JP2010188610A - レーザー彫刻印刷原版の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷版層内に硬度差を有し、印刷性能を改善できるレーザー彫刻印刷原版の製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版の製造方法であって、(1)硬化性樹脂組成物を前記支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、(2)光硬化および熱硬化して前記硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記印刷原版層を形成する工程と、を含み、前記硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下である、レーザー彫刻印刷原版の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻印刷原版の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、レーザー彫刻印刷原版およびレーザー彫刻印刷版に関するものである。
近年、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびレタープレス印刷といった樹脂凸版または樹脂凹版を製造する場合や、エンボス加工などの表面加工を行う場合において、レーザー光を照射して照射された部分の樹脂が除去されることにより表面に凹凸パターンを形成するレーザー彫刻法が用いられるようになってきた。
レーザー彫刻法に適用される材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂組成物を熱処理により硬化させて得られる熱硬化性樹脂硬化物が用いられている。特に、近年、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物をレーザー彫刻する技術が増えてきた。
非特許文献1には、液状感光性樹脂組成物と写真製版技術を用いてパターンを形成する樹脂凸版として、硬度の高いキャップ樹脂層を表面に有する印刷版が開示されている。
特許文献1には、レーザー彫刻印刷版技術においても、熱可塑性エラストマーからなる多層印刷版が開示され、また、特許文献2には、感光性樹脂組成物を用いて多層の印刷版を作製する技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、熱可塑性エラストマーを主原料とする樹脂組成物を加硫剤または過酸化物以外の化合物を用いて熱化学的強化すること、光化学的強化すること、機械的強化することを組み合わせる方法が開示されている。
特許第2846955号 特許第3801592号 特許第2846954号 FLEXOGRAPHY:Principle & Practices,5th Edition,1999,Vol.4,p.25,Foundation of Flexographic Technical Association,Inc.
感光性樹脂硬化物や熱硬化性樹脂硬化物の内部の硬化状態や硬度差は、印刷工程において得られる印刷物の印刷品質に極めて大きな影響を及ぼすと考えられる。
従来技術においては、硬い表面層と柔らかい内部層の構成体を実現するため、非特許文献1ならびに特許文献1および2に開示されているように、少なくとも2層以上の構成であることを必要とする。
しかしながら、これらの従来技術の方法では、光硬化時の硬度が異なる液状感光性樹脂を積層する必要があるため、製造工程や製造装置が複雑化する課題があった。
特許文献3における熱可塑性エラストマー層についても、熱化学的強化と光化学的強化を組み合わせた方法の具体的な記載は一切されておらず、また、材料を強化することの記載はあるが、材料内部の硬化状態や硬度差に着目し、印刷版の性能向上を目指した技術に関しても全く記載されていないことから、従来の印刷版の製造技術と同様に樹脂凸版の表面を硬く、下部層を柔らかくできる樹脂構成を可能とする手法ではない。
このように、従来技術においては、単一層の印刷版内部に簡便な手法で、明確な硬度差を形成できる手法は見出されていない。
本発明が解決しようとする課題は、印刷版層内に硬度差を有し、印刷性能を改善できるレーザー彫刻印刷原版の製造方法を提供することにある。
上記事情に鑑みて、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持体上に積層される硬化性樹脂組成物層を光硬化および熱硬化することにより硬化させて印刷原版層を形成することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のレーザー彫刻印刷原版の製造方法、熱硬化性樹脂組成物、レーザー彫刻印刷原版およびレーザー彫刻印刷版を提供する。
[1]
支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版の製造方法であって、
(1)硬化性樹脂組成物を前記支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
(2)光硬化および熱硬化して前記硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記印刷原版層を形成する工程と、を含み、
前記硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下である、レーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[2]
前記工程(2)が、
(3)前記硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射して、半硬化の硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
(4)前記半硬化の硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる工程と、を含む、[1]に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[3]
前記工程(2)が、
(5)前記硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射する光硬化と熱硬化を同時に行う工程を含む、[1]に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[4]
前記印刷原版層の表面の硬度が、前記印刷原版層と前記支持体との界面の硬度よりも高く、該硬度の差が、5度以上50度以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のレーザー印刷原版の製造方法。
[5]
前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤および熱重合開始剤を含有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[6]
前記硬化性樹脂組成物が、20℃において液状であり、20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[7]
前記光重合開始剤が、水素引き抜き型光重合開始剤である、[5]または[6]に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[8]
前記熱重合開始剤が、20℃において液状である、[5]〜[7]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[9]
前記硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)および数平均分子量が1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[10]
前記樹脂(a)が、分子構造中にカーボネート構造を有する、[9]に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[11]
前記光硬化において、前記硬化性樹脂組成物層が大気中に露出した状態で光を照射する、[1]〜[10]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[12]
前記光硬化において、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、およびメタルハライドランプからなる群から選択される少なくとも1種類の光源から発生する光を照射する、[1]〜[11]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[13]
前記熱硬化において、80℃以上200℃以下で加熱する、[1]〜[12]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[14]
前記熱硬化において、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、および赤外線ランプからなる群から選択される少なくとも1種類の光源から発生する熱線を照射する、[1]〜[13]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[15]
前記支持体が、繊維強化プラスチック製スリーブ、金属製スリーブ、金属製シリンダー、およびゴム製シリンダーからなる群から選択される少なくとも1種類の円筒状支持体である、[1]〜[14]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
[16]
数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)100質量部に対し、数平均分子量が1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)10〜500質量部、熱重合開始剤0.1〜10質量部、および光重合開始剤0.1〜10質量部を含有し、
20℃において液状であって、
厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下である、硬化性樹脂組成物。
[17]
前記樹脂(a)が、分子内にカーボネート構造を有する、[16]に記載の硬化性樹脂組成物。
[18]
数平均粒子径が5nm以上10μm以下の顔料を、さらに、硬化性樹脂組成物全体量の0.01〜5質量%含有する、[16]または[17]に記載の硬化性樹脂組成物。
[19]
前記顔料が、波長700nm以上3μm以下の領域に光吸収性を有する黒色系顔料である、[18]に記載の硬化性樹脂組成物。
[20]
前記顔料が、数平均粒子径が50nm以上10μm以下の多孔質微粒子または数平均粒子径が5nm以上100nm以下の無孔質微粒子である、[18]に記載の硬化性樹脂組成物。
[21]
数平均粒子径0.1μm以上300μm以下の中空微粒子を、さらに、硬化性樹脂組成物全体量の0.1〜50質量%含有する、[16]〜[20]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[22]
前記光重合開始剤が、水素引き抜き型光重合開始剤である、[16]〜[21]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[23]
前記光重合開始剤の、波長250nmにおけるモル吸光係数が1×104-1cm-1以上1×106-1cm-1以下である、[16]〜[22]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[24]
前記光重合開始剤が、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、およびアントラキノン類からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物である、[16]〜[23]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[25]
前記熱重合開始剤の10時間半減期温度が少なくとも60℃以上である、[16]〜[24]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[26]
前記熱重合開始剤が、ペルオキシエステル類、ジペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、ジアシルペルオキシド類、およびt−アルキルヒドロペルオキシド類から選択される少なくとも1種の化合物である、[16]〜[25]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[27]
