JPH11343448A - 含フッ素塗料用組成物 - Google Patents

含フッ素塗料用組成物

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JPH11343448A
JPH11343448A JP16771898A JP16771898A JPH11343448A JP H11343448 A JPH11343448 A JP H11343448A JP 16771898 A JP16771898 A JP 16771898A JP 16771898 A JP16771898 A JP 16771898A JP H11343448 A JPH11343448 A JP H11343448A
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JP
Japan
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hydrolyzable silyl
meth
silyl group
acrylate
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JP16771898A
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English (en)
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Akihito Iida
晃人 飯田
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加工性および耐衝撃性に優れた含フッ素塗料用
組成物を提供する。 【解決手段】(A)加水分解性シリル基を有するフッ素
樹脂、(B)加水分解性シリル基を有するポリエステル
樹脂および(C)有機溶剤を必須成分とし、前記A成分
とB成分の割合が重量比で95/5〜30/70である
含フッ素塗料用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は含フッ素塗料用組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】フッ素樹脂は、耐熱
性、耐薬品性、耐候性、撥水性、潤滑性および電気特性
に優れていることが知られており、近年、高耐候性の建
築塗料用樹脂としても適用されている。それらの中で
も、加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂が、空気中
の湿気で硬化するため、有害なイソシアネート系硬化剤
を使用する従来の2液型塗料に比べ、環境に対する影響
が少ないこともあり、強く開発が望まれている。この加
水分解性シリル基を有するフッ素樹脂として、フルオロ
オレフィン、ビニルエーテルおよび加水分解性シリル基
を有するオレフィン性単量体を共重合させた含フッ素共
重合体(特公平1−16405号公報)、フルオロオレ
フィン、(メタ)アクリル酸エステルおよび加水分解性
シリル基を有するオレフィン性単量体を共重合させた含
フッ素共重合体(特開平9−302301号公報)等が
提案されている。しかしながら、これらの加水分解性シ
リル基含有フッ素樹脂から調製した塗料は、加工性や衝
撃性を要求される用途にはその塗膜性能が不十分であ
り、使用困難であった。これに対し、フッ素樹脂のガラ
ス転移温度を低下させる方法では、加工性は改善される
ものの塗膜表面に粘着性が残るという問題が生じ、ま
た、分子量を上げる方法では、樹脂溶液の貯蔵安定性が
低下するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加工
性および耐衝撃性に優れた常温湿気硬化型含フッ素塗料
用組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、加水分解性シリル基を
有するフッ素樹脂と加水分解性シリル基を有するポリエ
ステル樹脂からなる組成物を主成分とする塗料用組成物
が貯蔵安定性を損なうことなく、加工性および耐衝撃性
に優れ、かつ耐候性にも優れた塗膜を提供することを見
出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(A)加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂、(B)
加水分解性シリル基を有するポリエステル樹脂および
(C)有機溶剤を必須成分とし、前記A成分とB成分の
割合が重量比で95/5〜30/70である塗料用組成
物である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明における(A)加水分解性シリル基
を有するフッ素樹脂は、フルオロオレフィンおよび加水
分解性シリル基を有するオレフィン性単量体単位を必須
成分として構成される共重合体であり、塗料として使用
