JP2005262708A - 平版印刷版原版および平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷版原版および平版印刷方法 Download PDF

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康仁 大島
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秀和 大橋
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Abstract

【課題】 赤外線露光後の検版が容易にできる平版印刷版原版および平版印刷方法を提供する。
【解決手段】 支持体上に、赤外光を吸収する光熱変換剤、重合性化合物、重合開始剤およびサーモクロミック化合物を含有する画像記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版、および、この平版印刷版原版を、赤外線レーザーを用いて画像露光する工程、平版印刷版原版を印刷機のシリンダーに取り付けた状態で、画像記録層の未露光部を除去して平版印刷版を製版する工程、および、製版された平版印刷版をシリンダーに取り付けた状態で印刷する工程を含む平版印刷方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱によって画像記録可能であり、加熱後の検版が可能な平版印刷版原版およびこれを用いた平版印刷方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、リスフイルムを介してマスク露光した後、不要な感光性樹脂層を現像液によって溶解除去することにより製版することが普通であった。
近年では、コンピュータが画像をデジタル情報として電子的に処理し、蓄積して、出力する。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理は、レーザー光のような指向性の高い活性放射線を用いる走査露光により、リスフイルムを介することなく、平版印刷版原版に対して直接画像形成を行うことが望ましい。このようにデジタル画像情報からリスフイルムを介さずに印刷版を製版する技術は、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)と呼ばれている。
従来のPS版による印刷版の製版方法を、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術で実施しようとすると、レーザー光の波長領域と感光性樹脂の感光波長領域とが一致しないとの問題がある。
また、従来のPS版では、露光の後、不要の感光性樹脂層を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠である。さらに、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更するか、さらには無処理化することが望ましい。
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷版原版の不要部分を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷版原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。
このような機上現像に適した平版印刷版原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
従来のPS版では、このような要求を満足することは、実質的に不可能であった。
特許文献1(特許2938397号明細書)には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷版原版が記載されている。同明細書の記載によると、製版において、赤外線レーザーで露光して、光熱変換により生じた熱で熱可塑性疎水性重合体微粒子を合体(融着)させて画像形成した後、印刷機のシリンダー上に版を取り付け、湿し水および/またはインキを供給することにより機上現像できる。この平版印刷版原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
また、特許文献2(特開2001−277740号公報)には、親水性支持体上に、重合性化合物を内包するマイクロカプセルを含む画像記録層(感熱層)を有する平版印刷版原版が記載されている。さらに、特許文献3(特開2001−287334号公報)には、支持体上に、赤外線吸収剤とラジカル重合開始剤と重合性化合物とを含有する画像記録層(感光層)を設けた平版印刷版原版が記載されている。
特許2938397号明細書 特開2001−277740号公報 特開2002−287334号公報
一般に印刷の前工程として、印刷版上の画像を検査、識別する検版作業が行われる。現像処理された平版印刷版では、画像記録層を着色しておくことで、画像を確認することは容易である。
しかし、現像処理工程を経ないで印刷が可能な平版印刷版原版では、露光のみでは画像を確認することができない。そのため、印刷作業をスムースに行うために、露光後に版の識別や検版をできるようにすることが要望される。
すなわち、本発明の目的は、赤外線露光後の検版が容易にできる平版印刷版原版およびこれを用いた平版印刷方法を提供することである。
本発明は下記のとおりである。
1.支持体上に、赤外光を吸収する光熱変換剤、重合性化合物、重合開始剤およびサーモクロミック化合物を含有する画像記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
2.重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、重合開始剤がラジカル重合開始剤であることを特徴とする前記1記載の平版印刷版原版。
3.サーモクロミック化合物が重合性反応基を有していることを特徴とする前記1または2記載の平版印刷版原版。
4.前記1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版であって、赤外線レーザー露光によって描画可能であり、かつ現像処理を行うことなく印刷機に装着して印刷可能となることを特徴とする平版印刷版原版。
5.該画像記録層が、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
6.前記1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版を、赤外線レーザーを用いて画像露光する工程、平版印刷版原版を印刷機のシリンダーに取り付けた状態で、画像記録層の未露光部を除去して平版印刷版を製版する工程、および、製版された平版印刷版をシリンダーに取り付けた状態で印刷する工程を含む平版印刷方法。
