JP3714773B2 - 固形脱蛋白天然ゴムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固形脱蛋白天然ゴムの製造方法に関し、より詳しくは、蛋白質が高度に除去された生ゴムを効率よく得ることができる固形脱蛋白天然ゴムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴム製品は伸びが大きい、弾性が高い、皮膜の強さが良好である等の特徴を有しており、従来より自動車用タイヤ、ベルト、粘着剤、接着剤等の工業用品のほか、幅広い分野で利用されている。これらの天然ゴム製品は、例えば、天然ゴムラテックスのゴム分を凝固、乾燥させて生ゴムを得、この生ゴムから素練り、各種配合剤の配合、成形、加硫等の操作を施すことによって製造される。
【0003】
しかし、天然ゴムラテックスは蛋白質等の非ゴム分を不純物として含有しており、前記蛋白質の種類や含有量はラテックスの産地や産出時期等によって異なっていることから、前記生ゴムの品質や加硫特性等にはばらつきが生じるという問題がある。
また、生ゴム中に蛋白質が含まれると、生ゴムのクリープ特性、耐老化性等の機械特性や絶縁性等の電気特性に悪影響を及ぼすという問題がある。具体的には、生ゴムの蛋白質含有量が少ないほど、低モジュラス、低ヒステリシス損失、高破断強度、低吸水性、高撥水性等の特性を有する天然ゴム製品が得られることが知られている。さらに、手術用ゴム手袋等の、人体と直接接触する天然ゴム製品においては、上記蛋白質が原因となってアレルギーが引き起こされるという問題もある。
【0004】
そこで、上記の問題点に鑑み、蛋白質が高度に除去された固形脱蛋白天然ゴムを得ることが重要となっている。
従来より、固形脱蛋白天然ゴムを得る方法には、(i) 天然ゴムラテックスのゴム分を数%に希釈し、酸を添加して放置した後、ラテックスの上層に浮き上がった凝集ゴムを回収して乾燥させる方法が採られている。
【0005】
この他にも、例えば(ii)天然ゴムラテックスにアルカリ溶液を加えて加熱してラテックス中の蛋白質を分解した後、希釈し、凝固剤を添加してゴム分を凝固させ、乾燥させる方法(凝固法、米国特許1947949号公報参照)、(iii) 天然ゴムラテックスに酵素を加えて蛋白質分解処理を施し、遠心分離により分解蛋白質を除去した後、凝固剤を添加して凝固させたゴム分を乾燥させる方法(マレーシア特許1366934号)、(iv)酵素による蛋白質分解処理と遠心分離による分解蛋白質の除去とを施した後、曇点の低い試薬を添加して加熱することによりゴム分を固形化させ、乾燥させる方法(感熱法、同特許1484342号公報参照)、(v) 天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤とを加えて蛋白質を分解し、希釈、遠心分離により分解蛋白質を洗浄除去した後、上記凝固法または感熱法を用いてゴム分を取り出し、乾燥させる方法(特開平6−322004号公報、特開平6−322005号公報参照)等が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば上記(i) に記載の方法では、蛋白質の除去が不十分になるほか、凝集ゴムを回収するのにかなりの場所と時間とが必要になる。また、上記(ii)〜(v) に記載の方法では、蛋白質の分解処理は充分に行われるものの、分解蛋白質を除去するためにラテックスを希釈し、次いで遠心分離にて濃縮するといった洗浄操作を繰り返し行う必要がある。この結果、製造工程が複雑になり、かつ固形脱蛋白天然ゴムの製造にかなりの場所、時間およびエネルギーが必要となるため、歩留りの低下や製造コストの上昇といった問題が生じる。
【0007】
そこで本発明の目的は、上記の技術的課題を解決し、蛋白質が高度に除去された固形脱蛋白天然ゴムを簡単にかつ効率よく得ることができる固形脱蛋白天然ゴムの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、押出機内に、あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴムラテックスと凝固剤とを注入して、連続的に押し出しながら、前記天然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と、水の注入による洗浄とをこの順に行ったときは、前記ラテックス中の分解蛋白質等を高度に除去して、窒素含有量が0.05%以下にまで低減された固形脱蛋白天然ゴムを簡単にかつ効率よく得ることができ、モジュラス、ヒステリシスロス、破断強度、撥水性等の機械的特性と電気的特性とに優れ、かつアレルギーの発現するおそれがない固形脱蛋白天然ゴムが得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
