【発明の詳細な説明】
再分散性の粘着付与剤粉末
本発明は、再分散性の粘着付与剤粉末および粉末状または水に再分散した状態
にある再分散性の粘着付与剤粉末からなる接着剤に関する。
例えばビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン等のホモ
ポリマーまたはコポリマーを接着剤とするポリマーの使用は、塗布における重要
な分野を形成する。その1つに酢酸ビニル−エチレンコポリマーをフローリング
接着剤として使用する例がある(欧州特許出願公開第23,360 号明細書、米国特
許第4,322,330 号明細書)。欧州特許出願公開第620,243 号明細書には、ビニ
ルエステル−アクリル酸エステルコポリマーを接触型接着剤またはフローリング
接着剤として使用する方法が記載されている。ドイツ特許出願公開第3,737,630
号明細書(米国特許第4,975,481 号明細書)は、エチレン−酢酸ビニルコポリ
マーをベースとする接触型接着剤に関するものである。欧州特許出願公開第17,9
86 号明細書(米国特許第4,322,516 号明細書)には、アクリル酸エステル−
酢酸ビニル−エチレンコポリマーをベースとする接触型接着剤が開示されている
。欧州特許出願公開第490,191 号明細書(米国特許第5,196,468号明細書)は、
アクリル酸エステルの水性ラテックスをフローリング接着剤として使用する方法
に関するものである。上述の塗布において、これらのポリマーは原理的には粉末
状または水分散液の状態で用いることができる。
特に接触型接着剤またはフローリング接着剤として使用する場合は、粘着性を
向上させるために、粘着付与物質や、樹脂粘着付与剤等の粘着付与剤を添加する
ことがしばしば必要である。これらの粘着付与剤は、可塑剤中で溶液として水分
散液に添加することができる(欧州特許出願公開第23,360 号明細書)。ドイツ
特許出願公開第3,737,630 号明細書には、粘着付与剤を有機溶媒中の溶液とし
てないしは溶解した状態でポリマー分散液に添加する旨が開示されている。欧州
特許出願公開第490,191 号明細書には、溶解した樹脂粘着付与剤および界面活性
物質を接着剤分散液に添加する方法が記載されている。欧州特許出願公開第
620,243 号明細書においては、樹脂粘着付与剤の水懸濁液が接着剤分散液に添
加される。
粘着付与剤溶液の場合には、これらの方法は処理中または処理後に揮発性溶媒
が放出されるという不都合がある。溶解した状態での樹脂粘着付与剤の添加は、
時間がかかり、しかも大量のエネルギーを必要とする処理工程を含むので、接着
剤の製造費が高くつく。粘着付与剤の水分散液を添加する場合は、通常接着剤分
散液が不必要なまでに希釈される。しかも、添加工程を省略して、粘着付与剤の
水分散液を接着剤粉末と均一に混合することは不可能である。
そのため、従来は、上述した不都合を生じることなく、粉末および水性の双方
の接着剤を変性することができる粘着付与剤組成物を得ることを目的としていた
。
今やその目的が、簡単に粉末状接着剤および接着剤水分散液の双方の状態で用
いることができる水に再分散性の粉末状粘着付与剤組成物によって達成された。
すなわち、本発明は、下記a)〜d)からなる水に再分散性の粘着付与剤粉末
組成物を提供することにある。
a)1種またはそれ以上の粘着付与物質、
b)オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸類もしくはそれらの酸無水物
類をモノマー単位とする、水可溶性で低分子量のホモポリマーまたはコポリマー
により構成される群から選ばれ、粘着付与物質の全乾燥重量に対して2〜50重
量%の1種またはそれ以上の化合物、ここで、コポリマーは更に遊離基重合性モ
ノマーまたはフェノールスルホン酸類、メラミンスルホン酸類もしくはナフタレ
ンスルホン酸類の縮合物を2〜50モル%含有してもよい、
c)高分子成分の全重量に対して0〜30重量%のアンチブロッキング剤、およ
び
d)組成物の全重量に対して0〜50重量%の他の添加剤。
好適な粘着付与物質としては、例えば慣用の粘着付与剤が挙げられ、具体的に
はロジン、公知のバルサム樹脂やトール樹脂の他に、二量化、不均化および水素
化されたロジンなどの誘導体等が例示される。さらに、ロジンのジエチレングリ
コールエステル等のバルサム樹脂のグリコールエステル類、グリセロールエステ
ル類、ペンタエリスリトールエステル類、炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、ク
マロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂などが例示される。
また、酢酸ブチルジグリコール、ブチルジグリコール、プロピレンジグリコー
ルエーテル類またはそれらのエステル類、2−ヒドロキシエチルフェニルエーテ
ル等の高沸点液体や、フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸
エステル類等の可塑剤が好適である。これらの物質はまた混合物の状態で用いる
こともできる。
中でも、上述のロジンとそのエステル類、酢酸ブチルジグリコールおよび2−
ヒドロキシエチルフェニルエーテルが好ましい。
成分b)としては、オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸類もしくは
それらの酸無水物類をモノマー単位とする、中和されてないかあるいは部分的に
中和された水可溶性のホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、
アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸(酸無水物)のホモポリマーまたは
コポリマー、特にポリアクリル酸またはポリメタクリル酸が好ましい。上記した
アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸(酸無水物)単位あるいはこれらと
共重合可能なモノマー単位からなるコポリマーが好ましく、特にこれらのコポリ
マーの酸含有量が80モル%を超えるものが好ましい。共重合可能なモノマーと
しては、エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル芳香族化合物などのアルケ
ン類、好ましくはアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メ
チル等のメタクリル酸エステル類、メチルビニルエーテル等のアルキルビニルエ
ーテル類、メタクリルアミド、アクリルアミドなどが例示される。好ましいコポ
リマーとしては、マレイン酸−メチルビニルエーテル、メタクリル酸−メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸−アクリルアミドコポリマー等が例示される。ここで
、“水可溶性”とは、水100gに23℃で10g以上の溶解度を有するもので
ある。
これらのポリマーの分子量は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィー法により測定される重量平均分子量が250,000g/mol以下、好ましくは15
0,000g/mol以下、特に分子量が5,000〜50,000g/molの範囲にあることが好ま
しい。
成分b)として記載されたポリマーは、例えば溶液重合、バルク重合等の当業
者にとって従来公知の方法により製造される。また、多くの場合、これらのポリ
マーは商業的に入手可能である。
粘着付与剤粉末組成物中の成分b)の量は、粘着付与物質の全乾燥重量に対し
て5〜35重量%の範囲にあることが好ましい。
好ましい成分b)として具体的に例示したオレフィン性不飽和モノ−またはジ
カルボン酸もしくはその酸無水物の中和されてないかあるいは部分的に中和され
たホモポリマーまたはコポリマーを中和することにより、組成物と失活された保
護コロイドとのアクセスを速めることが可能である。事実、公知の分散粉末に保
護コロイドを作用させると、多くの塗布において製品の特性に望ましくない結果
を与えることが判明した。例えば接着剤を塗布する場合には、水可溶性剤の噴霧
を補助する保護コロイドの特質から、保護コロイドの噴霧量の割合によって多く
の場合接着剤および/または粘着付与添加剤の粘着性に悪影響を及ぼす。
再分散液のpHを所望の範囲に調節するよう、粉末中の量が計算された適当量
の中和剤を予め含有する粘着付与剤粉末組成物を調製することにより、中和を遂
行することができる。さらに、中和剤で変性されていない粘着付与剤粉末組成物
を水に再分散させ、次いで例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウム等の中和剤を添加して、所望のpH範囲に調節する方法を選択してもよ