レーザー彫刻印刷原版を形成するための、[16]〜[26]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[28]
支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版であって、
前記印刷原版層が、[16]〜[27]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を支持体上に積層し、光硬化および熱硬化させた樹脂硬化物層である、レーザー彫刻印刷原版。
[29]
前記印刷版層の表面の硬度が、前記印刷版層との前記支持体との界面の硬度よりも高く、該硬度の差が、5度以上50度以下である、[28]に記載のレーザー彫刻印刷原版。
[30]
前記印刷原版層の厚さが50μm以上50mm以下である、[28]または[29]に記載のレーザー彫刻印刷原版。
[31]
レーザー彫刻円筒状印刷原版である、[28]〜[30]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
[32]
[28]〜[31]のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の表面に、レーザー光を照射して凹部が形成されている、レーザー彫刻印刷版。
本発明によれば、印刷版層内に硬度差を有し、印刷性能を改善できるレーザー彫刻印刷原版の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[レーザー彫刻印刷原版の製造方法]
本実施の形態のレーザー彫刻印刷原版の製造方法は、支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版の製造方法であって、
(1)硬化性樹脂組成物を前記支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
(2)光硬化および熱硬化して前記硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記印刷原版層を形成する工程と、を含み、
前記硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下である、レーザー彫刻印刷原版の製造方法である。
本実施の形態のレーザー彫刻印刷原版の製造方法により得られるレーザー彫刻印刷原版は、単一層の印刷原版層内に硬度差を有するレーザー彫刻印刷原版であり、該印刷原版から得られるレーザー彫刻印刷版は、単一層の印刷版層内に硬度差を有し、ドットゲインなどの印刷性能を改善できる印刷版である。
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物を支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層を形成する工程は、支持体の形状にあわせて、硬化性樹脂組成物を支持体上に積層してシート状または円筒状に成形する方法により行う工程であり、成形方法として、従来公知の樹脂の成形方法を用いることができる。
成形方法としては、例えば、注型法、ポンプや押し出し機などの機械で硬化性樹脂組成物をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、またはロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法、スプレーなどを用いて噴霧して硬化性樹脂組成物を積層して硬化性樹脂組成物層とする方法などが挙げられる。
支持体上に硬化性樹脂組成物を成形する際に、硬化性樹脂組成物の熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成形を行うことも好適である。また、硬化性樹脂組成物層に必要に応じて圧延処理、研削処理などを行うことも好適である。
硬化性樹脂組成物を支持体上に積層して形成される硬化性樹脂組成物層の厚さは、印刷版としてのレリーフ深度を十分に確保する観点で、50μm以上50mm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以上5mm以下であり、さらに好ましくは500μm以上3mm以下である。
ドライオフセット印刷用途で用いる場合には、硬化性樹脂組成物層の厚さは100μm以上1mm以下であることが好適である。
[支持体]
本実施の形態において用いられる支持体としては、シート状支持体および円筒状支持体などが挙げられる。
シート状支持体の材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル、およびポリフェニレンチオエーテルなどのプラスチックや、ニッケル、アルミニウム、および鉄などの金属などが挙げられる。
シート状支持体の厚さは、機械的強度、印刷原版のフレキシビリティー、寸法安定性の観点で、50μm以上500μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以上200μm以下である。
円筒状支持体としては、繊維強化プラスチック製スリーブ、金属製スリーブ、金属製シリンダー、およびゴム製シリンダーからなる群から選択される少なくとも1種類の円筒状支持体が挙げられる。
中空円筒状支持体としては、取り扱い、重量の観点からは、中空円筒状の繊維強化プラスチック製スリーブが好ましい。
繊維強化プラスチックが、機械的強度、軽量化による取り扱い容易性、寸法安定性の観点で、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、およびセラミックス繊維からなる群から選択される少なくとも1種類の繊維を含有することが好ましい。
中空円筒状支持体の厚さは、0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上1.5mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上0.8mm以下である。
中空円筒状支持体の厚さが、上記範囲内であれば、機械的強度を充分に確保でき、軽量化も達成できる。
[工程(2)]
本実施の形態において、光硬化および熱硬化して前記硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記印刷原版層を形成する工程は、光硬化および熱硬化することにより支持体上に形成した硬化性樹脂組成物層を硬化して印刷原版層を形成する工程である。
本実施の形態において、「硬化」とは、樹脂硬化物の硬度変化がなくなり、硬度が一定値となった状態を意味する。樹脂硬化物の硬度は、硬度計により樹脂硬化物の断面の各部を測定することによって確認することができる。
本実施の形態において、「半硬化」とは、硬度が一定値に到達する以前の状態であることを意味し、「未硬化」とは、硬化反応が進行していない状態であることを意味する。
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物層を光硬化および熱硬化により硬化して、印刷原版層とすることにより、層内に硬度差を有する印刷原版層とすることができる。
本実施の形態において、工程(2)が、
(3)前記硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射して、半硬化の硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
(4)前記半硬化の硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる工程と、を含んでいてもよく、または
(5)前記硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射する光硬化と熱硬化を同時に行う工程を含んでいてもよい。
工程(2)として、工程(3)と、工程(4)と、により印刷原版層を形成することにより、また、工程(5)により印刷原版層を形成することにより、層内に硬度差を有する印刷原版層を形成することができる。
本実施の形態において、工程(2)が、
前記硬化性樹脂組成物層を熱硬化して、半硬化の硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
前記半硬化の硬化性樹脂組成物層を表面側から光を照射する工程と、を含んでいてもよい。
熱硬化を光硬化に先に行う上記工程においては、熱硬化を行って硬化性樹脂組成物層が完全に熱硬化する前に、光を照射して光硬化させることにより、層内に硬度差を有する印刷原版層を形成することができる。
本実施の形態において、光硬化を熱硬化より先に行っても、光硬化と熱硬化を同時に行っても、熱硬化を先に行った後に光硬化を開始しても、光硬化の方が熱硬化に比して、反応速度が速いため樹脂硬化物層の表面部分を高硬度化させることができる。
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物の厚みを100μmとした場合の、波長350nmでの光線透過率が、0.01%以上20%以下の硬化性樹脂組成物を用いて硬化性樹脂組成物層を形成し、光硬化および熱硬化により硬化して印刷原版層とすることにより、層内に硬度差を有する印刷原版層とすることができる。
[工程(3):光硬化]
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射して、半硬化の硬化性樹脂組成物層を形成する工程は、支持体上に成形された硬化性樹脂組成物層を光照射により架橋せしめ、半硬化の硬化性樹脂組成物層を形成する工程である。
本実施の形態において、光を照射して形成される樹脂硬化物層を樹脂硬化物層(α)という。
本実施の形態においては、硬化性樹脂組成物層を成形しながら光照射により架橋させて、半硬化の硬化性樹脂組成物層とすることもできる。
光硬化に用いられる光源として、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、およびメタルハライドランプなどの紫外線を発する光源が挙げられる。
硬化性樹脂組成物層に照射される光は、更に、200nm以上300nm以下の波長の光を有することが特に好ましい。
照射される光が、200nm以上300nm以下の波長の光を有することにより、水素引き抜き型光重合開始剤は上記波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。
光硬化に用いる光源としては、1種類の光源を用いてもよく、波長の異なる2種類以上の光源を用いてもよい。
波長の異なる2種類以上の光源を用いて、硬化性樹脂組成物層を光硬化させることにより、硬化性を向上させることもできる。
本実施の形態において、光硬化は、成型プロセスの容易さ、装置の単純化、製造時間の短縮化の観点で、硬化性樹脂組成物層が大気中に露出した状態で光を照射して行うことが好ましい。
[工程(4):熱硬化]
本実施の形態において、半硬化の硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる工程は、光硬化することにより形成された、半硬化の硬化性樹脂組成物層を熱硬化することにより硬化する工程である。
本実施の形態において、熱硬化して形成される樹脂硬化物層を樹脂硬化物層(β)という。
熱硬化する方法は、従来公知の樹脂の加熱方法であれば特に限定されるものではないが、赤外線を照射する方法、オーブンなどで加熱した雰囲気に曝す方法、加熱した金属などの物体と接触する方法(熱プレス)などが挙げられる。
本実施の形態においては、硬化性樹脂組成物を光と熱で硬化させるため、紫外線と赤外線の両方を発するランプを使用することが好ましく、この場合、光硬化と熱硬化を一の光源から照射される光線と熱線により硬化性樹脂組成物の硬化を行うことができる。
熱硬化に用いられる光源としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプおよび赤外線ランプなどが挙げられる。
本実施の形態において、加熱温度は、熱重合開始剤の種類によって異なるが、80℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは130℃以上180℃以下である。
加熱温度が上記範囲内であれば、加熱時の支持体へのダメージを避けることができる。
[工程(5)]
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射する光硬化と熱硬化を同時に行う工程は、上記したような光硬化と熱硬化とを同時に行なう工程である。
本実施の形態において、工程(5)としては、光硬化が熱硬化よりも反応速度が大幅に速いので、光硬化と熱硬化を同時に実施してもよく、光硬化よりも先に熱硬化を実施してもよい。