するにあたり有機溶剤に可溶であることが好ましい。上
記フッ素樹脂の必須成分の1つであるフルオロオレフィ
ン(a)としては、テトラフルオロエチレン、クロロト
リフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ジク
ロロジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ
化ビニリデン、フッ化ビニルおよびパーフルオロ(アル
キルビニルエーテル)などが例示される。これらの中で
も、重合性の面よりテトラフルオロエチレン、クロロト
リフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよび
トリフルオロエチレンが好ましく、テトラフルオロエチ
レン、クロロトリフルオロエチレンおよびトリフルオロ
エチレンがより好ましい。また、これらの単量体は複数
併用しても良い。
【0006】また、フッ素樹脂の他方の必須構成成分で
ある加水分解性シリル基を有するオレフィン性単量体
(b)は、一般式として下記の構造式(1)で表される
化合物である。 R−SiXn3-n (1) (式中、Rはオレフィン性不飽和結合を有する基、Xは
炭素数1〜20のアルキル基、Yは加水分解可能な基を
示し、nは0、1または2である。なお、X、Yが複数
ある場合は、同じでも、異なったものであっても良
い。) 前記式(1)におけるRの具体例としては、ビニル基、
アリル基、ブテニル基、ビニロキシ基、アリロキシ基、
(メタ)アクリロイル基、CH2=CHO(CH2
3−、CH2=CHCOO(CH23−、CH2=CHO
CO(CH23−、CH2=C(CH3)COO(C
23−およびCH2=C(CH3)COO(CH22
O−(CH23−等が挙げられ、これらの中でもビニル
基が好ましい。また、Xの具体例としてはメチル基、エ
チル基、プロピル基、オクチル基およびオクタデシル基
等が挙げられ、さらに、Yとしてはアルコキシ基、アミ
ノ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、イ
ミノオキシ基およびその他任意の加水分解性基が挙げら
れ、これらの中でも、アルコキシ基が特に好ましい。ア
ルコキシ基の具体例としてメトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基等が
挙げられ、これらの中でもメトキシ基およびエトキシ基
が好ましい。加水分解性シリル基を有するオレフィン性
単量体(b)の具体例として、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシ
シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチ
ルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテ
ル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチル
ジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシ
シリルプロピルビニルエーテル、ビニルトリイソプロペ
ニルオキシシラン、ビニルメチルジイソプロペニルオキ
シシラン、トリイソプロペニルオキシシリルエチルビニ
ルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルプロピル
ビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルブチ
ルビニルエーテル、ビニルトリス(ジメチルイミノオキ
シ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルイミノオキ
シ)シラン、ビニルメチルビス(ジメチルイミノオキ
シ)シラン、ビニルジメチル(ジメチルイミノオキシ)
シラン、トリス(ジメチルイミノオキシ)シリルエチル
ビニルエーテル、メチルビス(ジメチルイミノオキシ)
シリルエチルビニルエーテル、トリス(ジメチルイミノ
オキシ)シリルブチルビニルエーテル、γ−(メタ)ア
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジ
エトキシシランおよびγ−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルトリイソプロペニルオキシシラン等が挙げられ
る。
【0007】本発明におけるフッ素樹脂には、有機溶剤
への溶解性、架橋塗膜の柔軟性の点から上記以外の単量
体単位を有することが好ましく、特に、(メタ)アクリ
ル酸エステル類、ビニルエステル類およびビニルエーテ
ル類が好適であり、これらの中でも、プライマーへの密
着性に優れている点および後記加水分解性シリル基を有
するポリエステル樹脂との相溶性の点で(メタ)アクリ
ル酸エステル類が好適である。