い。
中和が所望であれば、中和剤がなお新規な粘着付与剤粉末組成物中に残存する
ことが好ましいかろう。これらの中和剤は、乾燥して得られる上記粉末と、更に
必要に応じて併用される粉末状の添加剤と混ざり合うことが好ましい。用いられ
る中和剤の量は、それぞれの粘着付与剤粉末組成物と粘着付与粉末および水から
得られる接着剤の分散液を調製したときのpHとに依存する。例えば、適切なp
Hは、異なったpHレベルで粘着付与粉末を水に攪拌した時に、安定した再分散
液を検査することにより容易に求めることができる。好適な中和剤としては、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の慣用の無機塩基
が挙げられる。
アンチブロッキング剤を添加する場合には、その割合は高分子成分の全重量に
対して4〜20重量%の範囲にあることが好ましい。アンチブロッキング剤(成
分c)としては、微粉砕された珪酸アルミニウム、キーゼルグール、焼成シリカ
、沈殿シリカ、コロイド珪酸、マイクロシリカ、カオリナイト、タルク、珪藻土
、炭酸カルシウム、マグネシウムハイドロシリケート等が例示される。アンチブ
ロッキング剤は、特にその平均粒子径が0.1〜50μmの範囲にあることが好
ましい。
意図する塗布に対応して、粘着付与剤粉末組成物には必要に応じて更に添加剤
を含有させることができる。
必要に応じて、例えばポリシロキサン類、金属石鹸等に基づく疎水化処理剤を
ベースポリマーに対して0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の
範囲で存在させることが可能である。
さらに、乳化剤、湿潤剤等の界面活性物質をベースポリマーに対して0.1〜
2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲で存在させることも可能で
ある。その例としてはアニオンやノニオン界面活性剤がある。
必要に応じて、例えば高分子量のポリアクリル酸類に基づく濃化剤をベースポ
リマーに対して0.5〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲で存
在させることも同様に可能である。
さらにまた、通常の添加剤の例として、消泡剤を必要に応じてベースポリマー
に対して0.05〜2.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%の割合で用い
ることができる。
水に再分散性の粘着付与剤粉末組成物を調製するには、粘着付与物質すなわち
粘着付与剤a)が水分散液または水性エマルジョン液として用いられる。この分
散液またはエマルジョン液に噴霧する保護コロイドb)が好ましくは水溶液の状
態で添加され、混ぜ合わされる。しかし、噴霧する保護コロイドの一部または全
部を水溶液の状態から出発し、乳化もしくは分散した状態または直接バルクもし
くは溶解した状態のいずれかの形態で粘着付与物質(粘着付与剤)を添加するこ
とも可能である。予め乳化されてない成分a)を使用する場合は、その前処理と
して成分b)の水溶液中で予め十分に乳化または分散させておいて、均一な分散
液またはエマルジョン液を存在させることができる。適宜用いられる濃化剤、界
面活性物質、疎水化処理剤、消泡剤および他の添加剤は、乾燥する前に水性混合
物に添加することが好ましい。
上記成分を混合した後に分散液は乾燥される。この乾燥は、噴霧乾燥または凍
結乾燥が好ましく、中でも噴霧乾燥が好ましい。この処理においては、例えば加
熱または非加熱の乾燥ガス気流中で多重物質ノズルを通してまたはディスクを用
いて噴霧する公知の装置を使用することが可能である。乾燥ガスとしては一般に
空気、窒素または窒素含量の高い空気が用いられ、その温度は一般に250℃を
超えてはならない。最適な乾燥ガス温度は幾つかの実験により求めることができ
、多くの場合60℃以上の温度が特に適当であることが判明した。
蓄熱温度が上昇するので、例えばケーキングとブロッキングの防止および/ま
たは粉末の流動性の向上のために、アンチブロッキング剤c)を粉末に添加する
ことができる。この添加は、粉末がまだ細かく分離している間、例えば乾燥ガス
中にまだ懸濁している間に行うことが好ましい。特に、アンチブロッキング剤は
、乾燥装置に、分散液とは同時にではあるが分離して計量しながら添加される。
粘着付与剤粉末組成物中に1種またはそれ以上の中和剤を含有させる場合は、
粘着付与剤粉末に固形物の状態で中和剤を添加することが好ましい。また、中和
剤も乾燥装置に、分散液とは同時であるが分離して計量しながら添加することが
できる。このように別異の処理において、噴霧乾燥が特に適当であることが判明
した。
粘着性を変化させるために、粘着付与剤粉末組成物が接着剤の水分散液または
粉末状の接着剤に添加される。粘着付与剤粉末は粉末状または水分散液の状態で
添加することができる。用いる粘着付与剤粉末の量は、接着剤中のベースポリマ
ーに対して一般に1〜150重量%の範囲にある。
さらに、本発明は、粉末状または水に再分散した状態にある粘着付与剤粉末組
成物からなる粉末状の接着剤および接着剤の水分散液を提供する。
好適な接着剤粉末または接着剤の水分散液としては、ビニルエステル類、アク
リル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、塩化ビニル等をモノマ
ー単位とするホモポリマーおよびコポリマーあるいはこれらのベースポリマーの
混合物により構成される群から選ばれる水不溶性のポリマーをベースとしたもの
が挙げられる。
好適なビニルエステル類のホモポリマーまたはコポリマーは、炭素数1〜18
の直鎖状または分岐状カルボン酸のビニルエステル類から成る群から選ばれる1
種またはそれ以上のモノマー単位からなる。好適な(メタ)アクリル酸エステル
類のポリマーは、炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐状アルコールを有するア
クリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーである。
好ましいビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、酢酸1−メチルビニ
ル、ピバリン酸ビニル等の他に、例えばVV5R、VeoVa9R、VeoVa10R等の炭素数5
または9〜10のα位が分岐したモノカルボン酸のビニルエステル類などが挙げ
られる。中でも酢酸ビニルが好ましい。
好ましいアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類としては、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、アクリル酸
t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。中でも、アクリル酸メチル、メタク
リル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが好
ましい。
好適なビニルエステル類のポリマーの例としては、酢酸ビニルホモポリマー等
のビニルエステルホモポリマーや、下記のコポリマーがある。
すなわち、エチレン含量が1〜60重量%の酢酸ビニル−エチレン等のビニルエ
ステル−エチレンコポリマー;
エチレン含量が1〜40重量%および塩化ビニル含量が20〜80重量%の酢酸
ビニル−エチレン−塩化ビニル等のビニルエステル−エチレン−塩化ビニルコポ
リマー;
ラウリル酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、特にバル
サン酸(Versatic acid)ビニルエステル(VeoVa9R、VeoVa10R)等のα位が分岐
したカルボン酸のビニルエステル類などを1〜50重量%含有する1種またはそ
れ以上の共重合可能なビニルエステル類と酢酸ビニルとのコポリマー、
これらのコポリマーはまたエチレンを1〜40重量%含有してもよい;
特に酢酸ビニル等のビニルエステル含量が30〜90重量%、および特にアクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル含量が
1〜60重量%のビニルエステル−アクリル酸エステルコポリマー、これらのコ
ポリマーはまたエチレンを1〜40重量%含有してもよい;
30〜75重量%の酢酸ビニル、1〜30重量%のラウリル酸ビニルまたは特に
バルサン酸ビニルエステル等のα位が分岐したカルボン酸のビニルエステル類、
および1〜30重量%の特にアクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチル
ヘキシル等のアクリル酸エステルのビニルエステル−アクリル酸エステルコポリ
マー、これらのコポリマーはまたエチレンを1〜40重量%含有してもよい;
