JP2004090435A - 平版印刷原版、平版印刷版の製版方法および平版印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐刷性が非常に高い平版印刷版を製版する。
【解決手段】環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版において、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が環状エーテル結合に含まれる三個または四個の酸素原子と直接結合している環状エーテル化合物を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版において、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が環状エーテル結合に含まれる三個または四個の酸素原子と直接結合している環状エーテル化合物を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版に関する。また、本発明は、デジタル信号に基づくレーザー光の走査露光によって画像を記録できる平版印刷版の製版方法にも関する。さらに、本発明は、印刷機上で平版印刷版を製版して、そのまま印刷できる平版印刷方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、リスフィルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液によって溶解除去することにより製版することが普通であった。
近年では、コンピュータが画像をデジタル情報として電子的に処理し、蓄積して、出力する。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理は、レーザー光のような指向性の高い活性放射線を用いる走査露光により、リスフィルムを介することなく、平版印刷原版に対して直接画像形成を行うことが望ましい。このようにデジタル画像情報からリスフィルムを介さずに印刷版を製版する技術は、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)と呼ばれている。
従来のPS版による印刷版の製版方法を、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術で実施しようとすると、レーザー光の波長領域と感光性樹脂の感光波長領域とが一致しないとの問題がある。
【0003】
また、従来のPS版では、露光の後、非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠である。さらに、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更するか、さらには無処理化することが望ましい。
【0004】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。
このような機上現像に適した平版印刷原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
従来のPS版では、このような要求を満足することは、実質的に不可能であった。
【0005】
特許2938397号公報には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷原版が記載されている。同公報の記載によると、製版において、赤外線レーザー露光して熱可塑性疎水性重合体微粒子を熱により合体(融着)させて画像形成した後、印刷機のシリンダー上に版を取り付け、湿し水及び/またはインキを供給することにより機上現像できる。この平版印刷原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
しかしながら、上記のような高分子重合体粒子を露光によって生じる熱で融着、合体させる画像形成方法では、機上現像をしやすくすると耐刷力が得にくく、耐刷力を高めると機上現像性や、印刷での汚れ難さが劣化するといった、両立させるのが困難な問題があった。
【0006】
特開2002−46361号公報には、親水性支持体上に、エポキシ基を有する化合物を含有する微粒子またはエポキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂および酸前駆体を含有する画像形成層を有し、印刷機上で現像可能な平版印刷原版が開示されている。平版印刷原版を画像状に加熱すると、酸前駆体から酸が発生し、エポキシ基を有する化合物を開環重合させることができる。次に、印刷機上で加熱していない部分の画像形成層を除去する(機上現像する)ことにより、平版印刷版を製版できる。
開環重合反応により形成されるポリマー画像は、熱融着により形成される画像(特許2938397号公報記載)と比較して、基本的に耐刷力が優れており、機上現像性と耐刷力との両立も容易である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、特開2002−46361号公報に記載のエポキシ基を有する化合物について、研究を進めた。その結果、エポキシ基を有する化合物は、フォトポリマー型平版印刷原版に一般に使用されているエチレン性不飽和重合性化合物と比較して、重合における収縮率が低いとの特徴があることに気が付いた。
エチレン性不飽和重合性化合物は、重合における収縮率が10〜30%程度(例えば、スチレン:14.5%、酢酸ビニル:20.9%、メチルメタクリレート:21.2%、アクリロニトリル:31.0%)である。これに対して、エポキシ基を有する化合物は、収縮率が5〜20%程度(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:5%、スチレンオキシド:9%、エピクロルヒドリン:12%、エチレンオキシド:23%)であって、相対的に低い値になっている。
【0008】
ただし、フォトポリマー型平版印刷原版において、エチレン性不飽和重合性化合物の重合における収縮率が高いことは、特に問題とされていない。また、特開2002−46361号公報において、エポキシ基を有する化合物の重合における収縮率が低いことは、特に効果として主張されていない。
本発明の目的は、耐刷性が非常に高い平版印刷版を製版できる平版印刷原版を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)の平版印刷原版、下記(2)の平版印刷版の製版方法および下記(10)の平版印刷方法を提供する。
(1)環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版であって、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合していることを特徴とする平版印刷原版。
【0010】
(11)疎水性微粒子が画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物が疎水性微粒子に含まれている(1)に記載の平版印刷原版。
(12)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(11)に記載の平版印刷原版。
(13)マイクロカプセルが画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物がマイクロカプセルに含まれている(1)に記載の平版印刷原版。
(14)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(13)に記載の平版印刷原版。
(15)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、二個以上有するオリゴマーである(1)に記載の平版印刷原版。
(16)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、主鎖または側鎖に二個以上有するポリマーである(1)に記載の平版印刷原版。
(17)画像形成層が、さらに光熱変換剤を含む(1)に記載の平版印刷原版。
【0011】
(2)環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなり、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している平版印刷原版を画像状に加熱して、酸発生剤から酸を発生させ、環状エーテル化合物を開環重合させる工程、そして、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程からなる平版印刷版の製版方法。
(21)疎水性微粒子が画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物が疎水性微粒子に含まれている(2)に記載の製版方法。
(22)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(21)に記載の製版方法。
(23)マイクロカプセルが画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物がマイクロカプセルに含まれている(2)に記載の製版方法。
(24)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(23)に記載の製版方法。
(25)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、二個以上有するオリゴマーである(2)に記載の製版方法。
(26)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、主鎖または側鎖に二個以上有するポリマーである(2)に記載の製版方法。
(27)画像形成層がさらに光熱変換剤を含み、レーザー光で走査することにより平版印刷原版を画像状に加熱する(2)に記載の製版方法。
【0012】
(3)環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなり、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している平版印刷原版を画像状に加熱して、酸発生剤から酸を発生させ、環状エーテル化合物を開環重合させる工程、平版印刷原版を印刷機に装着して印刷機を稼動させ、湿し水、油性インク、または擦りにより加熱していない部分の画像形成層を除去し、これにより平版印刷版を製版する工程、さらに湿し水と油性インクとを供給し、製版された平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷方法。
【0013】
(31)疎水性微粒子が画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物が疎水性微粒子に含まれている(3)に記載の平版印刷方法。
(32)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(31)に記載の平版印刷方法。
(33)マイクロカプセルが画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物がマイクロカプセルに含まれている(3)に記載の平版印刷方法。
(34)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(33)に記載の平版印刷方法。
(35)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、二個以上有するオリゴマーである(3)に記載の平版印刷方法。
(36)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、主鎖または側鎖に二個以上有するポリマーである(3)に記載の平版印刷方法。
(37)画像形成層がさらに光熱変換剤を含み、レーザー光で走査することにより平版印刷原版を画像状に加熱する(3)に記載の平版印刷方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
[環状エーテル化合物]
本発明に用いる環状エーテル化合物は、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有する。環状エーテル結合とは、エーテル結合を構成する二個の炭素原子と一個の酸素原子が、いずれも環の構成原子である(環の置換基の構成原子ではない)ことを意味する。
上記二個の環は、少なくとも一個の炭素原子を共有する。そして、二個の環が共有する一個の炭素原子は、少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個(三個または四個)の酸素原子と直接結合している。
なお、以上の定義の関係から、二つの環が共有する原子の数は、一個(スピロ構造)または三個以上(ビシクロ構造または橋架け構造)である。言い換えると、二つの環が共有する原子の数は、二個(縮合構造)ではない。
【0015】
以上の定義を有する環状エーテル化合物は、「ネットワークポリマー」Vol.23、No.1(2002)に、非収縮性機能団をもつビニルモノマーとして記載されている。上記定義の環状エーテル構造が、非収縮性機能団に相当する。
好ましい環状エーテル構造は、下記式(I)で定義される。
【0016】
【化1】
【0017】
式(I)において、L1 は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせであり、L2 は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせ、若しくは、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせと、それよりも末端(E)側に存在する酸素原子との組み合わせであり、Eは、L2 の末端であって、三個の酸素原子と直接結合している炭素原子に結合するか、あるいはL1 に含まれる炭素原子と結合する。
L2 が、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせと、それよりも末端(E)側に存在する酸素原子との組み合わせである場合は、下記式で定義される。
−L20−O−E−
式中、L20は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせであり、Eは、三個の酸素原子と直接結合している炭素原子に結合するか、あるいはL1 に含まれる炭素原子と結合する末端である。
Eが、三個の酸素原子と直接結合している炭素原子に結合する場合、二つの環はスピロ構造の関係なる。一方、Eが、L1 に含まれる炭素原子と結合する場合、二つの環はビシクロ構造または橋架け構造の関係になる。
【0018】
二価の脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基が最も好ましい。
二価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至30が好ましく、1乃至20がより好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10がさらにまた好ましく、1乃至6が最も好ましい。
【0019】
二価の脂肪族基(置換アルキレン基、置換アルケニレン基、置換アルキニレン基)の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メルカプト、アミノ、カルバモイルオキシ、ウレイド、ホルミル、カルボキシル、カルバモイル、スルホ、スルフィナモイル、スルファモイル、ホスホノ、ホスホノオキシ、シアノ、ニトロ、シリル、トリヒドロキシシリル、ボリル、ジヒドロキシボリル、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−S−S−R、−NH−R、−N(−R)2 、−O−CO−R、−O−CO−NH−R、−O−CO−N(−R)2 、−O−SO2 −R、−S−CO−R、−NH−CO−R、−N(−R)−CO−R、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(−R)2 、−N(−R)−CO−NH−R、−N(−R)−CO−N(−R)2 、−NH−CO−O−R、−N(−R)−CO−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−CO−NH−R、−CO−N(−R)2 、−SO−R、−SO2 −R、−SO2 −O−R、−SO−NH−R、−SO−N(−R)2 、−SO2 −NH−R、−SO2 −N(−R)2 、−PO(OH)−O−R、−PO(−O−R)2 、−O−PO(OH)−O−R、−O−PO(−O−R)2 、−Si(−R)3 、−Si(O−R)3 、−B(−R)2 およびB(−R)−OHが含まれる。上記Rは、それぞれ独立に、一価の脂肪族基または一価の芳香族基である。アニオン性またはカチオン性の置換基は、解離していても、対イオンと共に塩を形成していてもよい。
置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メルカプト、−O−R、−S−R、−O−CO−Rおよび芳香族基が好ましい。
【0020】
二価の芳香族基は、アリーレン基または置換アリーレン基を意味する。
アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンが好ましく、フェニレンがさらに好ましく、o−フェニレンが最も好ましい。
置換アリーレン基のアリーレン部分は、上記アリーレン基と同様である。置換アリーレン基の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、一価の脂肪族基が含まれる。
【0021】
一価の脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基を意味する。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基および置換アルケニル基が好ましく、アルキル基、置換アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基が最も好ましい。
一価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。
一価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至30が好ましく、1乃至20がより好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10がさらにまた好ましく、1乃至6が最も好ましい。
一価の脂肪族基(置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基)の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例と同様である。
【0022】
一価の芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。
アリール基は、フェニルまたはナフチルが好ましく、フェニルがさらに好ましい。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、一価の脂肪族基が含まれる。
一価の複素環基は、無置換複素環基と置換複素環基とを含む。
複素環基の複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。複素環の複素原子には、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が含まれることが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環は、芳香族性を有することが好ましい。
複素環基の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、一価の脂肪族基が含まれる。
【0023】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(I)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、二個以上の環状エーテル構造を有するオリゴマーまたはポリマーを用いることができる。ポリマーの場合、上記式(I)で定義される環状エーテル構造は、主鎖または側鎖に導入できる。
環状エーテル構造は、下記式(II)で定義される(スピロオルトエステルである)ことが好ましい。
【0024】
【化2】
【0025】
式(II)において、L3 およびL4 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせである。
二価の脂肪族基および二価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。
以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を一つ有する化合物(モノマー)の例を示す。
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(II)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、化合物中に、式(II)で定義される環状エーテル構造が二個以上存在してもよい。以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を二個以上有する化合物(オリゴマー)の例を示す。
【0039】
【化15】
【0040】
ポリマーの主鎖または側鎖が、式(II)で定義される環状エーテル構造を有していてもよい。
ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリチオエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
主鎖を構成する炭素原子の二つの置換基が結合して、式(II)で定義される環状エーテル構造の一方の環を形成することができる。また、ポリマーの主鎖と、式(II)で定義される環状エーテル構造とが、単結合または二価の連結基を介して結合してもよい。二価の連結基は、−CO−、−O−、二価の脂肪族基またはそれらの組み合わせであることが好ましい。二価の脂肪族基の定義および例は、式(I)における二価の脂肪族基と同様である。
以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】
【化20】
【0046】
【化21】
【0047】
ポリマーは、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位一種類のみからなるホモポリマーであってもよい。また、ポリマーは、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーであってもよい。さらに、ポリマーは、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するコポリマーであってもよい。
以下に、他の繰り返し単位の例を示す。
【0048】
【化22】
【0049】
【化23】
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
【化28】
【0055】
【化29】
【0056】
【化30】
【0057】
【化31】
【0058】
【化32】
【0059】
【化33】
【0060】
【化34】
【0061】
【化35】
【0062】
【化36】
【0063】
【化37】
【0064】
【化38】
【0065】
【化39】
【0066】
【化40】
【0067】
【化41】
【0068】
【化42】
【0069】
他の繰り返し単位には、後述する式(III)または(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位も含まれる。
以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するポリマーの例を、繰り返し単位の例示番号を引用して示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0070】
P−1:−(II−61)50− −(V−1)50−
P−2:−(II−62)22− −(V−1)68− −(V−55)10−
P−3:−(II−63)40− −(II−64)35− −(V−57)25−
P−4:−(II−71)60− −(V−6)40−
P−5:−(II−71)80− −(V−4)10− −(V−20)10−
