JP3575510B2 - 樹脂組成物および結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物および結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、結晶性熱可塑性樹脂と、ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体と、金属元素含有化合物とからなる樹脂組成物、および前記各成分を溶融混練する結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂は、優れた加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などを有しているため、射出成形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維などに加工され各種用途に用いられている。しかしながら用途によっては、剛性、耐熱剛性、透明性などが充分とはいえない場合がある。
【0003】
結晶性熱可塑性樹脂からなる成形体の剛性、耐熱剛性、透明性を向上させるには、成形加工時に微細な結晶を急速に生成させればよいことが知られている。このため従来から結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速めるために、たとえばタルクなどの結晶核剤が用いられている。このような従来の結晶核剤は、結晶化速度の向上効果が必ずしも充分ではなく、得られる成形体の剛性、耐熱剛性などの機械的性質、および/または、透明性、光沢などの光学的性質が必ずしも満足するものではなかった。
【0004】
上記問題点を解決するため、本願出願人らは特定のロジン酸金属塩からなる結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を特願平6−127478号として提案した。この結晶核剤を配合した結晶性熱可塑性樹脂組成物は、機械的性質および/または光学的性質に優れているが、さらに安価で、機械的性質および/または光学的性質に優れた結晶性熱可塑性樹脂組成物が求められている。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記のような状況のもとなされたものであって、安価で、機械的性質および/または光学的性質に優れた成形体が得られるような樹脂組成物および安価で、機械的性質および/または光学的性質に優れた成形体が得られるような結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明に係る樹脂組成物は、
(A)ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリアセタール;100重量部と、
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体;0.001〜30重量部と、
(C)金属元素含有化合物;0.001〜60重量部とからなることを特徴としている。
【0007】
前記ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)としては、たとえばデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸もしくはジヒドロピマル酸、またはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のロジン酸が挙げられる。
【0008】
前記金属元素含有化合物(C)としては、高級脂肪酸の金属塩、ハイドロタルサイト、タルク、水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムが挙げられる。
本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前記(A)ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリアセタールと、(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体と、(C)金属元素含有化合物とを溶融混練することにより製造されることを特徴としている。
【0009】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る樹脂組成物および結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法について具体的に説明する。
【0010】
本発明に係る樹脂組成物は、(A)結晶性熱可塑性樹脂と、(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体と、(C)金属元素含有化合物とからなる。
【0011】
まず、本発明に係る樹脂組成物を形成する各成分について説明する。
(A)結晶性熱可塑性樹脂
結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアセタールなどが挙げられる。
【0012】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンが特に好ましい。このようなポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0013】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このようなポリエステルは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができ、ナイロン−6が特に好ましい。このようなポリアミドは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0015】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどを挙げることができ、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。このようなポリアセタールは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
これらのうちでは、ポリオレフィン、特にポリプロピレンが機械的性質および/または光学的性質の改善効果が大きいため好ましい。
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体
ロジン酸としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α, β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製物、変性ロジンの精製物などを例示できる。なお、前記α, β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
【0017】
これらの中では、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物および変性ロジンの精製物からなる群より選ばれる少なくとも一種のロジン酸が好ましい。
本発明では、ロジン酸としてデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸もしくはジヒドロピマル酸、またはこれらの誘導体(金属塩を除く)から選ばれる少なくとも1種のロジン酸を用いることが好ましく、下記式(Ia)で表される化合物〔化合物(Ia)〕または下記式(Ib)で表される化合物〔化合物(Ib)〕を用いることがより好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】