また、本発明の他の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法は、あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴムラテックスを希釈した後、該ラテックスと凝固剤とを押出機内に注入して、連続的に押し出しながら、前記天然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と洗浄とをこの順に行うことにより、窒素含有量を0.05%以下にまで低減させることを特徴とする。
【0010】
上記本発明の製造方法によれば、押出機内に天然ゴムラテックスと凝固剤とを注入し、混練しながら前記ラテックスのゴム分の凝固と洗浄とを行うことによって、分解蛋白質等が高度に洗浄除去された固形ゴムを得ることができる。また、ゴム分の凝固と分解蛋白質等の洗浄除去とは押出機内にて連続的に行われることから、固形脱蛋白天然ゴムを製造するのに巨大な製造設備が必要でなく、製造時間や必要なエネルギーを削減できる。従って、本発明によれば、蛋白質が高度に除去された固形脱蛋白天然ゴムを効率よく製造することができる。
【0011】
本発明においては、上記の方法にて天然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と洗浄とを行った後、さらに押出機にて、シリンダ内の温度を100〜180℃に設定して前記ゴム分を乾燥させることにより、固形脱蛋白天然ゴムをより一層効率よく得ることができ、生産性が高めることができる。
また、本発明においては、前記ゴム分を効率よく混練するという観点から、二軸押出機を使用するのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法について詳細に説明する。
本発明において、天然ゴムラテックスに含まれるゴム分を凝固させかつ洗浄する際に用いる押出機の一例を図1に示す。
前記押出機20は、スクリュー22とシリンダ(バレル)24とからなるものであって、前記シリンダ24には、ホッパー26、凝固剤注入口28、排水口30および吐出口32が設けられている。
【0013】
押出機20は、スクリュー22が1本の一軸押出機またはスクリューが2本の二軸押出機のいずれであってもよいが、混練機能や押出性能に優れ、かつ含水物であってもスリップすることなく押出と混練が可能な二軸押出機を用いるのが好ましい。二軸押出機には、2本のスクリューが同方向に回転するものと異なる方向に回転するものとがあるが、本発明にはいずれも使用可能である。
【0014】
スクリュー22の直径Dは30〜315mm、好ましくは30〜80mmであるのが適当である。スクリュー22の全長Lと直径Dの比L/Dは30〜60、好ましくは36〜50であるのが適当である。
本発明の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法は以下のとおりである。まず、蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテックスをホッパー26から押出機20内に注入した後、凝固剤注入口28から注入した凝固剤とともにスクリュー22で混練して、前記ラテックス中のゴム分を凝固させる。次いで、そのまま前記ゴム分を吐出口32側に移動させ、必要に応じて注水口34から水を注入して、ゴム分を洗浄し、排水口30において脱水する。その際、前記天然ゴムラテックス中に残存する分解蛋白質や余剰の凝固剤が水分とともに除去される。脱水後、吐出口32から取り出された固形ゴムを乾燥させることによって、固形脱蛋白天然ゴムが得られる。なお、上記排水口30は、ゴム固形分を排出せずに水分および凝固剤等の不純物のみを排出させるべく、スリット状に形成されている。また、スリットに代えて、パンチングプレートであってもよい。
【0015】
