JP2001270259A - 改良された感熱平版印刷原版 - Google Patents

改良された感熱平版印刷原版

Info

Publication number
JP2001270259A
JP2001270259A JP2000088466A JP2000088466A JP2001270259A JP 2001270259 A JP2001270259 A JP 2001270259A JP 2000088466 A JP2000088466 A JP 2000088466A JP 2000088466 A JP2000088466 A JP 2000088466A JP 2001270259 A JP2001270259 A JP 2001270259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
printing
lithographic printing
plate
microcapsule
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000088466A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Kurihara
正明 栗原
Hiroshi Tomeba
啓 留場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000088466A priority Critical patent/JP2001270259A/ja
Publication of JP2001270259A publication Critical patent/JP2001270259A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 熱により画像部に変化するマイクロカプ
セルと親水性の結合材を有する記録層及び支持体を備え
る平版印刷版であって、マイクロカプセル壁が平均でマ
イクロカプセル1つ当たり1つ以上の孔を有している感
熱平版印刷原版。 【効果】 本発明により、地汚れが極めて少なくしかも
画像耐刷性の高い平版印刷版、およびその製造可能な平
版印刷原版を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は現像不要で耐刷性に
優れたオフセット印刷用ダイレクト感熱平版印刷原版に
関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの普及につれ、版材構成と
ともに種々の平版の製版方法が提案されている。実用面
からは、版下からポジ若しくはネガフィルムを作製して
平版印刷原版に焼き付ける方法が一般に行われている
が、該フィルムを介することなく版下から直接製版する
電子写真版や銀塩写真版、あるいは、電子組版、DTP
(デスクトップ・パブリッシュメント)で編集・作製さ
れた印刷画像情報を、可視画像化することなく、直接版
材にレーザー若しくはサーマルヘッドで印字し製版でき
る、所謂コンピュータ・ツー・プレート(CTP)タイ
プの平版材が登場するにいたっている。特にCTPタイ
プの版材は製版工程の合理化と短縮化、材料費節減が可
能となることから、CTS化が完了した新聞製作、プリ
プレス工程がデジタル化された商業印刷等の分野で大い
に期待されている。
【0003】かかるCTP版材としては、感光性タイ
プ、感熱性タイプあるいは電気エネルギーで製版するタ
イプの版材が知られている。感光性タイプあるいは電気
エネルギーで製版する版材は、版価格が従来のPS版に
比べ割高となるばかりでなく、その製造装置も大型かつ
高価であるため、これらの版材および製版工程は実用化
には至っていない。さらに、これらは現像液の廃棄処理
の問題も有する。感熱性タイプの版材は、社内印刷を始
めとする軽印刷用途に幾つか開発されている。特開昭6
3−64747号公報、特開平1−113290号公報
等には、支持体上に設けられた感熱層に分散させた熱溶
融樹脂および熱可塑性樹脂を熱印字により溶融し、加熱
部を親水性から親油性に変化させる版材が開示され、米
国特許第4034183号、同4063949号明細書
には、支持体上に設けられた親水性ポリマーをレーザー
照射し親水性基を無くし親油性に転換させる版材が開示
されている。しかしながら、これらの版材は、版表面に
存在する熱溶融物質によるインキの受容により非画像部
が汚れたり、耐刷性が不十分であったり、また、版材設
計の自由度が低いという問題があった。
【0004】特開平3−108588号公報、特開平5
−8575号公報には、マイクロカプセル化された熱溶
融物質と結着性樹脂とからなる感熱記録層を支持体に設
け、加熱部を親油性に変化させる版材が開示されてい
る。しかし、これらの版材ではマイクロカプセル化され
た熱溶融物質から形成される画像が脆弱であって、耐刷
性において満足のいくものではなかった。一方、特開昭
62−164596号公報、同62−164049号公
報には、親水性表面を有する支持体上に活性水素含有バ
インダーポリマーと共にブロックイソシアネートとから
なる記録層を設けた平版印刷原版及びその方法が開示さ
れている。しかし、この版材は、印字後、非印字部分を
除去する現像工程が必要である。
【0005】さらに、ダイレクト型平版印刷材料の一つ
に、親水層の表面に画像部をインキジェットやトナー転
写等の外的手段で形成する直描型平版印刷材料がある。
特開昭62−1587号公報には、マイクロカプセル化
した非反応性の熱溶融性物質を塗布し、加熱印字により
トナー受理層を形成する版材が開示されている。しか
し、形成されたトナー受理層に親油性のトナー等を固着
して初めて印刷版となるものであり、印字後、画像部が
形成されるものではない。
【0006】このように従来の感熱性平版印刷用の版材
は、耐刷力に乏しいか親油性に乏しいため、軽印刷など
の用途に限られていた。また、その製版工程において現
像工程を要するものもあった。そこで特開平07−01
849号公報、特開平07−01850号公報、特願平
08−161840号、特願平08−272023号に
は熱により画像に転換する反応性マイクロカプセルを三
次元架橋した親水性バインダー中に分散した形の版材が
記載されている。これらの版材は熱モードのダイレクト
版材であって、印加エネルギーとして近赤外線レーザー
を用いるために通常の室内での取り扱いが可能であり、
また現像が不要であるために製版工程を大きく簡略化で
きる利点がある。
【0007】一方、特開平11−157209号公報に
は、感圧感熱記録用の多孔カプセル及びその製造方法が
開示されている。このマイクロカプセルは、マイクロカ
プセル壁の内表面又は外表面のいずれか一方を閉塞し、
加圧、加熱時の内包物の放出特性を制御することを主眼
としたものである。これに対し、本発明はマイクロカプ
セルの合成や精製段階、記録層ドープ調合時など、記録
層を基材に設けるまでの段階においての内包物やドープ
構成物質の移動に係わるものであり、前記公知技術とは
本質的に異なる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、先行する
技術は、版性能、製版装置、製版作業性、あるいは版材
や製版、装置のコストの点で商業レベルでの実施に問題
があった。本発明は、従来のダイレクト型オフセット版
材のこれらの問題点を解決することを目的とするもので
ある。即ち、本発明の目的は、更に耐刷性が改善され
た、平版印刷原版を低価格で安定して供給することであ
る。さらに、製版工程において、現像液などの廃棄物処
理の必要な現像工程がなく、専用の大掛りかつ高価な製
版装置を用いなくとも製版できる平版印刷原版およびそ
の製版方法を提供することも本発明の目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
を解決するべく鋭意検討を重ねてきたが、マイクロカプ
セルに孔が形成されている場合、画像耐刷性、非画像性