本実施の形態において、光硬化と熱硬化を同時に行うことにより、光硬化を早く進行させることが可能であり、結果として、層内に硬度差を有する印刷原版層とすることができる。
本実施の形態において、印刷原版層の表面の硬度が、印刷原版層と支持体との界面の硬度よりも高く、該硬度の差が、5度以上50度以下であることが好ましく、より好ましくは10度以上40度以下であり、さらに好ましくは10度以上25度以下である。
硬度差が上記範囲内であれば、印刷時の網点パターンのドットゲインや白抜き線状パターンの埋まりを抑制することができる。
本実施の形態において、樹脂硬化物層(α)および樹脂硬化物層(β)の硬度差は、印刷原版層表面の硬度と、支持体と印刷原版層との界面の硬度との差を意味する。
硬度差の測定のためには、印刷原版層を支持体から剥離して硬度を測定してもよく、印刷原版層を垂直方向に切断し、その断面での硬度を測定してもよい。
硬度は、硬度計を用いて測定することができる。
具体的には、デュロメータ硬さ試験(JIS K 6253−1997規格)で求まるショアA硬度として測定することができる。硬度差の測定のためには、印刷原版層を支持体から剥離して硬度を測定することができる。
また、印刷原版層を垂直方向に切断し、その断面での硬度として、微小硬度計(高分子計器社製、「マイクロゴム硬度計 MD−1」)を用いて測定する場合、樹脂硬化物層(α)の硬度は、印刷原版表面の硬度として、該表面から0.2mm深い部分の硬度とし、樹脂硬化物層(β)の硬度は、印刷原版表面と支持体との界面の硬度として、該界面から0.2mm上部の硬度とする。
微小硬度計の針の直径が0.16mm程度であることによる。
本実施の形態においては、これらの方法により硬度を測定することにより、樹脂硬化物層が硬化していることを確認することができる。
本実施の形態において、樹脂硬化物層(α)の厚さは、樹脂硬化物層である印刷原版層全体の厚さの5%以上80%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以上50%以下であり、さらに好ましくは10%以上30%以下である。
樹脂硬化物層(α)の厚さが上記範囲内であれば、印刷時のドットゲインを抑制することができる。
本実施の形態において、樹脂硬化物層(α)の厚さは、硬化性樹脂組成物層に光のみを照射した際に、硬化した厚さと定義する。樹脂硬化物層を支持体から剥離し、硬化物を溶解せずに未硬化物のみを溶解する溶剤に浸漬する処理を行って残存した層の厚さを10箇所測定し、その平均値を樹脂硬化物層(α)の厚さとする。
本実施の形態において、樹脂硬化物層(α)の厚さが上記範囲内となるように、光を照射して重合性樹脂組成物を半硬化させることが好適である。
[硬化性樹脂組成物]
本実施の形態の硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤および/または熱重合開始剤を含み、光および熱によって硬化させることのできる樹脂組成物である。
硬化性樹脂組成物は、さらに、架橋剤を含有していてもよい。
硬化性樹脂組成物は、20℃において固体状であっても液状であってもよいが、成形性の容易さから、20℃において液状の硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
本実施の形態において、「液状」とは、容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有することを意味する。
硬化性樹脂組成物は、数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)および数平均分子量が1000未満である分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有することが好ましい。
硬化性樹脂組成物として、樹脂(a)が20℃において液状樹脂である場合に、硬化性樹脂組成物も20℃において液状である。
本実施の形態において、液状樹脂とは、外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するエラストマーであることを意味する。
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物の光線透過率は、該硬化性樹脂組成物を厚さ100μmに成形した場合、波長350nmにおいて0.01%以上20%以下である。硬化性樹脂組成物の光線透過率は、好ましくは0.05%以上10%以下であり、より好ましくは0.1%以上5%以下である。
硬化性樹脂組成物の光線透過率が、上記範囲内であれば、硬化性樹脂組成物を支持体上に成形し、該硬化性樹脂組成物側から光を照射した場合に、硬化性樹脂組成物の全部を光硬化させずに、硬化性樹脂組成物表面から内部へ向かって一部分を光硬化させることができる。
本実施の形態において、光線透過率の測定は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を得ることができる観点で、硬化性樹脂組成物の20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、50Pa・s以上5kPa・s以下である。
20℃における粘度が10Pa・s以上であれば、硬化性樹脂組成物層としての機械的強度が十分であり、円筒状に成形する場合においても形状を保持し易く、加工し易い。
20℃における粘度が10kPa・s以下であれば、常温でも変形し易く、加工が容易であり、シート状または円筒状の硬化性樹脂組成物層に成形し易く、プロセスも簡便である。
精度の高い円筒状印刷原版層を得るためには、円筒状支持体上に硬化性樹脂組成物層を成形する際に、硬化性樹脂組成物が重力により液ダレなどの現象を起こさないように、20℃における粘度が100Pa・s以上であることが好ましく、より好ましくは200Pa・s以上であり、さらに好ましくは500Pa・s以上である粘度の高い硬化性樹脂組成物であることが好適である。
本実施の形態において、粘度は、以下の実施例の記載に方法により測定することができる。
[樹脂(a)]
本実施の形態において用いられる樹脂(a)の数平均分子量は、1000以上30万以下であることが好ましく、より好ましくは2000以上15万以下であり、さらに好ましくは5000以上5万以下である。
樹脂(a)の数平均分子量が1000以上であれば、後に硬化して作成する印刷原版層が強度を保ち、印刷用基材などとして用いる場合、繰り返しの使用にも耐えられる。
樹脂(a)の数平均分子量が30万以下であれば、硬化性樹脂組成物の粘度が過度に上昇することもなく、シート状または円筒状の硬化性樹脂組成物層を形成する際に加熱押し出しなどの複雑な加工方法は必要ないため好適であるが、20万以下であることがより好ましい。
本実施の形態において、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値を意味する。
樹脂(a)は、分子内に重合性不飽和基を有していてもよい。
樹脂(a)として、好適には、1分子あたり平均で0.7個以上の重合性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。
重合性不飽和基が1分子あたり平均で0.7以上であれば、印刷原版層の機械強度に優れ、耐久性も良好で、特に印刷用基材として繰り返しの使用にも耐えられるのものとなり好ましい。
印刷原版層の機械強度の観点で、樹脂(a)の重合性不飽和基は1分子あたり0.7以上であることが好ましく、より好ましくは1以上である。
樹脂(a)の1分子あたりの重合性不飽和基の数の上限については特に限定されないが、1分子あたりの重合性不飽和基の数が20以下であることが好ましい。1分子あたりの重合性不飽和基の数が20以下であれば、硬化時の収縮を低く抑えることができ、また表面近傍でのクラックなどの発生も抑制することができる。
本実施の形態において分子内に重合性不飽和基を有するとは、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端、高分子主鎖中や、および高分子側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。
樹脂(a)としては、下記に示すようなポリマーを骨格として、前記重合性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、およびポリイミドなどの主鎖にヘテロ原子を有する高分子からなる群より選ばれる1種または2種以上のポリマーが挙げられる。
複数の高分子を用いる場合の形態としては共重合体、ブレンドどちらでもよい。
液状樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレンなどの炭化水素類;アジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート;ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン類;(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体の重合体ならびにこれらの混合物やコポリマー類;が挙げられる。
液状樹脂の含有量は、樹脂(a)全体に対して30質量%以上100質量%以下含有することが好ましい。耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。
不飽和ポリウレタン類として、ポリウレタン分子鎖の末端にアクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を有する樹脂およびポリウレタン分子鎖中に二重結合を有する樹脂等を挙げることができる。
樹脂(a)の分子中に重合性不飽和基を導入する方法として、例えば、直接、重合性の不飽和基をその分子末端または分子鎖中に導入した単量体を用いて重合する方法が挙げられる。
別法として、樹脂(ポリマー)と、重合性不飽和基を有する化合物と、を反応させて樹脂末端に重合性不飽和基を導入する方法が挙げられる。具体的には、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、およびエステル基などの反応性基を複数有する化合物に、反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば、反応性基が水酸基またはアミノ基である場合、結合剤としてポリイソシアネートなどが挙げられる。)を重合反応させ、分子量の調節、および末端の結合性基への変換を行った後に、該反応によって得られた樹脂と、該樹脂の末端結合性基と反応する官能基および重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、該樹脂の末端に重合性不飽和基を導入する方法が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は印刷原版層として用いられるので、樹脂(a)として熱分解性の高いポリマーを使用することが好ましい。例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの単位、またはカーボネート結合、カーバメート結合などを分子内に有するポリマーは、熱分解性の高い化合物として知られている。
樹脂(a)としては、耐熱性、機械的物性、レーザー彫刻性の観点から、分子内にカーボネート結合を有する化合物であること好ましい。
[有機化合物(b)]
有機化合物(b)は、ラジカル重合反応または開環重合反応に関与する不飽和結合を有した化合物であり、樹脂(a)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000未満であることが好ましい。
有機化合物(b)としては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼンなどのオレフィン類;アセチレン類;(メタ)アクリル酸およびその誘導体;ハロオレフィン類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体;アリルアルコール、アリルイソシアネートなどのアリル化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸およびそれらの誘導体;酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類などが挙げられるが、その種類の豊富さ、価格などの観点から(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルなどの誘導体が好ましい。
