JP2003326867A - 平版印刷方法および平版印刷原版 - Google Patents

平版印刷方法および平版印刷原版

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JP2003326867A
JP2003326867A JP2002139998A JP2002139998A JP2003326867A JP 2003326867 A JP2003326867 A JP 2003326867A JP 2002139998 A JP2002139998 A JP 2002139998A JP 2002139998 A JP2002139998 A JP 2002139998A JP 2003326867 A JP2003326867 A JP 2003326867A
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plate
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JP2002139998A
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Hidekazu Ohashi
秀和 大橋
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 明室で取り扱える平版印刷版用原版に対
して、デジタル画像情報に対応する画像をレーザー光で
走査露光し、明室に置かれた印刷機上で製版し直ちに印
刷を行う。 【解決手段】 親水性支持体上に、光重合開始剤と重合
性化合物とを含む微粒子が分散している画像形成層が設
けられている平版印刷原版を、レーザー光で走査露光
し、多光子吸収により光重合開始剤を励起し、励起され
た光重合開始剤により重合性化合物を重合させ、平版印
刷原版を印刷機に装着した状態で印刷機を稼動させ、湿
し水、油性インク、または擦りにより露光していない部
分の画像形成層を除去し、これにより平版印刷版を製版
し、そして、さらに湿し水と油性インクとを供給し、平
版印刷版で印刷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタル信号に基
づいたレーザー光の走査露光によって画像を記録し、印
刷機により現像して印刷する平版印刷方法およびそれに
用いる平版印刷原版に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支
持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、リス
フイルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液
によって溶解除去することにより製版することが普通で
あった。近年では、コンピュータを用いて画像情報をデ
ジタル情報として電子的に処理し、蓄積して、出力す
る。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理
は、レーザー光の様な指向性の高い活性放射線を用いる
走査露光により、リスフイルムを介することなく、平版
印刷版用原版に対して直接画像形成を行うことが望まし
い。このようにデジタル画像情報からリスフイルムを介
さずに印刷版を製版する技術は、コンピュータ・トゥ・
プレート(CTP)と呼ばれている。従来のPS版によ
る印刷版の製版方法を、コンピュータ・トゥ・プレート
(CTP)技術で実施しようとすると、レーザー光の波
長領域と感光性樹脂の感光波長領域とが一致しないとの
問題がある。
【0003】また、従来のPS版では、露光の後、非画
像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠である。
さらに、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性
剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱
粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要
であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠である
という点は、従来のPS版の大きな検討課題となってい
る。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像
形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑
な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。特
に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心
事となっている。環境への配慮からも、湿式の後処理
は、簡素化するか、乾式処理に変更するか、さらには無
処理化することが望ましい。
【0004】処理工程をなくす方法の一つに、露光済み
の印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリン
ダーを回転しながら湿し水とインクを供給することによ
って、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼
ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、
そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が
完了する方式である。このような機上現像に適した平版
印刷版用原版は、湿し水やインク(またはインク溶剤)
に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機
上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有すること
が必要とされる。従来のPS版では、このような要求を
満足することは、実質的に不可能であった。
【0005】特許第2938397号公報には、親水性
バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を
分散させた感熱層を親水性支持体上に設けた平版印刷原
版が記載されている。同公報の記載によると、製版にお
いて、赤外線レーザー露光して熱可塑性疎水性重合体微
粒子を熱により合体(融着)させて画像形成した後、印
刷機の版胴上に版を取り付け、湿し水またはインクを供
給することにより機上現像できる。この平版印刷版用原
版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り
扱い性も有している。特許第2938397号公報記載
の方法では、光熱変換によって、本来は感熱材料である
平版印刷原版を感光材料として利用する。この平版印刷
原版は、現像のラチチュードが狭く、現像条件の厳密な
管理が必要である。また、感熱材料を利用した平版印刷
原版には、長期間の保存における安定性に関する問題も
指摘されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開2001−166
467号公報に、感光性製版材料を変調を加えた超短パ
