JP2721961B2 - 血液製剤 - Google Patents

血液製剤

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JP2721961B2
JP2721961B2 JP8053508A JP5350896A JP2721961B2 JP 2721961 B2 JP2721961 B2 JP 2721961B2 JP 8053508 A JP8053508 A JP 8053508A JP 5350896 A JP5350896 A JP 5350896A JP 2721961 B2 JP2721961 B2 JP 2721961B2
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豊 平尾
勝寛 瓜生
和男 武智
八尋 上村
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、A型、B型および
D型の血液型抗体がいずれも実質的に除去された血液製
剤に関する。 【0002】 【従来の技術】免疫グロブリン製剤や血液凝固因子製剤
のような血液製剤中には血液型抗体が混入している。従
って、血液製剤を多量に投与すると、赤血球と投与され
た血液型抗体とが抗原抗体反応を起こし、赤血球減少な
どの副作用が発生する。故に、これらの製剤中から血液
型抗体を除くことが望まれている。 【0003】血液型はA、B、OおよびABの4群に大
別されている。更にこれらの血液型以外に重要な血液型
としてはRho(D)因子が知られており、血漿(また
は血清)中にはこれらの血液型物質に対する抗体(血液
型抗体)が存在している。 【0004】ところで、血漿から従来のアルコール分画
法、硫安分画法、イオン交換体処理法、ポリエチレング
リコール分画法またはこれらの組合わせから成る方法等
で免疫グロブリン(IgG)を精製しても、血液型抗体
とそれ以外の抗体とは、その物理化学的特性が近似して
いるため血液型抗体を含まない免疫グロブリン製剤を得
ることができなかった。 【0005】また、血液凝固第9因子および第8因子製
剤中にはこれらの凝固因子とともに免疫グロブリンも混
入しているため、上記の免疫グロブリン製剤と同様に血
液型抗体も混在している。 【0006】これらの免疫グロブリン製剤や血液凝固因
子製剤は、多数のヒトから採取した血漿を混合し、これ
から分離して製造するため、得られた製剤中にはA型、
B型およびD型の抗体が混入している。かかる製剤を大
量にヒトに投与した場合には、ヒトの赤血球と投与され
た血液型抗体とが抗原抗体反応を起こし、赤血球の溶解
やそれに引き続く腎障害などの副作用が発生する。故
に、これらの製剤から血液型抗体を除くことが望まれて
いる。 【0007】血液型抗体を除く方法としては、血液型抗
原を用いて抗原抗体反応により行うことが考えられる。
たとえば、ヒトA型赤血球とヒトB型赤血球とを血液型
抗体を含む試料溶液に加えて一定時間抗原抗体反応を行
った後に、遠心分離により血液型抗体を吸着した赤血球
を除去する方法である。この方法は少量を処理するのに
は適するが、工業的規模で行うには、大量の赤血球が必
要であり、また使用した赤血球は再使用が不可能である
等の理由で不適当である。 【0008】また、たとえ大量の赤血球が入手できたと
しても、赤血球の表面または内部には感染性のウィル
ス、たとえばB型肝炎ウィルスや非A非B型肝炎ウィル
ス等が存在しており、この処理によって製剤中へウィル
スが移行することも考えられ、安全性の面から問題があ
る。 【0009】他方、合成技術の発展に伴い、血液型抗原
を合成することもできるようになり、このものをシリカ
ゲル粉末などへ結合させて不溶性血液型抗原となし、前
記の血液型抗体を吸着除去する方法も可能となった。か
かるものとしてシンソルブA(A型抗体吸収用)、シン
ソルブB(B型抗体吸収用)(いずれもChembiomed LT
D. 社製)等が市販されている。 【0010】しかし、このものは極めて高価であるこ
と、合成抗原であるために特定の血液型抗体しか吸着し
ないこと、およびその吸着能力が低いこと等により工業
的規模で使用することは問題である。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、吸着
力が強く、ウィルスの感染性のない、またあらゆる種類
の血液型抗体の除去に適用でき、安価でかつ工業的規模
でほぼ完全に血液型抗体を除去する方法を提供すること
である。 【0012】また、本発明の他の目的は、A型、B型お
よびD型の血液型抗体がいずれも実質的に除去された血
