JP5430899B2 - レーザー彫刻印刷原版及びレーザー彫刻印刷版 - Google Patents
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Description
レーザー彫刻法に適用される材料としては、加硫ゴム、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂組成物を熱処理により硬化させたものが用いられている。特に、近年、処理時間の短縮の観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させて得られる感光性樹脂硬化物にレーザー彫刻する技術が増えてきている。この方法は、写真製版技術で必要な現像工程を簡略化できるので、廃棄物を削減できる、又は揮発性溶剤を使用しない等の利点を有し、環境対応技術として期待されている。
特許文献2及び特許文献3には、感光性樹脂組成物に無機多孔質体を含有させることによって、レーザー彫刻時に多量に発生する液状カスの除去を達成している。
特許文献4には、分子内に少なくとも1つのSi−O結合を有し、重合性不飽和基を有しない有機珪素化合物を添加したレーザー彫刻印刷原版が開示されている。
特許文献5には、数平均粒子径が5nm以上100nm以下の超微粒子を含有したレーザー彫刻印刷原版用の液状感光性樹脂組成物が開示されており、レーザー彫刻時に発生する液状彫刻カスの除去性について記載されている。
特許文献2及び3に記載された発明は、感光性樹脂組成物に添加される微粒子が多孔質であるため、特に、比表面積が極めて大きく、細孔径又は細孔容積が大きな微粒子の場合には、機械的強度に関して改善の余地を残している。
特許文献4に記載された発明は、レーザー彫刻時に発生する液状彫刻カスの除去性に関して課題を有している。
特許文献5に記載された発明は、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスに超微粒子が含有され、版面に残存した粉末状彫刻カスが、取り扱いの過程において一部は空気中に浮遊することもあり、発生する彫刻カスの処理に関して改善の余地を残している。
上述したように、従来のレーザー彫刻技術を用いて製造される印刷版において、機械的強度を十分に確保でき、レーザー彫刻時に多量に発生する液状彫刻カスが飛散することなく容易に除去でき、更に、版面に残存する粉末状彫刻カスが大気中に飛散し難い硬化性樹脂組成物が存在していないのが実情である。
〔1〕
シート状又は円筒状支持体と、
硬化性樹脂組成物を前記シート状又は円筒状支持体上で硬化して得られる厚さ0.1mm以上10mm以下の樹脂硬化物層と、
を備え、
前記硬化性樹脂組成物が、印刷原版又は印刷版製造用の硬化性樹脂組成物であって、
数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)100質量部に対し、数平均分子量が1000未満で重合性不飽和基を有する有機化合物(b)10〜500質量部、数平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のシリコーン微粒子(c)0.5〜50質量部を含有し、
前記シリコーン微粒子(c)が3次元架橋したシロキサン骨格を有し、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の、3級シロキサン結合又は4級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比が250以下である、
レーザー彫刻印刷原版。
〔2〕
前記シリコーン微粒子(c)は、熱分解特性において、空気雰囲気下での熱重量分析における重量半減温度が900℃以上である、前項〔1〕記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔3〕
前記シリコーン微粒子(c)の真比重が1.05以上1.5以下である、前項〔1〕又は〔2〕記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔4〕
前記シリコーン微粒子(c)は、球状微粒子を50%以上含有する、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔5〕
前記シリコーン微粒子(c)の粒子径分布の標準偏差が、数平均粒子径の200%以下である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔6〕
前記シリコーン微粒子(c)は、トリアルコキシシリル誘導体を縮合させて形成された微粒子である、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔7〕
前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤を更に含有する、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔8〕
前記硬化性樹脂組成物が、20℃において液状の熱重合開始剤を更に含有する、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔9〕
前記硬化性樹脂組成物が、20℃において液状である、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔10〕
前記円筒状支持体は、厚さ0.1mm以上2mm以下の中空円筒状支持体であって、
前記中空円筒状支持体は、繊維強化プラスチック製スリーブ又は金属製スリーブである、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔11〕
前記シート状又は円筒状支持体と、前記樹脂硬化物層との間にクッション層を更に備える、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
〔12〕
前項〔1〕〜〔11〕のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版の表面に、レーザー彫刻によりパターンが形成されたレーザー彫刻印刷版。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記優れた特性を有しているため、レーザー彫刻によりパターン形成される印刷原版又は印刷版の製造に好適に用いることができる。
