JP2005196030A - 画像形成方法および画像露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画像露光後に、液体現像処理工程を経ることなく画像形成で、且つ、耐刷性に優れた平版印刷版を得ることができる画像形成方法、および、それに適した画像露光装置を提供する。
【解決手段】 画像露光装置10は、アウタードラム20に装着された平版印刷版原版12を画像情報に基づいて変調された赤外線レーザにより走査露光し、平版印刷版原版12の記録層に画像情報に対応する画像を形成した後、この平版印刷版原版12をアウタードラム12から排出トレー18へ搬送する途中で、紫外線照射装置38により平版印刷版原版12全面に紫外線UVを照射する。平版印刷版原版12の記録層は、光熱変換剤と、熱により表面疎水性領域を形成しうる材料とを含有し、この材料としては、例えば、カチオン重合性化合物を内包するマイクロカプセルと酸発生剤とが用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は画像形成方法および画像露光装置に関するものであり、詳細には、赤外線ビームによる画像の走査露光、および、機上現像が可能なネガ型平版印刷版の画像形成方法、ならびに、それに用いる画像露光装置に関する。
近年におけるレーザ技術の発展は目ざましく、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザ(以下、適宜「赤外線レーザ」と称する)は、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになった。特に、平版印刷の分野において、これらの赤外線レーザは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版するCTP(Computer to Plate)システムの記録光源として非常に有用である。
それに伴い、上記CTPシステム用の平版印刷版についても多数の研究がなされている。中でも、より一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしに、印刷機に装着して印刷できる現像不要の平版印刷版原版が研究され、種々の方法が提案されている。
現像工程をなくす方法の一つに、露光済みの平版印刷版原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷版原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、平版印刷版原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。これにより、従来の現像薬品を用いた液体現像処理工程が不用となり、印刷準備工程の合理化、現像廃液処理の不要化等が可能となる。
このような平版印刷版原版としては、基板上に架橋された親水層を設けその中にマイクロカプセル化された熱溶融物質を含有した平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この印刷版ではレーザの露光領域に発生した熱の作用によりマイクロカプセルが崩壊し、カプセル中の親油性物質が溶け出し、親水層表面が疎水化される。
また、同じく熱により崩壊するマイクロカプセルを利用した他の例としては、光重合性モノマーと感光性樹脂を内包するマイクロカプセルや、三次元架橋された親水性層と相互作用を形成する親油性成分を内包するマイクロカプセルを用いた平版印刷版原版も提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
これらの平版印刷版原版は現像処理を必要としないが、支持体として熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属板を用いた場合、画像形成に使用されるべき熱が支持体に拡散し、画像記録層の支持体との界面付近において硬化が十分に進行せず、画像部の強度が不充分で耐刷性に劣るという問題があった。
国際公開第94/23954号パンフレット 特開昭62−250454号公報 特許第3206297号明細書
前記従来の諸問題を解決すべくなされた本発明の目的は、赤外線ビームを用いた走査露光により、特段の液体現像処理工程を経ることなく画像形成が可能であり、且つ、耐刷性に優れた平版印刷版を得ることができる画像形成方法、および、この画像形成方法に適した画像露光装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、特定のマイクロカプセルを含有する記録層を設けた平版印刷版原版に対する画像露光の直前又は直後に、該平版印刷版原版の画像記録層に紫外線を照射することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を解決するに至った。
即ち、本発明の画像形成方法は、支持体上に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えた平版印刷版原版に対して画像形成する画像形成方法であって、平版印刷版原版を赤外線により選択的に露光して該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する画像露光工程と、前記赤外線による画像露光の完了後に、平版印刷版原版の画像記録層の全面に紫外線を略均一に照射して、該画像記録層に含まれる重合開始剤を活性化する紫外線照射工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、前記紫外線照射工程では、重合開始剤から効率的に反応開始物質を発生させるために、平版印刷版原版の画像記録層に200nm〜400nmの波長域から選択された波長を有する紫外線を照射することことが好ましい。
また本発明の画像露光装置は、上記した画像形成方法に用いられる画像露光装置であって、平版印刷版原版が装着可能とされ、装着された平版印刷版原版を保持する保持部材と、前記保持部材により保持された平版印刷版原版を赤外線により選択的に露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する露光手段と、前記露光手段により画像が形成された平版印刷版原版の画像記録層の全面に紫外線を照射する紫外線照射手段と、を有することを特徴とする。
本発明に係る平版印刷版原版は、その記録層に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有することを特徴とする。このような平版印刷版原版の画像形成機構は以下のとおりである。画像露光における赤外光のエネルギーを、光熱変換剤が熱エネルギーに変換し、その熱により、マイクロカプセル壁が崩壊されるか、あるいは浸透性となり、内包されていた重合性化合物がカプセル外に放出(滲出)される。また、同じく画像露光のエネルギーによって、重合開始剤から発生した反応開始物質(活性種)が、カプセル外に放出(滲出)された重合性化合物の重合開始剤の役割を果たし、重合反応を開始あるいは進行し、表面疎水性領域、即ち画像部が形成されるといった仕組みである。
しかし、画像露光に用いられる熱エネルギーだけでは、カプセル壁を浸透性にし、さらには重合開始剤を活性化して重合性化合物の硬化反応を進行させるのに十分な量(濃度)の反応開始物質を画像記録層中に発生させることは難しく、また、前記したように、記録層と支持体との界面付近では、記録層から支持体への熱拡散(熱吸収)が生じ、重合反応の開始、進行に必要な充分な反応開始物質が充分に供給されないため、記録層の硬化が充分に行なわれず、強固で耐刷性に優れた画像を形成するに至らなかった。
ここで、本発明の画像形成方法は、赤外線により画像が形成された平版印刷版原版の画像記録層の全面に紫外線を略均一に照射して、該画像記録層に含まれる重合開始剤から反応開始物質を発生させる。このとき、記録層へ赤外線を照射し、この赤外線による熱エネルギーによりカプセルを壊すと共に、重合開始剤を活性化することで、重合性化合物と反応開始物質との重合反応を開始できるが、この赤外線の照射時には、画像記録層の支持体との界面付近に存在する重合開始剤については、支持体への熱拡散により活性化が不充分になり、界面付近における重合性化合物には充分な量の反応開始物質が供給されないおそれがある。このようなときにも、赤外線による露光後に記録層の全面に紫外線を照射することで、記録層の支持体との界面付近に存在する未反応の重合開始剤を効果的に活性化し、画像記録層の支持体との界面付近に存在する重合性化合物に充分な量の反応開始物質を供給することで両者の重合反応を確実に高効率で開始、進行できる。