液製剤を提供することである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの問
題点を解決すべく研究を重ねてきたところ、血液型物質
に対してウィルスの不活化に十分な加熱処理を実施する
ことによって血液型物質以外の夾雑蛋白質が変性されて
除去可能となることを見出し、大量に血液型抗原を得る
ことに成功した。 【0014】しかして、この血液型物質を不溶性担体へ
結合せしめて不溶性血液型抗原とし、これを使用して血
液製剤から、効率的に血液型抗体を除去できることを見
出した。 【0015】本発明はかかる新知見に基づいて完成され
たものであり、A型、B型およびD型から選ばれる少な
くとも2種のヒト血液型物質を水不溶性担体に結合させ
てなる不溶化ヒト血液型物質を用いて、血液製剤を処理
することを特徴とする血液製剤からA型、B型およびD
型の血液型抗体を除去する方法に関する。 【0016】また、本発明はA型、B型およびD型の血
液型抗体がいずれも実質的に除去された血液製剤に関
し、具体的には、A型、B型およびD型の血液型抗体
が、間接クームス法による抗体価表示で、いずれも1:
1以下にまで除去された血液製剤に関する。 【0017】 血液型抗体の除去対象 本発明において血液型抗体を除去する対象、即ち血液型
抗体を夾雑する血液製剤としては、ヒト血液型抗体が夾
雑する可能性のある血液製剤のすべてであり、たとえば
免疫グロブリン製剤、各種の血液凝固因子製剤、アルブ
ミン製剤等が例示される。血液製剤は、その単離・精製
の最終工程で本処理を行うことが効率的であるが、回収
率等を問題にしない場合は、単離・精製のいずれの段階
に行ってもよい。 【0018】 固定化ヒト血液型物質の調製 固定化ヒト血液型物質はヒト血液型物質を不溶性担体に
固定化したものである。 【0019】本発明で使用するヒト血液型物質はA型、
B型およびD型の血液型抗原であり、本発明で使用され
る固定化ヒト血液型物質は、これらヒト血液型物質の少
なくとも2種が不溶性担体に固定化されている。ヒト血
液型物質は、たとえばA、B、ABおよびO型のヒト赤
血球、胎盤等から採取して調製することができる。 【0020】ヒト血液型物質の調製に際しては、公知の
方法を用いればよい。たとえば、ヒト赤血球を低張溶液
中で溶血させるか、または超音波処理した後、硫安分画
法またはPEG分画法により精製することによって調製
することができる。また、胎盤からも同様の方法によっ
て調製することができる。 【0021】ヒト血液型物質は、好ましくはウィルスの
不活化に十分でかつ血液型物質および血液製剤を不活化
させない程度の加熱処理に付される。たとえば、血液型
物質は、好ましくは生理食塩液に溶解後、50〜125
℃で1分〜20時間、好ましくは60℃で10時間また
は95〜121℃で2〜30分間加熱処理する。その
後、たとえば遠心分離して不溶物を除去し、蒸留水に対
して透析してヒト血液型物質を得る。 【0022】一方、不溶性担体としてはアガロース、セ
ルロース、デキストラン、シリカゲル、ガラス粉末、ナ
イロン等の水不溶性で、かつヒト血液型物質と直接また
は間接的に固定可能で、しかも本発明の目的を達成しう
るものであれば特に制限はない。 【0023】固定化は自体公知の方法に準じればよい。
たとえば、アガロース等はCNBr活性化法により、シ
リカゲル等はアミノシラン化法によりヒト血液型物質を
固定化できる。 【0024】 処理方法 通常、まず血液型抗体が夾雑する血液製剤を適当な溶媒
に溶解する。その際の蛋白質濃度としては1〜10w/
v%が好ましい。さらに、pH5〜10、好ましくはpH6
〜8、イオン強度0.001〜1M、好ましくは0.0
5〜0.1Mの条件下で固定化ヒト血液型物質と、接触
処理する。接触処理の手段としては、バッチ法、カラム
法等が例示される。 【0025】たとえば、バッチ法では、固定化ヒト血液
型物質1mlに対して、当該血液製剤の溶液を1〜500
ml、好ましくは1〜100mlとなるような割合で混合
し、0〜15℃、好ましくは0〜4℃で20分〜4時
間、好ましくは30分〜2時間程度撹拌した後、たとえ
ば遠心分離(6000〜8000 rpm、10〜30分間)して上
清を回収する。カラム法では、固定化ヒト血液型物質に
対して当該血液製剤の溶液を接触、展開させ、非吸着画
分を回収する。 【0026】 【実施例】以下、本発明を実施例等により詳細に説明す
る。 【0027】実施例1 精製ヒト血液型物質(A型、B型)をフォルミルセルロ
ース(チッソ株式会社製)に結合して得た不溶性血液型
