特開2001−328365号公報
本発明は、内部の欠陥が検出され易いように透明性が高く、レーザー彫刻した際にコントラストが高いレーザー彫刻印刷版を形成できるレーザー彫刻印刷原版を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討し、少なくとも1層の感光性樹脂硬化物からなるレーザー彫刻層を有するレーザー彫刻印刷原版であって、該レーザー彫刻層が顔料を含有し、該顔料の平均粒子径が5nm以上5μm以下であって、前記レーザー彫刻層の最外層の色調が青色であるレーザー彫刻印刷原版を用いることにより、上記の問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の通りである。
(1)少なくとも1層の感光性樹脂硬化物からなるレーザー彫刻層を有するレーザー彫刻印刷原版であって、該レーザー彫刻層が青色顔料を含有し、該顔料の平均粒子径が5nm以上5μm以下であり、該レーザー彫刻層の最外層の色調が青色であるレーザー彫刻印刷原版。
(2)前記顔料の平均粒子径が10nm以上300nm以下である、上記(1)のレーザー彫刻印刷原版。
(3)前記顔料が、蛍光あるいは燐光を発する発光性化合物である、上記(1)又は(2)のレーザー彫刻印刷原版。
(4)前記顔料が、吸収スペクトルにおいて400nm以下の波長領域にピーク波長を有する、上記(1)〜(3)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版。
(5)前記顔料が、フタロシアニン骨格、シアニン骨格、ナフタロシアニン骨格からなる群より選択される少なくとも1種類の分子骨格を有する化合物である、上記(1)〜(5)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版。
(6)前記フタロシアニン骨格を有する化合物が中心金属を有する化合物であって、該中心金属が銅、ゲルマニウム、亜鉛、マグネシウム、錫、アルミニウム、インジウム、チタン、ケイ素、コバルト、ニッケル、クロム、パラジウムからなる群より選択される少なくとも1種類の金属イオンである、上記(5)のレーザー彫刻印刷原版。
(7)前記感光性樹脂硬化物が、20℃において液状の感光性樹脂組成物を光硬化させて形成される感光性樹脂硬化物である、上記(1)〜(6)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版。
(8)前記レーザー彫刻層と接する下層が、クッション層あるいは支持体である、上記(1)〜(7)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版。
(9)前記クッション層が、感光性樹脂硬化物を含み、且つ気泡あるいは有機系微粒子を含有する、上記(8)のレーザー彫刻印刷原版。
(10)前記有機系微粒子が中空マイクロカプセルであって、該中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着している、上記(9)のレーザー彫刻印刷原版。
(11)前記クッション層と前記レーザー彫刻層が直接接着した円筒状積層体であって、該クッション層と該レーザー彫刻層が継ぎ目を有しない、上記(8)〜(10)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版。
(12)前記クッション層の密度が0.1g/cm以上0.9g/cm以下である、上記(8)〜(11)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版。
(13)前記支持体が中空円筒状支持体である、上記(8)のレーザー彫刻印刷原版。
(14)前記中空円筒状支持体が、繊維強化プラスチック、フィルム強化プラスチック、金属からなる群より選択される少なくとも1種類の材料を構成成分とする中空円筒状支持体である、上記(13)のレーザー彫刻印刷原版。
(15)上記(1)〜(14)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版にレーザー光が照射されて、レーザー光が照射された部分が除去されて凹パターンが形成されているレーザー彫刻印刷版。
(16)前記レーザー光の発振波長150nm以上15μm以下である、上記(15)のレーザー彫刻印刷版。
(17)上記(1)〜(14)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版を製造するための感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物が数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、平均粒子径5nm以上5μm以下の青色顔料を含有するレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
(18)前記顔料が前記有機化合物(b)中に微分散処理されたものであって、該微分散処理が超音波分散法、高速撹拌分散法、高速せん断力分散法、ビーズミル分散法からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である、上記(17)のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
(19)前記感光性樹脂組成物が20℃において液状感光性樹脂組成物であって、且つ前記青色顔料が銅フタロシアニンである、上記(17)又は(18)のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
(20)前記青色顔料の平均粒子径が、10nm以上300nm以下である、上記(17)〜(19)のいずれかのレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
本発明は、内部の欠陥が検出され易いように透明性が高く、レーザー彫刻した際にコントラストが高いレーザー彫刻印刷版を形成できるレーザー彫刻印刷原版を提供することを目的とする。
以下、さらに詳細に本発明の好ましい実施態様を説明する。
本発明の印刷原版は、少なくとも1層の感光性樹脂硬化物からなるレーザー彫刻層を有するレーザー彫刻印刷原版であって、該レーザー彫刻層が顔料を含有し、前記レーザー彫刻層の最外層の色調が青色である。レーザー彫刻層の最外層の色調が青色であることは、添加する顔料の色も青色であることを意味する。
色調は、CIE(国際照明委員会)表色系において、xyz色度図を基に定義する。すなわち、xy色度図のxy座標(x、y)で、(0.04、0.34)、(0.07、0.2)、(0.1、0.1)、(0.13、0.05)、(0.19、0.01)、(0.23、0.03)、(0.28、0.06)、(0.3,0.13)、(0.32、0.2)、(0.3、0.24)、(0.26、0.3)、(0.2、0.33)、(0.12、0.34)、(0.04、0.34)の各点を順に線で結んで囲まれる領域を本発明の青色と定義する。
レーザー彫刻層の厚さは特に制限はないが、感光性樹脂組成物の硬化性の点から、50μm以上50mm以下であることが好ましい。より好ましくは100μm以上10mm以下、更に好ましくは500μm以上5mm以下である。