ここで、紫外線の照射による重合開始剤の活性化は赤外線の照射によるものと異なり、画像記録層の深部に至るまで均一に行われる。従って、画像記録層の表面近傍のみならず、画像記録層から支持体への熱吸収の影響による画像記録層の支持体との界面付近においても重合反応が効率よく進行するため、強固で耐刷性に優れた画像を形成し得る。
また、本発明の画像露光装置では、紫外線照射手段が露光手段により画像が形成された平版印刷版原版の画像記録層の全面に紫外線を照射する。これにより、赤外線による熱エネルギーだけでは記録層の支持体との界面付近に存在する重合性化合物と反応開始物質との重合反応が十分に進行し難い場合にも、カプセルからの重合性化合物の放出後に、画像記録層の支持体との界面付近に存在する未反応の重合開始剤をも効果的に活性化し、記録層の支持体との界面付近に存在する重合性化合物と反応開始物質との重合反応を確実に効率よく開始、進行できる。
本発明によれば、デジタル信号に基づいた画像の走査露光、および、機上現像が可能であり、且つ、耐刷性に優れた平版印刷版原版の画像形成方法、および、それに用いる画像露光装置を得ることができる。
[画像露光装置の構成]
まず、本発明に係る画像形成方法が好適に実施される画像露光装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図3には本発明に係る第1の実施形態の画像露光装置が示されている。この画像露光装置10は、平版印刷版原版12をデジタル画像情報に基づいて変調された赤外線レーザ(以下、「IRレーザL」という。)により走査露光し、この平版印刷版原版12にデジタル画像情報に対応する画像(潜像)を形成するものである。
ここで、平版印刷版原版12は、特別な現像処理が不要とされた所謂、無処理刷版と呼ばれるものであり、アルミニウム又はアルミ合金からなる支持体及び、この支持体上に成膜された画像記録層を備えており、この画像記録層(以下、単に「記録層」という。)は、少なくとも重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、酸発生剤と、光熱変換剤とを含有する。
なお、上記酸発生剤および光熱変換剤は、それぞれ、マイクロカプセル内、および、マイクロカプセル外、即ち記録層マトリックス中の、少なくとも一方に添加されていればよいが、保存安定性の観点から、酸発生剤は記録層マトリックス中に添加することが好ましい。また、光熱変換剤はマイクロカプセル内に添加することが感度の観点から好ましい。
図1に示されるように、画像露光装置10には装置の外殻部として本体ケーシング14が設けられており、この本体ケーシング14には、装置の幅方向(矢印W方向)に沿った片側の側板部に平版印刷版原版12の束を載置するための給版台16が取り付けられると共に、この給版台16の上部側に露光完了した平版印刷版原版12を排出するための排出トレー18が設けられている。本体ケーシング14内には、1枚の平版印刷版原版12が着脱可能とされた円柱状のアウタードラム20が回転可能に配置されるている。このアウタードラム20の外周側には、平版印刷版原版12の先端部及び後端部をアウタードラム20上にそれぞれチャックするためのチャック機構22が設けられると共に、平版印刷版原版12をアウタードラム20の外周面上に巻き付けるためのガイドローラ24が設置されている。
本体ケーシング14内には、アウタードラム20に対向して露光ヘッド26及び、この露光ヘッド26を副走査方向に沿って移動可能に支持する送り機構28が配置されている。露光ヘッド26及び送り機構28は、デジタル画像情報に基づいて変調されたIRレーザLによりアウタードラム20に装着された平版印刷版原版12を走査露光し、この平版印刷版原版12の記録層にデジタル画像情報に対応する画像を形成するためのものである。また本体ケーシング14内には、アウタードラム20の下側に光源ボックス30が配置されており、この光源ボックス30内には露光ヘッド26へIRレーザLを供給するためのLD光源部32(図2参照)が収納されている。
図1に示されるように、画像露光装置10には、本体ケーシング14内に給版台16上に積載された平版印刷版原版12をアウタードラム20へ搬送するための給送機構34が設けられている。この給送機構34は、平版印刷版原版12の給送経路に沿って配置された複数の搬送ローラ35及びプレート状のガイド部材36を備えている。
画像露光装置10では、給送機構34により平版印刷版原版12がアウタードラム20の上端部付近へ搬送されてくると、チャック機構22により平版印刷版原版12の先端部がアウタードラム20上にチャックされると共に、アウタードラム20が所定の正転方向(図1の矢印R1方向)ヘ回転開始する。これにより、先端部がアウタードラム20上に拘束された平版印刷版原版12は、ガイドローラ24によりアウタードラム20の外周面上へ加圧されつつ巻き付けられる。
画像露光装置10では、平版印刷版原版12が後端部までアウタードラム20上に巻き付けられると、チャック機構22により平版印刷版原版12の後端部がアウタードラム20上へチャックされる。これにより、平版印刷版原版12全体がアウタードラム20の外周面上に密着した状態とされ、平版印刷版原版12のアウタードラム20への装着が完了する。画像露光装置10では、平版印刷版原版12がアウタードラム20の装着された状態にて、送り機構28により露光ヘッド26を副走査方向へ移動させつつ、この露光ヘッド26から出射されるIRレーザLを平版印刷版原版12へ照射し、平版印刷版原版12に対する副走査露光を行う。また画像露光装置10では、1回の副走査完了に同期してアウタードラム20を正転方向へ主走査ピッチに対応する回転量だけ回転させることにより、平版印刷版原版12に対する主走査が可能になる。
図2に示されるように、露光ヘッド26には、複数個のレンズからなり結像光学系を構成するレンズユニット58及び、複数本の光ファイバ70の先端部を挟持した一対の支持板、光ファイバ70の先端面を保護するための透明の保護板等からなるファイバホルダ60が設けられている。この露光ヘッド26はキャリア68上に搭載されており、このキャリア68と一体となり副走査方向(図2の矢印S方向)に沿って移動する。ここで、複数本の光ファイバ70からそれぞれ出射されたIRレーザLは、レンズユニット58に入射し、レンズユニット58によりアウタードラム20に装着された平版印刷版原版12上に結像し、所定の形状及びサイズを有するビームスポットを形成する。
なお、本実施形態に係る露光ヘッド26は、複数個のビームスポットを平版印刷版原版12上に同時に投影可能なマルチビームタイプのものであり、これら複数個のビームスポットは、平版印刷版原版12上における副走査方向に沿って配列され、あるいは副走査方向に対して僅かに傾いた直線上に配列される。
また送り機構28は、キャリア68を副走査方向に沿ってスライド可能に支持する一対のガイドレール62及びモータユニット64に連結されたねじ軸66を備えている。またキャリア68の下面部には、副走査方向に沿ってねじ穴が穿設された雌ねじ部材69が固定されており、この雌ねじ部材69の雌ねじ穴にねじ軸66がねじ込まれている。これにより、モータユニット64によりねじ軸66を回転させると、副走査方向に沿って露光ヘッド26は、キャリア68と一体となってねじ軸66の回転方向に対応する方向(前進方向又は後進方向)へねじ軸66の回転量に対応する距離だけ移動する。なお、本実施形態の画像露光装置10では、平版印刷版原版12に対する副走査が露光ヘッド26の前進時、すなわち副走査方向(矢印S方向)への移動時にのみ行われるが、前進時及び後進時にそれぞれ副走査(往復走査)を行うようにしても良い。
図2に示されるように、複数本の光ファイバ70の他端部は、LD光源部32における複数個の半導体レーザ72にそれぞれ接続されている。これらの半導体レーザ72はプレート状のヒートシンク74上に固定されている。また光ファイバ70の途中にはコネクタアレイ76が設けられており、このコネクタアレイ76を介し、光ファイバ70はファイバホルダ60側の部分と半導体レーザ72側の部分とが接離可能とされている。これにより、例えば、何れかの半導体レーザLDの故障時に、ファイバホルダ60等を分解することなく、故障した半導体レーザ72の交換を簡単に行えるようになっている。
送り機構28には、ガイドレール62の下側にチューブ状のケーブルベア78及び樋状のベアガイド80が副走査方向へ延在するように配置されている。ケーブルベア78は、長手方向に沿って分割された多数のリンク片82が直列的にリンク連結された構造とされており、上下方向へ湾曲可能な構造とされている。このケーブルベア78内には、光ファイバ70の露光ヘッド26側の部分(先端側)が挿通している。またベアガイド80は、ケーブルベア78を下方から支持しつつ、ケーブルベア78の前後方向への移動を制限している。これにより、露光ヘッド26の副走査方向への移動時に、露光ヘッド26と共に移動する光ファイバ70の先端側がケーブルベア78により保護されて、光ファイバ70の損傷が防止されている。
