JPH11323146A - 結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法およびそれに用いる結晶核剤組成物 - Google Patents

結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法およびそれに用いる結晶核剤組成物

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JPH11323146A
JPH11323146A JP13203398A JP13203398A JPH11323146A JP H11323146 A JPH11323146 A JP H11323146A JP 13203398 A JP13203398 A JP 13203398A JP 13203398 A JP13203398 A JP 13203398A JP H11323146 A JPH11323146 A JP H11323146A
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metal salt
rosin acid
nucleating agent
thermoplastic resin
partial
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Application number
JP13203398A
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English (en)
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Junji Tan
淳 二 丹
Takashi Nakagawa
川 貴 中
Masao Maeda
田 正 雄 前
Hiroshi Matsumoto
本 寛 松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Arakawa Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Arakawa Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】少ない結晶核剤の添加量で高い核剤効果を発揮
させることのできる結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方
法およびこれに用いる結晶核剤組成物を提供すること。 【解決手段】結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、
(I)(A)結晶性熱可塑性樹脂と、(II)(B)ロジ
ン酸金属塩または部分金属塩100重量部、および
(C)前記(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩を溶
解、分散または混合しうる揮発性化合物50〜2000
重量部からなる結晶核剤組成物とを、前記(II)結晶核
剤組成物が、前記(A)結晶性熱可塑性樹脂100重量
部に対して0.001〜5重量部の量となるように混合
し、溶融混練する。結晶核剤組成物は、(B)ロジン酸
金属塩または部分金属塩と、(C)揮発性化合物とを含
んでなり、成分(B)100重量部に対して成分(C)
を50〜2000重量部の量で含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性熱可塑性樹
脂組成物の製造方法およびこれに用いる結晶核剤組成物
に関し、さらに詳しくは、少ない結晶核剤の添加量で高
い核剤効果を発揮させることのできる結晶性熱可塑性樹
脂組成物の製造方法およびこれに用いる結晶核剤組成物
に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリオレフィン、ポリエステル、
ポリアミドおよびポリアセタールなどの結晶性熱可塑性
樹脂は、優れた加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的
性質などを有しているため、射出成形品、中空成形品、
フィルム、シート、繊維などに加工され各種用途に用い
られている。しかしながら用途によっては、透明性、剛
性、耐熱剛性などが充分とはいえない場合がある。
【0003】このような結晶性熱可塑性樹脂からなる成
形体の透明性、剛性、耐熱剛性などを向上させるには、
成形加工時に微細な結晶を急速に生成させればよいこと
が知られている。このため従来から結晶性熱可塑性樹脂
の結晶化速度を速めるために、たとえばジベンジリデン
ソルビトール、パラ-t-ブチル安息香酸のアルミニウム
塩、アルキルフェノールリン酸エステルの金属塩、タル
クなどの結晶核剤が用いられている。
【0004】しかしながら、従来の結晶核剤では、結晶
化速度の向上効果が必ずしも充分ではなく、得られる成
形体の透明性、光沢などの光学的性質および剛性、耐熱
剛性などの機械的性質が必ずしも満足するものではなか
った。
【0005】このような問題点を解決するため本願出願
人らは特定のロジン酸金属塩を含む結晶性熱可塑性樹脂
用結晶核剤を特開平7−330967号、特開平8−2
77343号などに提案した。これらの発明は、成形体
の機械的性質および光学的性質を著しく改良した。しか
しながら、ロジン酸金属塩を含む有機添加剤は多量に添
加すると、経済的に不利になるだけでなく、臭気やブリ
ードアウトなどの問題を起こしやすいため、さらに少な
い結晶核剤の添加量で核剤効果を発揮させることができ
るような結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法およびこ
れに用いる結晶核剤組成物の出現が望まれていた。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような状況のもとなさ
れたものであって、少ない結晶核剤の添加量で、機械的
性質および/または光学的性質に優れた成形体が得られ
るような結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法およびこ
れに用いる結晶核剤組成物を提供することを目的として
いる。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物
の製造方法は、(I)(A)結晶性熱可塑性樹脂と、
(II)(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩100重