本発明で用いる顔料は青色顔料である。平均粒子径は5nm以上5μm以下である。より好ましくは5nm以上800nm以下、更に好ましくは10nm以上300nm以下である。顔料の平均粒子径がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を厚膜で光硬化させることが可能である。感光性樹脂硬化物層中に分散した顔料の平均粒子径は、感光性樹脂硬化物層を深さ方向に切断した切片を高分解能走査型電子顕微鏡あるいは透過型電子顕微鏡で観察することにより求めることとする。顔料粒子がモニター画面に100個程度入る倍率で、撮影した写真を基に測長する方法やカメラからの信号をデジタル処理して画像解析ソフトウエアーを用いて処理する方法などを挙げることができる。また、感光性樹脂組成物中に分散した顔料粒子の場合、特に粘度の高い分散液や室温で固体状物であるものの中に分散されている顔料をレーザー散乱法で測定することが難しいので、そのような場合は、感光性樹脂組成物を光硬化させて上記と同様にして測定することが好ましい。
本発明で用いる青色顔料は、有機系顔料であっても無機系顔料であっても構わない。有機系顔料としては、フタロシアニン骨格、シアニン骨格、ナフタロシアニン骨格から選択される少なくとも1種類の分子骨格を有する化合物が好ましい。特にフタロシアニン骨格を有する化合物は、耐候性の観点から好ましい化合物である。更に、フタロシアニン骨格を有する化合物が中心金属を有する化合物であって、該中心金属が銅、ゲルマニウム、亜鉛、マグネシウム、錫、アルミニウム、インジウム、チタン、ケイ素、コバルト、ニッケル、クロム、パラジウムから選択される少なくとも1種類の金属イオンであることが好ましい。また、青色の有機系顔料として、塩基性顔料のメチレンブルー、メチルバイオレット、酸縮合顔料のアルカリブルー、ジオキサジンバイオレット等の化合物を挙げることができる。その中でも特に、銅フタロシアニンは強い青色を示す顔料として好ましい。
また、無機系顔料として、2(Al・Na/Si10)・Naを主成分とする群青、Fe「Fe(CN)を主成分とする紺青、CoとAlを主成分とするコバルトブルー、CoO・SnOを主成分とするセルリアンブルー、CaO・CuO・4SiOを主成分とするエジプトブルー、2CuCO・Cu(OH)を主成分とする藍銅鉱、2(AlNaSi10)・Naを主成分とする瑠璃、マンガンバイオレット、マルスバイオレット、コバルトバイオレットなどの顔料を挙げることができる。更に、コバルト、アルミニウム、クロム等の元素を有する複合酸化物系焼成無機顔料を用いることもできる。
また、青色顔料は蛍光あるいは燐光を発する化合物であることが好ましい。蛍光あるいは燐光を発する化合物を含有することにより、特に網点等の微細パターンを観察する際に照射する照明の光によって発光することで、パターンのコントラストをより高める効果がある。蛍光あるいは燐光とは、化合物が光を吸収して基底状態から励起状態に遷移し、再度基底状態に戻る際に発する光である。
青色顔料は、感光性樹脂組成物の厚膜状態での光硬化性の点から、吸収スペクトルにおいて400nm以下の波長領域にピーク波長を有することが好ましい。
レーザー彫刻層を形成する感光性樹脂組成物は、数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、平均粒子径5nm以上5μm以下の青色顔料を含有することが好ましい。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて示差屈折計あるいは紫外可視分光光度計を用いてモニターすることができる。更に、分子量既知のポリスチレン標準サンプルの値を基準として換算して求めることができる。
また、青色顔料の濃度は、レーザー彫刻により形成された凹凸パターンの視認性向上の点から、感光性樹脂組成物全重量の50ppm以上が好ましく、厚膜とした場合の感光性樹脂組成物の硬化性の点から1000ppm以下が好ましい。より好ましくは100ppm以上800ppm以下、更に好ましくは100ppm以上500ppm以下である。
青色顔料は、レーザー彫刻層を形成する感光性樹脂組成物で使用する有機化合物(b)が室温で液体の場合には、該有機化合物(b)に分散させて、樹脂(a)等に混合されることが好ましい。また、有機化合物(b)に分散させる処理方法として、超音波分散法、高速撹拌分散法、高速せん断力分散法、ビーズミル分散法から選択される少なくとも1種類の方法を用いることが好ましい。特に、超微粒子に分散させる方法として、高速せん断力分散法が効率の観点から好ましい。例えば、特許第2788010号、特許第3021448号、特許第3412753号、特開平10−337457号、特開2005−144329号に記載の乳化装置を顔料の超微分散処理に用いることができる。前記有機化合物(b)の20℃における粘度は、1mPa・s以上2Pa・s以下が好ましい。より好ましくは1mPa・s以上500mPa・s以下、更に好ましくは1mPa・s以上100mPa・s以下である。顔料の微分散の点から分散媒体の粘度が低い方が、好ましい。
本発明の印刷原版の用途は、特に限定するものではないが、レーザー彫刻により表面に凹凸パターンを形成するフレキソ印刷原版用シートあるいはロール、グラビア印刷用シートあるいはロール、あるいはレーザー光を照射して貫通した孔状パターンを形成するスクリーン印刷用シートあるいはロータリースクリーン、孔版印刷用原版材料、オフセット印刷法で用いられるブランケット、アニロックスロールに接して用いられるインキ量調整用ロール、印刷用クッションロール、インクジェットプリンター、レーザープリンター、複写機等に搭載されているロール等の印刷基材、あるいは3次元立体成形等の用途として用いることができる。特に、厚膜に光硬化させる必要のあるものである場合に、本発明の効果は一層発揮される。
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であっても液状であっても構わないが、成形性の容易さから、20℃において液状の感光性樹脂組成物であることが特に好ましい。ここで言う液状樹脂とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味し、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーに対する言葉である。
樹脂(a)が20℃において液状樹脂である場合に、感光性樹脂組成物も20℃において液状である。これから得られる感光性樹脂硬化物をシート状、もしくは円筒状に成形する際、良好な厚み精度や寸法精度を得ることができる本発明の感光性樹脂組成物は、好ましくは、20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下である。さらに好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。粘度が10Pa・s以上であれば、作製される感光性樹脂硬化物の機械的強度が十分であり、円筒状に成形する場合においても形状を保持し易く、加工し易い。粘度が10kPa・s以下であれば、常温でも変形し易く、加工が容易である。シート状あるいは円筒状の感光性樹脂硬化物に成形し易く、プロセスも簡便である。特に厚み精度の高い円筒状感光性樹脂硬化物を得るためには、円筒状支持体上に液状感光性樹脂層を形成する際に、該感光性樹脂組成物が重力により液ダレ等の現象を起こさないように粘度を100Pa・s以上、より好ましくは200Pa・s以上、更に好ましくは500Pa・s以上の比較的粘度の高い感光性樹脂組成物であることが望ましい。
