JP2010064450A - レーザー彫刻印刷版の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚膜かつ微細なパターン印刷が可能な、レーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたシート状又は円筒状の樹脂硬化物層を有する印刷原版表面に、ビーム径0.1μm以上10μm未満のレーザー(α)を複数箇所へ照射し、規則配置された凹部(β)を形成する工程と、(2)前記凹部(β)が形成された印刷原版の表面に、ビーム径10μm以上100μm以下のレーザー(γ)を照射し、照射部分に凹部(δ)を形成する工程とを有するレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻法により所定のパターン形成を行うレーザー彫刻印刷版の製造方法に関する。
従来から、フレキソ印刷、ドライオフセット印刷、レタープレス印刷等に用いる樹脂凸版作製や、エンボス加工等の表面加工を行う場合においては、レーザー光の照射により表面に凹凸パターンを形成するいわゆるレーザー彫刻法を適用する技術が知られている。
このレーザー彫刻法には、原版材料として、加硫ゴムや感光性樹脂組成物を光硬化させた感光性樹脂硬化物、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた熱硬化性樹脂硬化物が用いられている。
特に、光硬化は反応速度が速く、処理時間を短縮する観点から、感光性樹脂組成物を光硬化させた材料、すなわち感光性樹脂硬化物がレーザー彫刻法に多用されている。
近年、電子材料分野においては、導電性インキ等の機能性インキを用いて、導電性パターンを大量生産する方法として、印刷技術が注目されてきている。
一方、印刷版の製造技術としては、従来、下記のような技術が開示されている。
例えば、液状感光性樹脂をシート状に成形し、その後、写真製版技術を用いて露光、現像を行い、凸状パターン表面に特別な配列の微小突起パターンを形成する、液晶配向膜塗布用の樹脂凸版の製造技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、熱可塑性エラストマーを主原料とする感光性樹脂組成物にカーボンブラックを添加したレーザー彫刻印刷原版に対して、YAGレーザーにより彫刻して印刷版を作製する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらには、液状感光性樹脂を光硬化させたレーザー彫刻印刷原版に関する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2002−293049号公報 特許第2846954号公報 特許第3801592号公報
しかしながら、従来公知の凸版印刷技術においては、塗布されるインキの膜厚が1μm以下程度と薄く、電子材料分野における導電性パターンの形成用としては不向きである。
特許文献1に記載されている技術によると、パターン形成時に未硬化の液状感光性樹脂を用いているので、膜厚精度を正確に制御することが困難であり、硬化収縮によってベタ部中央部が薄くなる、いわゆるカッピングが起こり、これが印刷不良を引き起こす原因になるという問題がある。
また、表面近傍の微小パターンとその他の粗いパターンの両方とを、遮光パターンや光線透過率を制御した1枚の露光マスクを用いて形成しているため、所望の印刷パターンを正確に再現することは困難であり、また歩留まりも低いという問題もある。
また、形成できる配向膜の厚さが100nm程度の薄膜であり、厚膜形成を必須とする技術分野には不向きであるという問題もある。
また、特許文献2に記載されている技術は、極めて微細な凹パターンを形成することを前提としておらず、微細なパターン形成を要求される技術分野には不向きであるという問題を有している。
またさらに、特許文献3に記載されている技術は、表面近傍に規則配列したパターンを形成することを前提としておらず、厚膜のパターン印刷を要求される技術分野には不向きであるという問題を有している。
上述したように、従来のレーザー彫刻版製造技術においては、微細なパターンを、しかも厚膜に印刷可能な印刷版を製造する技術が要求されていた。
そこで本発明においては、微細なパターンを厚膜に印刷可能な、レーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項1の発明においては、レーザー彫刻印刷版の製造方法であって、(1)硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたシート状又は円筒状の樹脂硬化物層を有する印刷原版表面に、ビーム径0.1μm以上10μm未満のレーザー(α)を複数箇所へ照射し、規則配置された凹部(β)を形成する工程と、(2)前記凹部(β)が形成された印刷原版の表面に、ビーム径10μm以上100μm以下のレーザー(γ)を照射し、照射部分に凹部(δ)を形成する工程とを有するレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項2の発明においては、前記凹部(β)の深さを0.5μm以上20μm未満とし、 前記凹部(δ)の深さを20μm以上2mm以下とする請求項1に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項3の発明においては、前記凹部(β)の表面開口寸法を0.1μm以上10μm未満とする請求項1又は2に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項4の発明においては、前記凹部(β)を、0.2μm以上20μm未満のピッチで規則配置する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項5の発明においては、前記レーザー(α)をパルス発振紫外線レーザーとし、発振周波数が1kHz以上200MH以下であって、レーザー光の波長が150nm以上400nm以下、パルス時間半値幅が10フェムト秒以上50ナノ秒以下であるものとする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項6の発明においては、前記樹脂硬化物層が、少なくとも1層の感光性樹脂組成物の光硬化物層を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項7の発明においては、前記硬化性樹脂組成物が、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポリビニルアルコール、及びビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項8の発明においては、前記硬化性樹脂組成物が、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有し、20℃において液状であって、20℃における粘度が50Pa・s以上10kPa・s以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項9の発明においては、前記樹脂硬化物層を、中空円筒状支持体上に形成する工程を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項10の発明においては、前記中空円筒状支持体が、繊維強化プラスチック製スリーブ又は金属製スリーブである請求項9に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項11の発明においては、前記繊維強化プラスチック製スリーブが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維からなる群から選択される少なくとも1種類の繊維を含有する請求項10に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項12の発明においては、中空円筒状支持体と前記樹脂硬化物層との間に、クッション層を形成する工程をさらに有する請求項9乃至11のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項13の発明においては、前記クッション層が熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を含有しており、前記クッション層を形成する工程において、熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を硬化させる工程を有する請求項12に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項14の発明においては、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法であって、電子素子又は光学素子のパターン印刷形成に用いられるレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項15の発明においては、前記電子素子が、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機半導体、アンテナ回路、液晶ディスプレイ素子、及びプラズマ発光素子からなる群から選択されるいずれかである請求項14に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
請求項16の発明においては、前記光学素子が、マイクロレンズアレイ又は光導波路である請求項14に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法を提供する。
本発明によれば、厚膜かつ微細なパターン印刷が可能なレーザー彫刻印刷版の製造方法が提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔レーザー彫刻印刷版の製造方法〕
