JPH113813A - フェライト材料 - Google Patents

フェライト材料

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JPH113813A
JPH113813A JP9155205A JP15520597A JPH113813A JP H113813 A JPH113813 A JP H113813A JP 9155205 A JP9155205 A JP 9155205A JP 15520597 A JP15520597 A JP 15520597A JP H113813 A JPH113813 A JP H113813A
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    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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    • H01F1/34Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
    • H01F1/342Oxides
    • H01F1/344Ferrites, e.g. having a cubic spinel structure (X2+O)(Y23+O3), e.g. magnetite Fe3O4

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1MHz 程度以上の高周波数域において低損失
であるフェライト材料を提供すること。 【解決手段】Fe2O3 :52〜68 mol%、NiO :0.5 〜10
mol%、ZnO :15 mol%以下、CoO :0.005 〜0.5m
ol%を含み、残部が実質的にMnOの組成となる基本成分
からなることを特徴とするフェライト材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源用トランス等
の磁心に用いられる、高周波数域で損失の少ないフェラ
イト材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライトと総称される酸化物磁性材料
のうち、軟質磁性フェライトは、小さな外部磁場でも十
分に磁化することから、電源や通信機器、計測制御機
器、磁気記録媒体、コンピュータなどの用途に広く用い
られている。それ故に、この種の用途に用いる軟質磁性
材料には、キュリー温度が高いこと、保磁力が小さく透
磁率が高いこと、飽和磁束密度が大きいこと、低損失で
あること、など多くの特性が要求される。
【0003】このような要求特性を満たす軟質磁性材料
としては、上記軟質磁性フェライトのような酸化物磁性
材料以外に金属系の磁性材料がある。この金属系の磁性
材料は、飽和磁束密度が高いという点で酸化物磁性材料
に比べると有利である。その反面、この金属系の磁性材
料は、電気抵抗が低く、高周波数域で使用する際に渦電
流に起因する損失が大きくなるという欠点があった。例
えば、100kHzを超えるような周波数域で使われるスイッ
チング電源等に用いると、渦電流損による発熱が大きく
なるという欠点がある。このため、この金属系の磁性材
料は、電子機器の小型低背化・高密度化に伴って使用周
波数の高周波数化した電子部品への適用が困難であっ
た。
【0004】このような背景から、軟質磁性フェライ
ト、なかでもMn−Zn系フェライトは、高周波数域で使わ
れるスイッチング電源に適用できる電源用トランスの磁
心材料として改良が進められている。
【0005】このMn−Zn系フェライトを高周波数域で使
用するには、軟質磁性フェライトに求められる諸特性
(キュリー温度が高いこと、保磁力が小さく透磁率が高
いこと、飽和磁束密度が大きいこと、低損失であること
など)のなかでも特に低損失化を実現することが重要で
ある。そのためには、損失を構成するヒステリシス損
失、渦電流損失、それ以外の残留損失をそれぞれ小さく
することが必要である。
【0006】これらの損失のうちヒステリシス損失は、
組成により決定される磁気異方性定数K1 と磁歪定数λ
に大きく支配されることが知られている。例えば、 Fe2
O3=52 mol%付近で ZnO=20〜30 mol%である組成のMn
−Zn系フェライトは、室温において、K1 ならびにλs
が共にゼロに近くなり、その組成では、透磁率が最大と
なり、損失も小さくなる(K.Ohta, J. Phys. Soc. Japa