図1に示されるように、画像露光装置10には、ケーシング内にアウタードラム20から離脱した平版印刷版原版12を排出トレー18へ搬送するための搬出機構84が設けられている。この搬出機構84は、平版印刷版原版12の搬出経路に沿って配置された複数の搬送ローラ86及びプレート状のガイド部材88を備えている。
画像露光装置10では、アウタードラム20へ装着された平版印刷版原版12に対する露光(画像形成)完了後に、アウタードラム20を逆転方向(図1の矢印R2方向)へ回転させると共に、チャック機構22により平版印刷版原版12の後端部及び先端部をアウタードラム20から順次解放する。これに連動し、搬出機構84は、搬送ローラ86を回転させることで、アウタードラム20上から搬出経路の入口部へ送り出されてきた平版印刷版原版12を排出トレー18へ搬送開始し、この平版印刷版原版12を排出トレー18上へ排出する。
画像露光装置10には、搬出機構84に平版印刷版原版12の全面に紫外線UVを照射するための紫外線照射装置38が付設されている。この紫外線照射装置38は、図3に示されるように、紫外線UVを出射するUV光源部40及び、このUV光源部40からの紫外線UVが入射するインテグレータ照明光学系42を備えている。UV光源部40には、紫外線UVの光源として長尺円筒状のUVランプ44が設けられている。このUVランプ44は、その長手方向が搬出機構84により搬送される平版印刷版原版12の版幅方向(図3の紙面奥行方向)と平行となるように支持されている。UV光源部40には、UVランプ44の後方側に凹状に湾曲した反射面47を有するリフレクタ46が配置されており、このリフレクタ46内にUVランプ44が位置している。これにより、UVランプ44から出射された紫外線UVのうち、一部の光線はインテグレータ照明光学系42へ直接入射し、残りの大部分の光線もリフレクタ46により反射されてインテグレータ照明光学系42へ入射する。
インテグレータ照明光学系42は、複数個(本実施形態では2個)のフライアレイレンズ48,49を備えている。これらのフライアレイレンズ48,49には、それぞれ版幅方向及び搬出方向(図3の矢印F方向)に沿って格子状に配列された複数のレンズ(レンズ群)が一体的に形成されている。ここで、UV光源部40から出射された紫外線UVは、最初のフライアレイレンズ48のレンズ群に入射することにより、次のフライアレイレンズ49のレンズ群にそれぞれ光源像を結ぶ(クリティカル照明)。これらの光源像は、給送方向に沿って明るさがそれぞれ異なる光源像となるが、これらの光源像がフライアレイレンズ49のレンズ群の作用により給送方向に沿って、光軸を中心とする同一領域をそれぞれ照明(ケーラー照明)するので、平版印刷版原版12上における給送方向に沿った紫外線UVの光量分布が略均一化される。
また、UVランプ44から出射される紫外線UVの版幅方向に沿った光量分布は略均一となっている。これにより、紫外線照射装置38は、インテグレータ照明光学系42の光軸と搬出経路とが交差する位置(これを「照射位置PUV」という。)にて、版幅方向を長手方向とする帯状の領域(これを「照射領域AUV」という。)に単位面積当たりの光量分布が略均一の紫外線UVを照射する。ここで、照射領域AUVは、その版幅方向に沿った長さが平版印刷版原版12の幅よりも広くなっている。
画像露光装置10では、アウタードラム20に装着された平版印刷版原版12に対するIRレーザLによる露光完了後に、この平版印刷版原版12がアウタードラム20から離脱し搬出機構84により搬送開始されると、少なくとも平版印刷版原版12への紫外線UVの照射時には、搬出機構84により平版印刷版原版12を一定の速度で搬送する。これにより、照射位置PUVを通過した平版印刷版原版12の画像記録層の全面に一定量の紫外線UVが照射されるので、IRレーザLによる画像露光後に、平版印刷版原版12における記録層中の重合開始剤を活性化できる。
(第2の実施形態)
図4には本発明に係る第2の実施形態の画像露光装置が示されている。なお、この第2の実施形態の画像露光装置100では、第1の実施形態の画像露光装置10と共通の部分については同一符合を付して説明を省略する。
画像露光装置100は、第1の実施形態の画像露光装置10と同様に、平版印刷版原版12をデジタル画像情報に基づいて変調されたIRレーザLにより走査露光し、この平版印刷版原版12にデジタル画像情報に対応する画像を形成するものである。この画像露光装置100が画像露光装置10と異なる部分は、図4に示されるように、給版台16及び排出トレー18が省略されている点、給版台16及び排出トレー18の代わりにオートローダ102がオプションユニットとして追加されている点及び、紫外線照射装置38が本体ケーシング14内からオートローダ102側へ移設されている点である。
オートローダ102は、画像露光装置100の制御部(図示省略)からの制御に従って、又は予め設定された供給スケジュールに従って平版印刷版原版12を給送機構34へ供給すると共に、露光が完了した平版印刷版原版12を収容するためのものである。このオートローダ102には、外殻部としてローダケーシング112が設けられると共に、このローダケーシング112内に多数枚の平版印刷版原版12が装填可能な装填部104及び、多数枚の平版印刷版原版12を収容可能なスタック部116が設けられている。
オートローダ102は、装填部104に装填された平版印刷版原版12の束から1枚の平版印刷版原版12を分離する分離機構(図示省略)と、この分離機構により分離された1枚の平版印刷版原版12を本体ケーシング14側へ搬送し、給送機構34へ供給する第1搬送機構106と、搬出機構84により本体ケーシング14から搬出されてきた平版印刷版原版12をスタック部116へ搬送する第2搬送機構118とを備えている。
ここで、第1搬送機構106は、装填部104と給送機構34の入口部とを繋ぐ搬送経路に沿って配置された搬送ローラ108、ガイド部材110等により構成されており、装填部104から分離された平版印刷版原版12を給送機構34による搬送開始位置まで所定の搬送速度で搬送する。
また第2搬送機構118は、搬出機構84の出口部とスタック部116とを繋ぐ搬送経路に沿って配置された搬送ローラ120、ガイド部材122等により構成されており、搬出機構84により本体ケーシング14から排出された平版印刷版原版12を搬送してスタック部116内へ排出する。このスタック部116内へ排出される平版印刷版原版12は、スタック部116内における所定の積載位置へ位置決めされると共に、スタック部116の底板部又は他の平版印刷版原版12上に積み重ねられて平版印刷版原版の束を構成する。
オートローダ102には、ローダケーシング112を画像露光装置100の本体ケーシング14と連結するブリッジ状の連結部114が設けられており、搬送機構106,118は、それぞれ連結部114内を通って本体ケーシング14内の給送機構34及び搬出機構84に接続されている。またオートローダ102には、連結部114内に平版印刷版原版12に紫外線UVを照射するための紫外線照射装置38が配置されており、この紫外線照射装置38は、第2搬送機構118により本体ケーシング14内からスタック部116へ搬送される平版印刷版原版12における記録層全面に紫外線UVを照射する。この第2の実施形態の紫外線照射装置38は、第1の実施形態の紫外線照射装置38と基本的に共通の構造を有している。但し、画像露光装置100では、アウタードラム20から後加熱装置38までの距離が長くなり搬送時間も増加することから、紫外線UVの照射量を画像露光装置10における照射量よりも増加させる必要が生じる場合もある。このことから、紫外線照射装置38のUV光源部40の出力については、紫外線UVの照射量の高低等に応じて設計仕様を変更しても良い。
上記のように構成された第2の実施形態の画像露光装置100では、紫外線照射装置38がオプションユニットであるオートローダ102に配置されていることから、画像露光装置100の装置本体の構造については、給版台16及び排出トレー18が省略されている点を除き、紫外線照射装置38を備えていない従来の画像露光装置と何ら変わらないものになっている。従って、画像露光装置100によれば、従来の画像露光装置の装置本体にオートローダ102を付設するだけで、平版印刷版原版12に紫外線UVの照射を行うことが可能になるので、紫外線UVの照射可能な画像露光装置の開発コスト及び開発時間を大幅に減少でき、また既にユーザに納入されている画像露光装置についても、オートローダ102の追加等と簡単な設定変更だけで、紫外線UVの照射可能なものに改造できる。
(紫外線照射装置の変形例)
次に、上記した画像露光装置10,100にUVランプ44を光源とする紫外線照射装置38の代わりに、GaN系半導体レーザを光源とする紫外線照射装置を適用した場合について説明する。
