JP2006001183A - 感光性平版印刷版および平版印刷方法 - Google Patents

感光性平版印刷版および平版印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 赤外レーザー走査露光による画像記録が可能であり、現像処理工程を経ないで印刷が可能である、耐刷性に優れると共に耐汚れ性にも優れる感光性平版印刷版、および該感光性平版印刷版を用いる平版印刷方法を提供する。
【解決手段】 アルミニウム板支持体の表面に感光性組成物の層が形成された感光性平版印刷版であって、該アルミニウム板支持体が、陽極酸化処理が施されたその表面に平均高さが15〜45nmであるベーマイトからなる突起状物を有し、更に感光性組成物が、a)親水性熱感受性イオノマーおよびb)赤外線吸収剤を含んでなることを特徴とする感光性平版印刷版、および機上現像を含む平版印刷方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性平版印刷版に関する。詳しくは、コンピュータなどのデジタル信号に基づいて赤外線レーザー光を走査することにより直接製版することができる、いわゆるダイレクト製版可能な感光性平版印刷版であって、露光後、現像処理工程を経ることなく印刷可能な感光性平版印刷版に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる感光性平版印刷版(PS版)が広く用いられている。通常は、感光性平版印刷版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
従来の感光性平版印刷版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、このような付加的に行われる湿式処理を不要化しまたは簡易化することが課題の一つとして挙げられている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっているので、上記課題の解決の要請は一層強くなってきている。
これに対して、簡易な製版方法の一つとして、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の中で行えるような画像記録層を用い、露光後、印刷機上で画像記録層の不要部分を除去し、平版印刷版を得る、機上現像と呼ばれる方法が提案されている。
機上現像の具体的方法としては、例えば、湿し水、インキ溶剤または湿し水とインキとの乳化物に溶解しまたは分散することが可能な画像記録層を有する感光性平版印刷版を用いる方法、印刷機のローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法、湿し水、インキ溶剤などの浸透によって画像記録層の凝集力または画像記録層と支持体との接着力を弱めた後、ローラ類やブランケットとの接触により、画像記録層の力学的除去を行う方法が挙げられる。
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置(通常は自動現像機)を使用し、液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、感光性平版印刷版の赤外線レーザー未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、感光性平版印刷版の赤外線レーザー未露光部分の画像記録層を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
しかしながら、従来の紫外線や可視光を利用する画像記録方式の画像記録層を用いた場合、露光後も画像記録層が定着しないため、例えば、印刷機に装着するまでの間に、露光後の感光性平版印刷版を完全に遮光状態または恒温条件で保存するといった、手間のかかる方法を採る必要があった。
一方、近年、画像情報を、コンピュータを用いて電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で感光性平版印刷版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート技術が注目されてきている。従って、このような技術に適応した感光性平版印刷版を得ることが重要な技術課題の一つとなっている。
上述したように、近年、製版作業の簡素化、乾式化および無処理化は、地球環境への配慮とデジタル化への適合化との両面から、従来にも増して、強く望まれるようになってきている。
最近、波長760〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザーなどの高出力レーザーが安価に入手できるようになってきたことから、デジタル化技術に組み込みやすい走査露光による平版印刷版の製造方法として、これらの高出力レーザーを画像記録手段として用いる方法が有望視されるようになっている。
従来の製版方法では、感光性の感光性平版印刷版に対して、低照度から中照度で像様露光を行い、画像記録層における光化学反応による像様の物性変化によって画像記録を行う。これに対して、上述した高出力レーザーを用いる方法では、露光領域に極短時間に大量の光エネルギーを照射して、光エネルギーを効率的に熱エネルギーに変換させ、その熱により、画像記録層において化学変化、相変化、形態または構造の変化などの熱変化を起こさせ、その変化を画像記録に利用する。従って、画像情報はレーザー光などの光エネルギーによって入力されるが、画像記録は光エネルギーに加えて熱エネルギーによる反応も加味された状態で行われる。通常、このような高パワー密度露光による発熱を利用した記録方式はヒートモード記録と呼ばれ、光エネルギーを熱エネルギーに変えることは光熱変換と呼ばれる。
ヒートモード記録を用いる製版方法の大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光では画像記録層が感光しないこと、および、高照度露光によって記録された画像の定着が必須ではないことにある。つまり、ヒートモード記録に用いられる感光性平版印刷版は、露光前には室内光により感光してしまうおそれがなく、露光後には画像の定着が必須ではない。従って、例えば、高出力レーザーを用いた露光により不溶化しまたは可溶化する画像記録層を用いた機上現像可能な感光性平版印刷版があれば、露光後、たとえ室内の環境光に暴露されても、画像が影響を受けないような印刷システムが可能となる。すなわち、ヒートモード記録を利用すれば、機上現像に好適に用いられる感光性平版印刷版を得ることも可能になると期待される。
しかしながら、画像記録層として実用上有用な従来の感光性記録材料の多くは、感光波長が760nm以下の可視光域にあるため、赤外線レーザーでは画像記録をすることができない。このため、赤外線レーザーで画像記録をすることができる材料が望まれている。
これに対して、例えば、特許文献1には、支持体上に、チオスルフェート基を含むくり返し単位を含む熱感受性ポリマーを含む親水性画像記録層を有する感熱性平版印刷版が記載されている。この親水性画像記録層は、有機色素又はカーボンブラックの微分散物等の赤外吸収物質を導入することによって赤外線に感受性を有し、高照度赤外レーザーに曝露すると、有機色素又はカーボンブラックによって吸収された光は熱に転換されて、このポリマーの物理的な変化(通常は、親水性度又は疎水性度の変動)を促進させ、現像処理することなく印刷機に装着して機上現像でき、ネガ像を提供する通常の印刷版として使用できることが記載されている。
また、特許文献2には、チオスルフェートポリマーなどの親水性熱感受性イオノマーと赤外線を吸収するビス(アミノアリール)ポリメチン色素を含む熱感受性組成物からなる層を有する熱感受性の平版印刷版が機上現像できることが記載されている。
米国特許第5,985,514号明細書 特開2002−356074号公報
しかし、上記技術は商業印刷に耐えるほどの耐刷力を満たしていなかった。本発明はこのことに鑑みてなされたものであって、耐刷性に優れると共に、耐汚れ性にも優れる現像処理工程を経ないで印刷が可能な感光性平版印刷版を提供することを目的とする。また、本発明は、該感光性平版印刷版を用いる平版印刷方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、陽極酸化処理が施されたその表面にベーマイトからなる突起状物を有し、且つ、その平均高さが15〜45nmのものであるアルミニウム板支持体上に特別な現像処理を必要としない感光性組成物として特定の成分を含む場合に、耐刷力が向上するばかりでなく、耐汚れ性も向上可能なことを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.アルミニウム板支持体の表面に感光性組成物の層が形成された感光性平版印刷版であって、該アルミニウム板支持体が、陽極酸化処理が施されたその表面に平均高さが15〜45nmであるベーマイトからなる突起状物を有し、更に感光性組成物が、a)親水性熱感受性イオノマーおよびb)赤外線吸収剤を含んでなることを特徴とする感光性平版印刷版。
2.前記1に記載の感光性平版印刷版を露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷することを特徴とする平版印刷方法。
