JP3673069B2 - 平版印刷版用原版 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は平版印刷版用原版に関するものであり、特にディジタル信号に基づいて赤外線レーザー光を照射することにより直接製版可能な平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル化された画像データーからリスフィルムを介さずに印刷版を直接製版する方法は、種々検討されているが、近年のレーザーの改良に伴い、赤外線レーザ露光による製版が有望視されている。
【0003】
しかしながら、現在実施しうるこれらの印刷版の製造には、露光工程の後に、支持体表面の上に設けられた記録層(画像形成層)を画像状に除去するための湿式による現像工程や現像処理された印刷版を水洗水で水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液、アラビアガム、澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程が必要とされている。近年の製版、印刷業界では製版作業の合理化が進められており、上記のような複雑な湿式現像処理を必要とせず、露光後にそのまま印刷に使用できる印刷版用原版が望まれている。
【0004】
このような画像形成後、湿式現像処理を必要としない平版印刷版用原版として、シリコーン層と、その下層にレーザ感熱層を設けた版材がUS5,353,705号、US5,379,698号に開示されている。これらは湿式現像は必要としないが、レーザアブレージョンによるシリコーン層の除去を完結させるためのこすりや特殊なローラーによる処理が必要となり、処理が煩雑になる欠点を持つ。
【0005】
US5,102,771号、US5,225,316号には酸感受性基を側鎖に持つポリマーと光酸発生剤を組み合わせた平版印刷版用原版が提示されており、無現像システムが提案されている。この平版印刷版用原版は発生する酸がカルボン酸であるために、限られた親水性しか持たず、版材の耐久性や印刷画像の鮮明さに劣る欠点を持つ。
【0006】
また、レーザーにより画像形成可能な記録材料として、US5,156,938号にはt-ブチルエステル構造を有するポリエステル或いはポリウレタンと赤外線吸収剤とを含む感熱性画像記録材料が記載されている。この記録材料は、赤外線等のレーザーにより熱分解性ポリマーを分解させ、記録層中の色素を他の層に転写可能とし、記録媒体に転写して可視画像で得るものである。
J.M.J.Frechet らによるジャーナル オブ イメージング サイエンス(J.Imaging Science )vol 30 , page59 (1986)には、これと類似のt-ブチルエステル構造を有するポリエステルをレジスト用ポジ画像形成材料として用いることが記載されている。この記録材料は該ポリエステルを酸発生剤との組み合わせてdeep UV 光を光源としてポジ画像を形成するものである。これらの記録材料には、しかしながら、平版印刷版用原版に応用しうる旨の記載はなかった。
このように、現像処理を行うことなく、高感度で良好な製版が可能な平版印刷版用原版は未だ実用上のレベルに達していないのが現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、赤外線を放射する固体レーザ又は半導体レーザを用いて記録することにより、ディジタルデータから直接製版可能であり、画像露光後に湿式現像やこすり等の特別な処理を必要とせず、さらに、感度が高く、印刷汚れが少ないという利点をも有する平版印刷版用原版を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、記録材料の成分として知られるt-ブチルエステル構造を有するポリエステルに注目し、これを赤外線吸収剤と組み合わせることにより、上記目的を達成しうることを見いだして、本発明を完成した。
即ち、本発明の平版印刷版用原版は、親水性支持体上に、下記一般式(I)で表される構造単位を主鎖中に有するポリマーと、赤外線吸収剤とを含有し、赤外線レーザ露光後、現像処理を経ることなく、露光部がレーザー誘起アブレーションにより除去される画像形成層を設けてなり、赤外線レーザ露光後に現像処理を経ることなく印刷版として使用しうることを特徴とする。
【0009】
一般式(I)
【化2】
Figure 0003673069
【0010】
(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。但し、R1 、R2 が同時原子に水素であることはない。R3 は結合手を有する炭素原子であって、二重結合、三重結合を有していてもよい。)
【0011】
また、ここで用いられる親水性支持体は、表面にカルボキシル基、スルホン酸基及びそれらの金属塩、アルコキシ基、水酸基、アミド基から選択される末端基を有する親水性ポリマーからなる被覆層を有することが好ましい。
【0012】
本発明の平版印刷版用原版においては、画像形成層中において、赤外線レーザーによる露光部分の赤外線吸収剤が発熱して、前記一般式(I)で表される化合物である熱分解性ポリマーを分解させ、露光部分のみがレーザー誘起アブレーションを起こし、また、分解したポリマーは親水性支持体表面との親和性が低下するため、当該部分の画像形成層が感度よく、効果的に除去されて親水性支持体表面が露出することにより製版が行われる。ここで、露光部分はアブレーションにより除去されるため、とくに湿式現像やこすり等の現像工程を経なくても、そのまま印刷版として使用することができる。
また、親水性支持体表面には、末端に特定の親水基を有するポリマーからなる被覆層が形成されているため、印刷時のインク親和性が低く、印刷時の汚れが少ない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版用原版は、親水性支持体上に特定のポリエステル系高分子化合物を含有する画像形成層を備えるものである。
つぎに、個々の構成について説明する。
【0014】
〔ポリエステル系高分子化合物〕
本発明の画像形成層に用いられるポリエステル系高分子化合物は、前記一般式(I)で表される構造単位を主鎖中に有するポリマーである。前記一般式(I)において、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基等を表し、R1 、R2 が同時原子に水素であることはない。また、R3 は結合手を有する炭素原子であって、二重結合、三重結合を有していてもよい。