樹脂(a)の数平均分子量は、1000以上30万以下、より好ましくは2000以上15万以下、更に好ましくは5000以上5万以下である。樹脂(a)の数平均分子量は1000以上であれば、後に架橋して作成する感光性樹脂硬化物が強度を保ち、印刷用基材などとして用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。また、樹脂(a)の数平均分子量の上限は、20万以下が好ましい。30万以下であれば、感光性樹脂組成物の粘度が過度に上昇することもなく、シート状、あるいは円筒状の感光性樹脂硬化物を作製する際に加熱押し出し等の複雑な加工方法は必要ない。ここで言う数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
樹脂(a)は、分子内に重合性不飽和基を有していても構わない。特に好ましい化合物として1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーを挙げることができる。1分子あたり平均で0.7以上の場合、感光性樹脂組成物より得られる光硬化物の機械強度に優れ、耐久性も良好で、特に印刷用基材として繰り返しの使用にも耐えらるのものとなり好ましい。感光性樹脂硬化物の機械強度を考慮すると、樹脂(a)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。また、1分子あたりの重合性不飽和基数の上限については特に限定しないが、好ましい範囲としては20以下である。20以下であれば、光硬化時の収縮を低く抑えることができ、また表面近傍でのクラック等の発生も抑制できる。「分子内」とは高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。
樹脂(a)としては、下記に示すようなポリマーを骨格として、前記特定官能基を有するものを挙げることができる。骨格となるポリマーの例として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子等からなる群より選ばれる1種若しくは2種以上のものを挙げることができる。複数の高分子を用いる場合の形態としては共重合体、ブレンドどちらでもよい。
特にフレキソ印刷版用途のように柔軟なレリーフ画像が必要な場合には、樹脂(a)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を添加することもできる。このような液状樹脂として、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類、アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン類、(メタ)アクリル酸及び/またはその誘導体の重合体及びこれらの混合物やコポリマー類があげられる。その含有量は、樹脂(a)全体に対して30wt%以上100wt%以下が好ましい。特に耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。
樹脂(a)を構成する化合物に重合性不飽和基を導入する方法として、例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端あるいは分子鎖中に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する化合物に、前記反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後に、反応によって得られた化合物と、この化合物の末端結合性基と反応する官能基および重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
レーザー彫刻性の点から、樹脂(a)として熱分解性の高い化合物を使用することが好ましい。例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合、カルバメート結合等を分子内に有する化合物は、熱分解性の高い化合物として知られている。熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータを用いることができる。樹脂(a)の重量が半減する時点の温度が、150℃以上450℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は、250℃以上400℃以下、更に好ましくは、250℃以上380℃以下である。また、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物が好ましい。その指標として、前記熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が、100℃以下であることが好ましい。より好ましくは、80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
本発明の有機化合物(b)は、ラジカル重合反応あるいは開環重合反応に関与する不飽和結合を有した化合物であり、樹脂(a)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下が好ましい。有機化合物(b)は例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びそれらの誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等があげられるが、その種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体が好ましい例である。
該誘導体は、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基等の官能基を有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、スチリル基等の官能基を有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基等の官能基を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物等があげられる。
重合性不飽和基を有する有機化合物(b)はその目的に応じて1種若しくは2種以上のものを選択できる。例えば印刷版として用いる場合、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物として長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有することが好ましい。
感光性樹脂組成物より得られる光硬化物の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)としては脂環族または芳香族置換基を有する化合物を少なくとも1種類以上有することが好ましく、この場合、有機化合物(b)の全体量の20wt%以上100wt%以下であることが好ましく、更に好ましくは50wt%以上100wt%以下である。