P−6:−(II−72)45− −(V−1)25− −(V−16)30−
P−7:−(II−72)30− −(V−8)20− −(V−18)50−
P−8:−(II−73)45− −(V−10)35− −(V−56)20−
P−9:−(II−73)50− −(V−22)20− −(V−51)30−
P−10:−(II−74)60− −(V−28)20− −(V−53)20−
P−11:−(II−74)25− −(II−75)25− −(V−23)50−
P−12:−(II−75)60− −(V−28)20− −(V−54)20−
P−13:−(II−75)50− −(V−26)40− −(V−55)10−
P−14:−(II−75)45− −(II−76)40− −(V−56)15−
P−15:−(II−76)40− −(V−4)30− −(V−8)30−
P−16:−(II−76)50− −(V−4)20− −(V−52)20−
−(V−57)10−
【0071】
環状エーテル構造は、下記式(III)で定義される(スピロオルトカルボネートである)ことも好ましい。
【0072】
【化43】
【0073】
式(III)において、L5 およびL6 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせである。
二価の脂肪族基および二価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。
以下に、式(III)で定義される環状エーテル構造を一つ有する化合物(モノマー)の例を示す。
【0074】
【化44】
【0075】
【化45】
【0076】
【化46】
【0077】
【化47】
【0078】
【化48】
【0079】
【化49】
【0080】
【化50】
【0081】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(III)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、化合物中に、式(III)で定義される環状エーテル構造が二個以上存在してもよい。
【0082】
ポリマーの主鎖または側鎖が、式(III)で定義される環状エーテル構造を有していてもよい。
ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリチオエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
主鎖を構成する炭素原子の二つの置換基が結合して、式(III)で定義される環状エーテル構造の一方の環を形成することができる。また、ポリマーの主鎖と、式(III)で定義される環状エーテル構造とが、単結合または二価の連結基を介して結合してもよい。二価の連結基は、−CO−、−O−、二価の脂肪族基またはそれらの組み合わせであることが好ましい。二価の脂肪族基の定義および例は、式(I)における二価の脂肪族基と同様である。
以下に、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0083】
【化51】
【0084】
【化52】
【0085】
【化53】
【0086】
ポリマーは、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位一種類のみからなるホモポリマーであってもよい。また、ポリマーは、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーであってもよい。さらに、ポリマーは、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するコポリマーであってもよい。他の繰り返し単位の例は、式(II)で説明した他の繰り返し単位の例と同様である。
【0087】
他の繰り返し単位には、先述した式(II)または後述する式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位も含まれる。
以下に、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するポリマーの例を、繰り返し単位の例示番号を引用して示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0088】
P−101:−(III−61)60− −(V−1)25− −(V−57)15−
P−102:−(III−61)80− −(V−53)10− −(V−54)10−
P−103:−(III−91)50− −(V−71)50−
P−104:−(III−91)30− −(V−72)50− −(V−73)20−
P−105:−(III−91)35− −(V−71)10− −(V−72)40−
−(V−74)15−
【0089】
環状エーテル構造は、下記式(IV)で定義される(ビシクロオルトエステルである)ことも好ましい。
【0090】
【化54】
【0091】
式(IV)において、L7 、L8 およびL9 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせである。
二価の脂肪族基および二価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。ただし、式(IV)では、L7 、L8 およびL9 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素原子数が1乃至3のアルキレン基であることがさらにまた好ましく、メチレンであることが最も好ましい。
式(IV)において、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、一価の脂肪族基または一価の芳香族基である。
一価の脂肪族基および一価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。ただし、式(IV)では、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子または一価の脂肪族基であることが好ましい。
下記式(IV−a)で定義されるビシクロオルトエステル構造が特に好ましい。
【0092】
【化55】
【0093】
式(IV−a)において、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、水素原子、一価の脂肪族基または一価の芳香族基である。一価の脂肪族基および一価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。ただし、式(IV−a)では、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、水素原子または一価の脂肪族基であることが好ましい。
以下に、式(IV)で定義される環状エーテル構造を一つ有する化合物(モノマー)の例を示す。
【0094】
【化56】
【0095】
【化57】
【0096】
【化58】
【0097】
【化59】
【0098】
【化60】
【0099】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(IV)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、化合物中に、式(IV)で定義される環状エーテル構造が二個以上存在してもよい。
【0100】
ポリマーの主鎖または側鎖が、式(IV)で定義される環状エーテル構造を有していてもよい。
ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリチオエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
主鎖を構成する炭素原子の二つの置換基が結合して、式(IV)で定義される環状エーテル構造の一方の環を形成することができる。また、ポリマーの主鎖と、式(IV)で定義される環状エーテル構造とが、単結合または二価の連結基を介して結合してもよい。二価の連結基は、−CO−、−O−、二価の脂肪族基またはそれらの組み合わせであることが好ましい。二価の脂肪族基の定義および例は、式(I)における二価の脂肪族基と同様である。
以下に、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0101】
【化61】
【0102】
【化62】
【0103】
ポリマーは、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位一種類のみからなるホモポリマーであってもよい。また、ポリマーは、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーであってもよい。さらに、ポリマーは、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するコポリマーであってもよい。
他の繰り返し単位の例は、式(II)で説明した他の繰り返し単位の例と同様である。
【0104】
他の繰り返し単位には、先述した式(II)または(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位も含まれる。
以下に、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するポリマーの例を、繰り返し単位の例示番号を引用して示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0105】
P−201:−(IV−61)60− −(V−51)20− −(V−53)20−
P−202:−(IV−62)85− −(V−54)10− −(V−56)5 −
P−203:−(IV−62)75− −(V−1)20− −(V−57)5 −
P−204:−(IV−71)60− −(V−21)30− −(V−57)10−
P−205:−(IV−71)40− −(IV−72)40− −(V−17)20−
P−206:−(IV−72)30− −(V−16)30− −(V−20)20−
−(V−23)20−
【0106】
環状エーテル化合物がポリマーである場合、質量平均分子量は、1000乃至100万であることが好ましく、2000乃至50万であることがより好ましく、5000乃至20万であることがさらに好ましく、1万乃至10万であることが最も好ましい。
環状エーテル化合物の添加量は、画像形成層全固形分の10乃至80質量%が好ましく、15乃至70質量%がより好ましく、20乃至60質量%がさらに好ましく、25乃至50質量%が最も好ましい。
【0107】
[感熱性酸発生剤]
感熱性酸発生剤は、加熱すると酸を発生する化合物からなる。発生した酸は、環状エーテル化合物の重合反応を開始もしくは促進する。
感熱性酸発生剤は、画像形成層に添加する。環状エーテル化合物を、画像形成層中に分散させた微粒子またはマイクロカプセルに添加する場合(後述)は、感熱性酸発生剤も、微粒子またはマイクロカプセルに添加することが好ましい。
感熱性酸発生剤は、オニウム塩であることが好ましい。
【0108】
感熱性酸発生剤の例には、ジアゾニウム塩(S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載)、アンモニウム塩(米国特許4069055号、同4069056号、同再発行27992号の各明細書および特開平4−365049号公報に記載)、ホスホニウム塩(D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad,Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許4069055号、同4069056号の各明細書に記載)、ヨードニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許104143号、米国特許339049号、同410201号の各明細書、特開平2−150848号、同2−296514号の各公報に記載)、スルホニウム塩(J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivel.lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979) 、欧州特許370693号、同3902114号、同233567号、同297443号、同297442号、米国特許4933377号、同161811号、同410201号、同339049号、同4760013号、同4734444号、同2833827号、独国特許2904626号、同3604580号、同3604581号の各明細書に記載)、セレノニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivel lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載)、およびアルソニウム塩(C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載)が含まれる。
【0109】
オニウム塩の対アニオンの例には、BF4 −、PF6 −、AsF6 −およびSbF6 −が含まれる。
感熱性酸発生剤の添加量は、画像形成層全固形分の0.01乃至20質量%が好ましく、0.1乃至10質量%がさらに好ましい。
【0110】
[疎水性ポリマー]
平版印刷原版の画像形成層は、疎水性ポリマーを含むことができる。環状エーテル化合物がモノマーである場合、疎水性ポリマーは環状エーテル化合物のバインダーとして機能する。なお、環状エーテル化合物がポリマーである場合は、環状エーテル化合物そのものが、疎水性ポリマーとして機能できる。
疎水性ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。炭化水素またはポリウレタンを含む主鎖が特に好ましい。
【0111】
疎水性ポリマーの主鎖は、置換基を有することができる。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノ、リン酸エステル基、シアノ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO−R、−NH−R、−N(−R)2 、−N+ (−R)3 、−CO−O−R、−O−CO−R、−CO−NH−R、−NH−CO−Rおよび−P(=O)(−O−R)2 が含まれる。上記Rは、それぞれ、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノおよびリン酸エステル基は、水素原子が解離していても、塩の状態になっていてもよい。
主鎖の複数の置換基が結合して、脂肪族環または複素環を形成してもよい。形成される環は、主鎖とスピロ結合の結合の関係になっていてもよい。形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、上記主鎖の置換基に加えて、オキソ(=O)が含まれる。
【0112】
アルカリ性溶出液で処理することにより加熱していない部分の画像形成層を除去する場合、疎水性ポリマーは、酸性基を有することが好ましい。酸性基は、疎水性ポリマーをコポリマーとして、一部の繰り返し単位に導入することが好ましい。酸性基は、カルボキシルまたはカルボン酸無水物が好ましい。
疎水性ポリマーの分子量は、質量平均で、5百乃至100万であることが好ましく、千乃至50万であることがより好ましく、2千乃至20万であることがさらに好ましく、5千乃至10万であることが最も好ましい。
環状エーテル化合物とは別に疎水性ポリマーを用いる場合、疎水性ポリマーは、画像形成層に5乃至90質量%含まれていることが好ましく、30乃至80質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0113】
[微粒子およびマイクロカプセル]
環状エーテル化合物を含む微粒子を画像形成層に分散させることができる。微粒子は、疎水性ポリマー(環状エーテル化合物がポリマーである場合を含む)を用いて形成できる。
疎水性ポリマーから微粒子を形成する場合、疎水性ポリマーを乳化重合反応で合成することが好ましい。乳化重合反応であると、疎水性ポリマーの合成と同時に微粒子を形成することができる。乳化重合反応は、ラテックスの製造に一般に用いられている反応条件を採用すればよい。
均質な微粒子を形成するため、乳化重合反応において界面活性剤を使用することが好ましい。カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。界面活性剤の使用量は、モノマーの総量の0.01乃至10質量%であることが好ましい。
重合反応は、重合開始剤(連鎖移動剤)を用いることが好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマーの総量の0.05乃至10質量%であることが好ましい。
【0114】
微粒子は、5乃至500nmの粒子サイズを有することが好ましく、10乃至300nmの粒子サイズを有することがさらに好ましい。粒子サイズ分布は、なるべく均一であることが好ましい。
二種類以上の微粒子を混合して用いてもよい。
疎水性ポリマー微粒子は、疎水性ポリマーを有機溶媒(好ましくは、水と混和しない有機溶媒)に溶解し、これを分散剤を含む水溶液中と混合して乳化し、さらに熱を加えて、有機溶媒を除去しながら微粒子状に固化させることによって製造することもできる。
【0115】
環状エーテル化合物を含むマイクロカプセルを、画像形成層に分散することもできる。
マイクロカプセルは、公知のコアセルベーション法(米国特許2800457号、同2800458号の各明細書記載)、界面重合法(英国特許990443号、米国特許3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号の各公報記載)、ポリマー析出法(米国特許3418250号、同3660304号の各明細書記載)、イソシアネート・ポリオール壁形成法(米国特許3796669号明細書記載)、イソシアネート壁形成法(米国特許3914511号明細書記載)、尿素・ホルムアルデヒド壁もしくは尿素・ホルムアルデヒド−レゾルシノール壁形成法(米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号の各明細書記載)、メラミン−ホルムアルデヒド壁もしくはヒドロキシセルロース壁形成法(米国特許4025445号明細書記載)、モノマー重合によるin situ 法(特公昭36−9163号、同51−9079号の各明細書記載)、スプレードライング法(英国特許930422号、米国特許3111407号の各明細書記載)、あるいは電解分散冷却法(英国特許952807号、同967074号の各明細書記載)により製造できる。
【0116】
マイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤することが好ましい。そのためには、マイクロカプセルの壁材として、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。ポリウレアおよびポリウレタンが特に好ましい。マイクロカプセル壁に、上記の疎水性ポリマーを用いてもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、0.01乃至20μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.10乃至1.0μmが最も好ましい。
マイクロカプセルは、カプセル同志が熱により融合してもよい。すなわち、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したもの、または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせば良い。
二種類以上のマイクロカプセルを併用してもよい。
微粒子またはマイクロカプセルの画像形成層への添加量は、固形分換算で、10乃至80質量%であることが好ましく、15乃至60質量%であることがさらに好ましい。
【0117】
マイクロカプセルを画像形成層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
溶剤としては、アルコール、エーテル、アセタール、エステル、ケトン、多価アルコール、アミド、アミン、脂肪酸を用いることができる。好ましい溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドが含まれる。二種類以上の溶剤を併用してもよい。
溶剤の添加量は、塗布液の5乃至95質量%が好ましく、10乃至90質量%がさらに好ましく、15乃至85質量%が最も好ましい。
【0118】
[親水性ポリマー]
環状エーテル化合物を微粒子またはマイクロカプセルに添加して使用する場合、親水性ポリマーを微粒子またはマイクロカプセルのバインダーとして画像形成層で使用することが好ましい。
親水性ポリマーの親水性基としては、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、アミノまたはアミド結合が好ましい。カルボキシルおよびスルホは、塩の状態であってもよい。
親水性ポリマーとしては、様々な天然または半合成ポリマーあるいは合成ポリマーが使用できる。
天然または半合成ポリマーとしては、多糖類(例、アラビアゴム、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム)またはタンパク質(例、カゼイン、ゼラチン)を用いることができる。
【0119】
ヒドロキシルを親水性基として有する合成ポリマーの例には、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルアクリレート、ポリヒドロキシブチルメタクリレート、ポリヒドロキシブチルアクリレート、ポリアリルアルコール、ポリビニルアルコールおよびポリ−N−メチロールアクリルアミドが含まれる。
カルボキシルを親水性基として有する合成ポリマーの例には、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの塩が含まれる。
その他の親水性基(例、アミノ、多数のエーテル結合、親水性複素環基、アミド結合、スルホ)を有する合成ポリマーの例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩が含まれる。
【0120】
親水性合成ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーを用いてもよい。親水性合成ポリマーの繰り返し単位と、疎水性合成ポリマー(例、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン)の繰り返し単位とを含むコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマーおよびビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)が含まれる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
二種類以上の親水性ポリマーを併用してもよい。
画像形成層中に親水性ポリマーは、2乃至40質量%含まれることが好ましく、3乃至30質量%含まれることがさらに好ましい。
【0121】
[光熱変換剤]
画像形成層は、光熱変換剤を含むことが好ましい。光熱変換剤は、光を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を有する物質である。光熱変換剤は、微粒子またはマイクロカプセルの内部に存在させることができる。光熱変換剤を微粒子またはマイクロカプセルの外部(親水性バインダー中)に添加してもよい。
光熱変換剤が吸収する光の波長(最大吸収波長)は、700nm以上(赤外光)であることが特に好ましい。赤外光を吸収できる顔料、染料または金属微粒子を、光熱変換剤として好ましく用いることができる。
【0122】
赤外吸収顔料については、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載がある。
特に好ましい赤外吸収顔料は、カーボンブラックである。
赤外吸収顔料を疎水性ポリマー中または疎水性ポリマーの微粒子の内部に添加する場合は、顔料に疎水化(親油化)処理を行うことができる。疎水化処理としては、親油性樹脂を顔料表面にコートする方法がある。
赤外吸収顔料を親水性ポリマー中に分散させる場合は、顔料に親水化処理を行うことができる。親水化処理としては、親水性樹脂を顔料表面にコートする方法、界面活性剤を顔料表面に付着させる方法、あるいは、反応性物質(例、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤、エポキシ化合物、イソシアナート化合物)を顔料表面に結合させる方法を採用できる。