本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版の製造方法においては、工程(1)において、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたシート状又は円筒状の樹脂硬化物層を有する印刷原版表面に、ビーム径0.1μm以上10μm未満のレーザー(α)を複数箇所へ照射し、照射部分に規則配置された凹部(β)を形成する。続いて工程(2)において、前記凹部(β)が形成された印刷原版の表面に、ビーム径10μm以上100μm以下のレーザー(γ)を照射し、照射部分に凹部(δ)を形成する。
本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版の製造方法においては、最終的に得られるレーザー彫刻印刷版のインク担持体である凸パターン表面に微細パターン(凹(β))を形成するために、ビーム径の異なる複数種類のレーザーを用いて彫刻を行う。
先ず、寸法の小さいパターンを形成しておき、その後、寸法の大きいパターンを形成する。これは、寸法の大きなパターンを先に形成すると、そのパターン部表面に微細パターンを形成することになってしまうためである。
上記方法により作製されたレーザー彫刻印刷版を用いて印刷を行うことにより、微細かつ厚膜のパターン形成が可能となる。なお、厚膜とは、不揮発成分として基材上に残存した物質の膜厚で1μm以上25μm以下と定義する。
次に、本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版の製造方法を構成する工程について詳細に説明する。
(工程(1)のレーザー(α))
工程(1)において使用するレーザー(α)のビーム径は、0.1μm以上10μm未満であるものとし、0.5μm以上5μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。ビーム径を上記範囲とするために、レーザー光の波長は5μm以下にすることが好ましく、1μm以下がより好ましい。
なお、レーザー(α)のビーム径は、レーザービームを1点に照射し、樹脂硬化物表面に形成される凹部(β)の径を20箇所測定し、その孔径の平均値をレーザーのビーム径と定義する。これは、レーザービーム径を極小に絞り込んだレーザーでは、ビーム中心のエネルギーが非常に高くなるため、受光素子へのダメージが大きく、直接測定することが困難だからである。孔径の測定には、走査型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることができる。
レーザー(α)としては、具体的に、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー等の固体レーザー基本波、第二、第三、第四、第五高調波、ErやYbをドープしたファイバーレーザーの基本波、第二、第三高調波、エキシマレーザー等が挙げられる。
レーザー(α)は、連続発振レーザーであってもパルス発振レーザーであってもよいが、尖頭出力が大きいパルス発振レーザーが加工精度の観点から好ましい。発振周波数は、1kHz以上500MHz以下が好ましく、10kHz以上200MHz以下がより好ましく、20kHz以上100MHz以下がさらに好ましい。
平均出力は、0.1W以上500W以下が好ましく、1W以上100W以下がより好ましく、5W以上50W以下がさらに好ましい。
レーザー(α)としては、パルス発振紫外線レーザーを適用し、発振周波数が1kHz以上200MH以下であって、レーザー光の波長が150nm以上400nm以下、パルス時間半値幅が10フェムト秒以上50ナノ秒以下であるものとすることが好適な例として挙げられる。
紫外線レーザーは、ビーム径を小さく、例えば波長の倍程度まで絞れるという特性を有している。パルス発振レーザーは、1パルスあたりのエネルギーが大きく(尖頭出力が大きく)、熱によるダメージを抑制しやすい。よって、パルス発振紫外線レーザーは微細なパターン形成を行うものとして好適である。
(凹部(β))
工程(1)において、レーザー(α)により印刷原版の表面に、凹部(β)を規則配列、すなわち特定のピッチにより配列させて形成する。
凹部(β)の深さは、0.5μm以上20μm未満が好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましく、5μm以上10μm以下がさらに好ましい。
また、凹部(β)の表面開口寸法は、0.1μm以上10μm未満が好ましく、0.5μm以上10μm以下がより好ましく、5μm以上10μm以下がさらに好ましい。
凹部(β)の配列ピッチは、0.2μm以上20μm未満が好ましく、1μm以上20μm未満がより好ましく、10μm以上20μm未満がさらに好ましい。
凹部(β)の深さ、開口寸法、及び配列ピッチを、上記数値範囲内として形成することにより、最終的に得られる印刷版を用いた印刷工程において、微細なパターンを厚膜に形成できるようになることが確認された。
(工程(2)のレーザー(γ))
工程(2)において使用するレーザー(γ)のビーム径は、10μm以上100μm以下であるものとし、20μm以上80μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましい。
レーザー(γ)のビーム径は、レーザー(γ)を1点に照射して得られる凹パターンの寸法を、走査型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡により測定し、20箇所の平均値をとることにより求められる。
レーザー(γ)としては、例えば、炭酸ガスレーザーが挙げられる。
レーザー(γ)は、連続発振レーザーであってもパルス発振レーザーであってもよい。平均出力は10W以上1kW以下が好ましく、50W以上700W以下がより好ましく、80W以上500W以下がさらに好ましい。
(凹部(δ))
工程(2)においては、工程(1)で凹部(β)を形成した後に、レーザー(γ)を用いて凹部(δ)を形成する。
凹部(δ)の深さは、20μm以上2mm以下が好ましく、50μm以上1mm以下がより好ましく、100μm以上500μm以下がさらに好ましい。
凹部(δ)の深さを上記数値範囲内として形成することにより、最終的に得られる印刷版を用いた印刷工程において印刷版にインキ転移ロールを押し付けても、凹部(δ)の深さが十分に確保できているので、不要部分にインキが転写されることを防止できることが確かめられた。
凹部(δ)の開口寸法は、目的とするレーザー彫刻印刷版のインク担持体である凸部の大きさに従って制御する。
(レーザー)
本実施の形態において使用するレーザー彫刻法は、具体的には、所望の形成画像をデジタル型のデータとしてコンピューターを利用し、レーザー装置を操作してレリーフ画像を作製する技術として応用できる。
レーザーは、樹脂硬化物層が吸収を有している波長のものであればよいが、彫刻を高速度で行うためには出力が高いことが望ましい。具体的には、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等が好ましい。
また、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザーの第2高調波、銅蒸気レーザー、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザーは、有機分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細パターンの形成に有利である。レーザーは連続照射又はパルス照射のいずれでもよい。
上記レーザーについては、1台のレーザー彫刻機に複数のレーザーが搭載されているものを用いてもよい。従って、レーザービーム径が0.1μm以上10μm未満のレーザーと、レーザービーム径が10μm以上100μm以下のレーザーを搭載した彫刻機を用いて実施してもよい。その際、先ず小径のレーザービームで加工して、その後大径のレーザービームで加工する。
レーザー彫刻は、酸素含有ガス下、一般には空気存在下もしくは気流下に実施するが、炭酸ガス、窒素ガス下で実施してもよい。
(後処理)
上述したレーザー彫刻が終了した後、印刷版面に残存する粉末状あるいは液状の物質は、所定の方法により除去する。
例えば、溶剤や界面活性剤の入った水等で洗浄する方法、高圧スプレー等により水系洗浄剤を照射する方法、高圧スチームを照射する方法等が挙げられる。
この除去工程後、印刷版表面に、波長200nm〜450nmの光を照射する後露光を実施してもよい。これにより表面のタック除去が行われる。後露光は、大気中、不活性ガス雰囲気中、水中のいずれの環境で行ってもよい。樹脂硬化物が感光性樹脂組成物の硬化物であり、水素引き抜き型光重合開始剤を含有するものである場合に、後露光処理の効果が高い。
さらに、後露光工程前には、印刷版表面を、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液、又は、水素引き抜き型光重合開始剤を含む処理液中に、印刷版を浸漬する処理を行ってもよい。
〔印刷原版〕
本発明方法おいては、印刷原版上に、上述した凹部(β)と凹部(δ)を形成するが、この印刷原版は、後述する樹脂硬化物層を具備しているものとする。
以下、この樹脂硬化物層について説明する。
(樹脂硬化物層)
樹脂硬化物層は、硬化性樹脂組成物を硬化させたものである。
具体的には、感光性樹脂組成物及び/又は熱硬化性樹脂組成物を、光硬化及び/又は熱硬化させたものである。
硬化性樹脂組成物は、硬化速度の観点からは感光性樹脂組成物であることが好ましいが、光線透過性が低い場合、特に顔料を多量に含む場合は、熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。硬化性樹脂組成物は、20℃の温度条件下で固体状、液状のいずれでもよい。
また、樹脂硬化物層は、多層構造であってもよく、この場合、少なくとも1層の感光性樹脂組成物の光硬化物層を有していることが、硬化速度を向上させる観点から好ましい。