本発明で良好な露光後の検版性が得られる作用機能としては、次のように推定される。
本発明では、酸やラジカルを必要としないで、単に加熱するだけで変色するサーモクロミック化合物を用いている。そのため、酸またはラジカルによる画像形成のための重合反応と焼き出し画像形成とが互いに妨害することなく、良好な検版性が得られる。
本発明によれば、赤外線露光後の検版が容易にできる平版印刷版原版と、この平版印刷版原版を用いた平版印刷方法とを提供できる。
〔画像記録層〕
本発明の画像記録層は、赤外光を吸収する光熱変換剤、重合性化合物、重合開始剤およびサーモクロミック化合物を含有する。これらの成分または後述のその他の任意成分は、微粒子またはマイクロカプセルの内部に存在させた形態で画像記録層に含有させることもできる。
以下、画像記録層の構成成分および画像記録層の形成方法について詳細に説明する。
(サーモクロミック化合物)
サーモクロミック化合物は、従来公知のものを制限なく使用できる。例えば、「機能性色素」(1986年、シーエムシー発行)、「クロミック材料と応用」(1989年、シーエムシー発行)、「Potochromism」、(1971年、Wiley Interscience(ニューヨーク)発行)、「Organic Photochromic and Thermochromic Compounds」(1999年、Kluwer Academic / Plenum Publishers(ニューヨーク)発行)等にその例が挙げられている。
このようなサーモクロミック化合物としては、スピロピラン類、アントロン類のような縮合芳香環置換エチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、コレステリック液晶などの液晶、電子供与体と電子受容体の有極性化合物中の熱平衡による電子授受機構にもとづくサーモクロミック材料であるメタモカラー(登録商標、パイロットインキ製)等が挙げられる。
また、特開平6−340821号公報記載のサーモクロミック色素や、特開平7−165762号公報記載のスピロオキサジン系化合物等も使用することができる。
これらのサーモクロミック化合物は、構造や量を変化させることにより、色の変化(発色、色の消失または変色)する温度や濃度を制御することができる。本発明においては、100〜300℃の範囲で色の変化を起こす化合物が好ましい。変色を生じる温度が100℃以上であれば保存安定性が良好であり、300℃以下であれば色の変化量も十分である。
以下に、本発明において好適なサーモクロミック化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2005262708
Figure 2005262708
IRレーザー露光後の露光部の色変化をより長時間維持するためには、サーモクロミック化合物が重合性反応基を有していることが好ましい。重合性反応基としては、カチオン重合性反応性基とラジカル重合性反応性基が挙げられる。カチオン重合性反応性基としては、ビニル基やエポキシ基等が挙げられ、ラジカル重合性反応性基としては、付加重合可能な不飽和結合(例えば(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロニトリル基、アリル基、スチレン構造、ビニルエーテル構造や、アセチレン構造等)、−SH、−PH、SiH、−GeH、ジスルフィド構造等が挙げられる。
なかでもレーザー露光部の色変化が長時間保時されることから、重合性反応基としてはラジカル重合性反応基が好ましく、その中でも付加重合可能な不飽和結合基であることが好ましい。なお、ここで(メタ)アクリル基とは、アクリル基またはメタアクリル基を表す。重合性反応基は、サーモクロミック化合物中に少なくとも1個有することが好ましく、2個以上有することがさらに好ましい。
上記の重合性反応基を有するサーモクロミック化合物は、従来公知の合成方法により合成することができる。例えば、実施例中に記載のサーモクロミック化合物(2)は、1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン−8’−カルボン酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとをN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いるエステル化法により合成することができる。
重合性反応基を有するサーモクロミック化合物の具体例としては、次のような化合物が
挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2005262708
サーモクロミック化合物の添加量は、赤外線レーザー露光前後の画像記録層の明度差ΔL*値が4以上、好ましくは6以上となるように調整するのが好ましい。従って、添加する化合物によって適宜選択されるが、感光性組成物の不揮発成分に対し、1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲で添加される。
なお、上記明度差ΔL*は、一般的な、色空間座標(L*、a*、b*)を測定可能な色差計(例えば、色彩色差計CR−221、ミノルタ(株)製)を用いて測定した露光部と未露光部のL*値の差の絶対値を指す。
(光熱変換剤)
本発明の光熱変換剤は、赤外光(波長700nm以上)を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を有する物質(赤外線吸収剤)である。なかでも700〜1200nmの波長領域に吸収極大を有する光熱変換剤が好ましい。
光熱変換剤は、バインダーポリマーである疎水性ポリマーや親水性ポリマー中に添加してもよいし、微粒子またはマイクロカプセルの内部に存在させることもできる。これらのポリマー、微粒子およびマイクロカプセルについては後述する。
このような光熱変換剤としては、赤外光を吸収できる顔料、染料または金属微粒子が好ましく用いられる。
赤外吸収顔料については、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載がある。
特に好ましい赤外吸収顔料は、カーボンブラックである。
赤外吸収顔料を疎水性ポリマー中または疎水性ポリマーの微粒子の内部に添加する場合は、顔料に疎水化(親油化)処理を行うことができる。疎水化処理としては、親油性樹脂を顔料表面にコートする方法がある。
赤外吸収顔料を親水性ポリマー中に分散させる場合は、顔料に親水化処理を行うことができる。親水化処理としては、親水性樹脂を顔料表面にコートする方法、界面活性剤を顔料表面に付着させる方法、あるいは、反応性物質(例、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤、エポキシ化合物、イソシアナート化合物)を顔料表面に結合させる方法を採用できる。