ここで、特開2000−255177号公報には、陽極酸化処理が施されたその表面にベーマイトからなる突起状物を有し、且つ、その平均高さが15〜45nmのものであるアルミニウム板支持体上に光重合性組成物の層を形成した感光性平版印刷版が、耐刷性が良好で、汚れにくさも優れていることが記載されている。しかしながら、この公報は、光重合性組成物を用い、露光後現像処理を必要とする感光性平版印刷版に関するものであり、本発明のごとき親水性熱感受性イオノマーを用い、しかも露光後現像処理工程を経ないで印刷可能な感光性平版印刷版における上記課題の解決に何ら開示も示唆もしていない。
本発明によれば、赤外レーザー走査露光による画像記録が可能であり、現像処理工程を経ないで印刷が可能である、耐刷性に優れると共に耐汚れ性にも優れる感光性平版印刷版を提供できる。さらに、該感光性平版印刷版を用いる平版印刷方法を提供できる。
本発明の感光性平版印刷版において、アルミニウム板支持体を構成するアルミニウムとは、アルミニウム、又は、アルミニウムと、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル等との合金を意味し、板としての厚さは、通常、0.05〜1mm程度である。
前記アルミニウム板は、本発明の感光性平版印刷版の支持体として、その表面への感光
性組成物の層の形成に先立ち、通常施される、脱脂処理、粗面化処理(砂目立て処理)、デスマット処理、陽極酸化処理等の表面処理が施されたものである。
ここで、脱脂処理は、溶剤を用いて拭き取り、浸漬、又は蒸気洗浄する方法、アルカリ水溶液を用いて浸漬、又は噴霧した後、酸水溶液で中和する方法、界面活性剤を用いて浸漬、又は噴霧する方法等の常法に従い、通常、室温〜80℃程度の温度、1秒〜1分程度の時間でなされる。
又、粗面化処理(砂目立て処理)は、ブラシ研磨法、ボール研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の機械的処理方法、或いは、電解エッチング法、化学エッチング法等の方法により、JIS B0601に規定される平均粗さRa が0.1〜1.5μm程度、好ましくは0.2〜1.0μm程度となるようになされるが、中で、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により電解を行う電解エッチング法によるのが好ましく、その際、0.5〜5質量%程度の酸濃度、20〜200A/dm2 程度の電流密度、10〜40V程度の電圧として、20〜50℃程度の温度で処理されたものが好ましい。
又、デスマット処理は、必要に応じて、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、クロム酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、アルミン酸ナトリウム等のアルカリの0.5〜5質量%程度の水溶液を用いて浸漬、又は噴霧する等の常法に従い、通常、40〜60℃程度の温度、2〜10秒程度の時間でなされる。
又、陽極酸化処理は、通常、硫酸単独、又は硫酸を主体とし、修酸、燐酸、クロム酸、マロン酸等を含む水溶液を電解液とし、アルミニウム板を陽極として電解を行うことによりなされ、その際、1〜80質量%程度、好ましくは1〜50質量%程度の酸濃度、1〜50A/dm2 程度の電流密度、1〜150V程度の電圧として、5〜80℃程度の温度、5秒〜20分程度の電解時間で処理されたものが好ましい。又、これにより形成される酸化皮膜量は、1〜100mg/dm2 、特には10〜50mg/dm2 であるのが好ましい。
又、必要に応じて、各処理の間には、水洗処理が、水道水、地下水等をそのまま、又は軟化して用い、通常、室温〜40℃程度の温度、1秒〜5分程度の時間で、浸漬、又は噴霧等することによりなされる。
本発明の感光性平版印刷版におけるアルミニウム板支持体は、前述の如き表面処理が施されたものであり、その表面にベーマイトからなる突起状物を有し、且つ、その平均高さが15〜45nmのものであることを必須とする。ベーマイトからなる突起状物の平均高さが前記範囲未満では、感光性組成物層のアルミニウム板支持体表面への密着性が不足し耐刷性に劣ることとなり、一方、前記範囲超過では、耐汚れ性が劣ることとなる。
尚、ベーマイト突起状物の前記平均高さは、原子間力顕微鏡(AFM)(島津製作所社製「SPM9500J3」)を用い、1nmの分解能で測定したものである。
ここで、アルミニウム板支持体の表面を前記の如くなす処理法としては、具体的には、例えば、前記陽極酸化処理後に、熱水、水蒸気、酢酸アンモニウム水溶液、亜硝酸ナトリウム水溶液、珪酸ナトリウム水溶液、重クロム酸塩水溶液等を用いて浸漬、又は噴霧する方法が挙げられ、中で、酢酸アンモニウム水溶液、又は亜硝酸ナトリウム水溶液に支持体を浸漬する方法が好ましく、その際、水溶液のpHを水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて調整して、好ましくは7.5〜10、更に好ましくは8.5〜9.5とし、好ましくは70〜100℃、更に好ましくは80〜90℃の温度で、好ましくは5秒〜1分程度の
時間でなされる。pHが低過ぎるか温度が高過ぎると、ベーマイトの突起状物が形成され難い傾向となり、一方、pHが高過ぎるとアルミニウムの溶解が発生する傾向となり、又、温度が高過ぎるとベーマイト突起状物の高さのコントロールが困難となる傾向となる。更に、この浸漬処理後、好ましくは、pH7〜8、70〜100℃の温度の熱水で、1秒〜1分程度の時間洗浄するのが好ましい。
尚、これらの処理は、アルミニウム板支持体の表面に、陽極酸化処理によって形成させた酸化アルミニウム皮膜の活性点を潰して安定な酸化皮膜とすることを意図してなされる封孔処理条件と一部重複し、該封孔処理によって水和酸化物としてのベーマイトが形成される(Al2 3 +H2 O→2AlOOH)ことも知られているが、本発明の規定するベーマイト突起状物の平均高さが、感光性組成物層を有する機上現像型の感光性平版印刷版における耐刷性と耐汚れ性の両立に影響を及ぼすことは、予期し得ぬことであった。
続いて感光性組成物について説明する。
本発明の感光性組成物は、a)親水性熱感受性イオノマーおよびb)赤外線吸収剤を含んでなることを特徴とする。
ここで、用語「イオノマー」は、本明細書で用いる場合、反復単位の少なくとも15モル%がマイナス又はプラスに帯電した荷電ポリマーをいう。これらのイオノマーを、以下の説明において、一般的に「荷電ポリマー」と称する。
本発明の画像形成部材は多くの利点を有し、従来の印刷版の問題点を解決する。その印刷面の曝露領域の親水性を低くする(即ち、加熱したとき、より疎水性となる)ように「スイッチする」(好ましくは、不可逆的に)ことによって、感光性組成物の層(以下では、感光層ともいう。)の親水性度が像様に変更されるので、特に、アブレーション画像形成に伴う問題点(即ち、表面層の像様除去)が避けられる。従って、像形成時及び像形成後も感光層は無傷のまま(即ち、アブレーションは生じない)である。
ポリマー主鎖内にあるか又はそれに化学的に結合されている反復イオン性基を有する親水性熱感受性ポリマーを用いることによってこれらの利点が達成される。そのようなポリマー及び基を以下さらに具体的に説明する。当該感光層に用いられるポリマーは、本明細書に記載する手順を用いて容易に調製され、本発明の画像形成部材は作製が簡単で、後画像湿式処理を必要としないで使用される。本発明の該画像形成部材から形成される印刷部材は一般的に本来ネガ型である。
本発明の実施に用いられる有機オニウム又はチオスルフェートポリマー等の荷電ポリマーは、一般的に、水及びこれらの水溶性ポリマー塩類を容易に溶解するメタノール等の溶剤からコートされる。
本発明の実施に有用な荷電ポリマー(イオノマー)は次の4種類の広範囲のクラスの材料となることができる:
I)正電荷を有する、ペンダントN−アルキル化された芳香族複素環式基を有する反復単位を含んでなる架橋性又は非架橋性ビニル系ポリマー、II)反復有機オニウム基を含む架橋性又は非架橋性ポリマー、及びIII)ペンダントチオスルフェート(Bunte Salt)基を含むポリマー、及びIV) アリールジアゾスルホン酸塩単位および/またはアリールトリアゼニルスルホン酸塩単位を含むポリマー。
各クラスのポリマーを次に説明する。感光性組成物の層は各クラス由来のポリマーの混合物、又は2種類以上のクラスの1種以上のポリマーの混合物を含むことができる。
[クラス1のポリマー]
クラス1のポリマーは、一般的に、少なくとも1000の分子量を有し、正荷電基の要件を有する多種多様の親水性ビニルホモポリマー及びコポリマーとなることができる。これらは通常の重合技法を用いてエチレン系不飽和重合性モノマーから調製される。好ましくは、これらのポリマーは、2種以上のエチレン系不飽和重合性モノマーから調製されるコポリマーであって、その少なくとも1種は所望のペンダント正荷電基を含有し、他のモノマーは、他の特性、例えば、架橋部位及び支持体に接着できる可能性等を提供することができる。これらのクラスの全てのポリマーを調製するのに必要な手順及び反応物は周知である。本明細書において提供する追加の技法を用いることによって、好適なカチオン基を結合させるために、当業者は既知のポリマー反応物及び条件を変えることができる。
