JP3841426B2 - 平版印刷版用原板 - Google Patents
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Description
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及してきており、このような、ディジタル化技術に対応した、新しい画像出力方式が種々実用されるようになっきている。これに伴い、レーザ光のような指向性の高い輻射線にディジタル化された画像情報を担持してこの光で原板を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接印刷版を製造するコンピュータ トゥ プレート技術が注目されている。それに伴ってこの目的に適応した印刷版用原板を得ることが重要な技術課題となっている。
従ってヒートモード記録を利用すれば、機上現像方式に望ましい平版印刷版用原板を得ることも可能となると期待される。
このような原板の例として、例えば、特許文献1には、親水性支持体上に、熱により溶解性が向上しいわゆるポジ作用を示す記録層、具体的には糖類やメラミンホルムアルデヒド樹脂等の特定の組成を有する記録層を設けた原板をヒートモード記録することによって、印刷版を得る方法が開示されている。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
3.露光によって原板の表面の被照射部が親水性から親油性に変換することを特徴とする上記1又は2に記載の平版印刷版用原板。
4.シロキサン結合及びシラノール基を有する樹脂が、一般式(II)で現されるシラン化合物の少なくとも1種を含有する分散液からゾルゲル変換によって形成され、かつ構成単位中に含まれる置換基として少なくとも一つの水酸基を含む樹脂であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用原板。
一般式(II)
(R 0 ) n Si(Y) 4−n
一般式(II)中、R 0 の少なくとも一つは水酸基を表し、その他は、炭化水素基又はヘテロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR 1 、−OCOR 2 、又は、−N(R 3 )(R 4 )を表す(R 1 、R 2 は、各々炭化水素基を表し、R 3 、R 4 は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。nは1、2又は3を表わす。
5.原板に露光を施して得られた印刷版の未露光部が親水性であり、露光部が疎水性であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の平版印刷版用原板。
8.上記1〜5のいずれかに記載の平版印刷版用原板から得られた印刷版を湿し水とインクを用いて印刷することを特徴とする平版印刷方法。
光・熱変換効果は、一般的に熱の発生速度とその熱の逃散速度との競争関係に依存しており、熱の逃散速度が遅いほど発生熱の局部蓄積が起こって高温が得られる。したがって本発明は、高照度光による短時間の像様露光の場合に適しており、とくに露光時間が10−4秒以下の短時間であることがよい。中でもレーザー光による走査方式の露光が本発明に適している。
本発明による平版印刷用原板では、基板の上にシロキサン結合及びシラノール基を有する樹脂とマンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種を含有する親水性の皮膜を有している。本明細書では、親水性の皮膜を担持した部分を「基板」と呼ぶこととする。
以下、各要素について順次述べる。
基板には、寸度的に安定な板状物が用いられる。本発明に用いることができる基板としては、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、ステンレス鋼等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の金属がラミネート又は蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられる基板の厚みはおよそ0.05mm〜0.6mm程度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2 、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
以上で基板の説明を終わり、次に基板上に設けられていて、シロキサン結合およびシラノール基を有する樹脂とマンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する親水性の皮膜について説明する。はじめに、シロキサン結合およびシラノール基を有する樹脂(以後、シロキサン系樹脂とも呼ぶ)について説明する。
本発明の平版印刷版用原版の画像記録層に含有されるシロキサン系樹脂は、シロキサン結合およびシラノール基を有し、画像記録層としての適度な強度と表面の親水性を付与するものであれば、特に限定されないが、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
(R0)nSi(Y)4−n
一般式(II)中、R0の、少なくとも一つは水酸基を表し、その他は、炭化水素基又はヘテロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR1、−OCOR2、又は、−N(R3)(R4)を表す(R1、R2は、各々炭化水素基を表し、R3、R4は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。nは1、2又は3を表わす。
−OR1基において、R1は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブトキシ基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
又−N(R3)(R4)基において、R3、R4は、互いに同じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−OR1基のR1と同様の内容のものが挙げられる)を表わす。
より好ましくは、R1とR2の炭素数の総和が16個以内である。
一般式(II)で示されるシラン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
