JPH11513754A - 同時押出しモノフィラメント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、第１の樹脂からなるコア材料および第１の樹脂とは異なる第２の樹脂からなるシース材料、およびモノフィラメントの端に形成されたポケットを有する同時押出しモノフィラメントに関するものである。また、本発明は、同時押出しモノフィラメントの端に化学的あるいは機械的、または化学的および機械的手段の組合せによって同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成する方法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】 同時押出しモノフィラメント 本出願は１９９５年１０月１８日に出願された米国仮出願第 60/005,542 号の 優先権の利益を主張するものである。 発明の背景 １．発明の分野 本発明は、例えば歯ブラシ用の剛毛に使用することができる同時押出しモノフ ィラメントに関するものである。２．関連技術の説明 ナイロン６，１２またはポリエステルから製造した剛毛は典型的には円形の断 面であり、剛毛の端は角が取れている。歯ブラシに使用したとき、角が取れてい る端が好適である。なぜなら、角の取れた端を有する剛毛を使用することは柔軟 かつ固い口の組織の損傷を少なくする傾向があるためである。 発明の要旨 本発明は、第１の樹脂からなるコア（core）材料および第１の樹脂と異なる第 ２の樹脂からなるシース（sheath）材料、ならびにモノフィラメントの端に形成 したポケットを有する同時押出しモノフィラメントに関するものである。 本発明は、化学的あるいは機械的手段、または化学的および機械的手段の組み 合せにより同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成する方法にも関す る。 図面の簡単な説明 図１は、本発明に従って製造した同時押出しモノフィラメントの立断面図であ る。 図２は、図１の同時押出しモノフィラメントの上面図である。 図３は、慣用のモノフィラメントの立面図である。 図４は、図３における慣用のモノフィラメントの上面図である。 図５は、本発明の同時押出しモノフィラメントの端に形成したポケットを３１ ８倍に拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 図６は、本発明の同時押出しモノフィラメントの端に形成したポケットを５０ 倍に拡大した写真である。 図７は、本発明の同時押出しモノフィラメントの端に形成したポケットを２４ ２倍に拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 図８は、本発明の同時押出しモノフィラメントの端に形成したポケットの拡大 写真である。 図９は、本発明の同時押出しモノフィラメントの端に形成したポケットを１５ ８倍に拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 図１０は、本発明の同時押出しモノフィラメントの端に形成したポケットを４ １９倍に拡大した拡大写真である。 詳細な説明 本発明は、第１の樹脂から製造したコア材料、および第２の樹脂から製造した シース材料からなる同時押出しモノフィラメントに関するものであり、その際第 ２の樹脂は第１の樹脂と異なり、同時押出しモノフィラメントは同時押出しモノ フィラメントの端に形成したポケットを有する。かかるポケットの目的は、例え ば洗浄物質のような物質を保持するためのものであり、そのため、このモノフィ ラメントにおける洗浄物質は、洗浄物質が慣用のモノフィラメントのまるくした 端の上にある場合よりも、表面により長く接触しきれいにする。例えば、同時押 出しモノフィラメントが歯ブラシの剛毛に使用された場合、ポケットは、慣用の まるくした端を有する同時押出しモノフィラメントよりも長く歯磨き粉を歯と接 触して保持する。 ここで用いられる“コア”という用語は、断面で検討したように同時押出しモ ノフィラメントの中央部を意味する。ここで用いられる“シース”という用語は 、同時押出しモノフィラメント上のコア材料をおおう層または複数層の被覆を意 味する。 シース材料とコア材料の組合せの例としては、ナイロン６；６，６；６，１０ ；６，１２；６，９；１１；１２；６／６，６のコポリマー；ナイロン１０，１ ０；およびそれらの混合物からなるシース材料、ならびにE．I．du Pont de Nem ours and Company（Wilmington，Delaware）により商標 Hytrel（登録商標）の もとに販売されているようなコポリエステルエーテルからなるコア材料である。 