カチオン基が存在すると、ある様式で熱に曝露された領域では、その際カチオン基がその対イオンと反応して、親水性から疎水性にする感光層の「スイッチング」を明らかに提供又は促進する。正味の結果は電荷を失うことである。アニオンがより求核性及び/又はより塩基性であると、そのような反応はさらに容易に達成される。例えば、一般的に酢酸アニオンは塩化物アニオンよりも反応性が高い。アニオンの化学的性質を変えることによって、熱感受性ポリマーの反応性を変えて、十分な周囲保存期間とバランスする所定の条件(例えば、レーザーハードウェア及び出力、並びに印刷機が必要とする条件)に最適な画像解像度を提供することができる。有用なアニオン類には、ハロゲン化物、カルボキシレート、スルフェート、ボレート及びスルホネートが含まれる。代表的なアニオン類には、クロリド、ブロミド、フルオリド、酢酸塩、テトラフルロボレート、ホルメート、スルフェート、p−トルエンスルホネート及び当業者に容易に明らかとなるその他のものが含まれるが、これらに限定されない。ハロゲン化物及びカルボキシレートが好ましい。
芳香族カチオン基は、上述の熱活性反応が、画像形成された印刷層にとって望ましい疎水性を提供するように、十分に当該ポリマーの反復単位中に存在する。当該基をポリマーの主鎖に沿って結合させてもよく、ポリマー網状構造の一つ以上の分枝鎖に結合させてもよく、またその両方でもよい。当該芳香族基は一般的に、環中に5〜10個の炭素、窒素、イオウ又は酸素原子(少なくとも一つは正電荷を有する窒素原子)を含んでなり、分枝を有するか又は有してない、置換又は非置換のアルキル基が結合されている。従って、芳香族複素環式基を含む反復単位を次の構造式Iによって表すことができる:
Figure 2006001183
式中、R1は、分枝を有するか又は有していない、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、メトキシメチル、ベンジル、ネオペンチル及びドデシル)である。好ましくは、R
1は、置換又は非置換の、分枝を有するか又は有していない炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、置換又は非置換のメチル基である。
2は、置換又は非置換のアルキル基(例えば、上記定義のもの、さらには、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基)、炭素数1〜6の置換又は非置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、オキシメチルメトキシ、n−プロポキシ及びブトキシ)、環中に炭素原子6〜14個を有する置換又は非置換のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アンスリル、p−メトキシフェニル、キシリル、及びアルコキシカルボニルフェニル)、炭素数2〜10の置換又は非置換のアルケニル基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子及び臭素原子)、環中に炭素原子5〜8個を有する置換又は非置換のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル及び4−メチルシクロヘキシル)、又は環中に少なくとも1つの窒素、イオウ又は酸素原子を含む環に炭素原子5〜8個を有する置換又は非置換の複素環式基(例えば、ピリジル、ピリジニル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロピラニル)である。好ましくは、R2は、置換又は非置換のメチル、エチル、又はn−プロピル基である。
Z"は、ポリマー主鎖に結合する5員〜10員(好ましくは、5員〜6員)の芳香族N−複素環を完成するのに必要な、炭素及び追加の窒素、酸素、又はイオウ原子を表す。従って、当該環は、環中に複数の窒素原子を含む(例えば、N−アルキル化されたジアジニウム又はイミダゾリウム基)か、又はN−アルキル化された窒素含有縮合環系(これらに限定されないが、例えば、ピリジニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、アクリジニウム、フェナントラジニウム及び当業者に容易に明らかなその他のものを含む)を含むことができる。
-は、上述したような好適なアニオンである。酢酸イオン及び塩化物イオンが最も好ましいアニオンである。また、構造式Iで、nは0〜6であり、好ましくは0又は1である。最も好ましくは、nは0である。芳香族複素環は環上の任意の位置でポリマー主鎖に結合されることができる。好ましくは、環中に5又は6個の原子があり、その1つ又は2つは窒素である。従って、N−アルキル化された窒素含有芳香族基は、好ましくは、イミダゾリウム又はピリジニウムであり、最も好ましくは、イミダゾリウムである。
公知の手順及び条件を用いて、未アルキル化窒素含有複素環式単位を有する前駆体ポリマーと適当なアルキル化剤(例えば、アルキルスルホネートエステル、アルキルハライド及び当業者に容易に明らかな他のもの)とを反応させることによって、カチオン性芳香族複素環を含有する反復単位を提供することができる。
好ましいクラスIのポリマーは、以下に記載するように1種又はそれ以上のモノマーから誘導されるランダム反復単位を表す次の構造式IIで表すことができる
Figure 2006001183
式中、XはN−アルキル化された窒素含有芳香族複素環式基(HET+で表す)が結合する反復単位を表し、Yは種々の架橋機構(以下に説明する)を用いて架橋するための活性部位を提供することができるエチレン系不飽和重合性モノマー由来の反復単位を表し、そしてZは追加のエチレン系不飽和重合性モノマー由来の反復単位を表す。W-は、上述したようなアニオンである。xが約20〜100モル%であり、yが約0〜約20モル%であり、そしてzが0〜80モル%で表されるように、種々の反復単位は好適な量で存在する。好ましくは、xは約30〜約98モル%であり、yは約2〜約10モル%であり、そしてzは0〜約68モル%である。
このポリマーの架橋においては、種々の方法で架橋を提供することができる。当業者になじみのある多くの架橋モノマー及び架橋方法が存在する。
架橋性基又は活性架橋性部位(即ち、エポキシドのような架橋性添加物のための結合点としてはたらくことができる基)を有するモノマーを、上記の他のモノマーと共重合させることができる。そのようなモノマーには、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート又はメタクリレート、シンナモイルアクリレート又はメタクリレート、N−メトキシメチルメタクリルアミド、塩酸N−アミノプロピルアクリルアミド、アクリル又はメタクリル酸、及びヒドロキシエチルメタクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
上記構造式IIの「Z」によって表される反復単位を提供する追加のモノマーには、親水性感光性組成物の層に所望の物性又は印刷特性を提供することができる、いずれの有用な親水性又は親油性エチレン系不飽和重合性モノマーも包含する。そのようなモノマーには、アクリレート、メタクリレート、イソプレン、アクリロニトリル、スチレン及びスチレン誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル又はメタクリル酸、及びビニルハライドが含まれるが、これらに限定するものではない。
代表的なクラスIのポリマー及びその調製方法は例えば米国特許第6,190,831号(Leon等)明細書に記載されている。それらのポリマーの混合物も用いることができる。
[クラスIIのポリマー]
クラスIIのポリマーも、一般的に少なくとも1000の分子量を有する。これらのポリマーは、多種多様のビニル系又は非ビニル系のホモポリマー及びコポリマーとなることができる。クラスIIの非ビニル系ポリマーには、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミド−エステル、ポリアリーレンオキシド及びそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリキシリレン及びそれらの誘導体、シリコン系ゾルゲル(ゾルセスキオキサン)、ポリアミドアミン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリ(エチルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)イオノマー、ポリスルフィド及びポリベンゾイミダゾールが
含まれるが、これらに限定されない。
好ましくは、そのような非ビニル系ポリマーはシリコン系ゾルゲル、ポリアリーレンオキシド、ポリ(フェニレンスルフィド)イオノマー、又はポリキシリレンであり、最も好ましくは、ポリ(フェニレンスルフィド)イオノマーである。これらのクラスのポリマーを調製するのに必要な手順及び反応物は全て周知である。本明細書において提供する追加の教示を用いることによって、好適なカチオン性有機オニウム部分を組み込むか結合させるために、当業者は既知のポリマー反応物及び条件を変えることができる。