ビニルエステルとマレイン酸またはフマル酸のジイソプロピル、ジn−ブチル、
ジt−ブチル、ジエチルヘキシルエステル、メチルn−ブチルエステル等とのコ
ポリマー、例えば酢酸ビニルと10〜60重量%の上記マレイン酸エステル類ま
たはフマル酸エステル類の1種またはそれ以上とのコポリマーが例示され、これ
らのコポリマーは更にエチレンやラウリル酸ビニル、バルサン酸ビニルエステル
等の共重合可能な他のビニルエステル類を含有してもよい。
好適な(メタ)アクリル酸エステル類のポリマーとしては、アクリル酸n−ブ
チルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルのホモポリマーや、35〜65重量%
のメタクリル酸メチルと65〜35重量%のアクリル酸n−ブチルおよび/また
はアクリル酸2−エチルヘキシルとのコポリマーが例示される。
前述のビニルエステル−塩化ビニルコポリマー以外の塩化ビニルポリマーの例
としては、塩化ビニル−エチレンコポリマーがある。
スチレンポリマーの例としては、スチレン−ブタジエンコポリマーや、いずれ
の場合もスチレン含量が1〜70重量%のスチレン−アクリル酸n−ブチル、ス
チレン−アクリル酸2−エチルヘキシル等のスチレン−アクリル酸エステルコポ
リマーがある。
また、上記のポリマーには、水溶解性の向上、架橋、または接着特性の変性の
ために、いずれの場合も全ポリマー重量に対して1種またはそれ以上の補助モノ
マー単位を0.05〜30.0重量%、好ましくは0.5〜15重量%含有しても
よい。
水溶解性を向上させるために用いられる好適な補助モノマーとしては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メ
タクリルアミド等のα,β−モノエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸類
とそれらのアミド類や、エチレン性不飽和スルホン酸類とそれらの塩類、好まし
くはビニルスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸塩および/また
はN−ビニルピロリドンが例示される。
架橋作用を有するモノマー単位は、全ポリマー重量に対して0.5〜5.0重量%の
割合でポリマー中に存在することが好ましい。その例としては、N−メチロール
アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド;N−(i−ブトキシメチル
)アクリルアミド(IBMA)、N−(i−ブトキシメチル)メタクリルアミド
(IBMMA)、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド(NBMA)、N
−(n−ブトキシメチル)メタクリルアミド(NBMMA)等のC1〜C6のアル
キル基を有するN−(アルコキシメチル)アクリルアミド類またはN−(アルコ
キシメチル)メタクリルアミド類;エチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、アジピン酸ジビニル、ジビニルベ
ンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリ
ル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、メチ
レン−ビスアクリルアミド、アクリル酸シクロペンタジエニル、シアヌール酸ト
リアリル等の複数のエチレン性不飽和基を有するコモノマーが例示される。
粘着付与剤粉末で変性された接着剤粉末または接着剤の水分散液は、特に接触
型接着剤、フローリング接着剤および構造用接着剤の使用に好適である。
実施例
用いられる物質
・粘着付与剤T−1
スノータック(Snowtack)−52CF:乳化剤で安定化された固形分含量50
%のロジンの水性エマルジョン、テネコ社から入手可能。
・分散液DI−1
アクリル酸2−エチルヘキシル含量48重量%、酢酸ビニル含量36重量%お
よびエチレン含量16重量%の酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エチルヘキシ
ルコポリマーをベースとする固形分含量60%の水分散液であり、乳化剤で安定
化されている。
・分散粉末DP−1
ベース分散液の固形分含量に対して噴霧保護コロイドとして20重量%のポリ
メタクリル酸を有する分散液DI−1ベースの再分散性粉末。
・噴霧保護コロイドソカラン(Sokalan)−CP13
ソカランCP13は分子量約20,000の変性ポリアクリル酸であり、BASF社
から入手可能。
・噴霧保護コロイドベルシコール(Versicol)−K11
ベルシコール−K11は分子量約10,000のポリメタクリル酸であり、アライド
コロイド社から入手可能。
・噴霧保護コロイドスパレックス(Suparex)−PD41
スパレックス−PD41は低分子量のフェノールスルホン酸−ホルムアルデヒ
ド縮合物であり、英国ホジソン社からその製品を入手することが可能。
・噴霧保護コロイドビンナパス(Vinnapas)−M13/140
ビンナパスM13/140は加水分解度86〜89モル%のポリビニルアルコ
ールであり、ワッカー・ケミーGmbHから入手可能。
実施例1
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度25%のベルシコール−K11
水溶液1600重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。分散液
のpHは3.8であった。この混合物を二重(dual-substance)ノズルにより噴霧
乾燥した。噴霧成分として3バールに予め加圧された空気を用い、形成された液
滴を120℃に加熱した乾燥空気との並流で乾燥した。得られた乾燥粉末をカオ
リナイトをベースとする市販のアンチブロッキング剤10重量%と混合した。
実施例2
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度28%のソカラン−CP13水
溶液1429重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。混合物の
pHは3.9であった。以下、実施例1と同様にして粉末を調製した。
実施例3
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度47%のスパレックス−PD4
1水溶液851重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。混合物
のpHは6.9であった。以下、実施例1と同様にして粉末を調製した。
比較例1
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度11%のM13/140水溶液
3636重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。混合物のpH
は7.6であった。以下、実施例1と同様にして粉末を調製した。
試験成績
噴霧保護コロイドの失活
噴霧保護コロイドの失活を調査するために、それぞれ上記実施例1〜比較例1
で得られた粘着付与剤粉末の再分散性に対する噴霧すべき分散液のpHの影響に
ついて調査した。このために、各粘着付与剤粉末50gをそれぞれ水50gに加
えて攪拌し、再分散性を定性的に評価した。表1には、保護コロイドの中和によ
るコロイドの失活、および単なるpH変化によって再分散性の系がどれほど非分
散性の系を形成するかを示す。この試験による再分散性が劣るほど、粘着付与剤
として使用した場合の粘着付与効果は良好である。
粘着性試験
新規な粘着付与剤粉末の粘着付与効果を試験するために、下記の組成を有する
接着剤の水分散液をそれぞれ調製した。水分散液の調製には、分散液DI−1、
分散粉末DP−1の50%再分散液、および実施例1で得られた粘着付与剤粉末
の50%再分散液を出発材料として用いた。
・接着剤1(比較)
固形分含量50%の分散粉末DP−1を水に再分散したもの。
・接着剤2
分散粉末DP−1の再分散液と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の重量比6
0:40の混合物であり、そのpHは3.9であった。
・接着剤3
分散粉末DP−1の再分散液と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の重量比6
0:40の混合物である。混合物のpHをアンモニアで7.3に調節した。
・接着剤4
分散液DI−1と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の再分散液との重量比6
0:40(固形分含量:固形分含量で計算)混合物である。混合物のpHは4.