本実施の形態の硬化性樹脂組成物に含まれるシリコーン微粒子(c)は、3次元架橋したシロキサン骨格を有し、3級及び/又は4級シロキサン結合を有する化合物から形成されるものである。ここで、3級シロキサン結合とは、ケイ素原子が結合する酸素原子が3個存在するシロキサン結合(下記式(1))と定義され、4級シロキサン結合とは、ケイ素原子が結合する酸素原子が4個存在するシロキサン結合と定義される。
RSiO1.5
(ここで、Rは、水素原子、フェニル基、メチルスチリル基、アルキル基、又は前記官能基で置換されたケイ素数1〜10のケイ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の官能基であって、1分子中の複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
本実施の形態の硬化性樹脂組成物に含まれる樹脂(a)は、数平均分子量1000以上30万以下であり、より好ましくは2000以上20万以下、更に好ましくは5000以上15万以下である。樹脂(a)の数平均分子量が1000以上であると、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物が強度を保ち、印刷版等の印刷用基材として用いる場合に、繰り返しの使用にも耐え得る。また、樹脂(a)の数平均分子量が30万以下であると、硬化性樹脂組成物の粘度が過度に上昇することなく、シート状又は円筒状樹脂硬化物を作製する際に、加熱押し出し等の複雑な加工方法を必要としなくなる。なお、ここでの数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値を言う。
本実施の形態の有機化合物(b)は、ラジカル重合反応又は開環重合反応に関与する重合性不飽和結合を有した化合物であり、樹脂(a)との希釈のし易さの観点から、その数平均分子量は1000未満である。
[硬化性樹脂組成物]
本実施の形態においては、硬化性樹脂組成物に光を照射して硬化することで、レーザー彫刻層を形成することができる。照射する光としては、紫外線、可視光線の他、電子線、X線等の高エネルギー線を用いることもできる。特に、紫外線、可視光線を用いて光硬化させる場合、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、水素引き抜き型光重合開始剤(d)及び/又は崩壊型光重合開始剤(e)を添加することが好ましい。
本実施の形態においては、光照射によって酸又は塩基を発生する化合物を光重合開始剤として用いることができる。これらの光重合開始剤は、開環重合反応する官能基を有する化合物、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物等を開環重合させることができる。
本実施の形態においては、硬化性樹脂組成物中に熱重合開始剤を含有していてもよい。熱重合開始剤として好適な化合物は、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤である。ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物等を挙げることができる。また、開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始剤を入れた潜在性熱重合開始剤を選択することが好ましい。
本実施の形態の硬化性樹脂組成物には、上述したシリコーン微粒子(c)以外にも、目的に応じて各種無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子を添加することができる。これらの微粒子を添加することにより、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物の機械的物性の更なる向上、樹脂硬化物表面の濡れ性改善、又は硬化性樹脂組成物の粘度の調整、樹脂硬化物の粘弾性特性の調整等が可能となる。無機系微粒子又は有機系微粒子の材質としては、特に限定するものではなく公知のものを用いることができる。また、有機無機複合微粒子としては、無機系微粒子の表面に有機物層又は有機系微粒子を形成した微粒子、又は有機系微粒子表面に無機物層又は無機微粒子を形成した微粒子等を挙げることができる。
本実施の形態のレーザー彫刻印刷原版は、シート状又は円筒状支持体と、硬化性樹脂組成物を前記シート状又は円筒状支持体上で硬化して得られる厚さ0.1mm以上10mm以下の樹脂硬化物層と、を備える。
シート状支持体としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンチオエーテル等のプラスチックや、ニッケル、アルミニウム、鉄等の金属を挙げることができる。シート状支持体の厚さは、50μm以上500μm以下が好ましく、より好ましくは100μm以上200μm以下である。
支持体上に成形された硬化性樹脂組成物層を光照射により架橋させて、樹脂硬化物層を形成することができる。また、成型しながら光照射により架橋させることもできる。硬化に用いられる光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。感光性樹脂組成物層に照射される光は、200nmから300nmの波長の光を有することが好ましい。特に、水素引き抜き型光重合開始剤は、この波長領域に強い光吸収を有するものが多いため、200nmから300nmの波長の光を有する場合、感光性樹脂硬化物層表面の硬化性を充分に確保することができる。光硬化に用いる光源は、1種でも構わないが、波長の異なる2種以上の光源を用いて硬化させることにより樹脂の硬化性が向上することがあるので、2種類以上の光源を用いることもなんら差し支えない。
また、支持体上に形成された硬化性樹脂組成物を加熱することによって、樹脂硬化物を形成することができる。加熱方法としては、赤外線を照射する方法、オーブン等で加熱した雰囲気に曝す方法、加熱した金属等の物体と接触する方法等を挙げることができる。加熱温度は、熱重合開始剤の種類によって異なる。