耐刷性ともに向上することを偶然発見し、本発明に至っ
た。請求項1に係わる感熱平版印刷原版は、熱により画
像部に変化するマイクロカプセルと親水性の結合材を有
する記録層及び支持体を備える平版印刷版であって、マ
イクロカプセル壁が平均でマイクロカプセル1つ当たり
1つ以上の孔を有していることを特徴とする。
【0010】請求項2に係わる感熱平版印刷原版は、請
求項1記載の感熱平版印刷原版であって、前記マイクロ
カプセルが水中油滴型エマルションを経て形成され、精
製処理を施されたマイクロカプセルを含むことを特徴と
する。請求項3に係わる感熱平版印刷原版は、請求項1
または2記載の感熱平版印刷原版であって、前記親水性
の結合材が親水性バインダーポリマーと、少なくとも多
価金属原子を含む架橋材を有していることを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の感熱平版印刷原版は大きく分けて記録層、支持体
に分けることができるが、まず最初に記録層について説
明する。本発明の記録層は、熱により画像部に変化する
マイクロカプセルと親水性の結合材によって構成され
る。本発明に於いて、マイクロカプセルは、マイクロカ
プセル壁が平均でマイクロカプセル1つ当たり1つ以上
の孔を有していることが必要である。マイクロカプセル
壁に孔が存在することにより、画像部、非画像部の耐刷
性が向上する。耐刷性が向上する機構は、定かではない
が、記録層を構成するドープ調合時に親水性の結合材が
マイクロカプセル中に流入し、結合材が架橋される際に
マイクロカプセルが強く結合されることによると推察さ
れる。
【0012】マイクロカプセル壁の孔径は、マイクロカ
プセル内包物や親水性の結合材が使用される溶媒などと
共に透過できるサイズ以上であればよい。孔数や孔径の
上限に関しては特に限定されず、マイクロカプセル壁の
構造や壁厚等によるが、マイクロカプセルの強度の観点
から、孔の総面積のマイクロカプセル壁表面積に対する
割合は50%以下が好ましく、30%以下が更に好まし
い。
【0013】本発明に於いて、マイクロカプセルに孔を
形成する手段は特に限定されず、例えば、壁の構造、内
包物の分散媒への溶解性、壁の内包物による膨潤特性、
内包物と分散媒の構成比、マイクロカプセルの合成条
件、内包物の揮発特性等及びこれらの組み合わせやバラ
ンスによって合成過程に於いて形成する方法、壁構造中
に後に溶出して孔を形成する物質を予め混入し、溶剤類
を用いて孔を形成する方法、壁構造中や内包物中に分解
したり気化しやすい物質を混入しマイクロカプセル合成
後又は合成時に孔を形成する方法、マイクロカプセル合
成後に続いて行う精製工程によって内包物や壁中の成分
を部分的に除去して形成する方法などがある。
【0014】マイクロカプセルを合成する方法は特に限
定されず、公知の方法によって合成される。即ち、例え
ば経営開発センター経営教育部編「マイクロカプセル化
の新技術とその用途開発・応用実例」経営開発センター
出版部刊(1978)などに記載される公知の方法に従
って合成されたものであり、例えば、互いに溶解しあわ
ない二つの液体の界面で、予め各々の液体に添加してあ
るリアクタントを重縮合させ、両溶媒に不溶なポリマー
膜を形成させ、カプセル膜を作る界面重合法、芯物質の
内側または外側のどちらか一方のみからリアクタントを
供給し、芯物質の周囲にポリマー壁を形成させるin−
situ法、親水性ポリマー溶液中に分散させた疎水性
物質の表面に、親水性ポリマーを相分離させ、カプセル
膜を作るコンプレックスコアセルベート法、有機溶液系
からの相分離法等により合成される。中でも、界面重合
法、in−situ法が比較的多くの芯物質のカプセル
化が容易に行えるため好ましい。生成したカプセル中の
内包物の形態は、原料状態と異なるものであってもよ
く、例えば、原料状態が液体であったものが、合成途中
で印字による熱で流動しうる程度のゲル状、あるいは高
粘稠性体、あるいは固体になったり、逆に固体であった
ものが合成途中で液体になってもよい。
【0015】本発明のマイクロカプセルの内包物は、印
字処理を施された際に後述する親水性結合材の親水性を
低下させ画像部に転換できる物質(画像形成材料)であ
れば特に限定されないが、フェニルイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレン
ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′
−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネ
ート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
キシリレンジイソシネート、リジンジイソシアネート、
トリフェニルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプ
タントリイソシアネート、トリデンジイソシアネート、
ポリメチレン−ポリフェニルイソシアネート、ポリメリ
ック−ポリイソシアネート等のイソシアネート;トリメ
チロールプロパンと1,6−ヘキサンジイソシアネート
あるいは2,4−トリレンジイソシアネートといった上
記ジイソシアネートとの1対3モル付加体等のポリイソ
シアネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレ
ートのオリゴマーおよびポリマーなどのイソシアネート
化合物及びそれらのウレタン、ウレア、アミド変性体;
N,N′−メチレンビスアクリルアミド、(メタ)アク
リロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アク
リルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノネ
オペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2ピロ
リドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロール
(メタ)アクリルミド、パラスチレンスルホン酸および
その塩、
【0016】メトキシトリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート(PEGの数平均分子量400)、ポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数
平均分子量600)、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(P
PG数平均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタ
クリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビ
ス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエ
トキシ)フェニル]プロパンおよびそのアクリレート
体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジ
ェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルハイドロジェンサクシネート、
【0017】ポリエチレンおよびポリプロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタン
トリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテ
トラ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アク
リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、モノ(2−
アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートおよ
びそのメタクリル体、グリセリンモノおよびジ(メタ)
アクリレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソ
シアヌレートおよびそのメタクリル体、2−イソシアナ
トエチル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アク
リルモノマー類、これらと単官能(メタ)アクリレート
との組合せ、
【0018】さらには前述の親水性基を含有する(メ
タ)アクリレートモノマーとの組合せ;N−フェニルマ
レイミド、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミ
ド、N−ビニルカルバゾール、ジビニルエチレン尿素、
ジビニルプロピレン尿素、トリアリルイソシアヌレート
等の多官能アリル化合物、これらと単官能アリル化合物
との組合せ;さらには、水酸基、カルボキシル基、アミ
ノ基、ビニル基、チオール基、エポキシ基等の反応性基
をポリマー分子両末端に含有する1,2−ポリブタジエ
ン、1,4−ポリブタジエン、水添加1,2−ポリブタ
ジエン、イソプレン等の液状ゴム;ウレタン(メタ)ア
クリレート等の各種テレキーリック性ポリマー;炭素−
炭素不飽和基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エ
ポキシ基含有反応性ワックス;プロピレングリコール−
ジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコール−ジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール−ジグ
リシジルエーテル、ネオペンチルグリコール−ジグリシ
ジルエーテル、トリメチロールプロパン−トリグリシジ
ルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエー
テル等の多官能エポキシ化合物等が使用できる。さらに
は、既存のPS版の画像成分として使用されている架橋
前の公知の、(メタ)アクリルコポリマーやウレタンア
クリレート、ジアゾ樹脂も使用出来る。
【0019】また、合成・天然樹脂として、ポリアミド
系、ポリエステル系、アクリル酸エステル系、メタクリ
ル酸エステル系、アクリロニトリル系、ポリウレタン
系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリフ
ルオロエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン
系、ポリスチレン系、ポリブタジエン系、天然ゴム系の
他、シリコーン、シリコーンアクリル、シリコーンエポ
キシ、シリコーンアルキッド、シリコーンウレタンのよ
うなシリコーン系ポリマー等が挙げられ、必要に応じて
複数種類を用いてもよい。
【0020】また、画像情報の書き込みの際にレーザー
光を使用する場合には、用いるレーザーの発光波長領域
に吸収帯を有する光−熱変換物質をマイクロカプセル中
に含有させて用いる。かかる物質としては、例えば、松
岡賢著「JOEM ハンドブック2 アブソープション
スペクトル オブ ダイズ フォー ダイオードレイ
ザーズ」ぶんしん出版(1990)、シーエムシー編集
部「90年代 機能性色素の開発と市場動向」シーエム
シー(1990)第2章2.3に記載されているポリメ
チン系色素(シアニン系色素)、フタロシアニン系色
素、ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン、アント
ラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウ
ム、ジインモニウム系色素、アゾ系分散染料、インドア
ニリン金属錯体色素、分子間型CT色素等の染料、顔料
および色素がある。
【0021】具体的には、N−[4−[5−(4−ジメ
チルアミノ−2−メチルフェニル)−2,4−ペンタジ
エニリデン]−3−メチル−2,5−シクロヘキサジエ
ン−1−イリデン]−N,N−ジメチルアンモニウムア
セテート、N−[4−[5−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−3−フェニル−2−ペンテン−4−イン−1−
イリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデ
ン]−N,N−ジメチルアンモニウム パークロレー
ト、N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−N
−[4−[N,N−ビス(4−ジブチルアミノフェニ
ル)アミノ]フェニル]−アミニウム ヘキサフルオロ
アンチモネート、5−アミノ−2,3−ジシアノ−8−
(4−エトキシフェニルアミノ)−1,4−ナフトキノ
ン、N′−シアノ−N−(4−ジエチルアミノ−2−メ
チルフェニル)−1,4−ナフトキノンジイミン、4,
11−ジアミノ−2−(3−メトキシブチル)−1−オ
キソ−3−チオキソピロロ[3,4−b]アントラセン
−5,10−ジオン、5,16(5H,16H)−ジア
ザ−2−ブチルアミノ−10,11−ジチアジナフト
[2,3−a:2′3′−c]−ナフタレン−1,4−
ジオン、ビス(ジクロロベンゼン−1,2−ジチオー
ル)ニッケル(2:1)テトラブチルアンモニウム、テ
トラクロロフタロシアニン アルミニウムクロライド、
ポリビニルカルバゾール−2,3−ジシアノ−5−ニト
ロ−1,4−ナフトキノン錯体等が例示出来る。
【0022】更に、色素の溶解を促進すること、内包物
の分散媒への溶解特性を制御すること、マイクロカプセ
ル壁の膨潤状態を制御することなどを目的として、アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、
酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエ
ン、キシレン、ヘキサン、デカン等の炭化水素類、エチ
ルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のセルソルブ類、ジ
メチルスルフォキシド、ホルムアミド、及びジメチルホ
ルムアミド等の各種有機溶媒類を内包物に混合すること
ができる。これらの中で、マイクロカプセル合成の乳化
時に、水中油滴型(O/W型)エマルションを形成して
いる場合、親水性のバインダーポリマー中に分散しやす
いマイクロカプセルが比較的容易に得られるため本発明
においては好ましく用いられる。
【0023】また、マイクロカプセルの壁は、前述の如
くの合成方法により任意に設計できるが、マイクロカプ
セルが親水層に含有された状態で印刷した際に、非画像
部の地汚れが発生しないことが必要であり、親水性を有
していることが好ましい。代表的なものを例示すれば、
ポリウレタン/ウレア膜及びその変性体、付加重合性モ
ノマーの重合体もしくは共重合体からなるポリマー膜、
メラミン−ホルマリン樹脂類、アラビアゴム、アルギン
酸類などの天然高分子類及びその架橋体や変性体などが
挙げられる。マイクロカプセルのサイズは特に限定され
ないが、平均10μm以下、高解像力の用途には平均5
μm以下が好ましい。下限に関しては、熱かぶりなどの
観点から平均0.01μm以上であることが好ましい。
【0024】本発明に於いては、マイクロカプセル壁に
孔が存在するため、内包物が液体状の場合、マイクロカ
プセルの強度や内包物の分散媒に対する溶解性などにも
よるが、内包物がマイクロカプセル外に流出し、印刷時
に非画像部の汚れの原因となったり印刷版作製時にはじ
き発生の原因となったりすることがある。とりわけ、前
述のようにマイクロカプセルが水中油滴型エマルション
を経て形成される場合は、非画像部の汚れやはじきが顕