硬化性樹脂組成物は、後述する樹脂(a)及び有機化合物(b)を含有していることが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、樹脂硬化物層の形成工程を考慮して材料を選択するが、20℃の条件下で液状の場合、20℃における粘度は50Pa・s以上10kPa・s以下が好ましく、100Pa・s以上5kPa・s以下がより好ましく、500Pa・s以上2kPa・s以下がさらに好ましい。
粘度がこれらの範囲内であれば、円筒状に成形する場合に、重力に抗して液ダレせずに成形できる。
また、硬化性樹脂組成物が20℃の条件下で液状である場合は、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有していることが、最終的に得られるレーザー彫刻印刷版を用いてドライオフセット印刷を行うことを想定したとき、インキ中の溶剤への耐性が高いため好ましい。
<樹脂(a)>
上述した硬化性樹脂組成物に含有される樹脂(a)は、数平均分子量が、1000以上30万以下であることが好ましく、2000以上20万以下であることがより好ましく、5000以上15万以下であることがさらに好ましい。
樹脂(a)の数平均分子量が1000以上であれば、後工程で架橋して得られる樹脂硬化物を用いて作製した印刷版としての実用上十分な使用耐久性が得られる。
また、樹脂(a)の数平均分子量は20万以下とすることが好ましい。数平均分子量が30万以下であれば、硬化性樹脂組成物の過度の粘度上昇を回避でき、シート状や円筒状に加工することも可能である。
ここで、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値であるものとする。
樹脂(a)としては、分子内に重合性不飽和基を有している化合物を用いることができる。
例えば、1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有するポリマーが好適な化合物として挙げられる。
重合性不飽和基が、1分子あたり平均で0.7以上であれば、樹脂硬化物において実用上十分な機械的強度が得られ、これを用いて作製した印刷版においては実用上十分な耐久性が得られる。
上述した観点から、樹脂(a)を構成する化合物は、重合性不飽和基が1分子あたり0.7以上であることが好ましく、1を超えることがさらに好ましい。また、1分子あたりの重合性不飽和基数の上限については特に限定しないが、20以下が好ましい。20以下であれば、硬化時の収縮を低く抑制でき、また表面近傍でのクラック等の発生も抑制できるからである。
なお、「分子内」とは、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合等も含むものとする。
樹脂(a)を構成する化合物としては、下記に示すポリマー骨格を有するものが挙げられる。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリジエン類;ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等の主鎖にヘテロ原子を有する高分子等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。2種以上の高分子を用いる場合の形態としては、共重合体、ブレンドのいずれでもよい。
本実施の形態における方法で作製するレーザー彫刻印刷版を、特にフレキソ印刷版用途のように、柔軟なレリーフ画像を形成するものとして使用する場合には、樹脂(a)として、一部、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を含有させることが好ましい。
このような液状樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポイソプレン等の炭化水素類、アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコン類、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の重合体及びこれらの混合物やコポリマー類が挙げられる。
これら液状樹脂の含有量は、樹脂(a)全体に対して30質量%以上100質量%以下が好ましい。特に耐候性の観点からポリカーボネート構造を有する不飽和ポリウレタン類が好ましい。
樹脂(a)を構成する化合物としては、分子末端又は分子鎖中に重合性不飽和基を有する化合物を用いることが好ましい。
重合性不飽和基を予め有している化合物であってもよく、後述する方法により導入してもよい。
例えば、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基等の反応性基を複数有する化合物に、前記反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネート等)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後に、反応によって得られた化合物と、この化合物の末端結合性基と反応する官能基及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する方法等が挙げられる。
樹脂(a)は、熱分解性の高い化合物であることが好ましい。凹部を形成するために好適だからである。
例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合、カルバメート結合等を分子内に有する化合物は、熱分解性の高い化合物として知られている。
熱分解性の指標として、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法のデータが用いられる。
詳細には、重量が半減する時点の温度が、150℃以上450℃以下の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は、250℃以上400℃以下、更に好ましくは、250℃以上380℃以下である。
また、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物が好ましい。その指標として、前記熱重量分析において、重量が初期重量の80%に減少する温度と、重量が初期重量の20%に減少する温度との差が、100℃以下であることが好ましい。より好ましくは、80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
また、本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版を円筒状形態とし、ドライオフセット印刷又はグラビア印刷に用いる場合、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、及びビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を、樹脂(a)の一部として含むことが好ましい。これらは、樹脂(a)を構成する化合物の一部として分子内に存在してもよいし、混合物として含有されていてもよい。
また、本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版を円筒状形態とし、フレキソ印刷に用いる場合、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール、スチレン−ブタジエン共重合体、及びスチレン−イソプレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を、樹脂(a)の一部として含むことが好ましい。これらは樹脂(a)を構成する化合物の一部として分子内に存在してもよいし、混合物として含
これらの樹脂を含有させることにより、印刷溶剤に対する耐性を向上させることができる。
<有機化合物(b)>
有機化合物(b)は、ラジカル重合反応や開環重合反応に寄与する不飽和結合を有している化合物であり、樹脂(a)との希釈のし易さを考慮すると数平均分子量は1000以下の化合物が好ましい。
有機化合物(b)としては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類、アセチレン類、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、ハロオレフィン類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、アリルアルコール、アリルイソシアネート等のアリル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びそれらの誘導体、酢酸ビニル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、シアネートエステル類等が挙げられる。特に、種類の豊富さ、価格等の観点から(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸エステル等の誘導体が好ましい。
前記各種誘導体は、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基等の官能基を有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、メチルスチリル基、スチリル基等の官能基を有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基等の官能基を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールのエステル化合物等が挙げられる。
上述した重合性不飽和基を有する有機化合物(b)は、本実施の形態における方法で作製するレーザー彫刻印刷版の目的に応じて単独で使用してもよく、2種以上を選択してもよい。例えば、印刷インキの溶剤であるアルコールやエステル等の有機溶剤に接触した際の膨潤を防止するためには、長鎖脂肪族、脂環族または芳香族の誘導体を少なくとも1種類以上有する化合物であることが好ましい。
