JP6055092B2 - フレキソ印刷版の製版方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキソ印刷版の製版方法に関する。
レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。この方式では、フレキソ原版に直接レーザーを照射し、光熱変換によりレリーフ形成層に熱分解及び揮発を生じさせ、凹部を形成する。直彫りCTP方式は、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができる。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をすることなども可能である。この方式に用いられるレーザーは高出力の炭酸ガスレーザーが用いられることが一般的である。炭酸ガスレーザーの場合、全ての有機化合物が照射エネルギーを吸収して熱に変換できる。一方、安価で小型の半導体レーザーが開発されてきているが、これらは可視及び近赤外光であるため、レーザー光を吸収して熱に変換することが必要となる。
従来のレーザー彫刻用樹脂組成物としては、例えば、特許文献1〜3に記載のものが知られている。
特開平11−338139号公報 特開2011−136431号公報 特開2011−20363号公報
本発明の目的は、高温高湿下での保存安定性に優れ、彫刻カスのリンス性が良好であり、耐刷性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるフレキソ印刷版の製版方法を提供することである。
本発明の上記課題は以下の<1>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<14>と共に以下に記載する。
<1> レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、及び、レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスするリンス工程をこの順で有し、レーザー彫刻用樹脂組成物が、(成分A)ポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される少なくとも1種のポリマー、並びに、(成分B)熱重合開始剤を含有し、成分Aのムーニー粘度が20以上であり(25以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましく、また、90以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましい。)、成分Bのレーザー彫刻用樹脂組成物中の含有量が全固形分に対して2質量%以上であり(5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、13質量%以上であることが更に好ましく、また、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。)、レーザー彫刻用樹脂組成物が、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有しないか、又は、全固形分に対して0.1質量%未満含有することを特徴とするフレキソ印刷版の製版方法、
<2> 成分Bが有機過酸化物である、<1>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<3> 成分Bの含有量がレーザー彫刻用樹脂組成物の全固形分に対して10質量%以上である、<1>又は<2>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<4> レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分C)多官能エチレン性不飽和化合物を更に含有する、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<5> 成分Aのポリマー主鎖中に占める脂肪族炭化水素に由来するモノマー単位の割合が80mol%以上(より好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上、特に好ましくは99mol%以上)である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<6> レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分D)単官能エチレン性不飽和化合物を更に含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<7> レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分E)20℃で液体であるポリブタジエン及び/又はポリイソプレンを更に含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<8> レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分F)光熱変換剤を更に含有する、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<9> 成分Fがカーボンブラックである、<8>に記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<10> レーザー彫刻用樹脂組成物が溶剤を更に含有し、層形成工程において加熱により溶剤を除去する、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<11> アルカリ水溶液のpHが8以上である(より好ましくは9以上であり、更に好ましくは10以上であり、特に好ましくは12以上であり、最も好ましくは13以上であり、また、より好ましくは14以下である)、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<12> 成分Aがポリブタジエンである、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<13> 成分Aの重量平均分子量が200,000以上(より好ましくは300,000〜2,000,000、更に好ましくは300,000〜1,500,000、特に好ましくは300,000〜700,000)である、<1>〜<12>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法、
<14> 成分Aの含有量がレーザー彫刻用樹脂組成物の全固形分に対して5〜90質量%(より好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは30〜80質量)である、<1>〜<13>のいずれか1つに記載のフレキソ印刷版の製版方法。
本発明によれば、高温高湿下での保存安定性に優れ、彫刻カスのリンス性が良好であり、耐刷性に優れたフレキソ印刷版を得ることができるフレキソ印刷版の製版方法を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。また、「(成分B)熱重合開始剤」等を単に「成分B」等ともいう。
また、「質量部」「質量%」は、それぞれ、「重量部」「重量%」と同義である。
以下の説明における好ましい態様の組合せは、より好ましい態様である。