顔料の粒径は、0.01乃至1μmであることが好ましく、0.01乃至0.5μmであることがさらに好ましい。
顔料を親水性ポリマー中に分散させる場合、インク製造やトナー製造に用いられる公知の分散技術が適用できる。
【0123】
赤外吸収染料については、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシーに記載がある。
好ましい赤外吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−112793号、同58−224793号、同59−48187号、同59−73996号、同60−52940号、同60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許3881924号同4283475号の各明細書、特開昭57−142645号、同58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号、特公平5−13514号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58−173696号、同58−181690号、同58−194595号の各公報記載)である。
【0124】
赤外吸収染料については、米国特許4756993号、同5156938号の各明細書および特開平10−268512号公報にも記載がある。
市販の赤外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社製)を用いてもよい。
メチン染料がさらに好ましく、シアニン染料(英国特許434875号、米国特許4973572号の各明細書、特開昭58−125246号、同59−84356号、同59−216146号、同60−78787号の各公報記載)が最も好ましい。シアニン染料は、下記式で定義される。
Bo−Lo=Bs
上記式において、Bsは、塩基性核であり;Boは、塩基性核のオニウム体であり;そして、Loは、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。
赤外吸収染料の場合、Loは、7個のメチンからなるメチン鎖であることが好ましい。
【0125】
赤外吸収染料を画像形成層の親水性ポリマー中に添加する場合は、親水性の染料を用いることが好ましい。
一方、赤外吸収染料を疎水性ポリマー微粒子内に添加する場合は、比較的疎水性の染料を用いることが好ましい。
【0126】
金属は、一般に自己発熱性を有している。従って、赤外、可視または紫外領域に吸収をもつ金属、特に赤外領域に吸収をもつ金属は、光熱変換機能を有している。
金属微粒子を構成する金属は、光照射によって熱融着することが好ましい。具体的には、融点が1000℃以下であることが好ましい。
金属微粒子を構成する金属としては、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbおよびそれらの合金が好ましく、Re、Sb、Te、Ag、Au、Cu、Ge、PbおよびSnがより好ましく、Ag、Au、Cu、Sb、GeおよびPbがさらに好ましく、Ag、AuおよびCuが最も好ましい。
【0127】
合金の場合、低融点金属(例、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn)と、自己発熱性が高い金属(例、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge)とを組み合わせることもできる。また、光吸収が大きい金属(例、Ag、Pt、Pd)の微粒子と他の金属の微粒子とを組み合わせて用いることもできる。
金属微粒子は、表面を親水性化処理することによって、親水性ポリマー中に分散することが好ましい。表面親水性化処理としては、親水性物質(例、界面活性剤)による表面処理、親水性物質との表面化学反応、あるいは親水性ポリマー被膜の形成のような手段を採用できる。保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。親水性物質との表面化学反応が好ましく、表面シリケート処理が最も好ましい。鉄微粒子の表面シリケート処理では、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)水溶液に鉄微粒子を30秒浸漬する方法によって表面を充分に親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行うことができる。
金属微粒子に代えて、金属酸化物微粒子または金属硫化物微粒子を用いることもできる。
微粒子の粒径は、10μm以下であることが好ましく、0.003乃至5μmであることがさらに好ましく、0.01乃至3μmであることが最も好ましい。
光熱変換剤の画像形成層への添加量は、5乃至50質量%であることが好ましく、7乃至40質量%であることがさらに好ましく、10乃至30質量%であることが最も好ましい。
【0128】
[画像形成層の他の任意成分]
画像形成層には、画像形成後の画像部と非画像部との区別を目的として、着色剤を添加することができる。着色剤としては、可視領域に大きな吸収を有する染料または顔料を用いる。着色剤の例には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)およびメチレンブルー(CI52015)が含まれる。着色剤として用いられる染料については、特開昭62−293247号公報に記載がある。酸化チタンのような無機顔料も着色剤として用いることができる。
着色剤の添加量は、画像形成層の0.01乃至10質量%であることが好ましい。
【0129】
画像形成層に無機微粒子を添加してもよい。微粒子を構成する無機化合物は、酸化物(例、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、二酸化チタン)または金属塩(例、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム)が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、5nm乃至10μmが好ましく、10nm乃至1μmがさらに好ましい。
無機微粒子は、画像形成層に1.0乃至70質量%含まれることが好ましく、5.0乃至50質量%含まれることがさらに好ましい。
【0130】
画像形成層には、ノニオン界面活性剤(特開昭62−251740号、特開平3−208514号の各公報記載)、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(特開平2−195356号公報記載)、両性界面活性剤(特開昭59−121044号、特開平4−13149号の各公報記載)または含フッ素界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤は、画像形成層に0.05乃至15質量%含まれることが好ましく、0.1乃至5質量%含まれることがさらに好ましい。
【0131】
画像形成層に柔軟性を付与するため、可塑剤を添加してもよい。可塑剤の例には、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルおよびオレイン酸テトラヒドロフルフリルが含まれる。
可塑剤の画像形成層への添加量は、0.1乃至50質量%であることが好ましく、1乃至30質量%であることがさらに好ましい。
【0132】
[画像形成層の形成]
画像形成層は、各成分を適当な液状媒体中に溶解、分散または乳化して塗布液を調製し、支持体上に塗布し、および乾燥して液状媒体を除去することにより形成することができる。塗布液に使用する液状媒体の例には、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエンおよび水が含まれる。二種類以上の液体を混合して用いてもよい。
塗布液の全固形分濃度は、1乃至50質量%であることが好ましい。
【0133】
塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤(特開昭62−170950号公報記載)が特に好ましい。界面活性剤の添加量は、塗布液の固形分量に対して0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.05乃至0.5質量%であることがさらに好ましい。
画像形成層の乾燥塗布量は、0.5乃至5.0g/m2 であることが好ましい。
【0134】
[親水性支持体]
親水性支持体としては、金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることができる。具体的には、表面処理されたアルミニウム板、親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理された紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理されたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテレフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネートされた紙が好ましい。
【0135】
陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板またはアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市販の印刷版用アルミニウム板を用いてもよい。
アルミニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであることが好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好ましい。
【0136】
アルミニウム板表面には、粗面化処理を行うことが好ましい。粗面化処理は、機械的方法、電気化学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法またはバフ研磨法を採用できる。電気化学的方法としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記載)も利用することができる。化学的方法としては、アルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適している。
粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるように実施することが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。アルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好ましい。
【0137】
アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体の耐摩耗性を高めるために行う。
陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられる。
陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5乃至60A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、電解時間が10秒乃至5分の範囲である。
陽極酸化処理により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/m2 であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2 であることがさらに好ましい。
【0138】
[水溶性オーバーコート層]
親油性物質による画像形成層表面の汚染防止のため、画像形成層の上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。
水溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去できる材料から構成する。そのためには、水溶性の有機ポリマーから水溶性オーバーコート層を構成することが好ましい。水溶性の有機ポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、セルロースエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルローズ)、デキストリンおよびその誘導体(例、ホワイトデキストリン、酵素分解エーテル化デキストリンプルラン)が含まれる。
水溶性の有機ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)およびビニルメチルエーテル−無水マレイン酸コポリマーが含まれる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は65質量%以上であることが好ましい。
二種類以上の水溶性有機ポリマーを併用してもよい。
【0139】
オーバーコート層に、前記の光熱変換剤を添加してもよい。オーバーコート層に添加する光熱変換剤は、水溶性であることが好ましい。
オーバーコート層の塗布液には、ノニオン界面活性剤(例、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル)を添加することができる。
オーバーコート層の塗布量は、0.1乃至2.0g/m2 であることが好ましい。
【0140】
[画像状加熱工程]
平版印刷原版は、画像状に加熱して画像を形成する。直接的には、熱記録ヘッドによって、平版印刷原版を画像状に加熱できる。その場合は、光熱変換剤は不要である。
ただし、熱記録ヘッドは画像の解像度が一般に低いため、光熱変換剤を用いて画像露光による光エネルギーを熱エネルギーに変換することが望ましい。一般に、画像露光に用いる露光装置の方が、熱記録ヘッドよりも高解像度である。
露光方法には、アナログデータである原稿(オリジナル)を介しての露光と、オリジナルのデータ(通常はデジタルデータ)に対応させた走査露光とがある。
オリジナルを介しての露光では、光源としてキセノン放電灯または赤外線ランプが用いられる。キセノン放電灯のような高出力の光源を使用すれば、短時間のフラッシュ露光も可能である。
走査露光は、レーザー、特に赤外線レーザーを用いることが一般的である。赤外線の波長は、700乃至1200nmであることが好ましい。赤外線は、固体高出力赤外線レーザー(例えば、半導体レーザー、YAGレーザー)が好ましい。
【0141】
光熱変換剤を含む画像形成層にレーザーを走査露光すると、光熱変換剤によりレーザーの光エネルギーが熱エネルギーに変換される。そして、平版印刷原版の加熱部分(画像部)において、環状エーテル化合物が重合して硬化する。
これに対して、平版印刷原版の非加熱部分(非画像部)の環状エーテル化合物には変化がない。
【0142】
[製版工程および印刷工程]
画像状に加熱した平版印刷原版は、現像することにより、平版印刷版を製版できる。
画像形成層を含む均一な層である場合、画像形成層に含まれるポリマーに酸性基を導入することで、アルカリ性溶出液により非加熱部分(非画像部)を溶出することができる。
微粒子またはマイクロカプセルが画像形成層に分散している場合は、水または水性溶媒により非加熱部分(非画像部を除去することができる。ただし、非画像部を除去する処理(現像処理)を実施しなくても、画像状に加熱した平版印刷原版を直ちに印刷機に装着し、インクと湿し水を用いて通常の手順で印刷するだけでも、製版と印刷を連続して実施することができる。すなわち、平版印刷原版を印刷機に装着して、印刷機を稼動させると、湿し水、インク、または擦りにより非加熱部分(非画像部)の画像形成層を除去することができる。
なお、レーザー露光装置を有する印刷機(特許2938398号公報記載)を用いると、平版印刷原版を印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水又はインクをつけて機上現像する(露光〜印刷を連続して処理する)ことも可能である。
また、製版した印刷版をさらに全面加熱して、画像部に残存する未反応の環状エーテル化合物を反応させ、印刷版の強度(耐刷性)をさらに改善することもできる。
【0143】
【実施例】
[実施例1]
(アルミニウム支持体の作製)
99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃にて60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0144】
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃にて30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃にて30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0145】
次いで支持体と画像形成層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2 、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2 を与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃にて30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃にて30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0146】
さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2 の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2 の陽極酸化皮膜を作成した。
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2 であった。以上のように作製した支持体の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0147】
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、質量平均分子量が3.0万のポリマー(P−7)6g、下記の光熱変換剤(1)1.5g、下記の感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.5質量%、微粒子の平均粒径は0.22μmであった。
【0148】
【化63】
【0149】
【化64】
【0150】
【化65】
【0151】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、アルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0152】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)にて、300mJ/cm2 の版面エネルギー、そして2400dpiの解像度の条件で画像露光した。
次に、現像処理することなく、印刷機(SOR−M、ハイデルベルグ社製)のシリンダーに取り付け、湿し水を供給し、次にインクを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。
その結果、良好な印刷物が得られた。耐刷枚数は、43000枚であった。
【0153】
[実施例2]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、質量平均分子量が2.5万のポリマー(P−105)6g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.3質量%、微粒子の平均粒径は0.31μmであった。
【0154】
【化66】
【0155】
(画像形成層の形成)
水100gおよび微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0156】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0157】
[実施例3]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、質量平均分子量が4.2万のポリマー(P−203)6g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.7質量%、微粒子の平均粒径は0.23μmであった。
【0158】
【化67】
【0159】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0160】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0161】
[実施例4]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(II−51)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.0質量%、微粒子の平均粒径は0.28μmであった。
【0162】
(画像形成層の形成)
水100gおよび微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0163】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0164】
[実施例5]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(III−15)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.1質量%、微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
【0165】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0166】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0167】
[実施例6]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(IV−3)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.1質量%、微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
【0168】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0169】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0170】
[比較例1]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のエポキシ樹脂(エピコート1004、油化シェルエポキシ(株)製)6g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.5質量%、微粒子の平均粒径は0.20μmであった。
【0171】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0172】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0173】
[比較例2]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、下記のビニルエーテル化合物6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は14.0質量%、微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
【0174】
【化68】
【0175】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0176】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0177】
【表1】
【0178】
[実施例7]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(II−51)6g、質量平均分子量が4万のスチレン/4−ビニル安息香酸共重合体(共重合モル比=75/25)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.5質量%、微粒子の平均粒径は0.25μmであった。