n18 (1963) 685)。また、 Fe2O3=53〜54.5 mol%で Zn
O=8〜12 mol%である組成のMn−Zn系フェライトは、
100kHz 程度までの周波数域で損失が低くなる材料であ
り、スイッチング電源用パワーフェライトとして用いら
れている(セラミックス 28 (1993)937) 。
【0007】このような従来のMn−Zn系フェライトは、
100kHz程度の周波数域において、高透磁率でかつ低損失
な特性を示す。しかしながら、このMn−Zn系フェライト
は、使用周波数の高周波数化が進む今日では、周波数が
高くなるに伴い損失が大きくなるという欠点があった。
かかる高周波数化の傾向はこれからも続くと考えられ、
1MHz程度以上の高い周波数域でもなお低損失特性を示
す軟質磁性フェライトに対する要求が高まっている。
【0008】また、上記損失のうち渦電流損失は、材料
の電気抵抗に起因する損失であり、周波数が高くなるに
伴いその損失の占める割合が大きくなる。これについて
は、フェライト粒界に高抵抗層を形成してコア全体の電
気抵抗を高めることにより、渦電流損失を低減すること
ができる。残留損失もまた、周波数が高くなるに伴いそ
の損失の占める割合が増えるものと考えられている。こ
の原因については、共鳴現象等による説明もなされてい
るが現在までのところはっきりしていない。従って、こ
れら渦電流損失と残留損失を共に低減することができれ
ば、1MHz程度以上の高周波数域でも低損失を示す材料
が得られると考えられる。
【0009】例えば、500kHz以上の周波数域を対象とし
た材料として、特開平6−310320号公報などでは、Mn,
Zn, Feの酸化物を基本成分とするMn−Zn系フェライトに
添加成分として種々の酸化物を含有させてなる、300kHz
〜数MHz の周波数域で低損失を示す磁性材料が提案され
ている。
【0010】しかしながら、従来から比較的低い周波数
で用いられているMn−Zn系フェライト材料では、1MHz
程度以上の高周波数域における要求特性、とりわけ低損
失特性について未だ満足できる結果が得られていない。
【0011】一方、数MHz以上の高周波数域で使用され
る軟質磁性フェライトとして、Ni−Zn系フェライトがあ
る。この材料は、高周波磁場下で使用される電源トラン
ス磁心等への応用は近年に始まったものである。しかし
ながら、このNi−Zn系フェライトは、例えば特開平8−
310855号公報等にも開示されているように、その基本成
分中のFe2O3 含有量が 50mol%以下であり、主にコアに
直接巻線を施すための材料として高抵抗特性を意図した
ものが多い。そのため、このNi−Zn系フェライトでは、
電源トランス磁心として最も重要な要求特性の一つであ
る損失特性は不十分であった。
【0012】また、Fe2O3 含有量が 50mol%を超える軟
質磁性フェライトとして、例えば特開平2−83218 号公
報等では、飽和磁束密度を改善し、100kHz, 200mTの条
件での損失が280KW/m3程度であるNi-Mn-Zn系フェライト
が提案されている。しかしながら、数百kHz 程度以上で
の損失特性には触れておらず、高周波数域への適用に関
する確証はなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、1MHz程度以上の高周波数域において低損失である
フェライト材料を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け、1MHz程度以上の高周波数域で低損失を示
す組成を探索した。その結果、Fe2O3 含有量が 50mol%
を超える従来のMn-Zn系フェライトの基本成分にNiOお
よびCoOを同時に含有させることが、低損失化に有効で
あることを新たに見いだし、以下に示す成分組成のフェ
ライト材料を想到するに至った。
【0015】(1) Fe2O3 :52〜68 mol%、NiO :0.
5 〜10 mol%、ZnO :15 mol%以下、CoO :0.005
〜0.5mol%を含み、残部が実質的にMnOの組成となる基
本成分からなることを特徴とするフェライト材料であ
る。
【0016】(2) Fe2O3 :52〜68 mol%、NiO :0.5
〜10 mol%、ZnO :15 mol%以下、CoO :0.005 〜
0.5mol%を含み、残部が実質的にMnOの組成となる基本
成分中に、さらにSiO2 :0.010 〜0.100 wt%およびCa
O :0.020 〜0.300 wt%を含有し、さらにまたNb2O5,