【0008】前記(メタ)アクリル酸エステル類の具体
例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s
−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)ア
クリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、
(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シ
クロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メ
タ)アクリル酸トリシクロデシニル、(メタ)アクリル
酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸メトキ
シエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、
(メタ)アクリル酸クロロエチルエステル、(メタ)ア
クリル酸トリフルオロエチルおよび(メタ)アクリル酸
ペンタフルオロプロピル等が挙げられ、これらを単独ま
たは数種類混合して使用する。
【0009】前記ビニルエステル類の具体例としては、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、
ピバリン酸ビニル、ヴェオバ−9(シェル化学製)、シ
クロヘキサンカルボン酸ビニルおよび安息香酸ビニルな
どが挙げられる。
【0010】前記ビニルエーテル類の具体例としては、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プ
ロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ
ル、t−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエ
ーテル、ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニル
エーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、クロロ
メチルビニルエーテルおよびクロロエチルビニルエーテ
ル等のアルキルビニルエーテル類または置換アルキルビ
ニルエーテル類;シクロペンチルブニルエーテルおよび
シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニ
ルエーテル類が挙げられる。
【0011】また、上記以外の単量体であるエチレン、
プロピレンおよびイソブチレンなどのα−オレフィン
類、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンなどの塩素化され
たビニル単量体などを物性を損なわない範囲で含んでい
ても良い。また、水酸基、エポキシ基およびカルボキシ
ル基などの官能基を有する単量体を物性を損なわない範
囲で含んでいても良い。前記水酸基含有単量体として
は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アク
リル酸4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシエチルビ
ニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、
アリルアルコール、ケイ皮アルコール、Nーメチロール
(メタ)アクリルアミド、クロトン酸2−ヒドロキシエ
チルおよびクロトン酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基
含有単量体の他、これらの水酸基を含有する単量体にε
−カプロラクタムまたはエチレンオキシドを開環付加さ
せた化合物、ならびに(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、フマル酸、クロトン酸およびイタコン酸等の不飽和
カルボン酸とエチレングリコール、エチレンオキシド、
プロピレングリコール、プロピレンオキシド、ブチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン
およびトリメチロールプロパン等の多価アルコールとの
反応物が例示される。また、前記エポキシ基を有する単
量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジルおよびア
リルグリシジルエーテル等が挙げられる。さらに、カル
ボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびクロトン
酸等が挙げられる。
【0012】本発明におけるフッ素樹脂においては、有
機溶剤への溶解性、硬化塗膜の耐候性、柔軟性、耐汚染
性、基材への密着性のバランスの面から、全単量体合計
量を基準とする割合が、フルオロオレフィン(a):2