顔料を親水性ポリマー中に分散させる場合、インク製造やトナー製造に用いられる公知の分散技術が適用できる。
顔料の粒径は、0.01乃至1μmであることが好ましく、0.01乃至0.5μmであることがさらに好ましい。
赤外吸収染料については、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシーに記載がある。
好ましい赤外吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−112793号、同58−224793号、同59−48187号、同59−73996号、同60−52940号、同60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許3881924号同4283475号の各明細書、特開昭57−142645号、同58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号、特公平5−13514号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58−173696号、同58−181690号、同58−194595号の各公報記載)である。
赤外吸収染料については、米国特許4756993号、同5156938号の各明細書および特開平10−268512号公報にも記載がある。
市販の赤外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社製)を用いてもよい。
メチン染料がさらに好ましく、シアニン染料(英国特許434875号、米国特許4973572号の各明細書、特開昭58−125246号、同59−84356号、同59−216146号、同60−78787号、特開2001−133969号、特開2002−278057号の各公報記載)が最も好ましい。シアニン染料は、下記式で定義される。
Bo−Lo=Bs
上式において、Bsは、塩基性核であり;Boは、塩基性核のオニウム体であり;そして、Loは、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。
赤外吸収染料の場合、Loは、7個のメチンからなるメチン鎖であることが好ましい。
赤外吸収染料を画像記録層の親水性ポリマー中に添加する場合は、親水性の染料を用いることが好ましい。
一方、赤外吸収染料を疎水性ポリマー微粒子内に添加する場合は、比較的疎水性の染料を用いることが好ましい。
金属は、一般に自己発熱性を有している。従って、赤外、可視または紫外領域に吸収をもつ金属、特に赤外領域に吸収をもつ金属は、光熱変換機能を有している。
金属微粒子を構成する金属は、光照射によって熱融着することが好ましい。具体的には、融点が1000℃以下であることが好ましい。
金属微粒子を構成する金属としては、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbおよびそれらの合金が好ましく、Re、Sb、Te、Ag、Au、Cu、Ge、PbおよびSnがより好ましく、Ag、Au、Cu、Sb、GeおよびPbがさらに好ましく、Ag、AuおよびCuが最も好ましい。
合金の場合、低融点金属(例、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn)と、自己発熱性が高い金属(例、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge)とを組み合わせることもできる。また、光吸収が大きい金属(例、Ag、Pt、Pd)の微粒子
と他の金属の微粒子とを組み合わせて用いることもできる。
金属微粒子は、表面を親水性化処理することによって、親水性ポリマー中に分散することが好ましい。表面親水性化処理としては、親水性物質(例、界面活性剤)による表面処理、親水性物質との表面化学反応、あるいは親水性ポリマー被膜の形成のような手段を採用できる。保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。親水性物質との表面化学反応が好ましく、表面シリケート処理が最も好ましい。鉄微粒子の表面シリケート処理では、70℃のケイ酸ナトリウム(3質量%)水溶液に鉄微粒子を30秒浸漬する方法によって表面を充分に親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行うことができる。
金属微粒子に代えて、金属酸化物微粒子または金属硫化物微粒子を用いることもできる。
微粒子の粒径は、10μm以下であることが好ましく、0.003乃至5μmであることがさらに好ましく、0.01乃至3μmであることが最も好ましい。
光熱変換剤の画像記録層への添加量は、5乃至50質量%であることが好ましく、7乃至40質量%であることがさらに好ましく、10乃至30質量%であることが最も好ましい。
(重合性化合物)
重合性化合物は、ポリマー(重合性基を架橋性官能基として有する架橋性ポリマー)であってもよい。
重合性化合物は、二個以上の重合性官能基を有することが好ましい。
重合性化合物の重合性官能基は、加熱することにより重合反応する。また、重合反応を促進する化合物(例えば、酸)の感熱性前駆体と、重合性化合物(例えば、ビニルエーテル化合物や環状エーテル化合物)とを併用してもよい。さらに、ラジカル重合開始剤(熱ラジカル発生剤)と重合性化合物(エチレン性不飽和重合性化合物)とを併用してもよい。
感熱性酸前駆体と、ビニルエーテルまたは環状エーテルとの組み合わせについては、特開2001−277740号、同2002−46361号および同2002−29162号の各公報に記載がある。
ラジカル重合開始剤とエチレン性不飽和重合性化合物との組み合わせについては、特開2002−137562号公報に記載がある。
環状エーテル化合物の環状エーテルは、三員環のエポキシ基であることが好ましい。複数の環状エーテル基を有する化合物が好ましい。市販のエポキシ化合物またはエポキシ樹脂を用いてもよい。
ビニルエーテル化合物も、複数のビニルエーテル基を有することが好ましい。ビニルエーテル化合物は、下記式(V)で表されることが好ましい。
4 (−O−CR5 =CR6 7 m (V)
式(V)において、L4 はm価の連結基であり、R5 、R6 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、そして、mは2以上の整数である。
mが2の場合、L4 は、アルキレン基、置換アルキレン基、アリレン基、置換アリレン基、二価の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−SO−、−SO2 −およびそれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
アルキレン基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
