JP2004338386A - 画像形成方法および画像露光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画像露光後に、液体現像処理工程を経ることなく画像形成で、且つ、耐刷性に優れた平版印刷版を得ることができる画像形成方法、および、それに適した画像露光装置を提供する。
【解決手段】 画像露光装置では、アウタードラム20に装着された平版印刷版原版12を赤外線レーザにより走査露光し、平版印刷版原版12の記録層に画像情報に対応する画像を形成すると共に、赤外線レーザによる露光領域AIRに対する露光直後に、この露光領域AIRを含む加熱領域AHTに熱風ノズル44を通して熱風を吹き付け、加熱領域AHTを所定の加熱温度にスポット加熱する。平版印刷版原版12の記録層は、光熱変換剤と、熱により表面疎水性領域を形成しうる材料とを含有し、この材料としては、例えば、カチオン重合性化合物を内包するマイクロカプセルと酸発生剤とが用いられる。
【選択図】 図2

Description

本発明は画像形成方法および画像露光装置に関するものであり、詳細には、赤外線ビームによる画像の走査露光、および、特段の液体現像処理を行うことなく製版が可能な平版印刷版の画像形成方法、および、それに用いる画像露光装置に関する。
近年におけるレーザ技術の発展は目ざましく、特に波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザおよび半導体レーザ(以下、適宜「赤外線レーザ」と称する)は、高出力かつ小型のものが容易に入手できるようになった。特に、平版印刷の分野において、これらの赤外線レーザは、コンピュータ等のデジタルデータにより直接印刷版を製版するCTP(Computer to Plate)システムの記録光源として非常に有用である。
それに伴い、上記CTPシステム用の平版印刷版についても多数の研究がなされている。中でも、より一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしに、印刷機に装着して印刷できる現像不要の平版印刷版原版が研究され、種々の方法が提案されている。
現像工程をなくす方法の一つに、露光済みの平版印刷版原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷版原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、平版印刷版原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。これにより、従来の現像薬品を用いた液体現像処理工程が不用となり、印刷準備工程の合理化、現像廃液処理の不要化等が可能となる。
このような平版印刷版原版としては、基板上に架橋された親水層を設けその中にマイクロカプセル化された熱溶融物質を含有した平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この印刷版ではレーザの露光領域に発生した熱の作用によりマイクロカプセルが崩壊し、カプセル中の親油性物質が溶け出し、親水層表面が疎水化される。
また、同じく熱により崩壊するマイクロカプセルを利用した他の例としては、光重合性モノマーと感光性樹脂を内包するマイクロカプセルや、三次元架橋された親水性層と相互作用を形成する親油性成分を内包するマイクロカプセルを用いた平版印刷版原版も提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
これらの平版印刷版原版は現像処理を必要としないが、支持体としてアルミニウムなどの金属板を用いた場合、画像形成に使用されるべき熱が支持体に拡散し、支持体と記録層との界面において記録層の硬化が十分に進行せず、画像部の強度が不充分で耐刷性に劣るという問題があった。
国際公開第94/23954号パンフレット 特開昭62−250454号公報 特許第3206297号明細書
前記従来の諸問題を解決すべくなされた本発明の目的は、デジタル信号に基づいた走査露光により、特段の液体現像処理工程を経ることなく画像形成が可能であり、且つ、耐刷性に優れた平版印刷版を得ることができる画像形成方法、および、それに用いる画像露光装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、以下に述べる各種記録層を設けた平版印刷版原版に画像露光を行った後に、該平版印刷版の露光領域を含む領域を局所的に所定温度範囲まで加熱することで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を解決するに至った。
即ち、請求項1に係る本発明の画像形成方法は、支持体上に、疎水化前駆体と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えた平版印刷版原版に対して画像形成する画像形成方法であって、平版印刷版原版を赤外線ビームにより走査露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する画像露光工程と、赤外線ビームによる平版印刷版原版の露光時に、平版印刷版原版の画像記録層上における前記赤外線ビームにより露光される任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射後に局所的に所定の加熱温度まで加熱する後加熱工程と、を含むことを特徴とする。
上記請求項1に係る画像記録層に好適に用いられる疎水化前駆体としては、(a)熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、(b)熱可塑性ポリマー微粒子、又は、(c)熱反応性基を有するポリマー微粒子が挙げられる。
また、請求項3に係る本発明の画像形成方法は、支持体上に、重合性化合物と、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えた平版印刷版原版に対して画像形成する画像形成方法であって、平版印刷版原版を赤外線ビームにより走査露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する画像露光工程と、赤外線ビームによる平版印刷版原版の露光時に、平版印刷版原版の画像記録層上における前記赤外線ビームにより露光される任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射後に局所的に所定の加熱温度まで加熱する後加熱工程と、を含むことを特徴とする。
上記請求項3に係る画像記録層に用いられる重合性化合物は、好ましくは、マイクロカプセルに内包されて適用されるか、或いは、(e)重合性基を有するポリマー微粒子として適用される。以下、重合性化合物がマイクロカプセルに内包された状態を「(d)重合性化合物を内包するマイクロカプセル」と称する。
ここで後加熱温度は、35℃〜230℃の範囲とすることが好ましく、35℃〜200℃の範囲とすることがより好ましい。さらに加熱領域の前記加熱温度までの加熱は、該加熱領域に含まれる露光領域に対する露光完了後1分以内に行うことが好ましく、30秒以内に行うことがより好ましい。
また、請求項8に係る本発明の画像露光装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成方法に用いられる画像露光装置であって、平版印刷版原版が装着可能とされ、装着された平版印刷版原版を保持する保持部材と、前記保持部材により保持された平版印刷版原版を赤外線ビームにより走査露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する露光手段と、前記露光手段により赤外線ビームが照射される平版印刷版原版における任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射前後に局所的に前記加熱温度まで加熱する後加熱手段と、を有することを特徴とする。
ここで、請求項1に係る平版印刷版原版の画像形成機構について説明する。請求項1に係る平版印刷版原版の画像記録層は、疎水化前駆体及び光熱変換剤を含有することを特徴とし、画像露光における赤外光のエネルギー、及び露光により光熱変換剤より発生した熱エネルギー(以下、単に「画像露光のエネルギー」と称することがある)により、該疎水化前駆体が疎水性領域(画像部)を形成する。一方、未露光部は親水性であるため、印刷時の湿し水やインキの供給等による機上現像が可能となる。
なお、請求項1に係る平版印刷版原版に好適な画像記録層としては、以下の第一〜第三の画像記録層を挙げることができる。
第一の態様である(a)熱反応性基を有する化合物(以下、適宜「熱反応性化合物」と称する)を内包するマイクロカプセルと、光熱変換剤と、を含有する画像記録層においては、画像露光のエネルギーにより、マイクロカプセル壁が崩壊されるか、あるいは浸透性となり、内包されていた熱反応性化合物がマイクロカプセル外に放出(滲出)され、該熱反応性化合物の重合反応や付加反応等が生起されることで、表面疎水性領域、即ち画像部が形成されるといった仕組みである。特に、該熱反応性化合物の熱反応性基が重合性基である場合には、画像記録層に重合開始剤を含有させることが好ましく、この重合開始剤は、画像露光のエネルギーによって、重合開始剤から反応開始物質(活性種)を発生し、マイクロカプセル外に放出(滲出)された熱反応性化合物の重合反応を開始、進行させる機能を果たす。
第二及び第三の態様である、(b)熱可塑性ポリマー微粒子又は(c)熱反応性基を有するポリマー微粒子と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層においては、画像露光のエネルギーにより、ポリマー微粒子同士が、互いに融着するか、又は、重合反応や付加反応等の架橋反応により互いに凝集し、表面疎水性領域、即ち画像部が形成されるといった仕組みである。特に第三の態様において、熱反応性基を有するポリマー微粒子の熱反応性基が重合性基である場合には、画像記録層に重合開始剤を含有させることが好ましく、この重合開始剤は、ポリマー微粒子の架橋(重合)反応を開始、進行させる機能を果たす。
次に、請求項3に係る平版印刷版原版の画像形成機構について説明する。請求項3に係る平版印刷版原版の画像記録層は、重合性化合物、重合開始剤、及び光熱変換剤を含有することを特徴とし、画像露光のエネルギーにより、該重合性化合物が重合反応を生起して硬化することで画像部を形成する。一方、未露光部では未硬化の各成分が、印刷時の湿し水やインキの機能、印刷時にかかる応力により容易に除去され、機上現像が可能となる。
なお、請求項3に係る平版印刷版原版に好適な画像記録層としては、以下の第四、第五の態様の画像記録層を挙げることができる。
第四の態様である(d)重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層においては、画像露光のエネルギーにより、マイクロカプセル壁が崩壊されるか、あるいは浸透性となり、内包されていた重合性化合物がマイクロカプセル外に放出(滲出)される。また、同じく画像露光のエネルギーによって、重合開始剤から発生した反応開始物質(活性種)が、マイクロカプセル外に放出(滲出)された重合性化合物の重合反応を開始、進行させ、画像部が形成されるといった仕組みである。
第五の態様である(e)重合性基を有するポリマー微粒子と、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層においては、画像露光のエネルギーにより、重合開始剤から発生した反応開始物質(活性種)が、重合性基を有するポリマー微粒子同士の架橋(重合)反応を開始、進行させ、画像部が形成されるといった仕組みである。
しかし、これらいずれの平版印刷版原版においても、前記したように、記録層と支持体との界面付近では、支持体への熱の拡散が見られ、未反応の重合性化合物や重合開始剤が残存して充分な硬化反応が行なわれなかったり、あるいは、ポリマー微粒子同士が充分に融着或いは架橋しない領域が存在することがあり、強固で耐刷性に優れた画像を形成するに至らなかった。