レーザー彫刻層は、上記感光性樹脂組成物に光を照射して硬化させることにより形成される。光としては、紫外線、可視光線の他、電子線、X線等の高エネルギー線を用いることもできる。特に紫外線、可視光線を用いて光硬化させる場合、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤(d)あるいは/および崩壊型光重合開始剤(e)を添加することが好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)は特に限定するものではないが、芳香族ケトンを用いることが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。本発明で用いる水素引き抜き型光重合開始剤(d)として励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜きてラジカルを生成する化合物であれば何でも構わない。芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノンあるいはその誘導体を指し、具体的には3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3‘,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。
ミヒラーケトン類とはミヒラーケトンおよびその誘導体をいう。キサンテン類とはキサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をいう。チオキサントン類とは、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体をさし、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等を挙げることができる。アントラキノン類とはアントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、長期保存時に表面にクラック等が発生せず、退候性を確保することができる。
崩壊型光重合開始剤(e)とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物を指し、特に限定するものではない。具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、ジケトン類等を挙げることができ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。
アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等を挙げることができる。アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等を挙げることができる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等を挙げることができる。ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等を挙げることができる。崩壊型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3wt%以上10wt%以下、より好ましくは0.5wt%以上5wt%以下であることが望ましい。添加量がこの範囲であれば、液状感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性は充分に確保できる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。α−アミノアセトフェノン類を挙げることができる。例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等の化合物を挙げることができる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する光重合開始剤(c)の添加量としては、感光性樹脂組成物全体量の0.3wt%以上10wt%以下が好ましく、より好ましくは0.5wt%以上3wt%以下である。添加量がこの範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性は充分に確保できる。
感光性樹脂組成物には無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子を添加することができる。これらの微粒子を添加することにより光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物の機械的物性の向上、感光性樹脂硬化物表面の濡れ性改善、あるいは感光性樹脂組成物の粘度の調整、感光性樹脂硬化物の粘弾性特性の調整等が可能となる。無機系微粒子あるいは有機系微粒子の材質は特に限定するものではなく、公知のものを用いることができる。また、有機無機複合微粒子として、無機系微粒子の表面に有機物層あるいは有機系微粒子を形成した微粒子、あるいは有機系微粒子表面に無機物層あるいは無機微粒子を形成した微粒子等をあげることができる。感光性樹脂硬化物の機械的物性を向上させる目的では、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素等の剛性の高い無機系微粒子あるいはポリイミド等の有機系微粒子を用いることができる。更に、得られた感光性樹脂硬化物の耐溶剤特性を向上させる目的で、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質で形成された有機系微粒子を添加することもできる。
また、レーザー彫刻法により感光性樹脂硬化物層表面あるいは感光性樹脂硬化物を貫通したパターンを形成する目的のために、レーザー彫刻時に発生する粘稠性液状残渣の吸着除去特性に優れる無機多孔質微粒子を添加しても構わない。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。前記微粒子は、数平均粒径が0.01〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲の微粒子を用いることは、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合を生じることなく、感光性樹脂硬化物表面上の凹凸の発生を抑制できる点から好ましい。より好ましい平均粒子径の範囲は、0.1〜20μmであり、更に好ましい範囲は1〜10μmである。なお、微粒子の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値である。上記微粒子の粒子形状は特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。上記微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子を用いることもできる。これらの微粒子は1種類もしくは2種類以上のものを選択できる。
感光性樹脂組成物における樹脂(a)、有機化合物(b)、上記微粒子の割合は、通常、樹脂(a)100重量部に対して、有機化合物(b)は5〜200重量部が好ましく、20〜100重量部の範囲がより好ましい。又、微粒子は1〜100重量部が好ましく、2〜50重量部の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、2〜20重量部である。
有機化合物(b)の割合が、上記の範囲である場合、得られる感光性樹脂硬化物の硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、光硬化時の収縮も小さい範囲に収まり、厚み精度を確保することができる。
本発明で用いる感光性樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