アリール基としては炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基(ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソアミル基、イソヘキシル基、ネオペンチル基、t−ブチル基)等が挙げられる。このアルキル基は置換基を有してもよく、その置換基としては、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基等の炭素数1〜18のアルコキシ基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アミド基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、アセチルオキシ基等のアシルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等を挙げることができる。
【0015】
アリール基としては炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基(アントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基)等が挙げられる。このアリール基は置換基を有してもよく、その置換基としては、アルキル基で挙げたものを同様に使用できる。
【0016】
本発明の一般式(I)で表される構造単位を主鎖中に有するポリマーの具体的を具体例化合物(1)〜(14)として下記に例示するが、本発明はこれらの具体例に制限されるものではない。
【0017】
【化3】
Figure 0003673069
【0018】
【化4】
Figure 0003673069
【0019】
本発明のポリマーは、公知の方法、例えば、US5,156,938号、ジャーナル オブ イメージング サイエンス(J.Imaging Science )、第3巻第59頁(1986)に記載の方法によって容易に合成することができる。
例えば、ジイソシアネートとジオールとをテトラヒドロフラン等のような有機溶媒中で混合し、ジラウリルブチルスズ等のような触媒の存在下、加熱することにより得られる。
【0020】
本発明に係るポリマーは、画像形成層全固形分に対し10〜99.9重量%、好ましくは22〜99重量%、特に好ましくは40〜98重量%の割合で画像記録材料に添加することができる。添加量が10重量%未満であると画像が形成されず、また99.9重量%を越えると、赤外線吸収剤の含有量が少なくなり、上記と同様に画像形成性が悪化し、いずれも好ましくない。
【0021】
[赤外線吸収剤]
本発明においては、上記の化合物に加えて画像形成層中に赤外線吸収剤を併用する。ここで、好適に使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染料または顔料であり、さらに好ましくは、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。
好ましい染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0022】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0023】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0024】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0025】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像形成層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0026】
これらの染料もしくは顔料は、画像形成層全固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%、染料の場合特に好ましくは1〜20重量%、顔料の場合特に好ましくは1〜20重量%の割合で画像形成層中に添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.1重量%未満であったり、添加量が20重量%を越えた場合、画像形成しなくなり、いずれも好ましくない。
【0027】
[支持体]
本発明の感光性平版印刷版原版に使用される少なくとも表面が親水性である支持体としては、これまで印刷版の親水性支持体として使用された公知のものを任意に、使用することができる。かかる支持体の基体としては、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、紙、プラスチックス(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、金属板(例えばアルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、鉄、銅など)、プラスチックスのフイルム(例えば二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール)、上記のような金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが含まれるが、特にアルミニウム板が好ましい。アルミニウム板には純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えばけい素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物は、いくらかの鉄およびチタンに加えてその他無視し得る程度の量の不純物をも含むものである。
【0028】
支持体は、必要に応じて表面処理される。本発明の平版印刷版原版に用いる場合には、支持体の表面に親水化処理が施される。
本発明の支持体(基体)としては、アルミニウム支持体が好ましく、なかでも、少なくとも画像形成層を形成する側の表面が陽極酸化処理を施されたアルミニウム板等の支持体が好ましい。支持体として好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着された表面にアルミニウム薄層を有するプラスチックフィルムも、本発明のアルミニウム支持体に包含される。
アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0029】
このように金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
【0030】