シース材料とコア材料の組合せの他の例としては、ナイロン、ポリエステル、 特にポリエチレンテレフタレート（PET）またはポリブチレンテレフタレート(PB T)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、またはそれらの混合物からなるシース 材料、およびポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリスチレン、また はそれらの混合物からなるコア材料がある。 同時押出しモノフィラメントのコアまたはシースのいずれの断面の形状も限定 されるものではない。円形、三角形、正方形、五角形、六角形、長円形、裂片形 (lobate)、三眼形(triocular)、四眼形（tetraocular）またはいかなる他の形状 のいずれであってもよい。 同時押出しモノフィラメントは、米国特許第5,313,909 号に記載されているよ うな当業界で知られる慣用の方法により製造してもよい。本発明の利益を全て得 るために、コアとシースは異なる材料から製造することが重要である。 モノフィラメントにおけるポケットは機械的、あるいは化学的手段、または機 械的および化学的手段の組み合せによって作製してもよい。 モノフィラメントの端にポケットを作製するための一つの方法としては、ポケ ットを形成するために、例えば微細なステンレス鋼製のブラシを用いてモノフィ ラメントの端を浸食することである。ポリエチレン、シリコーンオイル、または タルクあるいは二酸化チタンのような鉱物添加剤といった浸食耐性添加剤をシー ス材料に添加して、コア材料が機械的手段により優先的に浸食されるようにして もよい。 ポケットを形成する他の方法としては、モノフィラメントの端にポケットを形 成するために、コア材料を溶解するかまたは分解する溶媒（シース材料にはそう でない）にモノフィラメントの端が接触するようにすることである。モノフィラ メントが溶媒に接触する時間および溶媒温度の双方がポケットの深さに影響する 。 コア材料がコポリエステルエーテルである場合、その際の適当な溶媒は塩化メ チレン、アニリン、四塩化炭素、クロロ硫酸、塩化エチル、塩化エチレン、ヒド ラジン、３７％塩酸、テトラクロロエチレン、フェノール、硝酸、硫酸または１ １０Ｆの蒸気である。これらの溶媒の大部分は、とりわけ暴露時間が短いとナイ ロンにほとんど影響しない。 コア材料がポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリスチレン、また はそれらの混合物である場合、その際の適当な溶媒はアセトンである。 シースポリマーおよびコアポリマーの他の例としては、ナイロン６，１０また はナイロン６，１２からなるシースポリマーとナイロン６またはナイロン６，６ からなるコアポリマーである。かかる同時押出しモノフィラメントに対して、希 釈した塩酸は同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成するのに使用さ れる適当な溶媒である。 本発明の同時押出しモノフィラメントの他の例としては、ナイロン６，１２か らなるシースポリマーとナイロン６，１０からなるコアポリマーである。９０％ の蟻酸水溶液は、同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成するのに使 用される適当な溶媒である。 同時押出しモノフィラメントにポケットを形成するための他の手段としては、 シースポリマーに紫外線抑制剤を添加し（コアポリマーには添加しない）、次い で同時押出しモノフィラメントを強い紫外線にさらし、同時押出しモノフィラメ ントの端のコアを優先的に分解することである。次いで同時押出しモノフィラメ ントは、必要があれば、さらに機械的処理にかけて所望の割合までポケットを形 成してもよい。 ポケットの深さは、約０．００１から０．２５０インチ（０．０２５から６． ４ミリメーター）であるのが望ましい。 同時押出しモノフィラメントの直径は約０．００１から０．１００インチ（０ ．０２５から２．５ミリメーター）であることが望ましく、同時押出しモノフィ ラメントの面積に対するコアの面積の割合は約０．１から約０．９であるのが望 ましく、好適な割合は約０．２５から約０．７５である。 モノフィラメントはタフト（tufts）状に寄り集めて、ブラシに取り付けても よい。これらのモノフィラメントを使用できるブラシの種類の例としては、歯ブ ラシ、ペイントブラシを含むが、本発明は何か特別な種類のブラシに限定される ものではなく、いかなる種類のブラシにも使用できる。 本発明の同時押出しモノフィラメントの端は、慣用の手段で粗面化することも できる。