量部、および(C)前記(B)ロジン酸金属塩または部
分金属塩を溶解、分散または混合しうる揮発性化合物
(以下単に「揮発性化合物」ということがある。)50
〜2000重量部からなる結晶核剤組成物とを、前記
(II)結晶核剤組成物が、前記(A)結晶性熱可塑性樹
脂100重量部に対して0.001〜5重量部の量とな
るように混合し、溶融混練することを特徴としている。
【0008】本発明に係る結晶核剤組成物は、(B)ロ
ジン酸金属塩または部分金属塩と、(C)揮発性化合物
とを含んでなり、前記(B)ロジン酸金属塩または部分
金属塩100重量部に対して前記(C)揮発性化合物を
50〜2000重量部の量で含有することを特徴として
いる。
【0009】本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の
製造方法に用いられる(A)結晶性熱可塑性樹脂として
は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよび
ポリアセタールからなる群より選ばれる1種の結晶性熱
可塑性樹脂が挙げられる。
【0010】本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の
製造方法および結晶核剤組成物に用いられる(B)ロジ
ン酸金属塩または部分金属塩を形成するロジン酸として
は、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ジ
ヒドロピマル酸、およびこれらの誘導体から選ばれる少
なくとも1種のロジン酸が挙げられる。
【0011】本発明では前記(B)ロジン酸金属塩また
は部分金属塩を形成するロジン酸が、下記一般式(I
a)で表されるロジン酸および下記一般式(Ib)で表
されるロジン酸から選ばれる少なくとも1種のロジン酸
の金属塩または部分金属塩であることが好ましい。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに
同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、
シクロアルキル基またはアリール基を示す。)。本発明
では前記一般式(Ia)および前記一般式(Ib)にお
いてR1 がイソプロピル基であり、R2 およびR3 がメ
チル基であることが好ましい。
【0014】本発明では、前記(B)ロジン酸金属塩ま
たは部分金属塩が、ロジン酸アルカリ金属塩または部分
金属塩およびロジン酸アルカリ土類金属塩または部分金
属塩から選ばれる少なくも1種であることが好ましい。
【0015】また、前記(B)ロジン酸金属塩または部
分金属塩が、ロジン酸アルカリ金属塩または部分金属塩
から選ばれる少なくとも1種およびロジン酸アルカリ土
類金属塩または部分金属塩から選ばれる少なくとも1種
であることが好ましい。
【0016】本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の
製造方法および結晶核剤組成物に用いられる(C)揮発
性化合物としては、水、アルコール類、炭素原子数が6
〜12の脂肪族炭化水素類、炭素原子数が6〜12の芳
香族炭化水素類、炭素原子数が2〜10のケトン類、炭
素原子数が3〜10のカルボン酸エステル類から選ばれ
る少なくとも1種の液状の化合物が挙げられ、これらの
なかでは水、アルコール類から選ばれる少なくとも1種
の液状の化合物が好ましい。
【0017】本発明では、前記(B)ロジン酸金属塩ま
たは部分金属塩がロジン酸金属塩であり、前記(C)揮
発性化合物が水であることが好ましい。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る結晶性熱可塑
性樹脂組成物の製造方法およびこれに用いる結晶核剤組
成物について具体的に説明する。
【0019】本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の
製造方法では、(A)結晶性熱可塑性樹脂と、(B)ロ
ジン酸金属塩または部分金属塩および(C)揮発性化合
物からなる結晶核剤組成物とを溶融混練する。
【0020】まず、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組
成物の製造方法に用いられる各成分について説明する。(A)結晶性熱可塑性樹脂 本発明で用いられる結晶性熱可塑性樹脂(A)として、
たとえば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル
またはポリアセタールが挙げられる。
【0021】ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテ
ン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体;プ
ロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン
共重合体などを挙げることができ、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ-1-ブテン、プロピレン・エチレンラ
ンダム共重合体が特に好ましい。なお、ポリオレフィン
が炭素原子数3以上のオレフィンから得られるポリオレ
フィンである場合には、アイソタクチック重合体であっ
てもよく、シンジオタクチック重合体であってもよい。
また、ポリオレフィンは、どのような製造方法、触媒で
得られたものであってもよい、たとえば、従来のチーグ
ラー・ナッタ型触媒により得られたポリオレフィンだけ
でなく、メタロセン触媒により得られたポリオレフィン
も好適に使用できる。このようなポリオレフィンは、単
独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。
【0022】ポリエステルとしては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレン
テレフタレートなどの芳香族系ポリエステル;ポリカプ
ロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げるこ
とができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好まし
い。このようなポリエステルは、単独で用いてもよく、
2種以上組み合わせて用いてもよい、ポリアミドとして
は、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、
ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミ
ド;芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造され
る芳香族ポリアミドなどを挙げることができ、ナイロン
−6が特に好ましい。このようなポリアミドは、単独で
用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】ポリアセタールとしては、ポリホルムアル
デヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒ
ド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒド
などを挙げることができ、ポリホルムアルデヒドが特に
好ましい。このようなポリアセタールは、単独で用いて
もよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】これら結晶性熱可塑性樹脂(A)のうちで
は、ポリオレフィン、特にポリプロピレンが機械的性質
および/または光学的性質の改善効果が大きいため好ま
しい。
【0025】(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩 本発明で用いられる(B)ロジン酸金属塩または部分金
属塩は、ロジン酸と金属化合物との反応物である。本発
明においてロジン酸金属塩とは未反応のロジン酸を含ま
ないロジン酸100%金属塩を意味し、ロジン酸部分金
属塩とは、ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸との混合
物を意味する。
【0026】ロジン酸(ロジン系樹脂酸)としては、ガ
ムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロ
ジン:不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、
重合ロジン、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸変性
ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製
物、変性ロジンの精製物などを例示できる。なお、前記
α,β-エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に
用いられる不飽和カルボン酸としては、たとえばマレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸な
どを挙げることができる。これらの中では、天然ロジ
ン、変性ロジン、天然ロジンの精製物および変性ロジン
の精製物からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジ
ン酸であることが好ましい。
【0027】本発明ではロジン酸が、デヒドロアビエチ
ン酸、ジヒドロアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、およ
びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のロジン
酸であることが好ましく、下記一般式(Ia)で表され
るロジン酸〔化合物(Ia)〕および下記一般式(I
b)で表されるロジン酸〔化合物(Ib)〕から選ばれ
る少なくとも1種のロジン酸であることが特に好まし
い。
【0028】
【化4】
【0029】前記一般式(Ia)および一般式(Ib)
中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基
またはアリール基である、アルキル基として具体的に
は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチ
ル、i-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘプチル、オ
クチルなどの炭素原子数が1〜8のアルキル基が挙げら
れ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、ア
ルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよ
い。
【0030】シクロアルキル基として具体的には、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどの炭
素原子数が5〜8のシクロアルキル基が挙げられ、これ
らの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ
基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0031】アリール基としては、フェニル基、トリル
基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜10のアリール
基が挙げられ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキ
シル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有して
いてもよい。
【0032】このような化合物(Ia)および化合物
(Ib)のなかでは、R1 、R2 およびR3 がそれぞ
れ、同一または異なるアルキル基である化合物が好まし
く、R1がi-プロピル基であり、R2 およびR3 がメチ
ル基である化合物がより好ましい。
【0033】化合物(Ia)として具体的には、デヒド
ロアビエチン酸およびその誘導体などが挙げられ、化合
物(Ib)で表される化合物として具体的には、ジヒド
ロアビエチン酸およびその誘導体などが挙げられる。
【0034】このような化合物(Ia)および化合物
(Ib)のうちで、たとえば前記一般式(Ia)で表さ
れるデヒドロアビエチン酸は、ガムロジン、トール油ロ
ジン、ウッドロジンなどの天然ロジンを不均化または脱
水素化し、次いで精製することにより得られる。なお、
天然ロジンには、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラ
ストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロア
ビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジ
ヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などの
樹脂酸が、通常複数種類含まれている。
【0035】前記ロジン酸と反応して金属塩を形成する
金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属元素;ベ
リリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウムなどのアルカリ土類金属元素;亜鉛などの
12族の金属元素;アルミニウムなどの13族の金属元
素など金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩する化
合物が挙げられる。具体的には、前記金属の塩化物、硝
酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物など
が挙げられる。
【0036】前記化合物(Ia)の金属塩として具体的
には、下記式(IIa)で表される化合物〔化合物(II
a)〕が挙げられ、前記化合物(Ib)の金属塩として
具体的には、下記式(IIb)で表される化合物〔化合物
(IIb)〕が挙げられる。
【0037】
【化5】
【0038】式(IIa)および(IIb)中、R1 、R2
およびR3 は、前記式(Ia)および(Ib)と同様で
ある。Mは、1〜3価の金属イオンであり、具体的に
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セ
シウムなどのアルカリ金属イオン;ベリリウム、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの
アルカリ土類金属イオン;亜鉛などの12族の金属イオ
ン;アルミニウムなどの13族の金属イオンなどが挙げ
られる。これらのうちアルカリ金属イオンおよび/また
はアルカリ土類金属イオンであることが好ましく、ナト
リウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、
カルシウムイオンであることがより好ましい。
【0039】nは、前記金属イオンMの価数と同一の整
数であり、1〜3の整数である。化合物(IIa)および
化合物(IIb)のなかでは、R1 、R2 およびR3 がそ
れぞれ、同一もしくは異なるアルキル基である化合物、
または、Mがアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類
金属イオンである化合物が好ましく、R1 がi-プロピル
基であり、R2 およびR3 がメチル基である化合物、ま
たは、Mがナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネ
シウムイオンもしくはカルシウムイオンである化合物が
より好ましく、R1 がi-プロピル基であり、R2 および
3 がメチル基であり、かつ、Mがナトリウムイオン、
カリウムイオン、マグネシウムイオンもしくはカルシウ
ムイオンである化合物が特に好ましい。このような化合
物は、特に結晶化速度の向上効果が優れる。
【0040】このような(B)ロジン酸金属塩または部
分金属塩の製造方法としては、従来公知の方法が採用で
き、例えば前記ロジン酸に、前記金属化合物を、溶媒の
存在下または不存在下に直接反応させる方法などが挙げ
られる。なお、得られた(B)ロジン酸金属塩または部
分金属塩は、必要に応じて溶媒を除去した後、微粒子化
して使用することが好ましい。微粒子化する方法は、特
に制限がなく各種の微粒化方法を採用できる、例えば、
ロジン酸金属塩の固形物に機械的シェアーを加えて湿式
または乾式にて粉砕処理する方法、反応が終了した後、
有機溶剤を留去することなく、溶液状態にて水、ならび
に必要に応じて界面活性剤および/または水溶性高分子
を添加し、ついで機械的シェアーを加えて乳化分散を行
った後、水および有機溶剤を留去する方法が例示でき
る。
【0041】本発明ではロジン酸部分金属塩としてロジ
ン酸と金属化合物との反応により得られたロジン酸金属
塩と未反応のロジン酸との混合物が通常用いられるが、
ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸との混合物にロジン
酸を加えた混合物、ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸
との混合物にロジン酸金属塩を加えた混合物、ロジン酸
金属塩とロジン酸との混合物などを用いることもでき
る。
【0042】このような(B)ロジン酸金属塩または部
分金属塩は、結晶化速度を向上させるとともに、結晶を
微細化させる効果に優れている。本発明では、(B)ロ
ジン酸金属塩または部分金属塩として、ロジン酸金属塩
または塩含有率〔(金属の当量)/(カルボキシル基の
当量)×100〕が50%以上のロジン酸部分金属塩を
用いることが好ましい。
【0043】本発明で用いられる(B)ロジン酸金属塩
または部分金属塩としては、これらのなかでも結晶性熱
可塑性樹脂の結晶化速度の向上効果が優れていることか
らロジン酸アルカリ金属塩または部分金属塩ならびにロ
ジン酸アルカリ土類金属塩または部分金属塩から選ばれ
る少なくも1種のロジン酸金属塩または部分金属塩を含
むことが好ましく、ロジン酸アルカリ金属塩または部分
金属塩から選ばれる少なくも1種と、ロジン酸アルカリ
土類金属塩または部分金属塩から選ばれる少なくも1種
を含むことが好ましい。
【0044】本発明ではロジン酸カリウム塩、ロジン酸
ナトリウム塩、ロジン酸カルシウム塩から選ばれる少な
くとも1種を用いることが好ましく、ロジン酸カリウム
塩および/またはロジン酸ナトリウム塩と、必要に応じ
てロジン酸カルシウム塩または部分カルシウム塩を用い
ることも好ましい。
【0045】(C)揮発性化合物 本発明で用いられる(C)揮発性化合物とは、揮発性ま
たは昇華性の化合物であって、沸点または昇華点が、結
晶核剤として配合される結晶性熱可塑性樹脂の成形温度
以下の化合物をいう。なお、結晶性熱可塑性樹脂の成形
温度は、通常170〜300℃程度である。
【0046】このような化合物としては、ロジン酸金属
塩または部分金属塩を溶解、分散または混合しうるも
の、例えば水;メタノール、エタノール、n-プロパノー
ル、イソプロパノールなどの炭素原子数が1〜10のア
ルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、