また、樹脂硬化物の機械強度を高めるためには、有機化合物(b)は、脂環族又は芳香族置換基を有する化合物を、少なくとも1種類以上含有していることが好ましい。この場合、脂環族又は芳香族置換基を有する化合物は、有機化合物(b)の全体量に対して、20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
<光重合開始剤>
硬化性樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
なお、照射光としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等の高エネルギー線等を用いることができる。特に紫外線、可視光線により光硬化させる場合、光重合開始剤は効果が高い。光重合開始剤は、照射光に応じた材料を選ぶものとし、水素引き抜き型光重合開始剤(d)及び/又は崩壊型光重合開始剤(e)が好ましい。
水素引き抜き型光重合開始剤(d)としては、特に限定されるものではないが、芳香族ケトンが好ましい。芳香族ケトンは光励起により効率良く励起三重項状態になり、この励起三重項状態は周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化学反応機構が提案されている。生成したラジカルが光架橋反応に関与するためである。
本実施の形態においては、水素引き抜き型光重合開始剤(d)として励起三重項状態を経て周囲の媒体から水素を引き抜いてラジカルを生成する化合物であれば特に限定されない。
芳香族ケトンとしては、例えば、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、キサンテン類、チオキサントン類、アントラキノン類が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物が好ましい。
ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノン及びその誘導体であり、具体的には3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン等である。
ミヒラーケトン類とは、ミヒラーケトン及びその誘導体である。
キサンテン類とは、キサンテン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体である。
チオキサントン類とは、チオキサントン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基で置換された誘導体であり、エチルチオキサントン、メチルチオキサントン、クロロチオキサントン等が挙げられる。
アントラキノン類とは、アントラキノン及びアルキル基、フェニル基、ハロゲン基等で置換された誘導体をいう。
上述した水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。添加量がこの数値範囲であると、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物表面の硬化性は充分に確保でき、また、長期保存時に表面にクラック等が発生せず、優れた耐候性が得られる。
崩壊型光重合開始剤(e)とは、光吸収後に分子内で開裂反応が発生し活性なラジカルが生成する化合物であり、特に限定されるものではない。
具体的には、ベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類、アセトフェノン類、アシルオキシムエステル類、アゾ化合物類、有機イオウ化合物類、アシルホスフィンオキシド類、ジケトン類等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。
ベンゾインアルキルエーテル類としては、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
2,2−ジアルコキシ−2−フェニルアセトフェノン類としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
アセトフェノン類としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等が挙げられる。
アシルオキシムエステル類としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等が挙げられる。
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等が挙げられる。
ジケトン類としては、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
崩壊型光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。添加量がこの数値範囲であると、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合、硬化物内部の硬化性は充分に確保できる。
なお、水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と、崩壊型光重合開始剤として機能する部位とを、同一分子内に有する化合物を、光重合開始剤として用いてもよい。このような化合物としては、α−アミノアセトフェノン類があり、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等の化合物が挙げられる。
水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位とを同一分子内に有する光重合開始剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体量の0.3質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。添加量がこの数値範囲であれば、感光性樹脂組成物を大気中で光硬化させた場合であっても、硬化物の機械的物性は充分に確保できる。
光重合開始剤としては、上述した化合物の他、光照射によって酸又は塩基を発生する光酸発生剤、光塩基発生剤を用いることができる。
これは、開環重合反応する官能基を有する化合物、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物等を開環重合させる機能を有する。
<熱重合開始剤>
硬化性樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、樹脂中には熱重合開始剤を含有させることが好ましい。
熱重合開始剤として好適な化合物は、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる熱重合開始剤である。ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。また、開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始材を入れた潜在性熱重合開始剤を選択することが好ましい。
熱重合開始剤は、樹脂(a)あるいは有機化合物(b)との混合の容易性の観点から、20℃において液状であることが好ましい。
熱重合開始剤の含有量は熱硬化性樹脂組成物全体量に対し、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
熱重合開始剤の含有率がこの数値範囲であれば、熱硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができ、熱硬化物の表面の粘着性を低減できる。
熱重合開始剤は、樹脂(a)あるいは有機化合物(b)との混合の容易性の観点から、20℃において液状であることが好ましい。
熱重合開始剤の含有量は熱硬化性樹脂組成物全体量に対し、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、更に好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
熱重合開始剤の含有率が上記範囲であれば、熱硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができ、熱硬化物の表面の粘着性を低減することが可能となる。
好適な熱重合開始剤の選択は、本発明の方法を実施する上で特に重要である。熱重合開始剤の熱安定性は、通常、10時間半減期の温度10h−t1/2の方法によって、即ち、熱重合開始剤の当初の量の50%が、10時間後に分解してフリーラジカルを形成する温度で示される。これに関する更なる詳細については、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,11巻、1頁以降、John Wiley & Sons,ニューヨーク,1988年、に示されている。
特に好適な熱重合開始剤は、通常、好ましくは少なくとも60℃、より好ましくは少なくとも70℃の10h−t1/2を有する。特に好ましくは80℃〜150℃の10h−t1/2である。
熱重合開始剤としては、熱硬化性の観点及び熱硬化性樹脂組成物との相溶性の観点から有機過酸化物が好ましい。具体例としては、ペルオキシエステル類、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジペルオキシケタール、例えば、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン及びエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、ある種のジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及び2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジアシルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシド及びジアセチルペルオキシド、ある種のt−アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドが挙げられる。また、気泡を含有させるクッション層を形成する際に好ましいものとして、アゾ化合物が挙げられる。例えば、1−(t−ブチルアゾ)ホルムアミド、2−(t−ブチルアゾ)イソブチロニトリル、1−(t−ブチルアゾ)シクロヘキサンカルボニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル、2,2’−アゾビス(2−アセトキシプロパン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)等の化合物である。