“フラッギング”という用語は、ポケットの形状を有する同時押出しモ ノフィラメントの端が、モノフィラメントの端からポケットの底まで慣用の手段 でスプリット（split）され、モノフィラメントの端に“フラッグ（flags）”と して知られるものが形成されうることを意味する。フラッグは、ポケットの凹面 部分を含み、粗面化されていない端にポケットを有する同時押出しモノフィラメ ントと同様の利点を提供する。 実施例 実施例１ Hytrel（登録商標）4056 コポリエステルエーテルからなるコアおよびナイロ ン６１２からなるシースを有する同時押出しモノフィラメントを、慣用の方法を 用いて製造した。このモノフィラメントを、紡績ライン上のコンディショナーを 通ってバックワインディング（backwinding）により１２５℃で状態調節した。 コアの断面積はモノフィラメントの全断面積の２５％であった。 これらの同時押出しモノフィラメントをタフトしてタフト歯ブラシとし、次い でモノフィラメントの端は端をまるくする慣用の手段にかけた。 ０．００３インチのステンレス鋼製の剛毛を有する微細なステンレス鋼製のブ ラシを使用して、約２〜３分の間にわたってタフトにおける同時押出しモノフィ ラメントの端を浸食し、図７に示したようにモノフィラメントの端にポケットを 形成した。 ステンレス鋼製のブラシは直径３インチ（７６．２ｍｍ）で、１２００ｒｐｍ で回転した。ステンレス鋼製のブラシと剛毛の間の接触を約０．５インチ（１２ ．７ｍｍ）にして使用した。そのことにより剛毛の側面と端は浸食される、しか しコア材料はより軟質の樹脂であるため、剛毛の端に０．００２インチの深さの ポケットが形成された。実施例２−比較の実施例 ＰＥＴからなるコアおよびナイロン６，１２からなるシースを有する同時押出 しモノフィラメントは、状態調節温度を１７５℃にしたことを除いて実施例１と 同様に製造した。ＰＥＴからなるコアの断面積は５０％である。実施例１のコア の融点は１５０℃であり、本実施例のＰＥＴからなるコアは２５５℃よりも高い 融点を有するために、実施例１においてよりもより高い状態調節温度を使用し、 従って標準的なナイロン６，１２の状態調節温度を使用した。 剛毛は実施例１のように歯ブラシに加工され、ステンレス鋼製のブラシを使用 して類似の機械的処理にかけた。しかしながら、ＰＥＴからなるコアが優先的に 浸食されなかったために、本実施例においてポケットは形成されなかった。その ため剛毛チップは図３に示したような輪郭を有する。本実施例のシース−コアを 有する同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成するためには機械的お よび化学的処理の結合が必要である。実施例３ ナイロン６，１２からなるシースおよびＰＢＴからなるコアを有する同時押出 しモノフィラメントを実施例２と同様に製造した。シースの断面積はモノフィラ メントの断面積の７０％であった。 歯ブラシは、実施例１および２と同様に同時押出しモノフィラメントから製造 し、次いでモノフィラメントの端をステンレス鋼製のブラシを用いて約２〜３分 間にわたって浸食した。図５で分かるように、形成されたポケットは実施例１に おいてほど深くないけれども、モノフィラメントは実施例１のモノフィラメント に類似する外観を有した。７０％のコアは、実施例１におけるポケットより幅の 広いポケットを生じなかった。実施例４ 同時押出しモノフィラメントは実施例１と同様に製造し、次いで寄せ集め、お よそ２インチ直径の束にした。束における同時押出しモノフィラメントの端は、 浸食に約１５分間要したことを除いて、実施例１において使用したのと同様のス テンレス製のワイヤーブラシを用いて浸食した。同時押出しモノフィラメントの 中央断面を実施例１のようにくぼませ、ポケットを形成した。そしてそれは本発 明の同時押出しモノフィラメントは、歯ブラシと同様に束として加工することも できるということを証明した。実施例５ 同時押出しモノフィラメントを有する歯ブラシは、実施例１と同様に製造した が、機械的ではなく化学的に処理した。歯ブラシの同時押出しモノフィラメント の端は、Hytrel（登録商標）コポリエステルエーテルに対して強力な溶媒である が、ナイロン６，１２に対してはそうでない溶媒である、塩化メチレンに約１２ 分間にわたってさらした。同時押出しモノフィラメントの端のコアは溶解されポ ケットを形成し、同時押出しモノフィラメントは約１〜３分間にわたって機械的 な浸食にかけ、モノフィラメントの端をなめらかにした。剛毛の写真を図６およ び図８に示す。実施例６ 同時押出しモノフィラメントからなる束は実施例４と同様に製造し、次いでモ ノフィラメントの端は約１０分間にわたって塩化メチレンの浅い浴に端を浸ける ことにより処理し、モノフィラメントの端にポケットを形成した。