図5には、GaN系半導体レーザを光源とする紫外線照射装置が示されている。この紫外線照射装置130は、画像露光装置10,100に紫外線照射装置38の代えて適用可能なものであり、それぞれチップ状に形成された複数個のGaN系半導体レーザ(以下、単に「半導体レーザ」という。)132を紫外線UVの光源として備えている。紫外線照射装置130における半導体レーザ132は放熱体であるヒートシンク134上に固定されており、これらの半導体レーザ132にはそれぞれ光ファイバ136が接続されている。
半導体レーザ132に接続された複数本の光ファイバ136の先端部は、複数本の光ファイバ136の先端部を挟持する一対の支持板、光ファイバ136の先端面を保護するための透明の保護板等からなるファイバホルダ138により保持されている。ここで、ファイバホルダ138は、照射位置PUVを通過する平版印刷版原版12に対向するように支持されている。また光ファイバ136の途中にはコネクタアレイ140が設けられており、このコネクタアレイ140を介し、光ファイバ136はファイバホルダ138側の部分と半導体レーザ132側の部分とが接離可能とされている。これにより、例えば、半導体レーザ132の故障時に、ファイバホルダ138等を分解することなく、故障した半導体レーザ132の交換を簡単に行えるようになっている。
なお、図5に示される紫外線照射装置130では、1個の半導体レーザ132に1本の光ファイバ136が接続されているが、1本の光ファイバ136に対して複数個の半導体レーザ132を設けると共に、これらの半導体レーザ132と光ファイバ136の入射端面との間にコリメータレンズ、集光レンズ等からなる合波光学系を設置し、各半導体レーザ132から出射された紫外線レーザを合波して1本の光ファイバ136に入射させることにより、1本の光ファイバ136から出射される紫外線レーザの出力を増大させても良い。
紫外線照射装置130には、ファイバホルダ138と平版印刷版原版12との間に照明光学系142が設けられている。この照明光学系142は、例えば、版幅方向(図5の矢印B方向)へレンズパワーを有する拡大光学系、インテグレータ照明光学系等が組み合されたものであり、ファイバホルダ138から出射された複数本の紫外線レーザを平版印刷版原版12における版幅方向に沿った線状の照射領域AUVに単位面積当たりの光量分布が略均一の紫外線UVとして照射する。
図5に示される紫外線照射装置130が適用された場合、画像露光装置10,100では、給版台16上から供給された1枚の平版印刷版原版12が給送機構34により搬送開始されると、平版印刷版原版12の先端が照射位置PUVに達する直前のタイミングで半導体レーザ132を発光させ、平版印刷版原版12の後端が照射位置PUVを通過した直後に半導体レーザ132を消光する。また画像露光装置10,100では、少なくとも平版印刷版原版12への紫外線UVの照射時には、給送機構34により平版印刷版原版12を一定速度で搬送する。これにより、照射位置PUVを通過した平版印刷版原版12の画像記録層の全面に一定量の紫外線UVが照射される。
以上説明した紫外線照射装置130によれば、半導体レーザ132の設置数を増減することにより、平版印刷版原版12へ照射する紫外線UVの出力を簡単に調整することができるので、例えば、UVランプ44を光源とする紫外線照射装置38と比較して、より高出力の紫外線UVを平版印刷版原版12へ照射することも可能になる。従って、紫外線照射装置130を画像露光装置10,100に適用した場合には、画像露光装置10,100の露光処理能力を向上するために、給送機構34による平版印刷版原版12の給送速度を大幅に上昇させたときにも、給送速度の増加分に応じて紫外線UVの出力を簡単に増大させ、所要量の紫外線UVを平版印刷版原版12へ確実に照射することが可能になる。
上記のように、本発明に係る画像露光装置10,100にてIRレーザLにより画像が露光された平版印刷版原版は、その後、特段の液体現像液による現像処理を行なうことなしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。即ち、露光後の平版印刷版原版の未露光部は、印刷工程の初期の段階で、湿し水等に含まれる水性成分やインキなどの油性成分により容易に除去されて親水性の支持体表面が露出し、そこに湿し水が付着して非画像部が形成され、露光により硬化した疎水性領域はインク受容性の画像部を形成する。
また、これらの平版印刷版原版は、水または適当な水溶液を現像液とする現像処理を行なった後、印刷に用いることもできる。
本発明の方法により画像形成された平版印刷版原版は、紫外線照射工程における充分な活性種の供給によって画像部領域の硬化が充分に進行し、画像部の強度に優れるため、いわゆる機上現像型の平版印刷版において課題となっていた高耐刷性が実現され、多数枚の良好な印刷物を得ることが可能となったものである。
(平版印刷版原版の構成)
次に、本発明の方法に好適に適用し得る、液体現像処理工程を必要とせず画像形成することが可能な平版印刷版原版の構成について詳細に説明する。
本発明に係る平版印刷版原版は、支持体上に重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えてなるものである。
〔画像記録層〕
(重合性化合物を内包するマイクロカプセル)
本発明に用いられる重合性化合物としては、カチオン重合性化合物およびラジカル重合性化合物が挙げられる。
<カチオン重合性化合物>
本発明に用いられるカチオン重合性化合物としては、分子内に、カチオン重合性基を有する化合物であれば特に制限はないが、中でも、ビニルオキシ基、またはエポキシ基を有する化合物が好適に用いられる。
本発明に好適なビニルオキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、特開2002−29162に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,2−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3,5−トリス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、4,4’−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ビフェニル、4,4’−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルエーテル、4,4’−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルメタン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ナフタレン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フラン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}チオフェン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}イミダゾール、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン{ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル}、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパンなどが挙げられ、中でも、2,2−ビス[4−[2−(ビニルオキシ)エチルオキシ]フェニル]プロパン、ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル、2,2−ビス[4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(ビニルオキシ)フェニル]プロパンが特に好ましい。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に好適なエポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、2個以上エポキシ基を有する化合物が好ましく、多価アルコールや多価フェノールなどとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル化合物又はそのプレポリマー、更に、アクリル酸グリシジル又はメタクリ酸グリシジルの重合体もしくは共重合体等を挙げることができる。