本発明に有用なシリコン系ゾルゲルを、ジ−、トリ−又はテトラアルコキシシラン由来のシリコンコロイドを含有する架橋ポリマーマトリックスとして調製することができる。 これらのコロイドは、米国特許第2,244,325号(Bird)、同2,574,902号(Bechtold等)、及び同2,597,872号(Her)明細書に記載されている方法で作成することができる。そのようなコロイドの安定分散物は、通常、例えば、DuPont社等の会社から購入することができる。 好ましいゾルゲルは、架橋剤及びポリマー層形成材料として両方とも、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムアセテートを用いる。
いくつかの様式でポリマー中に化学的に導入された有機オニウム部分が存在すると、熱を発生又は提供するエネルギーに曝露すると、その際カチオン部分がその対イオンと反応して、曝露領域を親水性から親油性にする感光層の「スイッチング」を明らかに提供又は促進する。正味の結果は電荷を失うことである。クラスIポリマーのところで記載したように、有機オニウム部分のアニオンがより求核性及び/又はより塩基性であると、そのような反応はさらに容易に達成される。
ポリマー内の有機オニウム部分を、トリ置換されたイオウ部分(有機スルホニウム)、テトラ置換された窒素部分(有機アンモニウム)、又はテトラ置換されたリン部分(有機ホスホニウム)から選ぶことができる。テトラ置換された窒素(有機アンモニウム)部分が好ましい。この部分をポリマー主鎖に化学的に結合させる(即ち、側基)か、好適な対イオンを伴って、いくつかの様式でポリマー主鎖に導入することができる。いずれの態様においても、上述の熱活性反応が起きて感光層に所望の疎水性度を提供するように、十分なポリマーの反復単位(少なくとも20モル%)中に存在する。
側基として化学的に結合させる場合、有機オニウム部分をポリマーの主鎖に沿って結合してもよく、ポリマー網状構造の一つ以上の分枝鎖に結合してもよく、またその両方でもよい。ポリマー主鎖内に化学的に導入する場合、当該部分は環式又は非環式形態で存在することができ、ポリマー網状構造の分岐部分を形成することもできる。好ましくは、当該有機オニウム部分をポリマー主鎖の側基として提供する。ポリマー形成の後に、ポリマー主鎖にペンダント有機オニウム部分を化学的に結合させることができ、又はポリマー上の官能基を公知の化学試薬を用いて有機オニウム部分に変換することもできる。例えば、第三級アミン求核性試薬による「離脱基」官能性(例えば、ハロゲン)の転位によってポリマー主鎖上に、側基の第四級アンモニウム基を与えることができる。あるいは、有機オニウム部分は、ポリマーに既に導入されている中性ヘテロ原子単位(三価の窒素基もしくはリン基又は二価のイオウ基)のアルキル化によって、後に重合又は誘導されるモノマー上に存在することもできる。
有機オニウム部分は正電荷を与える置換基である。各置換基は、有機オニウム部分のイオウ、窒素又はリン原子に直接結合される少なくとも一つの炭素原子をもたねばならない。有用な置換基には、炭素数1〜12(好ましくは、炭素数1〜7)の置換又は非置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、メトキシエチル、イソプロポキシメチル)、置換又は非置換のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、p−メチルフェニル、m−メトキシフェニル、p−クロロフェニル、p−メチルチオフェニル、p−N,N−ジメチルアミノフェニル、キシリル、メトキシカルボニルフェニル及びシアノフェニル)、並びに炭素環中に炭素原子5〜8個を有する置換又は非置換のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル及び3−メチルシクロヘキシル)が含まれるが、これらに限定されない。他の有用な置換基は当業者に容易に明らかであり、記載した置換基の任意の組合せも考えられる。
有機オニウム部分は、クラスIのポリマーのところで記載したように好適なアニオンを含む。ハロゲン化物及びカルボキシレートが好ましい。代表的なクラスIIモノマー及びその調製方法は、上述の米国特許第6,190,831号明細書に記載されている。これらのポリマーの混合物も用いることができる。
さらにビニルクラスIIポリマーを本発明の実施に用いることができる。非ビニルポリマーと同様、そのような熱感受性ポリマーは、1種又はそれ以上の種類の有機オニウム基を有する反復単位から構成される。例えば、そのようなポリマーは、有機アンモニウム基及び有機スルホニウム基の両方を含む反復単位を有することができる。有機オニウム基の全てが同じアルキル置換基を有する必要もない。例えば、ポリマーは2種以上の有機アンモニウム基を含む反復単位を有することができる。これらのポリマーでの有用なアニオンは非ビニルポリマーのところで記載したものと同じである。ハロゲン化物とカルボキシレート類が好ましい。
有機オニウム基は、上述の熱活性反応が起きて、画像形成された印刷層にとって望ましい疎水性度を提供するように、十分に当該ポリマーの反復単位中に存在する。当該基をポリマーの主鎖に沿って結合させてもよく、ポリマー網状構造の一つ以上の分枝鎖に結合してもよく、またその両方でもよい。公知の試薬を用いるポリマー形成の後にこのポリマー主鎖に側基を化学的に結合させることができる。例えば、三価アミン、二価イオウ又は三価リン求核性試薬による、ポリマー主鎖上でのペンダント離脱基(例えば、ハロゲン化物又はスルホネートエステル)の求核置換によって、ポリマー主鎖上に、側基の有機アンモニウム基、有機ホスホニウム基又は有機スルホニウム基を与えることができる。また、アルキルスルホネートエステル又はアルキルハロゲン化物等の通常用いられるアルキル化剤を用いて、対応する側基の中性ヘテロ原子基(窒素、イオウ又はリン)をアルキル化することによっても側基のオニウム基を提供することができる。あるいは、所望の有機アンモニウム基、有機ホスホニウム基又は有機スルホニウム基を含有するモノマー前駆体を重合させて所望のポリマーを得ることもできる。
ビニルポリマー中の有機アンモニウム基、有機ホスホニウム基又は有機スルホニウム基が所望の正電荷を提供する。一般的に、好ましい側基の有機オニウム基は、次の構造式III、IV及びVで表すことができる。
Figure 2006001183
上式中、Rは当該鎖と共に1種以上のオキシ、チオ、カルボニル、アミド又はアルコキシカルボニル基も含むことができる炭素数1〜12の置換又は非置換のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、イソプロピレン、メチレンフェニレン、メチレンオキシメチレン、n−ブチレン及びへキシレン)、環中に炭素原子6〜10個を有する置換又は非置換のアリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン、キシリレン及び3−メトキシフェニレン)、又は環中に炭素原子5〜10個を有する置換又は非置換のシクロアルキレン基(例えば、1,4−シクロへキシレン、及び3−メチル−1,4−シクロへキシレン)である。
さらに、Rは定義した置換又は非置換のアルキレン、アリーレン及びシクロアルキレン基の2種もしくはそれ以上の組合せとなることができる。好ましくは、Rは置換又は非置換のエチレンオキシカルボニルもしくはフェニレンメチレン基である。ここに記載されていない他の有用な置換基には、当業者に容易に明らかなように、上掲の任意の基の組合せも含むことができる。
3、R4及びR5は、独立に、炭素数1〜12の置換又は非置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、ベンジル、メチレンカルボアルコキシ、及びシアノアルキル)、炭素環中に炭素原子6〜10個を有する置換又は非置換のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、キシリル、p−メトキシフェニル、p−メチルフェニル、m−メトキシフェニル、p−クロロフェニル、p−メチルチオフェニル、p−N,N−ジメチルアミノフェニル、メトキシカルボニルフェニル及びシアノフェニル)、又は炭素環中に炭素原子5〜10個を有する置換又は非置換のシクロアルキル基(例えば、1,3−又は1,4−シクロへキシル)である。
あるいは、R3、R4及びR5の任意の2つを併せて、荷電したリン、イオウ又は窒素原子とともに置換又は非置換の複素環を形成することができ、この環は環中に4〜8個の、炭素、窒素、リン、イオウ又は酸素原子を有する。そのような複素環には、構造式Vの場合、置換又は非置換の、モルホリニウム、ピペリジニウム及びピロリジニウム基を含むがこれらに限定されない。当業者に容易に明らかなこれらの種々の基に有用な他の置換基、及び特に記載した置換基の任意の組合せも考えられる。
好ましくは、R3、R4及びR5は独立に、置換又は非置換のメチルもしくはエチル基である。W-は、クラスIのポリマーのところで記載したような任意の好適なアニオンである。酢酸塩及び塩化物が好ましいアニオンである。本明細書に記載したような第四級アンモニウム基を含有するポリマーが最も好ましいビニルクラスIIポリマーである。
本発明の実施に有用なビニルクラスIIポリマーを、以下に記載するように1種又はそれ以上のモノマーに由来するランダム反復単位を表す次の構造式VIによって表すことができる。
Figure 2006001183