置換アルキレン基および置換アルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
アリレン基は、フェニレンであることが好ましく、p−フェニレンであることが最も好ましい。
二価の複素環基は、置換基を有していてもよい。
置換アリレン基、置換アリール基および置換複素環基の置換基の例には、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
mが3以上の場合、L4 は、三価以上の脂肪族基、三価以上の芳香族基、三価以上の複素環基、あるいはそれらとアルキレン基、置換アルキレン基、アリレン基、置換アリレン基、二価の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−CO−、−SO−または−SO2 −との組み合わせであることが好ましい。
三価以上の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至15であることがより好ましく、1乃至10であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。
脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
芳香族基は、ベンゼン環残基であることが好ましい。芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例には、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基およびアルコキシ基が含まれる。
4 は、m個の繰り返し単位からなるポリマーの主鎖を構成してもよい。
5 、R6 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチルであることがさらにまた好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
エチレン性不飽和重合性化合物も、複数のエチレン性不飽和基を有することが好ましい。エチレン性不飽和重合性化合物は、下記式(VI)で表されることが好ましい。
4 (−CR5 =CR6 7 m (VI)
式(VI)において、L4 はm価の連結基であり、R5 、R6 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、そして、mは2以上の整数である。
4 、R5 、R6 およびR7 の定義は、式(V)と同様である。
上記重合性化合物は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
画像記録層中の含有量は、画像記録層の全固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは25〜75質量%の範囲で使用される。
(重合開始剤)
本発明の画像記録層には、重合性化合物の重合を開始、促進する重合開始剤が含有される。重合性化合物(および架橋性ポリマー)の官能基が、エチレン性不飽和基のようなラジカル重合性基である場合は、重合開始剤としては、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性化合物の重合を開始、促進するラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤の例には、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ化合物、アジド化合物、キノンジアジド化合物およびメタロセン化合物が含まれる。オニウム塩(例、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩)が好ましく、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩およびスルホニウム塩が特に好ましい。
オニウム塩の、より具体的な例としては、特開2002−137562号、特開2002−148790号の各公報に記載のオニウム塩が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、2種以上を併用することもでき、画像記録層への合計の添加量は、画像記録層全固形分の0.1乃至50質量%が好ましく、0.5乃至30質量%がさらに好ましく、1乃至20質量%が最も好ましい。
ラジカル重合開始剤は、マイクロカプセル(後述)中に内包させて画像記録層に添加することもできる。ラジカル重合開始剤を疎水性ポリマー中やマイクロカプセルに添加する場合は、ラジカル重合開始剤は水不溶性であることが好ましい。ラジカル重合開始剤を親水性ポリマー中に添加する場合は、ラジカル重合開始剤は水溶性であることが好ましい。
重合性化合物の重合性官能基がビニルオキシ基またはエポキシ基のようなカチオン重合性基である場合は、画像記録層は、重合開始剤として、感熱性酸発生剤(感熱性酸前駆体ともいう。)を含むことが好ましい。
感熱性酸発生剤は、加熱すると酸を発生する化合物からなる。発生した酸は、ビニルオキシ基またはエポキシ基の重合反応を開始もしくは促進する。
感熱性酸発生剤は、画像記録層に添加する。重合性化合物を、画像記録層中に分散させた微粒子またはマイクロカプセルに添加する場合(後述)は、感熱性酸発生剤も、微粒子またはマイクロカプセルに添加することが好ましい。
本発明で用いる感熱性酸発生剤は、オニウム塩であることが好ましい。
オニウム塩の例には、ジアゾニウム塩(S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S. Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載)、アンモニウム塩(米国特許第4,069,055号、同第4,069,056号、同第再発行第27992号の各明細書および特開平4−365049号公報に記載)、ホスホニウム塩(D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad,
Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4069055号、同第4069056号の各明細書に記載)、ヨードニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),
1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許第104143号、米国特許第339049号、同第410201号の各明細書、特開平2−150848号、同第2−296514号の各公報に記載)、スルホニウム塩(J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.
Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979) 、欧州特許第370693号、同第3902114号、同第233567号、同第297443号、同第297442号、米国特許4933377号、同第161811号、同第410201号、同第339049号、同第4760013号、同第4734444号、同第2833827号、独国特許2904626号、同第3604580号、同第3604581号の各明細書に記載)、セ
レノニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載)、およびアルソニウム塩(C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載)が含まれる。
オニウム塩の対アニオンの例には、BF4 -、PF6 -、AsF6 -およびSbF6 -が含まれる。
感熱性酸発生剤は、二種類以上を併用してもよい。感熱性酸発生剤の添加量は、画像記録層全固形分の0.01乃至20質量%が好ましく、0.1乃至10質量%がさらに好ましい。
(疎水性ポリマー)
平版印刷版原版の画像記録層は、疎水性ポリマーを含むことができる。重合性化合物を用いる場合、疎水性ポリマーは重合性化合物のバインダーとして機能する。重合性化合物が架橋性ポリマーである場合は、架橋性ポリマーを疎水性ポリマーとして機能させることができる。
疎水性ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。炭化水素またはポリウレタンを含む主鎖が特に好ましい。
疎水性ポリマーの主鎖は、置換基を有することができる。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノ、リン酸エステル基、シアノ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO−R、−NH−R、−N(−R)2 、−N+ (−R)3 、−CO−O−R、−O−CO−R、−CO−NH−R、−NH−CO−Rおよび−P(=O)(−O−R)2 が含まれる。上記Rは、それぞれ、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノおよびリン酸エステル基は、水素原子が解離していても、塩の状態になっていてもよい。
主鎖の複数の置換基が結合して、脂肪族環または複素環を形成してもよい。形成される環は、主鎖とスピロ結合の関係になっていてもよい。形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、上記主鎖の置換基に加えて、オキソ(=O)が含まれる。
アルカリ性溶出液で処理することにより加熱していない部分の画像記録層を除去する場合、疎水性ポリマーは、酸性基を有することが好ましい。酸性基は、疎水性ポリマーをコポリマーとして、一部の繰り返し単位に導入することが好ましい。酸性基は、カルボキシルまたはカルボン酸無水物が好ましい。
疎水性ポリマーの分子量は、質量平均で、5百乃至100万であることが好ましく、千乃至50万であることがより好ましく、2千乃至20万であることがさらに好ましく、5千乃至10万であることが最も好ましい。
重合性化合物や架橋性ポリマーとは別に疎水性ポリマーを用いる場合、疎水性ポリマーは、画像記録層に5乃至90質量%含まれていることが好ましく、30乃至80質量%含まれていることがさらに好ましい。
(微粒子およびマイクロカプセル)
重合性化合物または架橋性ポリマーを含む微粒子を画像記録層に分散させることができる。微粒子は、疎水性ポリマー(架橋性ポリマーが疎水性である場合を含む)を用いて形成できる。
疎水性ポリマーから微粒子を形成する場合、疎水性ポリマーを乳化重合反応で合成することが好ましい。乳化重合反応であると、疎水性ポリマーの合成と同時に微粒子を形成す
ることができる。乳化重合反応は、ラテックスの製造に一般に用いられている反応条件を採用すればよい。
均質な微粒子を形成するため、乳化重合反応において界面活性剤を使用することが好ましい。カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。界面活性剤の使用量は、モノマーの総量の0.01乃至10質量%であることが好ましい。
重合反応は、重合開始剤(連鎖移動剤)を用いることが好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマーの総量の0.05乃至10質量%であることが好ましい。
微粒子は、5乃至500nmの粒子サイズを有することが好ましく、10乃至300nmの粒子サイズを有することがさらに好ましい。粒子サイズ分布は、なるべく均一であることが好ましい。
二種類以上の微粒子を混合して用いてもよい。
疎水性ポリマー微粒子は、疎水性ポリマーを有機溶媒(好ましくは、水と混和しない有機溶媒)に溶解し、これを、分散剤を含む水溶液中と混合して乳化し、さらに熱を加えて、有機溶媒を除去しながら微粒子状に固化させることによって製造することもできる。
重合性化合物を含むマイクロカプセルを、画像記録層に分散することもできる。
マイクロカプセルは、公知のコアセルベーション法(米国特許第2800457号、同第2800458号の各明細書記載)、界面重合法(英国特許第990443号、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号、の各公報記載)、ポリマー析出法(米国特許第3418250号、同第3660304号の各明細書記載)、イソシアネート・ポリオール壁形成法(米国特許第3796669号明細書記載)、イソシアネート壁形成法(米国特許第3914511号明細書記載)、尿素・ホルムアルデヒド壁もしくは尿素・ホルムアルデヒド−レゾルシノール壁形成法(米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書記載)、メラミン−ホルムアルデヒド壁もしくはヒドロキシセルロース壁形成法(米国特許第4025445号明細書記載)、モノマー重合によるin situ 法(特公昭36−9163号、同51−9079号の各明細書記載)、スプレードライング法(英国特許第930422号、米国特許第3111407号の各明細書記載)、あるいは電解分散冷却法(英国特許第952807号、同第967074号の各明細書記載)により製造できる。
マイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤することが好ましい。そのためには、マイクロカプセルの壁材として、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。ポリウレアおよびポリウレタンが特に好ましい。マイクロカプセル壁に、上記の疎水性ポリマーを用いてもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、0.01乃至20μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.10乃至1.0μmが最も好ましい。
マイクロカプセルは、カプセル同志が熱により融合してもよい。すなわち、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したもの、または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせばよい。
二種類以上のマイクロカプセルを併用してもよい。
微粒子またはマイクロカプセルの画像記録層への添加量は、固形分換算で、10乃至80質量%であることが好ましく、15乃至60質量%であることがさらに好ましい。
マイクロカプセルを画像記録層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
溶剤としては、アルコール、エーテル、アセタール、エステル、ケトン、多価アルコー
ル、アミド、アミン、脂肪酸を用いることができる。好ましい溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドが含まれる。二種類以上の溶剤を併用してもよい。