なお、本明細書では、フレキソ印刷版及びフレキソ印刷版原版の説明に関し、成分A及び成分Bを含有し、レーザー彫刻に供する画像形成層としての、表面が平坦な層であり、かつ未架橋の架橋性層をレリーフ形成層と称し、上記レリーフ形成層を架橋した層を架橋レリーフ形成層と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、レーザー彫刻用樹脂組成物(以下、「本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物」、「樹脂組成物」ともいう。)からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、及び、レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスするリンス工程をこの順で有し、レーザー彫刻用樹脂組成物が、(成分A)ポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される少なくとも1種のポリマー、並びに、(成分B)熱重合開始剤を含有し、成分Aのムーニー粘度が20以上であり、成分Bのレーザー彫刻用樹脂組成物中の含有量が全固形分に対して2質量%以上であり、レーザー彫刻用樹脂組成物が、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有しないか、又は、全固形分に対して0.1質量%未満含有することを特徴とする。なお、「固形分」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物において、溶剤等の揮発成分を除いた成分を意味する。
本発明によれば、高温高湿下での保存安定性に優れ、彫刻カスのリンス性が良好であり、かつ、耐刷性に優れたフレキソ印刷版が得られる。その詳細な機構は不明であるが、以下のように推定される。
特定のムーニー粘度を有するポリイソプレン及び/又はポリブタジエン(成分A)を使用することにより、フレキソ印刷版として十分な耐刷性を有するレリーフ層を形成することができると想定される。また、このとき、(成分B)熱重合開始剤(好ましくは有機過酸化物)を樹脂組成物の全固形分に対して2質量%以上含有することにより、硬化膜の強度が高まり、十分な耐刷性が得られると想定される。なお、予期せざる効果として、成分Bを2質量%以上含有することによって、アルカリ水溶液に対する彫刻カスのリンス性が顕著に向上することを見出した。
より詳細には、本発明者は、成分Aのムーニー粘度が20未満であると、リンス性、保存安定性及び耐刷性に課題があることを見出した。加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の添加により、リンス性は向上するものの、保存安定性が更に悪化し、リンス性及び保存安定性を両立することは困難であった。その機構は不明であるが、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の加水分解により、保存安定性が悪化したものと推定される。
一方、成分Aのムーニー粘度が20以上であると、耐刷性に優れることを見出した。その機構は不明であるが、ムーニー粘度が20以上であると、分子量の効果(成分Aの分子同士の絡み合いの効果)から、膜強度が向上し、その結果、耐刷性が向上したと推察される。しかし、依然としてリンス性と保存安定性は十分なレベルではなかった。本発明者は鋭意検討した結果、成分Bの含有量を多くし、架橋密度を向上させることにより、予期せざる効果として、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の含有量が低くても、リンス性が顕著に向上することを見出した。その作用機構は不明であるが、架橋密度を向上させることにより、彫刻カスの性状が液状から粉末状に変化し、リンス液に分散しやすくなったものと推定される。
更に、樹脂組成物中の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の含有量を0質量%以上0.1質量%未満とすることにより、高温高湿下での保存安定性に優れるフレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版を提供しうることを見出した。
以下、本発明に使用されるレーザー彫刻用樹脂組成物について説明する。
(レーザー彫刻用樹脂組成物)
本発明に用いられるレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分A)ポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される少なくとも1種のポリマー、並びに、(成分B)熱重合開始剤を含有し、成分Aのムーニー粘度が20以上であり、成分Bのレーザー彫刻用樹脂組成物中の含有量が全固形分に対して2質量%以上であり、レーザー彫刻用樹脂組成物が、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有しないか、又は、全固形分に対して0.1質量%未満含有することを特徴とする。
以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に含有される成分について説明する。
(成分A)ポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される少なくとも1種のポリマー
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、ポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含有し、当該ポリマーのムーニー粘度が20以上である。
本発明において、成分Aとしてポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、イソプレン/ブタジエン共重合体を使用してもよい。
ポリイソプレン及びポリブタジエンは、主鎖が主としてイソプレン又はブタジエンを単量体単位とするポリマーであればよく、一部が水素添加されて飽和結合に変換されていてもよい。また、ポリマーの主鎖中又は末端が、アミノ基、イソシアナト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基等で変性されていてもよく、エポキシ化されていてもよい。
本発明において、ポリイソプレン及びポリブタジエンは、主鎖中に占める脂肪族炭化水素(イソプレン、ブタジエン又はそれらの水素添加物)に由来するモノマー単位の割合が80mol%以上であることが好ましい。主鎖中に占める脂肪族炭化水素に由来するモノマー単位の割合が80mol%以上であると、リンス性が良好であるので好ましい。脂肪族炭化水素に由来するモノマー単位の含有量は、成分Aの主鎖を構成する全モノマー単位の90mol%以上であることがより好ましく、95mol%であることが更に好ましく、99mol%以上であることが特に好ましい。
なお、本発明において、「主鎖」とは樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは主鎖から枝分かれしている炭素鎖を表し、側鎖にはヘテロ原子を含んでもよい。
すなわち、例えば、ポリイソプレンは、イソプレン及びイソプレンの水素添加物に由来するモノマー単位の割合が、合計して80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることが更に好ましく、99mol%以上であることが特に好ましい。
同様に、ポリブタジエンは、ブタジエン及びブタジエンの水素添加物に由来するモノマー単位の割合が、合計して80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることが更に好ましく、99mol%以上であることが特に好ましい。
また、成分Aとしてイソプレン/ブタジエン共重合体を使用する場合には、イソプレン、ブタジエン及びそれらの水素添加物に由来するモノマー単位を合計して80mol%以上含有することが好ましく、90mol%以上含有することがより好ましく、95mol%以上含有することが更に好ましく、99mol%以上含有することが特に好ましい。