ルスレーザー光で走査して、レーザー光照射部において
2光子吸収現象による光重合反応を生じさせ画像を記録
する工程および画像を現像する工程からなる製版方法が
開示されている。2光子吸収現象を利用すると、明室で
取り扱える印刷原版に、レーザーフレアの影響を受けに
くい鮮鋭な画像を記録することができる。しかし、特開
2001−166467号公報に記載の印刷原版を、印
刷機上で現像することは実質的に不可能である。本発明
の目的は、明室で取り扱える平版印刷原版に対して、デ
ジタル画像情報に対応する画像をレーザー光で走査露光
し、明室に置かれた印刷機上で製版し直ちに印刷を行う
ことである。また、本発明の目的は、明室に置かれた印
刷機上で製版し直ちに印刷を行うことができる平版印刷
原版を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜
(17)の平版印刷方法および(18)〜(33)の平
版印刷原版を提供する。 (1)親水性支持体上に、光重合開始剤と重合性化合物
とを含む微粒子が分散している画像形成層が設けられて
いる平版印刷原版を、レーザー光で走査露光し、多光子
吸収により光重合開始剤を励起し、励起された光重合開
始剤により重合性化合物を重合させる工程、平版印刷原
版を印刷機に装着した状態で印刷機を稼動させ、湿し
水、油性インク、または擦りにより露光していない部分
の画像形成層を除去し、これにより平版印刷版を製版す
る工程、そして、さらに湿し水と油性インクとを供給
し、平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷方法。 (2)光重合開始剤が、下記式(Ia)または(Ib)
で表される(1)に記載の平版印刷方法:
【0008】
【化1】
【0009】[式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至20のアルキル
基、炭素原子数が3乃至20のアシルオキシアルキル基
または炭素原子数が6乃至20のアリール基であり;R
5 、R6 、R7 およびR8 は、それぞれシアノである
か、あるいは、R5 とR6 またはR7 とR8 とが結合し
て複素環を形成し;ベンゼン環A、BおよびCは、ハロ
ゲン原子、シアノ、ニトロおよび炭素原子数が1乃至2
0のアルコキシ基からなる群より選ばれる置換基を有し
ていてもよく;m1およびm2は、それぞれ独立に、1
または2であり;そして、nは、0または1である]。 (3)光重合開始剤が、微粒子(全固形分)の1乃至5
0質量%の量で画像形成層に含まれている(1)に記載
の平版印刷方法。
【0010】(4)重合性化合物が、複数のエチレン性
不飽和基を有する化合物である(1)に記載の平版印刷
方法。 (5)複数のエチレン性不飽和基を有する化合物が、不
飽和カルボン酸と多価アルコールとのエステルである
(4)に記載の平版印刷方法。 (6)重合性化合物が、画像形成層の5乃至70質量%
の範囲で含まれている(1)に記載の平版印刷方法。 (7)微粒子の外部の画像形成層中にも、光重合開始剤
と重合性化合物とが存在している(1)に記載の平版印
刷方法。 (8)画像形成層が、微粒子分散液中に溶解する機能、
微粒子を膨潤させる機能および光重合開始剤と重合性化
合物とを溶解させる機能を有する溶剤を添加した微粒子
分散液を塗布して形成した層である(7)に記載の平版
印刷方法。
【0011】(9)微粒子が、光重合開始剤および重合
性化合物を含むコアを、シェルで覆ったコア/シェル構
造を有する(1)に記載の平版印刷方法。 (10)コア/シェル構造がマイクロカプセルである
(9)に記載の平版印刷方法。 (11)マイクロカプセルの外部の画像形成層中にも、
光重合開始剤と重合性化合物とが存在している(10)
に記載の平版印刷方法。 (12)画像形成層が、マイクロカプセル分散液中に溶
解する機能、マイクロカプセルのシェルを膨潤させる機
能および光重合開始剤と重合性化合物とを溶解させる機
能を有する溶剤を添加したマイクロカプセル分散液を塗
布して形成した層である(11)に記載の平版印刷方
法。 (13)画像形成層が、さらに親水性ポリマーを含む
(1)に記載の平版印刷方法。
【0012】(14)親水性支持体が、アルミニウム板
である(1)に記載の平版印刷方法。 (15)平版印刷原版が、画像形成層の上にさらに水溶
性オーバーコート層を有する(1)に記載の平版印刷方
法。 (16)水溶性オーバーコート層が、波長600nm未
満の光を吸収する色素を含む(15)に記載の平版印刷
方法。 (17)走査露光に用いるレーザー光の波長が、600
乃至1200nmの範囲である(1)に記載の平版印刷
方法。
【0013】(18)親水性支持体上に、光重合開始剤
と重合性化合物とを含む微粒子が分散している画像形成
層が設けられている平版印刷原版であって、該光重合開
始剤が、多光子吸収によって励起され、重合性化合物の
重合を開始することを特徴とする平版印刷原版。 (19)親水性支持体上に、前記式(Ia)または(I
b)で表される光重合開始剤と重合性化合物とを含む微
粒子が分散している画像形成層が設けられている平版印
刷原版。 (20)光重合開始剤が、微粒子(全固形分)の1乃至
50質量%の量で画像形成層に含まれている(18)ま
たは(19)に記載の平版印刷原版。 (21)重合性化合物が、複数のエチレン性不飽和基を
有する化合物である(18)または(19)に記載の平
版印刷原版。 (22)複数のエチレン性不飽和基を有する化合物が、
不飽和カルボン酸と多価アルコールとのエステルである
(21)に記載の平版印刷原版。 (23)重合性化合物が、画像形成層の5乃至70質量
%の範囲で含まれている(18)または(19)に記載
の平版印刷原版。
【0014】(24)微粒子の外部の画像形成層中に
も、光重合開始剤と重合性化合物とが存在している(1
8)または(19)に記載の平版印刷原版。 (25)画像形成層が、微粒子分散液中に溶解する機
能、微粒子を膨潤させる機能および光重合開始剤と重合
性化合物とを溶解させる機能を有する溶剤を添加した微
粒子分散液を塗布して形成した層である(24)に記載
の平版印刷原版。 (26)微粒子が、光重合開始剤および重合性化合物を
含むコアを、シェルで覆ったコア/シェル構造を有する
(18)または(19)に記載の平版印刷原版。 (27)コア/シェル構造がマイクロカプセルである
(26)に記載の平版印刷原版。 (28)マイクロカプセルの外部の画像形成層中にも、
光重合開始剤と重合性化合物とが存在している(27)
に記載の平版印刷原版。 (29)画像形成層が、マイクロカプセル分散液中に溶
解する機能、マイクロカプセルのシェルを膨潤させる機
能および光重合開始剤と重合性化合物とを溶解させる機
能を有する溶剤を添加したマイクロカプセル分散液を塗
布して形成した層である(28)に記載の平版印刷原
版。
【0015】(30)画像形成層が、さらに親水性ポリ
マーを含む(18)または(19)または(19)に記
載の平版印刷原版。 (31)親水性支持体が、アルミニウム板である(1
8)または(19)に記載の平版印刷原版。 (32)平版印刷原版が、画像形成層の上にさらに水溶
性オーバーコート層を有する(18)または(19)に
記載の平版印刷原版。 (33)水溶性オーバーコート層が、波長600nm未
満の光を吸収する色素を含む(32)に記載の平版印刷
原版。
【0016】