0〜70モル%、加水分解性シリル基を有するオレフィ
ン性単量体(b):1〜20モル%および(メタ)アク
リル酸エステル(c):20〜80モル%の範囲である
ことが好ましい。さらに好ましい範囲はフルオロオレフ
ィン:20〜60モルモル%、加水分解性シリル基を有
するオレフィン性単量体:2〜10モル%および(メ
タ)アクリル酸エステル:30〜75%モル%である。
また、前記記載の物性を損なわない範囲でその他の単量
体(d)を(c)の一部に置き換えて0〜30モル%の
範囲で含むことができる(但しa+b+c+d=10
0)。 (a)フルオロオレフィンが70モル%を越えると加水
分解性シリル基含有フッ素樹脂の有機溶剤に対する溶解
性が低下し、また20モル%未満では耐候性が低下す
る。また、(b)加水分解性シリル基を有するオレフィ
ン性単量体の量が1モル%未満であると、架橋点が少な
いため塗料から形成させる膜の強度、耐溶剤性が低下す
る。一方、20モル%を越えると、共重合体の安定性が
低下する。(c)(メタ)アクリル酸エステルが20モ
ル%未満であると有機溶剤への溶解性が低下する。ま
た、80モル%を越えると耐候性が低下する。
【0013】本発明におけるフッ素樹脂の分子量はゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による
数平均分子量(ポリスチレン換算)において1,000
〜100,000であることが好ましく、(B)成分で
ある加水分解性シリル基を有するポリエステル樹脂との
相溶性から1,000〜30,000であることがさら
に好ましい。また、フッ素樹脂のガラス転移温度(以
下、Tgという)は0℃〜60℃であることが好まし
い。
【0014】前記フッ素樹脂は、ラジカル発生型重合開
始剤の存在下、上記単量体を共重合させる方法で製造で
きる。重合方法は、有機溶剤中での溶液重合など通常の
方法が採用可能である。ラジカル発生型重合開始剤とし
ては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、tert
−ブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサ
イドおよびラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、ア
ゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニ
トリル等のアゾ化合物、過硫酸アンモニウムおよび過硫
酸カリウム等の無機過酸化物が使用でき、ラジカル発生
型重合開始剤の使用量は、全単量体量に対し0.000
1〜10モル%であることが好ましい。乳化重合で重合
する場合、乳化剤としては、パーフルオロオクタノイッ
クアシドカリウム塩またはアンモニウム塩、パーフルオ
ロオクタンスルホン酸アンモニウム塩、高級アルコール
硫酸エステルナトリウム塩およびポリエチレングリコー
ルエーテル等が例示され、乳化剤の使用量は、全単量体
100重量部に対し0.1〜50重量部であることが望
ましい。溶液重合における有機溶媒としては、テトラヒ
ドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類;n−
ヘキサンおよびシクロヘキサン等の炭化水素類;トルエ
ンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;酢酸エチ
ルおよび酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチル
エチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類;エ
タノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびn
−ブチルセロソルブ等のアルコール類;1,1,2−ト
リクロロ−1,2,2−トリフルオロエチレン等のフロ
ン類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用い
ることができる。有機溶剤の使用量は全単量体量100
重量部に対し20〜200重量部であることが好まし
い。
【0015】重合条件としては、特に限定されないが、
好ましい反応における好適な重合温度は20〜100℃
であり、好適な圧力は1〜200kg/cm2であり、好適な
重合時間は3時間〜40時間である。重合に使用する単
量体は、その全量を初期にバッチ仕込みしてもよいし、
重合の進行と共に一部の単量体を逐次添加してもよい。
また、必要により、PH調整剤として、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム、ハイドロタルサイトおよび陰イオ
ン交換樹脂等を加えてもよい。
【0016】本発明における(B)成分である加水分解
性シリル基を有するポリエステル樹脂は、1分子中に加
水分解性シリル基を1個以上有し、エステル結合を2個