本発明の画像形成方法は、上記平版印刷版原版を画像露光した後に、非画像部における上記マイクロカプセル壁材が浸透性とならない程度のエネルギー、あるいは、非画像部におけるポリマー微粒子同士が融着または架橋反応を起こさない程度のエネルギーで、該平版印刷版原版の画像露光された領域を含む領域を局所的に加熱すること(以下、適宜「後加熱」と称する)により、画像形成に係る熱エネルギー量が増大し、強固で耐刷性に優れた画像を形成し得るものと考えられる。具体的には、マイクロカプセルを用いた記録層においては、加熱により未反応の重合開始剤が分解して新たな活性種が発生し、未反応の熱反応性化合物又は重合性化合物に働きかけてその重合反応や付加反応を開始、進行させるとともに、活性種や、熱反応性化合物又は重合性化合物の運動性が向上するため、重合反応や付加反応の進行が促進される。また、微粒子ポリマーの場合、後加熱により不完全に融着した隣接する微粒子表面同士の融着が促進される、また、架橋するタイプの微粒子を用いた場合にも、上記重合反応や付加反応等と同様の理由により架橋反応が促進され、強固な画像部が形成されるものと考えられる。このような観点からは、本発明の方法は、活性種の増加と運動性の向上との相乗効果が生じるマイクロカプセルを用いた場合に、より顕著な効果が期待される。
また、本発明の画像露光装置では、後加熱手段が露光手段により赤外線ビームが照射される平版印刷版原版における任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射後に局所的に前記加熱温度まで加熱する。これにより、赤外線ビームによる熱エネルギーだけでは記録層の支持体との界面付近に存在する開始剤の分解による活性種の発生が不充分であり、また、重合性化合物の運動性も低いなどの原因により重合反応が十分に進行し難い場合にも、記録層自体の温度上昇に伴って新たな活性種の発生や反応にあずかる化合物の運動性が向上し、支持体との界面付近における重合反応が促進される。また、同様に、微粒子同士の融着も再加熱により充分で強固なものとなる。
本発明によれば、デジタル信号に基づいた画像の走査露光、および、機上現像が可能であり、且つ、耐刷性に優れた平版印刷版原版の画像形成方法、および、それに用いる画像露光装置を得ることができる。
[画像露光装置の構成]
まず、本発明に係る画像形成方法が好適に実施される画像露光装置について図面を参照して説明する。
図1及び図2には本発明の実施形態に係る画像露光装置が示されている。この画像露光装置10は、平版印刷版原版12をデジタル画像情報に基づいて変調された赤外線レーザ(以下、「IRレーザL」という。)により走査露光し、この平版印刷版原版12にデジタル画像情報に対応する画像(潜像)を形成するものである。ここで、平版印刷版原版12は、特別な現像処理が不要とされた所謂、無処理刷版と呼ばれるものであり、アルミニウム又はアルミ合金からなる支持体及び、この支持体上に成膜された画像記録層を備えており、この画像記録層(以下、単に「記録層」と称することがある)は、疎水化前駆体、又は重合性化合物及び重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する。なお、ここでは、画像記録層の第一の態様である熱反応性化合物を内包するマイクロカプセル及び光熱変換剤を含有する画像記録層を用いた場合を例に挙げて説明する。
図1に示されるように、画像露光装置10には装置の外殻部としてケーシング14が設けられており、このケーシング14には、装置の幅方向(矢印W方向)に沿った片側の側板部に平版印刷版原版12の束を載置するための給版台16が取り付けられると共に、この給版台16の上側に露光完了した平版印刷版原版12を排出するための排出トレー18が設けられている。ケーシング14内には、1枚の平版印刷版原版12が着脱可能とされた円柱状のアウタードラム20が回転可能に配置されるている。このアウタードラム20の外周側には、平版印刷版原版12の先端部及び後端部をアウタードラム20上にそれぞれチャックするためのチャック機構22が設けられると共に、平版印刷版原版12をアウタードラム20の外周面上に巻き付けるためのガイドローラ24が設置されている。
ケーシング14内には、アウタードラム20に対向して露光ヘッド26及び、この露光ヘッド26を副走査方向に沿って移動可能に支持する送り機構28が配置されている。露光ヘッド26及び送り機構28は、デジタル画像情報に基づいて変調されたIRレーザLによりアウタードラム20に装着された平版印刷版原版12を走査露光し、この平版印刷版原版12の記録層にデジタル画像情報に対応する画像を形成するためのものである。またケーシング14内には、アウタードラム20の下部側に光源ボックス30が配置されており、この光源ボックス30内には露光ヘッド26へIRレーザLを供給するためのLD光源装置32(図2参照)等が収納されている。
図1に示されるように、画像露光装置10には、ケーシング14内に給版台16上に積載された平版印刷版原版12をアウタードラム20へ搬送するための給送機構34が設けられている。この給送機構34は、平版印刷版原版12の給送経路に沿って配置された複数の搬送ローラ35及びプレート状のガイド部材36を備えている。また給送機構34には、給版台16側の端部に給版台16上に積載された平版印刷版原版12の束から1枚の平版印刷版原版12を分離し、この1枚の平版印刷版原版12を給送経路へ供給するための分離機構(図示省略)が設けられている。
画像露光装置10では、給送機構34により平版印刷版原版12がアウタードラム20の上端部付近へ搬送されてくると、チャック機構22により平版印刷版原版12の先端部がアウタードラム20上にチャックされると共に、アウタードラム20が所定の正転方向(図1の矢印R1方向)ヘ回転開始する。これにより、先端部がアウタードラム20上に拘束された平版印刷版原版12は、ガイドローラ24によりアウタードラム20の外周面上へ加圧されつつ巻き付けられる。
画像露光装置10では、平版印刷版原版12が後端部までアウタードラム20上に巻き付けられると、チャック機構22により平版印刷版原版12の後端部がアウタードラム20上へチャックされる。これにより、平版印刷版原版12全体がアウタードラム20の外周面上に密着した状態とされ、平版印刷版原版12のアウタードラム20への装着が完了する。画像露光装置10では、平版印刷版原版12がアウタードラム20の装着された状態にて、送り機構28により露光ヘッド26を副走査方向へ移動させつつ、この露光ヘッド26から出射されるIRレーザLを平版印刷版原版12へ照射し、平版印刷版原版12に対する副走査露光を行う。また画像露光装置10では、1回の副走査完了に同期してアウタードラム20を正転方向へ主走査ピッチに対応する回転量だけ回転させることにより、平版印刷版原版12に対する主走査が可能になる。
図2に示されるように、露光ヘッド26には、複数個のレンズからなり結像光学系を構成するレンズユニット58及び、複数本の光ファイバ70の先端部を挟持した一対の支持板、光ファイバ70の先端面を保護するための透明の保護板等からなるファイバホルダ60が設けられている。この露光ヘッド26はプレート状のキャリア68に搭載されており、このキャリア68と一体となり副走査方向(図2の矢印S方向)に沿って移動する。ここで、複数本の光ファイバ70からそれぞれ出射されたIRレーザLは、レンズユニット58によりアウタードラム20に装着された平版印刷版原版12上に結像し、所定の形状及びサイズを有するビームスポットを形成する。
なお、本実施形態に係る露光ヘッド26は、複数個のビームスポットを平版印刷版原版12上に同時に投影可能なマルチビームタイプのものであり、これら複数個のビームスポットは、平版印刷版原版12上における副走査方向に沿って配列され、あるいは副走査方向に対して僅かに傾いた直線上に配列される。
また送り機構28は、キャリア68を副走査方向に沿ってスライド可能に支持する一対のガイドレール62及びモータユニット64に連結されたねじ軸66を備えている。またキャリア68の下面部にはブロック状の雌ねじ部材69が固定されており、この雌ねじ部材69に穿設された雌ねじ穴にねじ軸66がねじ込まれている。これにより、モータユニット64によりねじ軸66を回転させると、副走査方向に沿って露光ヘッド26は、キャリア68と一体となってねじ軸66の回転方向に対応する方向(前進方向又は後進方向)へねじ軸66の回転量に対応する距離だけ移動する。なお、本実施形態の画像露光装置10では、平版印刷版原版12に対する副走査が露光ヘッド26の前進時のみ行われる。
図2に示されるように、複数本の光ファイバ70の他端部は、LD光源装置32における複数個の半導体レーザ72にそれぞれ接続されている。LD光源装置32における半導体レーザ72はプレート状のヒートシンク74上に固定されている。また光ファイバ70の途中にはコネクタアレイ76が設けられており、このコネクタアレイ76を介し、光ファイバ70はファイバホルダ60側の部分と半導体レーザ72側の部分とが接離可能とされている。これにより、例えば、何れかの半導体レーザLDの故障時に、ファイバホルダ60等を分解することなく、故障した半導体レーザ72の交換を簡単に行えるようになっている。
送り機構28には、ガイドレール62の下側にチューブ状のケーブルベア78及び樋状のベアガイド80が副走査方向へ延在するように配置されている。ケーブルベア78は、長手方向に沿って分割された多数のリンク片82が直列的にリンク連結された構造とされており、上下方向に沿って湾曲可能な構造とされている。このケーブルベア78内には、光ファイバ70の露光ヘッド26側の部分(先端側)が挿通している。またベアガイド80は、ケーブルベア78を下方から支持しつつケーブルベア78の前後方向への移動を制限している。これにより、露光ヘッド26の副走査方向への移動時に、露光ヘッド26と共に移動する光ファイバ70の先端側がケーブルベア78により保護されて、光ファイバ70の損傷が防止されている。
画像露光装置10には、ケーシング14内に後加熱装置38が配置されている。この後加熱装置38は熱風により平版印刷版原版12を局所的に加熱(スポット加熱)するものであり、図2に示されるように加熱ファンユニット40、この加熱ファンユニット40にフレキシブルダクト42を通して接続された管状の熱風ノズル44を備えている。加熱ファンユニット40はケーシング14に対して固定されており、熱風ノズル44は、露光ヘッド26と共にキャリア68上に搭載されている。フレキシブルダクト42は、その先端側の部分が光ファイバ70の束と共にケーブルベア78内を挿通している。
ここで、キャリア68上の熱風ノズル44は、副走査方向に沿って露光ヘッド26の上流側に隣接するように配置されている。また熱風ノズル44は、その先端部に所定の開口形状を有する吹出口46が設けられており、この吹出口46はアウタードラム20の外周面に正対するように開口している。
加熱ファンユニット40には、ケーシング14の外部から吸気した空気を加熱するハロゲンヒータ、セラミックヒータ等からなる加熱部48及び、この加熱された空気をフレキシブルダクト42内へ加圧状態で送り込む送気部50が設けられている。フレキシブルダクト42内へ送り込まれた高温状態の空気は熱風ノズル44へ供給され、この熱風ノズル44の吹出口46からアウタードラム20に装着された平版印刷版原版12へ熱風として吹き付けられる。このとき、熱風ノズル44が露光ヘッド26の副走査方向上流側に隣接していることから、熱風ノズル44の吹出口46から吹き出される熱風は、平版印刷版原版12におけるIRレーザLのビームスポットが投影され露光される領域(これを適宜「露光領域AIR」という。)の副走査方向下流側に隣接した領域(これを適宜「加熱領域AHT」という。)に吹き付けられ、この加熱領域AHTにおける記録層を所定の加熱温度に加熱する。
ここで、加熱領域AHTは、副走査方向及び主走査方向に沿ってビームスポットにより形成される露光領域AIRよりも十分に大きなサイズを有している。これにより、熱風ノズル44から吹き出される熱風は、平版印刷版原版12における任意の露光領域AIRがIRレーザLのビームスポットにより露光された直後に、この露光領域AIRを含む加熱領域AHTを所定の加熱温度まで加熱することになる。また画像露光装置10には、後加熱装置38を制御するための加熱制御部(図示省略)が設けられており、この加熱制御部は、加熱ファンユニット40から熱風ノズル44へ供給される熱風の温度及び風量をそれぞれ制御し、平版印刷版原版12における加熱領域AHTの温度を加熱温度に維持する。
なお、キャリア68上に赤外線放射温度計等の温度センサを搭載し、この温度センサにより加熱領域AHTの温度(表面温度)を測定し、加熱領域AHTの表面温度に対応する測定信号を加熱制御部へ出力するようにしても良い。これにより、加熱制御部は、測定信号に基づいて加熱領域AHTの温度をフィードバック制御することが可能になるので、加熱領域AHTの温度を精度良く、かつ安定的に加熱温度に維持できるようになる。