上式中、X'は有機オニウム基(ORG)が結合された反復単位を表し、Y'は種々の架橋機構(以下に説明する)を用いて架橋するための活性部位を提供することができるエチレン系不飽和重合性モノマー由来の反復単位を表し、そしてZ'は追加のエチレン系不飽和重合性モノマー由来の反復単位を表す。x'が約20〜約99モル%であり、y'が約1〜約20モル%であり、そしてz'が0〜約79モル%で表されるように、種々の反復単位は好適な量で存在する。好ましくは、x'は約30〜約98モル%であり、y'は約2〜約10モル%であり、そしてz'は0〜約68モル%である。
ビニルポリマーの架橋を、クラスIポリマーのところで記載したのと同じ方法で達成することができる。構造式VIのZ'で表される追加の反復単位を提供する追加のモノマーには、感光層に所望の物性又は印刷特性を提供することができる有用な親水性又は親油性のエチレン系不飽和重合性モノマーが含まれる。そのようなモノマーには、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、イソプレン、スチレン及びスチレン誘導体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸、並びにハロゲン化ビニルが含まれるが、これらに限定するものではない。
クラスIIの代表的なビニルポリマーは、米国特許第6,190,830号(Leon等)明細書にも記載されている。これらのポリマーの任意の2つまたはそれ以上の混合物も用いることができる。
[クラスIIIのポリマー]
クラスIIIのポリマーはそれぞれ少なくとも1000,好ましくは5000の分子量を有する。例えば、ポリマーは、公知の重合技法及び反応物を一緒に用いて反応する1種又はそれ以上のエチレン系不飽和重合性モノマーから調製されるビニルホモポリマー又はコポリマーとなることができる。あるいは、ポリマーは、公知の重合技法及び反応物を一緒に用いて反応する1種又はそれ以上の複素環式モノマーから調製される付加ホモポリマー又はコポリマー(例えば、ポリエーテル)となることができる。さらには、このポリマーは、公知の重合技法及び反応物を用いて調製される縮合タイプのポリマー(例えば、ポリ
エステル、ポリイミド、ポリアミド又はポリウレタン)となることができる。どのタイプのポリマーであっても、ポリマー中の総反復単位の少なくとも15モル%(好ましくは、20モル%)は、必要な熱活性可能なチオスルフェート基を含む。
本発明の実施に有用なクラスIIIポリマーを、チオスルフェート基(即ち、Bunte Salt)がペンダント基である構造式VIIによって表すことができる。
Figure 2006001183
上式中、Aはポリマー主鎖を表し、R6は二価の連結基であり、そしてY1は水素又はカチオンである。
有用なポリマー主鎖には、ビニルポリマー類、ポリエーテル類、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリウレタン類及びポリエステル類が含まれるが、これらに限定するものではない。好ましくは、このポリマー主鎖はビニルポリマー又はポリエーテルである。
有用なR6連結基には、−(COO)p(Z1m−が、含まれ、ここで、pは0又は1、mは0又は1、そしてZ1は鎖中に1つ以上の酸素、窒素又はイオウ原子を有することができる炭素数1〜6の置換もしくは非置換のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、2−ヒドロキシプロピレン、及び2−ヒドロキシ−4−アザへキシレン)、芳香環中に炭素原子を6〜14個有する置換もしくは非置換のアリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン、アントラシレン、及びキシリレン)、又は鎖中に炭素原子を7〜20個有する置換もしくは非置換のアリーレンアルキレン(又はアルキレンアリーレン)基(例えば、p−メチレンフェニレン、フェニレンメチレンフェニレン、ビフェニレン、及びフェニレンイソプロピレンフェニレン)である。さらにR6はこのZ1で規定したようなアルキレン基、アリーレン基及びアリーレンアルキレン基となることができる。
好ましくは、R6は炭素数1〜3の置換又は非置換のアルキレン基、芳香環中に炭素原子を6個有する置換又は非置換のアリーレン基、鎖中に炭素原子を7又は8個有するアリーレンアルキレン基、又は−COOZ1−(ここで、Z1はメチレン、エチレン、又はフェニレン)である。最も好ましくは、R6はフェニレン、メチレン、又は−COO−である。
1は、水素、アンモニウムイオン、又は金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、セシウム、バリウム、亜鉛、又はリチウムイオン)である。
チオスルフェートは一般的に主鎖に対する側基であるので、好ましくは、それは通常の技法で重合させて、チオスルフェート含有反復単位のビニルホモポリマー、又はビニルコポリマー(1種以上の追加のエチレン系不飽和重合性モノマーと共重合させた場合)を形成することができるエチレン系不飽和重合性モノマーの一部である。このチオスルフェート含有反復単位は一般的にポリマー中の総反復単位の少なくとも15%、好ましくは総反復単位の約20〜100%を構成する。ポリマーは本明細書で記載するようなチオスルフェート基を有する2種以上の反復単位を含むことができる。
上述のチオスルフェート基を有するポリマーが架橋して、加熱で親水性チオスルフェートから(スルフェートを失って)疎水性ジスルフィドにスイッチすると考えられる。
チオスルフェート含有分子(又はBunte Salt)を、BunteのChem.Ber. 7, 646,1884に教示されるように、ハロゲン化アルキルとチオスルフェート塩との反応から調製することができる。チオスルフェート基を有するポリマーを、官能性モノマーから調製しても、プリフォームドポリマーから調製してもよい。
代表的なエチレン系不飽和重合性モノマー、クラスIIIポリマー及びそれらの調製方法は、上述の米国特許第5,985,514号明細書に記載されている。
ポリマーの化学特性もしくは官能性を変えるため、画像部材の特性を最適化するため、又は追加の架橋能力を導入するために、チオスルフェート官能基を有するモノマーと1種以上の別のエチレン系不飽和重合性モノマーとを共重合させてビニルポリマーを調製することができる。
有用な追加のエチレン系不飽和重合性モノマーには、アクリレート(メタクリレートを含む)、例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びt−ブチルメタクリレート、アクリルアミド(メタクリルアミドを含む)、アクリロニトリル(メタクリロニトリルを含む)、ビニルエーテル、スチレン、酢酸ビニル、ジエン類(例えば、エチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン及びイソブチレン)、ビニルピリジン、及びビニルピロリドンが含まれるが、これらに限定されない。アクリルアミド、アクリレート、及びスチレンが好ましい。
[クラスIVのポリマー]
クラスIVのポリマーはアリールジアゾスルホン酸塩単位および/またはアリールトリアゼニルスルホン酸塩単位を有する重合体である。好ましくは、下記の構造式VIIIに相当するアリールジアゾスルホン酸塩単位および/または構造式IXに相当するアリールトリアゼニルスルホン酸塩単位を有する重合体である。
Figure 2006001183
式中、R0,1,2は各々独立して水素、アルキル基、ニトリル基またはハロゲン基を表し、Lは2価の結合基を表し、nは0または1を表し、Aはアリール基を表し、そしてMはカチオンを表す。
Lは好ましくは−(X)t−CONR3−、−(X)t−COO−、−X−および−(X)t−CO−よりなる群から選択される2価の結合基を表し、ここでtは0または1を表し、R3は水素、アルキル基またはアリール基を表し、Xはアルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、アルキレンチオ基、アリーレンチオ基、アルキレンアミノ基、アリーレンアミノ基、酸素、硫黄またはアミノ基を表す。
Aは好ましくは未置換のアリール基、例えば未置換のフェニル基、または1個もしくはそれ以上のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基もしくはアミノ基で置換されたアリール基、例えばフェニル、を表す。
Mは好ましくはカチオン、例えばNH4 +、または金属イオン、例えばAl、Cu、Zn、アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属のカチオンを表す。
Figure 2006001183
式中、R0,1,2、L、A、nは構造式VIIIと同義であり、そしてR4およびR5は独立して水素、複素環式基、脂肪族基、芳香族基または脂環式基を表し、そしてR4およびR5の少なくとも1つはスルホン酸塩の基で置換されている。
代表的なクラスIVのポリマーおよびその合成方法は、特開2003−76021号公報に記載されている。
本発明の感光層は、1種以上のタイプI、II、IIIまたはタイプIVポリマーを含むことができ、少量(層の総乾燥重量に対して20質量%未満)の、その画像形成特性に悪影響を与えない追加のバインダーもしくはポリマー材料を含んでもよいし、含まなくてもよい。