著となることが多い。これらの問題が発生した場合は、
後述の界面活性剤類、添加剤類等を混合する方法、マイ
クロカプセルに精製処理を施す方法などで非画像性能を
改善したりはじきの発生を抑制したりする必要が生じ
る。これらの中で、マイクロカプセルに精製処理を施す
方法は好ましく用いられる。即ち、精製処理により、予
めマイクロカプセル外に存在する汚れやはじきの原因物
質を取り除くことができ、界面活性剤類や添加剤類等の
混合のみによる方法に比べ、印刷版の性能のバランスを
取りやすいためである。当然のことながら、精製処理と
界面活性剤類や添加剤類等の混合する方法を組み合わせ
て使用することもできる。
【0025】本発明に於いて、マイクロカプセルを精製
する方法は特に限定されない。例示するならば、遠心分
離に代表される沈降を利用した沈降分離法、平膜、中空
糸状膜などを用いた濾過法、活性炭に代表される吸着剤
を用いた吸着法などがあり、これらを組み合わせて用い
ることもできる。本発明に於いてマイクロカプセルの精
製を沈降分離法で行う場合は、自然沈降や遠心分離法に
よって行われる。この際、必要に応じ、マイクロカプセ
ル合成原液を後述の分散媒で希釈してから行うこともで
きる。また、必要に応じ、沈降後上澄み液を廃棄し、再
度分散媒を添加してマイクロカプセルを分散させ、更に
沈降させる処理を繰り返して精製することもできる。更
に、遠心分離の場合は脱分散媒機構のついた遠心分離機
を用いて分散媒を除去しながら遠心分離したり市販の連
続式遠心分離機を用いて沈降物を取り出しながら遠心分
離することもできる。
【0026】これらの中で工業生産性の観点から遠心分
離法が好ましく用いられる。即ち、本発明の粒径範囲の
マイクロカプセルは一般に分散安定性が高いために自然
沈降法では、長時間かけて実施する必要があったり、沈
降助剤を併用する必要が生じる場合があるためである。
本発明においてマイクロカプセルの精製を濾過で行う場
合は、平膜を濾材として使用することも中空糸状濾過膜
を濾材として使用することもできるが、濾材の孔径は、
精製対象となるマイクロカプセルの平均粒径の1/2以
下のものが好ましく用いられる。即ち、精製対象となる
マイクロカプセルの平均粒径の1/2より大きな孔径を
もつ濾材を用いた場合は、マイクロカプセルの粒度分布
や濾材の孔径分布にもよるがマイクロカプセルの一部が
濾出して収率が低下するばかりか濾材にマイクロカプセ
ルが填り込み、詰まりが発生して高い濾過速度を維持で
きない場合があるためである。下限に関しては特に制限
はなく、濾過速度や精製の目的に応じ適宜選択すればよ
い。
【0027】濾材の材質は、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポ
リスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、セルロース系
など既存の材質がいずれも好適に用いられ、マイクロカ
プセルを含む溶液に対して膜物性の劣化が起こらない材
質を適宜選択して用いれば良い。
【0028】本発明に於いて、濾材は、中空糸状に成形
された中空糸状濾過膜が工業生産性の観点から好ましく
用いられる。即ち、平膜を用いた濾過法では、濾材の目
詰まりによって濾過速度が低下する場合が多く、目詰ま
りを回避するために濾材の交換を頻度高く行う必要が生
じるのに対し、中空糸状濾過膜の場合は、目詰まりが発
生しやすいケースでも後述するクロスフロー濾過法や逆
洗法を併用して容易に目詰まりを回避できるからであ
る。
【0029】本発明に於いて、濾材として中空糸状濾過
膜を使用する場合、糸径は精製されるマイクロカプセル
の平均粒径の2倍以上のものが好ましく用いられる。即
ち、糸径が細い場合には、中空糸状膜の端面でマイクロ
カプセルによる閉塞が発生し、高い濾過速度を維持でき
ない場合がある。上限に関しては特に制約はなく、工業
的に生産されやすくかつモジュール当たりの濾過面積が
広くとれる範囲で選択されればよい。
【0030】本発明において濾材として中空糸状濾過膜
を使用する場合、中空糸状濾過膜中にマイクロカプセル
を含む溶液はポンプに代表される給液装置を用いて供給
される。液の供給に関しては、マイクロカプセルを含む
溶液を中空糸状濾過膜に循環して供給するクロスフロー
濾過法や全濾過法、これらを組み合わせる方法などで実
施されるが、生産性を高くするためには、クロスフロー
濾過法が好ましい。また、濾過速度を長期間高く維持す
ることやマイクロカプセル洗浄液を供給すること等を目
的として、中空糸状濾過膜の濾液側からマイクロカプセ
ル洗浄液や中空糸状膜洗浄液を供給するいわゆる逆洗法
を併用して精製を行うこともできる。更に、精製をより
進行させる目的で循環液にマイクロカプセル洗浄液を適
宜追加しながら精製を行うことができる。用いられるマ
イクロカプセル洗浄液は後述する希釈に用いられる分散
媒等から適宜選択される。
【0031】更に、マイクロカプセルの精製の際に必要
に応じてマイクロカプセルスラリーの固形分濃度を調整
すべく希釈や濃縮を同時又は連続して行うことができ
る。本発明においてマイクロカプセルの精製を吸着法で
行う場合、吸着剤は精製の目的に応じで公知の吸着剤が
使用できる。例示するならば、活性炭、シリカ、シリカ
アルミナ、アルミナ、有機変性シリカなどが挙げられ
る。これらの中で、活性炭が好ましく用いられる。とり
わけ、マイクロカプセルが油性が高い内包物を包含し、
精製処理が水系の分散媒で希釈して行われる場合は、塗
布時に発生するはじきの軽減や非画像部の性能改善の点
でその効果が顕著となる。
【0032】本発明に於いて、精製処理を吸着法で行う
場合は、中空糸状濾過膜による精製や遠心分離法による
精製と組み合わせて行うことが、生産性の観点から好ま
しい場合が多い。本発明において、精製処理を施される
マイクロカプセル分散液は、マイクロカプセルの合成原
液やその希釈された液が用いられる。希釈に用いられる
分散媒は、その精製の方法、目的、マイクロカプセルの
溶解性などの性状などに応じて適宜選択すればよい。例
えば、マイクロカプセル合成原液の分散媒、アセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシ
レン、ヘキサン、デカン等の炭化水素類、エチルセルソ
ルブ、ブチルセルソルブ等のセルソルブ類、ジメチルス
ルホキシド、ホルムアミド、及びジメチルホルムアミド
等の有機溶媒類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、パラトルエ
ンスルホン酸の溶液などの酸類、水酸化ナトリウムや水
酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物の水溶液、ト
リエチルアミンやエタノールアミン等のアミン類等の塩
基性物質、塩化ナトリウムやパラトルエンスルホン酸ソ
ーダ等の有機または無機の塩類等の水溶液、ノニオン
系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤の溶液、
分散液、水及びこれらの混合物を使用できる。
【0033】本発明において精製されたマイクロカプセ
ルの使用量は印刷用途毎の必要とされる耐刷性に応じて
決めればよい。通常は、マイクロカプセル/親水性結合
材重量比率が1/20〜200/1の範囲、さらには感
度、耐刷性の観点からは、1/15〜100/1の範囲
で使用するのが好ましい。本発明に於いて親水性結合材
は、無機材料、有機材料、これらを組み合わせた材料い
ずれであっても構わず、印刷に供される際に架橋構造を
有し、非画像を形成しうる材料であればよい。具体的に
は、支持体上に親水性結合材を含んでなる感熱平版印刷
原版を形成し、実施例に記載する方法で印刷版の作成と
印刷試験を行い、印刷用紙へのインキの付着の有無、あ
るいは、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差(例え
ば、大日本スクリーン製造(株)製、反射濃度計DM4