イソプレンは、触媒や反応条件により、1,2−、3,4−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明は上記のいずれの付加により重合されたポリイソプレンでもよい。これらの中でも所望のムーニー粘度を得る観点から、主成分としてcis−1,4−ポリイソプレンを含有することが好ましい。なお、cis−1,4−ポリイソプレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、ポリイソプレンとしては、天然ゴムを使用してもよく、また、上市されているポリイソプレンを使用することもでき、例えば、NIPOL IRシリーズ(日本ゼオン(株)製)が例示される。
ブタジエンは、触媒や反応条件により1,2−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明は上記のいずれの付加により重合されたポリブタジエンでもよい。これらの中でも、所望のムーニー粘度を得る観点から、1,4−ポリブタジエンが主成分であることがより好ましい。
なお、1,4−ポリブタジエンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
なお、cis体とtrans体の含有量は特に制限はなく、所望のムーニー粘度の範囲で適宜選択すればよいが、ゴム弾性を発現させる観点から、cis体が好ましく、cis−1,4−ポリブタジエンの含有量が50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
ポリブタジエンとしては、上市されている製品を使用してもよく、例えば、NIPOL BRシリーズ(日本ゼオン(株)製)、UBEPOL BRシリーズ(宇部興産(株)製)等が例示される。
これらの中でも、成分Aとしては、溶剤への溶解性や、取り扱いの観点から、ポリブタジエンがより好ましい。
成分Aの分子量は、ムーニー粘度が20以上であれば特に限定されないが、膜の引張強度の観点から、重量平均分子量は200,000以上であることが好ましく、300,000〜2,000,000であることがより好ましく、300,000〜1,500,000であることが更に好ましく、300,000〜700,000であることが特に好ましい。
本発明において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
本発明において、成分Aのムーニー粘度は20以上である。成分Aのムーニー粘度が20未満であると、十分な耐刷性が得られない。なお、本発明において、成分Aは20℃において液状ではなく、流動性を有していない。具体的には、20℃における粘度が1,000Pa・sを超える。
ムーニー粘度は、25以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましい。また、ムーニー粘度の上限は特に限定されないが、溶剤溶解性や混合時の取り扱いの簡便さから、90以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、60以下であることが更に好ましい。
本発明において、ムーニー粘度は、JISK6300−1に準拠して測定した値である。具体的には、温度制御が可能なダイ間に円筒状の空間を形成して試料室とすると共に、その試料室の中心部にローターを配置し、試料室内に被測定試料を充填してその温度を所定の温度に保った状態で、ローターを規定回転数で回転させ、溶融した試料の粘性抵抗によって生じるローターの反トルクをロードセルで検出することによって測定される。なお、本発明で用いるムーニー粘度の値はL型ローターを用いて、100℃で1分間の予熱期間をおいてローターを回転させ、4分後のムーニー粘度(ML1+4)を示している。
成分Aの樹脂組成物中の含有量は、全固形分に対して、5〜90質量%であることが好ましく、15〜85質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることが更に好ましい。成分Aの含有量が上記範囲内であると、彫刻カスのリンス性に優れ、インキ転移性に優れるレリーフ層が得られるので好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、成分A及び後述する成分E以外のバインダーポリマー(樹脂成分)を含有してもよい。成分A及び成分E以外のバインダーポリマーとしては、特開2011−136455号公報に記載されている非エラストマーや、特開2010−208326号公報に記載されている不飽和基含有ポリマー等が例示される。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、バインダーポリマーの主成分として成分A及び成分Eを含有することが好ましく、成分A及び成分E以外に、他のバインダーポリマーを含有する場合、成分A及び成分Eのバインダーポリマー全体に対する含有量は、合計して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。なお、上限は特に限定されず、100質量%であること、すなわち、成分A及び成分E以外のバインダーポリマーを含有しないことが特に好ましいが、他のバインダーポリマーを含有する場合、成分A及び成分Eのバインダーポリマー全体に対する含有量は、合計して、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることが更に好ましい。
(成分B)熱重合開始剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分B)熱重合開始剤を含有する。
熱重合開始剤は、当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。(成分B)熱重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。以下、好ましい熱重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、好ましい熱重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、彫刻感度と、フレキソ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した際にはレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。
上記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いることができる熱重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化エステル系や、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いることができる重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記(c)有機過酸化物が本発明における熱重合開始剤として、膜(レリーフ形成層)の架橋性及び彫刻感度向上の観点で特に好ましい。
彫刻感度の観点からは、この(c)有機過酸化物と、後述する(成分C)多官能エチレン性不飽和化合物及び後述する(成分F)光熱変換剤とを組み合わせた態様が特に好ましい。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、成分A等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明において、成分Bは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中に含まれる成分Bの含有量は、全固形分に対して、2質量%以上である。成分Bの含有量が2質量%未満であると、硬化が不十分となり、レーザー彫刻した際にレリーフエッジが溶融し、鮮鋭な画像が得られない。また、彫刻カスが液状となり、版上に付着しやすく、リンス性に劣る。