次のポリマーは本発明の実施に有用な例である。ポリマー1,3〜6はクラスIポリマーの具体例である。ポリマー2はポリマー3の前駆体である。ポリマー7〜8及び10は、クラスIIの非ビニルポリマーの具体例である。ポリマー9はポリマー10の前駆体である。ポリマー11〜18はクラスIIのビニル彫マーの具体例である。ポリマー19、22、24〜26、28及び29はクラスIIIの具体例である。ポリマー30及び31はクラスIVの具体例である。
ポリマー1:ポリ(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウムクロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩)
ポリマー2:ポリ(メチルメタクリレート−コ−4−ビニルピリジン(モル比9:1)
ポリマー3:ポリ(メチルメタクリレート−コ−N−メチル−4−ビニルピリジニウムホルメート)(モル比9:1)
ポリマー4:ポリ(メチルメタクリレート−コ−N−ブチル−4−ビニルピリジニウムホルメート)(モル比9:1)
ポリマー5:ポリ(メチルメタクリレート−コ−2−ビニルピリジン)(モル比9:1)
ポリマー6:ポリ(メチルメタクリレート−コ−N−メチル−2−ビニルピリジニウムホルメート)(モル比9:1)
ポリマー7:ポリ(p−キシリデンテトラヒドロ−チオフェニウムクロリド)
ポリマー8:ポリ[フェニレンスルフィド−コ−メチル(4−チオフェニル)スルホニウムクロリド]
ポリマー9:臭素化されたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)
ポリマー10:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)のジメチルスルホニウムブロミド誘導体
ポリマー11:ポリ[メチルメタクリレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタクリル酸クロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩](モル比7:2:1)
ポリマー12:ポリ[メチルメタクリレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタクリル酸アセテート−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド](モル比7:2:1)
ポリマー13:ポリ[メチルメタクリレート−コ−2−トリメチルアンモニウムメチルメタクリル酸フルオリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩](モル比7:2:1)
ポリマー14:ポリ[ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩](モル比19:1)
ポリマー15:ポリ[ビニルベンジルトリメチル−ホスホニウムアセテート−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩](モル比19:1)
ポリマー16:ポリ[ジメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスルホニウムクロリド−コ−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩](モル比19:1)
ポリマー17:ポリ[ビニルベンジルジメチルスルホニウムメチルスルフェート]
ポリマー18:ポリ[ビニルベンジルジメチルスルホニウムクロリド]
ポリマー19:ポリ(クロロメチル−エチレンオキシド−コ−チオ硫酸ナトリウムメチル−エチレンオキシド)
ポリマー22:ポリ(ビニルベンジルチオスルフェートナトリウム塩−コ−メチルメタ
クリレート)
ポリマー24:ポリ[ビニルベンジルチオスルフェートナトリウム塩−コ−N−(3−
アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩]
ポリマー25:ポリ(ビニルベンジルチオスルフェートナトリウム塩)
ポリマー26:ポリ(2−チオ硫酸ナトリウム−エチルメタクリレート)
ポリマー28:ポリ(2−ヒドロキシ−3−チオ硫酸ナトリウム−プロピルメタクリレート−コ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート
ポリマー29:ポリ(4−アザ−2−ヒドロキシ−6−チオ硫酸ナトリウム−ヘキシルメタクリレート)
ポリマー30:ポリ(メタクリロイルアミノフェニルジアゾスルホン酸ナトリウム−コ−メタクリル酸メチル)
ポリマー31:ポリ(メタクリロイルアミド−2−(3−フェニル−1−メチル−2−トリアゼニル)エタンスルホン酸ナトリウム−コ−メタクリル酸メチル)
本発明の感光性組成物では、荷電ポリマーの量は一般的に少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも2質量%(固形分%)の量で存在する。組成物中の荷電ポリマーの実施上の上限は、約10質量%である。
感光層に用いられる荷電ポリマー(複数でもよい)の量は、一般的に、少なくとも0 .1g/m2、好ましくは約0.1〜約10g/m2(乾量)である。これによって、 一般的に、約0.1〜約10μmの平均乾燥厚が与えられる。
本発明の感光性組成物は赤外線吸収剤を含有する。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。赤外線吸収剤を含有することにより、熱感受性イオノマーの反応を促進できる。本発明に用いることができる赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)などの文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号などの公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号などの公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号などの公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭5
8−112792号などの公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料などを挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩などや特公平5−13514号、同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうちより好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。さらに、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい一つの例として下記一般式(X)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2006001183
一般式(X)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1または以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2006001183
1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環およびナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(X)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(X)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、好ましい他の例としてさらに、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素を挙げることができる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックなどが使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネートなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1〜1μmの範囲にあることが好ましい。この範囲で、顔料分散物の画像記録層塗布液中での良好な安定性と画像記録層の良好な均一性が得られる。
