JPH115804A - 固形脱蛋白天然ゴムの製造方法 - Google Patents

固形脱蛋白天然ゴムの製造方法

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JPH115804A
JPH115804A JP16142397A JP16142397A JPH115804A JP H115804 A JPH115804 A JP H115804A JP 16142397 A JP16142397 A JP 16142397A JP 16142397 A JP16142397 A JP 16142397A JP H115804 A JPH115804 A JP H115804A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛋白質が高度に除去された固形脱蛋白天然ゴ
ムを簡単にかつ効率よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 あらかじめ蛋白質分解処理が施された天
然ゴムラテックスをホッパー26から押出機20内に注
入し、さらに凝固剤注入口28から凝固剤を注入して前
記ラテックスのゴム分を凝固させる。次いで、ゴム分を
混練して洗浄した後、排水口30で脱水し、吐出口32
から取り出された固形ゴムを乾燥させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固形脱蛋白天然ゴム
の製造方法に関し、より詳しくは、蛋白質が高度に除去
された生ゴムを効率よく得ることができる固形脱蛋白天
然ゴムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴム製品は伸びが大きい、弾性が高
い、皮膜の強さが良好である等の特徴を有しており、従
来より自動車用タイヤ、ベルト、粘着剤、接着剤等の工
業用品のほか、幅広い分野で利用されている。これらの
天然ゴム製品は、例えば、天然ゴムラテックスのゴム分
を凝固、乾燥させて生ゴムを得、この生ゴムから素練
り、各種配合剤の配合、成形、加硫等の操作を施すこと
によって製造される。
【0003】しかし、天然ゴムラテックスは蛋白質等の
非ゴム分を不純物として含有しており、前記蛋白質の種
類や含有量はラテックスの産地や産出時期等によって異
なっていることから、前記生ゴムの品質や加硫特性等に
はばらつきが生じるという問題がある。また、生ゴム中
に蛋白質が含まれると、生ゴムのクリープ特性、耐老化
性等の機械特性や絶縁性等の電気特性に悪影響を及ぼす
という問題がある。具体的には、生ゴムの蛋白質含有量
が少ないほど、低モジュラス、低ヒステリシス損失、高
破断強度、低吸水性、高撥水性等の特性を有する天然ゴ
ム製品が得られることが知られている。さらに、手術用
ゴム手袋等の、人体と直接接触する天然ゴム製品におい
ては、上記蛋白質が原因となってアレルギーが引き起こ
されるという問題もある。
【0004】そこで、上記の問題点に鑑み、蛋白質が高
度に除去された固形脱蛋白天然ゴムを得ることが重要と
なっている。従来より、固形脱蛋白天然ゴムを得る方法
には、(i) 天然ゴムラテックスのゴム分を数%に希釈
し、酸を添加して放置した後、ラテックスの上層に浮き
上がった凝集ゴムを回収して乾燥させる方法が採られて
いる。
【0005】この他にも、例えば(ii)天然ゴムラテック
スにアルカリ溶液を加えて加熱してラテックス中の蛋白
質を分解した後、希釈し、凝固剤を添加してゴム分を凝
固させ、乾燥させる方法(凝固法、米国特許19479
49号公報参照)、(iii) 天然ゴムラテックスに酵素を
加えて蛋白質分解処理を施し、遠心分離により分解蛋白
質を除去した後、凝固剤を添加して凝固させたゴム分を
乾燥させる方法(マレーシア特許1366934号)、
(iv)酵素による蛋白質分解処理と遠心分離による分解蛋
白質の除去とを施した後、曇点の低い試薬を添加して加
熱することによりゴム分を固形化させ、乾燥させる方法
(感熱法、同特許1484342号公報参照)、(v) 天
然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤とを加え
て蛋白質を分解し、希釈、遠心分離により分解蛋白質を
洗浄除去した後、上記凝固法または感熱法を用いてゴム
分を取り出し、乾燥させる方法(特開平6−32200
4号公報、特開平6−322005号公報参照)等が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
上記(i) に記載の方法では、蛋白質の除去が不十分にな
るほか、凝集ゴムを回収するのにかなりの場所と時間と
が必要になる。また、上記(ii)〜(v) に記載の方法で
は、蛋白質の分解処理は充分に行われるものの、分解蛋
白質を除去するためにラテックスを希釈し、次いで遠心
分離にて濃縮するといった洗浄操作を繰り返し行う必要
がある。この結果、製造工程が複雑になり、かつ固形脱
蛋白天然ゴムの製造にかなりの場所、時間およびエネル