【発明の効果】本発明者の研究の結果、光重合開始剤と
重合性化合物とを含む微粒子を画像形成層に分散すれ
ば、多光子吸収により励起された光重合開始剤により重
合性化合物を重合させた平版印刷原版を、印刷機上で現
像できることが判明した。n個の多光子吸収では、n個
の光子を同時に吸収することにより、照射した光のn倍
のエネルギー(波長は1/n)に相当する吸収が生じ
る。そのため、多光子吸収による露光では、高いエネル
ギーを必要とする。従って、高エネルギーのレーザー光
で走査露光する場合、多光子吸収により励起される光重
合開始剤は、明室内で取り扱える低感度であってもよ
い。また、長波長レーザーが使用できるため、短波長レ
ーザーで問題となっているレーザーフレアの影響を受け
にくいとの効果もある。
【0017】光重合開始剤と重合性化合物とを含む微粒
子を画像形成層に分散した平版印刷原版では、レーザー
光で走査露光後、平版印刷原版を印刷機に装着した状態
で印刷機を稼動させるだけで、湿し水、油性インク、ま
たは擦りにより露光していない部分の画像形成層を除去
することができる。すなわち、微粒子の状態で、光重合
開始剤と重合性化合物とを画像形成層に添加することに
より、印刷機上での現像が可能になる。本発明の印刷方
法によれば、明室で取り扱える印刷原版に、デジタル信
号に基づいたレーザー光の走査露光によって、レーザー
フレアの影響を受けにくい鮮鋭な画像を記録したのち、
明室に置かれた印刷機上で製版し、直ちに印刷を行うこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】[平版印刷原版の基本構成]図1
は、好ましい平版印刷原版の基本構成を示す断面模式図
である。図1に示す平版印刷原版は、親水性支持体
(1)上に、画像形成層(2)が設けられている。画像
形成層(2)では、微粒子(21)が親水性ポリマー
(22)中に分散している。微粒子(21)は、コア
(21c)とシェル(21s)とからなるマイクロカプ
セルを形成している。コア(21c)は、光重合開始剤
と重合性化合物とを含む。微粒子(21)の外部の画像
形成層(2)中にも、光重合開始剤と重合性化合物とが
存在していてもよい。微粒子(21)の外部の光重合開
始剤と重合性化合物は、微粒子の表面及び表面付近に存
在していることが好ましい。
【0019】[多光子吸収型の光重合開始剤]本発明で
は、多光子吸収により励起され、励起状態において重合
性化合物を重合させる機能を有する物質を光重合開始剤
として用いる。多光子吸収は、通常は2光子吸収であ
る。なお、光重合開始剤は、単一の物質である必要はな
く、複数の物質(例えば、増感色素と開始剤)の混合物
であってもよい。多光子吸収現象の利用については、W
O98/21521号、WO99/53242号の各明
細書、特開2001−166467号公報、Brian H. C
umpstonet al, Two-photon polymerization initiators
for three-dimensional optical data storage and mi
crofabrication, Nature, vol.398, 4 March, 1999, p
p.51-54 およびMarius Albota et al, Design of Organ
ic Molecules with LargeTwo-Photon Absorbing Cross
Sections, Science, vol.281, 11 September, 1998, p
p.1653-1656 に記載がある。
【0020】多光子吸収型の光重合開始剤は、下記式
(Ia)または(Ib)で表される化合物であることが
好ましい。
【0021】
【化2】
【0022】式(Ia)において、R1 、R2 、R3
よびR4 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至20
のアルキル基、炭素原子数が3乃至20のアシルオキシ
アルキル基または炭素原子数が6乃至20のアリール基
である。アルキル基の炭素原子数は、1乃至15である
ことが好ましく、1乃至10であることがさらに好まし
く、1乃至6であることが最も好ましい。環状アルキル
基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、分岐を有する
鎖状アルキル基よりも直鎖状アルキル基の方が好まし
い。アシルオキシアルキル基の炭素原子数は、3乃至1
5であることが好ましく、3乃至12であることがさら
に好ましく、3乃至10であることが最も好ましい。ア
シルオキシアルキル基のアルキル部分は、環状よりも鎖
状の方が好ましく、分岐を有する鎖状よりも直鎖状の方
が好ましい。アシルオキシアルキル基のアシル部分の例
には、ベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、p−シア
ノベンゾイル、p−ニトロベンゾイル、アクリロイルお
よびメタクリロイルが含まれる。アリール基の炭素原子
数は、6乃至15であることが好ましく、6乃至12で
あることがさらに好ましく、6乃至10であることが最
も好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよ
い。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロお
よび炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基が含まれ
る。
【0023】式(Ib)において、R5 、R6 、R7
よびR8 は、それぞれシアノであるか、あるいは、R5
とR6 またはR7 とR8 とが結合して複素環を形成す
る。形成する複素環は、5員環または6員環であること
が好ましい。複素環のヘテロ原子の例には、窒素原子、
酸素原子および硫黄原子が含まれる。複素環に、他の複
素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。
複素環およびその縮合環は、置換基を有していてもよ
い。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、
炭素原子数が1乃至20のアルキル基、炭素原子数が1
乃至20のアルコキシ基、ジシアノメチレン(=C(C
N)2 )、オキソ(=O)およびチオ(=S)が含まれ
る。
【0024】式(Ia)および(Ib)において、ベン
ゼン環A、BおよびCは、ハロゲン原子、シアノ、ニト
ロ、および炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基から
なる群より選ばれる置換基を有していてもよい。式(I
a)および(Ib)において、m1およびm2は、それ
ぞれ独立に、1または2である。m1およびm2は、そ
れぞれ、1であることが好ましい。式(Ia)および
(Ib)において、nは、0または1である。nは、1
であることが好ましい。式(Ia)および(Ib)にお
いて、二重結合は、シス型よりもトランス型の方が好ま
しい。以下に、式(Ia)または(Ib)で表される光
重合開始剤の例を示す。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】二種類以上の光重合開始剤を併用してもよ
い。光重合開始剤の使用量は、微粒子(全固形分)の1