4であった。
・接着剤5
分散液DI−1と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の再分散液との重量比6
0:40(固形分含量:固形分含量で計算)の混合物である。混合物のpHをア
ンモニアで7.3に調節した。
以上の接着剤分散液を箱型のドクターナイフを用いて可撓性のPVCフィルム
に均一な厚さで、乾燥後の単位面積当たりの被膜重量が約50g/m2になる量
を塗布した。70℃で30分間対流オーブン内で乾燥した。室温に冷却した後、
被膜の表面粘着性(タック)について試験した。このために、塗布した接着剤を
指触(指は予め清潔にしておいた)によりタックの程度を調べて定性的に評価し
た。更に、タイプライター紙(80g/m2)を親指で5秒間均一な圧力で被膜
表面に押し付けた後、直ちに紙を取り除いて、タックの試験を行った。そして、
取り除いた紙に対する塗布した接着剤の様子を定性的に評価した。その試験結果
を表2にまとめて示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年10月23日
【補正内容】
620,243 号明細書においては、樹脂粘着付与剤の水懸濁液が接着剤分散液に添
加される。
粘着付与剤溶液の場合には、これらの方法は処理中または処理後に揮発性溶媒
が放出されるという不都合がある。溶解した状態での樹脂粘着付与剤の添加は、
時間がかかり、しかも大量のエネルギーを必要とする処理工程を含むので、接着
剤の製造費が高くつく。粘着付与剤の水分散液を添加する場合は、通常、接着剤
分散液が不必要なまでに希釈される。しかも、添加工程を省略して、粘着付与剤
の水分散液を接着剤粉末と均一に混合することは不可能である。
そのため、従来は、上述した不都合を生じることなく、粉末および水性の双方
に接着剤を変性することができる粘着付与剤組成物を得ることを目的としていた
。
今やその目的が、簡単に粉末状接着剤および接着剤水分散液の双方の状態で用
いることができる水に再分散性の粉末状粘着付与剤組成物によって達成された。
すなわち、本発明は、下記a)〜d)からなる水に再分散性の粘着付与剤粉末
組成物を提供することにある。
a)1種またはそれ以上の粘着付与物質、
b)オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸類もしくはその酸無水物類を
モノマー単位とする、水可溶性で低分子量のホモポリマーまたはコポリマーによ
り構成される群から選ばれ、粘着付与物質の全乾燥重量に対して2〜50重量%
の1種またはそれ以上の化合物であって、コポリマーとしては更に遊離基重合性
モノマーまたはフェノールスルホン酸類、メラミンスルホン酸類もしくはナフタ
レンスルホン酸類の縮合物を2〜50モル%含有してもよく、上記化合物の水可
溶性は23℃で水100gに10g以上であり、重量平均分子量として測定され
る上記化合物の分子量は250,000g/mol以下である、
c)高分子成分の全重量に対して0〜30重量%のアンチブロッキング剤、およ
び
d)組成物の全重量に対して0〜50重量%の他の添加剤。
好適な粘着付与物質としては、例えば慣用の粘着付与剤が挙げられ、具体的に
はロジン、公知のバルサム樹脂やトール樹脂の他に、二量化、不均化および水素
化されたロジンなどの誘導体等が例示される。さらに、ロジンのジエチレングリ
コールエステル等のバルサム樹脂のグリコールエステル類、グリセロールエステ
ル類、ペンタエリスリトールエステル類、炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、ク
請求の範囲
1.
a)1種またはそれ以上の粘着付与物質、
b)オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸もしくはその酸無水物をモ
ノマー単位とする水可溶性で低分子量のホモポリマーまたはコボリマーから成る
群から選ばれ、粘着付与物質の全乾燥重量に対して2〜50重量%の1種または
それ以上の化合物であって、コポリマーとして更に遊離基重合性モノマーまたは
フェノールスルホン酸類、メラミンスルホン酸類もしくはナフタレンスルホン酸
類の縮合物を2〜50モル%含有してもよく、上記化合物の水可溶性は23℃で
水100gに10g以上であり、重量平均分子量として測定される上記化合物の
分子量は250,000g/mol以下である化合物、
c)高分子成分の全重量に対して0〜30重量%のアンチブロッキング剤、お
よび
d)組成物の全重量に対して0〜50重量%の他の添加剤。
を含む水に再分散性の粘着付与剤粉末組成物。
2. 組成物中に存在する粘着付与物質が、ロジンまたはその誘導体、炭化水素
樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂
;酢酸ブチルジグリコール、ブチルジグリコール、プロピレンジグリコールエー
テル類またはそれらのエステル類および2−ヒドロキシエチルフェニルエーテル
等の高沸点液体;フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類およびアジピン酸
エステル類等の可塑剤;またはこれらの物質の混合物であることを特徴とする、
特許請求の範囲第1項記載の粘着付与剤粉末組成物。
3. 成分b)として、オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸もしくは
その酸無水物をモノマー単位とする、中和されてないかまたは部分的に中和され
た水可溶性のホモポリマーまたはコポリマーが存在することを特徴とする、特許
請求の範囲第1項または第2項記載の粘着付与剤粉末組成物。
4. 成分b)として、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸(酸無水物
)をモノマー単位とする、分子量が150,000g/mol以下のホモポリマーまたはコ
ポリマーが存在することを特徴とする、特許請求の範囲第3項記載の粘
着付与剤粉末組成物。
5. ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、あるいはアクリル酸、メタクリル酸
またはマレイン酸(酸無水物)またはこれらと共重合可能なモノマーをモノマー
単位とするコポリマーが存在し、これらのコポリマーの酸含有量が80モル%を
超えることを特徴とする、特許請求の範囲第4項記載の粘着付与剤粉末組成物。
6. 粉末状または水に再分散した状態にある特許請求の範囲第1項〜第5項に
記載の粘着付与剤粉末組成物からなり、ビニルエステル類、アクリル酸エステル
類、メタクリル酸エステル類、スチレンまたは塩化ビニルをモノマー単位とする
ホモポリマーおよびコポリマーあるいはこれらのベースポリマーの混合物により
構成される群から選ばれる水不溶性のポリマーをベースにした粉末状接着剤また
は接着剤水分散液。
7. 特許請求の範囲第6項記載の粉末状接着剤または接着剤水分散液の接触型
接着剤、フローリング接着剤または構造用接着剤における使用法。
【手続補正書】
【提出日】1998年5月8日
【補正内容】
明細書
再分散性の粘着付与剤粉末
本発明は、再分散性の粘着付与剤粉末および粉末状または水に再分散した状態
にある再分散性の粘着付与剤粉末からなる接着剤に関する。
例えばビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン等のホモ
ポリマーまたはコポリマーを接着剤とするポリマーの使用は、塗布における重要
な分野を形成する。その1つに酢酸ビニル−エチレンコポリマーをフローリング
接着剤として使用する例がある(欧州特許出願公開第23,360 号明細書、米国特
許第4,322,330 号明細書)。欧州特許出願公開第620,243 号明細書には、ビニ
ルエステル−アクリル酸エステルコポリマーを接触型接着剤またはフローリング
接着剤として使用する方法が記載されている。ドイツ特許出願公開第3,737,630
号明細書(米国特許第4,975,481 号明細書)は、エチレン−酢酸ビニルコポリ
マーをベースとする接触型接着剤に関するものである。欧州特許出願公開第17,9
86 号明細書(米国特許第4,322,516 号明細書)には、アクリル酸エステル−
酢酸ビニル−エチレンコポリマーをベースとする接触型接着剤が開示されている
。欧州特許出願公開第490,191 号明細書(米国特許第5,196,468号明細書)は、