ギーが必要となるため、歩留りの低下や製造コストの上
昇といった問題が生じる。
【0007】そこで本発明の目的は、上記の技術的課題
を解決し、蛋白質が高度に除去された固形脱蛋白天然ゴ
ムを簡単にかつ効率よく得ることができる固形脱蛋白天
然ゴムの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、押出機内に、
あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴムラテックス
と凝固剤とを注入して、連続的に押し出しながら、前記
天然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と、水の注
入による洗浄とをこの順に行ったときは、前記ラテック
ス中の分解蛋白質等を高度に除去して、窒素含有量が
0.05%以下にまで低減された固形脱蛋白天然ゴムを
簡単にかつ効率よく得ることができ、モジュラス、ヒス
テリシスロス、破断強度、撥水性等の機械的特性と電気
的特性とに優れ、かつアレルギーの発現するおそれがな
い固形脱蛋白天然ゴムが得られるという新たな事実を見
出し、本発明を完成するに至った。
【0009】また、本発明の他の固形脱蛋白天然ゴムの
製造方法は、あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴ
ムラテックスを希釈した後、該ラテックスと凝固剤とを
押出機内に注入して、連続的に押し出しながら、前記天
然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と洗浄とをこ
の順に行うことにより、窒素含有量を0.05%以下に
まで低減させることを特徴とする。
【0010】上記本発明の製造方法によれば、押出機内
に天然ゴムラテックスと凝固剤とを注入し、混練しなが
ら前記ラテックスのゴム分の凝固と洗浄とを行うことに
よって、分解蛋白質等が高度に洗浄除去された固形ゴム
を得ることができる。また、ゴム分の凝固と分解蛋白質
等の洗浄除去とは押出機内にて連続的に行われることか
ら、固形脱蛋白天然ゴムを製造するのに巨大な製造設備
が必要でなく、製造時間や必要なエネルギーを削減でき
る。従って、本発明によれば、蛋白質が高度に除去され
た固形脱蛋白天然ゴムを効率よく製造することができ
る。
【0011】本発明においては、上記の方法にて天然ゴ
ムラテックスに含まれるゴム分の凝固と洗浄とを行った
後、さらに押出機にて、シリンダ内の温度を100〜1
80℃に設定して前記ゴム分を乾燥させることにより、
固形脱蛋白天然ゴムをより一層効率よく得ることがで
き、生産性が高めることができる。また、本発明におい
ては、前記ゴム分を効率よく混練するという観点から、
二軸押出機を使用するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の固形脱蛋白天然ゴ
ムの製造方法について詳細に説明する。本発明におい
て、天然ゴムラテックスに含まれるゴム分を凝固させか
つ洗浄する際に用いる押出機の一例を図1に示す。前記
押出機20は、スクリュー22とシリンダ(バレル)2
4とからなるものであって、前記シリンダ24には、ホ
ッパー26、凝固剤注入口28、排水口30および吐出
口32が設けられている。
【0013】押出機20は、スクリュー22が1本の一
軸押出機またはスクリューが2本の二軸押出機のいずれ
であってもよいが、混練機能や押出性能に優れ、かつ含
水物であってもスリップすることなく押出と混練が可能
な二軸押出機を用いるのが好ましい。二軸押出機には、
2本のスクリューが同方向に回転するものと異なる方向
に回転するものとがあるが、本発明にはいずれも使用可
能である。
【0014】スクリュー22の直径Dは30〜315m
m、好ましくは30〜80mmであるのが適当である。
スクリュー22の全長Lと直径Dの比L/Dは30〜6
0、好ましくは36〜50であるのが適当である。本発
明の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法は以下のとおりであ
る。まず、蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテック
スをホッパー26から押出機20内に注入した後、凝固
剤注入口28から注入した凝固剤とともにスクリュー2
2で混練して、前記ラテックス中のゴム分を凝固させ
る。次いで、そのまま前記ゴム分を吐出口32側に移動
させ、必要に応じて注水口34から水を注入して、ゴム
分を洗浄し、排水口30において脱水する。その際、前
記天然ゴムラテックス中に残存する分解蛋白質や余剰の
凝固剤が水分とともに除去される。脱水後、吐出口32
から取り出された固形ゴムを乾燥させることによって、
固形脱蛋白天然ゴムが得られる。なお、上記排水口30
は、ゴム固形分を排出せずに水分および凝固剤等の不純
物のみを排出させるべく、スリット状に形成されてい