Ta2O5, V2O5, ZrO2, HfO2, TiO2およびSnO2の中から選
ばれるいずれか1種または2種以上を、Nb2O5 :0.005
〜0.050 wt%、Ta2O5 :0.005 〜0.100 wt%、V2O5
0.005 〜0.050 wt%、ZrO2 :0.005 〜0.100 wt%、Hf
O2 :0.005 〜0.050 wt%、TiO2 :0.050 〜0.500 wt
%、SnO2 :0.010 〜0.500 wt%、範囲内で含有してな
り、これらの添加成分の合計含有量が1wt%以下となる
ような成分組成を有することを特徴とするフェライト材
料である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明において、基本成
分および添加物成分の組成を前記範囲に限定した理由に
ついて説明する。なお、基本成分であるFe2O3 ,NiO,
ZnO,CoO,MnOは mol%で示し、基本成分以外の添加
物成分については、基本成分量に対するwt%で示す。
【0018】・NiO:0.5 〜10 mol% NiOの含有量が 0.5 mol%に満たないと損失低減効果が
顕著でないため、NiOの含有量は 0.5 mol%を下限とし
た。このNiOには他にスピネル化を促進する効果があ
る。即ち、本発明のフェライト材料のように高周波数域
での低損失を意図すると、100kHz程度での使用を前提と
した材料に比較して適正なZnO含有量がより少なくなる
傾向になる。そのため、仮焼あるいは焼成時の昇温過程
においてスピネル化が進まず、その時の温度や酸素濃度
によっては異相が存在する場合がしばしば生じ、磁気特
性が大きく劣化する。この点、NiOを含有させることに
よりスピネル化が促進され、特性劣化を抑制することが
できる。このことからも本発明では、 0.5 mol%以上の
NiOが必要である。一方、NiOの含有量が多すぎると、
固有電気抵抗が低下しすぎて渦電流損失の増大を招くた
め、10 mol%を上限とした。なお、NiOを含有させると
渦電流損失が上昇する傾向にあると考えられるため、高
周波数域では特に残留損失が抑制され低損失化されたも
のと推定される。
【0019】・Fe2O3 :52〜68 mol% Fe2O3 の含有量が少なすぎると、飽和磁束密度やキュリ
ー温度が低下する。さらに、損失が極小となる温度が高
温側にシフトすることにより、スイッチング電源等の動
作温度である80℃付近において損失が大きくなる。この
ため、Fe2O3 の含有量は 52mol%を下限とした。一方、
本発明にかかるフェライト材料のようにNiOを含有する
場合、磁性イオンであるNi2+イオンがフェライトのスピ
ネル化合物の格子点に入り、他の格子点にある磁性イオ
ンとの相互作用により、磁気異方性定数K1 と磁歪定数
λs が変化する。そのため、 Fe2O3の最適含有量はNiO
含有量に伴って変化する。すなわち、Fe2O3 の含有量は
NiO含有量の増加に伴い増やす必要がある。そこで、上
記NiO含有量の上限に対応する値、68 mol%をFe2O3
有量の上限とした。
【0020】・ZnO:15 mol%以下(0を含まず) このZnOの含有量によって周波数特性を制御することが
できる。即ち、ZnO含有量が少ないほど、高周波数域で
の損失が低くなり、比較的低い周波数で低損失を確保し
たい場合には、ZnO含有量を増加させればよい。しかし
ながら、ZnOの含有量は、 15mol%を超えると、1MH
z, 50mT, 80℃における損失が300kW/m3を上回ることが
あるので、 15mol%を上限とした。より好ましいZnOの
含有量は 10mol%以下であり、ZnO含有量がこの範囲内
にあれば、1MHz, 50mT, 80℃における損失を150kW/m3
以下にすることができる。なお、0 mol%の場合は、焼
結性が悪いので除外した。
【0021】・CoO: 0.005〜0.5mol% 一般的なMn−Zn系フェライトにおいて、磁気異方性定数
K1 は、室温付近を境に負から正へと変化する。損失
は、K1 =0となる温度で最も小さくなり、それ以外の
温度ではK1 の絶対値上昇と共に増大する。この点、本
発明のように、スピネル化合物の構成元素の一部をCoイ
オンで置換すると、CoイオンはK1 に対して正に寄与
し、K1 が比較的広い温度範囲において小さくなるの
で、損失の温度変化が小さくなり、しかも損失を低減さ
せることができる。このような効果は、Fe2O3含有量が
50mol%を超えるNi-Mn-Zn系フェライトにおいても発現