具体例的には、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等、更に、メタクリ酸メチル/メタクリ酸グリシジル共重合体、メタクリ酸エチル/メタクリ酸グリシジル共重合体等が挙げられ、中でも、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジエーテル又はエピクロロヒドリン重化合物が特に好ましい。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記化合物の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1001(分子量約900、エポキシ当量450〜500)、エピコート1002(分子量約1600、エポキシ当量600〜700)、エピコート1004(約1060、エポキシ当量875〜975)、エピコート1007(分子量約2900、エポキシ当量2000)、エピコート1009(分子量約3750、エポキシ当量3000)、エピコート1010(分子量約5500、エポキシ当量4000)、エピコート1100L(エポキシ当量4000)、エピコートYX31575(エポキシ当量1200)、住友化学(株)製のスミエポキシESCN−195XHN、ESCN−195XL、ESCN−195XF等を挙げることができる。
<ラジカル重合性化合物>
本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合を有するものであれば特に制限はない。
エチレン性不飽和結合を含む官能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などが挙げられ、これらを少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好適に用いられる。このような化合物群は当該産業分野において、ラジカル重合性化合物用のモノマー又は架橋剤として広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定することなく用いることができる。化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体、オリゴマー、重合体もしくは共重合体、又はそれらの混合物である。
本発明に好適なラジカル重合性化合物としては、特開2001−277740号に記載のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
代表例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートとキシリレンジイソシアナートとの付加体などが挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物の重合体又は共重合体形態のものとしては、例えば、アリルメタクリレートの共重合体、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
中でも、アクリルメタクリレートの共重合体が特に好ましい。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
<その他の重合性化合物>
更に、本発明に係るマイクロカプセルの内包物としては、上記重合性化合物以外に、以下に挙げる熱反応性基を有する熱重合性化合物を含有していてもよい。
熱重合性基としては、例えば、付加反応を行うイソシアナート基、そのブロック体、及び、前記カチオン重合性基または前記エチレン性不飽和基との反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、
縮合反応を行うカルボキシ基、並びに、その反応相手であるヒドロキシ基及びアミノ基、
開環付加反応を行う酸無水物、並びに、その反応相手であるアミノ基及びヒドロキシ基、などが挙げられる。
本発明に好適なイソシアナート基を有する化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキシルジイソシアナート、又は、これらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物を挙げることができる。
本発明に好適なアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
本発明に好適なヒドロキシ基を有する化合物としては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類などを挙げることができる。
本発明に好適なカルボキシ基を有する化合物としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。
本発明に好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
また、本発明に係る画像記録層には、光熱変換剤および重合開始剤を、マイクロカプセル中および記録層マトリックス中の少なくとも一方に添加する必要があるが、これらの成分をマイクロカプセル中に添加する際には、上記の内包物と同じ溶媒に溶解または分散させて内包させる。また、使用可能な光熱変換剤および重合開始剤については後述する。
上記各成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許2800457号、同2800458号にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許990443号、米国特許3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号にみられる界面重合法による方法、米国特許3418250号、同3660304号にみられるポリマーの析出による方法、米国特許3796669号に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号にみられる尿素―ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許930422号米国特許3111407号にみられるスプレードライング法、英国特許952807号、同967074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁材としては、塗布溶剤に膨潤し、且つ、3次元架橋を形成し得る性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性基を有する化合物を導入しても良い。
得られたマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましいが、0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
また、このようなマイクロカプセルは、カプセル同志が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロカプセル内包物が、赤外線ビームを用いた画像露光によりカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出て、後述する重合開始剤から発生した反応開始物質と化学反応を起こすか、又は、反応開始物質がマイクロカプセル壁内に浸入し、化学反応を起こして硬化することが可能な構成を有するものであればよい。さらに、このような重合性化合物は、任意成分として記録層に添加される後述の親水性樹脂又は低分子化合物と反応してもよい。また、マイクロカプセルに、互いに熱反応するようなそれぞれ異なる官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。従って、マイクロカプセル同士が、熱により溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
このようなマイクロカプセルの記録層への添加量は、固形分換算で、記録層固形分の50質量%以上が好ましく、70〜98質量%がより好ましい。この範囲内で、良好な画像形成ができ、良好な耐刷性が得られる。
マイクロカプセルを含有する記録層には、該マイクロカプセルの内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤を添加することによって、画像露光時、マイクロカプセル内包物のカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚及び内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類などが好ましい。
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの溶剤を2種以上併用しても良い。マイクロカプセル分散媒には単独では溶解しないが、前記例示した溶剤を混合することにより溶解する溶剤も用いることができる。