る。また、スリットに代えて、パンチングプレートであ
ってもよい。
【0015】本発明において、ホッパー26から注入さ
れる天然ゴムラテックスは、ゴム分の濃度が5〜60重
量%、好ましくは10〜40重量%に調整されたものを
用いるのが適当である。ラテックス中のゴム分の濃度が
上記範囲を超えると、ラテックスの粘度が高くなって安
定性が低下するため、取扱いが困難になる。逆にラテッ
クス中のゴム分の濃度が上記範囲を下回ると、生産効率
が低下するおそれがある。
【0016】天然ゴムラテックスの注入量は、使用する
押出機20の大きさに応じて設定されるものであるが、
例えばスクリューの直径Dが30〜80mmで、スクリ
ューの全長Lと直径Dとの比L/Dが36〜50の範囲
にある二軸押出機を用いる場合には、ラテックスの注入
量を100〜5000g/分、好ましくは2000〜3
000g/分に設定するのが適当である。また、かかる
二軸押出機において、スクリューの回転数は30〜50
0回転/分、好ましくは100〜400回転/分に設定
するのが適当である。
【0017】本発明に用いられる凝固剤としては、例え
ば多価金属塩、有機アルキルアミン塩等が使用できる。
多価金属塩の具体例としては、硝酸カルシウム、塩化カ
ルシウム、塩化亜鉛があげられる。前記例示の凝固剤は
濃度0.1〜1%程度の水溶液の状態で用いられる。凝
固剤の注入量はその濃度に応じて設定されるものである
が、例えば凝固剤の濃度が0.5%程度である場合に
は、ラテックスの総量に対して1.2倍程度に設定する
のが適当である。
【0018】本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法におい
ては、ゴム分の洗浄効率を向上させるために、凝固剤注
入口28と排水口30との間でかつゴム分の凝固がほぼ
終了する部位に注水口34を設けて、この注水口34か
ら洗浄用の水を注入してもよい。一方、蛋白質分解処理
が施された天然ゴムラテックスを充分に希釈して用いる
場合、具体的には該ラテックスにおけるゴム分の濃度が
5〜30重量%程度である場合には、注水口34から洗
浄水を注入せずにゴム分を押出しするだけでも、充分な
洗浄効果が得られる。なお、あらかじめ充分に希釈した
ラテックスを用いた場合であっても、注水口34からの
洗浄水の注入を行ってもよい。
【0019】注水口34から注入される洗浄用の水は、
洗浄効果を高めるという観点から高温であるのが好まし
く、水に代えて、水蒸気を用いてもよい。また、ラテッ
クスのゴム分が充分に凝固している場合には、凝固剤注
入口28と排水口30との間(注水口34を設ける場合
には、凝固剤注入口28と注水口34との間)に第2の
排水口36を設けて、この第2の排水口36にて脱水を
行ってもよい。
【0020】上記本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法に
おいては、前述の方法にてゴム分の凝固、洗浄および脱
水を行い、固形ゴムを得た後、当該固形ゴムを水で希釈
して、再び押出機内にて注入して洗浄を繰り返してもよ
い。この場合、固形ゴムを水で希釈し、ゴム分の濃度を
上記ラテックスの濃度と同様な範囲に設定してホッパー
26から注入した上で、前述したのと同様な方法にてゴ
ム分の洗浄を行えばよい。
【0021】ゴム分を押出機内で通過させる回数、すな
わち押出機内で洗浄する回数は、特に制限されるもので
はないが、1〜5回であるのが好ましい。洗浄回数(押
出機の通過回数)が多いほど洗浄効果が高くなるもの
の、洗浄工程が5回を超えても洗浄効果の上昇は認めら
れず、逆に製造コストが高くなる等の問題が生じる。前
述の方法により、天然ゴムラテックス中のゴム分を凝固
させ、洗浄および脱水を経て得られた固形ゴムを乾燥さ
せる方法としては、例えばバンド乾燥機による方法など
があげられる。しかし、乾燥時の熱エネルギーの損失を
削減するという観点から、前記固形ゴムを押出機内にて
混練しながら乾燥させる方法を用いるのが好ましい。こ
の方法によれば、固形脱蛋白天然ゴムを少ない熱エネル
ギーでかつ効率よく乾燥させることができる。
【0022】上記固形ゴムを乾燥させるのに用いる押出
機の一例を図2に示す。固形ゴムを乾燥させるのに用い
られる押出機40は、スクリュー42とシリンダ(バレ
ル)44とからなり、シリンダ44には、ホッパー46
と、少なくとも1つのベント口48と、吐出口50とが
設けられている。前記押出機40は、スクリュー42が
1本の一軸押出機またはスクリューが2本の二軸押出機
のいずれであってもよい。スクリュー42の直径Dは3
0〜315mm、好ましくは30〜80mmであるのが
適当である。スクリュー42の全長Lと直径Dの比L/
Dは30〜60、好ましくは36〜50であるのが適当
である。
【0023】上記押出機40を用いて固形ゴムを乾燥さ
せる方法は、以下のとおりである。まず、前記固形ゴム
をホッパー46から押出機40内に注入し、シリンダ4
4の内部の温度を100〜180℃、好ましくは130