デカンなどの炭素原子数が6〜12の脂肪族炭化水素
類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭素原子数が
6〜12の芳香族炭化水素類;アセトン、エチルメチル
ケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
の炭素原子数が2〜10のケトン類;酢酸メチル、酢酸
エチルなどの炭素原子数が3〜10のカルボン酸エステ
ル類などが挙げられる。これらの(C)揮発性化合物は
1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることができ
る。
【0047】これらのなかでは常温で液状の化合物が好
ましく、水およびアルコール類から選ばれる常温で液状
の化合物が好ましい。また、(B)成分がロジン酸金属
塩である場合には、水であることが好ましい。
【0048】結晶核剤組成物 本発明に係る結晶核剤組成物は、前記(B)ロジン酸金
属塩または部分金属塩と前記(C)揮発性化合物とを含
んでなり、(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩10
0重量部に対し、(C)揮発性化合物を50〜2000
重量部、好ましくは75〜1500重量部、より好まし
くは100〜1000重量部の量で含有している。
【0049】本発明に係る結晶核剤組成物は、液状の
(C)揮発性化合物に(B)ロジン酸金属塩が溶解した
溶液状、液状の(C)揮発性化合物に(B)ロジン酸金
属塩が分散したスラリー状、固体状の(C)揮発性化合
物と(B)ロジン酸金属塩との混合物のいずれであって
もよい。
【0050】本発明に係る結晶核剤組成物を製造する方
法としては、例えば、ロジン酸を揮発性化合物に溶解
し、溶液状態にて金属化合物と反応させる方法が挙げら
れる。ロジン酸が可溶な揮発性化合物としては、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤が挙
げられる。またここで用いられるロジン酸と反応させる
金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシ
ウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩す
る化合物が挙げられる。具体的には、前記金属の塩化
物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などが
挙げられる。前記ロジン酸と前記金属塩とを反応させる
際の揮発性化合物の使用量は特に限定されないが、通常
ロジン酸の使用量100重量部に対し、50〜1000
重量部程度である。ロジン酸と金属化合物との反応は4
0〜150℃程度の温度範囲で行われる。
【0051】このようして得られたロジン酸金属塩溶液
は、そのまま結晶性核剤組成物として用いてもよく、ま
た一度揮発性化合物を留去した後、異なる揮発性化合物
に溶解、分散または混合して結晶性核剤組成物としても
よい。
【0052】本発明に係る結晶核剤組成物は、結晶性熱
可塑性樹脂の結晶核剤として使用したときに、分散性に
優れ、少ない配合量で優れた核剤効果を示すため経済的
に有利である。また、得られた結晶性熱可塑性樹脂組成
物は、ロジン酸を実質的に含まないまたは絶対量が少な
くなるので、臭気やブリードアウトなどの問題を起こし
難い。
【0053】結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法 本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、
前記結晶性熱可塑性樹脂(A)と、前記ロジン酸金属塩
または部分金属塩(B)および前記揮発性化合物(C)
からなる結晶核剤組成物とを押出機、ニーダーなどを用
いて、結晶性熱可塑性樹脂(A)の融点以上の温度で溶
融混練する。
【0054】(A)結晶性熱可塑性樹脂と、結晶核剤組
成物とを溶融混練する際には、結晶核剤組成物は、
(A)結晶性熱可塑性樹脂100重量部に対して0.0
01〜5重量部、好ましくは0.01〜4重量部、より
好ましくは0.05〜2重量部の量で用いられる。
【0055】なお本発明では、本発明の結晶核剤組成物
に加えて、別途固体状で(B)ロジン酸金属塩または部
分金属塩を添加することもできる。また、本発明では結
晶核剤組成物に代えて、または前記結晶核剤組成物と併
用して、ロジン酸と金属化合物と揮発性化合物とからな
る結晶核剤形成組成物を用いてもよい。さらに、ロジン
酸と揮発性化合物とからなる組成物、金属化合物と揮発
性化合物とからなる組成物、および結晶性熱可塑性樹脂
を溶融根連してもよい。これらの組成物中のロジン酸と
金属化合物は、溶融混練時に反応して(B)ロジン酸金
属塩または部分金属塩を形成する。
【0056】結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造条件は、
結晶性熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィンである場合
には、溶融混練時の温度は通常170〜300℃、好ま
しくは180〜250℃の範囲であり、溶融混練時間は
通常0.2〜20分、好ましくは0.5〜10分であ
る。
【0057】ポリエステルである場合には、溶融混練時
の温度は通常260〜330℃、好ましくは270〜3
00℃の範囲であり、溶融混練時問は通常0.2〜20
分、好ましくは0.5〜10分である。
【0058】ポリアミドである場合には、溶融混練時の
温度は通常220〜330℃、好ましくは260〜33
0℃の範囲であり、溶融混練時間は通常0.2〜20
分、好ましくは0.5〜10分である。
【0059】ポリアセタールである場合には、溶融混練
時の温度は通常180〜300℃、好ましくは180〜
250℃の範囲であり、溶融混練時間は通常0.2〜2
0分、好ましくは0.5〜10分である。
【0060】(C)揮発性化合物は、溶融混練時に気化
または昇華するため、得られた成形体中(結晶性熱可塑
性樹脂組成物)にはほとんど残留しない。このようにし
て得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物は、(A)結晶性
熱可塑性樹脂100重量に対して、ロジン酸金属塩を
0.0005〜2.5重量部、好ましくは0.01〜2
重量部の量で、ロジン酸を0〜2.5重量部、好ましく
は0〜2重量部の量で含有している。このような結晶性
熱可塑性樹脂組成物は、ロジン酸を実質的に含まないま