00)で評価する、又は水−ケロシンを用いた水中油滴
法接触角測定法(例えば、協和界面科学製接触角計、型
式CA−A)でケロシンが試料に付着するか否かで評価
する。
【0034】前者の方法で評価する場合、肉眼で観察
し、インキ汚れが認められなければ可、認められれば不
可とするか、印刷前後の非画像部の用紙の反射濃度差が
0.01未満を可、0.01以上を不可とする。後者の
方法で評価する場合、新聞印刷のように低粘度インキを
使用する印刷版向けには、試料の上記接触角が約150
度より大きいことが必要であり、さらには160度以上
が好ましい。印刷前に練ってから使用する高粘度インキ
を使用する印刷版向けには、約135度より大きいこと
が必要である。
【0035】親水性結合材が親水性バインダーポリマー
を含んでなるときは、親水性バインダーポリマーは、炭
素−炭素結合から形成されるポリマー、または酸素、窒
素、硫黄、リンからなるヘテロ原子の少なくとも一種以
上で結合された炭素原子もしくは炭素−炭素結合から構
成されるポリマー、即ち、ポリ(メタ)アクリレート
系、ポリオキシアルキレン系、ポリウレタン系、エポキ
シ開環付加重合系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポ
リビニル系、多糖類系等もしくはそれらの複合系のポリ
マーを基本骨格とし、該構造中に親水性官能基少なくと
も一種類以上含有するポリマーである。
【0036】本発明に言う親水性官能基とは、カルボキ
シル基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基およびこれ
らの塩、アミド基、水酸基、ポリオキシアルキレン基を
指す。親水性官能基の親水性バインダーポリマー中の割
合は、前述の基本骨格の種類と使用する親水性官能基の
種類により、それぞれの試料について前述の非画像形成
特性に関わるいずれかの方法で実験的に適宜求めていけ
ばよい。本発明に於いて、親水性バインダーポリマーの
主鎖骨格は、前述の化学結合を複数種含んでいても構わ
ない。即ち、ビニル基を含有する化合物と(メタ)アク
リロイル基を含有する化合物の共重合ポリマーやアミド
基とウレタン基を含有するポリマーなどが含まれる。
【0037】本発明に於いて親水性バインダーポリマー
は1種類のポリマーで構成されても良いし複数種のポリ
マーで構成されても良い。また、親水性バインダーポリ
マーの架橋前の数平均分子量は特に限定されないが、1
000〜200万が好ましく、5000〜100万がよ
り好ましい。分子量が低すぎると硬化が十分でない場合
があり、分子量が高すぎると支持体上への膜形成及び乾
燥速度のバランスを取るのが困難になる場合がある。
【0038】本発明の親水性バインダーポリマーには本
発明の目的を損なわない範囲で上述の親水性基部分以外
の官能基が結合されてもよい。特に画像形成材料と化学
結合しうる官能基を親水性バインダーポリマーが有して
いると、画像耐刷性の観点から好ましい。これらの親水
性バインダーポリマーを架橋する方法としては、公知の
方法が使用できる。例えば、親水性バインダーポリマー
に含まれるルイス塩基性の官能基を多価金属イオンを用
いてイオン的に架橋する方法、親水性のバインダーポリ
マーと多価金属原子の酸化物や水酸化物との相互作用を
利用する方法などのように多価金属原子を有する架橋材
を使用する方法、親水性バインダーポリマーに導入され
たエチレン付加重合性不飽和基の光又は熱による付加重
合、活性水素とイソシアネート化合物、ブロックポリイ
ソシアネート化合物あるいはグリシジル基含有化合物と
の反応、エポキシの開環反応などのように有機化学的な
結合を用いる方法などが挙げられ、これらの架橋法を二
種以上複合して使用することもできる。
【0039】これらの中で、親水性バインダーポリマー
に含まれるルイス塩基性の官能基を多価金属イオンを用
いてイオン的に架橋する方法、親水性のバインダーポリ
マーと多価金属原子の酸化物や水酸化物との相互作用を
利用する方法などのように多価金属原子を有する架橋材
を使用する方法は親水性の低下を起こさずに強い結合力
を発現するため好ましく用いられる。本発明において多
価金属原子とは2価以上の価数をもちうる金属原子を指
し、具体的にはマグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、コ
バルト、銅、ジルコニウム、すず、鉛などが例示でき
る。これらの原子は、バインダーポリマーとの組み合わ
せにより、架橋強度や親水性を考慮して選択され、二種
以上組み合わせて使用することもできる。更には、これ
らの多価金属原子と珪素原子を組み合わせて、複合化さ
れた酸化物又は水酸化物を形成して使用することもでき
る。
【0040】これらの多価金属原子を有する架橋材を使
用するときは、バインダーポリマーが前述の親水性官能
基に加え、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ
基、トリアルキルアミノ基、イソウレイド基、イソチオ
ウレイド基、イミダゾリル基、イミノ基、ウレイド基、
エピイミノ基、ウレイレン基、オキサモイル基、オキサ
ロ基、オキサロアセト基、カルバゾイル基、カルバゾリ
ル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシラ
ト基、カルボイミドイル基、カルボノヒドラジド基、キ
ノリル基、グアニジノ基、スルファモイル基、スルフィ
ナモイル基、スルホアミノ基、セミカルバジド基、セミ
カルバゾノ基、チオウレイド基、チオカルバモイル基、
トリアザノ基、トリアゼノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾ
基、ヒドラゾノ基、ヒドロキシアミノ基、ヒドロキシイ
ミノ基、含窒素複素環、ホルムアミド基、ホルムイミド
イル基、3−モルホリニル基、モルホリノ基を有してい
ると架橋強度が向上する場合がある。
【0041】また、バインダーポリマーを有機化学的な
結合を用いて架橋する方法の中では、ドープの安定性と
生産性や架橋強度のバランス等の観点から、親水性バイ
ンダーポリマーに導入されたエチレン付加重合性不飽和
基の光による付加重合、活性水素とブロックポリイソシ
アネート化合物との反応、光によるエポキシの開環反応
が好ましく用いられる場合が多い。なお、親水性バイン
ダーポリマーとその架橋材の組み合わせに関しては、特
開平7−001849号公報、特開平11−07075
6号公報、特願平11−107525号公報に開示して
ある具体例を例示できる。
【0042】本発明において、親水性の結合材には、主
に記録層の塗布性改善を目的としてノニオン系、アニオ
ン系、カチオン系、ポリシロキサン系、フッ素系などの
各種界面活性剤類を混合することができる。また、主に
版の表面状態の改善やドープの粘度調整を目的としてシ
リカ、アルミナ、ジルコニア、珪藻土、炭酸カルシウ
ム、クレイ、タルク、酸化亜鉛、酸化チタン、カオリ
ン、焼成カオリン、加水ハロイサイトなどの無機添加剤
類やステアリン酸、ミリスチン酸、ジラウリルチオジプ
ロピオネート、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛
等の常温固体の滑剤等を混合することが出きる。これ
ら、界面活性剤類、無機添加剤類、滑剤類は単体で用い
ても良いし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】本発明の記録層には、以下に述べるような
増感剤、光-熱変換物質、熱破壊剤、発色剤、反応性物
質、親水性調整剤、溶融物吸収剤、滑剤や、その他の添
加物を本発明の目的を損なわない範囲で含有することが
できる。これらの添加剤は、ドープ調合時に添加する方
法、マイクロカプセルに包含させる方法、あるいは支持
体と親水層の中間にバインダー樹脂と一緒に設ける方法
がある。その使用量は用いる添加剤の効果、非画像部の
耐刷性、といった観点から決めればよい。