本実施の形態においては、シート状又は円筒状支持体と、樹脂硬化物層の間にエラストマーからなるクッション層を形成することもできる。樹脂硬化物層の厚さは0.05〜10mmであり、それ以外の下部層は組成の異なる材料であっても構わない。クッション層としては、ショアA硬度が10以上70度以下、又はASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。ショアA硬度が10度以上又はASKER−C硬度が20度以上である場合には、適度に変形するため、印刷品質を確保することができる。また、ショアA硬度が70度以下又はASKER−C硬度が85度以下である場合には、クッション層としての役割を果たすことができる。より好ましいショアA硬度の範囲は20〜60度、ASKER−C硬度では45〜75度の範囲である。ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。硬度の指標としては、均一な樹脂組成の場合にはショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合にはASKER−C硬度を用いることが好ましい。ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
本実施の形態の硬化性樹脂組成物を用いて得られたレーザー彫刻印刷原版の表面に、レーザー彫刻によりパターンを形成してレーザー彫刻印刷版を製造することができる。レーザー彫刻法においては、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用してレーザー装置を操作し、印刷原版にレリーフ画像を作成する。レーザー彫刻に用いるレーザーは、原版が吸収を有する波長を含むものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行うためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザーやYAGレーザー、半導体レーザー等の赤外線又は赤外線放出固体レーザー等が好ましい。また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えば、エキシマレーザー、第3又は第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でもよい。
本実施の形態の硬化性樹脂組成物が感光性樹脂組成物である場合には、感光性樹脂組成物を写真製版技術により部分的に光硬化させてパターンを形成することで、樹脂凸版印刷版を製造することができる。写真製版技術は、露光工程と現像工程を有する。露光工程では、ガラス製又はプラスチックフィルム製の露光マスクを通して紫外線を照射することにより光が照射された部分の樹脂組成物が光硬化し、現像液に不溶化する。近年の技術として、露光マスクを使用しないでレーザーで直接描画し光硬化させるダイレクトイメージング法も利用することができる。また、シート状感光性樹脂組成物の場合には、表面にカーボンブラックを高濃度に含有する薄膜層が積層された構成体において、該黒色薄膜層を近赤外線レーザーでアブレーション加工することで、該黒色薄膜を露光マスクとして使用するデジタル化技術を用いることもできる。
本実施の形態の硬化性樹脂組成物の用途は、厚膜に光硬化させる必要のあるものであれば、特に限定するものではないが、レーザー彫刻により表面に凹凸パターンを形成するフレキソ印刷原版用シート又はロール、グラビア印刷用シート又はロール、又はレーザー光を照射して貫通した孔状パターンを形成するスクリーン印刷用シート又はロータリースクリーン、孔版印刷用原版材料、オフセット印刷法で用いられるブランケット、アニロックスロールに接して用いられるインキ量調整用ロール、印刷用クッションロール、インクジェットプリンター、レーザープリンター、複写機等に搭載されているロール等の印刷基材、又は3次元立体成形等の用途として用いることができる。
(1)レーザー彫刻
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載、レーザーの発振波長は10.6μm)を用いて行った。彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンを作成して実施した。彫刻深さは0.55mmとした。
(2)粘度
硬化性樹脂組成物又は有機化合物(b)の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用い、20℃で測定した。
(3)数平均分子量の測定
樹脂(a)、有機化合物(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1質量%のTHF溶液を調製し、注入量10μLとした。また、検出器としては、示差屈折計を用いた。
(4)29Si−NMR(核磁気共鳴スペクトル)測定
シリコーン微粒子の2級シロキサン結合の3級及び4級シロキサン結合に対する比率は、29Si−NMR測定によって求めた。シリコーン微粒子の29Si−NMR測定は、Bruker社製、商標「Biospin DSX400」を用いて実施した。観測核:29Si、観測周波数:79.49MHz、積算回数:2400回、パルス幅:4.5μ秒、待ち時間:30秒、MAS(マジック角回転速度):3500Hz、マジックアングルスピニング:5000Hz、パルスプログラム:hpdec(ハイパワーデカップリング)、サンプル管径:7mmΦの条件で測定を行った。化学シフトの外部基準を、ジメチルシリコーンゴムを別途測定し、得られた1本のピークを−22ppmとした。
(5)シリコーン微粒子の熱重量分析
シリコーン微粒子の熱重量分析は、セイコーインスツルメント社製、商標「TG/DTA320」を用いた。昇温速度は10℃/分、空気を毎分100mLの流量で流しながら重量減少を測定した。加熱温度の上限は900℃とした。
(6)シリコーン微粒子の真比重
シリコーン微粒子の真比重は、液体ピクノメータ法を用いて行った。浸漬する液体はエタノールとした。
(7)シリコーン微粒子の数平均粒子径及び粒子径分布測定
シリコーン微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(キーエンス社製、商標「VE−9800」)で観察した画像データを基に、画像解析によって測定した。画面上にシリコーン微粒子が100個程度は入る倍率で観察し、粒子が完全に入る最小円の径を微粒子の粒子径とした。粒子径分布における標準偏差は、微粒子1000個程度のデータを基に算出した。
[樹脂(a)の製造]
温度計、攪拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに、旭化成株式会社製ポリカーボネートジオールである商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gとトリレンジイソシアナート30.83gを加え、80℃に加温下に約3時間反応させた後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させて、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)である数平均分子量約10000の樹脂を製造した。この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