以上有する化合物である。加水分解性シリル基は下記一
般式(1)として表される置換基である。 −SiXn3-n (1) (式中、Xは炭素数1〜20のアルキル基、Yは加水分
解可能な基を示し、nは0、1または2である。なお、
X,Yが複数ある場合は、同じでも、異なっていても良
い。) 前記式(1)におけるXの具体例としては、メチル基、
エチル基、プロピル基、オクチル基およびオクタデシル
基等が挙げられる。また、Yとしてはアルコキシ基、ア
ミノ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基お
よびイミノオキシ基などが挙げられ、これらの中でもア
ルコキシ基が好ましい。その具体例としてメトキシ基、
エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびメトキシ
エトキシ基等が挙げられる。本発明においてポリエステ
ル樹脂が使用される理由は、分子量が調製しやすく前記
フッ素樹脂との相溶性に優れるからである。
【0017】前記ポリエステル樹脂は、一般的には、汎
用のポリエステル樹脂に加水分解性シリル基を導入する
ことで製造される。ポリエステル樹脂としては、塗料塗
膜の耐候性の面で、脂肪族であることが好ましく、特
に、2塩基酸とポリオールの縮合反応物、2塩基酸とエ
ポキシ化合物の縮合反応物およびラクトンの開環縮合物
などが好適に用いられ、具体例としては、ポリエチレン
アジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリネオペン
チレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトンおよび
1、4−シクロヘキサンジメタノールなどと、アジピン
酸およびε−カプロラクトンとの縮合物が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂への加水分解性シリル基の導入方
法として、例えば、1)ポリエステル樹脂の水酸基にイ
ソシアネート基と加水分解性シリル基を併せ持つ化合物
(以下、イソシアネートシランと略す)とを反応させる
方法、2)特開平5−009260公報記載のアクリロ
イル基と水酸基を有するポリエステル樹脂から3ステッ
プの反応を用いる方法、3)ポリエステル樹脂のカルボ
キシル基にアリルグリシジルエーテルを付加させ、さら
に、HSiR3の構造を有するシラン化合物(R:加水
分解性基)を付加させるなどの公知の方法が挙げられ
る。これらの中でも、調製法が容易なことから、1)の
方法が好ましい。塗料としての加工性の面より、前記ポ
リエステル樹脂に導入される加水分解性シリル基はポリ
エステル樹脂1分子あたり1個以上であることが必要
で、好ましくは2個以上である。
【0018】前記フッ素樹脂との相溶性の点から、本発
明におけるポリエステル樹脂の分子量は、GPCの数平
均分子量が600〜6,000であることが好ましい。
【0019】本発明における塗料用組成物における
(A)加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂と(B)
加水分解性シリル基を有するポリエステル樹脂の混合比
は、形成する塗膜の加工性、耐候性のバランスから、
(A)/(B)の重量比が95/5〜30/70であ
り、好ましくは(A)/(B)の重量比が90/10〜
50/50である。(B)の割合が5重量%以下である
と、加工性が向上せず、一方、70重量%以上の割合で
は耐候性が低下する。
【0020】さらに、本発明における塗料用組成物にお
いて、(C)有機溶剤が必須成分であり、該有機溶剤は
前記加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂および前記
加水分解性シリル基を有するポリエステル樹脂のいずれ
もを溶解させるものが望ましい。有機溶剤の具体例とし
ては、トルエン、キシレンおよびソルベッソ等の芳香
族;酢酸エチル、酢酸ブチルおよび酢酸イソブチル等の
エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンおよびエ
チルアミルケトン等のケトン類;n−ブタノールおよび
i−プロパノール等のアルコール類;メチルセロソル
ブ、n−ブチルセロソルブおよびn−ブチルセロソルブ
アセテート等のセロソルブ系、プロピレンブリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレンブリコールモノブチルエ
ーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート等のプロピレングリコール系溶剤等が挙げら
れ、これらの有機溶剤は単独あるいは併用して用いるこ
とができる。
【0021】本発明における塗料用組成物には耐汚染性
を発現させるために、アルコキシシランの加水分解縮合
物を添加することが望ましい。該アルコキシシランの加