【0044】また、熱による画像形成を促進する目的や
画像形成材料と親水性バインダーポリマーとの反応促進
を目的として、増感剤を添加することが出来る。添加に
より、印字感度の高感度化、耐刷性の向上および高速製
版が可能となる。かかる増感剤として、例えばニトロセ
ルロース等の自己分解性物質、置換されたシクロプロパ
ン、キュバン等高歪み化合物、画像形成材料同士又は画
像形成材料と親水性バインダーポリマーの反応触媒があ
る。
【0045】更に、記録層と支持体の接着強度を高める
目的として公知のシラン系、チタン系などのカップリン
グ剤類やキレート剤などを記録層に混合して使用するこ
ともできる。印字部のみが発色する公知の感熱色素を親
油性成分と併用し、印字部の可視化を計ると検版を行な
いやすいので好ましい。例えば、3−ジエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオランとビスフェノール
Aなどのロイコ染料および粉砕した顕色剤の組合せ等が
ある。大河原信他編「色素ハンドブック」講談社刊(1
986)等の成書に開示されている感熱色素が使用でき
る。
【0046】親水性の調整、画像形成材料の固定や架橋
剤の安定化を目的として、使用する親水性バインダーポ
リマー以外の反応性、非反応性のポリマーを親水性ポリ
マーの耐刷性を損なわない範囲で記録層に添加してもよ
い。本発明に使用される支持体は、印刷分野に要求され
る性能とコストを勘案して公知の材料から選択すればよ
い。多色刷りといった高寸法精度が要求される場合、版
胴への装着方式が金属支持体に合わせて出来上がってい
る印刷機で用いる場合には、アルミニウム、鉄、ステン
レス製等の金属支持体が好ましい。多色印刷せず高耐刷
性が要求される場合はポリエステル、ポリカーボネート
等のプラスチック支持体、さらに低コストが要求される
分野には紙、合成紙、防水樹脂ラミネート或いはコート
紙支持体が使用できる。
【0047】また、金属支持体の場合は前述のカップリ
ング剤類やキレート剤類を予め設置して使用することも
でき、紙やプラスチックシート上にアルミ表面を蒸着し
たり、高分子、低分子の有機物を接着剤層としてラミネ
ート、塗布などの手段で設けた複合支持体なども使用す
ることができる。接着剤は親水層成分と使用する支持体
に合わせ選択・設計する必要がある。山田章三郎監「接
着・粘着の事典」朝倉書店刊(1986)、日本接着協
会編「接着ハンドブック」日本工業新聞社刊(198
0)等に記載のアクリル系、ウレタン系、セルロース
系、エポキシ系等接着剤が使用できる。支持体と接触す
る材料との接着性向上のために支持体自身の表面処理を
施したものを使用してもよい。プラスチックシートの場
合は、コロナ放電処理、ブラスト処理等を好ましい方法
として挙げることができる。アルミニウムの場合は、小
久保定次郎著「アルミニウムの表面処理」(1975年
内田老鶴圃新社)、大門淑男著「PS版の製版印刷技
術」(1976年日本印刷)、米沢輝彦著「PS版概
論」(1993年印刷学会出版部)等の公知文献に記載
の方法を用いて、脱脂・表面粗面化処理や、脱脂・電解
研磨・陽極酸化処理等を施したものを使用することが好
ましい。
【0048】更に、印刷機上で塗布、製版を行う用途に
関しては、印刷機の版胴上に上記の支持体を予めセット
してから塗布したり印刷機の版胴そのものに塗布するこ
ともできる。本発明に於いて記録層は、支持体上にバー
コータやブレードコータなどで塗布、あるいはスプレー
で噴霧して設ける方法、あるいは支持体を溶液又は分散
液に浸漬したのち不要部分を掻き取る方法などで設ける
ことができる。
【0049】本発明において、記録層の厚みは特に限定
されずコストや耐刷性などの性能上の観点やマイクロカ
プセルの粒径に応じて適宜設定できる。通常は0.1〜
100μmであり、0.5〜10μmが好ましい。本発
明に於いて記録層の乾燥条件は特に限定されず、親水性
結合材の種類により、乾燥速度や印刷時の実用性能との
バランスをみて適宜設定される。通常は、常温から20
0℃の範囲で実施される。また、乾燥は冷風、温風、熱
風を吹き付ける方式でも行われても良いし実質的に風の
ないところで加熱して行われても良い。
【0050】また、本発明に於いて、外部から飛来する
汚れ原因物質の受容を抑制したり、親水性を付与するこ
とによって印刷初期の汚れを減少させることなどを目的
とし、必要に応じ、記録層表面から保護剤を供給するこ
ともできる。具体的には、前述の親水性バインダーポリ
マーのところで例示した物質やそれらと前述の界面活性
剤、添加剤類とを組み合わせたものが使用できる。保護
剤を供給する方法は、保護剤の溶液又は分散液を記録層
表面にバーコータやブレードコータなどで塗布、あるい
はスプレーで噴霧して設ける方法、あるいは版を保護剤
の溶液又は分散液に浸漬する方法などで設けることがで
きる。いずれの場合でも保護剤の濃度は0.01重量%
〜50重量%が好ましく、0.1重量%〜10重量%の
範囲がより好ましい。この範囲より低濃度では非画像性
能を十分に発現しない場合がある。また、この範囲より
高濃度では、溶液粘度が高すぎて均一な処理が困難にな
る。また、乾燥条件も記録層と同様に、乾燥速度や印刷
時の実用性能とのバランスをみて適宜設定されるが、通
常は、常温から200℃の範囲で実施される。
【0051】本発明の感熱平版印刷原版を製版するに
は、電子組版機、DTP、ワードプロセッサー、パーソ
ナルコンピュータ等で作製・編集された文書・画像をサ
ーマルヘッド、熱モードのレーザーを用いて熱モード描
画・印字するだけで現像工程は一切行なわず完了する。
本発明における熱モード描画・印字とは熱を直接与える
印字や活性光線を吸収させて熱に変換する印字など、熱
で画像を形成する描画・印字方式を言う。印字後、画像
形成成分が表面に析出しない温度で加温(ポストキュア
ー)もしくは版全面に活性光線照射することにより画像
部の架橋度を高めることが出来る。後者の方法を実行す
る場合、記録層中に前述の光重合開始剤や光カチオン重
合開始剤とそれによって反応が進む官能基を有する化合
物とを併用するか親油性成分に該官能基を導入すること
が必要である。該開始剤、官能基を有する化合物は前述
のほか、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」総
合技術センター刊(1989)、加藤清視編「UV・E
B硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会(198
5)等の成書に記載の公知のものも使用しうる。
【0052】以上のようにして得られた平版印刷版は、
市販のオフセット印刷機にセットし通常の方法で印刷す
ることができる。また、印刷機上に熱モードのレーザー
のような製版機構を有する場合は、本発明の原版を印刷
機にセットし、製版、印刷を連続した操作で行うことが
できる。更には、印刷機上に塗布装置のような記録層を
設ける機構と製版機構を有している場合は、本発明の塗
布ドープを印刷機上で塗布し、必要に応じ乾燥し、続い
て製版、印刷を連続した操作で行うことができる。印刷
する際、必要ならば平版印刷版に通常のエッチング処理
を施してから印刷することが出来る。
【0053】以下、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。なお、マイクロカプセルの平均粒径は(株)堀場製
作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA91
0を用いて測定した。
【0054】
【実施例1】(1) マイクロカプセル[M―1]の合成 トリレンジイソシアネート3モル/トリメチロールプロ
パン1モル付加物(コロネートL、日本ポリウレタン工
業(株)製、25重量%酢酸エチル含有物)40重量
部、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製 Kayas
orbIR−820B)8重量部をグリシジルメタクリ