感光性樹脂硬化物は、感光性樹脂組成物を光硬化させて形成したものである。したがって、有機化合物(b)の重合性不飽和基、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)の重合性不飽和基が反応することにより3次元架橋構造が形成され、通常用いるエステル系、ケトン系、芳香族系、エーテル系、アルコール系、ハロゲン系溶剤に不溶化する。この反応は、有機化合物(b)同士、樹脂(a)同士、あるいは樹脂(a)と有機化合物(b)との間で起こり、重合性不飽和基が消費される。また、光重合開始剤を用いて光硬化させる場合、光重合開始剤が光により分解されるため、前記光硬化物を溶剤で抽出し、GC−MS法(ガスクロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、LC−MS法(液体クロマトグラフィーで分離したものを質量分析する方法)、GPC−MS法(ゲル浸透クロマトグラフィーで分離し質量分析する方法)、LC−NMR法(液体クロマトグラフィーで分離したものを核磁気共鳴スペクトルで分析する方法)を用いて解析することにより、未反応の光重合開始剤および分解生成物を同定することができる。
更に、GPC−MS法、LC−MS法、GPC−NMR法を用いることにより、溶剤抽出物中の未反応の樹脂(a)、未反応の有機化合物(b)、および重合性不飽和基が反応して得られる比較的低分子量の生成物についても溶剤抽出物の分析から同定することができる。3次元架橋構造を形成した溶剤に不溶の高分子量成分については、熱分解GC−MS法を用いることにより、高分子量体を構成する成分として、重合性不飽和基が反応して生成した部位が存在するかを検証することが可能である。例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニル基等の重合性不飽和基が反応した部位が存在することを質量分析スペクトルパターンから推定することができる。熱分解GC−MS法とは、試料を加熱分解させ、生成するガス成分をガスクロマトグラフィーで分離した後、質量分析を行なう方法である。感光性樹脂硬化物中に、未反応の重合性不飽和基又は重合性不飽和基が反応して得られた部位と共に、光重合開始剤に由来する分解生成物や未反応の光重合開始剤が検出されると、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られたものであると結論付けることができる。
感光性樹脂組成物中の樹脂(a)あるいは光重合開始剤は、GPC法あるいはLC法等の液体クロマトグラフィーを用いて分離精製後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)を用いて分子構造を同定することができる。水素原子に着目したNMR法(H−NMR法)を用いて、官能基特有の化学シフトを解析することにより、分子中にどのような官能基が存在するか同定することができ、また特定の官能基を有する炭素原子に直接結合した水素原子(α位水素)の量を積分値から定量的に評価することができる。
本発明の印刷原版の形状は特に限定されず、シート状、円筒状いずれでもよい。またレーザー彫刻層はクッション層や支持体上に直接接するように設けられてもよいし、クッション層や支持体上に他の中間層を設けた後設けられていてもよい。
感光性樹脂組成物をシート状、もしくは円筒状に成形する方法は、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等、スプレー等を用いて噴霧する方法が例示できる。その際、感光性樹脂組成物の熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成形を行うことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。
通常はPETやニッケルなどの素材からなるシート状支持体上に成形される場合が多いが、直接印刷機のシリンダー上あるいは中空円筒状支持体に成形することも好ましい。中空円筒状支持体が、繊維強化プラスチック、フィルム強化プラスチック、金属から選択される少なくとも1種類の材料を構成成分とする中空円筒状支持体であることが好ましい。また、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で強化されたポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック製スリーブ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルチューブ等の円筒状支持体を具体例として挙げることができる。シート状支持体あるいは円筒状支持体の役割は、感光性樹脂硬化物の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択する必要がある。線熱膨張係数を用いて評価すると、好ましい材料の上限値は100ppm/℃以下、更に好ましくは70ppm/℃以下である。
材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をシート状支持体として用いることができる。シート状支持体として多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とシート状支持体とが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
また、シート状支持体あるいは円筒状支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロスなどに樹脂を含浸あるいは被覆する方法などを挙げることができる。充填剤としては、通常用いられる有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子など用いることができる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることもできる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、感光性樹脂組成物層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などである。
成形された感光性樹脂組成物層は光照射により架橋せしめ、感光性樹脂硬化物を形成する。また、成型しながら光照射により架橋させることもできる。硬化に用いられる光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げることができる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。光硬化に用いる光源は、1種類でも構わないが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより、樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることも差し支えない。
感光性樹脂硬化物層の下部にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。感光性樹脂硬化物の厚さは、0.05〜50mmが好ましく、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が10以上70度以下、あるいはASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が10度以上あるいはASKER−C硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、ショアA硬度が70度以下あるいはASKER−C硬度が85度以下であるものが、クッション層としては好ましい。クッション層のより好ましいショアA硬度の範囲は20〜60度、ASKER−C硬度では45〜75度の範囲である。ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