アクリル酸エステルの水性ラテックスをフローリング接着剤として使用する方法
に関するものである。上述の塗布において、これらのポリマーは原理的には粉末
状または水分散液の状態で用いることができる。
特に接触型接着剤またはフローリング接着剤として使用する場合は、粘着性を
向上させるために、粘着付与物質や、樹脂粘着付与剤等の粘着付与剤を添加する
ことがしばしば必要である。これらの粘着付与剤は、可塑剤中で溶液として水分
散液に添加することができる(欧州特許出願公開第23,360 号明細書)。ドイツ
特許出願公開第3,737,630 号明細書には、粘着付与剤を有機溶媒中の溶液とし
てないしは溶解した状態でポリマー分散液に添加する旨が開示されている。欧州
特許出願公開第490,191 号明細書には、溶解した樹脂粘着付与剤および界面活性
物質を接着剤分散液に添加する方法が記載されている。欧州特許出願公開第
620,243 号明細書においては、樹脂粘着付与剤の水懸濁液が接着剤分散液に添
加される。
粘着付与剤溶液の場合には、これらの方法は処理中または処理後に揮発性溶媒
が放出されるという不都合がある。溶解した状態での樹脂粘着付与剤の添加は、
時間がかかり、しかも大量のエネルギーを必要とする処理工程を含むので、接着
剤の製造費が高くつく。粘着付与剤の水分散液を添加する場合は、通常接着剤分
散液が不必要なまでに希釈される。しかも、添加工程を省略して、粘着付与剤の
水分散液を接着剤粉末と均一に混合することは不可能である。
そのため、従来は、上述した不都合を生じることなく、粉末および水性の双方
の接着剤を変性することができる粘着付与剤組成物を得ることを目的としていた
。
今やその目的が、簡単に粉末状接着剤および接着剤水分散液の双方の状態で用
いることができる水に再分散性の粉末状粘着付与剤組成物によって達成された。
すなわち、本発明は、下記a)〜d)からなる水に再分散性の粘着付与剤粉末
組成物を提供することにある。
a)1種またはそれ以上の粘着付与物質、
b)オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸類もしくはその酸無水物類を
モノマー単位とする、水可溶性で低分子量のホモポリマーまたはコポリマーによ
り構成される群から選ばれ、粘着付与物質の全乾燥重量に対して2〜50重量%
の1種またはそれ以上の化合物であって、コポリマーとしては更に遊離基重合性
モノマーまたはフェノールスルホン酸類、メラミンスルホン酸類もしくはナフタ
レンスルホン酸類の縮合物を2〜50モル%含有してもよく、上記化合物の水可
溶性は23℃で水100gに10g以上であり、重量平均分子量として測定され
る上記化合物の分子量は250,000g/mol以下である、
c)高分子成分の全重量に対して0〜30重量%のアンチブロッキング剤、およ
び
d)組成物の全重量に対して0〜50重量%の他の添加剤。
好適な粘着付与物質としては、例えば慣用の粘着付与剤が挙げられ、具体的に
はロジン、公知のバルサム樹脂やトール樹脂の他に、二量化、不均化および水素
化されたロジンなどの誘導体等が例示される。さらに、ロジンのジエチレングリ
コールエステル等のバルサム樹脂のグリコールエステル類、グリセロールエステ
ル類、ペンタエリスリトールエステル類、炭化水素樹脂、ポリテルペン樹脂、ク
マロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂などが例示される。
また、酢酸ブチルジグリコール、ブチルジグリコール、プロピレンジグリコー
ルエーテル類またはそれらのエステル類、2−ヒドロキシエチルフェニルエーテ
ル等の高沸点液体や、フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類、アジピン酸
エステル類等の可塑剤が好適である。これらの物質はまた混合物の状態で用いる
こともできる。
中でも、上述のロジンとそのエステル類、酢酸ブチルジグリコールおよび2−
ヒドロキシエチルフェニルエーテルが好ましい。
成分b)としては、オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸類もしくは
それらの酸無水物類をモノマー単位とする、中和されてないかあるいは部分的に
中和された水可溶性のホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、
アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸(酸無水物)のホモポリマーまたは
コポリマー、特にポリアクリル酸またはポリメタクリル酸が好ましい。上記した
アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸(酸無水物)単位あるいはこれらと
共重合可能なモノマー単位からなるコポリマーが好ましく、特にこれらのコポリ
マーの酸含有量が80モル%を超えるものが好ましい。共重合可能なモノマーと
しては、エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル芳香族化合物などのアルケ
ン類、好ましくはアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メ
チル等のメタクリル酸エステル類、メチルビニルエーテル等のアルキルビニルエ
ーテル類、メタクリルアミド、アクリルアミドなどが例示される。好ましいコポ
リマーとしては、マレイン酸−メチルビニルエーテル、メタクリル酸−メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸−アクリルアミドコポリマー等が例示される。ここで
、“水可溶性”とは、水100gに23℃で10g以上の溶解度を有するもので
ある。
これらのポリマーの分子量は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィー法により測定される重量平均分子量が250,000g/mol以下、好ましくは15
0,000g/mol以下、特に分子量が5,000〜50,000g/molの範囲にあることが好ま
しい。
成分b)として記載されたポリマーは、例えば溶液重合、バルク重合等の当業
者にとって従来公知の方法により製造される。また、多くの場合、これらのポリ
マーは商業的に入手可能である。
粘着付与剤粉末組成物中の成分b)の量は、粘着付与物質の全乾燥重量に対し
て5〜35重量%の範囲にあることが好ましい。
好ましい成分b)として具体的に例示したオレフィン性不飽和モノ−またはジ
カルボン酸もしくはその酸無水物の中和されてないかあるいは部分的に中和され
たホモポリマーまたはコポリマーを中和することにより、組成物と失活された保
護コロイドとのアクセスを速めることが可能である。事実、公知の分散粉末に保
護コロイドを作用させると、多くの塗布において製品の特性に望ましくない結果
を与えることが判明した。例えば接着剤を塗布する場合には、水可溶性剤の噴霧
を補助する保護コロイドの特質から、保護コロイドの噴霧量の割合によって多く
の場合接着剤および/または粘着付与添加剤の粘着性に悪影響を及ぼす。
再分散液のpHを所望の範囲に調節するよう、粉末中の量が計算された適当量
の中和剤を予め含有する粘着付与剤粉末組成物を調製することにより、中和を遂
行することができる。さらに、中和剤で変性されていない粘着付与剤粉末組成物
を水に再分散させ、次いで例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウム等の中和剤を添加して、所望のpH範囲に調節する方法を選択してもよ
い。
中和が所望であれば、中和剤がなお新規な粘着付与剤粉末組成物中に残存する
ことが好ましいかろう。これらの中和剤は、乾燥して得られる上記粉末と、更に
必要に応じて併用される粉末状の添加剤と混ざり合うことが好ましい。用いられ
る中和剤の量は、それぞれの粘着付与剤粉末組成物と粘着付与粉末および水から
得られる接着剤の分散液を調製したときのpHとに依存する。例えば、適切なp
Hは、異なったpHレベルで粘着付与粉末を水に攪拌した時に、安定した再分散
液を検査することにより容易に求めることができる。好適な中和剤としては、例
えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の慣用の無機塩基