する。即ち、損失を低減させる効果は、NiOとCoOを同
時に含有させると、一層顕著に現れることが判った。ま
た、CoOを含有させることで、ZnO含有量の減少や焼成
温度の低下に伴う焼結密度の低下を抑制でき、特性が改
善される。しかしながら、CoO含有量が0.005mol%より
少ないと、上記効果が有効に発揮せず、一方、CoO含有
量が多すぎると、損失が却って増大する。そこで、CoO
の含有量は、 0.005〜0.5mol%とした。なお、CoO含有
量の増加に伴って、外部磁場印加によって得られる磁化
曲線が原点付近でくびれ、いわゆるパーミンバー型を示
すことがある。これを避けるのが好ましい場合には、Co
O含有量は0.2mol%以下に制御すればよい。
【0022】以上述べてきた本発明にかかるフェライト
材料の成分組成は、スピネルを形成する基本成分に関す
るものであり、そのほとんどが結晶粒内に固溶する成分
であると考えられる。本発明では、これらの成分に加え
て、以下に述べるような主として結晶粒界の性質を制御
するための成分を添加することが有効である。
【0023】・SiO2:0.01〜0.1 wt% CaO:0.02〜0.3 wt% SiO2およびCaOは、焼結性を高めかつ粒界相を高抵抗化
して低損失を実現するのに有効な添加成分である。SiO2
は、焼結促進の効果があり、この効果を充分に引き出す
ためには0.01wt%以上含有することが好ましく、多すぎ
ると異常粒成長が顕著になるためその上限を0.1 wt%と
した。ただし、この上限付近の添加量では焼結温度を下
げる等の考慮が必要である。CaOは、SiO2とともに粒界
を高抵抗化して損失を低くする効果があり、この効果を
引き出すためには0.02wt%以上含有することが好まし
く、一方、0.3 wt%を超えて含有すると焼結性が極端に
低下して損失が却って上昇するので、その上限を0.3 wt
%以下とした。
【0024】 ・Nb2O5 :0.005 〜0.05wt% Ta2O5 :0.005 〜0.1 wt% V2O5 :0.005 〜0.05wt% ZrO2 :0.005 〜0.1 wt% HfO2 :0.005 〜0.05wt% TiO2 :0.05 〜0.5 wt% SnO2 :0.01 〜0.5 wt% この発明にかかるフェライト材料では、 Nb2O5, Ta2O5,
V2O5, ZrO2, HfO2,TiO2およびSnO2のなかから選ばれる
いずれか1種または2種以上の成分を添加することが、
損失低減のために好ましい。これらの酸化物成分は、Si
O2,CaOの共存下で、主として粒界に析出して電気抵抗
を上昇させるので、渦電流損の低減に有効に寄与する
他、焼結密度の上昇を通じてヒステリシス損の抑制にも
寄与する。これらの酸化物成分について、それぞれ単独
での添加量に上記適正範囲があるのは、少なすぎると上
述した添加効果が十分に発揮されず、一方、多すぎると
所望の結晶組織が得られず、粒成長が不十分であった
り、逆に異常粒成長を引き起こして磁気特性の劣化を招
くことがあるからである。
【0025】本発明では、上述した添加成分を複合添加
する場合、上記適正範囲に加えて、さらにSiO2,CaO,
Nb2O5, Ta2O5, V2O5, ZrO2, HfO2, TiO2およびSnO2の合
計含有量が1wt%以下となるような成分組成を有するこ
とが好ましい。この理由は、上述した添加成分の合計含
有量が1wt%を超えると、特性が劣化するからである。
さらに好ましくは 0.5%以下である。
【0026】なお、本発明の目的を達成するためには、
フェライトの最終的な成分組成が以上説明したような適
正範囲にある限り、その作成法や使用する原料の形態は
問わない。例えば、酸化物原料を配合したのち、仮焼、
粉砕、成形および焼成の各過程を経る一般的なフェライ
トの製造方法に従って磁心を作成すれば、所望の磁気特
性を示す磁心を得ることができる。この際の、仮焼温度
は 850〜1050℃程度、焼成温度は概ね1100〜1250℃程度
であることが好ましい。また、粒成長や焼結温度および
結晶粒界の酸化度などを制御するためには、焼成中の酸
素濃度を0〜21%程度の範囲で適宜変化させることが好
ましい。
【0027】
【実施例】
(実施例1)基本成分が表1に示す最終組成となるよう
に、各成分の原料酸化物を配合し、次いで、ボールミル
を用いて湿式混合を16時間かけて行い、その後、乾燥し
て原料混合粉を得た。次に、この原料混合粉に対し、大
気雰囲気中、 950℃で3時間の仮焼を行い、こうして得
られた仮焼粉に、最終組成でSiO2が0.03wt%、CaOが0.