式(Ia)および式(Ib)中、R1 、R2 およびR3 は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である。
【0020】
アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチルなどの炭素原子数が1〜8のアルキル基が挙げられ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0021】
シクロアルキル基として具体的には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどの炭素原子数が5〜8のシクロアルキル基が挙げれ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0022】
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜10のアリール基が挙げられ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0023】
このような化合物(Ia)および化合物(Ib)のなかでは、R1 、R2 およびR3 がそれぞれ、同一または異なるアルキル基である化合物が好ましく、R1 がi−プロピル基であり、R2 およびR3 がメチル基である化合物がより好ましい。
【0024】
化合物(Ia)として具体的には、デヒドロアビエチン酸などが挙げられ、化合物(Ib)で表される化合物として具体的には、ジヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
【0025】
このような化合物(Ia)および化合物(Ib)のうちで、たとえば式(Ia)で表されるデヒドロアビエチン酸は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジンを不均化または脱水素化し、次いで精製することにより得られる。なお、天然ロジンには、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などの樹脂酸が、通常複数種類含まれている。
【0026】
また、金属塩以外のロジン酸誘導体とは、アルコール、アミン、アミドなどにより前記ロジン酸の酸の部分が化学的に修飾されたものを指し、たとえば、ロジン酸のグリセリンエステル、ロジン酸の高級アルキルエステル、ロジン酸の高級アルキルアミドなどが挙げられる。
【0027】
具体的には精製不均化ロジンのグリセリンエステル、精製不均化ロジンの高級アルキルエステル、精製不均化ロジンの高級アルキルアミドが挙げられ、さらに具体的にはデヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル、デヒドロアビエチン酸の高級アルキルエステル、デヒドロアビエチン酸の高級アルキルアミド、ジヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル、ジヒドロアビエチン酸の高級アルキルエステル、ジヒドロアビエチン酸の高級アルキルアミド、テトラヒドロアビエチン酸のグリセリンエステル、テトラヒドロアビエチン酸の高級アルキルエステル、テトラヒドロアビエチン酸の高級アルキルアミドなどが例示できる。このようなロジン酸またはロジン酸誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(C)金属元素含有化合物
金属元素含有化合物としては、少なくとも1種類以上の金属元素を含有する有機化合物(金属元素含有有機化合物)、および少なくとも1種類以上の金属元素を含有する無機化合物(金属元素含有無機化合物)が挙げられる。
【0029】
金属元素含有有機化合物としては、たとえば高級脂肪酸金属塩、芳香族カルボン酸金属塩、アルキルホスホン酸金属塩などが挙げられる。
金属元素含有有機化合物が含有する金属元素としては、I族、II族、III族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Na、K、Li、Mg、BaおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がより好ましく、Na、K、MgおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がさらに好ましく、Mgが最も好ましい。
【0030】
金属元素含有有機化合物として具体的には、ステアリン酸、ラウリン酸、パルチミン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、安息香酸、p−t−ブチル−安息香酸のマグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩などが挙げられる。これらの中では、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0031】
金属元素含有無機化合物としては、金属単体の他、金属の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物などが挙げられる。
無機金属元素含有化合物が含有する金属元素としては、I族、II族、III族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Na、K、Li、Mg、BaおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がより好ましく、Na、K、MgおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がさらに好ましく、Mgが最も好ましい。
【0032】
無機金属元素含有化合物として具体的には、ハイドロタルサイト、タルク、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0033】
このような金属元素含有化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、
(A)結晶性熱可塑性樹脂;100重量部と、
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体;0.001〜30重量部、好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部と、
(C)金属元素含有化合物;0.001〜60重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜2重量部とからなる。
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体の配合量が0.01〜2重量部の範囲にあり、(C)金属元素含有化合物の配合量が0.01〜2重量部の範囲にあると、成形時の結晶化速度の向上が大きく、かつ成形体の物性に影響を与えることが少ない。
【0034】
本発明の樹脂組成物を溶融混練すると、後述するように溶融樹脂中においてロジン酸またはその誘導体(B)と、金属元素含有化合物(C)との間でイオン交換が起こり、結晶核剤となりうるロジン酸金属塩が生成する。
【0035】
このような樹脂組成物から得られる成形体は、結晶性熱可塑性樹脂(A)が本来有する優れた特性を有し、かつ、結晶化速度が速い。