溶剤の添加量は、塗布液の5乃至95質量%が好ましく、10乃至90質量%がさらに好ましく、15乃至85質量%が最も好ましい。
(親水性ポリマー)
本発明の画像記録層は、親水性ポリマーを含有することができる。親水性ポリマーは、親水性ポリマーは、画像記録層のバインダー、画像記録層の親水性度を調整する添加剤などとして用いられる。
親水性ポリマーの親水性基としては、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、アミノまたはアミド結合が好ましい。カルボキシルおよびスルホは、塩の状態であってもよい。
親水性ポリマーとしては、様々な天然または半合成ポリマーあるいは合成ポリマーが使用できる。
天然または半合成ポリマーとしては、多糖類(例、アラビアゴム、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム)またはタンパク質(例、カゼイン、ゼラチン)を用いることができる。
ヒドロキシルを親水性基として有する合成ポリマーの例には、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルアクリレート、ポリヒドロキシブチルメタクリレート、ポリヒドロキシブチルアクリレート、ポリアリルアルコール、ポリビニルアルコールおよびポリ−N−メチロールアクリルアミドが含まれる。
カルボキシルを親水性基として有する合成ポリマーの例には、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの塩が含まれる。
その他の親水性基(例、アミノ、多数のエーテル結合、親水性複素環基、アミド結合、スルホ)を有する合成ポリマーの例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドおよびポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩が含まれる。
親水性合成ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーを用いてもよい。親水性合成ポリマーの繰り返し単位と、疎水性合成ポリマー(例、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン)の繰り返し単位とを含むコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマーおよびビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)が含まれる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
二種類以上の親水性ポリマーを併用してもよい。
画像記録層中に親水性ポリマーは、2乃至40質量%含まれることが好ましく、3乃至30質量%含まれることがさらに好ましい。
(画像記録層の他の任意成分)
画像記録層には、画像形成後の画像部と非画像部との区別を目的として、着色剤を添加することができる。着色剤としては、可視領域に大きな吸収を有する染料または顔料を用いる。着色剤の例には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピン
ク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)およびメチレンブルー(CI52015)が含まれる。着色剤として用いられる染料については、特開昭62−293247号公報に記載がある。酸化チタンのような無機顔料も着色剤として用いることができる。
着色剤の添加量は、画像記録層の0.01乃至10質量%であることが好ましい。
画像記録層に無機微粒子を添加してもよい。微粒子を構成する無機化合物は、酸化物(例、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、二酸化チタン)または金属塩(例、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム)が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、5nm乃至10μmが好ましく、10nm乃至1μmがさらに好ましい。
無機微粒子は、画像記録層に1.0乃至70質量%含まれることが好ましく、5.0乃至50質量%含まれることがさらに好ましい。
画像記録層には、ノニオン界面活性剤(特開昭62−251740号、特開平3−208514号の各公報記載)、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(特開平2−195356号公報記載)、両性界面活性剤(特開昭59−121044号、特開平4−13149号の各公報記載)または含フッ素界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤は、画像記録層に0.05乃至15質量%含まれることが好ましく、0.1乃至5質量%含まれることがさらに好ましい。
画像記録層に柔軟性を付与するため、可塑剤を添加してもよい。可塑剤の例には、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルおよびオレイン酸テトラヒドロフルフリルが含まれる。
可塑剤の画像記録層への添加量は、0.1乃至50質量%であることが好ましく、1乃至30質量%であることがさらに好ましい。
(画像記録層の形成)
画像記録層は、各成分を適当な液状媒体中に溶解、分散または乳化して塗布液を調製し、支持体上に塗布し、および乾燥して液状媒体を除去することにより形成することができる。塗布液に使用する液状媒体の例には、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエンおよび水が含まれる。二種類以上の液体を混合して用いてもよい。
塗布液の全固形分濃度は、1乃至50質量%であることが好ましい。
塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤(特開昭62−170950号公報記載)が特に好ましい。界面活性剤の添加量は、塗布液の固形分量に対して0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.05乃至0.5質量%であることがさらに好ましい。
画像記録層の乾燥塗布量は、0.5乃至5.0g/m2 であることが好ましい。
[支持体]
支持体としては、金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることができる。
現像処理または機上現像により画像記録層の不要部分を除去し、露出した支持体の表面を、平版印刷版の親水性非画像部として機能させる場合には、親水性支持体が好ましい。
親水性支持体としては、表面処理されたアルミニウム板、親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理された紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理されたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテレフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネートされた紙が好ましい。
なかでも陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板またはアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市販の印刷版用アルミニウム板を用いてもよい。
アルミニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであることが好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好ましい。