【0179】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび下記の感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
【0180】
【化69】
【0181】
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0182】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第2表に示す。
【0183】
[実施例8]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(III−15)6g、質量平均分子量が4万のスチレン/4−ビニル安息香酸共重合体(共重合モル比=75/25)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.6質量%、微粒子の平均粒径は0.30μmであった。
【0184】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0185】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第2表に示す。
【0186】
[実施例9]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(IV−3)6g、質量平均分子量が4万のスチレン/4−ビニル安息香酸共重合体(共重合モル比=75/25)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.9質量%、微粒子の平均粒径は0.25μmであった。
【0187】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0188】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第2表に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
[実施例10]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(II−51)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.5質量%、微粒子の平均粒径は0.30μmであった。
【0191】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび下記の光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
【0192】
【化70】
【0193】
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0194】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第3表に示す。
【0195】
[実施例11]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(III−15)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.2質量%、微粒子の平均粒径は0.28μmであった。
【0196】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0197】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第3表に示す。
【0198】
[実施例12]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(IV−3)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.7質量%、微粒子の平均粒径は0.26μmであった。
【0199】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)および実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0200】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第3表に示す。
【0201】
【表3】
【0202】
[実施例13]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル40gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(II−51)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.2質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.31μmであった。
【0203】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0204】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0205】
[実施例14]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(III−15)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.36μmであった。
【0206】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0207】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0208】
[実施例15]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(IV−3)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.8質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.35μmであった。
【0209】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0210】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0211】
[実施例16]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例1で用いたポリマー(P−7)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.6質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.33μmであった。
【0212】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0213】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0214】
[実施例17]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例2で用いたポリマー(P−105)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.40μmであった。
【0215】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0216】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0217】
[実施例18]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例3で用いたポリマー(P−203)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.2質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.37μmであった。
【0218】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0219】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0220】
[比較例3]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、市販のエポキシ樹脂(エピコート1004、油化シェルエポキシ(株)製)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.1質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.46μmであった。
【0221】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0222】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0223】
[比較例4]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、比較例2で用いたビニルエーテル化合物10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.5質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.31μmであった。
【0224】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0225】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0226】
【表4】
【0227】
[実施例19]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル40gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(II−51)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.34μmであった。
【0228】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0229】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0230】
[実施例20]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(III−15)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.7質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.35μmであった。
【0231】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)および実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0232】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0233】
[実施例21]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(IV−3)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.6質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.42μmであった。
【0234】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0235】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0236】
[実施例22]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例1で用いたポリマー(P−7)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.5質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.37μmであった。
【0237】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0238】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0239】
[実施例23]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例2で用いたポリマー(P−105)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.41μmであった。
【0240】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)および実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0241】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0242】
[実施例24]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例3で用いたポリマー(P−203)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.6質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.33μmであった。
【0243】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0244】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0245】
【表5】
【0246】
[実施例25]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル40gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(II−51)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.2質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.36μmであった。
【0247】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0248】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0249】
[実施例26]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(III−15)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.7質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.32μmであった。
【0250】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0251】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0252】
[実施例27]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(IV−3)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.8質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.40μmであった。
【0253】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0254】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0255】
[実施例28]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例1で用いたポリマー(P−7)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.4質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.33μmであった。
【0256】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)および実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0257】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0258】
[実施例29]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例2で用いたポリマー(P−105)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.35μmであった。
【0259】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0260】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0261】
[実施例30]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例3で用いたポリマー(P−203)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.4質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.36μmであった。
【0262】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0263】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0264】
【表6】
【0265】
[実施例31]
(アルミニウム支持体の作製)
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いて、その表面を砂目立てし、よく水洗した。さらに、アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬して水洗した。砂目立て表面のエッチング量は、約3g/m2 であった。次に、7質量%硫酸水溶液を電解液として、電流密度15A/dm2 で、アルミニウム板に3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
【0266】
(下塗り層の形成)
作製したアルミニウム板に、下記の組成の塗布液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の下塗り層の被覆量は、10mg/m2 であった。
【0267】
【0268】
(画像形成層の形成)
下記の組成の塗布液を下塗り層の上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。乾燥後の画像形成層の被覆量は、1.3g/m2 であった。このようにして、ネガ型の平版印刷用原版を作製した。
【0269】
【0270】
【化71】
【0271】
【化72】
【0272】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)にて、300mJ/cm2 の版面エネルギー、そして2400dpiの解像度の条件で画像露光した。
露光後、140℃のオーブンで1分間加熱処理した後、市販の現像原液(DP−4、富士写真フイルム(株)製)の8倍希釈液を現像液、市販のリンス原液(FR−3、富士写真フイルム(株)製)の7倍希釈液をリンス液として仕込んだ自動現像機を通して現像処理した。
得られた印刷版を印刷機(R201、ローランド社製)に取り付け、インク(グラフG(N)、大日本インキ化学工業(株)製)を供給して、印刷した。
その結果、良好な印刷物が得られた。耐刷枚数は、220000枚であった。
【0273】
[比較例5]
画像形成層塗布液において、ポリマー(P−15)に代えて、質量平均分子量が3.8万のビニルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート共重合体(共重合モル比=40/30/30)を用いた以外は、実施例31と同様にネガ型の平版印刷原版を作製し、製版、印刷および評価した。その結果、良好な印刷物が得られたが、耐刷枚数は、40000枚であった。
【0274】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に耐刷性が高い平版印刷版を製版することができる。すなわち、本発明が採用している複数の環状エーテル構造の開環重合反応は、非常に強度が高いポリマー画像を形成することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版に関する。また、本発明は、デジタル信号に基づくレーザー光の走査露光によって画像を記録できる平版印刷版の製版方法にも関する。さらに、本発明は、印刷機上で平版印刷版を製版して、そのまま印刷できる平版印刷方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインクを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、リスフィルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液によって溶解除去することにより製版することが普通であった。
近年では、コンピュータが画像をデジタル情報として電子的に処理し、蓄積して、出力する。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理は、レーザー光のような指向性の高い活性放射線を用いる走査露光により、リスフィルムを介することなく、平版印刷原版に対して直接画像形成を行うことが望ましい。このようにデジタル画像情報からリスフィルムを介さずに印刷版を製版する技術は、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)と呼ばれている。
従来のPS版による印刷版の製版方法を、コンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術で実施しようとすると、レーザー光の波長領域と感光性樹脂の感光波長領域とが一致しないとの問題がある。
【0003】
また、従来のPS版では、露光の後、非画像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠である。さらに、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠であるという点は、従来のPS版の大きな検討課題となっている。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。
特に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心事となっている。環境への配慮からも、湿式の後処理は、簡素化するか、乾式処理に変更するか、さらには無処理化することが望ましい。
【0004】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。
このような機上現像に適した平版印刷原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
従来のPS版では、このような要求を満足することは、実質的に不可能であった。
【0005】
