JP2004154163A - テーパー用毛 - Google Patents
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Abstract
【課題】毛先の隙間進入性、当たり心地に優れると同時に、刷掃実感にも優れたテーパー用毛を提供する。
【解決手段】少なくとも毛先の一端がテーパー状部2とされた樹脂製のテーパー用毛1において、該用毛1を構成する樹脂として複数の樹脂を混合した混合樹脂を用いた。樹脂の組み合わせと混合比を変えることによって、テーパー用毛の毛腰を自在かつ微妙にコントロールすることができ、刷毛の毛先進入性と当たり心地に優れ、しかも刷掃実感の高いテーパー用毛を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも毛先の一端がテーパー状部2とされた樹脂製のテーパー用毛1において、該用毛1を構成する樹脂として複数の樹脂を混合した混合樹脂を用いた。樹脂の組み合わせと混合比を変えることによって、テーパー用毛の毛腰を自在かつ微妙にコントロールすることができ、刷毛の毛先進入性と当たり心地に優れ、しかも刷掃実感の高いテーパー用毛を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯ブラシなどのブラシの刷毛として用いられるテーパー用毛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を含むフィラメントを用いた歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、曲げ弾性率や曲げ回復率を向上させることができるが、一方において、同じ用毛径ならポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィラメントを用いた歯ブラシよりも柔らかい刷毛となり、刷掃実感が低いという問題がある。また、刷掃実感を向上させるためには、用毛径を大きくするか、毛束径を大きくしなければならないが、これによって毛先の歯間進入性を低下させたり、毛先の当たり心地を悪くさせてしまうおそれがある。さらに、この歯ブラシの場合、フィラメント先端がテーパー形状とされていないため、基本的に毛先進入性に劣る。
【0003】
特許文献2には、両端にテーパー部を有するポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成樹脂からなる合成モノフィラメントであって、先端部から1mm、3mm、5mm、8mmの各部位における刷毛径が基部の刷毛径に対して25〜35%、55〜70%、80〜90%、90〜100%とされたフィラメントを用いた歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、歯間部や歯と歯茎の境目の清掃力に優れると同時に、ソフトな感触を与えることができる。しかしながら、フィラメント自体はポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの単一樹脂で構成されているため、その毛腰を微妙な硬さにコントロールすることができない。例えば、ポリエステルの場合を例に採ると、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを単一で用いて用毛を構成するものであるが、PBTとPETの中間の硬さからなる用毛など、用毛を微妙な硬さにコントロールすることができない。
【0004】
特許文献3には、ポリエステル樹脂製の海部の中に2〜5つのポリアミド樹脂製の島部を散在させ、この海島型複合繊維の先端側において島部のみを露出させて2〜5本の芯毛に分岐させた用毛を用いた歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、口腔内細部の清掃性、歯肉への柔らかい当たり心地、強い毛腰を与えることができるが、フィラメントを構成するポリエステル樹脂とポリアミド樹脂は海部と島部として独立し、ブレンドされていないため、用毛の微妙な毛腰をコントロールすることが難しい。また、ポリエステル海部に対してポリアミド島繊維は剛性が低いため、両者の境目で毛先が折れやすく、毛先の歯間進入性が低下することがある。
【0005】
特許文献4には、一端を球状、他端をテーパー状に形成したフィラメントを用い、テーパー状の先端側を球状の先端側よりも突出させて植毛した歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、テーパー毛先によって歯間進入性が高く、球状毛先によって刷掃実感が向上するが、フィラメントメント自体は単一樹脂からなるため、前記特許文献2と同様に微妙な毛の硬さのコントロールが困難である。
【0006】
特許文献5には、毛丈の長いテーパー毛と短いテーパー毛とを毛束別に植毛した歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、歯間部を奥深くまで良好に清掃することができ、歯面や歯茎を傷付けることがなく、歯周疾患によって歯茎が縮退した歯や歯茎のブラッシングに適したものとなる。しかしながら、長短の段差によって刷毛の毛先全体が均一に当たらないため、毛先の当たり心地がよくない。