樹脂(a)として、上記のように作製した樹脂100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)20質量部及びポリプロピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」、数平均粒子径:0.8μm、真比重:1.3、粒子径分布の標準偏差:1.2μm、球状粒子の存在比率:95%)10質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において、1000Pa・sであった。
シリコーン微粒子(c)の熱重量分析の結果、重量半減温度は、900℃を超えて高いものであった。900℃においては10%しか重量が減少していなかった。シリコーン微粒子の3級シロキサン結合しているケイ素原子数を100とすると2級シロキサン結合しているケイ素原子数は検出限界以下であったので、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は、ほぼ0であった。シリコーン微粒子の粒子径分布における標準偏差は、数平均粒子径の150%であった。
ガラス板上に設置した、易接着処理された厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に光硬化性接着剤を厚み20μmで塗布し、その上に、上記で作製した液状の硬化性樹脂組成物を厚み1.1mmで塗布し、上下からケミカルランプ(蘭国、フィリップス社製、商標「10R」)の紫外線を4000mJ/cm2照射してシート状樹脂硬化物を得た。
シート状樹脂硬化物を、炭酸ガスレーザー彫刻機のシリンダーに固定し、画像パターンを形成した。レーザー彫刻時に発生する彫刻カスは、粉末状であった。
得られた印刷版を、ガラス基板上に印刷できる精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)を用いて、銀ナノペースト(ハリマ化成社製、商標「NPS−J」)を印刷し厚さ約2μmの導電体パターンを得た。
実施例1で作製した液状硬化性樹脂組成物を用いた。厚さ0.45mmのガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂製スリーブをエアーシリンダーに装着し、その上に光硬化性接着剤層を厚さ0.2mmで塗布し、その上に実施例1で作製した液状硬化性樹脂組成物を厚さ1.3mmで積層し、メタルハライドランプ(米国フュージョン社製、商標「F450V型UVランプ」)からの紫外線を4000mJ/cm2(波長350nmにおける積算光量)照射し、全面を光硬化させた。その後、表面粗度Raが0.5μmとなるように研削・研磨により表面調整を行い、円筒状印刷原版を作製した。樹脂硬化物の表面タックは極めて低く、表面の研削・研磨は非常に容易に実施することができた。
得られた円筒状印刷原版に、実施例1と同様に、炭酸ガスレーザー彫刻機で表面に画像パターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粉末状であった。版面に残存した粉末状彫刻カスは、円筒を机の上で振動させた程度では空気中に飛散するものではなかった。
得られた円筒状印刷版を、実施例1で用いた精密印刷機のエアーシリンダーに装着し、フルオレン骨格を有する数平均分子量10000のポリマーを主成分とし、酢酸エチル/イソプロピルアルコールを溶剤として含有する液状感光性樹脂をインキとして用い、ガラス基板上に印刷を行い、溶剤成分を乾燥除去することにより、ガラス基板上に厚み15μmの円形パターンを得た。更に、加熱することによって印刷した感光性樹脂を溶融させ、曲面を有するパターンに変形させた。その後、光硬化させることによってマイクロレンズパターンを得ることができた。
シリコーン微粒子(c)を、信越化学工業社製、商標「X−52−1621」としたこと以外は実施例1と同様の方法により、液状硬化性樹脂組成物を作製した。用いたシリコーン微粒子は、数平均粒子径:5μm、真比重:1.3、粒子径分布の標準偏差:1.5μm、球状粒子の存在比率:95%であった。シリコーン微粒子の熱重量分析の結果、重量半減温度は、900℃を超えて高いものであった。900℃においては10%しか重量が減少していなかった。シリコーン微粒子の3級シロキサン結合しているケイ素原子数を100とすると2級シロキサン結合しているケイ素原子数は検出限界以下であったので、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は、ほぼ0であった。シリコーン微粒子の粒子径分布における標準偏差は、数平均粒子径の30%であった。
その後、実施例1と同様の方法を用いて、レーザー彫刻を実施した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは粉末状であった。その後の洗浄工程で、表面に残存していた彫刻カスの除去を行った。
シリコーン微粒子(c)を、信越化学工業社製、商標「KMP−600」」としたこと以外は実施例1と同様にして、液状硬化性樹脂組成物を作製した。用いたシリコーン微粒子は、数平均粒子径:5μm、真比重:0.99、粒子径分布の標準偏差:3.5μm、球状粒子の存在比率:95%であった。シリコーン微粒子の熱重量分析の結果、重量半減温度は390℃であった。シリコーン微粒子の3級シロキサン結合しているケイ素原子数が3.2に対し、2級シロキサン結合しているケイ素原子数は100であったので、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は、31.3であった。用いたシリコーン微粒子の粒子径分布における標準偏差は、数平均粒子径の70%であった。
その後、実施例1と同様の方法を用いて、レーザー彫刻を実施した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは粘着性のあるペースト状であった。その後の洗浄工程で、表面に残存していた彫刻カスの除去を行った。