水分解縮合物は、加水分解性のアルコキシ基を1分子中
に2個以上有するアルコキシシランの加水分解縮合物で
あり、耐汚染性および含フッ素樹脂との相溶性から、縮
合度は2〜10程度であることが好ましい。かかる化合
物としては、例えば、コルコート社からES40(テト
ラエトキシシランの平均約5量体の縮合物)およびMS
51(テトラメトキシシランの平均約4量体の縮合物)
等として市販されているものを用いることができる。ま
た、特開平8−176304号公報、特開平8−113
755号公報および特開平9−31399号公報に記載
の公知の方法で合成したものを使用することができる。
前記アルコキシシランの加水分解縮合物の配合割合はフ
ッ素樹脂とポリエステル樹脂の合計量100重量部あた
り2〜100重量部であることが好ましく、さらに好ま
しくは5〜80重量部である。アルコキシシラン縮合物
の割合が2重量部未満では耐汚染性は向上せず、100
重量部を越えると形成させる塗膜の加工性が悪くなる。
【0022】さらに前記塗料用組成物には、保存安定性
を向上させる目的で、一般式RC(OR’)3 (R:水
素原子、メチル基、エチル基;R’:炭素数1〜3のア
ルキル基)で表されるオルト酸エステル類を添加するこ
とが好ましく、該オルト酸エステルとして、オルト蟻酸
トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプ
ロピル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチ
ル、オルト酢酸トリプロピル、オルトプロピオン酸トリ
メチル、オルトプロピオン酸トリエチルおよびオルトプ
ロピオン酸トリプロピル等が挙げられる。オルト酸エス
テルの添加量は、フッ素樹脂とポリエステル樹脂の合計
量100重量部に対し、0.5〜30重量部であること
が望ましい。0.5重量部未満であると、保存安定性向
上の効果は少なく、また、30重量部以上入れても向上
効果は変わらない。また、組成物が上記アルコキシシラ
ンの加水分解縮合物を含む場合、オルト酸エステルの添
加量は、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂およびアルコキ
シシランの加水分解物の合計量100重量部に対し、
0.5〜30重量部であることが望ましい。
【0023】本発明における塗料用組成物は、塗装時に
硬化促進剤を配合する形態をとることが好適である。硬
化促進剤としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸
鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸鉛、オクチル酸
亜鉛、オクチル酸コバルト、テトラプロピルチタネー
ト、テトラブチルチタネート、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジオクチル錫ジラウレート、ジクロロジブチル錫、
ジブチル錫ジアセテートおよびトリエチル錫モノステア
レートなどの有機錫化合物が例示される。硬化促進剤の
使用量は、加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂と加
水分解性シリル基を有するポリエステル樹脂の合計量当
たり20ppm〜5重量%であることが好ましく、さら
に好ましくは100ppm〜1重量%である。
【0024】また、本発明における塗料用組成物は、ク
リア塗料または着色塗料として使用することができる。
塗料の調製に際し、塗料の分野で通常用いられる顔料、
紫外線吸収剤、光安定剤、流動調整剤、レベリング剤、
スリップ剤、分散剤、色分かれ防止剤、酸化防止剤およ
びシランカップリング剤等の添加剤を加えることができ
る。前記顔料としては、酸化チタン、べんがら、焼成顔
料およびパール顔料等の無機顔料、フタロシアニンブル
ー、キナクリドンレッド、ペリレン、イソインドリノン
およびカーボンブラック等の有機顔料、炭酸カルシウム
および硫酸バリウム等の体積顔料、アルミフレークおよ
びステンレスフレーク等のメタリック顔料が挙げられ
る。また、艶消し剤として、ポリエチレンワックス、ポ
リプロピレンワックスおよびシリカ系艶消し剤を添加す
ることもできる。前記紫外線吸収剤としてはベンゾフェ
ノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物および蓚酸
アニリド系化合物等の有機系紫外線吸収剤、超微粒子酸
化チタンおよび酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤が
使用できる。
【0025】本発明における塗料用組成物は、スプレー
塗装、ロールコーターおよびはけ塗り等によって各種基
材に直接、あるいはプライマーとして有機塗膜を形成し
た上に塗布することもできる。塗布可能な基材として
は、金属、プラスチック、木材、紙、セラミックおよび