【0007】
特許文献6には、ポリプロピレンテレフタレートを主成分とするモノフィラメントを用いたブラシが示されている。このブラシの場合、弾性回復性と吸湿性に優れるが、フィラメント先端がテーパー形状とされていないため、毛先進入性に劣る。
【0008】
【特許文献1】
特表2001−511379号公報
【特許文献2】
特開平6−141923号公報
【特許文献3】
特開平9−322821号公報
【特許文献4】
特開平7−284412号公報
【特許文献5】
特開平11−75939号公報
【特許文献6】
特開平8−173244号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一般にテーパー用毛を用いた歯ブラシは歯間進入性が高いという長所を持つが、ソフトな毛先の当たり心地としっかりとした刷掃実感を両立させることが非常に難しかった。すなわち、従来の単一樹脂からなるテーパー毛の場合、次のような問題があった。
【0010】
(1)ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなるテーパー用毛の刷掃実感を向上させるために、毛腰の強いポリエチレンテレフタレート(PET)からなるテーパー用毛に代えた場合、テーパー形状が同一であっても、ポリエチレンテレフタレートの方が硬すぎるため、毛先の当たり心地が低下し、さらにその為害性により口腔内を傷付ける場合がある。また、ポリエチレンテレフタレートの特性からブラッシングによって刷毛が開きやすく、耐久性が著しく低下する。
【0011】
(2)単一樹脂からなるテーパー用毛の刷掃実感を向上させるには、▲1▼テーパーの尖り具合を鈍くする、▲2▼用毛の基部径を太くする、▲3▼用毛の毛丈を短くする、などの方法がある。しかしながら、▲1▼▲2▼の方法では毛先の当たり心地が悪化し、▲3▼の方法では毛先の歯間進入性が悪化してしまうという新たな問題が発生する。
【0012】
(3)上記仕様とは異なって細い径のテーパー用毛を用いて軟らかく繊細な当たり心地の歯ブラシを作る場合でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)では用毛径が細いために毛先の感触が頼りなくなり過ぎ、ポリエチレンテレフタレート(PET)では硬くてがさつな感触になってしまう。
【0013】
(4)端部にテーパー形状を形成されていない通常の用毛では、隙間進入性が十分でなく、歯と歯茎の間、歯と歯の間、小窩裂溝などの極めて狭い隙間の清掃が困難である。また、先端が極細毛に分岐している用毛では、分岐部分から折れやすく、耐久性、使用感が劣る。
【0014】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、毛先の隙間進入性、当たり心地に優れると同時に、刷掃実感にも優れたテーパー用毛を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも毛先の一端がテーパー状とされた樹脂製の用毛において、該用毛を構成する樹脂が複数の樹脂を混合した混合樹脂よりなることを特徴とするものである。なお、混合樹脂としては、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂を2種類以上混合したものが好ましい。また、最も構成率の多い樹脂は全体構成比の95%以下、最も構成率の小さい樹脂は全体構成比の5%以上とすることが好ましい。
【0016】
上記のように、単一樹脂でなく複数の樹脂を混合した混合樹脂によってテーパー用毛を構成すれば、樹脂の組み合わせと構成比を変えることにより、テーパー用毛の毛腰を自在かつ微妙にコントロールすることが可能となる。このため、本発明のテーパー用毛を少なくとも刷毛の一部に用いることで、毛先がテーパー状であるにもかかわらず、刷毛の毛先進入性と当たり心地に優れ、しかも刷掃実感の高い歯ブラシを得ることができる。
【0017】
1.用毛の外観と形状
本発明のテーパー用毛は、少なくとも一端が毛先にいくほどその径が小さくなるテーパー用毛である。ただし、一定傾斜角からなる直線状のテーパーである必要はなく、略テーパー状であればよく、全体としてテーパー形状のメリットを活かせる形状であれば部分的な形状はどのような形状でもよい。例えば、テーパー形状の尖り具合が一様でなく途中で段付き(段差)を有しているもの、毛先先端に球状体や円錐体、ヘラ状体などの付属物を付加したものでもよい。また、毛先が分岐している形状であってもよい。さらに、用毛全体がクリンプ状(波状)、螺旋状などに形成されていてもよく、用毛の表面に凹凸があってもよい。用毛の断面形状は円形でもよいが、星形、三角形、四角形などでもよく、特に制限はない。用毛の色調なども特に制限はない。
【0018】
本発明のテーパー用毛を歯ブラシに用いる場合、用毛の最大径(基部直径)は0.1〜0.3mm程度の範囲で用いられるが、より好ましくは0.15〜0.25mmの範囲である。用毛長も歯ブラシの目的によって20〜40mm程度の範囲で用いられるが、より好ましい範囲は22〜32mmである。植毛後の毛丈(ヘッド部植毛面からの高さ)は5〜15mmの範囲が好ましい。