上記誘導体は、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基などの官能基を有する脂環族化合物;ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、スチリル基などの官能基を有する芳香族化合物;アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基などの官能基を有する化合物;アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパンなどの多価アルコールのエステル化合物などが挙げられる。
重合性不飽和基を有する有機化合物(b)は、その目的に応じて1種または2種以上の化合物を選択できる。例えば、印刷版として、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステルなどの有機溶剤に対する膨潤を押さえるために用いる有機化合物(b)として、長鎖脂肪族、脂環族、または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上を含有することが好ましい。
印刷原版層の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)として、脂環族または芳香族置換基などの置換基(官能基)を有する化合物を少なくとも1種類以上含有することが好ましく、脂環族または芳香族置換基などの置換基(官能基)を有する化合物が、有機化合物(b)の全体量の20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上100質量%である。
[光重合開始剤]
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物層に光を照射して硬化させて樹脂硬化物層(α)を形成させるため、硬化性樹脂組成物が光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、水素引き抜き型光重合開始剤および/または崩壊型光重合開始剤が挙げられる。
表面硬化性の観点および大気中での光硬化の観点で、水素引き抜き型光重合開始剤が好ましい。
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物層を光と熱で硬化させることに特徴があり、硬化性樹脂組成物層の表面近傍を光で硬化させ、硬化性樹脂組成物内部を熱で硬化させることが好ましい。
本実施の形態においては、硬化性樹脂組成物の底部まで光が透過しない工夫を行うことが好ましい。具体的には、光硬化工程で用いる光の波長において、光吸収特性の高い(モル吸光係数の大きい)化合物を光重合開始剤として用いる方法、光重合開始剤の濃度を高く添加する方法、光吸収特性のある光重合開始剤以外の紫外線吸収剤、顔料などの添加剤を添加する方法などが挙げられる。中でも、光吸収特性の高い光重合開始剤を添加する方法が好ましい。好ましい光重合開始剤として、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトンキサンテン類、アントラキノン類、チオキサントン類を挙げることができる。
上記光が透過しない工夫を行うことにより、硬化性樹脂組成物の光線透過率を上記した範囲内に制御することができる。
光吸収特性の高い光重合開始剤のモル吸収係数は、波長250nmにおいて1×104-1cm-1以上1×106-1cm-1以下であることが好ましく、より好ましくは1.5×104-1cm-1以上5×105-1cm-1以下であり、さらに好ましくは1.5×104-1cm-1以上1×105-1cm-1以下である。
本実施の形態において、モル吸光係数は、光重合開始剤が溶解する溶剤に溶かした状態で分光光度計を用いて測定することができる。
[水素引き抜き型光重合開始剤]
水素引き抜き型光重合開始剤として、励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば特に限定されないが。例えば、芳香族ケトンが挙げられる。
芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になる。励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。そして、生成したラジカルが光架橋反応に関与するものと考えられる。
芳香族ケトンとして、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類が挙げられ、芳香族ケトンとして、これらの化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノンあるいはその誘導体が挙げられ、具体的には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ミヒラーケトン類としては、ミヒラーケトンおよびその誘導体が挙げられる。
キサンテン類としては、キサンテンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体が挙げられる。
チオキサントン類としては、チオキサントンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体が挙げられ、具体的には、エチルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
アントラキノン類としては、アントラキノンおよびアルキル基、フェニル基、ハロゲン基などで置換された誘導体、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノンなどが挙げられる。
水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、樹脂(a)の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
添加量がこの範囲であれば、硬化性樹脂組成物層を大気中で光硬化させて印刷原版層を形成した場合に、印刷原版層表面の硬化性は充分に確保でき、また、長期保存時に表面にクラックなどが発生せず、退候性を確保することができる。
本実施の形態において、樹脂(a)の0.1質量%以上10質量%以下とは、基準となる樹脂(a)100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることを意味する。
[崩壊型光重合開始剤]
崩壊型光重合開始剤としては、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物であれば特に限定されない。
具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、ジケトン類などが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。
アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシムなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物などが挙げられる。
ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメートなどが挙げられる。
崩壊型光重合開始剤の添加量は、樹脂(a)の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
添加量がこの範囲であれば、硬化性樹脂組成物層を大気中で光硬化させて印刷原版層を形成した場合、印刷原版層表面の硬化性は充分に確保できる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いることもできる。
該光重合開始剤としては、α−アミノアセトフェノン類が挙げられる。
具体的には、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンなどが挙げられる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する光重合開始剤の添加量としては、樹脂(a)の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。
添加量がこの範囲であれば、硬化性樹脂組成物層を大気中で光硬化させた場合であっても、印刷原版層表面の機械的物性は充分に確保できる。
[光酸発生剤、光塩基発生剤]
本実施の形態において、光照射によって、酸または塩基を発生する化合物を光重合開始剤として用いることができる。
光酸発生剤または光塩基発生剤を用いることにより、開環重合反応する官能基を有する化合物、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などを開環重合させることができる。
[熱重合開始剤]
本実施の形態において、硬化性樹脂組成物層に熱硬化させて樹脂硬化物層(β)を形成させるため、硬化性樹脂組成物が熱重合開始剤を含有することが好ましい。
熱重合開始剤として、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる熱重合開始剤であれば特に限定されない。
ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物などが挙げられる。
開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始材を入れ、加熱することによって該マイクロカプセルが壊れるととによって内部の熱重合開始材が放出されるタイプの潜在性熱重合開始剤などが挙げられる。具体的には、旭化成ケミカルズ社製、潜在性硬化剤「ノバキュア(登録商標)」を挙げることができる。
熱重合開始剤は、樹脂(a)あるいは有機化合物(b)との混合の容易性の観点から、20℃において液状であることが好ましい。
熱重合開始剤の含有量は、樹脂(a)の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
熱重合開始剤の含有率が上記範囲内であれば、熱硬化性樹脂組成物層を十分に硬化させることができ、印刷原版層の表面の粘着性を低減することが可能となる。
本実施の形態において、好適な熱重合開始剤の選択は、本発明の方法を実施する上で特に重要である。熱重合開始剤の熱安定性は、10時間半減期の温度10h−t1/2の方法によって、即ち、熱重合開始剤の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。
10時間半減期温度に関する詳細については、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
熱重合開始剤の10時間半減期温度が、少なくとも60℃以上であることが好ましく、より好ましくは少なくとも70℃以上であり、さらに好ましくは80℃〜150℃である。
本実施の形態において、10時間半減期温度は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
熱重合開始剤としては、熱硬化性の観点および熱硬化性樹脂組成物との相溶性の観点から有機過酸化物が好ましい。
熱重合開始剤としては、具体的には、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル、および2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンなどのペルオキシエステル類;1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、およびエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレートなどのジペルオキシケタール類;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、および2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジベンゾイルペルオキシド、およびジアセチルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、およびクミルヒドロペルオキシドなどのt−アルキルヒドロペルオキシド類;が挙げられる。
本実施の形態の熱硬化性樹脂組成物として、数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)100質量部に対し、数平均分子量が1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)10〜500質量部、熱重合開始剤0.1〜10質量部、および光重合開始剤0.1〜10質量部を含有し、20℃において液状である、レーザー彫刻印刷原版を形成するための硬化性樹脂組成物であることが好適である。