シリコーン微粒子(c)を、信越化学工業社製、商標「KMP−597」としたこと以外は実施例1と同様にして、液状硬化性樹脂組成物を作製した。用いたシリコーン微粒子は、数平均粒子径:5μm、真比重:0.97、粒子径分布の標準偏差:1.5μm、球状粒子の存在比率:95%であった。シリコーン微粒子の熱重量分析の結果、重量半減温度は360℃であった。シリコーン微粒子の4級シロキサン結合しているケイ素原子数が0.4に対し、2級シロキサン結合しているケイ素原子数は100であったので、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の4級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は、250であった。3級シロキサン結合しているケイ素原子は検出感度以下であった。シリコーン微粒子の粒子径分布における標準偏差は、数平均粒子径の30%であった。
上記で得られた液状硬化性樹脂組成物を、厚さ1.5mmのガラス繊維強化プラスチックスリーブ上に厚み1.5mmで塗布し、メタルハライドランプ(米国、フュージョン社製、商標「F450V型UVランプ」)から放出される紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)照射し、円筒状樹脂硬化物を形成した。
その後、実施例1と同様の方法により、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粘着性のあるペースト状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、弱アルカリ性水系洗浄液で簡単に除去することができた。
実施例1で用いた樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製、商標「ライトエステルHO」、分子量130)20質量部及び1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン(東亜合成社製、商標「RSOX」、分子量306)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)5質量部、光酸発生剤としてトリアリールスルホニウムヘキサフルオリン酸塩混合物プロピレンカーボネート50質量%溶液(ユニオンカーバイド社製、商標「UVI−6990」)4質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して液状硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた液状硬化性樹脂組成物を、厚さ1.5mmのガラス繊維強化プラスチックスリーブ上に厚み1.5mmで塗布し、メタルハライドランプ(米国、フュージョン社製、商標「F450V型UVランプ」)から放出される紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)照射し、円筒状樹脂硬化物を形成した。
その後、実施例1と同様の方法により、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粘着性のあるペースト状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、弱アルカリ性水系洗浄液で簡単に除去することができた。
樹脂(a)として、実施例1で作製した樹脂100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量 206)20質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−1621」)10質量部、熱重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 商標「パーブチルE」)1質量部を70℃にて混合し、更に、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
得られた硬化性樹脂組成物を、金属板上に固定したPET製カバーフィルム上に、厚み1.5mmで塗布し、その上に厚み50μmのPETフィルムを被せ、更に、その上に金属板を置き、150℃に温調したオーブン中に入れて、20分間加熱してシート状樹脂硬化物を形成した。
得られたシート状樹脂硬化物を、実施例1と同様の方法を用いて、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて表面に画像パターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粉末状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、弱アルカリ性水系洗浄液で簡単に除去することができた。
樹脂(a)として、数平均分子量が約10万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体100質量部、有機化合物(b)として、ヘキサメチレンジアクリレート(分子量254)10質量部、数平均分子量2000の液状ポリブタジエン15質量部、脂環族炭化水素可塑剤10質量部、実施例5で使用したシリコーン微粒子(c)50質量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を、小容量加圧型ニーダー(モリヤマ社製、商標「D1−5」)を用いて温度150℃で混合し、硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物を2軸押し出し装置(テクノベル社製、商標「KZW−TW」)を用いて、接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ188μmのPETフィルム上に、厚さ1.7mmで押し出し、更にシリコーン離型処理した厚み15μmのカバーシートで挟み、シート状の硬化性樹脂組成物を形成した。この硬化性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
作製したシート状硬化性樹脂組成物を、ガラス平板上に設置し、両面からケミカルランプ(蘭国、フィリップス社製、商標「10R」)から放出される紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)照射し、シート状樹脂硬化物を形成した。