成分Bの含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、13質量%以上であることが更に好ましい。また、成分Bの含有量の上限は特に限定されないが、他の成分の配合量の観点から、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。含有量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、レーザー彫刻した際のレリーフエッジ形状が良好であり、更に、リンス性に優れるので好ましい。
(加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物)
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有しないか、又は、全固形分に対して0.1質量%未満含有する。加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の含有量が0.1質量%以上であると、高温高湿下での保存安定性に劣る。
加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の含有量は、0質量%(すなわち、含有しない。)以上0.1質量%未満であり、0.05質量%未満であることが好ましく、0.01質量%未満であることがより好ましく、含有しないことが更に好ましい。
なお、「加水分解性シリル基」とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。
加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物としては、特開2011−136431号公報段落0012〜0037の記載が参照される。
(成分C)多官能エチレン性不飽和化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分C)多官能エチレン性不飽和化合物を含有することが好ましい。成分Cを含有することにより、樹脂組成物は硬化性に優れ、また、より耐刷性に優れるフレキソ印刷版が得られるので好ましい。
また、本発明に用いることができる多官能エチレン性不飽和化合物は、分子量(又は重量平均分子量)が2,000未満であることが好ましい。
多官能エチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物である。多官能エチレン性不飽和化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、エチレン性不飽和化合物に属する化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの共重合体、並びにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
上記多官能エチレン性不飽和化合物としては、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、100以上2,000未満であることが好ましく、150〜1,000であることがより好ましく、200〜700であることが更に好ましい。
多官能モノマーとしては、末端エチレン性不飽和基を2個〜20個有する化合物が好ましい。
多官能モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基や、アミノ基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と、単官能又は多官能のアルコール類、アミン類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、ビニル化合物、アリル化合物、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
上記の多官能モノマーに含まれるエチレン性不飽和基は、反応性の観点でアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、アリル化合物の各残基が好ましく、アクリレート、メタクリレートの各残基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が特に好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (i)
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、短時間で硬化する樹脂組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの中でも、成分Cはアクリレート(アクリル酸エステル化合物)又はメタクリレート(メタクリル酸エステル化合物)であることが好ましく、特に、脂肪族多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。成分Cは(メタ)アクリロイルオキシ基を1分子中に2〜20個有することが好ましく、2〜8個有することがより好ましく、2〜6個有することが更に好ましく、2〜4個有することが特に好ましい。
これらの中でも、成分Cがヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
レーザー彫刻用樹脂組成物中に含まれる成分Cの含有量は、固形分全量に対して1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。上記範囲であると、レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層は耐刷性に優れる。
(成分D)単官能エチレン性不飽和化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分D)単官能エチレン性不飽和化合物を含有していてもよいが、(成分D)単官能エチレン性不飽和化合物を含有する場合、(成分C)多官能エチレン性不飽和化合物と併用することが好ましい。
エチレン性不飽和基を1個のみ有する単官能重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物類、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニトリル類、スチレン類、更に種々の不飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエーテル樹脂、不飽和ポリアミド樹脂、不飽和ウレタン樹脂等の重合性化合物が挙げられる。
また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とイソシアネート類又はエポキシ類との付加反応物、及び、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
更に、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲノ基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド類とアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
重合性化合物としては、特に制限はなく、上記例示した化合物の他、公知の種々の化合物を用いることができ、例えば、特開2009−204962号公報に記載の化合物などを使用してもよい。