特許2938397号公報には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷原版が記載されている。同公報の記載によると、製版において、赤外線レーザー露光して熱可塑性疎水性重合体微粒子を熱により合体(融着)させて画像形成した後、印刷機のシリンダー上に版を取り付け、湿し水及び/またはインキを供給することにより機上現像できる。この平版印刷原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取り扱い性も有している。
しかしながら、上記のような高分子重合体粒子を露光によって生じる熱で融着、合体させる画像形成方法では、機上現像をしやすくすると耐刷力が得にくく、耐刷力を高めると機上現像性や、印刷での汚れ難さが劣化するといった、両立させるのが困難な問題があった。
【0006】
特開2002−46361号公報には、親水性支持体上に、エポキシ基を有する化合物を含有する微粒子またはエポキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂および酸前駆体を含有する画像形成層を有し、印刷機上で現像可能な平版印刷原版が開示されている。平版印刷原版を画像状に加熱すると、酸前駆体から酸が発生し、エポキシ基を有する化合物を開環重合させることができる。次に、印刷機上で加熱していない部分の画像形成層を除去する(機上現像する)ことにより、平版印刷版を製版できる。
開環重合反応により形成されるポリマー画像は、熱融着により形成される画像(特許2938397号公報記載)と比較して、基本的に耐刷力が優れており、機上現像性と耐刷力との両立も容易である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、特開2002−46361号公報に記載のエポキシ基を有する化合物について、研究を進めた。その結果、エポキシ基を有する化合物は、フォトポリマー型平版印刷原版に一般に使用されているエチレン性不飽和重合性化合物と比較して、重合における収縮率が低いとの特徴があることに気が付いた。
エチレン性不飽和重合性化合物は、重合における収縮率が10〜30%程度(例えば、スチレン:14.5%、酢酸ビニル:20.9%、メチルメタクリレート:21.2%、アクリロニトリル:31.0%)である。これに対して、エポキシ基を有する化合物は、収縮率が5〜20%程度(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:5%、スチレンオキシド:9%、エピクロルヒドリン:12%、エチレンオキシド:23%)であって、相対的に低い値になっている。
【0008】
ただし、フォトポリマー型平版印刷原版において、エチレン性不飽和重合性化合物の重合における収縮率が高いことは、特に問題とされていない。また、特開2002−46361号公報において、エポキシ基を有する化合物の重合における収縮率が低いことは、特に効果として主張されていない。
本発明の目的は、耐刷性が非常に高い平版印刷版を製版できる平版印刷原版を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)の平版印刷原版、下記(2)の平版印刷版の製版方法および下記(10)の平版印刷方法を提供する。
(1)環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版であって、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合していることを特徴とする平版印刷原版。
【0010】
(11)疎水性微粒子が画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物が疎水性微粒子に含まれている(1)に記載の平版印刷原版。
(12)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(11)に記載の平版印刷原版。
(13)マイクロカプセルが画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物がマイクロカプセルに含まれている(1)に記載の平版印刷原版。
(14)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(13)に記載の平版印刷原版。
(15)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、二個以上有するオリゴマーである(1)に記載の平版印刷原版。
(16)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、主鎖または側鎖に二個以上有するポリマーである(1)に記載の平版印刷原版。
(17)画像形成層が、さらに光熱変換剤を含む(1)に記載の平版印刷原版。
【0011】
(2)環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなり、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している平版印刷原版を画像状に加熱して、酸発生剤から酸を発生させ、環状エーテル化合物を開環重合させる工程、そして、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程からなる平版印刷版の製版方法。
(21)疎水性微粒子が画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物が疎水性微粒子に含まれている(2)に記載の製版方法。
(22)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(21)に記載の製版方法。
(23)マイクロカプセルが画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物がマイクロカプセルに含まれている(2)に記載の製版方法。
(24)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(23)に記載の製版方法。
(25)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、二個以上有するオリゴマーである(2)に記載の製版方法。
(26)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、主鎖または側鎖に二個以上有するポリマーである(2)に記載の製版方法。
(27)画像形成層がさらに光熱変換剤を含み、レーザー光で走査することにより平版印刷原版を画像状に加熱する(2)に記載の製版方法。
【0012】
(3)環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなり、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している平版印刷原版を画像状に加熱して、酸発生剤から酸を発生させ、環状エーテル化合物を開環重合させる工程、平版印刷原版を印刷機に装着して印刷機を稼動させ、湿し水、油性インク、または擦りにより加熱していない部分の画像形成層を除去し、これにより平版印刷版を製版する工程、さらに湿し水と油性インクとを供給し、製版された平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷方法。
【0013】
(31)疎水性微粒子が画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物が疎水性微粒子に含まれている(3)に記載の平版印刷方法。
(32)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(31)に記載の平版印刷方法。
(33)マイクロカプセルが画像形成層中に分散しており、環状エーテル化合物がマイクロカプセルに含まれている(3)に記載の平版印刷方法。
(34)画像形成層が、さらに親水性ポリマーをバインダーとして含む(33)に記載の平版印刷方法。
(35)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、二個以上有するオリゴマーである(3)に記載の平版印刷方法。
(36)環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している環状構造を、主鎖または側鎖に二個以上有するポリマーである(3)に記載の平版印刷方法。
(37)画像形成層がさらに光熱変換剤を含み、レーザー光で走査することにより平版印刷原版を画像状に加熱する(3)に記載の平版印刷方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
[環状エーテル化合物]
本発明に用いる環状エーテル化合物は、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有する。環状エーテル結合とは、エーテル結合を構成する二個の炭素原子と一個の酸素原子が、いずれも環の構成原子である(環の置換基の構成原子ではない)ことを意味する。
上記二個の環は、少なくとも一個の炭素原子を共有する。そして、二個の環が共有する一個の炭素原子は、少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個(三個または四個)の酸素原子と直接結合している。
なお、以上の定義の関係から、二つの環が共有する原子の数は、一個(スピロ構造)または三個以上(ビシクロ構造または橋架け構造)である。言い換えると、二つの環が共有する原子の数は、二個(縮合構造)ではない。
【0015】
以上の定義を有する環状エーテル化合物は、「ネットワークポリマー」Vol.23、No.1(2002)に、非収縮性機能団をもつビニルモノマーとして記載されている。上記定義の環状エーテル構造が、非収縮性機能団に相当する。
好ましい環状エーテル構造は、下記式(I)で定義される。
【0016】
【化1】
【0017】
式(I)において、L1 は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせであり、L2 は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせ、若しくは、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせと、それよりも末端(E)側に存在する酸素原子との組み合わせであり、Eは、L2 の末端であって、三個の酸素原子と直接結合している炭素原子に結合するか、あるいはL1 に含まれる炭素原子と結合する。
L2 が、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせと、それよりも末端(E)側に存在する酸素原子との組み合わせである場合は、下記式で定義される。
−L20−O−E−
式中、L20は、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせであり、Eは、三個の酸素原子と直接結合している炭素原子に結合するか、あるいはL1 に含まれる炭素原子と結合する末端である。
Eが、三個の酸素原子と直接結合している炭素原子に結合する場合、二つの環はスピロ構造の関係なる。一方、Eが、L1 に含まれる炭素原子と結合する場合、二つの環はビシクロ構造または橋架け構造の関係になる。
【0018】
二価の脂肪族基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基または置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基および置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基が最も好ましい。
二価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。
二価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至30が好ましく、1乃至20がより好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10がさらにまた好ましく、1乃至6が最も好ましい。
【0019】
二価の脂肪族基(置換アルキレン基、置換アルケニレン基、置換アルキニレン基)の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メルカプト、アミノ、カルバモイルオキシ、ウレイド、ホルミル、カルボキシル、カルバモイル、スルホ、スルフィナモイル、スルファモイル、ホスホノ、ホスホノオキシ、シアノ、ニトロ、シリル、トリヒドロキシシリル、ボリル、ジヒドロキシボリル、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−S−S−R、−NH−R、−N(−R)2 、−O−CO−R、−O−CO−NH−R、−O−CO−N(−R)2 、−O−SO2 −R、−S−CO−R、−NH−CO−R、−N(−R)−CO−R、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(−R)2 、−N(−R)−CO−NH−R、−N(−R)−CO−N(−R)2 、−NH−CO−O−R、−N(−R)−CO−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−CO−NH−R、−CO−N(−R)2 、−SO−R、−SO2 −R、−SO2 −O−R、−SO−NH−R、−SO−N(−R)2 、−SO2 −NH−R、−SO2 −N(−R)2 、−PO(OH)−O−R、−PO(−O−R)2 、−O−PO(OH)−O−R、−O−PO(−O−R)2 、−Si(−R)3 、−Si(O−R)3 、−B(−R)2 およびB(−R)−OHが含まれる。上記Rは、それぞれ独立に、一価の脂肪族基または一価の芳香族基である。アニオン性またはカチオン性の置換基は、解離していても、対イオンと共に塩を形成していてもよい。
置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メルカプト、−O−R、−S−R、−O−CO−Rおよび芳香族基が好ましい。
【0020】
二価の芳香族基は、アリーレン基または置換アリーレン基を意味する。
アリーレン基は、フェニレンまたはナフチレンが好ましく、フェニレンがさらに好ましく、o−フェニレンが最も好ましい。
置換アリーレン基のアリーレン部分は、上記アリーレン基と同様である。置換アリーレン基の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、一価の脂肪族基が含まれる。
【0021】
一価の脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基を意味する。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基および置換アルケニル基が好ましく、アルキル基、置換アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基が最も好ましい。
一価の脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。
一価の脂肪族基の炭素原子数は、1乃至30が好ましく、1乃至20がより好ましく、1乃至15がさらに好ましく、1乃至10がさらにまた好ましく、1乃至6が最も好ましい。
一価の脂肪族基(置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基)の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例と同様である。
【0022】
一価の芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。
アリール基は、フェニルまたはナフチルが好ましく、フェニルがさらに好ましい。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、一価の脂肪族基が含まれる。
一価の複素環基は、無置換複素環基と置換複素環基とを含む。
複素環基の複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。複素環の複素原子には、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が含まれることが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。複素環は、芳香族性を有することが好ましい。
複素環基の置換基の例は、二価の脂肪族基の置換基の例に加えて、一価の脂肪族基が含まれる。
【0023】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(I)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、二個以上の環状エーテル構造を有するオリゴマーまたはポリマーを用いることができる。ポリマーの場合、上記式(I)で定義される環状エーテル構造は、主鎖または側鎖に導入できる。
環状エーテル構造は、下記式(II)で定義される(スピロオルトエステルである)ことが好ましい。
【0024】
【化2】
【0025】
式(II)において、L3 およびL4 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせである。
二価の脂肪族基および二価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。
以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を一つ有する化合物(モノマー)の例を示す。
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(II)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、化合物中に、式(II)で定義される環状エーテル構造が二個以上存在してもよい。以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を二個以上有する化合物(オリゴマー)の例を示す。
【0039】
【化15】
【0040】
ポリマーの主鎖または側鎖が、式(II)で定義される環状エーテル構造を有していてもよい。
ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリチオエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
主鎖を構成する炭素原子の二つの置換基が結合して、式(II)で定義される環状エーテル構造の一方の環を形成することができる。また、ポリマーの主鎖と、式(II)で定義される環状エーテル構造とが、単結合または二価の連結基を介して結合してもよい。二価の連結基は、−CO−、−O−、二価の脂肪族基またはそれらの組み合わせであることが好ましい。二価の脂肪族基の定義および例は、式(I)における二価の脂肪族基と同様である。
以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0041】
【化16】
【0042】
【化17】
【0043】
【化18】
【0044】
【化19】
【0045】
【化20】
【0046】
【化21】
【0047】
ポリマーは、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位一種類のみからなるホモポリマーであってもよい。また、ポリマーは、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーであってもよい。さらに、ポリマーは、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するコポリマーであってもよい。
以下に、他の繰り返し単位の例を示す。
【0048】
【化22】
【0049】
【化23】
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
【化28】
【0055】
【化29】
【0056】
【化30】
【0057】
【化31】
【0058】
【化32】
【0059】
【化33】
【0060】
【化34】
【0061】
【化35】
【0062】
【化36】
【0063】
【化37】
【0064】
【化38】
【0065】
【化39】
【0066】
【化40】
【0067】
【化41】
【0068】
【化42】
【0069】
他の繰り返し単位には、後述する式(III)または(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位も含まれる。
以下に、式(II)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するポリマーの例を、繰り返し単位の例示番号を引用して示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0070】
P−1:−(II−61)50− −(V−1)50−
P−2:−(II−62)22− −(V−1)68− −(V−55)10−
P−3:−(II−63)40− −(II−64)35− −(V−57)25−
P−4:−(II−71)60− −(V−6)40−
P−5:−(II−71)80− −(V−4)10− −(V−20)10−
P−6:−(II−72)45− −(V−1)25− −(V−16)30−
P−7:−(II−72)30− −(V−8)20− −(V−18)50−
P−8:−(II−73)45− −(V−10)35− −(V−56)20−
P−9:−(II−73)50− −(V−22)20− −(V−51)30−
P−10:−(II−74)60− −(V−28)20− −(V−53)20−
P−11:−(II−74)25− −(II−75)25− −(V−23)50−
P−12:−(II−75)60− −(V−28)20− −(V−54)20−
P−13:−(II−75)50− −(V−26)40− −(V−55)10−
P−14:−(II−75)45− −(II−76)40− −(V−56)15−
P−15:−(II−76)40− −(V−4)30− −(V−8)30−
P−16:−(II−76)50− −(V−4)20− −(V−52)20−
−(V−57)10−
【0071】
環状エーテル構造は、下記式(III)で定義される(スピロオルトカルボネートである)ことも好ましい。
【0072】
【化43】
【0073】
式(III)において、L5 およびL6 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせである。
二価の脂肪族基および二価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。
以下に、式(III)で定義される環状エーテル構造を一つ有する化合物(モノマー)の例を示す。
【0074】
【化44】
【0075】
【化45】
【0076】
【化46】
【0077】
【化47】
【0078】
【化48】
【0079】
【化49】
【0080】
【化50】
【0081】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(III)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、化合物中に、式(III)で定義される環状エーテル構造が二個以上存在してもよい。
【0082】
ポリマーの主鎖または側鎖が、式(III)で定義される環状エーテル構造を有していてもよい。
ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリチオエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
主鎖を構成する炭素原子の二つの置換基が結合して、式(III)で定義される環状エーテル構造の一方の環を形成することができる。また、ポリマーの主鎖と、式(III)で定義される環状エーテル構造とが、単結合または二価の連結基を介して結合してもよい。二価の連結基は、−CO−、−O−、二価の脂肪族基またはそれらの組み合わせであることが好ましい。二価の脂肪族基の定義および例は、式(I)における二価の脂肪族基と同様である。
以下に、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0083】
【化51】
【0084】
【化52】
【0085】