その後、実施例1と同様の方法を用いて、レーザー彫刻を実施した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは粉末状であった。その後の洗浄工程で、表面に残存していた彫刻カスの除去を行った。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリプロピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)1質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。
その後、実施例1と同様の方法を用いて、レーザー彫刻を実施した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは粘着性のある粉末状であった。その後の洗浄工程で、表面に残存していた彫刻カスの除去を行った。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)1質量部及びシリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「KMP−600」)5質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。用いた2種類のシリコーン微粒子の混合物からなるシリコーン微粒子の、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は、25であった。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粘着性のある粉末状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)としてフェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)0.5質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。
実施例1と同様の方法でレーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粘着性のあるペースト状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)1質量部及びシリコーン微粒子(信越化学工業社製、商標「KMP−600」)5質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。用いた2種類のシリコーン微粒子の混合物からなるシリコーン微粒子の、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は10であった。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粉末状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)4質量部及びシリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「KMP−597」)1質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。用いた2種類のシリコーン微粒子の混合物からなるシリコーン微粒子の、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の、3級シロキサン又は4級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は50であった。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粘着性のある粉末状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)6質量部及びシリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「KMP−600」)1質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。用いた2種類のシリコーン微粒子の混合物からなるシリコーン微粒子の、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は4.5であった。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粉末状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)4.85質量部及びシリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「KMP−600」)0.15質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。用いた2種類のシリコーン微粒子の混合物からなるシリコーン微粒子の、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の3級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比は0.94であった。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粉末状であった。版面に残存した彫刻カスは、飛散することはなかった。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1で作製した液状硬化性樹脂組成物からシリコーン微粒子を除いた液状硬化性樹脂組成物を調製した。調製した液状硬化性樹脂組成物を、実施例2と同様にして中空円筒状の繊維強化プラスチック製スリーブ上に塗布し、円途状印刷原版を得た。表面研削、研磨工程では、発生する研削屑が粘着性のため、3倍以上の処理時間を要した。
その後、実施例2と同様にして、レーザー彫刻法によって表面にパターンを形成した。炭酸ガスレーザーによる彫刻時には、液状彫刻カスが多量に発生し、シリンダーの回転に伴い、液状カスが飛散した。
実施例1で作製した液状硬化性樹脂組成物のシリコーン微粒子を、架橋ポリアクリル酸エステル微粒子(積水化成品工業社製、商標「ARX−30」)に置き換えた液状硬化性樹脂組成物を調製した。実施例1と同様にしてレーザー彫刻用シート状印刷原版を作製した。
その後、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて、表面にパターンを形成した。炭酸ガスレーザーによる彫刻時には、液状彫刻カスが多量に発生し、シリンダーの回転時に液状彫刻カスが飛散した。