ここで、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸若しくは硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0031】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理等の前処理を施された後、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0032】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム支持体表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号および第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持対がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるかまたは電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸がカリウムおよび米国特許第3,276,868号、同第4,158,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とする為に施される以外に、その上に設けられる感光性組成物との有害な反応を防ぐ為や、感光層との密着性を向上させる為に施されるものである。
【0033】
また、本発明の平版印刷版用原版においては、この親水性支持体の表面に親水性ポリマーを塗布してなる被覆層を設けることが好ましい。この親水性ポリマーからなる被覆層を設けることは、汚れやすい印刷条件で印刷する際に特に有効である。
親水性ポリマーからなる被覆層に用いる親水性ポリマーとしては、末端にカルボキシル基、スルホン酸基、およびそれらの金属塩、アルコキシ基、水酸基、アミド基等の親水基を有するポリマーが好ましく挙げられる。これらの親水性ポリマーの例としては、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリル酸、ポリメチルメタクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニル安息香酸、ポリビニル安息香酸ナトリウム、ポリ(2−ヒドロキシエチル)アクリレート、ポリ-N- ビニルピロリドン、ポリ-N- ビニルアセトアミド、などがある。また、前記親水性の構成単位を含む共重合体も同様に有効である。共重合体に使用可能なモノマーとしては、エチレン、プロピレン、メチルビニルエーテル、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルなどのαーオレフィン、ビニル化合物、ビニリデン化合物などが挙げられる。またこれらのビニル系ポリマーの他にポリエチレンオキサイド、などのポリアルキレン基を含む重合体、またデンプン−アクリル酸系グラフト重合体、カルボキシル化メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビヤガム、コラーゲンなどの天然の親水性高分子化合物も有効である。
【0034】
親水性ポリマーの塗布量は、2μg/m2 〜1g/m2 の範囲であり、好ましくは1m2 当たり、10μg〜500μg、より好ましくは20μg〜100μgであり、形成された被覆層の乾燥後の膜厚は0.001〜2μm、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。
この親水性ポリマーからなる被覆層を設けることにより、レーザー光による書き込み後に、この被覆層自体が溶解することにより、残膜が一層少なくなるという利点を有するものである。
【0035】
本発明の画像記録材料は、必要に応じて支持体と前記親水性ポリマーからなる被覆層或いは画像形成層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。これらの下塗層の構成成分も、水に可溶な親水性化合物であるが、これらはアルミニウム等の支持体に吸着して、支持体と画像形成層や親水性ポリマーからなる被覆層との密着性を向上させ、耐刷性を向上させる機能を有するものであり、従って、本発明の平版印刷版用原版においては、支持体上に下塗層、親水性ポリマーからなる被覆層、画像形成層を順次設けてなるものが、好ましい態様として挙げられる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2 が適当である。
【0036】
[その他の成分]
本発明では、画像形成層の成分として先に挙げた高分子化合物及び赤外線吸収剤が必須であるが、必要に応じてこれら以外に画像形成層の特性を改良するため種々の化合物を添加してもよい。
例えば、酸発生剤を添加することができる。酸発生剤としては、光又は熱の作用により酸を発生させる公知の化合物を選択して用いることができる。
【0037】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980) 等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号、特開平3-140,140 号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Tech,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977) 、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許第104,143 号、米国特許第4837124 号、特開平2-150,848 号、特開平2-296,514 号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985) 、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984) 、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981) 、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693 号、米国特許3,902,114 号,欧州特許第233,567 号、同297,443 号、同297,442 号、同279210号、同422570号、米国特許第4,933,377 号、同4,760,013 号、同4,734,444 号、同2,833,827 号、獨国特許第2,904,626 号、同3,604,580 号、同3,604,581 号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977) 、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979) 等に記載のセレノニウム塩、
【0038】