【化53】
【0086】
ポリマーは、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位一種類のみからなるホモポリマーであってもよい。また、ポリマーは、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーであってもよい。さらに、ポリマーは、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するコポリマーであってもよい。他の繰り返し単位の例は、式(II)で説明した他の繰り返し単位の例と同様である。
【0087】
他の繰り返し単位には、先述した式(II)または後述する式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位も含まれる。
以下に、式(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するポリマーの例を、繰り返し単位の例示番号を引用して示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0088】
P−101:−(III−61)60− −(V−1)25− −(V−57)15−
P−102:−(III−61)80− −(V−53)10− −(V−54)10−
P−103:−(III−91)50− −(V−71)50−
P−104:−(III−91)30− −(V−72)50− −(V−73)20−
P−105:−(III−91)35− −(V−71)10− −(V−72)40−
−(V−74)15−
【0089】
環状エーテル構造は、下記式(IV)で定義される(ビシクロオルトエステルである)ことも好ましい。
【0090】
【化54】
【0091】
式(IV)において、L7 、L8 およびL9 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基、二価の芳香族基またはそれらの組み合わせである。
二価の脂肪族基および二価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。ただし、式(IV)では、L7 、L8 およびL9 は、それぞれ独立に、二価の脂肪族基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素原子数が1乃至3のアルキレン基であることがさらにまた好ましく、メチレンであることが最も好ましい。
式(IV)において、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子、一価の脂肪族基または一価の芳香族基である。
一価の脂肪族基および一価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。ただし、式(IV)では、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子または一価の脂肪族基であることが好ましい。
下記式(IV−a)で定義されるビシクロオルトエステル構造が特に好ましい。
【0092】
【化55】
【0093】
式(IV−a)において、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、水素原子、一価の脂肪族基または一価の芳香族基である。一価の脂肪族基および一価の芳香族基の定義および例は、式(I)と同様である。ただし、式(IV−a)では、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、水素原子または一価の脂肪族基であることが好ましい。
以下に、式(IV)で定義される環状エーテル構造を一つ有する化合物(モノマー)の例を示す。
【0094】
【化56】
【0095】
【化57】
【0096】
【化58】
【0097】
【化59】
【0098】
【化60】
【0099】
二価の脂肪族基および二価の芳香族基は、上記式(IV)で定義される環状エーテル構造を置換基として有していてもよい。言い換えると、化合物中に、式(IV)で定義される環状エーテル構造が二個以上存在してもよい。
【0100】
ポリマーの主鎖または側鎖が、式(IV)で定義される環状エーテル構造を有していてもよい。
ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリチオエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。
主鎖を構成する炭素原子の二つの置換基が結合して、式(IV)で定義される環状エーテル構造の一方の環を形成することができる。また、ポリマーの主鎖と、式(IV)で定義される環状エーテル構造とが、単結合または二価の連結基を介して結合してもよい。二価の連結基は、−CO−、−O−、二価の脂肪族基またはそれらの組み合わせであることが好ましい。二価の脂肪族基の定義および例は、式(I)における二価の脂肪族基と同様である。
以下に、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位の例を示す。
【0101】
【化61】
【0102】
【化62】
【0103】
ポリマーは、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位一種類のみからなるホモポリマーであってもよい。また、ポリマーは、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーであってもよい。さらに、ポリマーは、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するコポリマーであってもよい。
他の繰り返し単位の例は、式(II)で説明した他の繰り返し単位の例と同様である。
【0104】
他の繰り返し単位には、先述した式(II)または(III)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位も含まれる。
以下に、式(IV)で定義される環状エーテル構造を含む繰り返し単位と、他の繰り返し単位とを有するポリマーの例を、繰り返し単位の例示番号を引用して示す。繰り返し単位の割合は、モル%である。
【0105】
P−201:−(IV−61)60− −(V−51)20− −(V−53)20−
P−202:−(IV−62)85− −(V−54)10− −(V−56)5 −
P−203:−(IV−62)75− −(V−1)20− −(V−57)5 −
P−204:−(IV−71)60− −(V−21)30− −(V−57)10−
P−205:−(IV−71)40− −(IV−72)40− −(V−17)20−
P−206:−(IV−72)30− −(V−16)30− −(V−20)20−
−(V−23)20−
【0106】
環状エーテル化合物がポリマーである場合、質量平均分子量は、1000乃至100万であることが好ましく、2000乃至50万であることがより好ましく、5000乃至20万であることがさらに好ましく、1万乃至10万であることが最も好ましい。
環状エーテル化合物の添加量は、画像形成層全固形分の10乃至80質量%が好ましく、15乃至70質量%がより好ましく、20乃至60質量%がさらに好ましく、25乃至50質量%が最も好ましい。
【0107】
[感熱性酸発生剤]
感熱性酸発生剤は、加熱すると酸を発生する化合物からなる。発生した酸は、環状エーテル化合物の重合反応を開始もしくは促進する。
感熱性酸発生剤は、画像形成層に添加する。環状エーテル化合物を、画像形成層中に分散させた微粒子またはマイクロカプセルに添加する場合(後述)は、感熱性酸発生剤も、微粒子またはマイクロカプセルに添加することが好ましい。
感熱性酸発生剤は、オニウム塩であることが好ましい。
【0108】
感熱性酸発生剤の例には、ジアゾニウム塩(S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載)、アンモニウム塩(米国特許4069055号、同4069056号、同再発行27992号の各明細書および特開平4−365049号公報に記載)、ホスホニウム塩(D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad,Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許4069055号、同4069056号の各明細書に記載)、ヨードニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988) 、欧州特許104143号、米国特許339049号、同410201号の各明細書、特開平2−150848号、同2−296514号の各公報に記載)、スルホニウム塩(J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivel.lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979) 、欧州特許370693号、同3902114号、同233567号、同297443号、同297442号、米国特許4933377号、同161811号、同410201号、同339049号、同4760013号、同4734444号、同2833827号、独国特許2904626号、同3604580号、同3604581号の各明細書に記載)、セレノニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivel lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載)、およびアルソニウム塩(C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載)が含まれる。
【0109】
オニウム塩の対アニオンの例には、BF4 −、PF6 −、AsF6 −およびSbF6 −が含まれる。
感熱性酸発生剤の添加量は、画像形成層全固形分の0.01乃至20質量%が好ましく、0.1乃至10質量%がさらに好ましい。
【0110】
[疎水性ポリマー]
平版印刷原版の画像形成層は、疎水性ポリマーを含むことができる。環状エーテル化合物がモノマーである場合、疎水性ポリマーは環状エーテル化合物のバインダーとして機能する。なお、環状エーテル化合物がポリマーである場合は、環状エーテル化合物そのものが、疎水性ポリマーとして機能できる。
疎水性ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれることが好ましい。炭化水素またはポリウレタンを含む主鎖が特に好ましい。
【0111】
疎水性ポリマーの主鎖は、置換基を有することができる。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノ、リン酸エステル基、シアノ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO−R、−NH−R、−N(−R)2 、−N+ (−R)3 、−CO−O−R、−O−CO−R、−CO−NH−R、−NH−CO−Rおよび−P(=O)(−O−R)2 が含まれる。上記Rは、それぞれ、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノおよびリン酸エステル基は、水素原子が解離していても、塩の状態になっていてもよい。
主鎖の複数の置換基が結合して、脂肪族環または複素環を形成してもよい。形成される環は、主鎖とスピロ結合の結合の関係になっていてもよい。形成される環は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、上記主鎖の置換基に加えて、オキソ(=O)が含まれる。
【0112】
アルカリ性溶出液で処理することにより加熱していない部分の画像形成層を除去する場合、疎水性ポリマーは、酸性基を有することが好ましい。酸性基は、疎水性ポリマーをコポリマーとして、一部の繰り返し単位に導入することが好ましい。酸性基は、カルボキシルまたはカルボン酸無水物が好ましい。
疎水性ポリマーの分子量は、質量平均で、5百乃至100万であることが好ましく、千乃至50万であることがより好ましく、2千乃至20万であることがさらに好ましく、5千乃至10万であることが最も好ましい。
環状エーテル化合物とは別に疎水性ポリマーを用いる場合、疎水性ポリマーは、画像形成層に5乃至90質量%含まれていることが好ましく、30乃至80質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0113】
[微粒子およびマイクロカプセル]
環状エーテル化合物を含む微粒子を画像形成層に分散させることができる。微粒子は、疎水性ポリマー(環状エーテル化合物がポリマーである場合を含む)を用いて形成できる。
疎水性ポリマーから微粒子を形成する場合、疎水性ポリマーを乳化重合反応で合成することが好ましい。乳化重合反応であると、疎水性ポリマーの合成と同時に微粒子を形成することができる。乳化重合反応は、ラテックスの製造に一般に用いられている反応条件を採用すればよい。
均質な微粒子を形成するため、乳化重合反応において界面活性剤を使用することが好ましい。カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。界面活性剤の使用量は、モノマーの総量の0.01乃至10質量%であることが好ましい。
重合反応は、重合開始剤(連鎖移動剤)を用いることが好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマーの総量の0.05乃至10質量%であることが好ましい。
【0114】
微粒子は、5乃至500nmの粒子サイズを有することが好ましく、10乃至300nmの粒子サイズを有することがさらに好ましい。粒子サイズ分布は、なるべく均一であることが好ましい。
二種類以上の微粒子を混合して用いてもよい。
疎水性ポリマー微粒子は、疎水性ポリマーを有機溶媒(好ましくは、水と混和しない有機溶媒)に溶解し、これを分散剤を含む水溶液中と混合して乳化し、さらに熱を加えて、有機溶媒を除去しながら微粒子状に固化させることによって製造することもできる。
【0115】
環状エーテル化合物を含むマイクロカプセルを、画像形成層に分散することもできる。
マイクロカプセルは、公知のコアセルベーション法(米国特許2800457号、同2800458号の各明細書記載)、界面重合法(英国特許990443号、米国特許3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号の各公報記載)、ポリマー析出法(米国特許3418250号、同3660304号の各明細書記載)、イソシアネート・ポリオール壁形成法(米国特許3796669号明細書記載)、イソシアネート壁形成法(米国特許3914511号明細書記載)、尿素・ホルムアルデヒド壁もしくは尿素・ホルムアルデヒド−レゾルシノール壁形成法(米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号の各明細書記載)、メラミン−ホルムアルデヒド壁もしくはヒドロキシセルロース壁形成法(米国特許4025445号明細書記載)、モノマー重合によるin situ 法(特公昭36−9163号、同51−9079号の各明細書記載)、スプレードライング法(英国特許930422号、米国特許3111407号の各明細書記載)、あるいは電解分散冷却法(英国特許952807号、同967074号の各明細書記載)により製造できる。
【0116】
マイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤することが好ましい。そのためには、マイクロカプセルの壁材として、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。ポリウレアおよびポリウレタンが特に好ましい。マイクロカプセル壁に、上記の疎水性ポリマーを用いてもよい。
マイクロカプセルの平均粒径は、0.01乃至20μmが好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、0.10乃至1.0μmが最も好ましい。
マイクロカプセルは、カプセル同志が熱により融合してもよい。すなわち、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したもの、または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせば良い。
二種類以上のマイクロカプセルを併用してもよい。
微粒子またはマイクロカプセルの画像形成層への添加量は、固形分換算で、10乃至80質量%であることが好ましく、15乃至60質量%であることがさらに好ましい。
【0117】
マイクロカプセルを画像形成層に添加する場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添加することができる。このような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
溶剤としては、アルコール、エーテル、アセタール、エステル、ケトン、多価アルコール、アミド、アミン、脂肪酸を用いることができる。好ましい溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドが含まれる。二種類以上の溶剤を併用してもよい。
溶剤の添加量は、塗布液の5乃至95質量%が好ましく、10乃至90質量%がさらに好ましく、15乃至85質量%が最も好ましい。
【0118】
[親水性ポリマー]
環状エーテル化合物を微粒子またはマイクロカプセルに添加して使用する場合、親水性ポリマーを微粒子またはマイクロカプセルのバインダーとして画像形成層で使用することが好ましい。
親水性ポリマーの親水性基としては、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、アミノまたはアミド結合が好ましい。カルボキシルおよびスルホは、塩の状態であってもよい。
親水性ポリマーとしては、様々な天然または半合成ポリマーあるいは合成ポリマーが使用できる。
天然または半合成ポリマーとしては、多糖類(例、アラビアゴム、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム)またはタンパク質(例、カゼイン、ゼラチン)を用いることができる。
【0119】
ヒドロキシルを親水性基として有する合成ポリマーの例には、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルアクリレート、ポリヒドロキシブチルメタクリレート、ポリヒドロキシブチルアクリレート、ポリアリルアルコール、ポリビニルアルコールおよびポリ−N−メチロールアクリルアミドが含まれる。
カルボキシルを親水性基として有する合成ポリマーの例には、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの塩が含まれる。
その他の親水性基(例、アミノ、多数のエーテル結合、親水性複素環基、アミド結合、スルホ)を有する合成ポリマーの例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩が含まれる。
【0120】
親水性合成ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーを用いてもよい。親水性合成ポリマーの繰り返し単位と、疎水性合成ポリマー(例、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン)の繰り返し単位とを含むコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマーおよびビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)が含まれる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
二種類以上の親水性ポリマーを併用してもよい。
画像形成層中に親水性ポリマーは、2乃至40質量%含まれることが好ましく、3乃至30質量%含まれることがさらに好ましい。
【0121】
[光熱変換剤]
画像形成層は、光熱変換剤を含むことが好ましい。光熱変換剤は、光を吸収し、光エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を有する物質である。光熱変換剤は、微粒子またはマイクロカプセルの内部に存在させることができる。光熱変換剤を微粒子またはマイクロカプセルの外部(親水性バインダー中)に添加してもよい。
光熱変換剤が吸収する光の波長(最大吸収波長)は、700nm以上(赤外光)であることが特に好ましい。赤外光を吸収できる顔料、染料または金属微粒子を、光熱変換剤として好ましく用いることができる。
【0122】
赤外吸収顔料については、カラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載がある。
特に好ましい赤外吸収顔料は、カーボンブラックである。
赤外吸収顔料を疎水性ポリマー中または疎水性ポリマーの微粒子の内部に添加する場合は、顔料に疎水化(親油化)処理を行うことができる。疎水化処理としては、親油性樹脂を顔料表面にコートする方法がある。
赤外吸収顔料を親水性ポリマー中に分散させる場合は、顔料に親水化処理を行うことができる。親水化処理としては、親水性樹脂を顔料表面にコートする方法、界面活性剤を顔料表面に付着させる方法、あるいは、反応性物質(例、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤、エポキシ化合物、イソシアナート化合物)を顔料表面に結合させる方法を採用できる。
顔料の粒径は、0.01乃至1μmであることが好ましく、0.01乃至0.5μmであることがさらに好ましい。
顔料を親水性ポリマー中に分散させる場合、インク製造やトナー製造に用いられる公知の分散技術が適用できる。
【0123】
赤外吸収染料については、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシーに記載がある。
好ましい赤外吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−112793号、同58−224793号、同59−48187号、同59−73996号、同60−52940号、同60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許3881924号同4283475号の各明細書、特開昭57−142645号、同58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号、特公平5−13514号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58−173696号、同58−181690号、同58−194595号の各公報記載)である。
【0124】
赤外吸収染料については、米国特許4756993号、同5156938号の各明細書および特開平10−268512号公報にも記載がある。
市販の赤外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社製)を用いてもよい。
メチン染料がさらに好ましく、シアニン染料(英国特許434875号、米国特許4973572号の各明細書、特開昭58−125246号、同59−84356号、同59−216146号、同60−78787号の各公報記載)が最も好ましい。シアニン染料は、下記式で定義される。
Bo−Lo=Bs
上記式において、Bsは、塩基性核であり;Boは、塩基性核のオニウム体であり;そして、Loは、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。
赤外吸収染料の場合、Loは、7個のメチンからなるメチン鎖であることが好ましい。
【0125】
赤外吸収染料を画像形成層の親水性ポリマー中に添加する場合は、親水性の染料を用いることが好ましい。
一方、赤外吸収染料を疎水性ポリマー微粒子内に添加する場合は、比較的疎水性の染料を用いることが好ましい。
【0126】
金属は、一般に自己発熱性を有している。従って、赤外、可視または紫外領域に吸収をもつ金属、特に赤外領域に吸収をもつ金属は、光熱変換機能を有している。
金属微粒子を構成する金属は、光照射によって熱融着することが好ましい。具体的には、融点が1000℃以下であることが好ましい。
金属微粒子を構成する金属としては、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbおよびそれらの合金が好ましく、Re、Sb、Te、Ag、Au、Cu、Ge、PbおよびSnがより好ましく、Ag、Au、Cu、Sb、GeおよびPbがさらに好ましく、Ag、AuおよびCuが最も好ましい。