用いられる金属化合物として、例えば、Ti(OR″)4(R″はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、TiCl4、Zn(OR″)2、Zn(CH3COCHCOCH3)2、Sn(OR″)4、Sn(CH3COCHCOCH3)4、Sn(OCOR″)4、SnCl4、Zr(OR″)4、Zr(CH3COCHCOCH3)4、Al(OR″)3等が挙げられる。
皮膜中には、ゾル−ゲル変換の際にシラン化合物と結合して樹脂に取り込まれて成膜可能な上記したTi、Zn、Sn、Zr、Al等の金属化合物のほかに、必ずしもシラン化合物と結合しなくてもよいマンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種を含んでいる。これらのマンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種について説明する。
好ましく用いることのできる代表的な化合物を以下に例示する。
金属アルコキシドの例としては、Ti(OCH3 ) 、Ti(OC2 H5 )2 、Ti(OC2H5 )4 、Ti(OC3H6 )4 、Cu(OCH 3)2 、Zn(OC 2H5)2 、Y(OC2 H5)3 、Ce(OC2 H544 、Sb(OC2 H5)3 、Ta(OC2 H5 )4 、W(OC2 H5)4 、La(OC2 H5 )3 、Nb(OC2H5 )3 、Zr(OCH3 )3 、Zr(OC2H5 )3 、Zr(OC3 H7 )4 、Zr(OC4H944 、La[(Al(OC3H7 )2 ]3 、Ni[Al(OC2 H5 )5] 、(C3 H7 O)3Zr[Al(OC3 H7 )4 ]などが挙げられる。
また、有機金属錯塩としては、銅フタロシアニン錯塩、鉄フタロシアニン錯塩、コバルトフタロシアニン錯塩、コバルト・モルフィリン錯塩などが含まれる。
好ましく用いることのできる遷移金属以外の金属の化合物には以下に例が挙げられる。
又、上記金属塩と金属アルコキシドや金属アセチルアセテートを併用しても良い。金属アルコキシドの例としては、Sr(OC2 H5)2 、Ba(OC2 H5)2 、Ca(OC2 H5)2 、Pb(OC2 H5 )4 、Pb(OCH3)4 、Mg[Al(OC2 H5 )5 ] 、Mg[Al(OC4 H9 )5 ]などが挙げられ、金属アセチルアセトネートの例としては、Al(CH3COCH2 COOH)3 などがある。
金属化合物のうち、マンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種の割合は、50%以上であり、好ましくは70%以上であり、すべてがマンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種であってもよい。
本発明の平版印刷版用原板をレーザー露光により画像を形成する平版印刷版用原板として用いる場合には、平版印刷版用原板の皮膜層に光吸収剤を添加することもできる。
本発明において好ましく使用される光吸収剤は、波長760〜1200nmの光を有効に吸収する赤外線吸収染料又は顔料である。より好ましくは、波長760〜1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
本発明のヒートモードの画像露光による平版印刷版用原板は、皮膜層中に光若しくは熱により酸を発生させる化合物(以下、酸発生剤と呼ぶ)を添加することによって露光部の皮膜層の溶解が促進される場合があり、そのような場合には酸発生剤を添加することが望ましい。
例えば、S.I.Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974)、T.S.Ba1 etal., Polymer, 21, 423(1980) 等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3-140,140号等の公報に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal., Macromolecules, 17, 2468(1984)、C.S.Wen etal., Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等の公報に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal., Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2-150,848 号、特開平2-296,514号等の公報に記載のヨードニウム塩、
Ed., 22, 1789(1984)、J.V.Crivello etal., Polymer Bull., 14, 279(1985)、J.V.Crivello etal, Macromorecules, 14(5), 1141(1981)、J.V.Crivello etal., J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877(1979) 、欧州特許第370,693号、米国特許3,902,114 号、欧州特許第233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444 号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同 3,604,580号、同3,604,581 号等の公報に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal., Macromorecules, 10(6), 1307(1977)、J.V.Crivello etal., J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal., Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, 0ct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46-4605号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特開昭61-169835号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号等の公報に記載の有機ハロゲン化合物、