が挙げられる。
アンチブロッキング剤を添加する場合には、その割合は高分子成分の全重量に
対して4〜20重量%の範囲にあることが好ましい。アンチブロッキング剤(成
分c)としては、微粉砕された珪酸アルミニウム、キーゼルグール、焼成シリカ
、沈殿シリカ、コロイド珪酸、マイクロシリカ、カオリナイト、タルク、珪藻土
、炭酸カルシウム、マグネシウムハイドロシリケート等が例示される。アンチブ
ロツキング剤は、特にその平均粒子径が0.1〜50μmの範囲にあることが好
ましい。
意図する塗布に対応して、粘着付与剤粉末組成物には必要に応じて更に添加剤
を含有させることができる。
必要に応じて、例えばポリシロキサン類、金属石鹸等に基づく疎水化処理剤を
ベースポリマーに対して0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の
範囲で存在させることが可能である。
さらに、乳化剤、湿潤剤等の界面活性物質をベースポリマーに対して0.1〜
2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲で存在させることも可能で
ある。その例としてはアニオンやノニオン界面活性剤がある。
必要に応じて、例えば高分子量のポリアクリル酸類に基づく濃化剤をベースポ
リマーに対して0.5〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲で存
在させることも同様に可能である。
さらにまた、通常の添加剤の例として、消泡剤を必要に応じてベースポリマー
に対して0.05〜2.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%の割合で用い
ることができる。
水に再分散性の粘着付与剤粉末組成物を調製するには、粘着付与物質すなわち
粘着付与剤a)が水分散液または水性エマルジョン液として用いられる。この分
散液またはエマルジョン液に噴霧する保護コロイドb)が好ましくは水溶液の状
態で添加され、混ぜ合わされる。しかし、噴霧する保護コロイドの一部または全
部を水溶液の状態から出発し、乳化もしくは分散した状態または直接バルクもし
くは溶解した状態のいずれかの形態で粘着付与物質(粘着付与剤)を添加するこ
とも可能である。予め乳化されてない成分a)を使用する場合は、その前処理と
して成分b)の水溶液中で予め十分に乳化または分散させておいて、均一な分散
液またはエマルジョン液を存在させることができる。適宜用いられる濃化剤、界
面活性物質、疎水化処理剤、消泡剤および他の添加剤は、乾燥する前に水性混合
物に添加することが好ましい。
上記成分を混合した後に分散液は乾燥される。この乾燥は、噴霧乾燥または凍
結乾燥が好ましく、中でも噴霧乾燥が好ましい。この処理においては、例えば加
熱または非加熱の乾燥ガス気流中で多重物質ノズルを通してまたはディスクを用
いて噴霧する公知の装置を使用することが可能である。乾燥ガスとしては一般に
空気、窒素または窒素含量の高い空気が用いられ、その温度は一般に250℃を
超えてはならない。最適な乾燥ガス温度は幾つかの実験により求めることができ
、多くの場合60℃以上の温度が特に適当であることが判明した。
蓄熱温度が上昇するので、例えばケーキングとブロッキングの防止および/ま
たは粉末の流動性の向上のために、アンチブロッキング剤c)を粉末に添加する
ことができる。この添加は、粉末がまだ細かく分離している間、例えば乾燥ガス
中にまだ懸濁している間に行うことが好ましい。特に、アンチブロッキング剤は
、乾燥装置に、分散液とは同時にではあるが分離して計量しながら添加される。
粘着付与剤粉末組成物中に1種またはそれ以上の中和剤を含有させる場合は、
粘着付与剤粉末に固形物の状態で中和剤を添加することが好ましい。また、中和
剤も乾燥装置に、分散液とは同時であるが分離して計量しながら添加することが
できる。このように別異の処理において、噴霧乾燥が特に適当であることが判明
した。
粘着性を変化させるために、粘着付与剤粉末組成物が接着剤の水分散液または
粉末状の接着剤に添加される。粘着付与剤粉末は粉末状または水分散液の状態で
添加することができる。用いる粘着付与剤粉末の量は、接着剤中のベースポリマ
ーに対して一般に1〜150重量%の範囲にある。
さらに、本発明は、粉末状または水に再分散した状態にある粘着付与剤粉末組
成物からなる粉末状の接着剤および接着剤の水分散液を提供する。
好適な接着剤粉末または接着剤の水分散液としては、ビニルエステル類、アク
リル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、塩化ビニル等をモノマ
ー単位とするホモポリマーおよびコポリマーあるいはこれらのベースポリマーの
混合物により構成される群から選ばれる水不溶性のポリマーをベースとしたもの
が挙げられる。
好適なビニルエステル類のホモポリマーまたはコポリマーは、炭素数1〜18
の直鎖状または分岐状カルボン酸のビニルエステル類から成る群から選ばれる1
種またはそれ以上のモノマー単位からなる。好適な(メタ)アクリル酸エステル
類のポリマーは、炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐状アルコールを有するア
クリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーである。
好ましいビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、酢酸1−メチルビニ
ル、ピバリン酸ビニル等の他に、例えばVV5R、VeoVa9R、VeoVa10R等の炭素数5
または9〜10のα位が分岐したモノカルボン酸のビニルエステル類などが挙げ
られる。中でも酢酸ビニルが好ましい。
好ましいアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類としては、アク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、アクリル酸
t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。中でも、アクリル酸メチル、メタク
リル酸メチル、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが好
ましい。
好適なビニルエステル類のポリマーの例としては、酢酸ビニルホモポリマー等
のビニルエステルホモポリマーや、下記のコポリマーがある。
すなわち、エチレン含量が1〜60重量%の酢酸ビニル−エチレン等のビニルエ
ステル−エチレンコポリマー;
エチレン含量が1〜40重量%および塩化ビニル含量が20〜80重量%の酢酸
ビニル−エチレン−塩化ビニル等のビニルエステル−エチレン−塩化ビニルコポ
リマー;
ラウリル酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、特にバル
サン酸(Versatic acid)ビニルエステル(VeoVa9R、VeoVa10R)等のα
位が分岐したカルボン酸のビニルエステル類などを1〜50重量%含有する1種
またはそれ以上の共重合可能なビニルエステル類と酢酸ビニルとのコポリマー、
これらのコポリマーはまたエチレンを1〜40重量%含有してもよい;
特に酢酸ビニル等のビニルエステル含量が30〜90重量%、および特にアクリ
ル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル含量が
1〜60重量%のビニルエステル−アクリル酸エステルコポリマー、これらのコ
ポリマーはまたエチレンを1〜40重量%含有してもよい;
30〜75重量%の酢酸ビニル、1〜30重量%のラウリル酸ビニルまたは特に
バルサン酸ビニルエステル等のα位が分岐したカルボン酸のビニルエステル類、
および1〜30重量%の特にアクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチル
ヘキシル等のアクリル酸エステルのビニルエステル−アクリル酸エステルコポリ
マー、これらのコポリマーはまたエチレンを1〜40重量%含有してもよい;
ビニルエステルとマレイン酸またはフマル酸のジイソプロピル、ジn−ブチル、
ジt−ブチル、ジエチルヘキシルエステル、メチルn−ブチルエステル等とのコ
ポリマー、例えば酢酸ビニルと10〜60重量%の上記マレイン酸エステル類ま