乃至50質量%が好ましく、2乃至45質量%がさらに
好ましく、3乃至40質量%が最も好ましい。
【0041】[重合性化合物]重合性化合物は、重合性
基としてエチレン性不飽和基を有することが好ましく、
複数のエチレン性不飽和基を有することがさらに好まし
い。化合物は、オリゴマーまたはポリマーであってもよ
い。複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、不飽
和カルボン酸と多価アルコールとのエステルまたは不飽
和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドであること
が好ましい。
【0042】不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸が含まれる。アクリル酸およびメタクリ
ル酸が特に好ましい。多価アルコールの例には、エチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタ
ンジオール、テトラメチレングリコール、プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプ
ロパン、トリメチロールエタン、ヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール、テトラエチレングリ
コール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ル、ソルビトールが含まれる。脂肪族多価アミンの例に
は、メチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、キシリレンジアミンが含ま
れる。
【0043】エチレン性不飽和重合性化合物について
は、特公昭48−41708号、同49−43191
号、同52−30490号、特開昭48−64183
号、同51−37193号の各公報に記載がある。日本
接着協会誌Vo1.20、No.7、300〜308ペ
ージ(1984年)に記載の「光硬化性モノマーおよび
オリゴマー」も重合性化合物として使用できる。重合性
化合物は、画像形成層の5乃至70質量%の範囲で使用
することが好ましく、10乃至50質量%の範囲で使用
することがさらに好ましい。
【0044】[微粒子]光重合開始剤と重合性化合物と
を含む微粒子は、光重合開始剤と重合性化合物とを含む
コアを、シェルで覆ったコア/シェル構造を有すること
が好ましい。コア/シェル構造を有する微粒子は、マイ
クロカプセルが代表的である。
【0045】マイクロカプセルは、公知のコアセルベー
ション法(米国特許2800457号、同280045
8号の各明細書記載)、界面重合法(英国特許9904
43号、米国特許3287154号の各明細書、特公昭
38−19574号、同42−446号、同42−71
1号の各公報記載)、ポリマー析出法(米国特許341
8250号、同3660304号の各明細書記載)、イ
ソシアネート・ポリオール壁形成法(米国特許3796
669号明細書記載)、イソシアネート壁形成法(米国
特許3914511号明細書記載)、尿素・ホルムアル
デヒド壁もしくは尿素・ホルムアルデヒド−レゾルシノ
ール壁形成法(米国特許4001140号、同4087
376号、同4089802号の各明細書記載)、メラ
ミン−ホルムアルデヒド壁もしくはヒドロキシセルロー
ス壁形成法(米国特許4025445号明細書記載)、
モノマー重合によるin situ 法(特公昭36−9163
号、同51−9079号の各明細書記載)、スプレード
ライング法(英国特許930422号、米国特許311
1407号の各明細書記載)、あるいは電解分散冷却法
(英国特許952807号、同967074号の各明細
書記載)により製造できる。マイクロカプセル壁は、3
次元架橋を有し、溶剤によって膨潤することが好まし
い。そのためには、マイクロカプセルの壁材として、ポ
リウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、ポリアミドおよびこれらの混合物を用いることが
好ましい。ポリウレアおよびポリウレタンが特に好まし
い。マイクロカプセル壁を溶剤により膨潤させること
で、マイクロカプセルの外部の画像形成層中(好ましく
は、マイクロカプセルの表面及び表面付近)にも、光重
合開始剤と重合性化合物とを存在させることができる。
なお、マイクロカプセルの外部の画像形成層中にも、光
重合開始剤と重合性化合物とを存在させることについて
は、特許第2639748号公報に記載がある。
【0046】微粒子の平均粒径は、0.01乃至20μ
mが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好まし
く、0.10乃至1.0μmが最も好ましい。粒子サイ
ズ分布は、なるべく均一であることが好ましい。二種類
以上の微粒子を併用してもよい。微粒子の画像形成層へ
の添加量は、固形分換算で、10乃至95質量%である
ことが好ましく、15乃至90質量%であることがさら
に好ましい。
【0047】[親水性ポリマー]画像形成層は、親水性
ポリマーを含むことが好ましい。親水性ポリマーは、画
像形成層において微粒子のバインダーとして機能させる
ことが好ましい。親水性ポリマーの親水性基としては、
ヒドロキシル、カルボキシルまたはアミノが好ましい。
親水性ポリマーとしては、様々な天然または半合成ポリ
マーあるいは合成ポリマーが使用できる。天然または半
合成ポリマーとしては、多糖類(例、アラビアゴム、澱
粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウ
ム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム)
またはタンパク質(例、カゼイン、ゼラチン)を用いる
ことができる。
【0048】ヒドロキシルを親水性基として有する合成
ポリマーの例には、ポリヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキ
シプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルア
クリレート、ポリヒドロキシブチルメタクリレート、ポ
リヒドロキシブチルアクリレート、ポリアリルアルコー
ル、ポリビニルアルコールおよびポリ−N−メチロール
アクリルアミドが含まれる。カルボキシルを親水性基と
して有する合成ポリマーの例には、ポリマレイン酸、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの塩が含
まれる。その他の親水性基(例、アミノ、多数のエーテ
ル結合、親水性複素環基、アミド結合、スルホ)を有す
る合成ポリマーの例には、ポリエチレングリコール、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルア
ミドおよびポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸)およびその塩が含まれる。親水性ポリ
マーは、その側鎖にエチレン不飽和基を有することもで
きる。エチレン性不飽和基の定義および例は、前述した
重合性化合物のエチレン性不飽和基の定義および例と同
様である。
【0049】親水性合成ポリマーの繰り返し単位を二種
類以上有するコポリマーを用いてもよい。親水性合成ポ