から150℃に加温しつつ、スクリュー42を回転させ
る。こうして、前記固形ゴムを混練しながら、シリンダ
44内を吐出口50側に移動させる。その際、ベント口
48を開けて蒸気を排出させる。こうして、吐出口50
にて、水分が充分に取り除かれた固形脱蛋白天然ゴムが
得られる。
【0024】スクリュー42の回転数は、使用する押出
機40の大きさや乾燥条件に応じて設定されるものであ
るが、例えばスクリューの直径Dが30〜80mm、ス
クリューの全長Lと直径Dとの比L/Dが36〜50の
範囲にある二軸押出機を用いる場合には、スクリューの
回転数を10〜300回転/分、好ましくは30〜30
0回転/分の範囲で設定するのが適当である。
【0025】シリンダ44の内部の温度が上記範囲を下
回ると、凝固物を完全に乾燥させることができない。逆
に、温度が上記範囲を超えると、ゴムの分子量が低下し
て、機械特性等が低下するおそれがある。また、スクリ
ュー42の回転数が上記範囲を下回ると、シリンダ44
内での固形ゴムの滞留時間が長くなるため、ゴムの分子
量が低下したり、乾燥の効率が低下してしまう。逆に、
回転数が上記範囲を超えると、固形ゴムを完全に乾燥さ
せることができなくなる。
【0026】次に、本発明に用いられる天然ゴムラテッ
クスについて詳細に説明する。本発明に用いられる天然
ゴムラテックスはあらかじめ蛋白質分解処理が施された
ものであって、原料となる天然ゴムラテックスには、市
販のアンモニア処理ラテックスや新鮮なフィールドラテ
ックスのいずれも使用可能である。上記蛋白質分解処理
は、例えば天然ゴムラテックス中に蛋白質分解酵素(プ
ロテアーゼ)と1種または2種以上の界面活性剤とを添
加し、酵素反応を進行させることによって行われる。こ
の酵素反応により、ゴム粒子に結合または吸着している
蛋白質は分解または低分子化されてゴムから離脱する。
界面活性剤は、前記蛋白質がゴムから離脱するのを助け
るとともに、蛋白質が分解されたことによって水中で不
安定になったゴム粒子を安定に分散させ、さらには遠心
分離による洗浄工程で蛋白質等の不純物の洗浄除去を助
けるために用いられる。
【0027】蛋白質分解酵素としては従来公知のものが
使用可能であり、特に限定されないが、例えばアルカリ
プロテアーゼ等が好適に用いられる。プロテアーゼの由
来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母
由来のもの等のいずれでも構わないが、これらの中では
細菌由来のものを使用するのが好ましい。また、リパー
ゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラー
ゼ等の酵素を併用してもよい。
【0028】上記蛋白質分解酵素の添加量は、天然ゴム
ラテックスの固形分100重量部に対して0.0001
〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部であ
る。界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、スル
ホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イ
オン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンエーテル系、
ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪
酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリ
コシド系等の非イオン性界面活性剤;アミノ酸型、ベタ
イン型、アミンオキサイド型等の両性イオン界面活性剤
が使用可能である。
【0029】本発明において、界面活性剤の添加量は、
ラテックスのゴム固形分100重量部に対して0.00
1〜20重量部である。蛋白質分解処理の処理時間は特
に限定されないが、数分から1週間程度行うことが好ま
しい。蛋白質分解処理中、ラテックスは攪拌していても
よく、静置していてもよい。温度調節は必要に応じてす
ればよいが、処理に適当な温度としては5〜90℃、よ
り好ましくは20〜60℃である。処理温度が90℃を
超えると酵素の失活が早く、5℃未満であれば酵素の反
応が進行しにくくなる。
【0030】上記例示の蛋白質分解処理によれば、天然
ゴムラテックス中の蛋白質を安定して、かつ充分に分解
することが可能である。従って、上記の方法にて蛋白質
分解処理が施された天然ゴムラテックスは、本発明の固
形脱蛋白天然ゴムの製造に好適に用いられる。なお、本
発明に開示の押出機を用いた方法は、通常の天然ゴムラ
テックスまたはすでに蛋白質が分解除去された精製天然
ゴムラテックスを単に固形化する操作にも応用できる。
【0031】
【実施例】以下、参考例、実施例および比較例をあげて
本発明を説明する。 参考例1 (天然ゴムラテックスの蛋白質分解処理)天然ゴムのハ
イアンモニアラテックス(ゴム固形分60.7重量%、