C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988) 等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815 号、特公昭46-4605 号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736 号、特開昭61-169835 号、特開昭61-169837 号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401 号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339 号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(1980) 、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896) 、特開平2-161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、 E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、 B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、 D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、 P.M.Collins etal,J.Chem.SoC.,Perkin I,1695(1975)、 M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etalJ.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、 S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、 H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、 P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、 E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、 F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083 号、同156,535 号、同271,851 号、同0,388,343 号、 米国特許第3,901,710 号、同4,181,531 号、特開昭60-198538 号、特開昭53-133022 号等に記載の0−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、
【0039】
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、 G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、 W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、 H.Adachietal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、 欧州特許第0199,672号、同84515 号、同199,672 号、同044,115 号、同0101,122号、米国特許第4,618,564 号、同4,371,605 号、同4,431,774 号、特開昭64-18143号、特開平2-245756号、特開平4-365048号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544 号等に記載のジスルホン化合物、特開昭50ー36209号(米国特許第3969118号)記載のoーナフトキノンジアジドー4ースルホン酸ハライド、特開昭55ー62444号(英国特許第2038801号)記載あるいは特公平1ー11935号記載のoーナフトキノンジアジド化合物を挙げることができる。
また、本願出願人が先に提出した特願平9−26878号、同9−89451号、9−85328号に記載の加熱により酸を発生するスルホン酸エステル類なども酸発生剤として好適に使用しうる。
【0040】
また、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等及び特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。
これらの染料は、レーザ露光後退色し、画像部と非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。尚、添加量は、画像記録材料全固形分の0.01〜10重量%である。
【0041】
また、本発明における画像形成層には、印刷条件に対する安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像記録材料中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0042】
更に本発明の画像形成層には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0043】
これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、特願平7−18120に記載のヒドロキシメチル基を持つフェノール化合物、及びアルコキシメチル基を有するフェノール化合物等を添加してもよい。更に塗膜の強度を向上させるために他の高分子化合物を添加してもよい。
【0044】
本発明の平版印刷版用原版は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
【0045】
これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版用原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/m2 が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0046】
本発明における画像形成層には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。これらの添加量は、全画像記録材料固形分中0.01〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0047】
以上のようにして、本発明の平版印刷版用原版を作成することができる。