【0019】
2.用毛材料と構成比
本発明のテーパー用毛は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂を2種以上を混ぜた混合樹脂からなることを基本とする。混合の組み合わせは、ナイロンなどのポリアミド系樹脂同士のように同系列の樹脂、またはテーパー加工などの後加工の妨げにならない範囲の樹脂の組み合わせであれば、どのような組み合わせでもよい。用毛先端のテーパー加工における加工性、安全性を考慮した場合、酸やアルカリ溶液を用いてテーパー加工が容易なポリエステル系の樹脂が望ましい。
【0020】
混合する樹脂の構成比は、目的とする歯ブラシの仕様によって任意に設定することができる。この場合において、最も構成率の大きい樹脂は全体構成比の95%以下の範囲であることが望ましく、最も構成率の小さい樹脂は全体構成比の5%以上の範囲であることが望ましい。1種類の樹脂が95%以上を占めると他の混合樹脂の効果が現れにくく、同様に1種類の樹脂を5%以下混ぜ合わせてもあまり意味をなさない。
【0021】
3.テーパー用毛とブラシの製造
混合樹脂製のテーパー用毛を得るには、混合する複数種類の樹脂を押し出し成型機などで混練して押し出し成形することにより、全体が混合樹脂製になるフィラメントを得、これを原糸とする。この原糸を定寸にカットし、薬品加工や機械加工によってその先端部に所定形状のテーパーを形成する。その後、中和、洗浄処理などを施した後、乾燥することにより、本発明のテーパー用毛を得る。これをブラシハンドルのヘッド部植毛面に植毛することにより、本発明のテーパー毛を用いた歯ブラシを造ることができる。なお、テーパー加工は植毛前に行ってもよいが、植毛後に行ってもよい。また、植毛後に刷毛をカットして所定のプロファイルを付けてもよい。これらの毛先加工は、歯ブラシの仕様や生産効率などによって決定されるべきもので、特に制限されるものではない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a)(b)に、本発明に係るテーパー用毛の第1の実施の形態を示す。
この第1の実施の形態は、一定傾斜角からなる直線状のテーパー部を形成した場合の例を示すもので、(a)は混合樹脂製になる用毛の先端に傾斜の緩やかな細く鋭く尖った直線状のテーパー部2を備えたテーパー用毛1の例、(b)は混合樹脂製になる用毛の先端に傾斜の急な直線状のテーパー部2を備えたテーパー用毛1の例である。
【0023】
このような一定傾斜角からなる直線状のテーパー部2を備えたテーパー用毛1を製造するには、用毛の先端を薬品加工(例えば、加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)してテーパーを付与する際に、薬品中に浸漬した用毛を一定速度で引き上げていけばよい。この時の引き上げ速度を変えることにより、(a)(b)のような傾斜角の異なるテーパー用毛1を得ることができる。また、ロール状に結束された用毛カットピースの先端部分を薬品中に浸漬し、薬品の毛細管現象を利用することによっても図示のごときテーパー用毛を得ることができる。
【0024】
なお、上記テーパー用毛1の全体は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂を2種類以上混合した合成樹脂から構成され、最も構成率の多い樹脂は全体構成比の95%以下、最も構成率の小さい樹脂は全体構成比の5%以上とされていることは前述した通りである。
【0025】
図2(a)(b)に、本発明に係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は、テーパー部に段差を付与した場合の例を示すもので、(a)はテーパー部2に1段の段差を与えたテーパー用毛1の例、(b)はテーパー部2に2段の段差を与えたテーパー用毛1の例である。このような段差を有するテーパー部2を備えたテーパー用毛1を製造するには、用毛の先端を薬品加工(例えば、加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)してテーパーを付与する際に、薬品中に浸漬した用毛を速度を変えながら引き上げていけばよい。引き上げ途中で速度を変えることにより、(a)(b)のような段付きのテーパー用毛1を得ることができる。
【0026】
図3(a)(b)に、本発明に係るテーパー用毛の第3の実施の形態を示す。
この第3の実施の形態は、テーパー部の先端に付属物を付加した場合の例を示すもので、(a)はテーパー部2の先端に球状体3を形成したテーパー用毛1の例、(b)はテーパー部2の先端にヘラ状部4を形成したテーパー用毛1の例である。このような付属物を有するテーパー用毛1を製造するには、例えば、テーパー部2を形成した後、その最先端部を再溶融し、所定の形状に形付けすればよい。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明のテーパー用毛とこれを用いた歯ブラシの製造方法の具体的な実施例を挙げる。