図1に示されるように、画像露光装置10には、ケーシング14内にアウタードラム20から離脱した平版印刷版原版12を排出トレー18へ搬送するための搬出機構84が設けられている。この搬出機構84は、平版印刷版原版12の搬出経路に沿って配置された複数の搬送ローラ86及びプレート状のガイド部材88を備えている。
画像露光装置10では、アウタードラム20へ装着された平版印刷版原版12に対する露光(画像形成)完了後に、アウタードラム20を逆転方向(図1の矢印R2方向)へ回転させると共に、チャック機構22により平版印刷版原版12の後端部及び先端部をアウタードラム20から順次解放する。これに連動し、搬出機構84は、搬送ローラ86を回転させることで、アウタードラム20上から排出経路の入口部へ送り出されてきた平版印刷版原版12を排出トレー18へ搬送開始し、この平版印刷版原版12を排出トレー18上へ排出する。
なお、本発明に係る画像露光装置10の後加熱装置38は、平版印刷版原版12表面へ直接、熱風を吹き付けて平版印刷版原版12の加熱領域AHTをスポット加熱するものであるが、このような後加熱装置としては、熱風を用いるものに限定されず、例えば、キャリア68にハロゲンヒータ、セラミックヒータ等の赤外線の放射体(IR放射体)を搭載し、こIR放射体からの赤外線を平版印刷版原版12へ照射して加熱領域AHTをスポット加熱するようにしても、またキャリア68にマグネトロンを搭載し、このマグネトロンにより発生させた所定波長の電磁波を平版印刷版原版12の記録層へ照射し、録層中における水等の物質を共振させてスポット加熱(電磁波加熱)するようにしても、またキャリア68に電磁コイルを搭載し、この電磁コイルからの高周波磁界を平版印刷版原版12における金属製の支持体に印加し、この支持体をスポット加熱(誘導加熱)するようにしても良い。
なお、上記電磁波加熱を行うにあたっては、電磁波を有効に吸収し熱エネルギーに変換させる目的から、記録層成分中に電磁波に共鳴し、発熱し得る成分を含有させておくことが好ましい。例えば、一般的に用いられる240Hzの電磁波を用いる場合には、水がその成分に該当するため、記録層成分中に親水性樹脂や水溶性化合物などの水を保持する化合物を含有させることで、該記録層中の保水性を向上させ、効率的な発熱を生じさせることができる。ここで用いられる親水性樹脂としては、本明細書における後述の親水性樹脂の項に記載のものが挙げられ、中でも、アラビヤゴム、ソヤゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリビニルアルコールなど分子中に水酸基有する高分子化合物、また、低分子化合物としては、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールが記録層の保水性向上の観点から好ましい。
このようにして画像露光され、画像露光装置から排出された平版印刷版原版は、その後、特段の液体現像液による現像処理を行なうことなしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。即ち、露光後の平版印刷版原版の未露光部は、印刷工程の初期の段階で、湿し水等に含まれる水性成分やインキなどの油性成分により容易に除去されて親水性の支持体表面が露出し、そこに湿し水が付着して非画像部が形成され、露光により硬化した疎水性領域はインク受容性の画像部を形成する。
また、これらの平版印刷版原版は、水または適当な水溶液を現像液とする現像処理を行なった後、印刷に用いることもできる。
本発明の方法により画像形成された平版印刷版原版は、局所的に効率よく実施された後加熱工程の機能により画像部領域が充分に硬化し、画像部の強度に優れるため、いわゆる機上現像型の平版印刷版において課題となっていた高耐刷性が実現され、多数枚の良好な印刷物を得ることが可能となったものである。
なお、本発明の方法は、赤外線レーザを用いたデジタルデータに基づく走査露光のみならず、赤外線ビームを用いるものであれば、アナログデータに基づく画像露光にも適用できることはいうまでもない。
[平版印刷版原版の構成]
次に、本発明の方法に好適に適用し得る、液体現像処理工程を必要とせず画像形成することが可能な平版印刷版原版の構成について詳細に説明する。
−請求項1に係る画像記録層−
請求項1に係る画像記録層は、疎水化前駆体及び光熱変換剤を含有することを特徴とし、画像露光のエネルギーにより、該疎水化前駆体が疎水性領域(画像部)を形成することを特徴とする。
なお、請求項1に係る平版印刷版原版に好適な画像記録層としては、以下に示す第一〜第三の画像記録層を挙げることができる。
〔(a)熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、及び、光熱変換剤を含有する画像記録層〕
第一の態様の画像記録層は、熱により表面疎水性領域を形成しうる疎水化前駆体として(a)熱反応性基を有する化合物(熱反応性化合物)を内包するマイクロカプセルを含有する材料を用いることを特徴とする。なお、熱反応性化合物中の熱反応性基が重合性基である場合には、画像露光のエネルギーにより反応開始物質(活性種)を発生する重合開始剤を含有させることが好ましい。ここで、上記重合開始剤および光熱変換剤は、それぞれ、マイクロカプセル内、および、マイクロカプセル外、即ち記録層マトリックス中の、少なくとも一方に添加されていればよい。保存安定性の観点からは、重合開始剤は記録層マトリックス中に添加することが好ましく、光熱変換剤は、感度の観点からマイクロカプセル内に添加することが好ましい。
((a)熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル)
第一の態様に係る熱反応性化合物における熱反応性基とは、後述する(c)熱反応性基を有する微粒子ポリマーにおけるものと共通な官能基として、例えば、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基など)、付加反応を行うイソシアネート基またはそのブロック体、その反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基)、同じく付加反応を行うエポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシ基またはヒドロキシ基、縮合反応を行うカルボキシ基とヒドロキシ基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ基またはヒドロキシ基が挙げられる。本発明に用いられる熱反応性基は、これらに限定されず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよい。このような熱反応性化合物の中でも好ましくはカチオン重合性化合物およびラジカル重合性化合物が挙げられる。
<カチオン重合性化合物>
本発明に用いられるカチオン重合性化合物としては、分子内に、カチオン重合性基を有する化合物であれば特に制限はないが、中でも、ビニルオキシ基、またはエポキシ基を有する化合物が好適に用いられる。
本発明に好適なビニルオキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、特開2002−29162に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,2−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、1,3,5−トリス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ベンゼン、4,4’−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ビフェニル、4,4’−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルエーテル、4,4’−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ジフェニルメタン、1,4−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}ナフタレン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フラン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}チオフェン、2,5−ビス{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}イミダゾール、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン、ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパンなどが挙げられ、中でも、2,2−ビス[4−{2−(ビニルオキシ)エチルオキシ}フェニル]プロパン、ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル、2,2−ビス{4−(ビニルオキシメチルオキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(ビニルオキシ)フェニル}プロパンが特に好ましい。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に好適なエポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、2個以上エポキシ基を有する化合物が好ましく、多価アルコールや多価フェノールなどとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル化合物又はそのプレポリマー、更に、アクリル酸グリシジル又はメタクリ酸グリシジルの重合体もしくは共重合体等を挙げることができる。
具体例的には、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等、更に、メタクリ酸メチル/メタクリ酸グリシジル共重合体、メタクリ酸エチル/メタクリ酸グリシジル共重合体等が挙げられ、中でも、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物、ビフェニル型ビスフェノールのジグリシジルエーテル又はエピクロロヒドリン重付加物が特に好ましい。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記化合物の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1001(分子量約900、エポキシ当量450〜500)、エピコート1002(分子量約1600、エポキシ当量600〜700)、エピコート1004(約1060、エポキシ当量875〜975)、エピコート1007(分子量約2900、エポキシ当量2000)、エピコート1009(分子量約3750、エポキシ当量3000)、エピコート1010(分子量約5500、エポキシ当量4000)、エピコート1100L(エポキシ当量4000)、エピコートYX31575(エポキシ当量1200)、住友化学(株)製のスミエポキシESCN−195XHN、ESCN−195XL、ESCN−195XF等を挙げることができる。
<ラジカル重合性化合物>
本発明に用いられるラジカル重合性化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合を有するものであれば特に制限はない。
エチレン性不飽和結合を含む官能基(以下、エチレン性不飽和基)としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などが挙げられ、これらを少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好適に用いられる。このような化合物群は当該産業分野において、ラジカル重合性化合物用のモノマー又は架橋剤として広く知られるものであり、本発明においては、これらを特に限定することなく用いることができる。化学的形態としては、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体、オリゴマー、重合体もしくは共重合体、又はそれらの混合物である。