本発明において、ホッパー26から注入される天然ゴムラテックスは、ゴム分の濃度が5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%に調整されたものを用いるのが適当である。ラテックス中のゴム分の濃度が上記範囲を超えると、ラテックスの粘度が高くなって安定性が低下するため、取扱いが困難になる。逆にラテックス中のゴム分の濃度が上記範囲を下回ると、生産効率が低下するおそれがある。
【0016】
天然ゴムラテックスの注入量は、使用する押出機20の大きさに応じて設定されるものであるが、例えばスクリューの直径Dが30〜80mmで、スクリューの全長Lと直径Dとの比L/Dが36〜50の範囲にある二軸押出機を用いる場合には、ラテックスの注入量を100〜5000g/分、好ましくは2000〜3000g/分に設定するのが適当である。また、かかる二軸押出機において、スクリューの回転数は30〜500回転/分、好ましくは100〜400回転/分に設定するのが適当である。
【0017】
本発明に用いられる凝固剤としては、例えば多価金属塩、有機アルキルアミン塩等が使用できる。多価金属塩の具体例としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛があげられる。前記例示の凝固剤は濃度0.1〜1%程度の水溶液の状態で用いられる。凝固剤の注入量はその濃度に応じて設定されるものであるが、例えば凝固剤の濃度が0.5%程度である場合には、ラテックスの総量に対して1.2倍程度に設定するのが適当である。
【0018】
本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法においては、ゴム分の洗浄効率を向上させるために、凝固剤注入口28と排水口30との間でかつゴム分の凝固がほぼ終了する部位に注水口34を設けて、この注水口34から洗浄用の水を注入してもよい。一方、蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテックスを充分に希釈して用いる場合、具体的には該ラテックスにおけるゴム分の濃度が5〜30重量%程度である場合には、注水口34から洗浄水を注入せずにゴム分を押出しするだけでも、充分な洗浄効果が得られる。なお、あらかじめ充分に希釈したラテックスを用いた場合であっても、注水口34からの洗浄水の注入を行ってもよい。
【0019】
注水口34から注入される洗浄用の水は、洗浄効果を高めるという観点から高温であるのが好ましく、水に代えて、水蒸気を用いてもよい。
また、ラテックスのゴム分が充分に凝固している場合には、凝固剤注入口28と排水口30との間(注水口34を設ける場合には、凝固剤注入口28と注水口34との間)に第2の排水口36を設けて、この第2の排水口36にて脱水を行ってもよい。
【0020】
上記本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法においては、前述の方法にてゴム分の凝固、洗浄および脱水を行い、固形ゴムを得た後、当該固形ゴムを水で希釈して、再び押出機内にて注入して洗浄を繰り返してもよい。
この場合、固形ゴムを水で希釈し、ゴム分の濃度を上記ラテックスの濃度と同様な範囲に設定してホッパー26から注入した上で、前述したのと同様な方法にてゴム分の洗浄を行えばよい。
【0021】
ゴム分を押出機内で通過させる回数、すなわち押出機内で洗浄する回数は、特に制限されるものではないが、1〜5回であるのが好ましい。洗浄回数(押出機の通過回数)が多いほど洗浄効果が高くなるものの、洗浄工程が5回を超えても洗浄効果の上昇は認められず、逆に製造コストが高くなる等の問題が生じる。
前述の方法により、天然ゴムラテックス中のゴム分を凝固させ、洗浄および脱水を経て得られた固形ゴムを乾燥させる方法としては、例えばバンド乾燥機による方法などがあげられる。しかし、乾燥時の熱エネルギーの損失を削減するという観点から、前記固形ゴムを押出機内にて混練しながら乾燥させる方法を用いるのが好ましい。この方法によれば、固形脱蛋白天然ゴムを少ない熱エネルギーでかつ効率よく乾燥させることができる。
【0022】
上記固形ゴムを乾燥させるのに用いる押出機の一例を図2に示す。
固形ゴムを乾燥させるのに用いられる押出機40は、スクリュー42とシリンダ(バレル)44とからなり、シリンダ44には、ホッパー46と、少なくとも1つのベント口48と、吐出口50とが設けられている。
前記押出機40は、スクリュー42が1本の一軸押出機またはスクリューが2本の二軸押出機のいずれであってもよい。スクリュー42の直径Dは30〜315mm、好ましくは30〜80mmであるのが適当である。スクリュー42の全長Lと直径Dの比L/Dは30〜60、好ましくは36〜50であるのが適当である。