抗原(血液型抗原・セルロース)を用いて、市販の静注
用免疫グロブリンから、A型、B型およびD型の血液型
抗体を除去した。比較として、シンソルブAおよびシン
ソルブBを使用した。 【0028】処理条件はヒト血液型物質・セルロース、
シンソルブAまたはシンソルブBをそれぞれ0.5ml容
のカラムに充填し、静注用免疫グロブリンを30ml冷室
内で流下させ、未吸着画分のIgG濃度(O.D.280nm )
および血液型抗体価を測定した。その結果を表1に示
す。 【0029】 【表1】 【0030】シンソルブAではA型抗体のみが、シンソ
ルブBではB型抗体のみが吸着除去されたが、本発明の
方法ではA、BおよびD型抗体が同時に除去された。I
gGの収量は三者とも良好であった。なお抗体価の測定
は、間接クームス法(Br. J.Exp.Pathol 26 : 255, 19
45 )およびD抗体については間接クームス法・増感法
(検体添加量を増し、感度を高める方法)によった。 【0031】実施例2 第8因子製剤を用いてバッチ法により実施例1と同様に
処理を行った。その結果を表2に示す。但し、血液型物
質としてAおよびD型を使った。 【0032】 【表2】 【0033】実施例3 第9因子製剤を用いて、実施例1と同様の処理を行っ
た。その結果を表3に示す。但し、血液型物質としては
BおよびD型を使った。 【0034】 【表3】 【0035】参考例1 型物質の調製 胎盤抽出液をpH6.0とし、95〜100℃で30分間加
熱処理を施し、不溶物を除いた後、100%飽和硫安で
塩析し、沈澱を得る。この沈澱を蒸留水で透析し、凍結
乾燥を施し、調製型物質とした。A、BおよびD型は、
あらかじめ血液検査によって決定し、各々の抗原を有す
る血液から各々調製する。 【0036】 水不溶化型物質の調製 粒子径40〜190μmのセファロース4B約300ml
に、臭化シアン75gを投入して、かきまぜながら、4
N−水酸化ナトリウムでpHを11に調整する。この間温
度を10〜20℃に保った。pHを11に保たせながら約
15分間かきまぜ続ける。次いで、この反応液を濾過し
て濾過ケーキを0.1M−炭酸水素ナトリウムで洗浄
し、活性化セファロース4B約300mlを得た。その6
mlを取り、PBSで洗浄後、PBS18mlを加えて懸濁
し、これに前記で得た型物質10mg/ml溶液5.2mlを
加え、3時間反応させ、水不溶化型物質を得た。水不溶
化型物質はPBSで洗浄後、カラムに詰め、通常のアフ
ィニティクロマトグラフィーを行った。 【0037】 【発明の効果】本発明の処理を受けた血液製剤では、ほ
ぼ完全に除去を意図する各血液型抗体が除去される。特
にA型、B型およびD型の少なくとも2種が同時に固定
化されたものを使用すればほぼ完全に血液型抗体が除去
できる。しかも、本処理による血液製剤の回収率は80
〜100%である。しかも、本発明の処理は大量の血液
製剤に対しても適用できるものである。従って、本発明
方法は、工業的規模における血液製剤からの各種血液型
抗体の除去法として極めて有利である。 【0038】また、本発明の血液製剤は、A型、B型お
よびD型の血液型抗体がいずれも実質的に除去されてい
るため、当該製剤を大量に投与しても、患者生体内にお
いて赤血球との間で抗原抗体反応が惹起されず、赤血球
減少、赤血球の溶解、およびそれに引き続く腎障害等の
副作用が発生しない等の効果を有する。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.A型、B型およびD型の血液型抗体が、間接クーム
    ス法による抗体価表示で、いずれも1:1以下にまで除
    去された血液製剤。 2.血液製剤が免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤
    またはアルブミン製剤である請求項1記載の血液製剤。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS53127808A (en) * 1977-04-12 1978-11-08 Green Cross Corp:The Preparation of human albumin

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS53127808A (en) * 1977-04-12 1978-11-08 Green Cross Corp:The Preparation of human albumin

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