JPH11500910A - 生物源からix因子を調製する方法 - Google Patents

生物源からix因子を調製する方法

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Abstract

(57)【要約】 生物源からクロマトグラフィーによってIX因子を調製する方法であって、いずれかのクロマトグラフィー分離を行う前に上記生物源を蛋白質沈殿剤で処理することを特徴とする上記方法。

Description

【発明の詳細な説明】 生物源からIX因子を調製する方法 本発明は、生物源からクロマトグラフィーによってIX因子を調製する方法並 びに本発明の方法によって調製することができるIX因子に関する。 例えば血液血漿からIX因子を調製する場合は、まず寒冷沈降物を分離し、凍 結したクエン酸塩血漿を融解し、VIII因子およびフィブリノゲンの大部分を 遠心分離する方法が採られている。このようにして得られたクリオプア(cryopo or)血漿は、0.01 IU/mg(蛋白質)オーダーの活性を有するビタミン K依存性凝固因子を含有している。 既知の従来法によれば、ビタミンK依存性凝固因子は、DEAE Sepha dexなどの陰イオン交換体で抽出することによって、アルブミン回収に悪影響 を及ぼすことなく結合する。しかしながら、DEAE Sephadexは流動 性が低いために、通常この方法はバッチで固相抽出しなければならない。DEA E Sephadexの溶出画分は、IX因子の精製に用いられる。しかし、こ の画分には、血漿中に存在するプロテアーゼも多量に含まれているために、蛋白 分解によって目的物質であるIX因子の収量が減少し、調製物の血栓形成の危険 が増すという問題がある。 本発明は、プロテアーゼ阻害剤を添加せずに、上記の問題を軽減する方法を提 供することを目的とする。 意外なことに、この目的は、請求の範囲に記載される特徴を有する調製方法に よって達成された。この方法には、IX因子を含有する生物源を蛋白質沈殿剤で 処理する工程が含まれる。生物源としては、特に、血液血漿またはVIII因子 およびフィブリノゲン量を低下させた寒冷沈降物(クリオプア(cryopoor)血漿 )を挙げることができる。 蛋白質沈殿剤の濃度は、特に1.5〜2.3モル/L、好ましくは1.75〜 1.9モル/Lである。この濃度値は、IX因子を含有する生物源の中に含まれ ている蛋白質沈殿剤の濃度を表したものである(最終濃度)。 蛋白質沈殿剤としては、硫酸アンモニウムを特に例示することができる。 本発明の方法は、蛋白質分解活性を少なくとも1/10に減少させるものであ る。また、VII因子やII因子などの障害成分は、IX因子を現にクロマトグ ラフィーによって精製する前に、沈殿工程を行うことによって除去される。蛋白 質CおよびSも除去される。VII因子はほぼ完全に除去され、II因子もかな り除去される(70〜90%)。一方、蛋白質CおよびSは約50%除去される 。 蛋白質沈殿剤で処理した画分の上清のIX因子活性は、通常20〜30 IU /mlである。これは、比活性1〜5 IU/mgに対応する。 硫酸アンモニウムを使用するのが好ましい本発明の沈殿工程を行った後、IX 因子を多量に含む画分をクロマトグラフィーで分離する。この分離工程は、蛋白 質は塩濃度が高いときに様々な疎水相互作用を受けるという性質を利用したもの である。本発明では、蛋白質を沈殿させて塩濃度を比較的高くした状態で、疎水 相互作用クロマトグラフィー(HIC)に供しうるクロマト用物質にIX因子を 結合させるのが好ましい。この結合によって、蛋白質の沈殿によって高くなった 塩濃度を下げることができる。本発明では、特に基質材料上に親水性フレキシブ ルアーム(触腕)を結合させたクロマト用物質を使用することができる。これら のスペーサーに対しては、対応するリガンド、特にプロピル基、ブチル基、フェ ニル基などの疎水性リガンドが共有結合する。 蛋白質沈殿剤で処理した画分の上清を適当なクロマト用物質に適用し、所望に より洗浄する。カラムに結合しているIX因子は、蛋白質沈殿剤濃度が低い緩衝 液によってX因子とともに溶出することができる。溶出溶液のイオン強度は適用 溶液よりも小さい。HIC用物質を充填したクロマトグラフィーカラムからIX 因子を含有する画分を溶出させて回収し、さらに適当な手段による脱塩工程に付 する。脱塩は、例えば、限外濾過および/またはジアフィルタレーション(diaf ilteration)によって行うことができる。 X因子等が含まれている混合物からIX因子を分離するために、ヘパリン修飾 基質上でアフィニティクロマトグラフィーを行うのが好ましい。因子を含む溶液 のイオン強度が比較的低い場合、因子はクロマト用物質に結合する。障害 となるX因子が含まれている場合は、150〜300ミリモル/Lの塩化ナトリ ウム溶液で処理することによって溶出させることができる。このとき、IX因子 はヘパリン親和性基質に結合したままである。水性溶液のイオン強度を約2倍に すると、IX因子は親和性基質の表面から分離し始める。 ウイルスの不活性化は化学的および/または物理的方法によって行うことがで きる。物理的なウイルス不活性化は、本質的に各画分を60〜65℃で5〜30 時間熱処理するものである。このような熱処理は、特にヘパリンアフィニティク ロマトグラフィーを行った後に行うことができる。化学的なウイルス不活性化は 、IX因子を含有する画分を、例えば非イオン性界面活性剤およびジアルキルま たはトリアルキルホスフェートで処理することによって行うことができる。特に 、Tweenおよびトリ−n−ブチルホスフェート(TNBP)を組み合わせて 用いることができる。ウイルスを不活性化する方法は、欧州特許公開第0131 740号公報またはHorowitz et al.,Blood,79(1992)826に記載されている。 ウイルスを不活性化する方法も、WO94/17834号公報等に記載されて いるように、組み合わせて利用することができる。化学的なウイルス不活性化は 、疎水性クロマトグラフィー後の限外濾過/ジアフィルタレーションを行った後 に実施するのが好ましい。 本発明の方法を利用することによって、高純度IX因子の総収量を血漿を基準 にして20〜30%に上げることができる。 図は、クロマトグラフィー精製工程を含む本発明の方法をフローチャートで示 したものである。矢印は、分離除去された画分と、溶出物や上清中に残存してい る成分を示すものである。 以下に実施例を記載して、本発明をさらに説明する。 凍結したクエン酸塩血漿を融解し、0〜3℃で撹拌した。VIII因子および フィブリノゲンを遠心分離した。得られたクリオプア血漿画分は、蛋白質比活性 が約0.01 IU/mgのビタミンK依存性凝固因子を含んでいた。その後に 、固相抽出またはDEAEイオン交換体上でのクロマトグラフィーを含む捕獲工 程を行って、IgGおよびアルブミンを分離した。ビタミンK依存性凝 固因子の活性は、10〜50 IU/mlであった。これは、IX因子に対する 濃縮率に換算すると約3500になる。 捕獲工程の後に、事実上の精製を行った。捕獲工程で得られた画分に硫酸アン モニウム溶液を添加して、最終濃度を約1.9モル/Lにした。CおよびS蛋白 質は約50%除去され、因子IIは70〜90%除去された。また、VII因子 はほぼ定量的に除去された。硫酸アンモニウム沈殿から得られた上清を、適当に 修飾した触腕ゲル上で疎水相互作用クロマトグラフィーに付した。適用溶液中の 硫酸アンモニウムの濃度は約1.75モル/Lとした。緩衝液もホスフェートイ オンを含有するものを使用した。疎水相互作用クロマトグラフィーによって、残 存するVII因子は溶出され、IX因子は結合したまま留まった。X因子は70 〜80%が物質に結合していた。IX因子/X因子混合物の溶出は、1.2〜1 .4モル/Lの硫酸アンモニウム溶液を用いて行った。溶出剤は、VII因子を 含まず、蛋白質分解活性を本質的に有していなかった。IX因子/X因子混合物 におけるIX因子の比活性は、5〜15 IU/mg蛋白質であった。 溶出物に含まれる硫酸アンモニウムを、限外濾過およびジアフィルタレーショ ンによって除去した。約1%Tween80/0.3%TNBPで処理すること によって、洗浄剤によるウイルスの不活性化を行った。 洗浄剤を除去した後、得られた画分をヘパリンアフィニティクロマトグラフィ ーに付した。X因子およびIX因子は、低いモル浸透圧濃度においてヘパリンゲ ルに結合した。X因子は、0.25モル/LのNaCl含有緩衝液で洗浄するこ とにより得られた。IX因子は、塩化ナトリウム濃度を0.45モル/Lまで上 げることによって溶出した。溶出物中のIX因子は>100の比活性を有し、3 0〜50 IU/mlであった。 得られたIX因子含有画分を脱塩し、凍結乾燥した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),UA(AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM ),AL,AM,AU,BB,BG,BR,CA,CN ,CZ,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG, KP,KR,LK,LR,LT,LV,MD,MG,M K,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,SG,SI ,SK,TR,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 モルフェルド フランク ドイツ ディー−67560 エシュボルン ブルテンベッグ 1