モノフィラメ ントの端は、実施例１のステンレス鋼製のブラシを用いて機械的処理にかけ、モ ノフィラメントの端をまるくした。これらの剛毛は、図９において１５８倍の拡 大および図１０において４１９倍の拡大で示される。ポケットの深さは幅と比較 することにより、本実施例で形成したポケットは約０．００４インチ（０．１ｍ ｍ）の深さであると評価した。実施例７−比較の実施例 シースとコアの双方の断面積がモノフィラメントの断面積の５０％である、ナ イロン６，１２からなるシースとナイロン６，１２からなるコアを有する同時押 出しモノフィラメントを製造した。モノフィラメントは実施例３と同様に押し出 し成形し、かつ状態調節し、次いでブラシに加工した。モノフィラメントの端は 、実施例３と同様にステンレス鋼製のブラシを用いて浸食した。モノフィラメン トの端にポケットは形成されず、端は図３に示したように典型的なまるい外観を 有した。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＣＮ，ＪＰ，ＳＧ (72)発明者 ネルソン，チャールズ，フレッチャー アメリカ合衆国 26101−9661 ウエスト ヴァージニア州 パーカースバーグ ワイ ルドウッド ドライブ 67

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 第１の樹脂からなるコア材料、 前記第１の樹脂とは異なる第２の樹脂からなるシース材料、および モノフィラメントの端に形成したポケット を備えることを特徴とする同時押出しモノフィラメント。 ２． 前記シース材料が、ナイロン６、ナイロン６，６、ナイロン６，１０、ナ イロン６，１２、ナイロン６，９、ナイロン１１、ナイロン１２、ナイロン６お よびナイロン６，６のコポリマー、ナイロン１０，１０、およびそれらの混合物 、ならびに前記コア材料がコポリエステルエーテルであることを特徴とする請求 項１に記載のモノフィラメント。 ３． 前記シース材料が、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビ ニリデン、またはそれらの混合物、ならびに前記コア材料がポリ塩化ビニル、ポ リ酢酸ビニルコポリマー、ポリスチレン、またはそれらの混合物であることを特 徴とする請求項１に記載の同時押出しモノフィラメント。 ４． 前記シース材料が、ナイロン６，１０またはナイロン６，１２、および前 記コア材料がナイロン６、ナイロン６，６、ナイロン６，１０またはポリブチレ ンテレフタレートであることを特徴とする請求項１に記載の同時押出しモノフィ ラメント。 ５． 前記コア材料の断面積が、モノフィラメントの断面積の約１０から約９０ ％を含むことを特徴とする請求項１に記載の同時押出しモノフィラメント。 ６． 前記コア材料の断面積が、モノフィラメントの断面積の約２５から約７５ ％を含むことを特徴とする請求項１に記載の同時押出しモノフィラメント。 ７． 前記ポケットの深さが、モノフィラメントの端から、約０．００１から約 ０．２５０インチであることを特徴とする請求項１に記載の同時押出しモノフィ ラメント。 ８． 前記シースの断面形状が、円形、三角形、正方形、五角形、六角形、長円 形、裂片形、三眼形、四眼形であることを特徴とする請求項１に記載の同時押出 しモノフィラメント。 ９． 前記シースの断面形状が、円形、三角形、正方形、五角形、六角形、長円 形、裂片形、三眼形、四眼形であることを特徴とする請求項１に記載の同時押出 しモノフィラメント。 １０． 同時押出しモノフィラメントの端を粗面化することを特徴とする請求項 １に記載の同時押出しモノフィラメント。 １１． 請求項１の複数の同時押出しモノフィラメントを備えることを特徴とす る束。 １２． 当該ヘッドに取り付けられた少なくとも一つのタフトを有するヘッドと 連結したハンドルを備え、前記タフトが請求項１の複数のモノフィラメントを備 えることを特徴とするブラシ。 １３． 第１の樹脂からなるコア材料および前記第１の樹脂とは異なる第２の樹 脂からなるシース材料を有するモノフィラメントを提供する工程、および モノフィラメントのコアを浸食しモノフィラメントの端にポケットを形成する 工程 を具えることを特徴とする同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成す るための方法。 １４． 第１の樹脂からなるコア材料および前記第１の樹脂とは異なる第２の樹 脂からなるシース材料を有するモノフィラメントを提供する工程、および コア材料を溶解するがシース材料を溶解しない溶媒にモノフィラメントの端を 接触させ、モノフィラメントの端にポケットを形成する工程 を具えることを特徴とする同時押出しモノフィラメントの端にポケットを形成す るための方法。