<微粒子>
上述した硬化性樹脂組成物には、無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子を添加してもよい。
これらの微粒子を添加することにより光硬化させて得られる樹脂硬化物の機械的物性の向上、樹脂硬化物表面の濡れ性改善、あるいは硬化性樹脂組成物の粘度の調整、樹脂硬化物の粘弾性特性の調整等が可能となる。
無機系微粒子、有機系微粒子の材質は、特に限定されることなく、公知のものが用いられる。
また、有機無機複合微粒子として、無機系微粒子の表面に有機物層あるいは有機系微粒子を形成した微粒子、あるいは有機系微粒子表面に無機物層あるいは無機微粒子を形成した微粒子等が挙げられる。
樹脂硬化物の機械的物性を向上させる目的では、窒化珪素、窒化ホウ素、炭化珪素等の剛性の高い無機系微粒子、あるいはポリイミド等の有機系微粒子が好ましい。更に、得られた樹脂硬化物の耐溶剤特性を向上させる目的では、無機系微粒子や、使用する溶剤への膨潤特性の良好な材質で形成された有機系微粒子を添加することが好ましい。
また、後述するレーザー彫刻法により、樹脂硬化物層表面あるいは感光性樹脂硬化物を貫通したパターンを形成する目的のために、レーザー彫刻時に発生する粘稠性液状残渣の吸着除去特性に優れる無機多孔質微粒子を添加してもよい。このような無機多孔質微粒子としては、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等が挙げられる。
上述した微粒子は、数平均粒径が0.01〜100μmであることが好ましい。この数平均粒径の範囲の微粒子を用いた場合、樹脂(a)及び有機化合物(b)との混合を行う際に粘度の上昇、気泡の巻き込み、粉塵の大量発生等の不都合を回避でき、樹脂硬化物表面に凹凸が発生することを防止できる。微粒子の数平均粒系は、0.1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。微粒子の数平均粒系は、レーザー散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定できる。
上述した微粒子の形状は、特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある粒子等のいずれでもよい。特に耐磨耗性の観点からは、球状粒子が好ましい。
また、微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化あるいは疎水性化した粒子としてもよい。
これらの微粒子は、1種類のみ用いてもよく2種類以上を組み合わせてもよい。
硬化性樹脂組成物中における、上述した樹脂(a)、有機化合物(b)、微粒子の割合は、通常、樹脂(a)100質量部に対して、有機化合物(b)は5〜200質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましい。微粒子は1〜100質量部が好ましく、2〜50質量部がより好ましく、2〜20重量部がさらに好ましい。
有機化合物(b)の割合が、上記範囲である場合、得られる硬化性樹脂硬化物の硬度と引張強伸度のバランスがとりやすく、硬化時の収縮も小さい範囲に収まり、厚み精度を確保できる。
<その他の添加剤>
その他、硬化性樹脂組成物には用途や目的に応じて重合禁止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤、香料等のその他の添加剤を含有させてもよい。
〔樹脂硬化物層の形成方法〕
樹脂硬化物層は、上述した硬化性樹脂組成物を用いて形成する。
層の形成方法としては、従来公知の方法を適用できる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等により樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚さを調整する方法、ロールによりカレンダー加工して厚さを表製する方法、スプレー等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。
なお、層を形成する工程においては、硬化性樹脂組成物の熱分解を回避可能な温度範囲で加熱しながら行ってもよい。また、必要に応じて圧延処理、研削処理等を施してもよい。
シート状又は円筒状に、硬化性樹脂組成物層を形成する場合には、シート状支持体又は円筒状の支持体を用いて、この支持体上に層形成を行うことが好ましい。
円筒状支持体としては、シリンダーやスリーブ等の中空円筒状を適用できる。レーザー彫刻機や印刷機への装着・脱着の容易さを確保する観点から、繊維強化プラスチック製スリーブや金属製スリーブ等の中空円筒状支持体を用いることが好ましい。また、軽量化による良好な作業性を得る観点から、中空円筒状支持体の厚さは0.1mm以上2mm以下が好ましく、0.25mm以上1mm以下がより好ましく、0.4mm以上0.8mm以下がより好ましい。厚さが上記範囲であれば、機械的強度を確保でき、軽量化を達成できる。
シート状支持体又は円筒状支持体の役割は、樹脂硬化物の寸法安定性を確保することである。寸法安定性の高いものを選択することが必要である。線熱膨張係数を用いて評価すると、上限値が100ppm/℃以下であることが好ましく、70ppm/℃以下であることがさらに好ましい。
支持体の構成材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂が積層された構成であってもよく、また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をシート状支持体として用いてもよい。シート状支持体として多孔質性シートを用いる場合、樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、樹脂硬化物層とシート状支持体とを一体化させ高接着性を得ることができる。
クロス又は不織布を形成する繊維としては、例えば、ニッケル、アルミニウム等の金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などのセラミックス繊維、木綿、麻、セルロース繊維等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維等の合成繊維が挙げられる。
また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製できるため、好ましい材料である。
シート状支持体や円筒状支持体の線熱膨張係数の低減化を図る方法としては、例えば、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロス等に樹脂を含浸させ、あるいは被覆する方法が挙げられる。
充填剤としては、従来公知の有機系微粒子、金属酸化物や金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子等が挙げられる。
また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子を用いることができる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
上述した支持体の表面には、所定の物理的、化学的処理を施してもよい。
これにより、例えば、隣接する層との接着性を向上させることができる。
物理的処理方法としては、例えば、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法等が挙げられる。
化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法等が挙げられる。
〔硬化性樹脂組成物の硬化方法〕
(光硬化)
硬化性樹脂組成物が感光性樹脂組成物である場合、光照射により架橋させ、感光性樹脂硬化物とする。また、成型しながら光照射により架橋させてもよい。
光硬化用の光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、殺菌灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
照射光は、200nm〜300nmの波長の光が好ましい。
特に水素引き抜き型光重合開始剤を含有している場合、これは、上記波長領域に強い光吸収を有しているため、層表面の硬化性を充分に確保できる。
光硬化用の光源は、1種類でもよいが、波長の異なる2種類以上の光源を用いることにより、樹脂の硬化性の向上が図られる。
(熱硬化)
硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物である場合、加熱処理により、熱硬化性樹脂硬化物とする。
加熱方法は、赤外線を照射する方法、オーブン等で加熱した雰囲気に曝す方法、加熱した金属等の物体と接触する方法等が挙げられる。加熱温度は、熱重合開始剤の種類に応じて選択する。
なお、上述した樹脂硬化物層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
この場合、少なくとも1層の感光性樹脂組成物の光硬化物層を含むことが好ましい。
多層構造とすることにより、表面層を硬い樹脂で形成し下部層を柔らかい樹脂で形成することにより、最終的に得られるレーザー彫刻印刷版を用いて、圧力をかけて印刷を行った場合にも、版面の凸部が変形しにくく、印刷パターンのぶれが防止でき、安定した印刷を行うことができるようになる。
〔クッション層〕