アルミニウム板表面には、粗面化処理を行うことが好ましい。粗面化処理は、機械的方法、電気化学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法またはバフ研磨法を採用できる。電気化学的方法としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記載)も利用することができる。化学的方法としては、アルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適している。
粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるように実施することが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。アルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好ましい。
アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体の耐摩耗性を高めるために行う。
陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられる。
陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5乃至60A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、電解時間が10秒乃至5分の範囲である。
陽極酸化処理により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/m2 であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2 であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでもよいが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号や特開2001−322365号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、や封孔処理および親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。もちろんこれら拡大処理、封孔処理は、これらに記載のものに限られたものではなく従来公
知の何れも方法も行うことができる。
本発明においては、支持体と画像記録層との間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有するリン化合物などが好適に挙げられる。
[水溶性オーバーコート層]
親油性物質による画像記録層表面の汚染防止、画像記録層における酸素によるラジカル重合禁止反応の抑制などのため、画像記録層の上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。
水溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去できる材料から構成する。そのためには、水溶性の有機ポリマーから水溶性オーバーコート層を構成することが好ましい。
水溶性の有機ポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、セルロースエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース)、デキストリンおよびその誘導体(例、ホワイトデキストリン、酵素分解エーテル化デキストリンプルラン)が含まれる。
水溶性の有機ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)およびビニルメチルエーテル−無水マレイン酸コポリマーが含まれる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は65質量%以上であることが好ましい。
二種類以上の水溶性有機ポリマーを併用してもよい。
オーバーコート層に、前記の光熱変換剤を添加してもよい。オーバーコート層に添加する光熱変換剤は、水溶性であることが好ましい。
オーバーコート層の塗布液には、ノニオン界面活性剤(例、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル)を添加することができる。
オーバーコート層の塗布量は、0.1乃至2.0g/m2 であることが好ましい。
[画像状加熱工程]
本発明の平版印刷版原版は、画像状に加熱して画像を形成する。直接的には、熱記録ヘッドによって、平版印刷版原版を画像状に加熱できるが、熱記録ヘッドは画像の解像度が低いため、画像露光による光エネルギーを熱エネルギーに変換する加熱が望ましい。
露光方法には、アナログデータである原稿(オリジナル)を介しての露光と、オリジナルのデータ(通常はデジタルデータ)に対応させた走査露光とがある。
オリジナルを介しての露光では、光源としてキセノン放電灯または赤外線ランプが用いられる。キセノン放電灯のような高出力の光源を使用すれば、短時間のフラッシュ露光も可能である。
走査露光は、レーザー、特に赤外線レーザーを用いることが一般的である。赤外線の波長は、700乃至1200nmであることが好ましい。赤外線は、固体高出力赤外線レーザー(例えば、半導体レーザー、YAGレーザー)が好ましい。
光熱変換剤を含む画像記録層にレーザーを走査露光すると、光熱変換剤によりレーザーの光エネルギーが熱エネルギーに変換される。そして、画像記録層の加熱部分(画像部)において、重合が起こると同時に、サーモクロミック化合物が変色し、加熱した領域を確
認することができる。
形成される重合画像領域と未露光領域との疎水性・親水性差が、平版印刷が必要とする湿し水を受容する親水性の非画像部と油性インクを受容する親油性の画像部との差になる場合は、現像処理なしで印刷版(無処理刷版)として直ちに印刷に使用することができる。無処理刷版は、理論的には最も理想的な平版印刷の態様ではあるが、実際に問題なく実現することは難しい。そのため、親水性支持体を用い、後述する現像処理を行い、親水性支持体表面からなる(湿し水を受容する親水性の)非画像部と残存する画像記録層からなる(油性インクを受容する親油性の)画像部とを形成する方が、無処理刷版よりも一般に採用されている。
[現像工程および印刷工程]
画像状に加熱した平版印刷版原版は、一般に、現像することにより、平版印刷版を製版する。
画像記録層が均一な層である場合、画像記録層に酸性基を有するポリマーを導入することで、アルカリ性溶出液(現像液)により非画像部を溶出することができる。アルカリ性溶出液については、特願2001−203609号明細書、特開2000−081711号、同2001−142206号、同2002−04652号、同2002−202619号の各公報に記載がある。
微粒子またはマイクロカプセルが画像記録層に分散している場合は、水または水性溶媒により非画像部を除去することができる。ただし、非画像部を除去する処理(現像処理)を実施しなくても、画像状に加熱した平版印刷版原版を直ちに印刷機に装着し、インクと湿し水を用いて通常の手順で印刷するだけでも、製版(現像)と印刷を連続して実施することができる。すなわち、平版印刷版原版を印刷機に装着した状態で、印刷機を稼動させると、湿し水、インク、または擦りにより非画像部の画像記録層を除去することができる。
なお、レーザー露光装置を有する印刷機(特許第2938398号明細書記載)を用いると、平版印刷版原版を印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水またはインクをつけて機上現像する(露光〜印刷を連続して処理する)ことも可能である。
また、製版した印刷版をさらに全面加熱して、画像部に残存する未反応の成分を反応させ、印刷版の強度(耐刷性)をさらに改善することもできる。