本発明に好適なラジカル重合性化合物としては、特開2001−277740号に記載のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。
代表例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートとキシリレンジイソシアナートとの付加体などが挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物の重合体又は共重合体形態のものとしては、例えば、アリルメタクリレートの共重合体、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
中でも、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体が特に好ましい。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
<その他の熱反応性化合物>
更に、第一の態様に係るマイクロカプセルの内包物としては、上記熱重合性化合物以外に、以下に挙げる他の熱反応性基化合物を含有していてもよい。
熱反応性基としては、例えば、付加反応を行うイソシアナート基、そのブロック体、及び、前記カチオン重合性基または前記エチレン性不飽和基との反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、
縮合反応を行うカルボキシ基、並びに、その反応相手であるヒドロキシ基及びアミノ基、
開環付加反応を行う酸無水物、並びに、その反応相手であるアミノ基及びヒドロキシ基、などが挙げられる。
本発明に好適なイソシアナート基を有する化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、シクロヘキシルジイソシアナート、又は、これらをアルコールもしくはアミンでブロックした化合物を挙げることができる。
本発明に好適なアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
本発明に好適なヒドロキシ基を有する化合物としては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類などを挙げることができる。
本発明に好適なカルボキシ基を有する化合物としては、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。
本発明に好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
また、第一の態様の画像記録層においては、光熱変換剤および重合開始剤を、マイクロカプセル中に添加する際には、上記の内包物と同じ溶媒に溶解または分散させて内包させる。また、使用可能な光熱変換剤および重合開始剤については後述する。
上記各成分をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許2800457号、同2800458号にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許990443号、米国特許3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号にみられる界面重合法による方法、米国特許3418250号、同3660304号にみられるポリマーの析出による方法、米国特許3796669号に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号にみられる尿素―ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許930422号米国特許3111407号にみられるスプレードライング法、英国特許952807号、同967074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁材としては、塗布溶剤に膨潤し、且つ、3次元架橋を形成し得る性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプセル壁に熱反応性基を有する化合物を導入しても良い。
得られたマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましいが、0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
このようなマイクロカプセルは、カプセル壁材が熱により崩壊するか又は透過性となることにより、内包していた熱反応性化合物が系内に放出され、硬化反応が生起、進行するが、前記後加熱工程における所定の加熱温度がカプセル壁材の透過性となる温度に達すると所望されない非画像領域での硬化反応が生じて非画像部に汚れを生じやすくなるため、前記加熱温度はカプセル壁材の透過性となる温度未満、好ましくはカプセル壁材の透過性となる温度を30℃下回る温度を上限とすることが好ましい。カプセル壁材の透過性となる温度は、カプセル壁材を形成する物質や壁材の厚みにより異なるが、例えば、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体をマイクロカプセル壁材とした場合は、286℃程度であり、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートの付加体、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン製芳香族イソシアナート)、及び、テトラエチレンペンタミンの反応生成物を壁材とした場合は、278℃程度である。
また、このようなマイクロカプセルは、カプセル同志が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロマイクロカプセル内包物が、画像露光によりマイクロカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出て、硬化反応を生起すればよい。特に熱反応性化合物が前記重合性化合物である場合には、マイクロカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出た重合性化合物が、後述する重合開始剤から発生した反応開始物質(活性種)と化学反応を起こすか、又は、反応開始物質がマイクロカプセル壁内に浸入し、重合性化合物と化学反応を起こせば良い。さらに、該重合性化合物が、任意成分として記録層に添加される後述の親水性樹脂又は低分子化合物と反応してもよい。また、マイクロカプセルに、互いに熱反応するようなそれぞれ異なる官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。従って、マイクロカプセル同士が、熱により溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
このようなマイクロカプセルの記録層への添加量は、画像記録層全固形分の50質量%以上が好ましく、70〜98質量%がより好ましい。この範囲内で、良好な画像形成ができ、良好な耐刷性が得られる。
マイクロカプセルを含有する記録層には、該マイクロカプセルの内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤を添加することによって、画像露光時、マイクロカプセル内包物のカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚及び内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類などが好ましい。
具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、これらの溶剤を2種以上併用しても良い。マイクロカプセル分散媒には単独では溶解しないが、前記例示した溶剤を混合することにより溶解する溶剤も用いることができる。
このような溶剤の添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、通常、記録層塗布液の5〜95質量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90質量%、より好ましい範囲は15〜85質量%である。
(光熱変換剤)
第一の態様の画像記録層には、光のエネルギーを吸収し、熱に変換する機能を有する光熱変換剤を添加する必要がある。この場合、光熱変換剤を前記マイクロカプセル内および記録層マトリックス中の少なくとも一方に添加すればよく、本発明においては、赤外線エネルギーが画像形成性に効率よく寄与しうるといった観点から、マイクロカプセル内に添加することが好ましい。
光熱変換剤としては、赤外線、中でも近赤外線(波長700〜1200nm)を吸収する物質であればよく、種々の公知の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子を用いることができる。
例えば、特開2001−301350公報、特開2002−137562公報、日本印刷学会誌、38巻35〜40頁(2001)「新イメージング材料、2.近赤外線吸収色素」等に記載の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が好適に用いられる。これらの顔料及び金属微粒子は、必要に応じて、公知の表面処理を施したものを用いることがでる。
より具体的には、染料又は色素として、米国特許4756993号、同4973572号、特開平10−268512号、同11−235883号、特公平5−13514号、同5−19702号、特開2001−347765号等に記載のシアニン色素、ポリメチン色素、アゾメチン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩系染料、ジチオール金属錯体、フタロシアニン色素等が挙げられる。特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、フタロシアニン色素が挙げられる。
顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。中でもカーボンブラックが好適である。
金属微粒子としては、Ag、Au、Cu、Sb、Ge及びPbの微粒子が好ましく、Ag、Au及びCuの微粒子がより好ましい。
以下に、特に好適な光熱変換剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、(IR−1)〜(IR−12)は、画像記録層マトリックス中に添加するのに好適な親水性の光熱変換剤であり、(IR−21)〜(IR−30)は、マイクロカプセル中に内包させるのに好適な親油性の光熱変換剤である。
Figure 2004338386
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光熱変換剤の添加量は、マイクロカプセル中に添加する場合には、全マイクロカプセル内包物の1〜50質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。一方、光熱変換剤を画像記録層マトリックス中に添加する場合には、記録層固形分の1〜50質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。この範囲において、記録層の膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
(重合開始剤)
本発明の第一の態様においては、特に前記熱反応性化合物が重合性化合物である場合、画像記録層に画像露光のエネルギーにより反応開始物質を発生し、前記重合性化合物の反応を開始、促進する重合開始剤を添加することが好ましい。この場合、重合開始剤を前記マイクロカプセル内および画像記録層マトリックス中の少なくとも一方に添加すればよいが、安定性の観点から、重合性化合物とマイクロカプセル壁を隔てて存在するよう、記録層マトリックス中に添加することが好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤の種類としては、公知の酸発生剤またはラジカル発生剤が挙げられ、前者は、前記マイクロカプセル中の重合性化合物としてカチオン重合性化合物を用いた場合に使用され、後者は、同じく重合性化合物としてラジカル重合性化合物を用いた場合に使用される。