このような溶剤の添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、通常、記録層塗布液の5〜95質量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90質量%、より好ましい範囲は15〜85質量%である。
(光熱変換剤)
本発明に係る記録層には、光のエネルギーを吸収し、熱に変換する機能を有する光熱変換剤を添加する必要がある。この場合、光熱変換剤を前記マイクロカプセル内および記録層マトリックス中の少なくとも一方に添加すればよく、本発明においては、赤外線エネルギーが画像形成性に効率よく寄与しうるという観点から、マイクロカプセル内に添加することが好ましい。
光熱変換剤としては、赤外線、中でも近赤外線(波長700〜2000nm)を吸収する物質であればよく、種々の公知の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子を用いることができる。
例えば、特開2001−301350公報、特開2002−137562公報、日本印刷学会誌、38巻35〜40頁(2001)「新イメージング材料、2.近赤外線吸収色素」等に記載の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が好適に用いられる。これらの顔料及び金属微粒子は、必要に応じて、公知の表面処理を施したものを用いることがでる。
より具体的には、染料又は色素として、米国特許4756993号、同4973572号、特開平10−268512号、同11−235883号、特公平5−13514号、同5−19702号、特開2001−347765号等に記載のシアニン色素、ポリメチン色素、アゾメチン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩系染料、ジチオール金属錯体、フタロシアニン色素等が挙げられる。特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、フタロシアニン色素が挙げられる。
顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。中でもカーボンブラックが好適である。
金属微粒子としては、Ag、Au、Cu、Sb、Ge及びPbの微粒子が好ましく、Ag、Au及びCuの微粒子がより好ましい。
以下に、特に好適な光熱変換剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、(IR−1)〜(IR−11)は、画像記録層マトリックス中に添加するのに好適な親水性の光熱変換剤であり、(IR−21)〜(IR−29)は、マイクロカプセル中に内包させるのに好適な親油性の光熱変換剤である。
Figure 2005196030
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光熱変換剤の添加量は、マイクロカプセル中に添加する場合には、全マイクロカプセル内包物の1〜50質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。一方、光熱変換剤を画像記録層マトリックス中に添加する場合には、記録層固形分の1〜50質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。この範囲において、記録層の膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
(重合開始剤)
本発明に係る記録層には、画像記録層マトリックス中に、熱により反応開始物質を発生し、前記重合性化合物の反応を開始、促進する重合開始剤を添加する必要がある。この場合、重合開始剤を前記マイクロカプセル内および画像記録層マトリックス中の少なくとも一方に添加すればよいが、安定性の観点から、重合性化合物とマイクロカプセル壁を隔てて存在するよう、記録層マトリックス中に添加することが好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤の種類としては、公知の酸発生剤またはラジカル発生剤が挙げられ、前者は、前記マイクロカプセル中の重合性化合物としてカチオン重合性化合物を用いた場合に使用され、後者は、同じく重合性化合物としてラジカル重合性化合物を用いた場合に使用される。
また、発生した酸またはラジカルにより変色する染料と組み合わせて焼きだし系を形成することもできる。
以下、これら重合開始剤について説明する。
<酸発生剤>
本発明において、前記カチオン重合性化合物と組合せて用いられる酸発生剤としては、熱又は紫外線を吸収して酸を発生するものであれば、特に制限はない。このような酸発生剤としては、公知の酸前駆体、酸発生剤が好適に用いられ、例えば、焼き出し画像形成用の酸発生剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等が挙げられる。
より具体的には、特開2002−29162号、特開2002−46361号、特開2002−137562号などに記載のトリハロメチル置換へテロ環化合物に代表される有機ハロゲン化合物、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩(例えばヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)を挙げることができる。またこれらの酸を発生する基又は化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることもできる。
以下、本発明に好適に使用し得る酸発生剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005196030
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上記酸発生剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
酸発生剤の添加量は、記録層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
<ラジカル発生剤>
本発明において、ラジカル重合性化合物と組合せて用いられるラジカル発生剤としては、熱又は紫外線を吸収してラジカルを発生するものであれば、特に制限はない。このようなラジカル発生剤としては、公知の熱ラジカル発生剤が好適に使用され、例えば、光ラジカル重合の光開始剤などが挙げられる。
具体的には、前記酸発生剤として挙げた、スルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩(例えば、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)等を、ラジカル発生剤としても使用することができる。
具体例としては、前記に挙げた、化合物(AI−1)〜(AI−17)、(AN−1)〜(AN−8)および(AS−1)〜(AS−12)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記ラジカル発生剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ラジカル発生剤の添加量は、記録層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
本発明の方法においては、前記紫外線照射工程における紫外線の照射により、重合開始剤(酸発生剤またはラジカル発生剤)の分解を開始・促進することにより、カプセル壁材から系中に放出された重合性化合物と重合開始剤との硬化反応の効率が向上する効果が得られる。このため、紫外線の波長は重合開始剤の分解を効率的に開始、促進する波長とすることが好ましく、この紫外線の波長としては、100nm〜450nmの波長域から選択され、更に好ましくは200nm〜400nmの波長域から選択される。
また、本発明に係る記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p’,p”−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、記録層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
(親水性樹脂)
本発明に係る記録層マトリックス中には、機上現像性や記録層自体の皮膜強度向上のため親水性樹脂を含有させてもよい。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミド基などの親水性基を有するものが好ましい。