本発明の平版印刷用版材は、波長700nm以上、好ましくは波長760nmから1200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光される赤外線レーザー感光性の平版印刷用版材である。この赤外線レーザー露光工程により、露光部分における画像形成層はレーザー誘起アブレーションによって除去され、その結果、露光部分には親水性の支持体表面が露出する。このように製版された平版印刷版は、現像工程や加熱工程を必要とせず、そのままオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いることができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜4〕
【0049】
〔支持体の作製〕
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質 1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液を用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。25%水酸化ナトリウムに45℃で9秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、2%硝酸に20秒間浸漬して中和し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。
次に、この板を7%硫酸水溶液を電解液として電流密度15A/dm2 で酸化皮膜量が3g/m2 になるように直流陽極酸化処理を行った後、水洗、乾燥した。
〔画像形成層塗布液〕
溶液〔A〕
本発明に係る高分子化合物 1.0g
(表1に記載の具体例」合物(1)〜(4))
赤外線吸収剤 0.15g
(NK−3508、日本感光色素研究所(株)製)
ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレン
スルホン酸アニオンにした染料 0.05g
フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、
大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g
メチルエチルケトン 20g
メチルアルコール 7g
【0050】
【表1】
Figure 0003673069
【0051】
〔平版印刷用原版の作製〕
上記支持体上に上記の画像形成層塗布液(溶液〔A〕)において表1に記載のように化合物を変えて調製したものを塗布し、100℃で2分間乾燥して平版印刷用原版〔A−1〕〜〔A−4〕を得た。乾燥後の重量は1.1g/m2 であった。
【0052】
〔レーザ露光および印刷〕
上記で得られた平版印刷用原版を、波長1064nmの赤外線を発するYAGレーザで露光した。露光後、特別の処理をすることなく、そのままハイデルKOR−D機に搭載し、印刷した。この際、得られた印刷物の非画像部に汚れが発生しているか否かと、耐刷枚数を観察した。結果を表2に示す。
〔比較例1、2〕
実施例1〜4で用いた表1に記載の具体例化合物(1)〜(4)に変えて下記の比較化合物1、2を用い、それ以外は実施例1〜4と同様にして平版印刷用原版〔B−1〕、〔B−2〕を得た。これを実施例1〜4と同様の条件で製版処理し、印刷した。この際、得られた印刷物の非画像部に汚れが発生しているか否かと、耐刷枚数を実施例1〜4と同様に観察した。結果を表2に示す。
【0053】
【化5】
Figure 0003673069
【0054】
【表2】
Figure 0003673069
【0055】
表2に明らかなように、本発明の平版印刷用原版はいずれも非画像部に汚れのない良好な印刷物が得られた。また、このことから、製版が感度高く良好に行われたことがわかる。一方、比較化合物を用いた平版印刷用原版は非画像部における画像形成層の除去が不充分であり、非画像部に汚れが発生し、良好な印刷物が得られなかった。
【0056】
〔実施例5、6〕
実施例1、2で用いた支持体の代わりに、下記の親水性ポリマーからなる被覆層を設けた親水性支持体を用いたほかは、実施例1、2と全く同様にして平版印刷用原版〔A−5〕、〔A−6〕を得た。
〔支持体の作製〕
実施例1、2で作成した支持体の上に親水性ポリマーとしてポリビニルアルコール(商品名ポバール:クラレ社製、ケン価度80% )を0.5g/m2 の塗布量となるように塗布した被覆層を設けた。
〔レーザ露光および印刷〕
レーザ露光は、実施例1、2と同様の方法で行った。実施例1、2と同様に、露光後特別の処理することなしにハイデルKOR−D機に搭載したが、印刷条件は、水目盛りを2目盛り絞ることにより実施例1、2よりも汚れの出にやすい条件にて印刷を行い、3万枚印刷した時点での汚れを観察した。
この汚れの状態を親水性支持体上に比較対照として、親水性ポリマーを塗布しなかった実施例1及び2で作成した平版印刷用原版〔A−1〕、〔A−2〕を用いて上記と同様の条件で3万枚印刷を行い、同様に汚れを観察した。
その結果、支持体に親水性ポリマー被覆層を設けなかった平版印刷用原版〔A−1〕、〔A−2〕を用いたものは、わずかに汚れが観察されたが、平版印刷用原版〔A−5〕、〔A−6〕を用いたものは、全く汚れが見られなかった。このことから、親水性支持体に親水性ポリマーからなる被覆層を設けることにより、印刷時の汚れが改善されることがわかった。また、同様に、製版が感度高く良好に行われたことがわかった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、赤外線レーザにより直接製版可能であり、画像露光後、湿式現像処理やこすり等の特別な処理を必要とせず印刷することが可能であり、且つ、感度が高く、印刷汚れが少ない良好な平版印刷版用原版を提供することができる。

Claims (2)

  1. 親水性支持体上に、下記一般式(I)で表される構造単位を主鎖中に有するポリマーと、赤外線吸収剤とを含有し、赤外線レーザ露光後、現像処理を経ることなく、露光部がレーザー誘起アブレーションにより除去される画像形成層を設けてなり、赤外線レーザ露光後に現像処理を経ることなく印刷版として使用しうることを特徴とする感熱性平版印刷版用原版。
    一般式(I)
    Figure 0003673069
    (式中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基を表す。但し、R1 、R2 が同時原子に水素であることはない。R3 は結合手を有する炭素原子であって、二重結合、三重結合を有していてもよい。)
  2. 前記親水性支持体が、表面にカルボキシル基、スルホン酸基及びそれらの金属塩、アルコキシ基、水酸基、アミド基から選択される末端基を有する親水性ポリマーからなる被覆層を有することを特徴とする請求項1に記載の感熱性平版印刷版用原版。
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