リマーの繰り返し単位と、疎水性合成ポリマー(例、ポ
リ酢酸ビニル、ポリスチレン)の繰り返し単位とを含む
コポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、酢酸
ビニル−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸
コポリマーおよびビニルアルコール−酢酸ビニルコポリ
マー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)が含まれ
る。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコ
ール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化
度は60%以上であることが好ましく、80%以上であ
ることがさらに好ましい。親水性ポリマーは、アラビア
ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリ
ルアミド、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸)およびケン化度が60%以上のポリビ
ニルアルコールが好ましく、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
アミドおよびポリメタクリルアミドがさらに好ましい。
二種類以上の親水性ポリマーを併用してもよい。
【0050】親水性ポリマーは、架橋構造を有していて
もよい。架橋構造は、架橋剤の使用により親水性ポリマ
ーに導入することが好ましい。架橋剤の例には、アルデ
ヒド(例、グリオキザール)、アルデヒド樹脂(例、メ
ラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹
脂)、メチロール化合物(例、N−メチロール尿素、N
−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹
脂)、活性ビニル化合物(例、ジビニルスルホン、ビス
(β−ヒドロキシエチルスルホン酸))、エポキシ化合
物(例、エピクロルヒドリン、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ポリアミド・ポリアミン・エピ
クロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン
樹脂)、エステル(例、モノクロル酢酸エステル、チオ
グリコール酸エステル)、ポリカルボン酸(例、ポリア
クリル酸、メチルビニルエーテル/マレイン酸共重合
物)、無機酸(例、ほう酸)、チタニルスルフェート、
金属塩(例、銅塩、アルミニウム塩、スズ塩、バナジウ
ム塩、クロム塩)および変成ポリアミドポリイミド樹脂
が含まれる。架橋剤に加えて、架橋触媒(例、塩化アン
モニウム、シランカップリング剤、チタネートカップリ
ング剤)を用いてもよい。画像形成層中に親水性ポリマ
ーは、2乃至40質量%含まれることが好ましく、3乃
至30質量%含まれることがさらに好ましい。
【0051】[画像形成層の他の任意成分]画像形成層
には、画像形成後の画像部と非画像部との区別を目的と
して、着色剤を添加することができる。着色剤として
は、可視領域に大きな吸収を有する染料または顔料を用
いる。着色剤の例には、オイルイエロー#101、オイ
ルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグ
リーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#60
3、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイル
ブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)
製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレッ
ト(CI42555)、メチルバイオレット(CI42
535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI1
45170B)、マラカイトグリーン(CI4200
0)およびメチレンブルー(CI52015)が含まれ
る。着色剤として用いられる染料については、特開昭6
2−293247号公報に記載がある。酸化チタンのよ
うな無機顔料も着色剤として用いることができる。着色
剤の添加量は、画像形成層の0.01乃至10質量%で
あることが好ましい。
【0052】画像形成層には、機上現像の安定性を広げ
るため、ノニオン界面活性剤(特開昭62−25174
0号、特開平3−208514号の各公報記載)または
両性界面活性剤(特開昭59−121044号、特開平
4−13149号の各公報記載)を添加することができ
る。ノニオン界面活性剤の例には、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリドおよびポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルが含まれる。両性
界面活性剤の例には、アルキルジ(アミノエチル)グリ
シン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−
アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチ
ルイミダゾリニウムベタインおよびN−テトラデシル−
N,N−ベタイン型界面活性剤(アモーゲンK、第一工
業(株)製)が含まれる。ノニオン界面活性剤および両
性界面活性剤は、画像形成層に0.05乃至15質量%
含まれることが好ましく、0.1乃至5質量%含まれる
ことがさらに好ましい。
【0053】画像形成層に柔軟性を付与するため、可塑
剤を添加してもよい。可塑剤の例には、ポリエチレング
リコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオク
チル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸
トリオクチルおよびオレイン酸テトラヒドロフルフリル
が含まれる。
【0054】[画像形成層の形成]画像形成層は、各成
分を適当な液状媒体中に溶解、分散または乳化して塗布
液を調製し、親水性支持体上に塗布し、および乾燥して
液状媒体を除去することにより形成することができる。
微粒子がマイクロカプセルである場合は、前述した各種
方法により、塗布液段階でマイクロカプセルのシェルを
形成できる。塗布液に使用する液状媒体の例には、エチ
レンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケ
トン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−
プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メ
トキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、
乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレ
ア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ス
ルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエンおよび水が含
まれる。溶剤は、微粒子分散液中に溶解する(一般には
水と混和する)機能、微粒子を膨潤させる機能および光
重合開始剤と重合性化合物とを溶解させる機能を有する
ことが好ましい。具体的には、微粒子(マイクロカプセ
ルを含む)、光重合開始剤および重合性化合物の種類に
応じて、上記の溶剤の例から選択すればよい。二種類以
上の液体を混合して用いてもよい。塗布液の全固形分濃
度は、1乃至50質量%であることが好ましい。
【0055】塗布液には、塗布性を良化するための界面
活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤
(特開昭62−170950号公報記載)が特に好まし
い。界面活性剤の添加量は、塗布液の固形分量に対して
0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.05
乃至0.5質量%であることがさらに好ましい。画像形
成層の乾燥塗布量は、0.5乃至5.0g/m2 である
ことが好ましい。
【0056】[親水性支持体]親水性支持体としては、
金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることが
できる。具体的には、表面処理されたアルミニウム板、
親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理さ
れた紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理さ
れたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテ
レフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネート
された紙が好ましい。
【0057】陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に
好ましい。アルミニウム板は、純アルミニウム板または
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板
である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、
ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元
素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市
販の印刷版用のアルミニウム板を用いてもよい。アルミ
ニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであること
が好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに
好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好
ましい。
【0058】アルミニウム板表面には、粗面化処理を行
うことが好ましい。粗面化処理は、機械的方法、電気化
学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的
方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト
研磨法またはバフ研磨法を採用できる。電気化学的方法
としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交
流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用
いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記
載)も利用することができる。化学的方法としては、ア
ルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸
漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適
している。粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心
線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるよう
に実施することが好ましい。粗面化されたアルミニウム
板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。ア
ルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナ
トリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチ
ング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好まし
い。
【0059】アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体
の耐摩耗性を高めるために行う。陽極酸化処理に用いら
れる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の
電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、ク
ロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられ
る。陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃
至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5
乃至60A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、
電解時間が10秒乃至5分の範囲である。陽極酸化処理
により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/
2 であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2
であることがさらに好ましい。
【0060】[水溶性オーバーコート層]親油性物質に
よる画像形成層表面の汚染防止のため、画像形成層の上
に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。水
溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去できる材
料から構成する。そのためには、水溶性の有機ポリマー
から水溶性オーバーコート層を構成することが好まし
い。水溶性の有機ポリマーの例には、ポリビニルアルコ
ール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、そのアルカリ
金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアル
カリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、ポ
リヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアル
カリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、セルロー
スエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、カルボ
キシエチルセルロース、メチルセルローズ)、デキスト
リンおよびその誘導体(例、ホワイトデキストリン、酵
素分解エーテル化デキストリン、プルラン)が含まれ
る。水溶性の有機ポリマーの繰り返し単位を二種類以上
有するコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例に
は、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢
酸ビニルの部分ケン化ポリマー)およびビニルメチルエ
ーテル−無水マレイン酸コポリマーが含まれる。ポリ酢
酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸
ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は65%
以上であることが好ましい。二種類以上の水溶性有機ポ
リマーを併用してもよい。
【0061】水溶性有機ポリマーとして、酸素の透過率
が低いポリマーを用いることも好ましい。酸素は重合禁
止作用があるため、オーバーコート層に酸素の透過率の
低いポリマーを用いると、画像形成層の重合反応を促進
できる。酸素の透過率の低いポリマーとしては、ケン化
度が高い(65%以上の)ポリビニルアルコールが代表
的である。オーバーコート層に、染料を添加してもよ
い。染料は、光重合開始剤の吸収波長(600nm以
下)の光を吸収することが好ましい。n個の多光子吸収
では、光重合開始剤はn倍の波長の光によって励起され
る。従って、オーバーコート層の染料が600nm以下
の光を吸収すると、走査露光における多光子吸収に問題
を生じることなく、画像形成とは無関係で不都合な一光
子吸収を防止できる。
【0062】オーバーコート層の塗布液には、ノニオン
界面活性剤(例、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル)を添加
することができる。オーバーコート層の塗布量は、0.
1乃至2.0g/m2 であることが好ましい。
【0063】[走査露光]走査露光は、レーザーを用い
て実施する。レーザーは、赤外線レーザーを用いること
が好ましい。赤外線の波長は、600乃至1200nm
であることが好ましく、700乃至1100nmである
ことがさらに好ましい。赤外線は、固体高出力赤外線レ
ーザー(例えば、半導体レーザー、YAGレーザー)が
好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好まし
い。露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデ
バイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの
露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。照射さ
れる光エネルギーは10乃至500mJ/cm2 である
ことが好ましい。反応を促進するため、加熱しながらレ
ーザーを照射してもよい。
【0064】[製版および印刷工程]走査露光した平版
印刷原版は、現像処理を実施することなく、直ちに印刷
機に装着し、インクと湿し水を用いて通常の手順で印刷
するだけで、製版と印刷を連続して実施することができ
る。すなわち、平版印刷原版を印刷機に装着して、印刷
機を稼動させると、湿し水、インク、または擦りにより
加熱した部分の画像形成層を除去することができる。な
お、レーザー露光装置を有する印刷機(特許第2938
398号公報記載)を用いると、平版印刷原版を印刷機
シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレ
ーザーにより露光し、その後に湿し水又はインクをつけ
て機上現像する(露光〜印刷を連続して処理する)こと
も可能である。
【0065】
【実施例】[実施例1] (親水性支持体の作製)99.5質量%以上のアルミニ
ウムと、Fe0.30質量%、Si0.10質量%、T
i0.02質量%、Cu0.013質量%を含むJIS
−A−1050に従うアルミニウム合金の溶湯に清浄化
処理を施し、アルミニウム板を鋳造した。清浄化処理で
は、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱
ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理を行っ
た。鋳造法はDC法で行った。凝固した板厚500mm
の鋳塊を、表面から10mm面削し、金属間化合物が粗
大化しないように、550℃で10時間均質化処理を行
った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で
500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板
圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロー
ルの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平
均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面
性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0066】次に平版印刷版用支持体とするための表面
処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除
去するため10質量%アルミン酸ナトリウム水溶液を用
いて50℃で30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸
水溶液を用いて50℃で30秒間中和およびスマット除
去処理を行った。次いで支持体と画像形成層との密着性
を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持
体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行っ
た。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミニウム
を含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶
液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A
/dm2 、デューティー比1:1の交番波形でアノード
側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立て
を行った。その後、10質量%アルミン酸ナトリウム水
溶液を用いて50℃で30秒間エッチング処理を行い、