たは絶対量が少なくなるので、臭気やブリードアウトな
どの問題を起こし難い。
【0061】本発明の方法により得られた結晶性熱可塑
性樹脂組成物は、家庭用品から工業用品に至る広い用
途、たとえば、食品や洗剤などの容器、ボトル、ボトル
キャップ、衣装缶などの透明ケース、注射器シリンジな
どの医療器具、電気部晶、電子部品、バンパーなどの自
動車部晶、機械機構部品、フィルム、シート、繊維など
の素材として好適に使用される。
【0062】
【発明の効果】本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物
の製造方法は、結晶性熱可塑性樹脂が本来有する優れた
特性を有し、結晶核剤の含有量が少なく、機械的性質お
よび/または光学的性質に優れた成形体を提供できる。
【0063】本発明に係る結晶核剤組成物は、結晶性熱
可塑性樹脂の結晶核剤として使用したときに、分散性に
優れ、少ない配合量で優れた核剤効果を示すため経済的
に有利である。また、ロジン酸を実質的に含まないの
で、臭気やブリードアウトなどの問題を起こし難い。
【0064】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0065】なお、結晶核剤組成物および結晶性熱可塑
性樹脂組成物の性能評価は次の方法によった。 結晶化温度(Tc):得られたペレットを、示差走査熱
量計(DSC)により溶融状態から一定速度(10℃/
分)で冷却し、結晶化発熱ピーク温度〔結晶化温度(T
c)〕を測定することにより結晶化速度を評価した。結
晶化温度(Tc)の上昇効果の高いものほど結晶化速度
が速い。
【0066】曲げ弾性率(FM):長さ5インチ、巾1
/2インチ、厚み1/8インチの射出成形試験片を用
い、ASTM D790に準拠して曲げ弾性率を測定し
た。 熱変形温度(HDT):長さ5インチ、巾1/4イン
チ、厚み1/2インチの射出成形試験片を用い、AST
M D648に準拠して熱変形温度を測定した。熱変形
温度が高い物ほど耐熱性が大きい。
【0067】透明性(Haze):実施例1〜16およ
び比較例1〜6については、厚み2.0mmの射出成形
試験片を用い、JIS K6714に準拠したHaze
を測定した。実施例17〜19および比較例6について
は、得られたペレットを溶融温度190℃、冷却温度2
0℃の条件で、圧縮成形を行ない、厚み0.5mmのシ
ートを製造し、このシートを用いASTM D1003
−61に準拠してシートHaze測定した。また、得ら
れたペレットを加工温度200℃、ブロー比1.8でイ
ンフレーション成形を行ない、厚さ30μmのフィルム
を得た。このフィルムを用いASTM D1003−6
1に準拠してフィルムHaze測定した。なお、Haz
eの低いものは透明性が高い。
【0068】臭気:結晶性熱可塑性樹脂組成物につい
て、射出成形した直後の試験片の臭気を、ロジン酸金属
塩類の全く添加されてない樹脂組成物(比較例1または
6)の試験片(比較サンプル)の臭気と比較し評価を行
った。
【0069】 ○:比較サンプルと同等の臭気である ×:比較サンプルの臭気より強い 実施例および比較例で用いた核剤組成物AないしGは、
それぞれ以下の組成物または化合物を示す。なお、塩含
有率とは、(金属の当量)/(カルボキシル基の当量)
(%)を意味する。
【0070】核剤組成物A:デヒドロアビエチン酸のカ
リウム塩(カリウム塩含有率100モル%)の水溶液、
ロジン酸金属塩/水=20/80(重量比) 核剤組成物B:デヒドロアビエチン酸のカリウム、ナト
リウム塩(カリウム塩含有率50モル%、ナトリウム塩
含有率50モル%)の水溶液、ロジン酸金属塩/水=2
0/80(重量比) 核剤組成物C:デヒドロアビエチン酸のカリウム塩(カ
リウム塩含有率100モル%)の水・アルコール溶液、
ロジン酸金属塩/水/イソプロピルアルコール=50/
25/25(重量比) 核剤組成物D:デヒドロアビエチン酸のカリウム、ナト
リウム塩(カリウム塩含有率50モル%、ナトリウム塩
含有率50モル%)の水・アルコール溶液、ロジン酸金
属塩/水/イソプロピルアルコール=50/25/25
(重量比) 核剤組成物E:デヒドロアビエチン酸のマグネシウム塩
(マグネシウム塩含有率100モル%)の有機溶液、ロ
ジン酸金属塩/トルエン/イソプロピルアルコール/水
=50/23/23/4(重量比) 核剤組成物F:デヒドロアビエチン酸の部分金属塩(カ
リウム塩含有率15モル%、ナトリウム塩含有率15モ
ル%) 核剤組成物G:デヒドロアビエチン酸の部分金属塩(マ
グネシウム塩含有率25モル%)
【0071】
【実施例1】プロピレン-エチレンランダムコポリマー
(エチレン含量4.0mol%、温度230℃、荷重
2.16kgで測定したメルトフローレート:19g/
10分、表中「r−PP」で示す)100重量部に、イル
ガノックス1010TM(チバスペシャルティーケミカル
ズ社製)を0.1重量部、核剤組成物Bを0.3重量
部、およびロジン酸部分金属塩(デヒドロアビエチン酸
のカルシウム塩、カルシウム塩含有率50モル%)を
0.1重量部添加し、30mmφ二軸押出機により樹脂
温度220℃で溶融混練しペレットを製造した。
【0072】得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物のペレ
ットを用いシリンダ温度230℃、金型温度40℃で射
出成形し各種の試験片を作製した。この試験片を用いて
前記の試験方法により各種物性を測定した。結果を表1
に示す。
【0073】
【実施例2〜7】実施例1において、核剤組成物の種類
または配合量を表1に示したように変えたこと以外は実
施例1と同様にして各種の試験片を作製し、この試験片
を用いて前記の試験方法により各種物性を測定した。結
果を表1に示す。
【0074】
【実施例8】プロピレンホモポリマー(温度230℃、
荷重2.16kgで測定したメルトフローレート:12
g/10分、表中「H−PP」で示す)100重量部に、
イルガノックス1010TM(チバスペシャルティーケミ
カルズ社製)を0.1重量部、核剤組成物Eを0.8重
量部、ステアリン酸カルシウムを0.1重量部添加し、
30mmφ二軸押出機により樹脂温度220℃で溶融混
練しペレットを製造した。
【0075】得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物のペレ
ツトを用いシリンダ温度230℃、金型温度40℃で射
出成形し各種の試験片を作製した、この試験片を用いて
前記の試験方法により各種物性を測定した。結果を表1
に示す。
【0076】