更に単官能エチレン性不飽和化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニル化合物類、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が好ましく用いられる。
これらの中でも、単官能エチレン性不飽和化合物としては、単官能(メタ)アクリレート化合物(単官能(メタ)アクリル酸エステル)が好ましい。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、単官能エチレン性不飽和モノマーが好ましい。
単官能エチレン性不飽和モノマーの分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、28以上2,000未満であることが好ましく、72〜1,000であることがより好ましく、86〜700であることが更に好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、成分Dを1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中における(成分D)単官能エチレン性不飽和化合物の総含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、樹脂組成物の全固形分量に対し、0.1〜40質量%が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましい。
(成分E)20℃で液体であるポリブタジエン及び/又はポリイソプレン
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、更に、(成分E)20℃で液体であるポリブタジエン及び/又はポリイソプレンを含有することが好ましい。成分Eを含有することにより、より耐刷性に優れたフレキソ印刷版が得られる。以下、20℃で液体であるポリブタジエンを液状ポリブタジエン、20℃で液体であるポリイソプレンを液状ポリイソプレンともいう。液状ポリブタジエン及び液状ポリイソプレンは、20℃で液体であるため、ムーニー粘度は20未満であり、成分Aには含まれない。
成分Eは、20℃で液体のポリブタジエン及び/又はポリイソプレンであれば特に限定なく使用することができるが、成分Eの重量平均分子量は2,000以上であり、ポリマー成分に含まれるものとする。
成分Eの重量平均分子量は、2,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましく、7,000〜50,000であることが更に好ましい。
成分Eは20℃で液体であり、液体である(液状である)とは、流動可能な形態であることを意味しており、具体的には、20℃における粘度が1〜1,000Pa・sの範囲であることを意味する。なお、粘度は、ファンギラボ社製の回転式粘度計である、ビスコリード・アドバンスで測定される。
液状ポリブタジエンとしては、上市されている製品が例示され、クラプレンLBR−305((株)クラレ製)、Ricon(Sartomer社製)が挙げられる。
また、液状ポリイソプレンとしては、クラプレンLIR−30、LIR−50等が挙げられる。
なお、液状ポリブタジエン及び液状ポリイソプレンは、共役ジエンの二重結合の一部が水素添加されていてもよい。また、主鎖及び末端が変性されていてもよく、例えば、ヒドロキシ変性、カルボキシ変性、無水マレイン酸変性されていてもよい。また、液状ポリブタジエン及び液状ポリイソプレンは、共重合体であってもよく、例えば、ブタジエンとイソプレンとの共重合体、ブタジエン又はイソプレンとスチレンとの共重合体が例示される。成分Eが共重合体である場合、ブタジエン、イソプレン及びこれらの水素添加物に由来するモノマー単位を50mol%以上含有することが好ましく、65mol%以上含有することがより好ましく、80mol%以上含有することが更に好ましい。
成分Eは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
成分Eの含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、1〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
(成分F)光熱変換剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、更に、(成分F)光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて製造したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
本発明の樹脂組成物における光熱変換剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用樹脂組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、当該樹脂組成物の固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
以下、成分A〜成分E以外に、本発明の樹脂組成物が含有しうる各種成分について説明する。
<可塑剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、アジピン酸ビスブトキシエチル等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類(モノオール型やジオール型)等が好ましく用いられる。
これらの中でも、アジピン酸ビスブトキシエチルが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物における可塑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用樹脂組成物における可塑剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の全固形分量に対し、0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましく、0〜10質量%であることが更に好ましい。
<溶剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製する際に、溶剤を用いることが好ましい。
溶剤としては、有機溶剤を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、n−ヘプタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<その他の添加剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(フレキソ印刷版の製版方法)
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、及び、レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスするリンス工程をこの順で有する。