顔料を分散する方法としては、インキ製造やトナー製造などに用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダーなどが挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明に特に有用な赤外線吸収剤は、ビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素である。このクラスのポリメチン色素は公知であって、Tuemmler等の、J. Am. Chem. Soc. 80, 3772(1958)、Lorenz等の、Helv. Chem. Acta. 28,600, (1945)、米国特許第2,813,802号(Ingle等)、米国特許第2,992,938号(McCarville)、米国特許第3,099,630号(Wildi等)、米国特許第3,275,442号(Kosenkranius)、米国特許第3,436,353号(Dreyer等)、米国特許第4,547,444号(Bell等)、米国特許第4,950,639号(DeBoer等)、米国特許第5,135,842号(Kitchin等)、及び欧州特許出願公開公報第0652483号(Ellis等)の各明細書に記載されている。
ビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素が、水又は以下に記載する感光性組成物の調製に有用な水混和性有機溶剤に可溶性であることも必要である。好ましくは、IR色素は、水、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、又はこれらの溶剤の混合物に可溶性である。水又は水混和性有機溶剤における可溶性とは、ビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素が、室温で少なくとも0.5g/Lの濃度で溶解されることを意味する。
ビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素は、電磁スペクトルの近赤外及び赤外領域の輻射線に対して感受性を有する。従って、それらは一般的に700nmのところより長いλmax(好ましくは、約750〜約900nmのλmax、より好ましくは、約800〜約850nmのλmax)を有する。
本発明に有用なビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素は、一般的に、一方が正に帯電した2つのアミノアリール基と共役のポリメチン鎖を有するカチオン性色素である。 そのような色素の構造は、当業者に容易に理解できるように多様である。当業者は、好適な溶剤に可溶性であって、メチン結合の長さ、それに結合されている基の好適な組合せによって提供される適当なλmaxを有する有用なビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素を合成することができるであろう。例えば、一般的に、有用なビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素は、共役鎖中に少なくとも2つの炭素=炭素二重結合を含むメチン結合を有する。好ましくは、メチン結合は共役鎖中に少なくとも3つの炭素=炭素二重結合を有する。
本発明の実施に特に有用なビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素には、次式のDYE Iによって表される化合物が含まれるが、これに限定されない。
Figure 2006001183
上式中、R1'、R2'、及びR3'は、それぞれ独立に、水素、又はハロ、シアノ、置換もしくは非置換のアルコキシ(炭素数1〜8、直鎖及び分枝鎖アルコキシ基の両方)、置換もしくは非置換のアリールオキシ(炭素環中に6〜10個の炭素原子を有する)、置換もしくは非置換のアシルオキシ(炭素数2〜6)、カルバモイル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のアシルアミド、置換もしくは非置換のアルキルアミノ(少なくとも1つの炭素原子を有する)、置換もしくは非置換の炭素環式アリール基(芳香環中に炭素原子6〜10個を有する、フェニル及びナフチル基等)、置換もしくは非置換のアルキル基(炭素数1〜8、直鎖及び分枝鎖イソマーの両方)、置換もしくは非置換のアリールアミノ、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール(環中に少なくとも5個の炭素及びヘテロ原子を有する)基を表す。あるいは、R1'、R2'、及びR3'の任意の2つは、一緒に結合するか、又は隣接する芳香環と結合して、5員〜7員の置換又は非置換の炭素環又は複素環となることができる。
好ましくは、R1'、R2'、及びR3'は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは非置換の炭素環式アリール基、及び置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、より好ましくは、それらは独立に水素又は置換フェニル基である。
4'、R5'、R6'、及びR7'は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは非置換のアルキル基(炭素数1〜10)、置換もしくは非置換のシクロアルキル基(環中に炭素原子4〜6個有する)、置換もしくは非置換のアリール基(環中に炭素原子少なくとも6個有する)、又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基(環中に5〜10個の炭素及びヘテロ原子を有する)を表す。
あるいは、R4'及びR5'又はR6'及びR7'は、一緒に結合して置換もしくは非置換の5員〜9員の複素環を形成することができ、あるいはR4'、R5'、R6'、又はR7'は、アニリノ窒素の結合位置に対してオルトの位置で隣接する芳香環の炭素原子と結合して、それらが結合している窒素原子と共に、置換もしくは非置換の5員又は6員の複素環を形成することができる。
好ましくは、R4'、R5'、R6'、及びR7'は、独立に、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基であり、あるいはR4'及びR5'又はR6'、及びR7'は、一緒に結合して置換もしくは非置換の5員〜7員の複素環を形成することができる。より好ましくは、これらは独立に、炭素数1〜8の置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基であり、あるいはR4'及びR5'又はR6'、及びR7'は、一緒に結合して置換もしくは非置換の5員〜7員のヘテロアリール基を形成することができる。
DYE I構造で、sは1〜4の整数であり、Z2は一価アニオンであり、X"及びY"はそれぞれ独立にR1'又は置換もしくは非置換の5員〜7員の縮合炭素環又は複素環を完成
するのに必要な原子団であり、そしてq及びrは独立に1〜4(好ましくは、1〜2)の整数である。
好ましくは、sは1〜3であり、X"及びY"は独立に水素又は縮合アリール又はヘテロアリール環を提供するのに必要な炭素及びヘテロ原子である。有用なビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素を、以下に記載する一般的な手順を用いて合成することができる。これらの色素を好適な方法で本発明の感光性組成物に導入するために提供することができる。好ましい態様では、これらの色素を好適な溶剤に溶解する。
そのような有用なビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素の例には、以下の化合物(知られているものは、λmax及びアセトン中の吸光係数を記載した)を含むが、これらに限定されない。
Figure 2006001183
Figure 2006001183
Figure 2006001183
Figure 2006001183
Figure 2006001183
Figure 2006001183
Figure 2006001183
本発明に有用な最も好ましいIR感受性色素は、DYE2、3及び7である。DYE7が最も好ましい。
1種もしくはそれ以上のビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素が、本発明の感光性組成物中に、一般的に少なくとも0.2質量%(固形分%)、好ましくは、少なくとも0.4質量%の量で存在する。ビス(アミノアリール)ポリメチンIR色素の上限は重要ではないが、当該IR色素のコスト、所望の感光性または熱感受性及び溶剤可溶性によって決定されるであろう。実際的な限界は約1質量%となることができる。IR色素の量は、λmaxが830nmの輻射線に曝露したとき少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.3の透過光学濃度を提供するのに十分な量で、画像形成部材の感光層中に提供される。
上記の赤外線吸収剤は感光層に含有される以外に、熱的に接触する別個の層に添加することもできる。このようにして、画像記録時に、別層の赤外線吸収剤の発熱を感光層の熱感受性イオノマーに伝えることができる。
好適な装置及び手順、例えば、スピンコーティング、ナイフコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティングもしくは押出ホッパーコーティング等を用いて、本発明の感光性組成物を支持体に適用することができる。