印刷品質確保の点から、本発明の印刷原版は、クッション層とレーザー彫刻層は直接接着した円筒状積層体であって、該クッション層と該レーザー彫刻層が継ぎ目を有しないことが好ましい。
前記クッション層は、特に限定せず、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等ゴム弾性を有するものであれば何でも構わない。特にシート状あるいは円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料を用いることが簡便であり好ましい。
クッション層は、感光性樹脂硬化物を含み、且つ気泡あるいは有機系微粒子を含有することが好ましい。また、前記有機系微粒子が中空マイクロカプセルであって、該中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着しているものを用いることが好ましい。前記有機系微粒子の平均粒子径が1μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は10μm以上300μm以下、更にこのましくは80μm以上200μm以下である。
クッション層の密度は、0.1g/cm以上0.9g/cm以下であることが好ましい。より好ましくは0.3g/cm以上0.7g/cm以下、更に好ましくは0.4g/cm以上0.6g/cm以下である。クッション層の密度がこの範囲であれば、印刷工程においてレーザー彫刻層にかかる衝撃を充分に吸収することができる。
クッション層に用いる熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、液状樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状感光性樹脂組成物などを挙げることができる。本発明では、微細パターンの形成機能が重要な要素である感光性樹脂組成物の設計思想とは異なり、光を用いて微細なパターンの形成を行う必要がなく、全面露光により硬化させることにより、必要な機械的強度を確保できれば良いため、材料の選定において自由度が極めて高い。
また、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の化合物を架橋剤として用いる非硫黄架橋型ゴムでも構わない。
更に、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものを使用することもできる。
また、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の材質で、独立あるいは連続気泡を層内に有するクッション層であっても構わず、市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用することもでき、クッション層の片面あるいは両面に接着剤あるいは粘着剤が塗布されたものであっても構わない。
多層化した印刷原版とする場合、シート状支持体あるいは円筒状支持体を設けることも可能であり、その場合前記支持体の位置は、クッション層の下、すなわち印刷基材の最下部、あるいは、感光性樹脂硬化物層とクッション層との間の位置、すなわち印刷基材の中央部、いずれの位置でも構わない。
感光性樹脂硬化物の表面に改質層を形成させることにより、印刷基材表面のタックの低減、インク濡れ性の向上を行うこともできる。改質層としては、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜、あるいは多孔質無機粒子を含有するポリマーフィルムを挙げることができる。
広く用いられているシランカップリング剤は、基材の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、そのような官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基を挙げることができる。また、これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、基材の表面水酸基と反応することにより基材表面に固定化される。更に本発明のシランカップリング剤を構成する化合物は、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基、及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、あるいは長鎖アルキル基を有するものを用いることができる。
本発明の印刷原版のレーザー彫刻層にレーザー彫刻法を用いてパターンを形成する方法としては、例えば、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、印刷基材にレリーフ画像を作成する方法が挙げられる。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザーが好ましいものの一つである。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。
微細パターン形成の観点から、レーザー光の発振波長は150nm以上15μm以下であることが好ましい。
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施できる。彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状もしくは液状の物質は適当な方法、例えば溶剤や界面活性剤の入った水等で洗いとる方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去しても良い。
レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状あるいは粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施することもできる。表面のタック除去に効果がある方法である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行っても構わない。用いる感光性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。更に、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光しても構わない。また、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光しても構わない。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載、レーザーの発振波長は10.6μm)を用いて行った。彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。
(2)粘度
感光性樹脂組成物あるいは有機化合物(b)の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(3)数平均分子量の測定