なお、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、熱架橋した架橋レリーフ形成層を有するものである。また、本発明において「レリーフ形成層」とは、架橋される前の状態の層をいい、すなわち、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、上記レリーフ形成層を架橋した層をいう。上記架橋は、熱により行われる。また、上記架橋は樹脂組成物が硬化される反応であれば特に限定されず、成分A同士の反応による架橋構造を含む概念であるが、成分Aが成分C等の他の成分と反応して架橋構造を形成していてもよい。架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻し、リンスすることにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の上記架橋レリーフ形成層をいう。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、上記のような成分を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。(架橋)レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、必要により更に、支持体と(架橋)レリーフ形成層との間に接着層を、また、(架橋)レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
以下、層形成工程、架橋工程、彫刻工程、及び、リンス工程について、説明する。
<層形成工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含む。
レリーフ形成層の形成方法としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法や、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して溶剤を除去する方法が好ましく例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物は、例えば、成分A及び成分B、並びに、任意成分を適当な溶剤に溶解又は分散させることによって製造することができる。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版における(架橋)レリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上3mm以下が更に好ましい。
レリーフ形成層は、レリーフ形成層用の上記の如き成分を有するレーザー彫刻用樹脂組成物を、シート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。レリーフ形成層は、通常、後述する支持体上に設けられるが、製版、印刷用の装置に備えられたシリンダーなどの部材表面に直接形成したり、そこに配置して固定化したりすることもでき、必ずしも支持体を必要としない。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
〔支持体〕
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
〔接着層〕
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に用いることができる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。
〔保護フィルム、スリップコート層〕
レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面に保護フィルムをラミネート(積層)してもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
保護フィルムのラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶剤を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることによって行うことができる。保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。
スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
保護フィルムは、架橋工程の後にラミネートしてもよく、架橋工程の前にラミネートしてもよく、特に限定されない。また、保護フィルムは彫刻工程の前に除去される。
<架橋工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含む。
レリーフ形成層が熱重合開始剤を含有するので、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
レリーフ形成層の架橋方法としは、レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋を行う。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
上記架橋工程を、熱により行うことで、特別高価な装置を必要としない利点がある。
<彫刻工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含む。
彫刻工程は、上記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、架橋レリーフ形成層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、「実用レーザー技術」電子通信学会等に記載されている。
また、本発明のフレキソ印刷版原版を用いたフレキソ印刷版の製版方法に好適に用いることができるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るフレキソ印刷版の製版に使用することができる。
<リンス工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、彫刻工程に次いで、レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスするリンス工程を有する。すなわち、本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、リンス工程におけるリンス液として、アルカリ水溶液を使用する。本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、リンス工程を有することにより、レリーフ層の表面に付着・残留する彫刻カスを洗い流し、除去する。
リンスの手段として、アルカリ水溶液に浸漬する方法、アルカリ水溶液に浸漬しながら、リンス液を回転させたり、印刷版をブラシで摺る方法、アルカリ水溶液をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主にアルカリ水溶液の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
本発明に用いることができるリンス液のpHは、アルカリ性であり、8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましく、10以上であることが更に好ましく、12以上であることが特に好ましく、13以上であることが最も好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましい。上記範囲であると、リンス性に優れる。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶剤として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶剤を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、更に、必要に応じて乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
以上のようにして、支持体等の任意の基材表面にレリーフ層を有するフレキソ印刷版が得られる。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