【0028】
(実施例1)
混合樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、これをPBT:PET=7:3の比率で混合し、押し出し成形機にて用毛径0.19mmの原糸を得る。この原糸を束ねた用毛束を定寸カットし、該カットピースを薬品加工(加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)し、その両端をテーパー加工する。これを洗浄、乾燥し、本発明のテーパー用毛を得る。このようにして得られた本発明のテーパー用毛(用毛基部径=0.19mm、長さ29mm)を通常の平線式植毛機にて歯ブラシヘッド部の植毛面に植毛することにより、本発明のテーパー用毛を用いた歯ブラシを得た。
【0029】
このようにして得られた歯ブラシは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の単一樹脂からなる同形状のテーパー用毛(用毛基部径=0.19mm、長さ=29mm)を用いた従来の歯ブラシに比べ、毛先の歯間進入性、当たり心地を維持しつつ、より高い刷掃実感を得ることができた。
【0030】
(実施例2)
混合樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、これをPBT:PET=8:2の比率で混合し、押し出し成形機にて用毛径0.15mmの原糸を得る。この原糸を束ねた用毛束を定寸カットし、該カットピースを薬品加工(加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)し、その両端をテーパー加工する。これを洗浄、乾燥し、発明のテーパー用毛を得る。このようにして得られた本発明のテーパー用毛(用毛基部径=0.15mm、長さ29mm)を通常の平線式植毛機にて歯ブラシヘッド部の植毛面に植毛することにより、本発明のテーパー用毛を用いた歯ブラシを得た。
【0031】
このようにして得られた歯ブラシは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の単一樹脂からなる同形状のテーパー用毛(用毛基部径=0.15mm、長さ29mm)を用いた従来の歯ブラシに比べ、毛先の歯間進入性、当たり心地を維持しつつ、より繊細な刷掃実感を得ることができた。
【0032】
(実施例3)
混合樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を用い、これをPBT:PTT=5:5の比率で混合し、押し出し成形機にて用毛径0.22mmの原糸を得る。この原糸を束ねた毛束を定寸カットし、該カットピース(用毛長さ=27mm)を通常の平線式植毛機にて歯ブラシヘッド部の植毛面に植毛する。次いで、植毛した用毛の先端をカットすることで刷毛先端面を波状にプロファイリングした後、これを研磨加工して毛先をほぼテーパー状に削る。さらに、刷毛先端を薬品加工(加温した高濃度NaCl溶液中への浸漬)し、毛先をさらに先鋭加工した後、洗浄、乾燥し、本発明のテーパー用毛を用いた歯ブラシを得た。このようにして得られた歯ブラシは、必要な毛先の歯間進入性を維持しつつ、しっかりとした刷掃実感と、毛先に独特なソフト感を有する当たり心地のよい歯ブラシであった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のテーパー用毛によれば、以下のような優れた効果を奏することができる。
(1)本発明のテーパー用毛は、樹脂の混合比を変えることによって用毛としての物性を任意にコントロールできるため、毛腰のバリエーションを広げることができ、より上質な当たり心地を実現することができる。また、従来のテーパー用毛以上に隙間進入性を向上させるなど、ブラシの目的に合わせた仕様設定を繊細かつ容易に行うことができる。
【0034】
(2)本発明のテーパー用毛は、従来のテーパー用毛と同じテーパー形状でありながら自由に毛腰を変えられるため、従来のテーパー用毛を用いた歯ブラシの長所である毛先の隙間進入性と上質な当たり心地を維持しつつ、より高い刷掃実感を付与することができる。
【0035】
(3)本発明のテーパー用毛は、従来と同様の刷掃実感を維持する場合、毛先の歯間進入性および当たり心地をより向上させることができる。
【0036】
(4)混合樹脂として薬品加工性の高い樹脂を選択することにより、生産効率を向上させることができる。
【0037】
(5)本発明のテーパー用毛は、通常の押し出し成形機を用いて原糸を得ることができ、その後の工程でも特別な生産設備を必要としないため、導入時の初期投資を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明係るテーパー用毛の第1の実施の形態を示すもので、(a)は混合樹脂製になる用毛の先端に細く鋭く尖った直線状のテーパー部を備えたテーパー用毛の例を示す図、(b)は混合樹脂製になる用毛の先端に傾斜の急な直線状のテーパー部を備えたテーパー用毛の例を示す図である。