30質量%硫酸水溶液を用いて50℃で30秒間中和お
よびスマット除去処理を行った。さらに、耐摩耗性、耐
薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって
支持体に酸化皮膜を設けた。電解質として20質量%硫
酸水溶液を用いて35℃でアルミウェブを電解質中に通
搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流
で電解処理を行い、2.5g/m2 の陽極酸化皮膜を形
成した。そして、印刷版非画像部としての親水性を確保
するため、シリケート処理を行った。処理は1.5質量
%3号ケイ酸ナトリウム水溶液を用い、70℃でアルミ
ウェブの接触時間が15秒となるように通搬し、さらに
水洗した。Siの付着量は10mg/m2 であった。作
製したアルミニウム支持体のRa(中心線表面粗さ)は
0.25μmであった。
【0067】(マイクロカプセル液の調製)下記の成分
を混合して油相を調製した。
【0068】 ──────────────────────────────────── 油相 ──────────────────────────────────── ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 25g 光重合開始剤(5) 2.5g ジクロロメタン 5g イソシアナート(タケネートD110N) 20g ────────────────────────────────────
【0069】水相として、4質量%ポリビニルアルコー
ル水溶液30gを用いた。水相に油相を加え、ホモジナ
イザーによって8000回転/分にて10分間攪拌し、
乳化した。この乳化液を、室温で500回転/分攪拌し
つつ3.5質量%のジエチレントリアミン水溶液30g
を加え、引き続き攪拌した。30分後、60℃まで昇温
し、さらに3時間攪拌後、室温に冷却した。このように
してマイクロカプセル液を調製した。得られたマイクロ
カプセルの平均粒子サイズは1.7μmであった。
【0070】(画像形成層の形成)下記の成分を、下記
の順序で混合することにより、画像形成層塗布液を調製
した。画像形成層塗布液を親水性支持体上に塗布し、6
0℃にて乾燥した。乾燥後の塗布重量は2.1g/m2
であった。以上のようにして平版印刷原版を作製した。
【0071】 ──────────────────────────────────── 画像形成層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 水 40g マイクロカプセル液 10g アラビアガム 0.15g エチレングリコールの平均重合度が600であるポリエチレングリコールジア クリレート(A600、新中村化学工業(株)製) 0.1g プロピレングリコールモノメチルエーテル 20g フッ素系界面活性剤(メガファックF171、大日本インキ化学工業(株)製 ) 0.1g ────────────────────────────────────
【0072】(製版および印刷)得られた平版印刷原版
を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したクレ
オ社製トレンドセッター3244VFSにて、外面ドラ
ム回転数100rpm、版面エネルギー200mJ/c
2 、解像度2400dpiの条件で露光した後、水道
水により洗浄した。その結果、版上に良好な画像が確認
された。そして、、同じ条件で露光した平版印刷原版
を、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製SOR
・M印刷機に装着し、通常どおり印刷したところ、良好
な印刷物が得られた。
【0073】[実施例2]実施例1で得られた平版印刷
原版を、波長830nm、パルス幅5ピコ秒のレーザー
により露光した後、水道水により洗浄したところ、版上
に良好な画像が確認された。そして、、同じ条件で露光
した平版印刷原版を、現像処理することなく、ハイデル
ベルグ社製SOR・M印刷機に装着し、通常どおり印刷
したところ、良好な印刷物が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】好ましい平版印刷原版の基本構成を示す断面模
式図である。
【符号の説明】
1 親水性支持体 2 画像形成層 21 マイクロカプセル構造微粒子 21c コア 21s シェル 22 親水性ポリマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C034 BA02 2H084 AA30 AE05 BB02 BB04 BB13 CC05 2H096 AA06 BA05 EA04 EA23 2H113 AA01 AA02 BA05 DA63 FA42 FA48 2H114 AA04 AA23 BA01 BA10 EA01 EA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性支持体上に、光重合開始剤と重合
    性化合物とを含む微粒子が分散している画像形成層が設
    けられている平版印刷原版を、レーザー光で走査露光
    し、多光子吸収により光重合開始剤を励起し、励起され
    た光重合開始剤により重合性化合物を重合させる工程、
    平版印刷原版を印刷機に装着した状態で印刷機を稼動さ
    せ、湿し水、油性インク、または擦りにより露光してい
    ない部分の画像形成層を除去し、これにより平版印刷版
    を製版する工程、そして、さらに湿し水と油性インクと
    を供給し、平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷
    方法。
  2. 【請求項2】 親水性支持体上に、光重合開始剤と重合
    性化合物とを含む微粒子が分散している画像形成層が設
    けられている平版印刷原版であって、該光重合開始剤
    が、多光子吸収によって励起され、重合性化合物の重合
    を開始することを特徴とする平版印刷原版。
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JP2005225107A (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版原版およびそれを用いる平版印刷方法
WO2005109083A3 (en) * 2004-05-06 2005-12-15 Esko Graphics As Optical image exposing method and apparatus
JP2006068963A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Fuji Photo Film Co Ltd 重合性組成物、それを用いた親水性膜、及び、平版印刷版原版
JP2010511265A (ja) * 2006-11-28 2010-04-08 アルケマ フランス 光異性化が可能な基を有する光活性モノマーを含む多層粒子から成る光学式の三次元(3d)記録装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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