セメント系基材等が挙げられ、金属としては、SUS、
アルミおよび亜鉛鋼板等が挙げられる。また、プラスチ
ックとしては、ABS、FRP、PC、硬質PVC、ベ
ークライト、エポキシ、ポリアクリルおよびポリウレタ
ン等が挙げられ、セメント系基材としては、モルタルお
よびコンクリート等が挙げられる。なお、本発明におけ
る塗料用組成物の塗装膜厚は、乾燥時において10〜1
00μmであることが好ましい。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて具体的に説明する。 (加水分解性シリル基含有フッ素樹脂の合成) 合成例1 撹拌機を備えた2リットルのオートクレーブに酢酸ブチ
ル120g、アクリル酸シクロヘキシル(以下、CHA
という)12.0g、アクリル酸エチル(以下、EAと
いう)5.0gおよびビニルトリメトキシシラン(以
下、VMSという)1.5gを仕込み、−70℃に冷却
した。減圧脱気と窒素置換を3回繰り返した後脱気さ
せ、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEとい
う)700gを仕込んだ。53℃まで昇温後、ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネートの50重量%トルエン
希釈品(以下、IPP−50Tという)3.5gを酢酸
ブチル10gに溶解させて調製した重合開始剤溶液をオ
ートクレーブに圧入し重合を開始した。重合開始後、酢
酸ブチル30g、CHA108.0g、EA49.0g
およびVMS13.5gの混合液を6時間かけて一定速
度でポンプを用いてオートクレーブ内に送入した。重合
開始3時間後に、IPP−50T3.0gを酢酸ブチル
10gに溶解させて調製した重合開始剤溶液をオートク
レーブに圧入し、重合開始12時間経過後に、オートケ
レーブを冷却した。その後、未反応のCTFEをパージ
し、オートクレーブを開放して440gの含フッ素重合
体溶液を得た。得られた溶液の180℃×20分の条件
で測定した固形分は61%であった。GPCにより測定
したポリスチレン換算の数平均分子量は14,000で
あった。一方、溶液の一部をメタノール中に投入し、洗
浄および乾燥させ共重合体の分析を行ったところ、Tg
は35℃であった。フッ素分析を行った結果は14.1
重量%であり、1H−NMRおよび13C−NMRから算
出した組成は、CTFE/CHA/EA/VMS=35
/37/24/4(モル%)であった。上記で得られた
フッ素樹脂を酢酸ブチルで希釈し、固形分50%の溶液
とした(以下、F−1という)。
【0027】合成例2 撹拌機を備えた2リットルのオートクレーブに酢酸ブチ
ル150g、ターシャリーブチルアクリレート(以下、
tBAという)10.8g、EA8.5gおよびVMS
2.2gを仕込み、−70℃に冷却した。減圧脱気と窒
素置換を3回繰り返した後脱気させ、CTFE550g
を仕込んだ。さらに、57℃まで昇温後、ジ−2−エト
キシエチルパーオキシジカーボネートの50重量%トル
エン希釈品(以下、EEP−50Tという)4.0gを
酢酸ブチル10gに溶解させて調製した重合開始剤溶液
をオートクレーブに圧入し重合を開始した。重合開始
後、酢酸ブチル30g、tBA98.0g、EA76.
5gおよびVMS20.0gの混合液を8時間かけて一
定速度でポンプを用いてオートクレーブ内に送入した。
重合開始4時間後にEEP−50T4.5gを酢酸ブチ
ル10gに溶解させて調製した重合開始剤溶液をオート
クレーブに圧入した。重合開始12時間経過後に、オー
トケレーブを冷却した。その後、未反応のCTFEをパ
ージし、オートクレーブを開放して510gの含フッ素
重合体溶液を得た。得られた溶液の180℃×20分の
条件で測定した固形分は61%であった。GPCにより
測定したポリスチレン換算の数平均分子量は16,00
0であった。一方、溶液の一部をメタノール中に投入
し、洗浄および乾燥させ共重合体の分析を行ったとこ
ろ、Tgは40℃であった。合成例1と同様な分析によ
り、重合体の組成は、CTFE/tBA/EA/VMS
=33/31/31/5(モル%)と算出された。上記
で得られたフッ素樹脂を酢酸ブチルで希釈し固形分50
%の溶液とした(以下、F−2という)。
【0028】(加水分解性シリル基を有するポリエステ
ル樹脂の合成)市販のポリエステルポリオールであるF
LEXORES−188(KINGINDUSTRIE
S社製、数平均分子量:488)100.0g、γ−イ
ソシアネートプロピルトリメトキシシラン84.0g
(NCO/OH=1.0eq/1.0eq)、ジブチル
錫ジラウレート(1重量%キシレン溶液)1.0gおよ
びキシレン183.0gの混合物を窒素雰囲気下50℃
で24時間加熱し、加水分解性シリル基を有するポリエ
ステル樹脂の溶液(以下、E−1という)を得た。な
お、IRスペクトルにおけるNCO吸収の消失から反応
の完結を確認した。
【0029】実施例1 (F−1)80.0g、(E−1)20.0g、酸化チ