J. Polymer Sci., 25, 753(1987)、E.Reichmanis etal., J. Po1ymer Sci., Po1ymer Chem. Ed., 23, 1(1985) 、Q.Q.Zhu etal., J. Photochem., 36, 85, 39,317(1987) 、B. Amit etal., Tetrahedron Lett., (24) 2205(1973), D.H.R.Barton etal., J.Chem Soc., 3571(1965) 、P.M.Collins etal., J. Chem. Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal, Tetrahedron Lett., (17), 1445(1975)、J.W.Walker etal., J. Am. Chem. Soc., 110,7170(1988)、S.C.Busman etal., J.Imaging Technol., 11(4), 191(1985) 、H.M.Houlihan etal., Macromolecules, 21,2001(1988)、P.M.Collins etal., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 532(1972)、S.Hayase etal., Macromolecules, 18, 1799(1985)、E.Reichmanis etal., J. Electrochem. Soc., So1id State Sci. Technol., 130(6)、F.M.Houlihan etal., Macromolcules, 21, 2001(1988) 、欧州特許第0290,750号、同046,083 号、同156,535号、同271,851 号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60-198538号、特開昭53-133022号等の公報に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、
Curing, 13(4)、W.J.Mijs etal, Coating Technol., 55(697)., 45(1983)、Akzo, H.Adachi etal., Polymer Preprints, Japan, 37(3) 、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122 号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特願平3-140109号等の公報に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544号等の公報に記載のジスルホン化合物、特開昭50-36209号(米国特許第3969118号)公報に記載のo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハライド、特開昭55-62444号(英国特許第2038801号)公報に記載あるいは特公平1-11935号公報に記載のo−ナフトキノンジアジド化合物を挙げることができる。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体、
具体的には以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、R3、R4及びR5のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸発生剤が十分の光感度を持たない場合に酸発生剤を活性にするために、種々の酸発生剤の増感色素が用いてもよい。
このような増感色素の例としては、米国特許5,238,782号公報に記載のピラン系色素、米国特許4,997,745号公報に記載のシアニン色素、及びスクアリリウム系色素、米国特許5,262,276号公報に記載のメロシアニン系色素、特公平8−20732号公報に記載のピリリュウム色素、その他、ミヒラーズケトン、チオキサントン、ケトクマリン色素、9−フェニルアクリジン等を有効なものとして用いることができる。また、その他にも米国特許4,987,230号公報に記載のビスベンジリデンケトン色素、9,10−ジフェニルアントラセンのような多環芳香族化合物等を用いることができる。
具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、メチルバイオレット(C.I.42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(C.I.145170B)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、メチレンブルー(C.I.52015)等、あるいは特開昭62−293247号公報、特願平7−335145号公報に記載されている染料を挙げることができる。
なお、添加量は、本発明の平版印刷用原板の皮膜層全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合である。
本発明の平版印刷版用原板の皮膜層中には、印刷条件に対する安定性を拡げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の皮膜層全固形物中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
次に、この平版印刷版用原板の製版方法について説明する。この平版印刷版用原板は、例えば、熱記録ヘッド等により直接画像様に感熱記録を施したり、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザー、あるいは赤外線灯やキセノン放電灯により画像露光される。
水現像を行う場合も、現像処理を行わない場合も、露光後に加熱処理を行うことが記録時の感度向上の観点から好ましい。加熱処理の条件は、80〜150℃の範囲内で10秒〜5分間行うことが好ましい。即ち、この加熱処理を施すことにより、レーザー照射時、記録に必要なレーザーエネルギーを減少させることができる。
表1に本発明の実施例1〜8及びその比較例1〜3の各平版印刷用原板を作製し、印刷適性を試験した結果を示す。