【図2】本発明係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示すもので、(a)はテーパー部に1段の段差を与えたテーパー用毛の例を示す図、(b)はテーパー部に2段の段差を与えたテーパー用毛の例を示す図である。
【図3】本発明係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示すもので、(a)はテーパー部の先端に球状体を形成したテーパー用毛の例を示す図、(b)はテーパー部の先端にヘラ状部を形成したテーパー用毛の例を示す図である。
【符号の説明】
1 テーパー用毛
2 テーパー部
3 球状体
4 ヘラ状体
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯ブラシなどのブラシの刷毛として用いられるテーパー用毛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を含むフィラメントを用いた歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、曲げ弾性率や曲げ回復率を向上させることができるが、一方において、同じ用毛径ならポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィラメントを用いた歯ブラシよりも柔らかい刷毛となり、刷掃実感が低いという問題がある。また、刷掃実感を向上させるためには、用毛径を大きくするか、毛束径を大きくしなければならないが、これによって毛先の歯間進入性を低下させたり、毛先の当たり心地を悪くさせてしまうおそれがある。さらに、この歯ブラシの場合、フィラメント先端がテーパー形状とされていないため、基本的に毛先進入性に劣る。
【0003】
特許文献2には、両端にテーパー部を有するポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合成樹脂からなる合成モノフィラメントであって、先端部から1mm、3mm、5mm、8mmの各部位における刷毛径が基部の刷毛径に対して25〜35%、55〜70%、80〜90%、90〜100%とされたフィラメントを用いた歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、歯間部や歯と歯茎の境目の清掃力に優れると同時に、ソフトな感触を与えることができる。しかしながら、フィラメント自体はポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの単一樹脂で構成されているため、その毛腰を微妙な硬さにコントロールすることができない。例えば、ポリエステルの場合を例に採ると、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを単一で用いて用毛を構成するものであるが、PBTとPETの中間の硬さからなる用毛など、用毛を微妙な硬さにコントロールすることができない。
【0004】
特許文献3には、ポリエステル樹脂製の海部の中に2〜5つのポリアミド樹脂製の島部を散在させ、この海島型複合繊維の先端側において島部のみを露出させて2〜5本の芯毛に分岐させた用毛を用いた歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、口腔内細部の清掃性、歯肉への柔らかい当たり心地、強い毛腰を与えることができるが、フィラメントを構成するポリエステル樹脂とポリアミド樹脂は海部と島部として独立し、ブレンドされていないため、用毛の微妙な毛腰をコントロールすることが難しい。また、ポリエステル海部に対してポリアミド島繊維は剛性が低いため、両者の境目で毛先が折れやすく、毛先の歯間進入性が低下することがある。
【0005】
特許文献4には、一端を球状、他端をテーパー状に形成したフィラメントを用い、テーパー状の先端側を球状の先端側よりも突出させて植毛した歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、テーパー毛先によって歯間進入性が高く、球状毛先によって刷掃実感が向上するが、フィラメントメント自体は単一樹脂からなるため、前記特許文献2と同様に微妙な毛の硬さのコントロールが困難である。
【0006】
特許文献5には、毛丈の長いテーパー毛と短いテーパー毛とを毛束別に植毛した歯ブラシが示されている。この歯ブラシの場合、歯間部を奥深くまで良好に清掃することができ、歯面や歯茎を傷付けることがなく、歯周疾患によって歯茎が縮退した歯や歯茎のブラッシングに適したものとなる。しかしながら、長短の段差によって刷毛の毛先全体が均一に当たらないため、毛先の当たり心地がよくない。
【0007】
特許文献6には、ポリプロピレンテレフタレートを主成分とするモノフィラメントを用いたブラシが示されている。このブラシの場合、弾性回復性と吸湿性に優れるが、フィラメント先端がテーパー形状とされていないため、毛先進入性に劣る。
【0008】
【特許文献1】
特表2001−511379号公報
【特許文献2】
特開平6−141923号公報
【特許文献3】
特開平9−322821号公報
【特許文献4】
特開平7−284412号公報
【特許文献5】
特開平11−75939号公報