また、発生した酸またはラジカルにより変色する染料と組み合わせて焼きだし系を形成することもできる。
以下、これら重合開始剤について説明する。
<酸発生剤>
本発明に用いられる酸発生剤としては、熱を吸収して酸を発生するものであれば、特に制限はない。このような酸発生剤としては、公知の酸前駆体、酸発生剤が好適に用いられ、例えば、焼き出し画像形成用の酸発生剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等が挙げられる。
より具体的には、特開2002−29162号、特開2002−46361号、特開2002−137562号などに記載のトリハロメチル置換へテロ環化合物に代表される有機ハロゲン化合物、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩(例えばヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)を挙げることができる。またこれらの酸を発生する基又は化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることもできる。
以下、具体的例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2004338386
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上記酸発生剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
酸発生剤の添加量は、記録層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
<ラジカル発生剤>
本発明に用いられるラジカル発生剤としては、熱を吸収してラジカルを発生するものであれば、特に制限はない。このようなラジカル発生剤としては、公知の熱ラジカル発生剤が好適に使用され、例えば、光ラジカル重合の光開始剤などが挙げられる。
具体的には、前記酸発生剤として挙げた、スルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩(例えば、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)等を、ラジカル発生剤としても使用することができる。
具体例としては、前記に挙げた、化合物(AI−1)〜(AI−17)、(AN−1)〜(AN−8)および(AS−1)〜(AS−12)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記ラジカル発生剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ラジカル発生剤の添加量は、記録層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
本発明の方法をこの第一の態様に係る平版印刷版原版に適用する場合においては、前記後加熱工程におけるスポット加熱により、重合開始剤(酸発生剤またはラジカル発生剤)の分解を開始・促進することにより、マイクロカプセル壁材が透過性となり系中に放出された重合性化合物と重合開始剤との硬化反応の効率が向上する効果が得られる。このため、加熱温度は重合開始剤の分解を開始、促進する温度以上とすることが好ましく、分解温度を10℃上回る温度とすることがさらに好ましい。重合開始剤の分解温度は、化合物の種類により異なるが、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸(AI−7;本明細書に例示の酸発生剤)の場合は160℃程度であり、トリフェニルスルホニウムベンゾイル蟻酸(AS−11;本明細書に例示のラジカル発生剤)の場合は200℃程度である。
また、本発明に係る記録層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p’,p”−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、記録層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
(親水性樹脂)
第一の態様の画像記録層マトリックス中には、機上現像性や記録層自体の皮膜強度向上のため、親水性樹脂を含有させてもよい。
親水性樹脂としては、例えばヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミド基などの親水性基を有するものが好ましい。また、親水性樹脂は、前記マイクロカプセルに内包される各反応性基(カチオン重合性基、エチレン性不飽和基、熱反応性基)または、後述するポリマー微粒子が有する反応性基と反応し架橋することによって画像強度が高まり、高耐刷化されるため、これらの官能基と反応する基を有することが好ましい。例えば、カチオン重合性化合物がビニルオキシ基又はエポキシ基を有する場合は、親水性樹脂としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基などを有するものが好ましい。中でも、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を有する親水性樹脂が好ましい。
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ソヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のホモポリマー及びコポリマー、2−メタクロイルオキシエチルホスホン酸のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
上記親水性樹脂の添加量は、記録層全固形分中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
また、上記親水性樹脂は印刷機上で未露光部が機上現像できる程度に架橋して用いてもよい。親水性樹脂を架橋するために使用される架橋剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物などのポリカルボン酸類、ホウ酸、チタニルスルフェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。その他、塩化アンモニウム、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用できる。
(その他の添加剤)
第一の態様の記録層マトリックス中には、さらに必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。
<多官能モノマー>
第一の態様の記録層マトリックス中には、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを添加することができる。この多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。なかでも好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどを挙げることができる。多官能モノマーの添加量は、記録層全固形分中、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましい。
<熱重合防止剤>
第一の態様の記録層マトリックス中には、記録層塗布液の調製中又は保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、記録層全固形分中、0.01〜5質量%が好ましい。
<高級脂肪酸またはその誘導体>
第一の態様の記録層マトリックス中には、必要に応じで、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、記録層全固形分中、0.1〜10質量%が好ましい。
<無機微粒子>
第一の態様の記録層マトリックス中には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
また、無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、マイクロカプセルや光熱変換剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、記録層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の記録層への含有量は、記録層の全固形分の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
<界面活性剤>
第一の態様の記録層マトリックス中には、記録層の分散安定性、製版及び印刷性能向上や塗布性の向上のため、特開平2−195356号、特開昭59−121044号、特開平4−13149号及び特願2001−169731号に記載されているノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性又はフッ素系の界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤の好適な添加量は、記録層全固形分の0.005〜1質量%である。
<可塑剤>
第一の態様の記録層マトリックス中には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
〔(b)熱可塑性ポリマー微粒子と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層〕
本発明に係る第二の態様の画像記録層は、熱可塑性ポリマー微粒子と、光熱変換剤と、を含有することを特徴とする。
第二の態様に用いられる熱可塑性ポリマー微粒子としては、熱により表面疎水性領域、即ち画像部を形成しうるものであれば、特に制限はない。
本発明に用いられる熱可塑性ポリマー微粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及びEP931647号公報などに記載の熱可塑性ポリマー微粒子が好適なものとして挙げられる。
かかる熱可塑性ポリマー微粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノマーのホモポリマーもしくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。その中で、より好適なものとして、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。
本発明に用いられる熱可塑性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。このように極めて微細な粒子であるため、僅かな熱エネルギーによっても互いに融着、合体して疎水性領域を形成し、熱エネルギーの付与の終了とともに冷却硬化して強固な画像部領域を形成する。
このような熱可塑性ポリマー微粒子の合成方法としては、乳化重合法、懸濁重合法の他に、これら化合物を非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて、有機溶剤を飛ばしながら微粒子状に固化させる方法(溶解分散法)が挙げられる。
これらの熱可塑性ポリマー微粒子の軟化温度は、35℃以上が好ましいが、経時安定性を考えると70℃以上がさらに好ましい。また、本発明に係る記録層にこのような熱可塑性ポリマー微粒子を適用する際には、所望されない領域における微粒子の融着を抑制するため、後加熱温度は、前記軟化温度よりも10℃下回ることが好ましい。
(b)熱可塑性ポリマー微粒子を疎水化前駆体として記録層へ添加する場合の添加量は、画像記録層全固形分の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。添加量は、100質量%であってもよいが、微粒子の安定性の観点からは、90質量%以下であることが好ましい。
(光熱変換剤)
第二の態様の画像記録層には、光のエネルギーを吸収し、熱に変換する機能を有する光熱変換剤を添加する必要がある。ここで用いられる光熱変換剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた光熱変換剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても同様の範囲が好ましい。