また、マイクロカプセルに内包される重合性化合物が有するエチレン性不飽和基、カチオン重合性基、または、熱重合性化合物が有する熱反応性基などの官能基と、親水性樹脂とが反応して架橋することによって、画像強度の向上やさらなる高耐刷化がなされるため、親水性樹脂として、これらの官能基と反応する基を有する樹脂を選択することが好ましい。例えば、カチオン重合性化合物がビニルオキシ基又はエポキシ基を有する場合は、親水性樹脂としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基などを有するものが好ましい。中でも、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する親水性樹脂が好ましい。
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ソヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のホモポリマー及びコポリマー、2−メタクロイルオキシエチルホスホン酸のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
上記親水性樹脂の添加量は、記録層全固形分中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
また、上記親水性樹脂は印刷機上で未露光部が機上現像できる程度に架橋して用いてもよい。親水性樹脂を架橋するために使用される架橋剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物などのポリカルボン酸類、ホウ酸、チタニルスルフェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。その他、塩化アンモニウム、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用できる。
(その他の添加剤)
本発明に係る記録層マトリックス中には、さらに必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。
<多官能モノマー>
耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを添加することができる。この多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。なかでも好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどを挙げることができる。多官能モノマーの添加量は、記録層全固形分中、0.1〜10質量%が好ましく、3〜5.0質量%が特に好ましくい。
<熱重合防止剤>
本発明においては、記録層塗布液の調製中又は保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、記録層全固形分中、0.01〜5質量%が好ましい。
<高級脂肪酸またはその誘導体>
本発明に係る記録層マトリックス中には、必要に応じで、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、記録層全固形分中、0.1〜10質量%が好ましい。
<無機微粒子>
本発明に係る記録層マトリックス中には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
また、無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、マイクロカプセルや光熱変換剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、記録層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の記録層への含有量は、記録層の全固形分の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
<界面活性剤>
本発明に係る記録層マトリックス中には、記録層の分散安定性、製版及び印刷性能向上や塗布性の向上のため、特開平2−195356号、特開昭59−121044号、特開平4−13149号及び特願2001−169731号に記載されているノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性又はフッ素系の界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤の好適な添加量は、記録層全固形分の0.005〜1質量%である。
<可塑剤>
本発明に係る記録層マトリックス中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
〔画像記録層の形成〕
本発明に係る記録層は、必要な上記各成分を溶剤に溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす記録層の皮膜特性は低下する。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
〔オーバーコート層〕
本発明に係る平版印刷版原版は、保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋跡汚染等から親水性の記録層表面を保護するため、記録層上に、特開2001−162961、特開2002−19318の各公報に記載の水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
上記のオーバーコート層には、感度を向上させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ましい光熱変換剤としては、水溶性の赤外線吸収色素が挙げられる。例えば、前記の記録層の説明中に示した(IR−1)〜(IR−11)が好適に用いられる。
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
本発明に係るオーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による記録層の汚染を防止できる。
〔支持体〕
本発明に係る平版印刷版原版に使用可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、アルミニウム板が挙げられる。
該アルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウム又はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来から公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び記録層との接着性の確保が容易になる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。
上記親水化処理のための好適な親水性化合物として、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などが挙げられる。
本発明に用いる支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
本発明においては、記録層を塗布する前に、必要に応じて、特開2001−2001−322365号に記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層が設けることができる。また、この下塗層には、前記光熱変換剤を含有させることができる。
上記のようにして、本発明の方法が適用し得る平版印刷版原版を得ることができる。この平版印刷版原版は熱により画像形成され、現像処理を経ることなく印刷工程に付する機上現像型の平版印刷版原版である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[支持体の作製]
99.5質量%以上のアルミニウムと、Fe 0.30質量%、Si 0.10質量%、Ti 0.02質量%、Cu 0.013質量%を含むJIS A1050合金の溶湯に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。次いで支持体と記録層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20質量%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。以上のように作製した支持体の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