また、本実施の形態の熱硬化性樹脂組成物として、硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下であることが好適である。
上記組成の硬化性樹脂組成物であることにより、支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層として、次いで、光硬化および熱硬化する場合に、層内に硬度差を有する印刷原版とすることができ、印刷版とした際に印刷性能を改善することができる。
有機化合物(b)の含有割合が、上記の範囲であることにより、印刷原版層の硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、硬化時の収縮も小さい範囲に収まり、印刷版層として厚み精度を確保することができる。有機化合物(b)のより好ましい範囲は、樹脂(a)100質量部に対し、10〜100質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。
[加硫剤]
本実施の形態の硬化性樹脂組成物は、加硫剤を添加することができる。
加硫剤としては、硫黄、チウラムジスルフィド、キノンジオキシム、芳香族メルカプタン、イソシアネートなどの2官能化合物が挙げられる。
具体的には、硫黄、キノンジオキシム、ジベンゾキソンジオキシム、モルフォリンジスルフィド、ジアルキルチウラムジスルフィド、フェノール樹脂、ジマレイミド、ジチオジモルホリン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、安息香酸アンモニウムなどの化合物が挙げられる。
本実施の形態において、加硫剤とは、その化合物自体が架橋反応により高分子構造中に取り込まれる化合物であり、光重合開始剤および熱重合開始剤とは、ラジカル化学種、酸や塩基等を生成し、重合反応を誘起させる化合物として区別する。
加硫反応を促進する加硫促進剤、促進剤の効果を発揮させる加硫活性剤(促進助剤)、加硫反応を遅らせる加硫遅延剤などを添加することもできる。
加硫剤の添加量は、硬化性樹脂組成物全体量の0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
[顔料]
本実施の形態の硬化性樹脂組成物には、顔料を添加することができる。
顔料としては、無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子が挙げられる。
顔料を硬化性樹脂組成物に添加することにより、硬化させて得られる印刷原版層の機械的物性の向上、印刷原版層表面の濡れ性改善、または硬化性樹脂組成物の粘度の調整、印刷原版層の粘弾性特性の調整、近赤外線レーザーでの加工性の向上などが可能となる。更に、本実施の形態で使用する顔料は、紫外線吸収性を有するものであってもよい。
無機系微粒子または有機系微粒子の材質は特に限定されず、公知の材質を用いることができる。
有機無機複合微粒子として、無機系微粒子の表面に有機物層あるいは有機系微粒子を形成した微粒子、または有機系微粒子表面に無機物層あるいは無機微粒子を形成した微粒子などが挙げられる。
印刷原版層の機械的物性を向上させる目的では、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素などの剛性の高い無機系微粒子またはポリイミドなどの有機系微粒子を用いることができる。
また、印刷原版層の耐溶剤特性を向上させる目的で、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質で形成された有機系微粒子を添加することもできる。
紫外線吸収性を有する顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、チタン酸バリウム等の金属酸化物が好ましい材料として挙げることができる。
また、レーザー彫刻法により印刷原版層表面または印刷原版層を貫通したパターンを形成する目的のために、レーザー彫刻時に発生する粘稠性液状残渣の吸着除去特性に優れる数平均粒子径50nm以上10μm以下の多孔質微粒子または数平均粒子径5nm以上100nm以下の無孔質微粒子を添加してよい。
多孔質微粒子としては、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス、多孔室ポリイミドなどが挙げられる。
無孔質微粒子としては、例えば、ヒュームドシリカが挙げられる。
微細パターンを形成するためにレーザー光源として近赤外線レーザーを使用する場合、近赤外線レーザーを吸収する顔料の添加が好ましい。
顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、酸化鉄、酸化銅などの無機系材料や、フタロシアニン色素などの有機系材料などが挙げられる。
顔料としては、波長700nm以上3μm以下の領域に光吸収性を有する黒色系顔料が好ましい。
顔料としては、数平均粒子径が5nm以上10μm以下であることが好ましい。
数平均粒径が上記範囲内である顔料を用いた場合、樹脂(a)および有機化合物(b)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生などの不都合を生じることなく、印刷原版層表面に凹凸が発生することもない。
顔料の数平均粒子径は、10nm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以上1μm以下である。
本実施の形態において顔料の平均粒子径は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定することができる。
顔料の粒子形状は特に限定されず、球状、扁平状、針状、無定形、または表面に突起のある粒子などが挙げられる。耐磨耗性の観点からは、顔料の粒子形状は球状であることが好ましい。
顔料の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子として用いることもできる。
本実施の形態において、これらの顔料は1種類で用いても良く、2種類以上の混合物として用いてもよい。
顔料の添加量は、硬化性樹脂組成物全体量の0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
[中空微粒子]
本実施の形態の硬化性樹脂組成物には中空微粒子を添加することができる。
中空微粒子は無機系中空微粒子であっても有機系中空微粒子であってもよい。
無機系中空微粒子を構成する材質としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ガラスなどが挙げられる。
有機系中空微粒子としては、中空マイクロカプセル微粒子が好ましい。
中空微粒子を硬化性樹脂組成物に添加することによって、印刷原版としてレーザー彫刻速度を向上させることができる。
有機系中空微粒子を添加することによって、印刷原版層にクッション性を付与することもできる。
中空微粒子の数平均粒子径は、0.1μm以上300μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上200μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上150μm以下である。
中空微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
具体的には、走査型電子顕微鏡のモニター画面上に微粒子が100個程度は入る倍率で観察し、画像データをコンピューター上で解析することによって、平均値を求める。
中空微粒子の添加量は、硬化性樹脂組成物全体量に対し、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。より好ましい範囲は1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
硬化性樹脂組成物には、用途や目的に応じて、重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを添加することができる。
本実施の形態のレーザー彫刻印刷原版は、支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版であって、印刷原版層が、上記硬化性樹脂組成物を支持体上に積層し、光硬化および熱硬化させた樹脂硬化物層である、レーザー彫刻印刷原版である。
本実施の形態のレーザー彫刻印刷原版は、上記レーザー彫刻印刷原版の製造方法により製造されるレーザー彫刻印刷原版である。
印刷版層の表面の硬度が、印刷版層との支持体との界面の硬度よりも高く、該硬度の差が、ショアA硬度で5度以上50度以下であることが好ましく、印刷原版層の厚さが50μm以上50mm以下であることが好ましい。
レーザー彫刻速度向上のためには、樹脂硬化物の熱分解性の高いものが好ましい。熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータを用いることができる。
樹脂硬化物の重量が半減する時点の温度が、200℃以上450℃以下となる樹脂であることが好ましく、より好ましくは250℃以上400℃以下となる樹脂であり、さらに好ましくは250℃以上380℃以下となる樹脂である。
また、熱分解が狭い温度範囲で起こる樹脂硬化物が好ましい。熱分解が狭い温度範囲で起こることの指標として、熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が、100℃以下であることが好ましく、より好ましくは80℃以下であり、さらに好ましくは60℃以下である。
[レーザー彫刻]
本実施の形態において、レーザー彫刻印刷原版を、レーザー彫刻法を用いてパターンを形成する印刷基材として使用する場合、レーザー彫刻法においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、印刷基材にレリーフ画像を作成する。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、印刷原版が吸収を有する波長を含むものであれば特に限定されないが、レーザー彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが好ましく、例えば、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザーなどの赤外線または赤外線放出固体レーザーが挙げられる。
可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えば、エキシマレーザー、第3または第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でもよく、パルス照射であってもよい。
レーザーによる彫刻は酸素含有ガス下、一般には空気存在下または気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下でも実施することができる。
レーザー彫刻終了後、レリーフ印刷版面にわずかに発生する粉末状または液状の物質は適当な方法、例えば、溶剤や界面活性剤の入った水などで洗いとる方法、高圧スプレーなどにより水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法などを用いて除去することができる。
レーザー光を照射し凹パターンを形成する彫刻後に、版表面に残存する粉末状または粘性のある液状カスを除去する工程に引き続き、パターンを形成した印刷版表面に波長200nm以上450nm以下の光を照射する後露光を実施することも表面のタック除去に効果があるため好適である。後露光は大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境でも行うことができる。
本実施の形態において用いられる硬化性樹脂組成物中に水素引き抜き型光重合開始剤が含まれている場合、特に効果的である。
また、後露光工程前に印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液で処理し露光してもよい。水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に印刷版を浸漬した状態で露光してもよい。
[用途]
本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版は、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷用のシート状あるいは円筒状印刷版、オフセット印刷法で用いられるブランケット、アニロックスロールに接して用いられるインキ量調整用ロール、印刷用クッションロール、インクジェットプリンター、レーザープリンター、複写機などに搭載されているロールなどの印刷基材、またはエンボス加工などの3次元立体成形用ロールとして用いることができる。