レート200重量部とエタノール10重量部の混合液中
に均一に溶解させて油性成分を調製した。次いで、別途
調製した3重量%のアルギン酸プロピレングリコールエ
ステル(ダックロイドLF、紀文フードケミファ(株)
製、数平均分子量:2×105)水溶液1200重量部
にポリエチレングリコール(PEG 400、三洋化成
(株)製)25重量部を混合した水相を調製した。続い
て、上記油性成分と水相をホモジナイザーを用いて90
00rpmで室温下混合乳化した後、60℃で3時間反
応させて平均粒径1.8μmのマイクロカプセル[M−
1]を得た。
【0055】(2)マイクロカプセルの精製 マイクロカプセル[M−1]液をN/10水酸化ナトリウ
ム水溶液で5倍に希釈して中空糸状膜に供給される循環
液aを調製した。循環液aをフッ素系高分子製、平均孔
径0.5μm、糸内径1.1mm、長さ347mm、有
効膜面積0.2m2 の中空糸状精密濾過膜モジュール
(旭化成工業(株)製TP113)を設置した膜分離装
置を用いて逆洗、濃縮、循環タンクへの純水の加水を行
いながら精製を行い、精製されたマイクロカプセル分散
液を[MR−1]を得た。[MR−1]をアルミ版に塗布し
乾燥後電子顕微鏡を用いて5000倍の倍率で観察した
ところ、孔径0.05μm以上の孔がマイクロカプセル
1個当たり平均で3個観察され、孔のマイクロカプセル
表面に対する面積占有率は10%程度であった。また、
ガスクロマトグラフィー法を用いてエタノールの残存量
の測定を試みたところ、エタノールは実質的に観測され
なかった。
【0056】(3)親水性バインダーポリマー[P−1]
の合成 セパラブルフラスコ中にアクリル酸3重量部、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7重量部、
水90重量部を計量し、攪拌混合しながら60℃に昇温
した。次いで、別途作製した2,2'−アゾビス[2−
(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロ
クロライド(和光純薬工業(株)製VA−044)の1
重量%水溶液5重量部を添加し、60℃を維持して3時
間反応させて親水性バインダーポリマー[P−1]を得
た。GPC法を用いて数平均分子量を求めたところ分子
量は3×105であった。
【0057】(4)感熱平版印刷原版の作成 陽極酸化を施したアルミニウム板(厚さ0.24mm、
310mm×458mm)上に、[P−1]の10重量%
水溶液:10.0重量部、5重量%に調製した[MR−
1]分散液:40.0重量部、塩化アルミニウム六水和
物の10重量%水溶液:3重量部の割合で配合し調製し
たドープをバーコーター(ロッド16番)で塗布し、1
00℃で乾燥して感熱平版印刷原版Aを得た。
【0058】(5)平版印刷版の作成及び印刷 感熱平版印刷原版Aに、電子組版装置と接続した、1W
半導体レーザー素子搭載の印字装置で印刷画像を熱印字
し、オフセット印刷機(ハマダ印刷機械株式会社製、H
AMADA611XL)に装着し上質紙に対しエッチン
グ処理を行わずに印刷した(用いたインキは大日本イン
キ工業(株)製のGEOS−Gで、湿し水は富士写真フ
ィルム(株)製のEU−3を100倍希釈したもの)。
その結果、刷りだしより鮮明な印刷物が得られ、3万部
を過ぎても地汚れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。
印刷前の用紙と3万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を
反射濃度計(DM400、大日本スクリーン製造(株)
製)にて測定したところ、両者の差(ΔOD)は、0.
00で目視でも汚れは認められなかった。また、ベタ画
像部の反射濃度(OD)は1.20であった。
【0059】
【実施例2】(1)マイクロカプセルの精製 実施例1のマイクロカプセル[M−1]液を精製水でおよ
そ6倍に希釈し、遠心分離機((株)コクサン製H66
0型)で遠心分離、再分散希釈を繰り返しながら精製
し、精製されたマイクロカプセル分散液を[MR−2]を
得た。[MR−2]をアルミ版に塗布し乾燥後電子顕微鏡
を用いて5000倍の倍率で観察したところ、孔径0.
05μm以上の孔がマイクロカプセル1個当たり平均で
3個観察され、孔のマイクロカプセル表面に対する面積
占有率は10%程度であった。また、ガスクロマトグラ
フィー法を用いてエタノールの残存量の測定を試みたと
ころ、エタノールは実質的に観測されなかった。
【0060】(2)感熱平版印刷原版の作成 陽極酸化を施したアルミニウム板(厚さ0.24mm、
310mm×458mm)上に、ポリアクリル酸(ジュ
リマーAC10MP、日本純薬(株)製、数平均分子
量:8×104)の10重量%水溶液:20.0重量
部、固形分濃度5重量%に調製された[MR−2]:10
0.0重量部の割合で配合し調製したドープをバーコー
ター(ロッド16番)で塗布し、100℃で乾燥し感熱
平版印刷材料を得た。次に、この版を塩化第二すず五水
和物(東京化成(株)製)の5重量%水溶液1.5リッ
トル中に3分間浸漬後、精製水(和光純薬(株)製)1
リットルを用いて1分間水洗した。更に、これをポリア
クリル酸(ジュリマーAC10P、日本純薬(株)製、
数平均分子量:5×103)の0.5重量%水溶液中に
1分間浸漬した後、垂直に立てて24時間室温で風乾し
て感熱平版印刷原版Bを作成した。
【0061】(4)平版印刷版の作成及び印刷 感熱平版印刷原版Bに、実施例1と同様の方法で印字
し、実施例1と同様の方法で印刷した。その結果、刷り
だしより鮮明な印刷物が得られ、5万部を過ぎても地汚
れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と
5万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(D
M400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定し
たところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも
汚れを認めなかった。また、ベタ画像部の反射濃度(O
D)は1.20であった。
【0062】
【実施例3】(1)マイクロカプセル[M−2]の合成 トリレンジイソシアネート3モル/トリメチロールプロ
パン1モル付加物(コロネートL、日本ポリウレタン工
業(株)製、25重量%酢酸エチル含有物)40重量
部、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製 Kayas
orbIR−820B)8重量部をグリシジルメタクリ
レート200重量部、トリメチロールプロパントリアク
リレート20重量部とジメチルスルフォキシド15重量
部混合液中に均一に溶解させて油性成分を調製した。次
いで、別途調製した3重量%のアルギン酸プロピレング
リコールエステル(ダックロイドLF、紀文フードケミ
ファ(株)製、数平均分子量:2×105)水溶液12
00重量部にポリエチレングリコール(PEG 40
0、三洋化成(株)製)20重量部を混合した水相を調
製した。続いて、上記油性成分と水相をホモジナイザー
を用いて10000rpmで室温下混合乳化した後、6
0℃で3時間反応させて平均粒径1.9μmのマイクロ
カプセル[M−2]を得た。
【0063】(2)マイクロカプセルの精製 マイクロカプセル[M−2]液を実施例1と同様の方法で
精製したうえで更に、活性炭(クレハビーズMP、呉羽
化学(株)製)を混合し、2時間攪拌した後150メッ
シュのステンレス網を通して活性炭を除去して精製され
たマイクロカプセル分散液[MR−3]を得た。[MR−
3]をアルミ版に塗布し乾燥後電子顕微鏡を用いて50
00倍の倍率で観察したところ、孔径0.05μm以上
の孔がマイクロカプセル1個当たり平均で3個観察さ
れ、孔のマイクロカプセル表面に対する面積占有率は2