実施例1で作製した液状硬化性樹脂組成物のシリコーン微粒子を、多孔質架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子(積水化成品工業社製、商標「MBP−8」)に置き換えた液状硬化性樹脂組成物を調製した。実施例1と同様にしてレーザー彫刻用シート状印刷原版を作製した。
その後、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて、表面にパターンを形成した。炭酸ガスレーザーによる彫刻時には、液状彫刻カスが多量に発生し、シリンダーの回転時に液状彫刻カスが飛散した。
実施例1で作製した液状硬化性樹脂組成物のシリコーン微粒子を、シリカ超微粒子(日本アエロジル社製、商標「AEROSIL R972」、数平均粒子径:16nm)に置き換えた液状硬化性樹脂組成物を調製した。実施例1と同様にしてレーザー彫刻用シート状印刷原版を作製した。
その後、炭酸ガスレーザー彫刻機を用いて、表面にパターンを形成した。炭酸ガスレーザーによる彫刻時には、粉末状彫刻カスが多量に発生し、シリンダーの回転時に粉末状彫刻カスがレーザー彫刻機内で飛散した。また、レーザー彫刻機から取り出したシート状印刷版上に粉末状彫刻カスが残存し、少しの振動で粉末状彫刻カスが飛散した。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)0.2質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、20℃において液状であった。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、液状で多量に発生し、レーザー彫刻機のシリンダー回転方向に飛散した。版面に残存した彫刻カスは、5MPaスチームジェットで簡単に除去することができた。
実施例1と同じ樹脂(a)100質量部、有機化合物(b)として、フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部及びポリピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部、シリコーン微粒子(c)(信越化学工業社製、商標「X−52−854」)70質量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン0.5質量部及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部、安定剤として2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン0.5質量部を混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例1と同様の方法で、レーザー彫刻により表面にパターンを形成した。レーザー彫刻時に発生した彫刻カスは、粉末状で多量に発生し、レーザー彫刻機のシリンダー回転時に飛散し、レーザー彫刻機内の視界が低下した。彫刻が終了し、真空吸引によって視界が正常に戻るまでは、シート状印刷版を彫刻機から取り出すことができなかった。
Claims (12)
- シート状又は円筒状支持体と、
硬化性樹脂組成物を前記シート状又は円筒状支持体上で硬化して得られる厚さ0.1mm以上10mm以下の樹脂硬化物層と、
を備え、
前記硬化性樹脂組成物が、印刷原版又は印刷版製造用の硬化性樹脂組成物であって、
数平均分子量1000以上30万以下の樹脂(a)100質量部に対し、数平均分子量が1000未満で重合性不飽和基を有する有機化合物(b)10〜500質量部、数平均粒子径が0.1μm以上10μm以下のシリコーン微粒子(c)0.5〜50質量部を含有し、
前記シリコーン微粒子(c)が3次元架橋したシロキサン骨格を有し、2級シロキサン結合しているケイ素原子数の、3級シロキサン結合又は4級シロキサン結合しているケイ素原子数に対する比が250以下である、
レーザー彫刻印刷原版。 - 前記シリコーン微粒子(c)は、熱分解特性において、空気雰囲気下での熱重量分析における重量半減温度が900℃以上である、請求項1記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記シリコーン微粒子(c)の真比重が1.05以上1.5以下である、請求項1又は2記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記シリコーン微粒子(c)は、球状微粒子を50%以上含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記シリコーン微粒子(c)の粒子径分布の標準偏差が、数平均粒子径の200%以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記シリコーン微粒子(c)は、トリアルコキシシリル誘導体を縮合させて形成された微粒子である、請求項1〜5のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤を更に含有する、請求項1〜6のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記硬化性樹脂組成物が、20℃において液状の熱重合開始剤を更に含有する、請求項1〜7のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記硬化性樹脂組成物が、20℃において液状である、請求項1〜8のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 前記円筒状支持体は、厚さ0.1mm以上2mm以下の中空円筒状支持体であって、
前記中空円筒状支持体は、繊維強化プラスチック製スリーブ又は金属製スリーブである、請求項1〜9のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。 - 前記シート状又は円筒状支持体と、前記樹脂硬化物層との間にクッション層を更に備える、請求項1〜10のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載のレーザー彫刻印刷原版の表面に、レーザー彫刻によりパターンが形成されたレーザー彫刻印刷版。
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