上述した本実施の形態におけるレーザー彫刻印刷版の製造方法においては、樹脂硬化物層の下層として、所定のクッション層を設けてもよい。
特に支持体として、円筒状支持体を用いた場合、この支持体と樹脂硬化物層との間にクッション層を設けることが好適である。
クッション層の材料としては、ショアA硬度が10以上70度以下、あるいはASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層が好適である。
ショアA硬度が10度以上あるいはASKER−C硬度が20度以上であれば、適度に変形するため、作製されたレーザー彫刻印刷版を用いて印刷を行う際、高い品質の印刷パターンが得られる。また、ショアA硬度が70度以下あるいはASKER−C硬度が85度以下であれば、クッション層としての機能を発揮できるが、ショア硬度は20〜60度が好ましく、ASKER−C硬度は45〜75度が好ましい。
ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
前記クッション層の材料は、特に限定されるものではなく、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等、ゴム弾性を有するものであれば、いずれも用いることができる。特にシート状や円筒状のレーザー彫刻印刷版に加工することを考慮すると、層形成時には液状樹脂組成物であり、光硬化工程後あるいは熱硬化工程後にエラストマー化する材料が好ましい。
また、クッション層の好適な材料としては、感光性樹脂硬化物を含有し、かつ気泡や有機系微粒子を含有する材料が挙げられる。有機系微粒子は、中空マイクロカプセルであって、中空マイクロカプセルの表面に無機系微粒子が付着しているものが好ましい。有機系微粒子の平均粒子径は1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上300μm以下がより好ましく、80μm以上200μm以下がさらに好ましい。
クッション層の密度は、0.1g/cm3以上0.9g/cm3以下が好ましく、0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下がより好ましく、0.4g/cm3以上0.6g/cm3以下がさらに好ましい。クッション層の密度がこれらの範囲であれば、印刷工程において衝撃を吸収できる。
クッション層の構成材料である熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに光重合性モノマー、可塑剤および光重合開始剤等を混合したもの、液状樹脂に光重合性モノマー、光重合開始剤等を混合した液状感光性樹脂組成物等が挙げられる。
その他の材料としては、例えば、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素等の化合物を架橋剤として用いる非硫黄架橋型ゴム、さらには、テレケリック液状ゴムを反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものも挙げられる。
また更には、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の材質で、独立あるいは連続気泡を層内に有する材料もクッション層として利用でき、市販品として入手可能なクッション材、クッションテープも使用できる。クッション層の片面あるいは両面に接着剤あるいは粘着剤が塗布されたものであってもよい。
〔レーザー彫刻印刷版の用途〕
本実施の形態により作製されるレーザー彫刻印刷版は、電子素子の導体、半導体、絶縁体の印刷、あるいは光学素子の印刷を行う分野において用いることが好ましい。
電子素子としては、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機半導体、アンテナ回路、液晶ディスプレイ素子、プラズマ発光素子等が挙げられる。
光学素子としては、マイクロレンズアレイ、光導波路等が挙げられる。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、下記の実施例及び比較例において適用するレーザー彫刻方法と、各種物性の測定方法を示す。
〔(1)レーザー彫刻方法〕
(表面の規則配列した微細パターン形成)
レーザー(α)として、半導体レーザー励起固体レーザー(米国スペクトラフィジックス社製、商標「Vangard」)の第三高調波(波長355nm、発振周波数:80MHz、平均出力:2.5W)を用いた。
シリンダーを回転させながら、レーザーヘッドをシリンダーの長軸方向へ移動させて、樹脂硬化物表面にパターンを彫刻した。
樹脂硬化物表面に照射されるレーザーエネルギーは、音響光学素子(AOモジュレーター)を用いて制御した。
(粗いパターン形成)
レーザー(γ)として、連続発振炭酸ガスレーザーを用いた。
レーザー彫刻は炭酸ガスレーザー彫刻機(商標:ZED−mini−1000、英国、ZED社製、米国、コヒーレント社製、出力250W炭酸ガスレーザーを搭載、レーザーの発振波長は10.6μm)を用いて行った。
彫刻は、網点(120線/インチ、面積率10%)パターンと、寸法10mm×10mmの四角パターンがピッチ20mmでXY方向に規則配列したパターンに設定して行った。
四角パターン部での深さは、0.4mmとした。
〔(2)粘度の測定方法〕
下記の感光性樹脂組成物、及び有機化合物(b)の粘度は、B型粘度計(商標、B8H型;日本国、東京計器社製)を用いて20℃の条件下で測定した。
〔(3)数平均分子量の測定方法〕
下記の樹脂(a)、有機化合物(b)の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。
高速GPC装置(日本国、東ソー社製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1質量%のTHF溶液を調製し、注入量を10μLとした。また、検出器としては、示差屈折計を用いた。
〔(4)レーザー(α)のビーム径の測定方法〕
レーザー(α)のビーム径は、樹脂硬化物表面に形成される凹部の径を20箇所選択し、レーザー顕微鏡(レーザーテック社製、商標「OPTELICS、H1200」)で測定し、平均値を算出した。
〔(5)レーザー(γ)のビーム径の測定方法〕
レーザー(β)のビーム径としては、凸状パターン表面以外に形成されたパターンの最小幅か、レーザー(γ)を1点に照射して得られる凹パターンの寸法をレーザー顕微鏡(レーザーテック社製、商標「OPTELICS、H1200」)で20箇所について測定した平均値のいずれかとした。
〔実施例1〕
(樹脂(a)の作製)
温度計、攪拌機、還流器を具備する1Lのセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール(旭化成株式会社製、商標「PCDL L4672」(数平均分子量1990、OH価56.4)447.24gと、トリレンジイソシアナート30.83gを加え、80℃に加温した後、約3時間反応させた。
その後、2−メタクリロイルオキシイソシアネート14.83gを添加し、さらに約3時間反応させ、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)であり、数平均分子量が約10000の樹脂(a)を製造した。
この樹脂は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
(感光性樹脂組成物の作製)
樹脂(a):上記のように作製した樹脂 70質量部
有機化合物(b):フェノキシエチルメタクリレート(分子量190)10質量部
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部
多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学株式会社製、商標「サイロスフェアC−1504」(以下略してC−1504、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5質量%、吸油量290mL/100g) 5質量部
光重合開始剤:ベンゾフェノン0.5質量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6質量部
安定剤:2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン 0.5質量部
上記材料を混合し、感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物は、20℃において液状であった。また、B型粘度計を用いて測定した粘度は、20℃において1200Pa・sであった。
(感光性樹脂硬化物の作製)
上記のようにして調製した20℃において液状の感光性樹脂組成物を、ガラス板上に設置した、厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)上に、厚さ1.5mmで塗布し、上下からケミカルランプの紫外線を4000mJ/cm2で照射し、シート状の感光性樹脂硬化物を形成した。これにより印刷原版が得られた。
(規則配列した微細パターンの形成)
上記のようにして作製したシート状の感光性樹脂硬化物に表面に、半導体レーザー励起固体レーザー(米国スペクトラフィジックス社製、商標「Vangard」)の第三高調波を照射して、深さ8μm、直径5μmの、円形の凹部(凹部(β))を10μmピッチで規則配列に設定して形成した。
レーザー顕微鏡で凹部の開口部直径を20箇所測定したところ、平均値は5.1μmであったため、ビーム径は5.1μmとした。
凹部(β)の深さを20箇所測定した結果、平均値は8.3μmであった。
また、隣接する凹部の中心間の距離を20箇所測定した結果、平均値は10.3μmであった。
(炭酸ガスレーザーによる粗いパターンの形成)
規則配列した微細パターンが表面に形成されたシート状の感光性樹脂硬化物を、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製 商標:ZED−mini−1000)のシリンダーに固定し、画像パターン(凹部(δ))を形成した。