ドライオフセット印刷において、インキが脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素などの溶剤を含む場合、硬化性樹脂組成物にポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましい。これらの樹脂材料は、上記溶剤に対する耐性を有するため好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ジペンテン、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、高沸点石油溶剤(インキオイル)などの化合物が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、ジメチルベンゼン、ジクロロベンゼン、ソルベントナフタ、テトラリンなどの化合物が挙げられる。
レーザー彫刻印刷版を用いて、電子素子の導体、半導体、絶縁体の形成、または光学素子の形成を、印刷で実施することもできる。例えば、電子素子として、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機半導体、アンテナ回路、液晶ディスプレイ素子、プラズマ発光素子などが挙げられる。光学素子としては、例えば、マイクロレンズアレイ、光導波路などが挙げられる。
以下、本実施の形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法は以下のとおりである。
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(ZED社製(英国)、「ZED−mini−1000」(コヒーレント社製(米国)出力250Wの炭酸ガスレーザーを搭載、レーザーの発振波長は10.6μm)を用いて行った。彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。
(2)粘度
硬化性樹脂組成物の粘度は、B型粘度計(東京計器社製(日本国)、B8H型)を用い、20℃で測定した。
(3)数平均分子量の測定
樹脂(a)または有機化合物(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(東ソー社製(日本国)、「HLC−8020」)とポリスチレン充填カラム(東ソー社製(日本国)、「TSKgel GMHXL」)を用い、テトラヒドロフランで展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂(a)または有機化合物(b)の濃度が1質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、注入量10μLとした。また、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(4)モル吸光係数の測定
モル吸光係数は、光重合開始剤が溶解する溶剤に溶かした状態で分光光度計(日本分光社製、「V−570」)を用いて測定した。
(5)10時間半減期温度の測定
有機過酸化物の10時間半減期温度の測定は、サンプルをベンゼンに溶解させ濃度0.1モル/リットルとして、窒素置換したガラス管中に密封し、このガラス管を所定温度に温調した恒温槽に浸漬し、有機過酸化物の活性酸素が10時間で半減する温度を測定することによって行った。活性酸素の分析は、還元剤としてヨウ化カリウムを用いるヨード滴定法で行った。
(6)ショアA硬度の測定
印刷原版層の表面および印刷原版層と支持体との界面の硬度を測定するため、剥離可能な支持体上に硬化性樹脂組成物を塗布し、印刷原版作製とは別途サンプルを作製し、支持体から剥離して印刷原版層の2つの面の硬度を測定した。硬度の測定には、自動硬度計(テクロック社製)を使用し、針を接触後、15秒後の値をショアA硬度とした。
(7)ドットゲインの測定
印刷物および印刷版の網点部を顕微鏡で観察し、その画像をカメラで撮影しコンピューターに取り込み、計算機上で画像処理することによって面積を測定し、印刷物と印刷版の網点パターンの比較を行うことによって求めた。
(8)熱重量分析
樹脂硬化物の熱重量分析は、セイコーインスツルメント社製、商標「TG/DTA320」を用いた。昇温速度は10℃/分、窒素を毎分100mLの流量で流しながら重量減少を測定した。加熱温度の上限は1000℃とした。
(9)硬化性樹脂組成物の光線透過率の測定
硬化性樹脂組成物の光線透過率の測定は、石英板の上に測定光が透過する部分をくり貫いた厚み100μmのスペーサーを置き、硬化性樹脂組成物をスペーサーのくり貫かれた部分に流し込み、更に、その上に石英板を載せて、硬化性樹脂組成物を2枚の石英板で挟む形態のサンプルを作製し、分光光度計(日本分光社製、「V−570」)を用いて、波長350nmにおける透過率を測定した。
(実施例1)
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコにポリカーボネートジオール(旭化成株式会社製、「PCDL(登録商標)L4672」、数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え80℃に加温下に約3時間反応させた。その後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート(昭和電工社製、「MOI」)14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂(ア)を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
樹脂(a)として、樹脂(ア)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製、「ライトエステル(登録商標)PO」)(分子量190)20質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製、「NKエステル(登録商標)TMPT」)(分子量324)5質量部、顔料として、多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学株式会社製、「サイロスフェア(登録商標)C−1504」、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5質量%、吸油量290mL/100g、以下、数平均粒子径などの諸物性は同様である。)5質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン(日本化薬社製、「KAYACURE(登録商標)BP−100」)5質量部、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」、10時間半減期温度は、100℃であった。)1.5質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部(ジャパンケムテック社製、「アイオノール(登録商標)CP」)を混合した硬化性樹脂組成物を調整した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1200Pa・sであった。光重合開始剤、ベンゾフェノンの250nmにおけるモル吸光係数は、メタノール溶液中で測定し1.8×104-1cm-1であった。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が15%であった。
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ0.5mmのポリエチレン製クッションテープ(3M社製、「1820」)を貼り付けた厚さ0.45mm、内径152.91mm、幅500mmのポリエチレンクロスで強化された中空円筒状支持体(独国、AKL社製)上に、厚さ1.5mmに塗布し、メタルハライドランプ(フュージョン社製、「F450V型UVランプ」)の光を、350nmにおいて積算光量が4000mJ/cm2の条件で露光し、樹脂硬化物層(α)を形成した。その後、温度を150℃に調整したオーブン(いすゞ製作所社製)の中に30分間、回転させながら設置し、樹脂硬化物層(β)を形成した。
得られた円筒状印刷原版の表面に、上記(1)の炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版を、フレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム(日本ポリエチレン社製)上に印刷を毎分300mの印刷速度で実施した。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の120%で留まっており、ドットゲインは大きくなかった。
また、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においても、50μmの幅の線パターンが問題なく得られていた。印刷品質としては、良好な結果であった。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は60度、SUS304板との界面側のショアA硬度は45度であった。熱硬化せずに、メタルハライドランプの光のみで光重合させた場合には、硬化性樹脂組成物内部は未硬化状態であった。
(実施例2)
樹脂(a)として、樹脂(ア)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製、「ライトエステル(登録商標)PO」)(分子量190)20質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製、「NKエステル(登録商標)TMPT」)(分子量324)5質量部、顔料として、カーボンブラック(東海カーボン社製、「TB#A700F」、数平均粒子径:62nm、吸油量121mL/100g)0.6質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン(日本化薬社製、「KAYACURE(登録商標)BP−100」)5質量部、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」、10時間半減期温度は、100℃であった。)1.5質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部(ジャパンケムテック社製、「アイオノール(登録商標)CP」)を混合した硬化性樹脂組成物を調整した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、700Pa・sであった。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%であった。
実施例1と同様の方法で、円筒状印刷原版を作製した。
得られた円筒状印刷原版の表面に、上記(1)の炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。その後、さらに、べた部の表面に幅30μm、深さ50μmの線状凹パターンを、波長1.06μmのYVO4レーザー(米国、スペクトラフィジックス社製、「HIPPO」)を用いて彫刻した。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版を、フレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム(日本ポレチレン社製)上に印刷を毎分300mの印刷速度で実施した。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の120%で留まっており、ドットゲインは大きくなかった。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においても、50μmの幅の線パターンが問題なく得られていた。また、幅30μmの線状白抜きパターンも得ることができた。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は60度、SUS304板との界面側のショアA硬度は45度であった。
(実施例3)
樹脂(a)として、樹脂(ア)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)20質量部およびポリプロピレングリコールモノメタクリレート(共栄社化学社製)(分子量400)10質量部、青色顔料として、銅フタロシアニン(BASF社製(独国)、「Heliogen Blue D 6700T」、数平均粒子径:50nm)0.05質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン5質量部、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」)2質量部、中空微粒子として、既膨張マイクロカプセル(日本フィライト社製、「920DE40d30」、数平均粒子径:20μm)10質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部(ジャパンケムテック社製、「アイオノール(登録商標)CP」)を混合した硬化性樹脂組成物を調整した。硬化性樹脂組成物の粘度は、20℃において1100Pa・sであった。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、8%であった。