厚さ0.24mmのJIS A1050仕様のアルミニウム板の表面をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を用いて砂目立てした後、よく水で洗浄した。10重量%水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20重量%HNO3水溶液で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中35℃で230クーロン/dm2 の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.55μm(Ra表示)であった。ひきつづいて30重量%H2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、10重量%H2SO4 水溶液中で電流密度30A/dm2、陽極酸化皮膜量が2.2g/m2 相当になるように陽極酸化し、水洗して基板を作成した。
下記の処方(A)の成分をシリコンテトラエトキシド、エタノール、純水、塩酸の順に混合してゆき30分間、室温で攪拌して塗布溶液(A)を作成した。
処方(A)
シリコンテトラエトキシド 7.5g
エタノール(95%) 12g
純水 5g
塩酸(35%) 0.1g
さらに、上記処方量の塗布溶液(A)にFe(NO3)3 ・9H2Oをそれぞれ3.3g、12.5g添加し1時間室温で攪拌し、各々塗布溶液(C−1)及び(C−2)を作成した。
また、塗布溶液(A)にCo(NO3)2 ・6H2 Oをそれぞれ10.5g、24.5g添加し、1時間室温で攪拌し、各々塗布溶液(D−1)及び(D−2)を作成した。
さらに、Pr(NO3 )3 ・6H2 Oをそれぞれ13.4g,38.0g,添加し、1時間室温で攪拌し、各塗布溶液(E−1)及び(E−2)を作成した。
以上のように作成した塗布溶液(B−1)〜(E−2)をスピンコーターを用いて、回転数500rpm、10秒で前記(1)のアルミニウム基板に塗布した後、オーブンにて、200℃で10分間乾燥した後、さらに500℃で30分間乾燥して平版印刷用原板を作成して、原板1〜8とした。
<吸光度の測定>
得られた印刷原板1〜8を、バリシャ社製の吸光度計CARY5Gを用いて830nmの反射濃度を測定した。同時に陽極酸化を施した基板の830nmの反射濃度も測定し、前者の測定値から後者の測定値を差し引いた値を吸光度とした。
得られた平版印刷用原版1〜8を波長830nmの半導体レーザー光を照射した。
以下に具体的なレーザー照射条件を下記に示す。
レーザー出力:350mW
ビーム半径:12.5μm
走査速度:1.7m/sec
出力:700mJ/cm2
使用した印刷機は、ハイデルベルグSOR−Mであり、湿し水には、水にEU−3(富士写真フイルム(株)製)を1vol%、IPAを10vol%添加した水溶液を用い、インキには、GEOS(N)墨を用いた。
比較のために実施例1において、基板上に塗布溶液B−1を塗布する代わりに塗布溶液(A)を塗布する以外は、実施例1と同じ仕様で印刷原板を作成して比較用の原板17とした。
前記の方法で印刷したところ、比較例1は照射部にインキが着肉しなかった。
<画像形成評価方法>
レーザー照射部を未照射部との色の違いを目視で評価した。
○:レーザー照射部と未照射部と明瞭な区別が付く。
△:レーザー照射部と未照射部との区別が付くが、○程は明瞭には区別が付かない。
×:レーザー照射部と未照射部との区別が付かない。
<印刷汚れの評価方法>
印刷物の非画像部に汚れが発生しているかどうかを目視観察し、同時に反射濃度計(国際規格ISO5に規定の反射濃度測定条件を満たす)によって非画像部の反射濃度も測定した。印刷汚れがなければ、印刷前の紙面の反射濃度に対する印刷面の反射濃度の増加は0.01以内であるが、増加値が0.01を僅かに超えるような目視に掛からない程度の僅かな印刷汚れも濃度を測定すれば検出される。評価結果も表1に示す。表1において、印刷汚れを認めない場合を○、認められる場合を×、反射濃度計では検出されるが、目視では認られず許容内と判定されるものは、△と表示した。
Claims (8)
- シロキサン結合及びシラノール基を有する樹脂と、マンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する親水性の皮膜を基板上に設けたことを特徴とする平版印刷版用原板。
- シロキサン結合及びシラノール基を有する樹脂と、マンガン化合物、コバルト化合物、プラセオジム化合物及び鉄化合物から選ばれる少なくとも一種とを含有し、かつ300〜1200nmの分光波長領域中に吸光度が0.3以上の分光吸収域を有する親水性の皮膜を基板上に設けたことを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用原板。
- 露光によって原板の表面の被照射部が親水性から親油性に変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版用原板。
- シロキサン結合及びシラノール基を有する樹脂が、一般式(II)で現されるシラン化合物の少なくとも1種を含有する分散液からゾルゲル変換によって形成され、かつ構成単位中に含まれる置換基として少なくとも一つの水酸基を含む樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用原板。
一般式(II)
(R 0 ) n Si(Y) 4−n
一般式(II)中、R 0 の少なくとも一つは水酸基を表し、その他は、炭化水素基又はヘテロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR 1 、−OCOR 2 、又は、−N(R 3 )(R 4 )を表す(R 1 、R 2 は、各々炭化水素基を表し、R 3 、R 4 は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。nは1、2又は3を表わす。 - 原板に露光を施して得られた印刷版の未露光部が親水性であり、露光部が疎水性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版用原板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版用原板に露光時間が10−4秒以下の短時間の像様露光を行って印刷用の画像を形成することを特徴とする平版印刷方法。
- 700〜1200nmの分光波長域に極大分光エネルギーを有する輻射線によって像様露光を行うことを特徴とする請求項6に記載の平版印刷方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版用原板から得られた印刷版を湿し水とインクを用いて印刷することを特徴とする平版印刷方法。
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