(親水性樹脂)
第二の態様の画像記録層には、機上現像性や記録層自体の皮膜強度向上のため、親水性樹脂を添加することができる。ここで用いられる親水性樹脂としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた親水性樹脂と同様のものを用いることができ、その添加量についても、同様の範囲が好ましい。
(その他の添加剤)
第二の態様の画像記録層には、必要に応じて、第一の態様において説明した、多官能モノマー、高級脂肪酸またはその誘導体、無機微粒子、界面活性剤、可塑剤等を添加することができる。これらの成分について、前記第一の態様の画像記録層において挙げた添加剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても、同様の範囲が好ましい。
〔(c)熱反応性基を有するポリマー微粒子と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層〕
第三の態様の画像記録層は、熱反応性基を有するポリマー微粒子と、光熱変換剤と、を含有することを特徴とする。なお、該熱反応性基が重合性基である場合には、画像露光のエネルギーにより反応開始物質(活性種)を発生する重合開始剤を含有させることが好ましい。
((c)熱反応性基を有するポリマー微粒子)
第三の態様に用いられる疎水化前駆体としての熱反応性基を有するポリマー微粒子は、高分子内に熱架橋性の官能基を有し、加熱により互いに架橋構造を形成して硬化し、再溶融しない特性を発現する熱硬化性ポリマー微粒子と、熱により反応して隣接する微粒子との間に相互作用を形成して疎水性の領域を形成し得る、所謂、熱反応性官能基を有するポリマー微粒子と、に分けることができる。
<熱硬化性ポリマー微粒子>
上記熱硬化性ポリマーとしては、フェノール骨格を有する樹脂、尿素系樹脂(例えば、尿素又はメトキシメチル化尿素など尿素誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したもの)、メラミン系樹脂(例えば、メラミン又はその誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したもの)、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、特に好ましいのは、フェノール骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びエポキシ樹脂である。
ここで、好適なフェノール骨格を有する樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾールなどをホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、及びN−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリレートなどのフェノール骨格を有するメタクリルアミドもしくはアクリルアミド又はメタクリレートもしくはアクリレートの重合体又は共重合体を挙げることができる。
本発明に用いられる熱硬化性ポリマー微粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。
また、これら熱硬化性ポリマー微粒子の硬化温度は、70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
このような熱硬化性ポリマー微粒子は、公知の溶解分散法で容易に得られるが、熱硬化性ポリマーを合成する際に微粒子化してもよい。しかし、本発明においては、これらの方法に限られるものではない。
<熱反応性官能基を有するポリマー微粒子>
第三の態様に用いられる熱反応性官能基を有するポリマー微粒子の熱反応性官能基としては、熱により化学結合が形成されるものであれば、どのような反応を行う官能基であってもよい。例えば、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などを好適なものとして挙げることができる。
これらの熱反応性官能基のポリマー微粒子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
重合時に導入する場合は、上記の熱反応性官能基を有するモノマーを乳化重合又は懸濁重合することが好ましい。
上記熱反応性官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、2−(ビニルオキシ)エチルメタクリレート、p−ビニルオキシスチレン、p−{2−(ビニルオキシ)エチル}スチレン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレート又はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−イソシアナートエチルアクリレート又はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官能アクリレート、2官能メタクリレートなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明では、これらのモノマーと、これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基をもたないモノマーとの共重合体も用いることができる。熱反応性官能基をもたない共重合モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができるが、熱反応性官能基をもたないモノマーであれば、これらに限定されない。
熱反応性官能基の導入をポリマー重合後に行う場合に用いられる高分子反応としては、例えば、WO96−34316号公報に記載されている高分子反応が挙げられる。
上記熱反応性官能基を有するポリマー微粒子の中でも、画像形成性の観点からは、ポリマー微粒子同志が熱により容易に融着、合体するものが好ましく、また、機上現像性の観点からは、その表面は親水性で水に分散するものが特に好ましい。
また、熱反応性官能基を有するポリマー微粒子のみを塗布し、凝固温度よりも低い温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)が、凝固温度より高い温度で乾燥して作製した皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好ましい。ポリマー微粒子表面の親水性をこのような好ましい状態にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの親水性ポリマー、もしくはオリゴマー又は親水性低分子化合物をポリマー微粒子表面に吸着させてやればよい。しかし、微粒子の表面親水化方法は、これに限定されるものではなく、公知の種々の表面親水化方法を適用することができる。
本発明に用いられる熱反応性官能基を有するポリマー微粒子の平均粒径は、0.01〜2.0μmが好ましく、中でも0.05〜2.0μmがより好ましく、特に0.1〜1.0μmが最適である。この範囲内で良好な解像度及び経時安定性が得られる。
また、これら熱反応性官能基を有するポリマー微粒子の融点は、70℃以上が好ましく、経時安定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。さらに、本発明に係る記録層にこのような熱反応性官能基を有するポリマー微粒子を適用する際には、後加熱温度は、該ポリマー微粒子のガラス転移温度を10℃以上上回ることが好ましく、一方、融点を10℃以上下回ることが好ましい。ガラス転移温度以上とすることで、反応性基の運動性が向上し、架橋反応が促進される。例えば、スチレンとグリシジルメタクリレート共重合体のガラス転移温度は60℃程度であり、好適な後加熱温度は80℃程度である。
(c)熱反応性基を有するポリマー微粒子を疎水化前駆体として記録層へ添加する場合の添加量は、画像記録層全固形分の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。添加量は、100質量%であってもよいが、微粒子の安定性の観点からは、90質量%以下であることが好ましい。
(光熱変換剤)
第三の態様の画像記録層には、光のエネルギーを吸収し、熱に変換する機能を有する光熱変換剤を添加する必要がある。ここで用いられる光熱変換剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた光熱変換剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても同様の範囲が好ましい。
(重合開始剤)
第三の態様の画像記録層においては、前記熱反応性基を有するポリマー微粒子の熱反応性基が重合性基である場合には、画像露光のエネルギーにより反応開始物質を発生し、前記重合性化合物の反応を開始、促進する重合開始剤を添加することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた重合開始剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても同様の範囲が好ましい。
(親水性樹脂)
第三の態様の画像記録層には、機上現像性や記録層自体の皮膜強度向上のため、親水性樹脂を添加することができる。ここで用いられる親水性樹脂としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた親水性樹脂と同様のものを用いることができ、その添加量についても、同様の範囲が好ましい。
(その他の添加剤)
第三の態様の画像記録層には、必要に応じて、第一の態様において説明した、多官能モノマー、高級脂肪酸またはその誘導体、無機微粒子、界面活性剤、可塑剤等を添加することができる。これらの成分について、前記第一の態様の画像記録層において挙げた添加剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても、同様の範囲が好ましい。
−請求項3に係る画像記録層−
請求項3に係る画像記録層は、重合性化合物、重合開始剤、及び光熱変換剤を含有することを特徴とし、画像露光のエネルギーにより、該重合性化合物が重合反応を生起して硬化することで疎水性の画像部を形成することを特徴とする。
なお、ここで用いられる重合性化合物としては、前記第一の態様で述べた、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、又は(d)それら重合性化合物を内包するマイクロカプセル、或いは、前記第三の態様で述べた、熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基として、重合性基を有する(e)重合性基を有するポリマー微粒子等を挙げることができる。中でも、請求項3に用いられる重合性化合物としては、(d)重合性化合物を内包するマイクロカプセル、又は(e)重合性基を有するポリマー微粒子が好ましい。
また、請求項3に係る画像記録層は、必ずしも親水性である必要はなく、例えば、画像部の皮膜強度を向上する目的で、後述の疎水性樹脂を含有する疎水性の層であってもよい。
以下に、請求項3に係る画像記録層の好ましい態様について述べる。
〔(d)重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層〕
第四の態様の画像記録層は、重合性化合物を内包するマイクロカプセルと、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有することを特徴とする。
((d)重合性化合物を内包するマイクロカプセル)
第四の態様に用いられる、重合性化合物を内包するマイクロカプセルとしては、前記第一の態様で述べたカチオン重合性化合物、又はラジカル重合性化合物と同様の重合性化合物を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。また、該重合性化合物のマイクロカプセル化方法、マイクロカプセル壁材、マイクロカプセルの平均粒径、及びマイクロカプセルの崩壊又は透過温度等についても、第一の態様で述べたものと同様である。