【0023】
上記押出機40を用いて固形ゴムを乾燥させる方法は、以下のとおりである。まず、前記固形ゴムをホッパー46から押出機40内に注入し、シリンダ44の内部の温度を100〜180℃、好ましくは130から150℃に加温しつつ、スクリュー42を回転させる。こうして、前記固形ゴムを混練しながら、シリンダ44内を吐出口50側に移動させる。その際、ベント口48を開けて蒸気を排出させる。こうして、吐出口50にて、水分が充分に取り除かれた固形脱蛋白天然ゴムが得られる。
【0024】
スクリュー42の回転数は、使用する押出機40の大きさや乾燥条件に応じて設定されるものであるが、例えばスクリューの直径Dが30〜80mm、スクリューの全長Lと直径Dとの比L/Dが36〜50の範囲にある二軸押出機を用いる場合には、スクリューの回転数を10〜300回転/分、好ましくは30〜300回転/分の範囲で設定するのが適当である。
【0025】
シリンダ44の内部の温度が上記範囲を下回ると、凝固物を完全に乾燥させることができない。逆に、温度が上記範囲を超えると、ゴムの分子量が低下して、機械特性等が低下するおそれがある。
また、スクリュー42の回転数が上記範囲を下回ると、シリンダ44内での固形ゴムの滞留時間が長くなるため、ゴムの分子量が低下したり、乾燥の効率が低下してしまう。逆に、回転数が上記範囲を超えると、固形ゴムを完全に乾燥させることができなくなる。
【0026】
次に、本発明に用いられる天然ゴムラテックスについて詳細に説明する。
本発明に用いられる天然ゴムラテックスはあらかじめ蛋白質分解処理が施されたものであって、原料となる天然ゴムラテックスには、市販のアンモニア処理ラテックスや新鮮なフィールドラテックスのいずれも使用可能である。
上記蛋白質分解処理は、例えば天然ゴムラテックス中に蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)と1種または2種以上の界面活性剤とを添加し、酵素反応を進行させることによって行われる。この酵素反応により、ゴム粒子に結合または吸着している蛋白質は分解または低分子化されてゴムから離脱する。界面活性剤は、前記蛋白質がゴムから離脱するのを助けるとともに、蛋白質が分解されたことによって水中で不安定になったゴム粒子を安定に分散させ、さらには遠心分離による洗浄工程で蛋白質等の不純物の洗浄除去を助けるために用いられる。
【0027】
蛋白質分解酵素としては従来公知のものが使用可能であり、特に限定されないが、例えばアルカリプロテアーゼ等が好適に用いられる。プロテアーゼの由来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもの等のいずれでも構わないが、これらの中では細菌由来のものを使用するのが好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用してもよい。
【0028】
上記蛋白質分解酵素の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.0001〜20重量部、好ましくは0.001〜10重量部である。
界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤;アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性イオン界面活性剤が使用可能である。
【0029】
本発明において、界面活性剤の添加量は、ラテックスのゴム固形分100重量部に対して0.001〜20重量部である。
蛋白質分解処理の処理時間は特に限定されないが、数分から1週間程度行うことが好ましい。蛋白質分解処理中、ラテックスは攪拌していてもよく、静置していてもよい。温度調節は必要に応じてすればよいが、処理に適当な温度としては5〜90℃、より好ましくは20〜60℃である。処理温度が90℃を超えると酵素の失活が早く、5℃未満であれば酵素の反応が進行しにくくなる。
【0030】
上記例示の蛋白質分解処理によれば、天然ゴムラテックス中の蛋白質を安定して、かつ充分に分解することが可能である。従って、上記の方法にて蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテックスは、本発明の固形脱蛋白天然ゴムの製造に好適に用いられる。