タン33.3g、オルト蟻酸トリメチルの2.0gおよ
びガラスビーズの100gを混合し、ペイントコンディ
ショナーで分散し、ガラスビーズをろ過し分散液を調製
した。さらに得られた分散液50gに対し、ジブチル錫
ジラウレート(10%キシレン溶液)0.7g、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン0.4gおよび
キシレン5.0gを加えて、塗料用組成物を調製した。
【0030】実施例2 (F−2)70.0g、(E−1)30.0g、酸化チ
タン33.3g、オルト蟻酸トリメチルの2.0gおよ
びガラスビーズの100gを混合し、ペイントコンディ
ショナーで分散し、ガラスビーズをろ過し分散液を調製
し、この分散液をもとに実施例1と同様に塗料用組成物
を調製した。
【0031】実施例3 (F−2)70.0g、(E−1)30.0g、酸化チ
タン33.3g、オルト蟻酸トリメチルの2.0g、エ
チルシリケート40(コルコート製、テトラエトキシシ
ランのオリゴマー)5.0gおよびガラスビーズ100
gを混合し、ペイントコンディショナーで分散し、ガラ
スビーズをろ過し分散液を調製し、この分散液をもとに
実施例1と同様に塗料用組成物を調製した。
【0032】比較例1 (F−1)100.0g、酸化チタン33.3g、オル
ト蟻酸トリメチルの2.0gおよびガラスビーズの10
0gを混合し、ペイントコンディショナーで分散し、ガ
ラスビーズをろ過し分散液を調製し、この分散液をもと
に実施例1と同様に塗料用組成物を調製した。
【0033】比較例2 (F−2)20.0g、(E−1)80.0g、酸化チ
タン33.3g、オルト蟻酸トリメチルの2.0gおよ
びガラスビーズの100gを混合し、ペイントコンディ
ショナーで分散し、ガラスビーズをろ過し分散液を調製
し、この分散液をもとに実施例1と同様に塗料用組成物
を調製した。
【0034】実施例1〜3および比較例1〜2の塗膜評
価 上記塗料用組成物をクロメート処理アルミA5052P
材にバーコーターで乾燥膜厚が30μとなるように塗装
し、室温で1週間乾燥させたものを用いて以下の試験を
行った。その結果を後記表1に示す。 評価項目 1)光沢値:JIS K5400に記載の方法に準じて
60°光沢値を測定した。 2)耐衝撃性:試験片を−20℃恒温曹で冷却し、JI
S K5400に記載の方法で、荷重:500g、1/
2インチの条件でデュポン衝撃試験を行い、亀裂の入ら
ない高さを求めた。 3)加工性:塗装したアルミ板をUの字の形に曲げ、そ
のUの字の窪みに0.6mm厚のアルミ板を挟み、バイ
ズで折り曲げ、曲げ部の塗膜亀裂の無い枚数(T)を求
めた。枚数が少ないほど加工性が良好であることを示
し、アルミ板の枚数が0というのは、塗装したアルミ板
のみで曲げることができることを示し、最も加工性が良
好なものである。 4)耐候性:サンシャインウエザーメーター試験(JI
S K5400記載の方法)で2000時間試験を行っ
た後の光沢値を測定し、光沢保持率(試験後の光沢値/
試験前の光沢値)を算出した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明における含フッ素塗料用組成物
は、耐候性、加工性および耐衝撃性に優れた塗膜を与え
るので、各種工業用途に広く利用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 230:08 220:10)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)加水分解性シリル基を有するフッ素
    樹脂、(B)加水分解性シリル基を有するポリエステル
    樹脂および(C)有機溶剤を必須成分とし、前記A成分
    とB成分の割合が重量比で95/5〜30/70である
    含フッ素塗料用組成物。
  2. 【請求項2】 加水分解性シリル基を有するフッ素樹脂
    がフルオロオレフィン、加水分解性シリル基を有するオ
    レフィン性単量体および(メタ)アクリル酸エステルを
    必須構成成分とするものである請求項1記載の含フッ素
    塗料用組成物。
JP16771898A 1998-06-01 1998-06-01 含フッ素塗料用組成物 Pending JPH11343448A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012528221A (ja) * 2009-05-27 2012-11-12 シーカ・テクノロジー・アーゲー 改良された初期強度を有する湿気硬化性組成物
JP2017008186A (ja) * 2015-06-22 2017-01-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 樹脂組成物およびその製造方法、それを用いた製品

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