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 生物源からクロマトグラフィーによってIX因子を調製する方法であって 、いずれかのクロマトグラフィー分離を行う前に上記生物源を蛋白質沈殿剤で処 理することを特徴とする上記方法。 2. 上記生物源が、血液血漿;または寒冷沈降物を分離することによってVI II因子またはフィブリノゲンを除去した血漿(クリオプア血漿)である、請求 の範囲第1項に記載の方法。 3. 上記蛋白質沈殿剤が硫酸アンモニウムである、請求の範囲第1項または第 2項に記載の方法。 4. 上記蛋白質沈殿剤を1.5〜2.3モル/L(最終濃度)で使用する、請 求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の方法。 5. 蛋白質を沈殿させた後に、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC) に使用することができるクロマト用物質へIX因子を吸着させることによって蛋 白質沈殿剤を除去しかつIX因子を濃縮化する、請求の範囲第1項〜第4項のい ずれか1項に記載の方法。 6. IX因子を吸着した上記クロマト用物質を、上記HIC物質からIX因子 を分離させ得るイオン強度を有する水性溶液で処理する、請求の範囲第5項に記 載の方法。 7. 上記HIC物質からIX因子を分離することによって得られた画分を、例 えば、限外濾過/ジアフィルタレーションによって、IX因子を含有する溶液の 塩濃度を減少する処理工程に付する、請求の範囲第5項または第6項に記載の方 法。 8. その後にヘパリン修飾基質物質上でアフィニティクロマトグラフィーを行 う、請求の範囲第7項に記載の方法。 9. 化学的手段および/または物理的手段によってウイルスを不活性化する、 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の方法。 10. 上記物理的ウイルス不活性化が、特に請求の範囲第8項に記載のヘパリ ン上で上記アフィニティクロマトグラフィーを行った後に、60〜65℃に おいて5〜30時間熱処理することを含む、請求の範囲第9項に記載の方法。 11. 上記化学的ウイルス不活性化が、IX因子を含有する試料を非イオン性 洗浄剤/ジアルキル化またはトリアルキル化ホスフェートで処理することを含む 請求の範囲第9項に記載の方法。 12. 請求の範囲第1項〜第11項のいずれか1項に記載の方法により得られ るIX因子。
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