また、フレキソ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、25℃において、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる。)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のフレキソ印刷版は、フレキソ印刷機による水性インキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。本発明のフレキソ印刷版は、リンス性に優れており彫刻カスの残存がなく、かつ、得られたレリーフ層が弾性に優れるため、水性インキ転移性及び耐刷性に優れ、長期間にわたりレリーフ層の塑性変形や耐刷性低下の懸念がなく、印刷が実施できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
なお、実施例におけるポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
各実施例及び比較例で使用した成分の詳細は以下の通りである。
(成分A)
・UBEPOL BR150:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):43、宇部興産(株)製)
・UBEPOL BR150B:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):40、宇部興産(株)製)
・UBEPOL BR130B:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):29、宇部興産(株)製)
・UBEPOL BR150L:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):43、宇部興産(株)製)
・UBEPOL BR360L:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):51、宇部興産(株)製)
・NIPOL IR2200:ポリイソプレン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):82、日本ゼオン(株)製)
・NIPOL IR2200L:ポリイソプレン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):70、日本ゼオン(株)製)
・UBEPOL VCR412:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):45、宇部興産(株)製)
・UBEPOL BR15HL:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):43、宇部興産(株)製)
・JSR BR01:ポリブタジエン(ムーニー粘度(ML1+4、100℃):45、JSR(株)製)
・エスレックBH−6(比較例):ポリビニルブチラール(Mw=9.2×104、積水化学工業(株)製)
(成分B)
・パーブチルZ(有機過酸化物):熱重合開始剤、t−ブチルパーオキシベンゾエート、日油(株)製
・V60(アゾ系化合物):熱重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製)
・V601(アゾ系化合物):熱重合開始剤、2,2−アゾビスイソ酪酸ジメチル(和光純薬工業(株)製)
・Irg 651(比較例):光重合開始剤、2−フェニル−2,2−ジメトキシアセトフェノン(IRGACURE 651、BASFジャパン(株)製)
(成分C)
・HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・A−DOD−N:1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・A−DPH:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・グリセロールジメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
(成分D)
・IDA:イソデシルアクリレート
(成分E)
・LBR−305:クラプレンLBR−305、液状ポリブタジエン(数平均分子量26,000、(株)クラレ製)
(成分F)
・#45L:カーボンブラック#45L(三菱化学(株)製、粒子径:24nm、比表面積:125m2/g、DBP吸油量:45ml/100g)
(その他)
・KBM−802:3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(加水分解性シリル基を有する化合物、信越化学工業(株)製)
・n−ヘプタン:溶剤(和光純薬工業(株)製)
・PGMEA:溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(東京化成工業(株)製)
(実施例1〜30、並びに、比較例1〜5、及び7)
<樹脂組成物の調製>
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、表2及び3に記載のポリマー(成分A及び成分E)、溶剤としてn−ヘプタンを入れ、撹拌しながら70℃で180分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、更にシラノール基を有する化合物(商品名:KBM−802、信越化学工業(株)製)、エチレン性不飽和化合物(成分C及び成分D)、(成分B)熱重合開始剤、(成分F)光熱変換剤としてカーボンブラック(商品名:#45L、三菱化学(株)製)、を添加し、10分撹拌した。この操作により、流動性のある樹脂層用塗布液(樹脂組成物)を得た。なお、比較例4では、溶剤としてPGMEAを使用した。
なお、表2及び3中、「−」は、当該成分を含有しないことを意味する。
<フレキソ印刷版原版の作製>
PET基板上に所定厚のスペーサー枠を設置し、上記により得られた樹脂層用塗布液を静かに流涎し、80℃のオーブンで1時間、更に140℃で1時間加熱して溶剤を除去すると共に、樹脂組成物を熱架橋し、厚さ1.14mmであるフレキソ印刷版原版を得た。
<フレキソ印刷版の作製>
架橋後の樹脂組成層(架橋レリーフ形成層)に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ(KEYENCE(株)製)を用いた。炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
使用した彫刻機は、表2及び3に示した。なお、「半導体」は、半導体レーザー彫刻機を使用したことを意味し、「CO2」は、炭酸ガスレーザー彫刻機を使用したことを意味する。
(実施例31及び比較例8)
<樹脂組成物の調製>
表3に示す配合内容でラボプラストミルを使用して混練り配合し、未架橋の樹脂組成物を得た。
<フレキソ印刷版原版の作製>
上記で得た未架橋の樹脂組成物を、熱盤プレス機を用いて140℃で1時間加熱処理し、厚さ1.14mmのフレキソ印刷版原版を得た。
<フレキソ印刷版の作製>
実施例1と同様にレーザー彫刻することで、フレキソ印刷版を得た。
(比較例6)
<樹脂組成物の調製>
実施例1と同様にして、表3に示す配合内容で樹脂組成物を調製した。
<フレキソ印刷版原版の作製>
PET基板上に所定厚のスペーサー枠を設置し、上記により得られた樹脂層用塗布液を静かに流涎し、80℃のオーブンで1時間、加熱して溶剤を除去し、その後、メタルハライドランプ(フュージョン社製、「F450V型UVランプ」)の光を、350nmに感度の中心波長を有する光量測定器((株)オーク製作所製、「M02+UV35」)を用いて測定した場合に4,000mJ/cm2である条件で露光し、感光性樹脂組成物を光硬化させた。これにより、厚さ1.14mmであるフレキソ印刷版原版を得た。