なお、本発明に開示の押出機を用いた方法は、通常の天然ゴムラテックスまたはすでに蛋白質が分解除去された精製天然ゴムラテックスを単に固形化する操作にも応用できる。
【0031】
【実施例】
以下、参考例、実施例および比較例をあげて本発明を説明する。
参考例1
(天然ゴムラテックスの蛋白質分解処理)
天然ゴムのハイアンモニアラテックス(ゴム固形分60.7重量%、アンモニア含有量0.7%、ケルダール法による窒素含有率0.3%)に対し、プロテアーゼ(蛋白質分解酵素、花王(株)製のKP3939)0.067phrと、界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、花王(株)製のKP3938)1.5phrとを添加した。このラテックスを30℃で24時間放置した後、水で希釈することによって、ゴム固形分の濃度が60重量%である、蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテックスを得た。
【0032】
参考例2
上記参考例1で得られた、蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテックスを水で希釈して、ゴム固形分の濃度が30重量%であるラテックスを調製した。
参考例3
上記参考例1で得られた、蛋白質分解処理が施された天然ゴムラテックスを水で希釈して、ゴム固形分の濃度が10重量%であるラテックスを調製した。
【0033】
実施例1
固形脱蛋白天然ゴムの製造に用いる押出機としては、(株)神戸製鋼製の二軸押出機「HYPERKTX59」を使用した。この押出機の断面図を図1に示す。押出機20の各構成部分の寸法は次のとおりである。
・スクリュー22の直径D=59mm
・スクリュー22の長さL=2592mm(L/D=43.9)
・ホッパー26から凝固剤注入口28までの長さL1 =180mm
・凝固剤注入口28から第2の排水口36までの長さL2 =900mm
・注水口34から排水口30までの長さL3 =990mm
・ホッパー26から排水口30までの長さL4 =2200mm
天然ゴムラテックスには、上記参考例1で得られたゴム固形分が60重量%のラテックスを使用した。
【0034】
このラテックスを押出機20のホッパー26から注入し、さらに凝固剤注入口28から0.5%硝酸カルシウム水溶液をラテックスの1.2倍量注入して、スクリュー22を350回転/分で回転させて混練した。なお、ラテックスの注入速度は2800g/分であった。
次いで、排水口36で脱水を行い、注水口34から23℃の水(洗浄水)を注入して洗浄を行った後、排水口30で脱水を行い、固形ゴムを得た。
【0035】
比較例1
上記参考例1で得られた固形ゴム分60重量%のラテックスに、0.5%硝酸カルシウム(凝固剤)を1.2倍量混合して、24時間放置した。放置後、生成した凝固物(固形ゴム)の水分を絞り出し、乾燥させた。
実施例2
上記参考例2で得られたゴム固形分が30重量%のラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてラテックス中のゴム分の凝固および洗浄を行い、固形ゴムを得た。
【0036】
実施例3
上記実施例2で得られた固形ゴムを押出機20のホッパー26からかみこませ、さらに凝固剤注入口28から23℃の水(洗浄水)を注入して洗浄を行った。次いで、排水口36で脱水を行い、注水口34から再度23℃の水(洗浄水)を注入して洗浄を行った後、排水口30で脱水を行い、固形ゴムを得た。なお、上記の操作において、スクリュー22の回転数は実施例1と同様な値に設定した。
【0037】
上記実施例3において、押出機の通過回数は合計2回であった。
実施例4
上記実施例2と同様にして固形ゴムを得た後、上記実施例3と同様にして、ゴム分の洗浄を4回繰り返し、固形ゴムを得た(押出機の通過回数は合計5回であった)。
【0038】
実施例5および6
注水口34から注入する洗浄用の水として85℃の温水(実施例5)または蒸気(実施例6)を注入したほかは、実施例2と同様にしてゴム分の凝固および洗浄を行い、固形ゴムを得た。
比較例2
上記参考例2で得られた固形ゴム分30重量%のラテックスに、0.5%硝酸カルシウム(凝固剤)を1.2倍量混合して、24時間放置した。放置後、生成した凝固物(固形ゴム)を前記比較例1と同様にして取り出した。
【0039】
実施例7