樹脂(a)、有機化合物(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(製造例1)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDLL4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(製造例2)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDLL4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート7.42gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約1個)である数平均分子量約10000の樹脂(イ)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(実施例1)
有機化合物(b)の1成分として、フェノキシエチルメタクリレートを用い、フェノキシエチルメタクリレートを分散媒として、青色顔料である銅フタロシアニン(BASF社製、商標「Heliogen Blue D 6700T」)を超音波ホモジナイザーで分散させ、分散液を調整した。更に、該顔料を分散させた分散液を、超微細分散装置(吉田機械興業社製、商標「ナノマイザーMN II)を用いて平均粒子径が約50nmの超微粒子とした。顔料粒子の平均粒子径は、レーザー散乱型粒度分布計(大塚電子社製、商標「FPAR−1000」)を用いて測定した。銅フタロシアニンを微分散させるために使用した分散媒体であるフェノキシエチルメタクリレートの粘度は、B型粘度計を用いて測定した結果、20℃において、10mPa・sであった。
樹脂(a)として、製造例1で作製した樹脂(ア)70重量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルアクリレート(分子量192)10重量部およびポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10重量部、富士シリシア化学株式会社製、多孔質性微粉末シリカである、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5wt%、吸油量290ml/100g)光重合開始剤としてベンゾフェノンおよび2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、その他、安定剤等の添加剤を混合した混合物を調整した。
更に、得られた混合物に、前記分散液10重量部を混合し、顔料を含む感光性樹脂組成物を得た。顔料の濃度は、感光性樹脂組成物全重量の200ppmとした。
用いた光重合開始剤の濃度は、ベンゾフェノンが1wt%、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが0.6wt%とした。
得られた感光性樹脂組成物をPETフィルム上に厚さ1.4mmのシート状に成形し、旭化成株式会社製ALF型213E露光機を用い、大気中でレリーフ面 2000mJ/cm、バック面1000mJ/cmの条件で露光し、シート状レーザー彫刻印刷原版を作製した。露光に用いた光は紫外線蛍光灯(ケミカルランプ、中心波長:370nm)と殺菌灯(ジャーミサイダルランプ、中心波長:253nm)の光であった。感光性樹脂組成物は、完全に光硬化していた。深さ方向に切断し、断面の状況を確認したところ、未硬化部分は存在していなかった。
得られた感光性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1200Pa・sであった。
得られたレーザー彫刻印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。得られたパターンのコントラストが良好であった。図1に網点部を顕微鏡で観察した際の写真を示す。
また、レーザー彫刻印刷原版を深さ方向に切断し、ミクロトームを用いて切片サンプルを作製し、透過型電子顕微鏡で観察し撮影した写真を基に解析した結果、顔料粒子の平均粒子径は約50nmであることがわかった。
用いた青色顔料である銅フタロシアニンの吸収スペクトルは、紫外可視分光光度計(日本分光社製、商標「V−570」)で測定した。サンプルは、前記分散液を分散媒であるフェノキシエチルアクリレートで10倍に希釈して調整した。その結果、300nmから360nmにピークを有するブロードな吸収スペクトルを示した。また、前記銅フタロシアニンが分散した分散液を、蛍光分光光度計(日立製作所社製、商標「F−4010」)を用いて波長365nmの光で励起して発光スペクトルを解析した結果、435nm、451nm、469nmに発光ピークを有することを確認した。
得られたレーザー彫刻印刷原版表面の色調を分光測色計計(コニカミノルタ社製、商標「CM−2022」)を用いて測定した。CIE(国際照明委員会)表色系のxy色度図において、x=0.1564、y=0.1957の青色であった。
(実施例2)
実施例1と同じ感光性樹脂組成物を用いて、円筒状の感光性樹脂硬化物を形成した。直径200mmのエアーシリンダーに、内径が同径で厚さ1.5mmのガラス繊維強化プラスチック製のスリーブを嵌め込み、エアーシリンダーを回転させながら、前記スリーブ上に前記感光性樹脂組成物を厚さ1.4mmにドクターブレードを用いて塗布した。その後、エアーシリンダーを回転させながら、大気雰囲気下でケミカルランプ(中心波長:370nm)および殺菌灯(中心波長:253nm)の光をそれぞれ2000mJ/cm、500mJ/cm照射し、厚さ約1.4mmの感光性樹脂硬化物を得た。得られた感光性樹脂硬化物は、表面および内部まで完全に硬化していた。
円筒表面の状態を観察できる顕微鏡(独国、Mサービス社製、商標「Metric Mタイプ」)を用いて網点部を観察した結果、コントラストが良好であった。
また、レーザー彫刻層中に故意に約50μmの大きさの気泡を含有させた場合、高速微小欠陥検査装置(富士オプト社製、商標「SDR50P025−00」)を用いて検査した結果、前記気泡を発見することができた。
(実施例3)
実施例1で用いた内側の感光性樹脂硬化物を形成する際に用いた感光性樹脂組成物を窒素ガス中で激しく撹拌し、感光性樹脂組成物中に微細な気泡を形成した。得られた感光性樹脂組成物を実施例2と同じ方法で、ガラス繊維強化プラスチック製スリーブ上に厚さ0.5mmで塗布し、大気雰囲気下で光照射することにより硬化させた。得られた感光性樹脂硬化物の表面および内部は完全に硬化していた。このようにして感光性樹脂硬化物からなるクッション層を形成した。別途、PETフィルム上に形成したクッション層を、PETフィルムから剥離して密度を測定したところ、0.55g/cmであった。
次に、実施例2と同様に、形成したクッション層の上にレーザー彫刻層を形成し、クッション層を有する円筒状のレーザー彫刻印刷原版を作製した。
実施例1と同じ炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて同様の網点パターンを形成した。円筒表面の状態を観察できる顕微鏡(独国、Mサービス社製、商標「Metric Mタイプ」)を用いて網点部を観察した結果、コントラストが良好であった。
(実施例4)
樹脂(a)として、樹脂(ア)の代わりに製造例2で作製した樹脂(イ)を用いる以外は、実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にしてシート状のレーザー彫刻印刷原版を作製した。感光性樹脂組成物は、完全に光硬化していた。深さ方向に切断し、断面の状況を確認したところ、未硬化部分は存在していなかった。