アンモニア含有量0.7%、ケルダール法による窒素含
有率0.3%)に対し、プロテアーゼ(蛋白質分解酵
素、花王(株)製のKP3939)0.067phr
と、界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸ナトリウム、花王(株)製のKP3938)1.5
phrとを添加した。このラテックスを30℃で24時
間放置した後、水で希釈することによって、ゴム固形分
の濃度が60重量%である、蛋白質分解処理が施された
天然ゴムラテックスを得た。
【0032】参考例2 上記参考例1で得られた、蛋白質分解処理が施された天
然ゴムラテックスを水で希釈して、ゴム固形分の濃度が
30重量%であるラテックスを調製した。 参考例3 上記参考例1で得られた、蛋白質分解処理が施された天
然ゴムラテックスを水で希釈して、ゴム固形分の濃度が
10重量%であるラテックスを調製した。
【0033】実施例1 固形脱蛋白天然ゴムの製造に用いる押出機としては、
(株)神戸製鋼製の二軸押出機「HYPERKTX5
9」を使用した。この押出機の断面図を図1に示す。押
出機20の各構成部分の寸法は次のとおりである。 ・スクリュー22の直径D=59mm ・スクリュー22の長さL=2592mm(L/D=4
3.9) ・ホッパー26から凝固剤注入口28までの長さL1
180mm ・凝固剤注入口28から第2の排水口36までの長さL
2 =900mm ・注水口34から排水口30までの長さL3 =990m
m ・ホッパー26から排水口30までの長さL4 =220
0mm 天然ゴムラテックスには、上記参考例1で得られたゴム
固形分が60重量%のラテックスを使用した。
【0034】このラテックスを押出機20のホッパー2
6から注入し、さらに凝固剤注入口28から0.5%硝
酸カルシウム水溶液をラテックスの1.2倍量注入し
て、スクリュー22を350回転/分で回転させて混練
した。なお、ラテックスの注入速度は2800g/分で
あった。次いで、排水口36で脱水を行い、注水口34
から23℃の水(洗浄水)を注入して洗浄を行った後、
排水口30で脱水を行い、固形ゴムを得た。
【0035】比較例1 上記参考例1で得られた固形ゴム分60重量%のラテッ
クスに、0.5%硝酸カルシウム(凝固剤)を1.2倍
量混合して、24時間放置した。放置後、生成した凝固
物(固形ゴム)の水分を絞り出し、乾燥させた。 実施例2 上記参考例2で得られたゴム固形分が30重量%のラテ
ックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてラテック
ス中のゴム分の凝固および洗浄を行い、固形ゴムを得
た。
【0036】実施例3 上記実施例2で得られた固形ゴムを押出機20のホッパ
ー26からかみこませ、さらに凝固剤注入口28から2
3℃の水(洗浄水)を注入して洗浄を行った。次いで、
排水口36で脱水を行い、注水口34から再度23℃の
水(洗浄水)を注入して洗浄を行った後、排水口30で
脱水を行い、固形ゴムを得た。なお、上記の操作におい
て、スクリュー22の回転数は実施例1と同様な値に設
定した。
【0037】上記実施例3において、押出機の通過回数
は合計2回であった。 実施例4 上記実施例2と同様にして固形ゴムを得た後、上記実施
例3と同様にして、ゴム分の洗浄を4回繰り返し、固形
ゴムを得た(押出機の通過回数は合計5回であった)。
【0038】実施例5および6 注水口34から注入する洗浄用の水として85℃の温水
(実施例5)または蒸気(実施例6)を注入したほか
は、実施例2と同様にしてゴム分の凝固および洗浄を行
い、固形ゴムを得た。 比較例2 上記参考例2で得られた固形ゴム分30重量%のラテッ
クスに、0.5%硝酸カルシウム(凝固剤)を1.2倍
量混合して、24時間放置した。放置後、生成した凝固
物(固形ゴム)を前記比較例1と同様にして取り出し
た。
【0039】実施例7 ラテックスとして、上記参考例3で得られたゴム固形分
が10重量%のものを使用するとともに、注水口34か
らの洗浄水の注入を行わなかったほかは、実施例1と同
様にしてラテックス中のゴム分の凝固および洗浄を行
い、固形ゴムを得た。
【0040】上記実施例1〜7および比較例1〜2で得
られた固形ゴムについて、ケルダール法による窒素含有
量(N%)を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1から明らかなように、比較例1〜2で
得られた固形ゴムは、いずれも窒素含有量(N%)が高
い。これに対し、実施例1〜7で得られた固形ゴムは、
いずれも窒素含有量(N%)が低く、分解蛋白質が高度
に除去されている。 実施例8 固形ゴムを乾燥させる押出機としては、二軸押出機「H
YPERKTX59」(前出)におけるスクリューとシ
リンダの組合せを変えたものを使用した。この押出機の
断面図を図2に示す。押出機40の各構成部分の寸法は
次のとおりである。 ・スクリュー直径D=59mm ・スクリューの長さL=2592mm(L/D=43.