【特許文献6】
特開平8−173244号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、一般にテーパー用毛を用いた歯ブラシは歯間進入性が高いという長所を持つが、ソフトな毛先の当たり心地としっかりとした刷掃実感を両立させることが非常に難しかった。すなわち、従来の単一樹脂からなるテーパー毛の場合、次のような問題があった。
【0010】
(1)ポリブチレンテレフタレート(PBT)からなるテーパー用毛の刷掃実感を向上させるために、毛腰の強いポリエチレンテレフタレート(PET)からなるテーパー用毛に代えた場合、テーパー形状が同一であっても、ポリエチレンテレフタレートの方が硬すぎるため、毛先の当たり心地が低下し、さらにその為害性により口腔内を傷付ける場合がある。また、ポリエチレンテレフタレートの特性からブラッシングによって刷毛が開きやすく、耐久性が著しく低下する。
【0011】
(2)単一樹脂からなるテーパー用毛の刷掃実感を向上させるには、▲1▼テーパーの尖り具合を鈍くする、▲2▼用毛の基部径を太くする、▲3▼用毛の毛丈を短くする、などの方法がある。しかしながら、▲1▼▲2▼の方法では毛先の当たり心地が悪化し、▲3▼の方法では毛先の歯間進入性が悪化してしまうという新たな問題が発生する。
【0012】
(3)上記仕様とは異なって細い径のテーパー用毛を用いて軟らかく繊細な当たり心地の歯ブラシを作る場合でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)では用毛径が細いために毛先の感触が頼りなくなり過ぎ、ポリエチレンテレフタレート(PET)では硬くてがさつな感触になってしまう。
【0013】
(4)端部にテーパー形状を形成されていない通常の用毛では、隙間進入性が十分でなく、歯と歯茎の間、歯と歯の間、小窩裂溝などの極めて狭い隙間の清掃が困難である。また、先端が極細毛に分岐している用毛では、分岐部分から折れやすく、耐久性、使用感が劣る。
【0014】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、毛先の隙間進入性、当たり心地に優れると同時に、刷掃実感にも優れたテーパー用毛を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも毛先の一端がテーパー状とされた樹脂製の用毛において、該用毛を構成する樹脂が複数の樹脂を混合した混合樹脂よりなることを特徴とするものである。なお、混合樹脂としては、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂を2種類以上混合したものが好ましい。また、最も構成率の多い樹脂は全体構成比の95%以下、最も構成率の小さい樹脂は全体構成比の5%以上とすることが好ましい。
【0016】
上記のように、単一樹脂でなく複数の樹脂を混合した混合樹脂によってテーパー用毛を構成すれば、樹脂の組み合わせと構成比を変えることにより、テーパー用毛の毛腰を自在かつ微妙にコントロールすることが可能となる。このため、本発明のテーパー用毛を少なくとも刷毛の一部に用いることで、毛先がテーパー状であるにもかかわらず、刷毛の毛先進入性と当たり心地に優れ、しかも刷掃実感の高い歯ブラシを得ることができる。
【0017】
1.用毛の外観と形状
本発明のテーパー用毛は、少なくとも一端が毛先にいくほどその径が小さくなるテーパー用毛である。ただし、一定傾斜角からなる直線状のテーパーである必要はなく、略テーパー状であればよく、全体としてテーパー形状のメリットを活かせる形状であれば部分的な形状はどのような形状でもよい。例えば、テーパー形状の尖り具合が一様でなく途中で段付き(段差)を有しているもの、毛先先端に球状体や円錐体、ヘラ状体などの付属物を付加したものでもよい。また、毛先が分岐している形状であってもよい。さらに、用毛全体がクリンプ状(波状)、螺旋状などに形成されていてもよく、用毛の表面に凹凸があってもよい。用毛の断面形状は円形でもよいが、星形、三角形、四角形などでもよく、特に制限はない。用毛の色調なども特に制限はない。
【0018】
本発明のテーパー用毛を歯ブラシに用いる場合、用毛の最大径(基部直径)は0.1〜0.3mm程度の範囲で用いられるが、より好ましくは0.15〜0.25mmの範囲である。用毛長も歯ブラシの目的によって20〜40mm程度の範囲で用いられるが、より好ましい範囲は22〜32mmである。植毛後の毛丈(ヘッド部植毛面からの高さ)は5〜15mmの範囲が好ましい。
【0019】
2.用毛材料と構成比
本発明のテーパー用毛は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂を2種以上を混ぜた混合樹脂からなることを基本とする。混合の組み合わせは、ナイロンなどのポリアミド系樹脂同士のように同系列の樹脂、またはテーパー加工などの後加工の妨げにならない範囲の樹脂の組み合わせであれば、どのような組み合わせでもよい。用毛先端のテーパー加工における加工性、安全性を考慮した場合、酸やアルカリ溶液を用いてテーパー加工が容易なポリエステル系の樹脂が望ましい。