<フレキソ印刷版の作製>
実施例1と同様にレーザー彫刻することで、フレキソ印刷版を得た。
(フレキソ印刷版の評価)
以下の項目でレリーフ印刷版の性能評価を行い、結果を表2及び3に併記する。
<リンス性>
レーザー彫刻した版を表2及び3に記載のリンス液に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(ライオン(株)製、クリニカハブラシ フラット)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。評価基準は以下の通りである。評価結果がA〜Cであれば実用上問題はない。
A:カスがない
B:彫刻最深部に僅かにカスが見られる
C:カスの大部分は除去されるが、僅かに残存している
D:カスは一部除去されるが、残存している
E:カスが全く除去されない
使用したリンス液1〜7は以下の通りである。
〔リンス液1〜4の調製〕
リンス液の調製は、500mlの純水に、撹拌しながらNaOH48%水溶液(和光純薬工業(株)製)を滴下し、所定のpHにした。その後、更にソフタゾリンLAO(ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド水溶液、アミドアミンオキシド型両性界面活性剤、含有量:30%、川研ファインケミカル(株)製)を16.7g添加し、30分撹拌しリンス液を作製した。
〔リンス液5の調製〕
500mlの純水に、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム3.3g、炭酸水素ナトリウム6.6gを添加し、更にソフタゾリンLAO(川研ファインケミカル(株)製)を24.0g、ソフタゾリンLPB−R(ラウリン酸アミドプロピルベタイン水溶液、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、含有量:30%、川研ファインケミカル(株)製)を96.4g添加し、30分撹拌しリンス液5を作製した。
〔リンス液6の調製〕
500mlの純水に、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム5.0gを添加し、更にソフタゾリンLAO(川研ファインケミカル(株)製)を24.0g、ソフタゾリンLPB−R(川研ファインケミカル(株)製)を96.4g添加し、30分撹拌しリンス液6を作製した。
〔リンス液7の調製〕
500mlの純水に、ソフタゾリンLAO(川研ファインケミカル(株)製)を24.0g、ソフタゾリンLPB−R(川研ファインケミカル(株)製)を96.4g添加し、30分撹拌しリンス液7を作製した。
リンス液1〜7のpHを以下に示す。
Figure 0006055092
<耐刷性>
得られたフレキソ印刷版を印刷機(ITM−4型、(株)伊予機械製作所製)にセットし、UVフレキソCF 墨((株)T&K TOKA製)をインキとして用い、印刷紙として、フルカラーフォームM 70(日本製紙(株)製、厚さ100μm)を用いて印刷を継続し、ハイライト1〜10%を印刷物で確認した。印刷されない網点が生じた、又は、網点が太って印刷物として許容しがたいところを刷了とし、刷了時までに印刷した回数を指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れると評価する。上記の評価方法では、耐刷性は20万以上であることが好ましく、25万以上であることがより好ましく、30万以上であることが更に好ましく、40万以上であることが特に好ましい。
<生版経時耐刷性>
得られたフレキソ印刷版原版を、50℃/80%環境下で3日間保管し、上記耐刷性評価を行った。
<彫刻経時耐刷性>
得られたフレキソ印刷版を、50℃/80%環境下で3日間保管し、上記耐刷性評価を行った。
結果を以下の表2及び表3に示す。
Figure 0006055092
Figure 0006055092
表中、比較例2は、レリーフ層が十分に硬化しておらず、印刷することができなかったため、耐刷性の評価は行うことができなかった。
また、比較例5では、彫刻カスを除去できなかったため、評価に耐えうる印刷物を得ることができなかった。

Claims (11)

  1. レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、
    レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、
    架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、及び、
    レリーフ層の表面をアルカリ水溶液でリンスするリンス工程をこの順で有し、
    レーザー彫刻用樹脂組成物が、(成分A)ポリイソプレン及びポリブタジエンよりなる群から選択される少なくとも1種のポリマー、並びに、(成分B)熱重合開始剤を含有し、
    成分Aのムーニー粘度が20以上であり、
    成分Bのレーザー彫刻用樹脂組成物中の含有量が全固形分に対して2質量%以上であり、
    レーザー彫刻用樹脂組成物が、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有しないか、又は、全固形分に対して0.1質量%未満含有することを特徴とする
    フレキソ印刷版の製版方法。
  2. 成分Bが有機過酸化物である、請求項1に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  3. 成分Bの含有量がレーザー彫刻用樹脂組成物の全固形分に対して10質量%以上である、請求項1又は2に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  4. レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分C)多官能エチレン性不飽和化合物を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  5. 成分Aのポリマー主鎖中に占める脂肪族炭化水素に由来するモノマー単位の割合が80mol%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  6. レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分D)単官能エチレン性不飽和化合物を更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  7. レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分E)20℃で液体であるポリブタジエン及び/又はポリイソプレンを更に含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  8. レーザー彫刻用樹脂組成物が(成分F)光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  9. 成分Fがカーボンブラックである、請求項8に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  10. レーザー彫刻用樹脂組成物が溶剤を更に含有し、層形成工程において加熱により溶剤を除去する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
  11. 前記アルカリ水溶液のpHが8以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版の製版方法。
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