0%程度であった。また、ガスクロマトグラフィー法を
用いてジメチルスルフォキシドの残存量の測定を試みた
ところ、ジメチルスルフォキシドは実質的に観測されな
かった。
【0064】(2)感熱平版印刷原版の作成 精製されたマイクロカプセル分散液を[MR−1]に変え
て[MR−3]とした以外は実施例1と同様にして感熱平
版印刷原版Cを得た。 (3)平版印刷版の作成及び印刷 感熱平版印刷原版Cに、実施例1と同様の方法で印字
し、実施例1と同様の方法で印刷した。その結果、刷り
だしより鮮明な印刷物が得られ、4万部を過ぎても地汚
れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。印刷前の用紙と
2万部印刷後非画像部の用紙反射濃度を反射濃度計(D
M400、大日本スクリーン製造(株)製)にて測定し
たところ、両者の差(ΔOD)は、0.00で目視でも
汚れは認められなかった。また、ベタ画像部の反射濃度
(OD)は1.20であった。
【0065】
【比較例1】(1) マイクロカプセル[M―3]の合成 トリレンジイソシアネート3モル/トリメチロールプロ
パン1モル付加物(コロネートL、日本ポリウレタン工
業(株)製、25重量%酢酸エチル含有物)14.4重
量部、近赤外線吸収色素(日本化薬(株)製 Kaya
sorbIR−820B)2重量部をグリシジルメタク
リレート72重量部中に均一に溶解させて油性成分を調
製した。次いで、別途調製した3重量%のアルギン酸プ
ロピレングリコールエステル(ダックロイドLF、紀文
フードケミファ(株)製、数平均分子量:2×105
水溶液1200重量部にポリエチレングリコール(PE
G400、三洋化成(株)製)9.8重量部を混合した
水相を調製した。続いて、上記油性成分と水相をホモジ
ナイザーを用いて10000rpmで室温下混合乳化し
た後、60℃で3時間反応させて平均粒径1.4μmの
マイクロカプセル[M−3]を得た。
【0066】(2)マイクロカプセルの精製 マイクロカプセル[M−3]液を実施例1と同様の方法で
精製し、精製されたマイクロカプセル分散液[MR−4]
を得た。[MR−4]をアルミ版に塗布し乾燥後電子顕微
鏡を用いて5000倍の倍率で観察したところ、マイク
ロカプセルには実質的に孔は観察されなかった。 (3)感熱平版印刷原版の作成 精製されたマイクロカプセル分散液を[MR−1]に変え
て[MR−4]とした以外は実施例1と同様にして感熱平
版印刷原版Dを得た。
【0067】(4)平版印刷版の作成及び印刷 感熱平版印刷原版Dに、実施例1と同様の方法で印字
し、実施例1と同様の方法で印刷した。その結果、刷り
だしより鮮明な印刷物が得られ、2万部程度までは地汚
れがなく、画像部も鮮明に印刷できた。しかしながら、
2万部を過ぎたあたりから、反射濃度計では観測されな
いが目視では僅かながら地汚れが検出され、画像にも部
分的にかすれが観察された。
【0068】
【発明の効果】以上のように、本発明によって、地汚れ
が極めて少なくしかも画像耐刷性の高い平版印刷版、お
よびその製造可能な平版印刷原版を提供することができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱により画像部に変化するマイクロカプ
    セルと親水性の結合材を有する記録層及び支持体を備え
    る平版印刷版であって、マイクロカプセル壁が平均でマ
    イクロカプセル1つ当たり1つ以上の孔を有しているこ
    とを特徴とする感熱平版印刷原版。
  2. 【請求項2】 前記マイクロカプセルが水中油滴型エマ
    ルションを経て形成され、精製処理を施されたマイクロ
    カプセルを含むことを特徴とする請求項1記載の感熱平
    版印刷原版。
  3. 【請求項3】 前記親水性の結合材が親水性バインダー
    ポリマーと、少なくとも多価金属原子を含む架橋材を有
    していることを特徴とする請求項1または2記載の感熱
    平版印刷原版。
JP2000088466A 2000-03-28 2000-03-28 改良された感熱平版印刷原版 Withdrawn JP2001270259A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000088466A JP2001270259A (ja) 2000-03-28 2000-03-28 改良された感熱平版印刷原版

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000088466A JP2001270259A (ja) 2000-03-28 2000-03-28 改良された感熱平版印刷原版

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001270259A true JP2001270259A (ja) 2001-10-02

Family

ID=18604341

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000088466A Withdrawn JP2001270259A (ja) 2000-03-28 2000-03-28 改良された感熱平版印刷原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001270259A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0138486B1 (ko) 평판인쇄원판 및 그의 제판방법
JP3157843B2 (ja) ダイレクト感熱平版印刷版とその製造方法
US6653042B1 (en) Lithographic printing plate precursor, method for producing the same, and method of lithographic printing
EP3284599B1 (en) Lithographic printing plate precursor and lithographic printing method using the same
JP2000211262A (ja) 感熱平版印刷原版
CN104730865B (zh) 一种阴图免处理平印版
JP3064807B2 (ja) 平版印刷原版およびその製版方法
JP3206297B2 (ja) 感熱ダイレクト平版原版とその製版方法
JP2001270259A (ja) 改良された感熱平版印刷原版
JP3769107B2 (ja) 高性能なダイレクト感熱平版印刷原版
JP3708343B2 (ja) 感熱平版印刷原版
JPH106468A (ja) 改良された感熱ダイレクト平版原版
JP3654473B2 (ja) 改良された感熱ダイレクト平版原版の製造方法
JP2001180138A (ja) 感熱平版印刷原版及びその製造方法
JP2001301348A (ja) 平版形成用感熱型版材
JP3976137B2 (ja) 平版印刷版用原版及び製版・印刷方法
JP2000025353A (ja) 改良された平版印刷原版
CN114685698A (zh) 一种碘鎓硼酸盐引发剂、阴图平印版前体及阴图平印版的制备方法
CN118271232A (zh) 一种红外辐射吸收化合物、阴图平印版前体及制备方法和应用
JP2005196030A (ja) 画像形成方法および画像露光装置
JP2003094233A (ja) 光重合性感光性平版印刷版の製造方法
JP2006150939A (ja) 平版印刷版原版、平版印刷版原版の製造方法および印刷方法
JP2005246915A (ja) 画像形成方法および画像露光装置
JPH1159005A (ja) 直描型水なし平版印刷版原版
JP2003084450A (ja) 製版方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070605