ラテックスとして、上記参考例3で得られたゴム固形分が10重量%のものを使用するとともに、注水口34からの洗浄水の注入を行わなかったほかは、実施例1と同様にしてラテックス中のゴム分の凝固および洗浄を行い、固形ゴムを得た。
【0040】
上記実施例1〜7および比較例1〜2で得られた固形ゴムについて、ケルダール法による窒素含有量(N%)を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から明らかなように、比較例1〜2で得られた固形ゴムは、いずれも窒素含有量(N%)が高い。これに対し、実施例1〜7で得られた固形ゴムは、いずれも窒素含有量(N%)が低く、分解蛋白質が高度に除去されている。
実施例8
固形ゴムを乾燥させる押出機としては、二軸押出機「HYPERKTX59」(前出)におけるスクリューとシリンダの組合せを変えたものを使用した。この押出機の断面図を図2に示す。押出機40の各構成部分の寸法は次のとおりである。
・スクリュー直径D=59mm
・スクリューの長さL=2592mm(L/D=43.9)
上記実施例2で得られた固形ゴムを上記押出機40のホッパー46から注入し、シリンダ44の温度を150℃に設定し、さらにスクリュー42の回転数を100回転/分に設定して固形ゴムを混練し、乾燥させて、固形脱蛋白天然ゴムを得た。
【0043】
比較例3
シリンダ44の温度を80℃としたほかは、実施例8と同様にして固形ゴムを乾燥させて、固形脱蛋白天然ゴムを得た。
こうして得られた固形脱蛋白天然ゴムにおける水含有率(%)を求め、乾燥の度合いを評価した。その結果を表2に示す。
【0044】
なお、実施例2で得られた固形ゴムの、そのままの状態での水含有率(%)は29.1%であった(ブランク)。
実施例8および比較例3における水含有率(%)の結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2から明らかなように、実施例8で得られた固形脱蛋白天然ゴムは水含有率が0%であって、完全に水分が除去されている。一方、比較例3の水含有率では、実用に適さない。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法によれば、押出機を用いて、窒素含有量が0.05%以下にまで高度に除去された固形脱蛋白天然ゴムを高い生産性でもって効率よく、かつ安価に提供することができるという効果がある。
【0048】
本発明によって得られた固形脱蛋白天然ゴムは、低モジュラス、低ヒステリシスロス、高破断強度、高撥水性等の機械的特性や電気的特性に優れた天然ゴムとして、広範囲に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる押出機の一例を示す断面図である。
【図2】本発明において、固形ゴムを乾燥させるのに用いられる押出機の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
20 押出機
24 シリンダ
40 押出機
44 シリンダ
Claims (4)
- 押出機内に、あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴムラテックスと凝固剤とを注入して、連続的に押し出しながら、前記天然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と、水の注入による洗浄とをこの順に行うことにより、窒素含有量を0.05%以下にまで低減させることを特徴とする固形脱蛋白天然ゴムの製造方法。
- あらかじめ蛋白質分解処理を施した天然ゴムラテックスを希釈した後、該ラテックスと凝固剤とを押出機内に注入して、連続的に押し出しながら、前記天然ゴムラテックスに含まれるゴム分の凝固と洗浄とをこの順に行うことにより、窒素含有量を0.05%以下にまで低減させることを特徴とする固形脱蛋白天然ゴムの製造方法。
- 前記ゴム分の凝固と洗浄とを行った後、さらに押出機にて、シリンダ内の温度を100〜180℃に設定してゴム分を乾燥させる請求項1または2記載の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法。
- 前記押出機が二軸押出機である請求項1〜3のいずれかに記載の固形脱蛋白天然ゴムの製造方法。
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1997
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