第四の態様に用いられる重合性化合物を内包するマイクロカプセルの記録層への添加量は、画像形成性及び耐刷性の観点から、画像記録層前固形分の10〜90質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
(重合開始剤)
第四の態様の画像記録層には、画像露光のエネルギーにより反応開始物質を発生し、前記重合性化合物の反応を開始、促進する重合開始剤を添加する必要がある。ここで用いられる重合開始剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた重合開始剤と同様のものを用いることができる。重合開始剤は、マイクロカプセル内及びマイクロカプセル外(記録層のマトリックス中)の少なくとも一方に添加されていればよく、その好ましい添加量についても第一の態様と同様である。
(光熱変換剤)
第四の態様の画像記録層には、光のエネルギーを吸収し、熱に変換する機能を有する光熱変換剤を添加する必要がある。ここで用いられる光熱変換剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた光熱変換剤と同様のものを用いることができる。光熱変換剤は、マイクロカプセル内及びマイクロカプセル外(記録層のマトリックス中)の少なくとも一方に添加されていればよく、その好ましい添加量についても第一の態様と同様である。
(疎水性樹脂)
第四の態様の画像記録層マトリックス中には、画像部の皮膜強度を向上するために、疎水性樹脂を添加することができる。用いることができる疎水性樹脂は、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有する線状有機ポリマーが好ましい。このようなポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
画像部の皮膜強度をさらに向上するために、疎水性樹脂は、熱反応性基を有していることが好ましい。例えば、エチレン性不飽和結合を高分子の主鎖中または側鎖中に導入したポリマーが使用可能であり、分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1、4−ブタジエン、ポリ−1、4−イソプレン等が挙げられる。また、分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
疎水性樹脂の画像記録層への添加量は、非画像部の除去性、及び画像部の皮膜強度の両立の観点から、画像記録層前固形分の5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
第四の態様の画像記録層マトリックス中には、必要に応じて、第一の態様において説明した、親水性樹脂、多官能モノマー、高級脂肪酸またはその誘導体、無機微粒子、界面活性剤、可塑剤等を添加することができる。これらの成分について、前記第一の態様の画像記録層において挙げた添加剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても、同様の範囲が好ましい。
〔(e)重合性基を有するポリマー微粒子と、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層〕
第五の態様の画像記録層は、重合性基を有するポリマー微粒子と、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有することを特徴とする。
((e)重合性基を有するポリマー微粒子)
第五の態様に用いられる重合性基を有するポリマー微粒子としては、前記第三の態様で述べた、熱反応性基を有するポリマー微粒子における熱反応性基として、重合性基を有するものを挙げることができ、その合成方法、平均粒径、及び反応温度等についても同様である。
第五の態様に用いられる重合性基を有するポリマーの記録層への添加量は、画像形成性及び耐刷性の観点から、画像記録層前固形分の10〜90質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
(重合開始剤)
第五の態様の画像記録層には、画像露光のエネルギーにより反応開始物質を発生し、前記重合性化合物の反応を開始、促進する重合開始剤を添加する必要がある。ここで用いられる重合開始剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた重合開始剤と同様のものを用いることができ、その好ましい添加量についても同様である。
(光熱変換剤)
第五の態様の画像記録層には、光のエネルギーを吸収し、熱に変換する機能を有する光熱変換剤を添加する必要がある。ここで用いられる光熱変換剤としては、前記第一の態様の画像記録層において挙げた光熱変換剤と同様のものを用いることができ、その好ましい添加量についても同様である。
(疎水性樹脂)
第五の態様の画像記録層には、画像部の皮膜強度を向上するために、疎水性樹脂を添加することができる。用いることができる疎水性樹脂は、前記第四の態様の画像記録層において挙げた疎水性樹脂と同様のものを用いることができ、その好ましい添加量についても同様である。
(その他の添加剤)
第五の態様の画像記録層には、必要に応じて、第一の態様において説明した、親水性樹脂、多官能モノマー、高級脂肪酸またはその誘導体、無機微粒子、界面活性剤、可塑剤等を添加することができる。これらの成分について、前記第一の態様の画像記録層において挙げた添加剤と同様のものを用いることができ、その添加量についても、同様の範囲が好ましい。
〔画像記録層の形成〕
前記第一〜第五の態様の画像記録層はいずれも、必要な上記各成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、塗布することで形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす記録層の皮膜特性は低下する。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
〔オーバーコート層〕
本発明に係る平版印刷版原版は、保存時の親油性物質による汚染、取り扱い時の傷付き、手指の接触による指紋跡汚染等から記録層表面を保護するため、記録層上に、特開2001−162961号、特開2002−19318号に記載の水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
上記のオーバーコート層には、感度を向上させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ましい光熱変換剤としては、水溶性の赤外線吸収色素が挙げられる。例えば、前記の記録層の説明中に示した(IR−1)〜(IR−11)が好適に用いられる。
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
本発明に係るオーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による記録層の汚染を防止できる。
〔支持体〕
本発明に係る平版印刷版原版に使用可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、アルミニウム板が挙げられる。
該アルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウム又はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来から公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び記録層との接着性の確保が容易になる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。
上記親水化処理のための好適な親水性化合物として、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などが挙げられる。
本発明において用いうる支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
本発明においては、記録層を塗布する前に、必要に応じて、特開2001−2001−322365号に記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層が設けることができる。また、この下塗層には、前記光熱変換剤を含有させることができる。
上記のようにして、本発明の方法を適用し得る平版印刷版原版を得ることができる。この平版印刷版原版は本発明の画像形成方法を適用され、赤外線照射により画像形成され、現像処理を経ることなく印刷工程に付することができる機上現像型の平版印刷版原版である。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[支持体の作製]
99.5質量%以上のアルミニウムと、Fe 0.30質量%、Si 0.10質量%、Ti 0.02質量%、Cu 0.013質量%を含むJIS A1050合金の溶湯に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。次いで支持体と記録層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20質量%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。以上のように作製した支持体の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
[合成例1;熱反応性官能基を有するポリマー微粒子の合成]
1000mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入して脱酸素を行いつつ蒸留水350mlを加えて内温が80℃となるまで加熱した。分散剤としてドデシル硫酸ナトリウム1.0gとポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製KL05)1.5gを添加し、更に開始剤として過硫化アンモニウム0.45gを添加し、次いでグリシジルメタクリレート45g、スチレン45gを滴下ロートで約1時間かけて滴下した。滴下終了後5時間そのまま反応を続けた後、水蒸気蒸留で未反応単量体を除去した。その後冷却し、アンモニア水でpH6に調整し、最後に不揮発分が15質量%となるように純水を添加して熱反応性基としてエポキシ基を有するポリマー微粒子の水分散液を得た。このポリマー微粒子の粒径分布は、粒子径80nmに極大値を有した。
ここで、粒径分布とは、ポリマー微粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で微粒子の粒径を総計で5000個測定し、得られた粒径測定値の最大値から0の間を対数目盛で50分割して各粒径の出現頻度をプロットして求めた。なお非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とした。
[合成例2;カチオン重合性化合物を内包するマイクロカプセルの合成例]
油相成分として、ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル4.5g、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マイクロカプセル壁材)5g、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン(株)製芳香族イソシアネートオリゴマー、マイクロカプセル壁材)3.75g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−27)1.5g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後テトラエチレンペンタミン(5官能アミン、マイクロカプセル壁架橋剤)0.38gを水26gに溶解したものを添加し、水冷しながら30分さらに65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は24質量%であり、平均粒径は0.3μmであった。
[合成例3;ラジカル重合性基を有するポリマー微粒子の合成]