たはフマル酸エステル類の1種またはそれ以上とのコポリマーが例示され、これ
らのコポリマーは更にエチレンやラウリル酸ビニル、バルサン酸ビニルエステル
等の共重合可能な他のビニルエステル類を含有してもよい。
好適な(メタ)アクリル酸エステル類のポリマーとしては、アクリル酸n−ブ
チルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルのホモポリマーや、35〜65重量%
のメタクリル酸メチルと65〜35重量%のアクリル酸n−ブチルおよび/また
はアクリル酸2−エチルヘキシルとのコポリマーが例示される。
前述のビニルエステル−塩化ビニルコポリマー以外の塩化ビニルポリマーの例
としては、塩化ビニル−エチレンコポリマーがある。
スチレンポリマーの例としては、スチレン−ブタジエンコポリマーや、いずれ
の場合もスチレン含量が1〜70重量%のスチレン−アクリル酸n−ブチル、ス
チレン−アクリル酸2−エチルヘキシル等のスチレン−アクリル酸エステルコポ
リマーがある。
また、上記のポリマーには、水溶解性の向上、架橋、または接着特性の変性の
ために、いずれの場合も全ポリマー重量に対して1種またはそれ以上の補助モノ
マー単位を0.05〜30.0重量%、好ましくは0.5〜15重量%含有しても
よい。
水溶解性を向上させるために用いられる好適な補助モノマーとしては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メ
タクリルアミド等のα,β−モノエチレン性不飽和モノ−およびジカルボン酸類
とそれらのアミド類や、エチレン性不飽和スルホン酸類とそれらの塩類、好まし
くはビニルスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸塩および/また
はN−ビニルピロリドンが例示される。
架橋作用を有するモノマー単位は、全ポリマー重量に対して0.5〜5.0重量%の
割合でポリマー中に存在することが好ましい。その例としては、N−メチロール
アクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド;N−(i−ブトキシメチル
)アクリルアミド(IBMA)、N−(i−ブトキシメチル)メタクリルアミド
(IBMMA)、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド(NBMA)、N
−(n−ブトキシメチル)メタクリルアミド(NBMMA)等のC1〜C6のアル
キル基を有するN−(アルコキシメチル)アクリルアミド類またはN−(アルコ
キシメチル)メタクリルアミド類;エチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、アジピン酸ジビニル、ジビニルベ
ンゼン、メタクリル酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリ
ル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、メチ
レン−ビスアクリルアミド、アクリル酸シクロペンタジエニル、シアヌール酸ト
リアリル等の複数のエチレン性不飽和基を有するコモノマーが例示される。
粘着付与剤粉末で変性された接着剤粉末または接着剤の水分散液は、特に接触
型接着剤、フローリング接着剤および構造用接着剤の使用に好適である。
実施例
用いられる物質
・粘着付与剤T−1
スノータック(Snowtack)−52CF:乳化剤で安定化された固形分含量50
%のロジンの水性エマルジョン、テネコ社から入手可能。
・分散液DI−1
アクリル酸2−エチルヘキシル含量48重量%、酢酸ビニル含量36重量%お
よびエチレン含量16重量%の酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エチルヘキシ
ルコポリマーをベースとする固形分含量60%の水分散液であり、乳化剤で安定
化されている。
・分散粉末DP−1
ベース分散液の固形分含量に対して噴霧保護コロイドとして20重量%のポリ
メタクリル酸を有する分散液DI−1ベースの再分散性粉末。
・噴霧保護コロイドソカラン(Sokalan)−CP13
ソカランCP13は分子量約20,000の変性ポリアクリル酸であり、BASF社
から入手可能。
・噴霧保護コロイドベルシコール(Versicol)−K11
ベルシコール−K11は分子量約10,000のポリメタクリル酸であり、アライド
コロイド社から入手可能。
・噴霧保護コロイドスパレックス(Suparex)−PD41
スパレックス−PD41は低分子量のフェノールスルホン酸−ホルムアルデヒ
ド縮合物であり、英国ホジソン社からその製品を入手することが可能。
・噴霧保護コロイドビンナパス(Vinnapas)−M13/140
ビンナパスM13/140は加水分解度86〜89モル%のポリビニルアルコ
ールであり、ワッカー・ケミーGmbHから入手可能。
実施例1
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度25%のベルシコール−K11
水溶液1600重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。分散液
のpHは3.8であった。この混合物を二重(dual-substance)ノズルにより噴霧
乾燥した。噴霧成分として3バールに予め加圧された空気を用い、形成された液
滴を120℃に加熱した乾燥空気との並流で乾燥した。得られた乾燥粉末をカオ
リナイトをベースとする市販のアンチブロッキング剤10重量%と混合した。
実施例2
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度28%のソカラン−CP13水
溶液1429重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。混合物の
pHは3.9であった。以下、実施例1と同様にして粉末を調製した。
実施例3
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度47%のスパレックス−PD4
1水溶液851重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。混合物
のpHは6.9であった。以下、実施例1と同様にして粉末を調製した。
比較例1
4000重量部の粘着付与剤T−1および濃度11%のM13/140水溶液
3636重量部(T−1樹脂に対して20%)を完全に混合した。混合物のpH
は7.6であった。以下、実施例1と同様にして粉末を調製した。
試験成績
噴霧保護コロイドの失活
噴霧保護コロイドの失活を調査するために、それぞれ上記実施例1〜比較例1
で得られた粘着付与剤粉末の再分散性に対する噴霧すべき分散液のpHの影響に
ついて調査した。このために、各粘着付与剤粉末50gをそれぞれ水50gに加
えて攪拌し、再分散性を定性的に評価した。表1には、保護コロイドの中和によ
るコロイドの失活、および単なるpH変化によって再分散性の系がどれほど非分
散性の系を形成するかを示す。この試験による再分散性が劣るほど、粘着付与剤
として使用した場合の粘着付与効果は良好である。
粘着性試験
新規な粘着付与剤粉末の粘着付与効果を試験するために、下記の組成を有する
接着剤の水分散液をそれぞれ調製した。水分散液の調製には、分散液DI−1、
分散粉末DP−1の50%再分散液、および実施例1で得られた粘着付与剤粉末
の50%再分散液を出発材料として用いた。
・接着剤1(比較)
固形分含量50%の分散粉末DP−1を水に再分散したもの。
・接着剤2
分散粉末DP−1の再分散液と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の重量比6
0:40の混合物であり、そのpHは3.9であった。
・接着剤3
分散粉末DP−1の再分散液と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の重量比6
0:40の混合物である。混合物のpHをアンモニアで7.3に調節した。
・接着剤4
分散液DI−1と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の再分散液との重量比6
0:40(固形分含量:固形分含量で計算)混合物である。混合物のpHは4.