また、別途、レーザービーム径の測定用の、螺旋状に線状の凹パターンを形成した。その凹パターンの幅をレーザー顕微鏡で20箇所測定したところ30μmであった。
作製されたレーザー彫刻印刷版を用い、精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)により、ガラス板上に銀ナノペースト(ハリマ化学社製 商標「NPS−J」)で導電性パターンの印刷を行った。導電性パターンの厚さは5μmであり、実用上十分な厚さが得られた。
〔実施例2〕
上述した実施例1で作製した液状の感光性樹脂組成物を用いた。
厚さ0.45mmのガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂製スリーブをエアーシリンダーに装着し、その上に光硬化性接着剤層を厚さ0.2mmで塗布した。
続いて、実施例1で作製した液状の感光性樹脂組成物を、厚さ1.3mmに積層製膜した。
次に、メタルハライドランプ(米国 フュージョン社製)からの紫外線を4000mJ/cm2(波長350nmにおける積算光量)照射し、全面を光硬化させた。その後、表面粗度Raが0.5μmとなるように研削・研磨により表面調整を行った。
上述した工程により、円筒状の印刷原版を得た。
この円筒状の印刷原版を、実施例1と同様に、先ず半導体励起固体レーザーの第三高調波により、深さ10μm、直径5μmの円形の凹部パターン(凹部(β))を、10μmピッチで規則配列させて形成した。
次に、実施例1と同様に、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製 商標:ZED−mini−1000)で、直径100μm、ピッチ200μmで規則配列した円形パターン(凹部(δ))を彫刻し、円筒状のレーザー彫刻印刷版を得た。
上述のようにして得られた円筒状のレーザー彫刻印刷版を、実施例1で用いた精密印刷機のエアーシリンダーに装着し、フルオレン骨格を有する液状のUV硬化樹脂(大阪ガスケミカル社製 商標「オグゾールEA−F5003」)をインキとして用い、ガラス基板上に印刷を行った。
その後、超高圧水銀灯により、5000mJ/cm2(波長350nmでの積算光量)で照射を行うことにより、ガラス基板上に厚み12μmの曲面を有する半球状のマイクロレンズパターンが形成された。
〔実施例3〕
(感光性樹脂組成物の作製)
樹脂(a):数平均分子量が約10万のポリカーボネートポリウレタン(大日精化社製、商標「レザミンP890」) 70重量部
有機化合物(b):フェノキシエチルメタクリレート(分子量190) 30重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(分子量338) 1重量部
多孔質性微粉末シリカ(富士シリシア化学社製、商標「サイロスフェアC−1504」)5重量部
光重合開始剤:ベンゾフェノン 0.5重量部
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン 0.6重量部
安定剤:2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン 0.5質量部
上記材料を、小容量加圧型ニーダー(モリヤマ社製 商標「D1−5」)を用いて、温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調整した。
(シート状の感光性樹脂組成物の作製)
上記のようにして作製した感光性樹脂組成物を、接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ50μmのPETフィルム上に、2軸押し出し装置(テクノベル社製 商標「KZW−TW」)を用いて、厚さ1.1mmで押し出し形成した。
更にシリコン離型処理した厚さ50μmのカバーシートで挟み、シート状の感光性樹脂組成物を形成した。
この感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
作製したシート状の感光性樹脂組成物を、ガラス平板上に設置し、上下両面からケミカルランプ(オランダ国、フィリップス社製 商標「10R」)により紫外線(4000mJ/cm2(350nmでの積算光量))を照射し、シート状の感光性樹脂硬化物とし、印刷原版を得た。
その後、実施例1と同様の工程により、凹部(β)と凹部(δ)を形成し、シート状のレーザー彫刻印刷版を得た。
凹部(β)の深さは7.8μm、開口部寸法は4.9μm、配列ピッチは9.9μmであった。
このレーザー彫刻印刷版を用いて、実施例1と同じ精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)により、ガラス板上に銀ナノペースト(ハリマ化学社製 商標「NPS−J」)で導電性パターンの印刷をいった。導電性パターンの厚さは3μmであり、実用上十分な厚さが得られた。
〔実施例4〕
樹脂(a):実施例1により作製した樹脂(a)70質量部
有機化合物(b):フェノキシエチルメタクリレート(分子量 206)20質量部
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(分子量400)10質量部
熱重合開始剤:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂株式会社製 商標「パーブチルE」)1質量部
安定剤:2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン 0.5質量部
これらの材料を、70℃で混合し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
この熱硬化性樹脂組成物を、金属板上に固定したPET製カバーフィルム上に、厚さ1.5mmで塗布し、その上に厚み50μmのPETフィルムを被せ、更に、その上に金属板を置き、130℃に温調したオーブン中に入れて、20分間加熱しシート状の樹脂硬化物を形成し、レーザー彫刻印刷原版を得た。
その後、実施例1と同様の工程により、凹部(β)と凹部(δ)を形成し、シート状のレーザー彫刻印刷版を得た。
凹部(β)の深さは7.9μm、開口部寸法は5.0μm、配列ピッチは10μmであった。
上記シート状のレーザー彫刻印刷版をフレキソ印刷機(伊予機械製作所社製 商標「ITM−III型」)に装着し、コート紙に水性インキ(東洋インキ社製 商標「HW571AQP プロセス藍」)を用いて印刷を行った。
乾燥処理を行った後の、印刷パターンの膜厚が2μmであり、実用上十分な厚さが得られた。
〔実施例5〕
樹脂(a):数平均分子量が約10万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体 70質量部
有機化合物(b):ヘキサメチレンジアクリレート(分子量254)10質量部
数平均分子量2000の液状ポリブタジエン15質量部
脂環族炭化水素可塑剤 10質量部
光重合開始剤:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン 0.6質量部
安定剤:2,6−ジ−t−ブチルアセトフェノン 0.5質量部
上記材料を、ニーダーを用いて温度130℃で混合し、感光性樹脂組成物を調製した。
上記のようにして作製した感光性樹脂組成物を、2軸押し出し装置を用いて、接着剤が表面に薄く塗布されている厚さ188μmのPETフィルム上に、厚さ1.7mmで押し出し、更にシリコン離型処理した厚み15μmのカバーフィルムで挟み、シート状の感光性樹脂組成物を形成した。このシート状の感光性樹脂組成物は、20℃において固体状であった。
上記のようにして作製したシート状の感光性樹脂組成物を、ガラス平板上に設置し、上下両面からケミカルランプ(オランダ国、フィリップス社製 商標「10R」)により紫外線を4000mJ/cm2(350nmでの積算光量)とした条件で照射し、シート状の感光性樹脂硬化物を作製した。
その後、実施例1と同様の工程により、凹部(β)と凹部(δ)を形成し、シート状のレーザー彫刻印刷版を得た。
凹部(β)の深さは10μm、開口部寸法は5.0μm、配列ピッチは10μmであった。
レーザー彫刻時には、液状彫刻カスが多量に発生した。これは、液状彫刻カスを除去するための多孔質微粒子を含有させなかったためである。そこで、表面に残存していた彫刻カスを洗浄により除去した。
実施例1と同様にして、精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)により、ガラス板上に銀ナノペースト(ハリマ化学社製 商標「NPS−J」)で導電性パターンの印刷を行った。導電性パターンの厚さは5μmであり、実用上十分な厚さが得られた。
〔実施例6〕
上述した実施例1と同様の工程により、シート状の感光性樹脂硬化物を形成し、レーザー彫刻印刷原版を作製した。
次に、感光性樹脂硬化物の表面に、エキシマレーザー微細加工システム(ベルギー国、オプテック社製、商標「MicroMaster」))を用いて、規則配列した円形の凹パターンを形成した。エキシマレーザー(独国、ATL社製)は、波長248nm、パルスエネルギー10mJ/パルス、繰り返し周波数200Hz、平均出力2Wであった。
レーザー光の照射工程においては、縮小投影倍率を10倍に設定し、マスクユニットに装着されたニッケル製マスクを通過したレーザービームを集光レンズで絞り、シート状の感光性樹脂硬化物の表面に照射した。ニッケル製マスクとしては、孔径20μm、ピッチ40μmで規則配列した貫通孔が開いているものを使用した。ニッケル製マスクは、写真製版技術と鍍金法により作製した。
このマスクを用いることにより、マスクの孔を通してレーザーが通過するので、一度に複数の孔の加工ができた。
また、XYステージでシート状感光性樹脂硬化物を動かすことによって、大面積を加工することができた。
このようにして、シート状の感光性樹脂硬化物の表面に、開口径2μm、ピッチ4μm、深さ5μmの微細な凹パターンを規則配列させて形成した(凹部(β))。
その後、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製 商標:ZED−mini−1000)で、粗いパターンを形成した(凹部(δ))。