本発明の平版印刷版原版を用いた好ましい平版印刷方法としては、平版印刷版原版を、赤外線レーザーを用いて画像露光する工程、平版印刷版原版を印刷機のシリンダーに取り付けた状態で、画像記録層の未露光部を除去して平版印刷版を製版する工程、および、製版された平版印刷版をシリンダーに取り付けた状態で印刷する工程を含む平版印刷方法である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)支持体の作製
<支持体A>
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さら
に60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2 、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
さらに、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥した。この基板の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液にて30℃で10秒処理し、さらに下記下塗り液(1)を乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布して支持体Aとした。
下塗り液(1)
下記の下塗り化合物(1) 0.017g
メタノール 9.00g
水 1.00g
Figure 2005262708
<支持体B>
上記支持体Aと同様に陽極酸化皮膜まで設けた支持体をフッ化ジルコン酸ナトリウム0.1質量%、リン酸ニ水素ナトリウム1質量%を含むpH3.7の75℃に加熱した溶液に10秒間浸漬し、封孔処理を行った。さらに、上記下塗り液(1)を乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布して支持体Bとした。
(2)平版印刷版原版の作製
〔実施例1〕
上記支持体B上に、下記組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成して平版印刷版原版(1)を得た。
画像記録層塗布液(1)は下記感光液(1)およびマイクロカプセル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
感光液(1)
下記のバインダーポリマー(1) 0.162g
下記の重合開始剤(1) 0.100g
下記の赤外吸収染料(1) 0.020g
重合性モノマー
(アロニックスM−215(東亜合成(株)製))0.385g
下記のフッ素系界面活性剤(1) 0.044g
下記のサーモクロミック化合物(1) 0.150g
メチルエチルケトン 1.091g
1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
マイクロカプセル液(1)
下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.640g
水 2.425g
Figure 2005262708
Figure 2005262708
Figure 2005262708
Figure 2005262708
Figure 2005262708
マイクロカプセル(1)の合成
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、下記の赤外線吸収剤(2)0.35g、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成(株)製)1g、およびパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40
℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
〔実施例2〕
サーモクロミック化合物(1)に代えて、サーモクロミック化合物(2)を用いた以外は、実施例(1)と同様にして平版印刷版原版(2)を得た。
Figure 2005262708
〔実施例3〕
上記支持体B上に、下記組成の画像記録層塗布液(2)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成して平版印刷版原版(3)を得た。
画像記録層塗布液(2)
下記の赤外線吸収剤(2) 0.05g
上記の重合開始剤(1) 0.20g
下記のバインダーポリマー(2)(質量平均分子量8万) 0.50g
重合性モノマー 1.00g
(アロニックスM−215(東亜合成(株)製))
ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.02g
上記のフッ素系界面活性剤(1) 0.10g
サーモクロミック化合物(3) 0.20g
メチルエチルケトン 18.0g
Figure 2005262708
Figure 2005262708
Figure 2005262708
〔実施例4〕
サーモクロミック化合物(3)に代えて、サーモクロミック化合物(4)を用いた以外は、実施例(3)と同様にして平版印刷版原版(4)を得た。
Figure 2005262708
〔比較例1〕
サーモクロミック化合物(1)を加えなかった以外は、実施例(1)と同様にして比較
用平版印刷版原版(R−1)を得た。
〔比較例2〕
サーモクロミック化合物(3)を加えなかった以外は、実施例(3)と同様にして比較用平版印刷版原版(R−2)を得た。
(3)検版性、機上現像性および印刷性能評価
上記のようにして得られた平版印刷版原版(1)〜(4)、(R−1)および(R−2)を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には細線チャートを含むようにした。露光後の検版性を、細線チャート焼き出し画像の見えやすさの目視観察で評価した。
この得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業(株)製)とを用い、湿し水とインキを供給した後、毎時6,000枚の印刷速度で印刷を行った。この時、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数により機上現像性を評価した。
さらに印刷を続け、印刷枚数を増やしていくと徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2005262708
上記の結果から明らかなように、本発明のサーモクロミック化合物を用いた平版印刷版原版は、優れた露光後の検版性を有する。

Claims (6)

  1. 支持体上に、赤外光を吸収する光熱変換剤、重合性化合物、重合開始剤およびサーモクロミック化合物を含有する画像記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
  2. 重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、重合開始剤がラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版原版。
  3. サーモクロミック化合物が重合性反応基を有していることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷版原版。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版であって、赤外線レーザー露光によって描画可能であり、かつ現像処理を行うことなく印刷機に装着して印刷可能となることを特徴とする平版印刷版原版。
  5. 該画像記録層が、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像記録層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版を、赤外線レーザーを用いて画像露光する工程、平版印刷版原版を印刷機のシリンダーに取り付けた状態で、画像記録層の未露光部を除去して平版印刷版を製版する工程、および、製版された平版印刷版をシリンダーに取り付けた状態で印刷する工程を含む平版印刷方法。
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