[カチオン重合性化合物を内包するマイクロカプセルAの合成]
油相成分として、ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル4.5g、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マイクロカプセル壁材)5g、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン(株)製芳香族イソシアネートオリゴマー、マイクロカプセル壁材)3.75g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−27)1.5g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後テトラエチレンペンタミン(5官能アミン、マイクロカプセル壁架橋剤)0.38gを水26gに溶解したものを添加し、水冷しながら30分さらに65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセルA液の固形分濃度は24質量%であり、平均粒径は0.3μmであった。
[ラジカル重合性化合物を内包するマイクロカプセルBの合成例]
油相成分として、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(日本化薬製 KAYARAD DPHA)4.5g、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マイクロカプセル壁材)5g、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン(株)製芳香族イソシアネートオリゴマー、マイクロカプセル壁材)3.75g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−27)1.5g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後テトラエチレンペンタミン(5官能アミン、マイクロカプセル壁架橋剤)0.38gを水26gに溶解したものを添加し、水冷しながら30分さらに65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は24質量%であり、平均粒径は0.3μmであった。
〔実施例1〕
(平版印刷版原版Aの作製)
上記製造例で得たアルミニウム基板上に、合成例のマイクロカプセルAを含む下記の記録層塗布液をバー塗布した後、オーブンで100℃60秒の条件で乾燥し、記録層の乾燥塗布量1.0g/m2の平版印刷版原版Aを作製した。
<記録層塗布液>
・水 35.4g
・前記合成例のマイクロカプセルA液 9.0g
・酸発生剤(本明細書に記載のAI−7) 0.24g
〔実施例2〕
(平版印刷版原版Bの作製)
上記製造例で得たアルミニウム基板上に、合成例のマイクロカプセルBを含む下記の記録層塗布液をバー塗布した後、オーブンで100℃60秒の条件で乾燥し、記録層の乾燥塗布量1.0g/m2の平版印刷版原版Bを作製した。
<記録層塗布液>
・水 35.4g
・前記合成例のマイクロカプセルB液 9.0g
・酸発生剤(本明細書に記載のAS−7) 0.24g
(露光・印刷および評価)
上記で得られた平版印刷版原版を、本発明に係る画像露光装置10及び画像露光装置100の何れかに装着し、IRレーザLにより平版印刷版原版12を走査露光して記録層に画像(潜像)を形成すると共に、IRレーザLによる走査露光後に、記録層全面にに紫外線UVを照射して記録層に含まれる重合開始剤を活性化した。このとき、紫外線照射装置38,130により照射する紫外線UVの波長としては、UVランプ44を光源とする紫外線照射装置38を用いる場合には365nmに設定し、半導体レーザ96を光源とする紫外線照射装置130を用いる場合には375nmに設定した。また紫外線照射装置38,130から出射される紫外線UVの出力は、30W〜100Wの範囲内に設定した。
この結果、記録層の表面近傍のみならず、記録層と支持体との界面付近においても酸発生剤の分解反応促進により充分な開始種が供給されるため、カプセル壁の崩壊又は浸透性向上により放出されたカチオン重合性化合物の重合、硬化反応が効率よく進行し、強固で耐刷性に優れた画像を形成できた。
実施例の各平版印刷版原版を画像露光完了後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。4容量%IF102(富士写真フイルム(株)製)水溶液からなる湿し水とバリウス墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製を用い、湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。
この際、印刷工程の初期段階で非画像部における記録層が除去され、非画像部に汚れのない高画質の印刷物が得られた。その後も印刷を継続し、どれだけの枚数が、非画像部に汚れがなく、画像部が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性の指標とした。枚数が多いほど耐刷性に優れるものと評価する。
結果は、実施例1の平版印刷版原版Aが3.5万枚であり、実施例2の平版印刷版原版Bが3.0万枚であった。これにより、実施例1、2のどちらの平版印刷版原版も実用性に耐えうる優れた耐刷性を有していることが確認された。
本発明に係る第1の実施形態の画像露光装置の構成を示す側面図である。 図1に示される画像露光装置における露光ヘッド及びその送り機構の構成を示す斜視図である。 図1に示される紫外線照射装置の構成を示す側面図である。 本発明に係る第2の実施形態の画像露光装置の構成を示す側面図である。 本発明に係る実施形態の画像露光装置に適用可能な紫外線照射装置の変形例を示す斜視図である。
符号の説明
10 画像露光装置
12 平版印刷版原版
14 本体ケーシング
20 アウタードラム(保持部材)
22 チャック機構(保持部材)
26 露光ヘッド(露光手段)
28 送り機構(露光手段)
32 LD光源部(露光手段)
38 紫外線照射装置(紫外線照射手段)
40 UV光源部
42 インテグレータ照明光学系
84 搬出機構
86 搬送ローラ(搬出機構)
88 ガイド部材(搬出機構)
100 画像露光装置
102 オートローダ
118 第2搬送機構(搬出機構)
120 搬送ローラ(搬出機構)
122 ガイド部材(搬出機構)
130 紫外線照射装置(紫外線照射手段)
132 半導体レーザ(紫外線照射手段)

Claims (4)

  1. 支持体上に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えた平版印刷版原版に対して画像形成する画像形成方法であって、
    平版印刷版原版を赤外線により選択的に露光して該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する画像露光工程と、
    前記赤外線による画像露光が完了した後、平版印刷版原版の画像記録層の全面に紫外線を略均一に照射して、該画像記録層に含まれる重合開始剤から反応開始物質を発生させる紫外線照射工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記紫外線照射工程では、平版印刷版原版の画像記録層に200nm〜400nmの波長域から選択された波長を有する紫外線を照射することことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の画像形成方法に用いられる画像露光装置であって、
    平版印刷版原版が装着可能とされ、装着された平版印刷版原版を保持する保持部材と、
    前記保持部材により保持された平版印刷版原版を赤外線により選択的に露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する露光手段と、
    前記露光手段により画像が形成された平版印刷版原版の画像記録層の全面に紫外線を照射する紫外線照射手段と、
    を有することを特徴とする画像露光装置。
  4. 前記露光手段による画像形成後に前記保持部材から離脱した平版印刷版原版を受け入れる受入部と、
    前記露光手段による画像形成後に前記保持部材から離脱した平版印刷版原版を所定の搬出経路に沿って前記保持部材から前記受入部へ搬送する搬出機構と、を有し、
    前記後加熱手段に、前記搬出機構により前記搬出経路に沿って搬送される平版印刷版原版に対して紫外線を出射する紫外線出射部を設けたことを特徴とする請求項3記載の画像露光装置。
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