この凹部(δ)は、網点部における深さが約100μmであり、寸法10mm×10mmの四角パターン部では深さが400μmであった。
上記のようにして得られたシート状のレーザー彫刻印刷版を用いて、実施例1と同じ精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)により、ガラス板上に銀ナノペースト(ハリマ化学社製 商標「NPS−J」)で導電性パターンの印刷を行った。導電性パターンの厚さは4μmであり、実用上十分な厚さが得られた。
〔実施例7〕
上述した実施例1と同様の工程により、シート状の感光性樹脂硬化物を形成し、印刷原版を作製した。
上述した実施例6と同じエキシマレーザー微細加工システム(ベルギー国、オプテック社製、商標「MicroMaster」))を用いて、感光性樹脂硬化物の表面に、規則配列した円形凹パターンを形成した。
ニッケル製マスクは、孔径5μm、ピッチ10μmで規則配列した貫通孔が開いているものを使用した。
感光性樹脂硬化物の表面に形成された凹パターンは、開口径0.5μm、ピッチ1μm、深さ3μmの微細な凹パターンを規則配列させて形成した(凹部(β))。
その後、実施例6と同様にして、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製 商標:ZED−mini−1000)で、粗いパターンを形成した(凹部(δ))。
この凹部(δ)は、網点部における深さが約100μmであり、寸法10mm×10mmの四角パターン部では深さが400μmであった。
上記のようにして得られたシート状のレーザー彫刻印刷版を用いて、実施例1と同じ精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)により、ガラス板上に銀ナノペースト(ハリマ化学社製 商標「NPS−J」)で導電性パターンの印刷を行った。導電性パターンの厚さは2μmであり、実用上十分な厚さが得られた。
〔比較例1〕
上述した実施例1と同様の工程により、シート状の感光性樹脂硬化物を形成し、印刷原版を作製した。
(炭酸ガスレーザーによる粗いパターンの形成)
シート状の感光性樹脂硬化物を、炭酸ガスレーザー彫刻機(英国、ZED社製 商標:ZED−mini−1000)のシリンダーに固定し、レーザーの平均出力20Wの条件で、粗い凹部パターンを形成した。
別途、レーザービーム径の測定用に螺旋状に線状の粗い凹パターンを形成し、印刷版を得た。
その粗い凹パターンの幅をレーザー顕微鏡で20箇所測定したところ30μmであった。
このシート状印刷版により実施例1と同じ精密印刷機(日本電子精機社製、商標「JSC−m60.60−M」)を用いて、ガラス板上に銀ナノペースト(ハリマ化学社製 商標「NPS−J」)で導電性パターンの印刷を行った。導電性パターンの厚さは50nmであり、実用上十分な厚さが得られなかった。
この比較例1においては、レーザー彫刻印刷版の、凸状パターン表面に、微細な凹部が存在していないので、転写されたインキ(銀ナノペースト)の量が少ないことにより、上記のように十分な厚さの導電性パターンが形成できなかった。
〔比較例2〕
上述した実施例5と同様にして、シート状の感光性樹脂組成物を作製し、これを用いて従来公知の写真製版技術により表面にパターンを形成した。
シート状の感光性樹脂組成物にカバーフィルムを付けた状態で、該カバーフィルム上に銀塩ネガフィルム(渕上ミクロ社製)を密着させて、ケミカルランプ(オランダ国、フィリップス社製 商品名「10R」)により紫外線を照射し露光を行った。
先ず、PETフィルム側から300mJ/cm2(波長350nmでの積算光量)で照射し、ベース部を形成した後、カバーフィルム側から銀塩ネガフィルムを通して同様の光照射を行い、粗いパターンの潜像を形成した。
未露光部は、炭化水素系現像液(米国マクダーミッド社製、商標「ソルビット」)を用いて溶解除去し、オーブンで2時間乾燥処理を施し、目的とするシート状印刷版を得た。
このシート状印刷版の表面には、微細パターンと、それ以外の粗いパターンが共存しているため、所望のパターン形成が可能な露光マスクを作製するために長時間を要した。
更に、現像工程において、可塑剤等が抽出されたためと推定されるシートの反りが発生した。
また、粗いパターン部の中央部には、光硬化収縮のためと推定される厚さが薄くなるカッピング現象が確認された。
得られたシート状印刷版を実施例1で使用した精密印刷機に取り付け、印刷を行ったところ、上記カッピング現象に起因する印刷膜厚むらが観察された。
更に、インキ中の溶剤成分のため、印刷版の膨潤が発生し、徐々に膜厚薄くなり、膜の均一性が大きく低下した。
本発明の製造方法は、電子素子、光学素子、具体的には、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機半導体、アンテナ回路、液晶ディスプレイ素子、プラズマ発光素子等のパターン形成を印刷で行うレーザー彫刻印刷版の製造技術として産業上の利用可能性がある。

Claims (16)

  1. レーザー彫刻印刷版の製造方法であって、
    (1)硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたシート状又は円筒状の樹脂硬化物層を有する印刷原版表面に、ビーム径0.1μm以上10μm未満のレーザー(α)を複数箇所へ照射し、規則配置された凹部(β)を形成する工程と、
    (2)前記凹部(β)が形成された印刷原版の表面に、ビーム径10μm以上100μm以下のレーザー(γ)を照射し、照射部分に凹部(δ)を形成する工程と、
    を有するレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  2. 前記凹部(β)の深さを0.5μm以上20μm未満とし、
    前記凹部(δ)の深さを20μm以上2mm以下とする請求項1に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  3. 前記凹部(β)の表面開口寸法を0.1μm以上10μm未満とする請求項1又は2に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  4. 前記凹部(β)を、0.2μm以上20μm未満のピッチで規則配置する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  5. 前記レーザー(α)をパルス発振紫外線レーザーとし、発振周波数が1kHz以上200MH以下であって、レーザー光の波長が150nm以上400nm以下、パルス時間半値幅が10フェムト秒以上50ナノ秒以下であるものとする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  6. 前記樹脂硬化物層が、少なくとも1層の感光性樹脂組成物の光硬化物層を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  7. 前記硬化性樹脂組成物が、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポリビニルアルコール、及びビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  8. 前記硬化性樹脂組成物が、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種類の樹脂を含有し、20℃において液状であって、20℃における粘度が50Pa・s以上10kPa・s以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  9. 前記樹脂硬化物層を、中空円筒状支持体上に形成する工程を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  10. 前記中空円筒状支持体が、繊維強化プラスチック製スリーブ又は金属製スリーブである請求項9に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  11. 前記繊維強化プラスチック製スリーブが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、及びセラミックス繊維からなる群から選択される少なくとも1種類の繊維を含有する請求項10に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  12. 中空円筒状支持体と前記樹脂硬化物層との間に、クッション層を形成する工程をさらに有する請求項9乃至11のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  13. 前記クッション層が熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を含有しており、前記クッション層を形成する工程において、熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を硬化させる工程を有する請求項12に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法であって、
    電子素子又は光学素子のパターン印刷形成に用いられるレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  15. 前記電子素子が、有機電界発光素子、有機太陽電池、有機半導体、アンテナ回路、液晶ディスプレイ素子、及びプラズマ発光素子からなる群から選択されるいずれかである請求項14に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
  16. 前記光学素子が、マイクロレンズアレイ又は光導波路である請求項14に記載のレーザー彫刻印刷版の製造方法。
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