【実施例9〜16】実施例8において、核剤組成物の種
類または配合量を表1または2に示したように変えたこ
と以外は実施例8と同様にして各種の試験片を作製し、
この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性を測
定した。結果を表1または2に示す。
【0077】
【比較例1】実施例1で用いたものと同様のプロピレン
-エチレンランダムコポリマー100重量部に、イルガ
ノックス1010TM(チバスペシャルティーケミカルズ
社製)を0.1重量部およびステアリン酸カルシウムを
0.1重量部添加し、30mmφ二軸押出機により樹脂
温度220℃で溶融混練しペレットを製造した。
【0078】得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物のペレ
ツトを用いシリンダ温度230℃、金型温度40℃で射
出成形し各種の試験片を作製した。この試験片を用いて
前記の試験方法により各種物性を測定した。結果を表2
に示す。
【0079】
【比較例2】実施例8で用いたものと同様のプロピレン
ホモポリマー100重量部に、イルガノックス1010
TM(チバスペシャルティーケミカルズ社製)を0.1重
量部、核剤組成物Fを0.2重量部、ステアリン酸カル
シウムを0.1重量部添加し、30mmφ二軸押出機に
より樹脂温度220℃で溶融混練しペレットを製造し
た。
【0080】得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物のペレ
ツトを用いシリンダ温度230℃、金型温度40℃で射
出成形し各種の試験片を作製した、この試験片を用いて
前記の試験方法により各種物性を測定した。結果を表2
に示す。
【0081】
【比較例3〜5】比較例2において、核剤組成物の種類
または配合量を表2に示したように変えたこと以外は比
較例2と同様にして各種の試験片を作製し、この試験片
を用いて前記の試験方法により各種物性を測定した。結
果を表2に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【実施例17】直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.
922g/cm3 、温度190℃、荷重2.16kgで
測定したメルトフローレート:1.8g/10分、表中
「LLDPE」で示す)100重量部に、イルガノック
ス1076TM(チバスペシャルティーケミカルズ社製)
を0.1重量部、イルガフォス168TM(チバスペシャ
ルティーケミカルズ社製)を0.1重量部、核剤組成物
Aを0.5重量部、およびロジン酸部分金属塩(デヒド
ロアビエチン酸のカルシウム塩、カルシウム塩含有率5
0モル%)を0.1重量部添加し、20mmφ二軸押出
機により樹脂温度220℃で溶融混練しペレットを製造
した。
【0085】得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物のペレ
ツトを用いて、前記の方法で各種の試験片を作製した。
この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性を測
定した。結果を表3に示す。
【0086】
【実施例18】ロジン酸部分金属塩に変えてステアリン
酸カルシウムを0.1重量部添加したこと以外は実施例
18と同様にして結晶性熱可塑性樹脂組成物のペレツト
を製造した。得られたペレットから各種の試験片を作製
し、この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性
を測定した。結果を表3に示す。
【0087】
【実施例19】ロジン酸部分金属塩を添加しなかったこ
と以外は実施例18と同様にして結晶性熱可塑性樹脂組
成物のペレツトを製造した。得られたペレットから各種
の試験片を作製し、この試験片を用いて前記の試験方法
により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
【0088】
【比較例6】核剤組成物Aおよびロジン酸部分金属塩を
添加しなかったこと以外は実施例18と同様にして結晶
性熱可塑性樹脂組成物のペレツトを製造した。得られた
ペレットから各種の試験片を作製し、この試験片を用い
て前記の試験方法により各種物性を測定した。結果を表
3に示す。
【0089】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77/00 C08L 77/00 (72)発明者 前 田 正 雄 大阪府大阪市鶴見区鶴見一丁目1番9号 荒川化学工業株式会社内 (72)発明者 松 本 寛 大阪府大阪市鶴見区鶴見一丁目1番9号 荒川化学工業株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(I)(A)結晶性熱可塑性樹脂と、(I
    I)(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩100重量
    部、および(C)前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩を溶解、分散または混合しうる揮発性化合物50
    〜2000重量部からなる結晶核剤組成物とを、前記
    (II)結晶核剤組成物が、前記(A)結晶性熱可塑性樹
    脂100重量部に対して0.001〜5重量部の量とな
    るように混合し、溶融混練することを特徴とする結晶性
    熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】前記(A)結晶性熱可塑性樹脂が、ポリオ
    レフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアセタ
    ールからなる群より選ばれる1種の結晶性熱可塑性樹脂
    である請求項1に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分金
    属塩が、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン
    酸、ジヒドロピマル酸、およびこれらの誘導体から選ば
    れる少なくとも1種のロジン酸の金属塩または部分金属
    塩である請求項1または2に記載の結晶核剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分金
    属塩が、下記一般式(Ia)で表されるロジン酸および