アリルメタクリレート7.5g、スチレン7.5g、ポリオキシエチレンフェノール水溶液(濃度9.8×10-3mol/リットル)200mlを加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol/リットル)10ml添加する。この際硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3mol/リットル)を加え、pH1.3〜1.4に調整する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得られたポリマー微粒子含有液の固形分濃度は9.5%であり、ポリマー微粒子の平均粒径は0.4μmであった。
[合成例4;ラジカル重合性化合物を内包するマイクロカプセルの合成]
油相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製SR444)5.6g、光熱変換剤(本明細書記載のIR−30)0.15g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)製)0.12gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA205((株)クラレ製ポリビニルアルコール)の4%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。その後水を25g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20質量%であり、平均粒径は0.25μmであった。
〔実施例1〕
(平版印刷版原版Aの作製)
上記で得られたアルミニウム基板上に、合成例のポリマー微粒子を含む下記の記録層塗布液をバー塗布した後、オーブンで70℃120秒の条件で乾燥し、記録層の乾燥塗布量0.8g/m2の平版印刷版原版Aを作製した。
<記録層塗布液>
・前記合成例1で得られたのポリマー微粒子 10.0g
・光熱変換剤(本明細書に記載のIR−10) 1.0g
・ポリアクリル酸(重量平均分子量2.5万) 1.0g
・水 50.0g
〔実施例2〕
(平版印刷版原版Bの作製)
上記で得られたアルミニウム基板上に、合成例のマイクロカプセルを含む下記の記録層塗布液をバー塗布した後、オーブンで100℃60秒の条件で乾燥し、記録層の乾燥塗布量1.0g/m2の平版印刷版原版Bを作製した。
<記録層塗布液>
・水 35.4g
・前記合成例2で得られたマイクロカプセル液 9.0g
・酸発生剤(本明細書に記載のAI−7) 0.24g
〔実施例3〕
(平版印刷版原版Cの作製)
上記で得られたアルミニウム基板上に、下記の記録層塗布液をバー塗布した後、オーブンで80℃、90秒の条件で乾燥し、記録層の乾燥塗布量1.0g/m2の平版印刷版原版Cを作成した。
<記録層塗布液>
・前記合成例3で得られたポリマー微粒子の分散液 15g
・光熱変換剤(本明細書記載のIR−12) 0.1g
・ポリアクリル酸(重量平均分子量2.5万) 0.05g
・エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート 0.05g
(日本化薬(株)製、SR9035)
・ラジカル発生剤(本明細書記載のAS−11) 0.05g
・水 10g
〔実施例4〕
(平版印刷版原版Dの作製)
上記で得られたアルミニウム基板上に、下記の記録層塗布液をバー塗布した後、オーブンで80℃、90秒の条件で乾燥し、記録層の乾燥塗布量1.0g/m2の平版印刷版原版Dを作成した。
<記録層塗布液>
・水 40g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 40g
・前記合成例4で得られたマイクロカプセル分散液 25g
・イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート 0.2g
(東亜合成(株)製、アロニックスM−315)
・ラジカル発生剤(本明細書記載のAS−11) 0.5g
・光熱変換剤(本明細書記載のIR−12) 0.15g
・フッ素系界面活性剤 0.05g
(大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−171)
(露光・印刷および評価)
上記で得られた平版印刷版原版Aに対して、図1及び図2に基づいて説明した本発明の実施形態に係る画像露光装置10へ装着し、出力17W、外面ドラム回転数100rpm、解像度2400dpiの条件で画像露光を行った。このとき、IRレーザLによる走査露光後、15秒後に、平版印刷版原版における画像露光領域を含む加熱領域の記録層を80℃までスポット加熱した。この後加熱により実施例1においては、記録層と支持体との界面付近でも、マイクロカプセルの浸透性化反応が効果的に進行すると共に、重合開始剤からの酸或いはラジカル中の発生反応も効果的に進行し、重合性化合物や活性種の高い運動性とあいまって、強固で耐刷性に優れた画像が形成された。
次に、上記平版印刷版原版Aの露光において、後加熱温度を170℃に変更した以外は、平版印刷版原版Aと同様にして、平版印刷版原版Bの露光を行った。この後加熱により実施例2においては、記録層と支持体との界面付近であっても充分な熱エネルギーが供給され、微粒子同士の融着、架橋反応による接着が進行することで強固で耐刷性に優れた画像が形成された。
次に、上記平版印刷版原版Aの露光において、後加熱温度を90℃に変更した以外は、平版印刷版原版Aと同様にして、平版印刷版原版Cの露光を行った。この後加熱により実施例3においては、記録層と支持体との界面付近でも、重合性基を有するポリマー微粒子同士の架橋(重合)反応が効率よく行われ、強固で耐刷性に優れた画像が形成された。
次に、上記平版印刷版原版Aの露光において、後加熱温度を120℃に変更した以外は、平版印刷版原版Aと同様にして、平版印刷版原版Dの露光を行った。この後加熱により実施例4においては、記録層と支持体との界面付近でも、マイクロカプセルの浸透化反応が効果的に進行すると共に、重合開始剤からのラジカルの発生反応も効果的に進行し、重合性化合物や活性種の高い運動性とあいまって、強固で耐刷性に優れた画像が形成された。
上記平版印刷版原版A〜Dを画像露光完了後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。4容量%IF102(富士写真フイルム(株)製)水溶液からなる湿し水とバリウス墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製を用い、湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。
この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。枚数が多いほど耐刷性に優れるものと評価する。
結果は、実施例1の平版印刷版原版Aが5万枚、実施例2の平版印刷版原版Bが4万枚、実施例3の平版印刷版原版Cが5万枚、実施例4の平版印刷版原版Dが6万枚であった。これにより、実施例1〜4のいずれの平版印刷版原版も実用性に耐えうる優れた耐刷性を有していることが確認された。
本発明の実施形態に係る画像露光装置の構成を示す側面図である。 図1に示される画像露光装置における露光ヘッド及びその送り機構の構成を示す斜視図である。
符号の説明
10 画像露光装置
12 平版印刷版原版
20 アウタードラム(保持部材)
22 チャック機構(保持部材)
26 露光ヘッド(露光手段)
28 送り機構(露光手段)
32 LD光源装置(露光手段)
38 後加熱装置(後加熱手段)
40 加熱ファンユニット(後加熱手段)
42 フレキシブルダクト(後加熱手段)
44 熱風ノズル(後加熱手段、熱供給部)
68 キャリア(キャリア部材)

Claims (9)

  1. 支持体上に、疎水化前駆体と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えた平版印刷版原版に対して画像形成する画像形成方法であって、
    平版印刷版原版を赤外線ビームにより走査露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する画像露光工程と、
    赤外線ビームによる平版印刷版原版の露光時に、平版印刷版原版の画像記録層上における前記赤外ビームにより露光される任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射後に局所的に所定の加熱温度まで加熱する後加熱工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記疎水化前駆体が、(a)熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、(b)熱可塑性ポリマー微粒子、および、(c)熱反応性基を有するポリマー微粒子、からなる群より選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 支持体上に、重合性化合物と、重合開始剤と、光熱変換剤と、を含有する画像記録層を備えた平版印刷版原版に対して画像形成する画像形成方法であって、
    平版印刷版原版を赤外線ビームにより走査露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する画像露光工程と、
    赤外線ビームによる平版印刷版原版の露光時に、平版印刷版原版の画像記録層上における前記赤外ビームにより露光される任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射後に局所的に所定の加熱温度まで加熱する後加熱工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  4. 前記重合性化合物が、マイクロカプセルに内包されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
  5. 前記重合性化合物が、(e)重合性基を有するポリマー微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
  6. 前記後加熱温度を、35℃〜230℃の範囲内から選択された温度に設定したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記後加熱工程よる前記加熱領域の前記加熱温度までの加熱を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する露光完了後1分以内に行うことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成方法に用いられる画像露光装置であって、
    平版印刷版原版が装着可能とされ、装着された平版印刷版原版を保持する保持部材と、
    前記保持部材により保持された平版印刷版原版を赤外線ビームにより走査露光して、該平版印刷版原版の画像記録層に画像を形成する露光手段と、
    赤外線ビームによる平版印刷版原版の露光時に、前記露光手段により赤外線ビームが照射される平版印刷版原版における任意の露光領域を含む加熱領域を、該加熱領域に含まれる露光領域に対する赤外線ビームの照射後に局所的に前記加熱温度まで加熱する後加熱手段と、
    を有することを特徴とする画像露光装置。
  9. 前記露光手段に、前記保持部材に装着された平版印刷版原版上に赤外線ビームのビームスポットを形成する露光ヘッド、該露光ヘッドが搭載されるキャリア部材及び、平版印刷版原版に対する露光時に前記キャリア部材と共に前記露光ヘッドを副走査方向へ移動させる送り機構を設け、
    且つ、前記後加熱手段に、前記副走査方向に沿って前記露光ヘッドの上流側の何れかに位置するように前記キャリア部材に搭載され、赤外線ビームによる平版印刷版原版の露光時に前記露光ヘッドと共に前記副走査方向へ移動しつつ、前記加熱領域に対して熱エネルギー又は電磁的エネルギーを供給して該加熱領域を前記加熱温度まで加熱する熱供給部を設けたことを特徴とする請求項8に記載の画像露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101436757B1 (ko) * 2013-10-30 2014-09-02 주식회사 상진미크론 원통형 스템프 제조용 감광제 도포장치

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