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ0.45mm、内径152.91mm、幅500mmのガラスクロスで強化された中空円筒状支持体(チェコ国、Ligum社製)上に、厚さ1.5mmに塗布し、メタルハライドランプ(フュージョン社製、「F450V型UVランプ」)の光を、350nmにおいて積算光量が4000mJ/cm2の条件で露光し、樹脂硬化物層(α)を形成した。その後、温度を150℃に調整したオーブンの中に30分間、回転させながら設置し、樹脂硬化物層(β)を形成した。
得られた円筒状印刷原版の表面に、上記(1)の炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版を、フレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム上に印刷を毎分300mの印刷速度で実施した。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の140%で留まっており、ドットゲインは、まずまずの値であった。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においても、50μmの幅の線パターンが問題なく得られていた。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は55度、SUS304板との界面側のショアA硬度は30度であった。
(実施例4)
樹脂(a)として、数平均分子量が約10万のポリカーボネートポリウレタン(大日精化社製、「レザミン(登録商標)P890」)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)30質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(分子量324)5質量部、青色顔料として、銅フタロシアニン(BASF社製(独国)、「Heliogen Blue D 6700T」、数平均粒子径:50nm)0.1質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン2質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部(ジャパンケムテック社製、「アイオノール(登録商標)CP」)を、ニーダー(モリヤマ社製、「D1−5」)を用いて温度150℃でニーダーを用いて混合し、その後、トルエンを10質量部添加した。さらに、冷却して温度70℃において、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」)1質量部を添加し、20℃において固体状の硬化性樹脂組成物を調整した。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、1%であった。
得られた硬化性樹脂組成物を厚さ100μmのアルミニウム板上に塗布し、真空熱プレス機を用いて、温度70℃において溶剤のトルエンを除去した。メタルハライドランプの光を、350nmにおいて積算光量が4000mJ/cm2の条件で露光し、樹脂硬化物層(α)を形成した。その後、熱プレス機で加圧しながら、温度を150℃に昇温し、30分間、熱硬化させて樹脂硬化物層(β)を形成した。
得られたシート状印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。
表面にパターンを形成したシート状印刷版を、厚さ0.5mmのクッションテープを貼り付けた金属製版胴上に、作製したシート状印刷版を取り付けアルミニウム支持体の周端部を冶具に固定した。シート状印刷版を装着した版胴をフレキソ印刷機に装着し、ポリプロピレンフィルムに印刷を行った。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の130%で留まっており、ドットゲインは、まずまずの値であった。
また、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においても、50μmの幅の線パターンが問題なく得られていた。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は70度、SUS304板との界面側の硬度は50度であった。
(実施例5)
樹脂(a)として、樹脂(ア)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)25質量部およびトリメチロールプロパントリメタクリレート(分子量380)5質量部、青色顔料として、銅フタロシアニン(BASF社製(独国)、「Heliogen Blue D 6700T」、数平均粒子径:50nm)0.05質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン2質量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(スイス国、チバスペシャリティーケミカル社製)1.5質量部、熱重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 商標「パーブチルE」)2重量部、紫外線吸収性を有する顔料として酸化チタン微粒子(日本アエロジル社製、「AEROXIDE TiO2 P25」、1次粒子の数平均粒子径:21nm)1質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部(ジャパンケムテック社製、「アイオノール(登録商標)CP」)を混合した硬化性樹脂組成物を調整した。光重合開始剤、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンの250nmにおけるモル吸光係数は、アセトニトリル溶液中で測定し1.3×104-1cm-1であった。硬化性樹脂組成物の粘度は、20℃において3000Pa・sであった。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.5%であった。
得られた硬化性樹脂組成物を、厚さ0.5mmのポリウレタン製クッションテープを貼り付けた厚さ0.45mm、内径152.91mm、幅500mmのガラスクロスで強化された中空円筒状支持体上に、厚さ2.7mmに塗布し、メタルハライドランプ(フュージョン社製、商標「F450V型UVランプ」)の光を、350nmにおいて積算光量が4000mJ/cm2の条件で露光し、樹脂硬化物層(α)を形成した。その後、温度を150℃に調整したオーブンの中に30分間、回転させながら設置し、樹脂硬化物層(β)を形成した。
得られた円筒状印刷原版の表面に、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版を、フレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム上に印刷を毎分300mの印刷速度で実施した。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の130%で留まっており、ドットゲインは、まずまずの値であった。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においても、50μmの幅の線パターンが問題なく得られていた。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ2.7mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は60度、SUS304板との界面側の硬度は45度であった。メタルハライドランプの光のみでは、硬化性樹脂組成物内部は未硬化状態であることを確認した。
(実施例6)
実施例3で用いた硬化性樹脂組成物を使用し、実施例3と同様にして中空円筒状支持体上に厚さ1.5mmに前記硬化性樹脂組成物を塗布した。その後、実施例3で用いたメタルハライドランプの光と、赤外線ランプ(ウシオ電機社製、「UH−USC−CL700」)の赤外線を同時に照射し、光硬化と熱硬化を同時に実施し、円筒状印刷原版を得た。メタルハライドランプの光は、350nmにおける積算光量が4000mJ/cm2となるまで照射し、赤外線ランプは、硬化性樹脂組成物近傍の温度が150℃になるように制御し、30分間照射した。
得られた円筒状印刷原版の表面に、上記(1)の炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて凹凸パターンを形成した。
表面にパターンを形成した円筒状印刷版を、フレキソ印刷機(伊予機械製作所社製)にセットし、ポリエチレンフィルム上に印刷を毎分300mの印刷速度で実施した。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の140%で留まっており、ドットゲインは、まずまずの値であった。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においても、50μmの幅の線パターンが問題なく得られていた。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、金属板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は54度、SUS板との界面側のショアA硬度は34度であった。
(比較例1)
実施例1で用いた硬化性樹脂組成物の組成において、光重合開始剤を含まない硬化性樹脂組成物を調整した。硬化性樹脂組成物の粘度は、20℃において1200Pa・sであった。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、50%であった。
実施例1でのメタルハライドランプによる光硬化を実施しないこと、不活性ガス雰囲気下のオーブンで加熱する以外は、実施例1と同様にして、円筒状印刷原版を作製した。また、実施例1と同じレーザー彫刻機を用いて表面に同じ図柄のパターンを形成した。さらに、実施例1と同じフレキソ印刷機を用いて、ポリエチレンフィルム上に印刷を毎分300mの印刷速度で実施した。適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の200%まで拡大しており、ドットゲインは大きかった。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)においては、50μmの幅の線パターンはインキで埋まり、得ることができなかった。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、150℃に温調したオーブンの熱によって、30分間硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は50度、SUS304板との界面側のショアA硬度は50度であった。
(比較例2)
実施例1の硬化性樹脂組成物の組成において、熱重合開始剤を含まず、光重合開始剤としてベンゾフェノン1.5質量部および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1.5質量部添加する以外は、実施例1の硬化性樹脂組成物と同じ組成の硬化性樹脂組成物を調製した。
オーブンで熱硬化処理を行わない以外は、実施例1と同様にして円筒状印刷原版を作製した。また、実施例1と同様にして、円筒状印刷原版表面にパターンをレーザー彫刻により形成し、ポリエチレンフィルム上に印刷を行った。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、25%であった。
適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の110%で留まっており、ドットゲインは大きくなかったが、ドットの中心部でインキが転写していないドーナツ現象が見られた。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)やベタ部の端部にインキが転写されていない「かすれた」部分が認められた。印刷品質としては、良好ではなかった。これは、樹脂硬化物層の硬度が、硬くなりすぎたためと推定される。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、実施例1と同じメタルハライドランプを用いて樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は90度、SUS304板との界面側のショアA硬度は87度であった。