084 wt%および Ta2O5が0.04wt%となるようにSiO2、Ca
Oおよび Ta2O5を添加した後、再びボールミルを用いて
湿式混合粉砕して乾燥させた。その乾燥粉末にポリビニ
ルアルコール5wt%水溶液を10wt%加えて造粒し、次い
で、外径22mm、内径11mm、高さ5mmのリング状に成形
し、その後、酸素分圧を制御した窒素・空気混合ガス
中、1150℃で2時間の焼成を行った。
【0028】このようにして得られた焼結体試料に巻線
を施し (1次側2巻, 2次側1巻)、(周波数、最大磁
束密度)の条件を(1MHz、50mT)に設定して、損失を
交流BHトレーサーにより測定した。これらの試料の80
℃における損失値を表1の適合例1〜17,比較例1〜13
に示す。この表1に示す結果から明らかなように、Fe2O
3, Mn0, Zn0, Ni0, Co0の組成比を適正化すること
により、1MHz, 50mTにおける損失値を 300kW/m3以下
に制御できることがわかる。また、Ni0とCo0を共に含
有させることにより、それぞれを単独で含む場合に比べ
て損失値が大きく低下することがわかる。
【0029】(実施例2)基本成分が Fe2O3:Mn0:Zn
0:Ni0:Co0= 56.75:37.20 :3.00:3.00:0.05 m
ol%の最終組成となるように、実施例1と同様にして焼
結体試料を得た。この際、表2、表3に示す最終組成と
なるように、SiO2, CaOに加えて、Nb2O5,Ta2O5, V2O5,
ZrO2, HfO2, TiO2およびSnO2の中から選ばれるいずれ
か1種を粉砕と同時に添加した。
【0030】こうして得られた焼結体試料について、実
施例1と同様の方法で損失を測定し、80℃における損失
値を表2、表3に示す。この表2、表3に示す結果から
明らかなように、いずれの添加成分についても好適な範
囲を外れると、特性が急激に劣化することがわかる。
【0031】(実施例3)基本成分が Fe2O3:Mn0:Zn
0:Ni0:Co0= 56.58:36.40 :4.00:3.00:0.02 m
ol%の最終組成となるように、実施例1と同様にして焼
結体試料を得た。この際、仮焼温度は 925℃、焼成温度
は1200℃とし、表4に示す最終組成となるように、Si
O2, CaOに加えて、Nb2O5, Ta2O5, V2O5, ZrO2, HfO2,
TiO2およびSnO2の中から選ばれるいずれか2種以上を粉
砕と同時に添加した。
【0032】こうして得られた焼結体試料について、実
施例1と同様の方法で損失を測定し、80℃における損失
値を表4に示す。この表4に示す結果から明らかなよう
に、含有量が1種でも限定範囲より多い場合や、合計含
有量が1wt%を超える場合は異常粒成長を伴って特性が
劣化することが多く、組織制御不可能な領域にあるため
磁気特性がばらつき、その再現性に欠けるという問題が
あった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ス
イッチング電源トランス等の磁心に適した、1MHz 程度
以上の高周波数域において損失の小さいフェライト材料
を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe2O3 :52〜68 mol%、 NiO :0.5 〜10 mol%、 ZnO :15 mol%以下、 CoO :0.005 〜0.5mol%を含み、残部が実質的にMnO
    の組成となる基本成分からなることを特徴とするフェラ
    イト材料。
  2. 【請求項2】1MHz 、50mT、80℃における損失が 300kW
    /m3の特性を示すことを特徴とする請求項1に記載のフ
    ェライト材料。
  3. 【請求項3】Fe2O3 :52〜68 mol%、 NiO :0.5 〜10 mol%、 ZnO :15 mol%以下、 CoO :0.005 〜0.5mol%を含み、残部が実質的にMnO
    の組成となる基本成分中に、さらに SiO2 :0.010 〜0.100 wt%および CaO :0.020 〜0.300 wt%を含有し、さらにまたNb2O
    5, Ta2O5, V2O5, ZrO2, HfO2, TiO2およびSnO2の中から
    選ばれるいずれか1種または2種以上を、 Nb2O5 :0.005 〜0.050 wt%、 Ta2O5 :0.005 〜0.100 wt%、 V2O5 :0.005 〜0.050 wt%、 ZrO2 :0.005 〜0.100 wt%、 HfO2 :0.005 〜0.050 wt%、 TiO2 :0.050 〜0.500 wt%、 SnO2 :0.010 〜0.500 wt%、 範囲内で含有してなり、これらの添加成分の合計含有量
    が1wt%以下となるような成分組成を有することを特徴
    とするフェライト材料。
  4. 【請求項4】1MHz 、50mT、80℃における損失が 300kW
    /m3の特性を示すことを特徴とする請求項3に記載のフ
    ェライト材料。
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Cited By (9)

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