また、実施例1と同じ炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて同様の網点パターンを形成した。得られたパターンのコントラストが良好であった。
(比較例1)
実施例1で用いた青色顔料を添加しない以外は、実施例1と同じ成分の感光性樹脂組成物を調製し、調整した感光性樹脂組成物を用いて実施1と同様にしてレーザー彫刻印刷原版を形成し、同じく炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて実施例1と同様のパターンを形成した。
顕微鏡を用いて網点部を観察したが、コントラストが明確ではなかった。図2に網点部を顕微鏡で観察した際の写真を示す。
(比較例2)
実施例1で用いた青色顔料の代わりに青色染料(チバスペシャリティーケミカル社製、商標「Brilliant Blue R」)を同濃度添加する以外は、実施例1と同じ成分の感光性樹脂組成物を調製した。
実施例1と同様にしてレーザー彫刻印刷原版を作製したが、PETフィルムとの界面で光硬化が不十分であった。深さ方向に切断し、断面の状況を観察したところ、PETフィルムとの界面で未硬化の部分が存在することが確認された。
本発明の印刷原版は、内部の欠陥が検出され易いように透明性が高く、レーザー彫刻した際にコントラストが高いレーザー彫刻印刷版を形成できるレーザー彫刻印刷原版として好適である。
実施例1における網点パターンの顕微鏡写真である。 比較例1における網点パターンの顕微鏡写真である。

Claims (20)

  1. 少なくとも1層の感光性樹脂硬化物からなるレーザー彫刻層を有するレーザー彫刻印刷原版であって、該レーザー彫刻層を形成する感光性樹脂組成物が青色顔料を含有し、該顔料の平均粒子径が5nm以上5μm以下であり、該顔料の濃度が感光性樹脂組成物全重量の50ppm以上1000ppm以下であり、該レーザー彫刻層の最外層の色調が青色であるレーザー彫刻印刷原版。
  2. 前記顔料の平均粒子径が10nm以上300nm以下である請求項1に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  3. 前記顔料が、蛍光あるいは燐光を発する発光性化合物である請求項1又は2に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  4. 前記顔料が、吸収スペクトルにおいて400nm以下の波長領域にピーク波長を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  5. 前記顔料が、フタロシアニン骨格、シアニン骨格、ナフタロシアニン骨格からなる群より選択される少なくとも1種類の分子骨格を有する化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  6. 前記フタロシアニン骨格を有する化合物が中心金属を有する化合物であって、該中心金属が銅、ゲルマニウム、亜鉛、マグネシウム、錫、アルミニウム、インジウム、チタン、ケイ素、コバルト、ニッケル、クロム、パラジウムからなる群より選択される少なくとも1種類の金属イオンである請求項5に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  7. 前記感光性樹脂硬化物が、20℃において液状の感光性樹脂組成物を光硬化させて形成される感光性樹脂硬化物である請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  8. 前記レーザー彫刻層と接する下層が、クッション層あるいは支持体である請求項1〜7のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  9. 前記クッション層が、感光性樹脂硬化物を含み、且つ気泡あるいは有機系微粒子を含有する請求項8に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  10. 前記有機系微粒子が中空マイクロカプセルであって、該中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着している請求項9に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  11. 前記クッション層と前記レーザー彫刻層が直接接着した円筒状積層体であって、該クッション層と該レーザー彫刻層が継ぎ目を有しない請求項8〜10のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  12. 前記クッション層の密度が0.1g/cm以上0.9g/cm以下である請求項8〜11のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  13. 前記支持体が中空円筒状支持体である請求項8に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  14. 前記中空円筒状支持体が、繊維強化プラスチック、フィルム強化プラスチック、金属からなる群より選択される少なくとも1種類の材料を構成成分とする中空円筒状支持体である請求項13に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版にレーザー光が照射されて、レーザー光が照射された部分が除去されて凹パターンが形成されているレーザー彫刻印刷版。
  16. 前記レーザー光の発振波長150nm以上15μm以下である請求項15に記載のレーザー彫刻印刷版。
  17. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版を製造するための感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物が数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)、数平均分子量1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)、平均粒子径5nm以上5μm以下の青色顔料を含有するレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
  18. 前記顔料が前記有機化合物(b)中に微分散処理されたものであって、該微分散処理が超音波分散法、高速撹拌分散法、高速せん断力分散法、ビーズミル分散法からなる群より選択される少なくとも1種類の方法である請求項17に記載のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
  19. 前記感光性樹脂組成物が20℃において液状感光性樹脂組成物であって、且つ前記青色顔料が銅フタロシアニンである請求項17又は18に記載のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
  20. 前記青色顔料の平均粒子径が、10nm以上300nm以下である請求項17〜19のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷原版用感光性樹脂組成物。
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