【0127】
合金の場合、低融点金属(例、Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn)と、自己発熱性が高い金属(例、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge)とを組み合わせることもできる。また、光吸収が大きい金属(例、Ag、Pt、Pd)の微粒子と他の金属の微粒子とを組み合わせて用いることもできる。
金属微粒子は、表面を親水性化処理することによって、親水性ポリマー中に分散することが好ましい。表面親水性化処理としては、親水性物質(例、界面活性剤)による表面処理、親水性物質との表面化学反応、あるいは親水性ポリマー被膜の形成のような手段を採用できる。保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。親水性物質との表面化学反応が好ましく、表面シリケート処理が最も好ましい。鉄微粒子の表面シリケート処理では、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)水溶液に鉄微粒子を30秒浸漬する方法によって表面を充分に親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行うことができる。
金属微粒子に代えて、金属酸化物微粒子または金属硫化物微粒子を用いることもできる。
微粒子の粒径は、10μm以下であることが好ましく、0.003乃至5μmであることがさらに好ましく、0.01乃至3μmであることが最も好ましい。
光熱変換剤の画像形成層への添加量は、5乃至50質量%であることが好ましく、7乃至40質量%であることがさらに好ましく、10乃至30質量%であることが最も好ましい。
【0128】
[画像形成層の他の任意成分]
画像形成層には、画像形成後の画像部と非画像部との区別を目的として、着色剤を添加することができる。着色剤としては、可視領域に大きな吸収を有する染料または顔料を用いる。着色剤の例には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)およびメチレンブルー(CI52015)が含まれる。着色剤として用いられる染料については、特開昭62−293247号公報に記載がある。酸化チタンのような無機顔料も着色剤として用いることができる。
着色剤の添加量は、画像形成層の0.01乃至10質量%であることが好ましい。
【0129】
画像形成層に無機微粒子を添加してもよい。微粒子を構成する無機化合物は、酸化物(例、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、二酸化チタン)または金属塩(例、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム)が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、5nm乃至10μmが好ましく、10nm乃至1μmがさらに好ましい。
無機微粒子は、画像形成層に1.0乃至70質量%含まれることが好ましく、5.0乃至50質量%含まれることがさらに好ましい。
【0130】
画像形成層には、ノニオン界面活性剤(特開昭62−251740号、特開平3−208514号の各公報記載)、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(特開平2−195356号公報記載)、両性界面活性剤(特開昭59−121044号、特開平4−13149号の各公報記載)または含フッ素界面活性剤を添加することができる。
界面活性剤は、画像形成層に0.05乃至15質量%含まれることが好ましく、0.1乃至5質量%含まれることがさらに好ましい。
【0131】
画像形成層に柔軟性を付与するため、可塑剤を添加してもよい。可塑剤の例には、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルおよびオレイン酸テトラヒドロフルフリルが含まれる。
可塑剤の画像形成層への添加量は、0.1乃至50質量%であることが好ましく、1乃至30質量%であることがさらに好ましい。
【0132】
[画像形成層の形成]
画像形成層は、各成分を適当な液状媒体中に溶解、分散または乳化して塗布液を調製し、支持体上に塗布し、および乾燥して液状媒体を除去することにより形成することができる。塗布液に使用する液状媒体の例には、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエンおよび水が含まれる。二種類以上の液体を混合して用いてもよい。
塗布液の全固形分濃度は、1乃至50質量%であることが好ましい。
【0133】
塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤(特開昭62−170950号公報記載)が特に好ましい。界面活性剤の添加量は、塗布液の固形分量に対して0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.05乃至0.5質量%であることがさらに好ましい。
画像形成層の乾燥塗布量は、0.5乃至5.0g/m2 であることが好ましい。
【0134】
[親水性支持体]
親水性支持体としては、金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることができる。具体的には、表面処理されたアルミニウム板、親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理された紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理されたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテレフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネートされた紙が好ましい。
【0135】
陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に好ましい。
アルミニウム板は、純アルミニウム板またはアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市販の印刷版用アルミニウム板を用いてもよい。
アルミニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであることが好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好ましい。
【0136】
アルミニウム板表面には、粗面化処理を行うことが好ましい。粗面化処理は、機械的方法、電気化学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法またはバフ研磨法を採用できる。電気化学的方法としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記載)も利用することができる。化学的方法としては、アルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適している。
粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるように実施することが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。アルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好ましい。
【0137】
アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体の耐摩耗性を高めるために行う。
陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられる。
陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5乃至60A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、電解時間が10秒乃至5分の範囲である。
陽極酸化処理により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/m2 であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2 であることがさらに好ましい。
【0138】
[水溶性オーバーコート層]
親油性物質による画像形成層表面の汚染防止のため、画像形成層の上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。
水溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去できる材料から構成する。そのためには、水溶性の有機ポリマーから水溶性オーバーコート層を構成することが好ましい。水溶性の有機ポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、セルロースエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルローズ)、デキストリンおよびその誘導体(例、ホワイトデキストリン、酵素分解エーテル化デキストリンプルラン)が含まれる。
水溶性の有機ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有するコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)およびビニルメチルエーテル−無水マレイン酸コポリマーが含まれる。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化度は65質量%以上であることが好ましい。
二種類以上の水溶性有機ポリマーを併用してもよい。
【0139】
オーバーコート層に、前記の光熱変換剤を添加してもよい。オーバーコート層に添加する光熱変換剤は、水溶性であることが好ましい。
オーバーコート層の塗布液には、ノニオン界面活性剤(例、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル)を添加することができる。
オーバーコート層の塗布量は、0.1乃至2.0g/m2 であることが好ましい。
【0140】
[画像状加熱工程]
平版印刷原版は、画像状に加熱して画像を形成する。直接的には、熱記録ヘッドによって、平版印刷原版を画像状に加熱できる。その場合は、光熱変換剤は不要である。
ただし、熱記録ヘッドは画像の解像度が一般に低いため、光熱変換剤を用いて画像露光による光エネルギーを熱エネルギーに変換することが望ましい。一般に、画像露光に用いる露光装置の方が、熱記録ヘッドよりも高解像度である。
露光方法には、アナログデータである原稿(オリジナル)を介しての露光と、オリジナルのデータ(通常はデジタルデータ)に対応させた走査露光とがある。
オリジナルを介しての露光では、光源としてキセノン放電灯または赤外線ランプが用いられる。キセノン放電灯のような高出力の光源を使用すれば、短時間のフラッシュ露光も可能である。
走査露光は、レーザー、特に赤外線レーザーを用いることが一般的である。赤外線の波長は、700乃至1200nmであることが好ましい。赤外線は、固体高出力赤外線レーザー(例えば、半導体レーザー、YAGレーザー)が好ましい。
【0141】
光熱変換剤を含む画像形成層にレーザーを走査露光すると、光熱変換剤によりレーザーの光エネルギーが熱エネルギーに変換される。そして、平版印刷原版の加熱部分(画像部)において、環状エーテル化合物が重合して硬化する。
これに対して、平版印刷原版の非加熱部分(非画像部)の環状エーテル化合物には変化がない。
【0142】
[製版工程および印刷工程]
画像状に加熱した平版印刷原版は、現像することにより、平版印刷版を製版できる。
画像形成層を含む均一な層である場合、画像形成層に含まれるポリマーに酸性基を導入することで、アルカリ性溶出液により非加熱部分(非画像部)を溶出することができる。
微粒子またはマイクロカプセルが画像形成層に分散している場合は、水または水性溶媒により非加熱部分(非画像部を除去することができる。ただし、非画像部を除去する処理(現像処理)を実施しなくても、画像状に加熱した平版印刷原版を直ちに印刷機に装着し、インクと湿し水を用いて通常の手順で印刷するだけでも、製版と印刷を連続して実施することができる。すなわち、平版印刷原版を印刷機に装着して、印刷機を稼動させると、湿し水、インク、または擦りにより非加熱部分(非画像部)の画像形成層を除去することができる。
なお、レーザー露光装置を有する印刷機(特許2938398号公報記載)を用いると、平版印刷原版を印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水又はインクをつけて機上現像する(露光〜印刷を連続して処理する)ことも可能である。
また、製版した印刷版をさらに全面加熱して、画像部に残存する未反応の環状エーテル化合物を反応させ、印刷版の強度(耐刷性)をさらに改善することもできる。
【0143】
【実施例】
[実施例1]
(アルミニウム支持体の作製)
99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃にて60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0144】
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃にて30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃にて30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0145】
次いで支持体と画像形成層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2 、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2 を与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃にて30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃にて30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0146】
さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2 の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2 の陽極酸化皮膜を作成した。
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2 であった。以上のように作製した支持体の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0147】
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、質量平均分子量が3.0万のポリマー(P−7)6g、下記の光熱変換剤(1)1.5g、下記の感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.5質量%、微粒子の平均粒径は0.22μmであった。
【0148】
【化63】
【0149】
【化64】
【0150】
【化65】
【0151】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、アルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0152】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)にて、300mJ/cm2 の版面エネルギー、そして2400dpiの解像度の条件で画像露光した。
次に、現像処理することなく、印刷機(SOR−M、ハイデルベルグ社製)のシリンダーに取り付け、湿し水を供給し、次にインクを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。
その結果、良好な印刷物が得られた。耐刷枚数は、43000枚であった。
【0153】
[実施例2]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、質量平均分子量が2.5万のポリマー(P−105)6g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.3質量%、微粒子の平均粒径は0.31μmであった。
【0154】
【化66】
【0155】
(画像形成層の形成)
水100gおよび微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0156】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0157】
[実施例3]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、質量平均分子量が4.2万のポリマー(P−203)6g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.7質量%、微粒子の平均粒径は0.23μmであった。
【0158】
【化67】
【0159】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0160】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0161】
[実施例4]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(II−51)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.0質量%、微粒子の平均粒径は0.28μmであった。
【0162】
(画像形成層の形成)
水100gおよび微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0163】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0164】
[実施例5]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(III−15)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.1質量%、微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
【0165】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0166】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0167】
[実施例6]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(IV−3)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.1質量%、微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
【0168】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0169】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0170】
[比較例1]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のエポキシ樹脂(エピコート1004、油化シェルエポキシ(株)製)6g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.5質量%、微粒子の平均粒径は0.20μmであった。
【0171】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0172】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0173】
[比較例2]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、下記のビニルエーテル化合物6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は14.0質量%、微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
【0174】
【化68】
【0175】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0176】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第1表に示す。
【0177】
【表1】
【0178】
[実施例7]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(II−51)6g、質量平均分子量が4万のスチレン/4−ビニル安息香酸共重合体(共重合モル比=75/25)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.5質量%、微粒子の平均粒径は0.25μmであった。
【0179】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび下記の感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
【0180】
【化69】
【0181】
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0182】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第2表に示す。
【0183】
[実施例8]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(III−15)6g、質量平均分子量が4万のスチレン/4−ビニル安息香酸共重合体(共重合モル比=75/25)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.6質量%、微粒子の平均粒径は0.30μmであった。
【0184】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0185】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第2表に示す。
【0186】
[実施例9]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(IV−3)6g、質量平均分子量が4万のスチレン/4−ビニル安息香酸共重合体(共重合モル比=75/25)3g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)1.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.9質量%、微粒子の平均粒径は0.25μmであった。
【0187】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0188】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第2表に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
[実施例10]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(II−51)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.5質量%、微粒子の平均粒径は0.30μmであった。
【0191】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび下記の光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