9) 上記実施例2で得られた固形ゴムを上記押出機40のホ
ッパー46から注入し、シリンダ44の温度を150℃
に設定し、さらにスクリュー42の回転数を100回転
/分に設定して固形ゴムを混練し、乾燥させて、固形脱
蛋白天然ゴムを得た。
【0043】比較例3 シリンダ44の温度を80℃としたほかは、実施例8と
同様にして固形ゴムを乾燥させて、固形脱蛋白天然ゴム
を得た。こうして得られた固形脱蛋白天然ゴムにおける
水含有率(%)を求め、乾燥の度合いを評価した。その
結果を表2に示す。
【0044】なお、実施例2で得られた固形ゴムの、そ
のままの状態での水含有率(%)は29.1%であった
(ブランク)。実施例8および比較例3における水含有
率(%)の結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2から明らかなように、実施例8で得ら
れた固形脱蛋白天然ゴムは水含有率が0%であって、完
全に水分が除去されている。一方、比較例3の水含有率
では、実用に適さない。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の固形脱蛋
白天然ゴムの製造方法によれば、押出機を用いて、窒素
含有量が0.05%以下にまで高度に除去された固形脱
蛋白天然ゴムを高い生産性でもって効率よく、かつ安価
に提供することができるという効果がある。
【0048】本発明によって得られた固形脱蛋白天然ゴ
ムは、低モジュラス、低ヒステリシスロス、高破断強
度、高撥水性等の機械的特性や電気的特性に優れた天然
ゴムとして、広範囲に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる押出機の一例を示す断面図
である。
【図2】本発明において、固形ゴムを乾燥させるのに用
いられる押出機の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
20 押出機 24 シリンダ 40 押出機 44 シリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 信近 英男 兵庫県神戸市西区竜ヶ岡4−6−1県住 902

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】押出機内に、あらかじめ蛋白質分解処理を
    施した天然ゴムラテックスと凝固剤とを注入して、連続
    的に押し出しながら、前記天然ゴムラテックスに含まれ
    るゴム分の凝固と、水の注入による洗浄とをこの順に行
    うことにより、窒素含有量を0.05%以下にまで低減
    させることを特徴とする固形脱蛋白天然ゴムの製造方
    法。
  2. 【請求項2】あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴ
    ムラテックスを希釈した後、該ラテックスと凝固剤とを
    押出機内に注入して、連続的に押し出しながら、前記天
    然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と洗浄とをこ
    の順に行うことにより、窒素含有量を0.05%以下に
    まで低減させることを特徴とする固形脱蛋白天然ゴムの
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記ゴム分の凝固と洗浄とを行った後、さ
    らに押出機にて、シリンダ内の温度を100〜180℃
    に設定してゴム分を乾燥させる請求項1または2記載の
    固形脱蛋白天然ゴムの製造方法。
  4. 【請求項4】前記押出機が二軸押出機である請求項1〜
    3のいずれかに記載の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2016136453A1 (ja) * 2015-02-26 2017-11-30 住友ゴム工業株式会社 マスターバッチの製造方法、該製造方法により得られるマスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

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US10428188B2 (en) 2015-02-26 2019-10-01 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Method for producing master batch, master batch obtained by said production method, rubber composition for tire, and pneumatic tire

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