【0020】
混合する樹脂の構成比は、目的とする歯ブラシの仕様によって任意に設定することができる。この場合において、最も構成率の大きい樹脂は全体構成比の95%以下の範囲であることが望ましく、最も構成率の小さい樹脂は全体構成比の5%以上の範囲であることが望ましい。1種類の樹脂が95%以上を占めると他の混合樹脂の効果が現れにくく、同様に1種類の樹脂を5%以下混ぜ合わせてもあまり意味をなさない。
【0021】
3.テーパー用毛とブラシの製造
混合樹脂製のテーパー用毛を得るには、混合する複数種類の樹脂を押し出し成型機などで混練して押し出し成形することにより、全体が混合樹脂製になるフィラメントを得、これを原糸とする。この原糸を定寸にカットし、薬品加工や機械加工によってその先端部に所定形状のテーパーを形成する。その後、中和、洗浄処理などを施した後、乾燥することにより、本発明のテーパー用毛を得る。これをブラシハンドルのヘッド部植毛面に植毛することにより、本発明のテーパー毛を用いた歯ブラシを造ることができる。なお、テーパー加工は植毛前に行ってもよいが、植毛後に行ってもよい。また、植毛後に刷毛をカットして所定のプロファイルを付けてもよい。これらの毛先加工は、歯ブラシの仕様や生産効率などによって決定されるべきもので、特に制限されるものではない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a)(b)に、本発明に係るテーパー用毛の第1の実施の形態を示す。
この第1の実施の形態は、一定傾斜角からなる直線状のテーパー部を形成した場合の例を示すもので、(a)は混合樹脂製になる用毛の先端に傾斜の緩やかな細く鋭く尖った直線状のテーパー部2を備えたテーパー用毛1の例、(b)は混合樹脂製になる用毛の先端に傾斜の急な直線状のテーパー部2を備えたテーパー用毛1の例である。
【0023】
このような一定傾斜角からなる直線状のテーパー部2を備えたテーパー用毛1を製造するには、用毛の先端を薬品加工(例えば、加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)してテーパーを付与する際に、薬品中に浸漬した用毛を一定速度で引き上げていけばよい。この時の引き上げ速度を変えることにより、(a)(b)のような傾斜角の異なるテーパー用毛1を得ることができる。また、ロール状に結束された用毛カットピースの先端部分を薬品中に浸漬し、薬品の毛細管現象を利用することによっても図示のごときテーパー用毛を得ることができる。
【0024】
なお、上記テーパー用毛1の全体は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル樹脂を2種類以上混合した合成樹脂から構成され、最も構成率の多い樹脂は全体構成比の95%以下、最も構成率の小さい樹脂は全体構成比の5%以上とされていることは前述した通りである。
【0025】
図2(a)(b)に、本発明に係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は、テーパー部に段差を付与した場合の例を示すもので、(a)はテーパー部2に1段の段差を与えたテーパー用毛1の例、(b)はテーパー部2に2段の段差を与えたテーパー用毛1の例である。このような段差を有するテーパー部2を備えたテーパー用毛1を製造するには、用毛の先端を薬品加工(例えば、加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)してテーパーを付与する際に、薬品中に浸漬した用毛を速度を変えながら引き上げていけばよい。引き上げ途中で速度を変えることにより、(a)(b)のような段付きのテーパー用毛1を得ることができる。
【0026】
図3(a)(b)に、本発明に係るテーパー用毛の第3の実施の形態を示す。
この第3の実施の形態は、テーパー部の先端に付属物を付加した場合の例を示すもので、(a)はテーパー部2の先端に球状体3を形成したテーパー用毛1の例、(b)はテーパー部2の先端にヘラ状部4を形成したテーパー用毛1の例である。このような付属物を有するテーパー用毛1を製造するには、例えば、テーパー部2を形成した後、その最先端部を再溶融し、所定の形状に形付けすればよい。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明のテーパー用毛とこれを用いた歯ブラシの製造方法の具体的な実施例を挙げる。
【0028】
(実施例1)
混合樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、これをPBT:PET=7:3の比率で混合し、押し出し成形機にて用毛径0.19mmの原糸を得る。この原糸を束ねた用毛束を定寸カットし、該カットピースを薬品加工(加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)し、その両端をテーパー加工する。これを洗浄、乾燥し、本発明のテーパー用毛を得る。このようにして得られた本発明のテーパー用毛(用毛基部径=0.19mm、長さ29mm)を通常の平線式植毛機にて歯ブラシヘッド部の植毛面に植毛することにより、本発明のテーパー用毛を用いた歯ブラシを得た。