4であった。
・接着剤5
分散液DI−1と実施例1で得られた粘着付与剤粉末の再分散液との重量比6
0:40(固形分含量:固形分含量で計算)の混合物である。混合物のpHをア
ンモニアで7.3に調節した。
以上の接着剤分散液を箱型のドクターナイフを用いて可撓性のPVCフィルム
に均一な厚さで、乾燥後の単位面積当たりの被膜重量が約50g/m2になる量
を塗布した。70℃で30分間対流オーブン内で乾燥した。室温に冷却した後、
被膜の表面粘着性(タック)について試験した。このために、塗布した接着剤を
指触(指は予め清潔にしておいた)によりタックの程度を調べて定性的に評価し
た。更に、タイプライター紙(80g/m2)を親指で5秒間均一な圧力で被膜
表面に押し付けた後、直ちに紙を取り除いて、タックの試験を行った。そして、
取り除いた紙に対する塗布した接着剤の様子を定性的に評価した。その試験結果
を表2にまとめて示す。
以下、本発明の好適な実施様態を例示する。
1.
a)1種またはそれ以上の粘着付与物質、
b)オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸もしくはその酸無水物をモ
ノマー単位とする水可溶性で低分子量のホモポリマーまたはコポリマーから成る
群から選ばれ、粘着付与物質の全乾燥重量に対して2〜50重量%の1種または
それ以上の化合物であって、コポリマーとして更に遊離基重合性モノマーまたは
フェノールスルホン酸類、メラミンスルホン酸類もしくはナフタレンスルホン酸
類の縮合物を2〜50モル%含有してもよく、上記化合物の水可溶性は23℃で
水100gに10g以上であり、重量平均分子量として測定される上記化合物の
分子量は250,000g/mol以下である化合物、
c)高分子成分の全重量に対して0〜30重量%のアンチブロッキング剤、お
よび
d)組成物の全重量に対して0〜50重量%の他の添加剤。
を含む水に再分散性の粘着付与剤粉末組成物。
2. 組成物中に存在する粘着付与物質が、ロジンまたはその誘導体、炭化水素
樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペン−フェノール樹脂
;酢酸ブチルジグリコール、ブチルジグリコール、プロピレンジグリコール
エーテル類またはそれらのエステル類および2−ヒドロキシエチルフェニルエー
テル等の高沸点液体;フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類およびアジピ
ン酸エステル類等の可塑剤;またはこれらの物質の混合物であることを特徴とす
る、上記1に記載の粘着付与剤粉末組成物。
3. 成分b)として、オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸もしくは
その酸無水物をモノマー単位とする、中和されてないかまたは部分的に中和され
た水可溶性のホモポリマーまたはコポリマーが存在することを特徴とする、上記
1または2に記載の粘着付与剤粉末組成物。
4. 成分b)として、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸(酸無水物
)をモノマー単位とする、分子量が150,000g/mol以下のホモポリマーまたはコ
ポリマーが存在することを特徴とする、上記3に記載の粘着付与剤粉末組成物。
5. ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、あるいはアクリル酸、メタクリル酸
またはマレイン酸(酸無水物)またはこれらと共重合可能なモノマーをモノマー
単位とするコポリマーが存在し、これらのコポリマーの酸含有量が80モル%を
超えることを特徴とする、上記4に記載の粘着付与剤粉末組成物。
6. 粉末状または水に再分散した状態にある上記1〜5に記載の粘着付与剤粉
末組成物からなり、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エ
ステル類、スチレンまたは塩化ビニルをモノマー単位とするホモポリマーおよび
コポリマーあるいはこれらのベースポリマーの混合物により構成される群から選
れる水不溶性のポリマーをベースにした粉末状接着剤または接着剤水分散液。
7. 上記6に記載の粉末状接着剤または接着剤水分散液の接触型接着剤、フロ
ーリング接着剤または構造用接着剤における使用法。
請求の範囲
1.
a)1種またはそれ以上の粘着付与物質、
b)オレフィン性不飽和モノ−またはジカルボン酸もしくはその酸無水物をモ
ノマー単位とする水可溶性で低分子量のホモポリマーまたはコポリマーから成る
群から選ばれ、粘着付与物質の全乾燥重量に対して2〜50重量%の1種または
それ以上の化合物であって、コポリマーとして更に遊離基重合性モノマーまたは
フェノールスルホン酸類、メラミンスルホン酸類もしくはナフタレンスルホン酸
類の縮合物を2〜50モル%含有してもよく、上記化合物の水可溶性は23℃で
水100gに10g以上であり、重量平均分子量として測定される上記化合物の
分子量は250,000g/mol以下である化合物、
c)高分子成分の全重量に対して0〜30重量%のアンチブロッキング剤、お
よび
d)組成物の全重量に対して0〜50重量%の他の添加剤。
を含む水に再分散性の粘着付与剤粉末組成物。
2. 粉末状または水に再分散した状態にある特許請求の範囲第1項に記載の粘
着付与剤粉末組成物からなり、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタ
クリル酸エステル類、スチレンまたは塩化ビニルをモノマー単位とするホモポリ
マーおよびコポリマーあるいはこれらのベースポリマーの混合物により構成され
る群から選ばれる水不溶性のポリマーをベースにした粉末状接着剤または接着剤
水分散液。
3. 特許請求の範囲第2項記載の粉末状接着剤または接着剤水分散液の接触型
接着剤、フローリング接着剤または構造用接着剤における使用法。