    下記一般式(Ib)で表されるロジン酸から選ばれる少
    なくとも1種のロジン酸の金属塩または部分金属塩であ
    る請求項1または2のいずれかに記載の結晶性熱可塑性
    樹脂組成物の製造方法; 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異な
    っていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキ
    ル基またはアリール基を示す。)。
  5. 【請求項5】 前記一般式(Ia)および前記一般式
    (Ib)においてR1がイソプロピル基であり、R2
    よびR3 がメチル基である請求項4に記載の結晶性熱可
    塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分金
    属塩が、ロジン酸アルカリ金属塩または部分金属塩およ
    びロジン酸アルカリ土類金属塩または部分金属塩から選
    ばれる少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれ
    かに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分金
    属塩が、ロジン酸アルカリ金属塩または部分金属塩から
    選ばれる少なくとも1種およびロジン酸アルカリ土類金
    属塩または部分金属塩から選ばれる少なくとも1種であ
    る請求項1ないし5のいずれかに記載の結晶性熱可塑性
    樹脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記(C)揮発性化合物が、水、炭素原
    子数が1〜10のアルコール類、炭素原子数が6〜12
    の脂肪族炭化水素類、炭素原子数が6〜12の芳香族炭
    化水素類、炭素原子数が2〜10のケトン類、炭素原子
    数が3〜10のカルボン酸エステル類から選ばれる少な
    くとも1種の液状の化合物である請求項1ないし7のい
    ずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記(C)揮発性化合物が、水、アルコ
    ール類から選ばれる少なくとも1種の液状の化合物であ
    る請求項1ないし7のいずれかに記載の結晶性熱可塑性
    樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩がロジン酸金属塩であり、前記(C)揮発性化合
    物が水である請求項1ないし7のいずれかに記載の結晶
    性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩
    と、(C)前記(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩
    を溶解、分散または混合しうる揮発性化合物とを含んで
    なり、前記(B)ロジン酸金属塩または部分金属塩10
    0重量部に対して前記(C)揮発性化合物を50〜20
    00重量部の量で含有することを特徴とする結晶核剤組
    成物。
  12. 【請求項12】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩が、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン
    酸、ジヒドロピマル酸、およびこれらの誘導体から選ば
    れる少なくとも1種のロジン酸の金属塩または部分金属
    塩である請求項11に記載の結晶核剤組成物。
  13. 【請求項13】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩が、下記一般式(Ia)で表されるロジン酸およ
    び下記一般式(Ib)で表されるロジン酸から選ばれる
    少なくとも1種のロジン酸の金属塩または部分金属塩で
    ある請求項11に記載の結晶核剤組成物; 【化2】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異な
    っていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキ
    ル基またはアリール基を示す。)。
  14. 【請求項14】 前記一般式(Ia)および前記一般式
    (Ib)においてR 1 がイソプロピル基であり、R2
    よびR3 がメチル基である請求項13に記載の結晶核剤
    組成物。
  15. 【請求項15】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩が、ロジン酸アルカリ金属塩または部分金属塩お
    よびロジン酸アルカリ土類金属塩または部分金属塩から
    選ばれる少なくとも1種である請求項11ないし14の
    いずれかに記載の結晶核剤組成物。
  16. 【請求項16】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩が、ロジン酸アルカリ金属塩または部分金属塩か
    ら選ばれる少なくとも1種およびロジン酸アルカリ土類
    金属塩または部分金属塩から選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項11ないし14のいずれかに記載の結晶核剤
    組成物。
  17. 【請求項17】 前記(C)揮発性化合物が、水、炭素
    原子数が1〜10のアルコール類、炭素原子数が6〜1
    2の脂肪族炭化水素類、炭素原子数が6〜12の芳香族
    炭化水素類、炭素原子数が2〜10のケトン類、炭素原
    子数が3〜10のカルボン酸エステル類から選ばれる少
    なくとも1種の液状の化合物である請求項11ないし1
    6のいずれかに記載の結晶核剤組成物。
  18. 【請求項18】 前記(C)揮発性化合物が、水、アル
    コール類から選ばれる少なくとも1種の液状の化合物で
    ある請求項11ないし16のいずれかに記載の結晶核剤
    組成物。
  19. 【請求項19】 前記(B)ロジン酸金属塩または部分
    金属塩がロジン酸金属塩であり、前記(C)揮発性化合
    物が水である請求項11ないし16のいずれかに記載の
    結晶核剤組成物。
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