(比較例3)
樹脂(a)として、樹脂(ア)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製、「ライトエステル(登録商標)PO」)(分子量190)20質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学社製、「NKエステル(登録商標)TMPT」)(分子量324)5質量部、顔料として、カーボンブラック(東海カーボン社製、「TB#A700F」、数平均粒子径:62nm、吸油量121mL/100g)2.5質量部、光重合開始剤として、ベンゾフェノン(日本化薬社製、「KAYACURE(登録商標)BP−100」)5質量部、熱重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 「パーブチルE(登録商標)」、10時間半減期温度は、100℃であった。)1.5質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部(ジャパンケムテック社製、「アイオノール(登録商標)CP」)を混合した硬化性樹脂組成物を調整した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。硬化性樹脂組成物の粘度は、700Pa・sであった。得られた硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%未満であり、ほぼ0であった。
実施例1と同様の方法で、円筒状印刷原版を作製した。また、実施例1と同様にして、円筒状印刷原版表面にパターンをレーザー彫刻により形成し、ポリエチレンフィルム上に印刷を行った。
適正印圧条件で得られた印刷物の網点パターンのドットの大きさは、レーザー彫刻によって形成された網点ドットパターンの頂上面積の300%と大きく、ドットゲインは非常に大きかった。その他、白抜き線状パターン部(印刷版上では線状の凹パターン部)では、インキで完全に埋まった状態となった。印刷品質としては、良好ではなかった。これは、樹脂硬化物層の硬度が、柔らかくなりすぎたためと推定される。
表面を離型剤(信越化学工業社製、「KS−700」)で処理したSUS304板上に前記硬化性樹脂組成物を厚さ1.5mmで塗布し、メタルハライドランプの光とオーブンの熱によって硬化させた樹脂硬化物のサンプルを別途作製した。硬化後、SUS304板から剥離し、樹脂硬化物の硬度を測定した。表面のショアA硬度は31度、SUS304板との界面側の硬度は30度であった。表面の硬度は、SUS304板との界面側の硬度とほぼ同じで、差が見られなかった。
本発明のレーザー彫刻印刷原版の製造方法によれば、印刷版層内に硬度差を有し、印刷性能を改善することができるレーザー彫刻印刷版を提供することができる。
本発明は、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、およびグラビア印刷などの印刷分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (32)

  1. 支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版の製造方法であって、
    (1)硬化性樹脂組成物を前記支持体上に積層して硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
    (2)光硬化および熱硬化して前記硬化性樹脂組成物層を硬化させて前記印刷原版層を形成する工程と、を含み、
    前記硬化性樹脂組成物は、厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下である、レーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  2. 前記工程(2)が、
    (3)前記硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射して、半硬化の硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、
    (4)前記半硬化の硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる工程と、を含む、請求項1に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  3. 前記工程(2)が、
    (5)前記硬化性樹脂組成物層の表面側から光を照射する光硬化と熱硬化を同時に行う工程を含む、請求項1に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  4. 前記印刷原版層の表面の硬度が、前記印刷原版層と前記支持体との界面の硬度よりも高く、該硬度の差が、5度以上50度以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー印刷原版の製造方法。
  5. 前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤および熱重合開始剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  6. 前記硬化性樹脂組成物が、20℃において液状であり、20℃における粘度が10Pa・s以上10kPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  7. 前記光重合開始剤が、水素引き抜き型光重合開始剤である、請求項5または6に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  8. 前記熱重合開始剤が、20℃において液状である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  9. 前記硬化性樹脂組成物が、数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)および数平均分子量が1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  10. 前記樹脂(a)が、分子構造中にカーボネート構造を有する、請求項9に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  11. 前記光硬化において、前記硬化性樹脂組成物層が大気中に露出した状態で光を照射する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  12. 前記光硬化において、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、およびメタルハライドランプからなる群から選択される少なくとも1種類の光源から発生する光を照射する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  13. 前記熱硬化において、80℃以上200℃以下で加熱する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  14. 前記熱硬化において、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、および赤外線ランプからなる群から選択される少なくとも1種類の光源から発生する熱線を照射する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  15. 前記支持体が、繊維強化プラスチック製スリーブ、金属製スリーブ、金属製シリンダー、およびゴム製シリンダーからなる群から選択される少なくとも1種類の円筒状支持体である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の製造方法。
  16. 数平均分子量が1000以上30万以下の樹脂(a)100質量部に対し、数平均分子量が1000未満で分子内に重合性不飽和基を有する有機化合物(b)10〜500質量部、熱重合開始剤0.1〜10質量部、および光重合開始剤0.1〜10質量部を含有し、
    20℃において液状であって、
    厚み100μmにおいて、波長350nmにおける光線透過率が、0.01%以上20%以下である、硬化性樹脂組成物。
  17. 前記樹脂(a)が、分子内にカーボネート構造を有する、請求項16に記載の硬化性樹脂組成物。
  18. 数平均粒子径が5nm以上10μm以下の顔料を、さらに、硬化性樹脂組成物全体量の0.01〜5質量%含有する、請求項16または17に記載の硬化性樹脂組成物。
  19. 前記顔料が、波長700nm以上3μm以下の領域に光吸収性を有する黒色系顔料である、請求項18に記載の硬化性樹脂組成物。
  20. 前記顔料が、数平均粒子径が50nm以上10μm以下の多孔質微粒子または数平均粒子径が5nm以上100nm以下の無孔質微粒子である、請求項18に記載の硬化性樹脂組成物。
  21. 数平均粒子径0.1μm以上300μm以下の中空微粒子を、さらに、硬化性樹脂組成物全体量の0.1〜50質量%含有する、請求項16〜20のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  22. 前記光重合開始剤が、水素引き抜き型光重合開始剤である、請求項16〜21のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  23. 前記光重合開始剤の、波長250nmにおけるモル吸光係数が1×104-1cm-1以上1×106-1cm-1以下である、請求項16〜22のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  24. 前記光重合開始剤が、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、およびアントラキノン類からなる群から選択される少なくとも1種類の化合物である、請求項16〜23のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  25. 前記熱重合開始剤の10時間半減期温度が少なくとも60℃以上である、請求項16〜24のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  26. 前記熱重合開始剤が、ペルオキシエステル類、ジペルオキシケタール類、ジアルキルペルオキシド類、ジアシルペルオキシド類、およびt−アルキルヒドロペルオキシド類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項16〜25のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  27. レーザー彫刻印刷原版を形成するための、請求項16〜26のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  28. 支持体上に積層された印刷原版層を備えるレーザー彫刻印刷原版であって、
    前記印刷原版層が、請求項16〜27のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を支持体上に積層し、光硬化および熱硬化させた樹脂硬化物層である、レーザー彫刻印刷原版。
  29. 前記印刷版層の表面の硬度が、前記印刷版層との前記支持体との界面の硬度よりも高く、該硬度の差が、5度以上50度以下である、請求項28に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  30. 前記印刷原版層の厚さが50μm以上50mm以下である、請求項28または29に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  31. レーザー彫刻円筒状印刷原版である、請求項28〜30のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版。
  32. 請求項28〜31のいずれか1項に記載のレーザー彫刻印刷原版の表面に、レーザー光を照射して凹部が形成されている、レーザー彫刻印刷版。
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