【0192】
【化70】
【0193】
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0194】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第3表に示す。
【0195】
[実施例11]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(III−15)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は13.2質量%、微粒子の平均粒径は0.28μmであった。
【0196】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0197】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第3表に示す。
【0198】
[実施例12]
(微粒子分散液の調製)
酢酸エチル18gに、環状エーテル化合物(IV−3)6g、質量平均分子量が3万のベンジルメタクリレート/2−ヒドロキシメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比=60/20/20)3g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを溶解した。溶液を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液36gに加え、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。乳化物に、水24gを加え、60℃で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させ、微粒子分散液を調製した。分散液の固形分濃度は12.7質量%、微粒子の平均粒径は0.26μmであった。
【0199】
(画像形成層の形成)
水100g、微粒子分散液(微粒子の固形分換算で5g)および実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0200】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第3表に示す。
【0201】
【表3】
【0202】
[実施例13]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル40gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(II−51)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.2質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.31μmであった。
【0203】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0204】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0205】
[実施例14]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(III−15)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.36μmであった。
【0206】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0207】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0208】
[実施例15]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(IV−3)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.8質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.35μmであった。
【0209】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0210】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0211】
[実施例16]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例1で用いたポリマー(P−7)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.6質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.33μmであった。
【0212】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルアルコール0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0213】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0214】
[実施例17]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例2で用いたポリマー(P−105)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.40μmであった。
【0215】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0216】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0217】
[実施例18]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例3で用いたポリマー(P−203)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.2質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.37μmであった。
【0218】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0219】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0220】
[比較例3]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、市販のエポキシ樹脂(エピコート1004、油化シェルエポキシ(株)製)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.1質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.46μmであった。
【0221】
(画像形成層の形成)
水100gおよびマイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)を混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0222】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0223】
[比較例4]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、比較例2で用いたビニルエーテル化合物10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.5質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.31μmであった。
【0224】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)およびポリビニルピロリドン0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0225】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第4表に示す。
【0226】
【表4】
【0227】
[実施例19]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル40gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(II−51)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.34μmであった。
【0228】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0229】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0230】
[実施例20]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(III−15)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.7質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.35μmであった。
【0231】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)および実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0232】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0233】
[実施例21]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(IV−3)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.6質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.42μmであった。
【0234】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0235】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0236】
[実施例22]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例1で用いたポリマー(P−7)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.5質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.37μmであった。
【0237】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0238】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0239】
[実施例23]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例2で用いたポリマー(P−105)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.41μmであった。
【0240】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)および実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0241】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0242】
[実施例24]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例3で用いたポリマー(P−203)10g、実施例1で用いた感熱性酸発生剤(1)0.5gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.6質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.33μmであった。
【0243】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例10で用いた光熱変換剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0244】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第5表に示す。
【0245】
【表5】
【0246】
[実施例25]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル40gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(II−51)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.2質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.36μmであった。
【0247】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0248】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0249】
[実施例26]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(III−15)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.7質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.32μmであった。
【0250】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0251】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0252】
[実施例27]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、環状エーテル化合物(IV−3)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.8質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.40μmであった。
【0253】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0254】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0255】
[実施例28]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例1で用いたポリマー(P−7)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.4質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.33μmであった。
【0256】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)および実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0257】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0258】
[実施例29]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例2で用いたポリマー(P−105)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は18.0質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.35μmであった。
【0259】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルアルコール0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0260】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0261】
[実施例30]
(マイクロカプセル分散液の調製)
酢酸エチル18gに、市販のイソシアナート付加物(タケネートD−110N、三井武田ケミカル(株)製)10g、市販のイソシアナートオリゴマー(MR200、日本ポリウレタン工業(株)製)8g、実施例3で用いたポリマー(P−203)10g、実施例1で用いた光熱変換剤(1)4gおよびアニオン界面活性剤(パイオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.2gを溶解して油相を得た。ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製)の4質量%水溶液80gを調製して水相とした。
油相と水相とを混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。乳化物に、テトラエチレンペンタミンの1質量%水溶液50gを加え、室温で30分、さらに65℃で3時間攪拌し、マイクロカプセル分散液を調製した。分散液の固形分濃度は17.4質量%、マイクロカプセルの平均粒径は0.36μmであった。
【0262】
(画像形成層の形成)
水100g、マイクロカプセル分散液(マイクロカプセルの固形分換算で5g)、ポリビニルピロリドン0.5gおよび実施例7で用いた感熱性酸発生剤(2)0.5gを混合して、画像形成層塗布液を調製した。
画像形成層塗布液を、実施例1で作製したアルミニウム支持体の上に塗布し、オーブンを用い80℃で90秒乾燥して、画像形成層を形成した。乾燥後の画像形成層の塗布量は、1.0g/m2 であった。
このようにして、平版印刷原版を製造した。
【0263】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版を実施例1と同様に、製版、印刷および評価した。結果は、第6表に示す。
【0264】
【表6】
【0265】
[実施例31]
(アルミニウム支持体の作製)
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−水懸濁液を用いて、その表面を砂目立てし、よく水洗した。さらに、アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬して水洗した。砂目立て表面のエッチング量は、約3g/m2 であった。次に、7質量%硫酸水溶液を電解液として、電流密度15A/dm2 で、アルミニウム板に3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥した。
【0266】
(下塗り層の形成)
作製したアルミニウム板に、下記の組成の塗布液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の下塗り層の被覆量は、10mg/m2 であった。
【0267】
【0268】
(画像形成層の形成)
下記の組成の塗布液を下塗り層の上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。乾燥後の画像形成層の被覆量は、1.3g/m2 であった。このようにして、ネガ型の平版印刷用原版を作製した。
【0269】
【0270】
【化71】
【0271】
【化72】
【0272】
(製版、印刷および評価)
作製した平版印刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)にて、300mJ/cm2 の版面エネルギー、そして2400dpiの解像度の条件で画像露光した。
露光後、140℃のオーブンで1分間加熱処理した後、市販の現像原液(DP−4、富士写真フイルム(株)製)の8倍希釈液を現像液、市販のリンス原液(FR−3、富士写真フイルム(株)製)の7倍希釈液をリンス液として仕込んだ自動現像機を通して現像処理した。
得られた印刷版を印刷機(R201、ローランド社製)に取り付け、インク(グラフG(N)、大日本インキ化学工業(株)製)を供給して、印刷した。
その結果、良好な印刷物が得られた。耐刷枚数は、220000枚であった。
【0273】
[比較例5]
画像形成層塗布液において、ポリマー(P−15)に代えて、質量平均分子量が3.8万のビニルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート共重合体(共重合モル比=40/30/30)を用いた以外は、実施例31と同様にネガ型の平版印刷原版を作製し、製版、印刷および評価した。その結果、良好な印刷物が得られたが、耐刷枚数は、40000枚であった。
【0274】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に耐刷性が高い平版印刷版を製版することができる。すなわち、本発明が採用している複数の環状エーテル構造の開環重合反応は、非常に強度が高いポリマー画像を形成することができる。
Claims (3)
- 環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなる平版印刷原版であって、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合していることを特徴とする平版印刷原版。
- 環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなり、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している平版印刷原版を画像状に加熱して、酸発生剤から酸を発生させ、環状エーテル化合物を開環重合させる工程、そして、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程からなる平版印刷版の製版方法。
- 環状エーテル化合物と感熱性酸発生剤とを含む画像形成層および親水性支持体からなり、環状エーテル化合物が、少なくとも三個の環状エーテル結合と少なくとも二個の環とを有し、二個の環が少なくとも一個の炭素原子を共有し、二個の環が共有する一個の炭素原子が少なくとも三個の環状エーテル結合に含まれる少なくとも三個の酸素原子と直接結合している平版印刷原版を画像状に加熱して、酸発生剤から酸を発生させ、環状エーテル化合物を開環重合させる工程、平版印刷原版を印刷機に装着して印刷機を稼動させ、湿し水、油性インク、または擦りにより加熱していない部分の画像形成層を除去し、これにより平版印刷版を製版する工程、さらに湿し水と油性インクとを供給し、製版された平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002255217A JP2004090435A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 平版印刷原版、平版印刷版の製版方法および平版印刷方法 |
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-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002255217A patent/JP2004090435A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007063132A (ja) * | 2005-08-29 | 2007-03-15 | Nagoya City | スピロオルソエステル、ジスピロオルソエステル、それらの合成法、及びそれらの重合物。 |
JP4617424B2 (ja) * | 2005-08-29 | 2011-01-26 | 名古屋市 | スピロオルソエステル、ジスピロオルソエステル、それらの合成法、及びそれらの重合物。 |
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