本発明の感光性組成物を、一般的に、限定されないが、水、又は水混和性アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、及びn−プロパノール)、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、及びアセトンを含む水混和性有機溶剤に調合し、そこからコートする。水、メタノール、エタノール及び1−メトキシ−2−プロパノールが好ましい。これらの溶剤の2種、もしくはそれ以上の混合物(例えば、水とメタノールとの混合物)も必要ならば用いることができる。用語「水混和性」は、その溶剤が室温で水に全ての割合で可溶性であることを意味する。
本発明の平版印刷方法においては、上述した本発明の平版印刷版原版を、赤外線レーザーで画像様に露光する。
本発明に用いられる赤外線レーザーは、特に限定されないが、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーが好適に挙げられる。赤外線レーザーの出力は、100mW以上であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
1画素あたりの露光時間は、20μ秒以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2 であるのが好ましい。
本発明の平版印刷方法では、レーザー画像形成が好ましいが、像様に熱エネルギーを提供又は発生させる他の手段によっても画像形成を行うことができる。例えば、米国特許第5,488,025号(Martin等)明細書に記載されている「サーマル印刷」として知られている、熱抵抗ヘッド(サーマルプリントヘッド)を用いて画像形成を行うことができる。そのようなサーマルプリントヘッドは市販されている(例えば、富士通サーマルヘッドFTP-040 MCS001及びTDKサーマルヘッドF415 HH7-1089)。
本発明の平版印刷方法においては、上述したように、本発明の感光性平版印刷版を赤外線レーザーやサーマルヘッドで画像様記録した後、何らの現像処理工程を経ることなく油性インキと水性成分とを供給して印刷する。
具体的には、感光性平版印刷版を画像様記録した後、現像処理工程を経ることなく印刷機に装着して印刷する方法、感光性平版印刷版を印刷機に装着した後、印刷機上において画像様記録し、現像処理工程を経ることなく印刷する方法などが挙げられる。
感光性平版印刷版を画像様記録した後、湿式現像処理工程などの現像処理工程を経ることなく水性成分と油性インキとを供給して印刷すると、感光層の露光部においては、露光により硬化した感光層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。一方、未露光部においては、供給された水性成分および/または油性インキによって、未硬化の感光層が溶解しまたは分散して除去され、その部分に親水性の支持体表面が露出する。
その結果、水性成分は露出した親水性の支持体表面に付着し、油性インキは露光領域の感光層に着肉し、印刷が開始される。ここで、最初に版面に供給されるのは、水性成分でもよく、油性インキでもよい。水性成分および油性インキとしては、通常の平版印刷用の湿し水と印刷インキが用いられる。
このようにして、感光性平版印刷版はオフセット印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<支持体の作製>
大きさ300mm×650mm、厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質JIS A1050)を、3質量%水酸化ナトリウム水溶液(65℃)にて7秒間脱脂処理した後、水洗し、35℃の10質量%硫酸水溶液に3秒間浸漬して中和処理しスマットを除去し、更に水洗した。
次いで、正弦波交流電源(60Hz)を使用し、溶存アルミニウム濃度1.1g/lの
1.5質量%塩酸水溶液を電解液として、電流密度90A/dm2 で、22℃で11秒間電解粗面化処理し、水洗後、1質量%水酸化ナトリウム水溶液に50℃で3秒間浸漬することによりデスマット処理し、その後、水洗し、30質量%硫酸水溶液に浸漬して中和処理してスマットを除去し、更に水洗した。
引き続いて、18質量%硫酸水溶液を電解液として、電流密度30A/dm2で、30℃で陽極酸化処理することにより、25mg/dm2 の酸化皮膜を形成し、水洗後、乾燥してアルミニウム板基板(S−1)を得た。
電解粗面化処理を下記に変えてアルミニウム基板(S−2)を得た。
即ち、溶存アルミニウム濃度1.1g/lの2質量%硝酸水溶液を電解液として、電流密度80A/dm2 で、25℃で11秒間電解粗面化処理し、水洗後、1質量%水酸化ナトリウム水溶液に50℃で3秒間浸漬することによりデスマット処理し、その後、水洗し、30質量%硫酸水溶液に浸漬して中和処理し、更に水洗した。
引き続いて、18質量%硫酸水溶液を電解液として、電流密度30A/dm2で、30℃で陽極酸化処理することにより、25mg/dm2 の酸化皮膜を形成し、水洗後、乾燥してアルミニウム板基板(S−2)を得た。
それぞれ得られた支持体の、JISB0601に規定される平均粗さRa は0.45〜0.56μmの間にあった。
上記で得られた基板を、更に表1に示す基板の表面処理条件(処理液の種類およびpH、温度、時間などの処理条件)で処理し、pH7、90℃で6秒間水洗し、乾燥して実施例1〜7および比較例1と2で用いる支持体を作製した。比較例3には、基板S−1をその後の表面処理を行わずにそのまま用いた。
得られた支持体について以下に示す方法で、支持体表面のベーマイト突起状物の高さを測定し、結果を表1に示した。
支持体表面のベーマイト突起状物の高さの測定
原子間力顕微鏡(AFM)((株)島津製作所製「SPM9500J3」)を用い、コンタクトモードAFMで、10mm×10mmの大きさに切り出した支持体試料をスキャナー試料台上にセットし、XY方向にそれぞれ2μmスキャンし、ベーマイト突起状物のZ方向の変位を捉えた。その際のXY方向の分解能は8nm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は8nm/秒とした。そのZ方向高さを、得られたAFM像の断面プロファイルにおける頂点と裾部の高さの差より求め、測定点10点の平均値で表した。
<感光性組成物の塗布>
上記方法で作製した支持体上に、下記に示す感光性組成物を乾燥塗布量が約1.0g/m2となるように塗布し、乾燥(熱対流炉中82℃で3分間)して、感光性平版印刷版を得た。
感光性組成物塗布成分
・ポリマー22 0.35g
・表1に記載の赤外線吸収剤 0.03g
・水 3.6g
・メタノール 0.55g
・アセトン 4.5g
<露光>
各感光性平版印刷版をCREO社製プレートセッターTrendsetter3244F(192チャンネルのマルチビーム搭載)で、各種パラメーター(Sr、Sd、bmslopeおよびbmcurve)の調整を行った後、2400dpiで画像露光した。露光は、ドラム回転数および出力を調整し、版面露光量が400mJ/cm2になるよう行った。
<耐刷性および耐汚れ性の評価>
露光した各感光性平版印刷版を印刷機に取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給することにより印刷機上で現像処理を行い、引き続いて印刷を行った。ここで、印刷機としては(株)小森コーポレーション製印刷機スプリントを用い、インキとしては大日本インキ化学工業(株)製Geos墨を用い、湿し水としては富士写真フイルム(株)製湿し水EU−3の水希釈液(1:100)90容量%とイソプロパノール10容量%との混合物を用い、印刷用紙としては上質紙を用いた。上記条件で印刷を行い、印刷枚数を増やしていくと徐々に画像の磨耗によりインキ受容性が低下し、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。結果は第1表に示した。
上記の耐刷性の評価の途中2000枚目で印刷機を停止し、非画像部分のブランケットの汚れ具合を観察して、官能評価(◎:非常に良好、○:良好、△:劣る)して、耐汚れ性の一つの指標とした。結果は表1に示した。
1時間停止後、湿し水、インキおよび紙の供給を同時に開始した。印刷物の非画像領域は最初インキが付着しているが、印刷を進めるとインキの付着がなくなる。この印刷再開から汚れのない非画像部を形成するまでに要した印刷用紙の枚数(払い枚数)を耐汚れ性のもう一つの指標として評価した。払い枚数が少ないほど耐汚れ性が優れる。結果は表1に示した。
Figure 2006001183
処理液欄の記号の説明
A:水酸化リチウム0.15質量%含有水溶液
B:亜硝酸ナトリウム1.0質量%含有水酸化ナトリウム水溶液
C:水酸化ナトリウム水溶液
表1に示すように、ベーマイトの突起が適度な大きさである本発明の感光性平版印刷版
は良好な耐刷力を有し、しかも耐汚れ性も良好である結果が得られた。

Claims (2)

  1. アルミニウム板支持体の表面に感光性組成物の層が形成された感光性平版印刷版であって、該アルミニウム板支持体が、陽極酸化処理が施されたその表面に平均高さが15〜45nmであるベーマイトからなる突起状物を有し、更に感光性組成物が、a)親水性熱感受性イオノマーおよびb)赤外線吸収剤を含んでなることを特徴とする感光性平版印刷版。
  2. 請求項1に記載の感光性平版印刷版を露光した後、現像処理工程を経ることなく印刷することを特徴とする平版印刷方法。
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