【0029】
このようにして得られた歯ブラシは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の単一樹脂からなる同形状のテーパー用毛(用毛基部径=0.19mm、長さ=29mm)を用いた従来の歯ブラシに比べ、毛先の歯間進入性、当たり心地を維持しつつ、より高い刷掃実感を得ることができた。
【0030】
(実施例2)
混合樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、これをPBT:PET=8:2の比率で混合し、押し出し成形機にて用毛径0.15mmの原糸を得る。この原糸を束ねた用毛束を定寸カットし、該カットピースを薬品加工(加温した高濃度NaCl溶液中へ浸漬)し、その両端をテーパー加工する。これを洗浄、乾燥し、発明のテーパー用毛を得る。このようにして得られた本発明のテーパー用毛(用毛基部径=0.15mm、長さ29mm)を通常の平線式植毛機にて歯ブラシヘッド部の植毛面に植毛することにより、本発明のテーパー用毛を用いた歯ブラシを得た。
【0031】
このようにして得られた歯ブラシは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の単一樹脂からなる同形状のテーパー用毛(用毛基部径=0.15mm、長さ29mm)を用いた従来の歯ブラシに比べ、毛先の歯間進入性、当たり心地を維持しつつ、より繊細な刷掃実感を得ることができた。
【0032】
(実施例3)
混合樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を用い、これをPBT:PTT=5:5の比率で混合し、押し出し成形機にて用毛径0.22mmの原糸を得る。この原糸を束ねた毛束を定寸カットし、該カットピース(用毛長さ=27mm)を通常の平線式植毛機にて歯ブラシヘッド部の植毛面に植毛する。次いで、植毛した用毛の先端をカットすることで刷毛先端面を波状にプロファイリングした後、これを研磨加工して毛先をほぼテーパー状に削る。さらに、刷毛先端を薬品加工(加温した高濃度NaCl溶液中への浸漬)し、毛先をさらに先鋭加工した後、洗浄、乾燥し、本発明のテーパー用毛を用いた歯ブラシを得た。このようにして得られた歯ブラシは、必要な毛先の歯間進入性を維持しつつ、しっかりとした刷掃実感と、毛先に独特なソフト感を有する当たり心地のよい歯ブラシであった。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のテーパー用毛によれば、以下のような優れた効果を奏することができる。
(1)本発明のテーパー用毛は、樹脂の混合比を変えることによって用毛としての物性を任意にコントロールできるため、毛腰のバリエーションを広げることができ、より上質な当たり心地を実現することができる。また、従来のテーパー用毛以上に隙間進入性を向上させるなど、ブラシの目的に合わせた仕様設定を繊細かつ容易に行うことができる。
【0034】
(2)本発明のテーパー用毛は、従来のテーパー用毛と同じテーパー形状でありながら自由に毛腰を変えられるため、従来のテーパー用毛を用いた歯ブラシの長所である毛先の隙間進入性と上質な当たり心地を維持しつつ、より高い刷掃実感を付与することができる。
【0035】
(3)本発明のテーパー用毛は、従来と同様の刷掃実感を維持する場合、毛先の歯間進入性および当たり心地をより向上させることができる。
【0036】
(4)混合樹脂として薬品加工性の高い樹脂を選択することにより、生産効率を向上させることができる。
【0037】
(5)本発明のテーパー用毛は、通常の押し出し成形機を用いて原糸を得ることができ、その後の工程でも特別な生産設備を必要としないため、導入時の初期投資を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明係るテーパー用毛の第1の実施の形態を示すもので、(a)は混合樹脂製になる用毛の先端に細く鋭く尖った直線状のテーパー部を備えたテーパー用毛の例を示す図、(b)は混合樹脂製になる用毛の先端に傾斜の急な直線状のテーパー部を備えたテーパー用毛の例を示す図である。
【図2】本発明係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示すもので、(a)はテーパー部に1段の段差を与えたテーパー用毛の例を示す図、(b)はテーパー部に2段の段差を与えたテーパー用毛の例を示す図である。
【図3】本発明係るテーパー用毛の第2の実施の形態を示すもので、(a)はテーパー部の先端に球状体を形成したテーパー用毛の例を示す図、(b)はテーパー部の先端にヘラ状部を形成したテーパー用毛の例を示す図である。
【符号の説明】
1 テーパー用毛
2 テーパー部
3 球状体
4 ヘラ状体
Claims (1)
- 少なくとも毛先の一端がテーパー状とされた樹脂製の用毛において、該用毛を構成する樹脂が複数の樹脂を混合した混合樹脂よりなることを特徴とするテーパー用毛。
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