また、本発明の樹脂組成物は、架橋剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料あるいは染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、家庭用品から工業用品に至る広い用途、たとえば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用される。
【0037】
本発明に係る樹脂組成物は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂(A)と、ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)と、金属元素含有化合物(C)とからなり、成形時の結晶化速度が速く、得られる成形体は、剛性、耐熱剛性などの機械的特性および/または透明性、光沢などの光学的特性に優れている。また、高価な核剤が配合されていないので経済的にも有利である。
【0038】
結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前記結晶性熱可塑性樹脂(A)と、前記ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)と、前記金属元素含有化合物(C)とを、押出機、ニーダーなどを用いて、結晶性熱可塑性樹脂(A)の融点以上の温度で溶融混練する。
【0039】
溶融混練する際には、(A)結晶性熱可塑性樹脂;100重量部に対して、
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体は、通常0.001〜30重量部、好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の量で用いられ、(C)金属元素含有化合物は、通常0.001〜60重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の量で用いられる。
【0040】
なお、溶融混練時には、前記のような各種配合剤を配合することができる。
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体の配合量が0.01〜2重量部の範囲にあり、(C)金属元素含有化合物の配合量が0.01〜2重量部の範囲にあると、得られる結晶性熱可塑性樹脂組成物は、結晶化速度の向上が大きく、かつ成形体の物性に影響を与えることが少ない。
【0041】
結晶性熱可塑性樹脂の製造条件は、結晶性熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィンである場合には、溶融混練時の温度は通常170〜300℃、好ましくは180〜250℃の範囲であり、溶融混練時間は通常0.2〜20分、好ましくは0.5〜10分である。
【0042】
ポリエステルである場合には、溶融混練時の温度は通常260〜330℃、好ましくは270〜300℃の範囲であり、溶融混練時間は通常0.2〜20分、好ましくは0.5〜10分である。
【0043】
ポリアミドである場合には、溶融混練時の温度は通常220〜330℃、好ましくは260〜330℃の範囲であり、溶融混練時間は通常0.2〜20分、好ましくは0.5〜10分である。
【0044】
ポリアセタールである場合には、溶融混練時の温度は通常180〜300℃、好ましくは180〜250℃の範囲であり、溶融混練時間は通常0.2〜20分、好ましくは0.5〜10分である。
【0045】
上記のように結晶性熱可塑性樹脂(A)と、ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)と、金属元素含有化合物(C)とを、結晶性熱可塑性樹脂(A)の融点以上の温度で溶融混練すると、溶融樹脂中においてロジン酸またはその誘導体(B)と、金属元素含有化合物(C)との間でイオン交換が起こり、たとえば下記一般式(IIa)または(IIb)で示されるようなロジン酸金属塩が生成する。
【0046】
【化4】
【0047】
(式中、R1 、R2 およびR3 は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示し、各同一であっても異なっていてもよいく、Mは、1〜3価の金属イオンであり、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1価の金属のイオン;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などの2価の金属のイオン;アルミニウムなどの3価の金属のイオンが挙げられ、nは、前記金属イオンMの価数と同一の整数であり、1〜3の整数である。)
ロジン酸またはその誘導体(B)と、金属元素含有化合物(C)とから生成するロジン酸金属塩は、本願出願人らが特願平6−127478号などに提案したロジン酸金属塩であり、このロジン酸金属塩が核剤効果を示すため、得られる組成物は、機械特性および/または光学的性質に優れている。本発明では、結晶性熱可塑性樹脂組成物の調製工程においてロジン酸金属塩が生成するので、ロジン酸を金属塩化した後結晶性熱可塑性樹脂組成物に配合する従来の方法に比較して安価に機械的性質および/または光学的性質に優れた結晶性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0048】
本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、家庭用品から工業用品に至る広い用途、たとえば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用される。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る樹脂組成物は、安価に、機械的性質および/または光学的性質に優れた成形体が得られる。
【0050】
本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、安価に、機械的性質および/または光学的性質に優れた成形体が得られるような組成物が得られる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
なお、結晶性熱可塑性樹脂組成物の性能評価は次の方法によった。
結晶化温度(Tc)
得られたペレットを、示差走査熱量計(DSC)により溶融状態から一定速度(10℃/分)で冷却し、結晶化発熱ピーク温度〔結晶化温度(Tc)〕を測定することにより結晶化速度を評価した。結晶化温度(Tc)の上昇効果の高いものほど結晶化速度が速い。
【0053】
曲げ弾性率(FM)
長さ5インチ、巾1/2インチ、厚み1/8インチの射出成形試験片を用い、ASTM D638に準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0054】
熱変形温度(HDT)
長さ5インチ、巾1/4インチ、厚み1/2インチの射出成形試験片を用い、ASTM D648に準拠して熱変形温度を測定した。熱変形温度が高い物ほど耐熱性が大きい。
【0055】
透明性(ヘイズ)
厚み1.0mmの圧縮成形試験片を用い、JIS K6714に準拠したヘイズを測定した。ヘイズの低いものは透明性が高い。
【0056】
【実施例1】
プロピレンホモポリマー(温度230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート:12g/10分)100重量部に、イルガノックス1010TM(チバガイギー社製)0.1重量部、下記式(III)で表されるロジン酸0.4重量部、およびステアリン酸マグネシウムを0.1重量部を添加し、20mm一軸押出機により樹脂温度220℃で溶融混練しペレットを製造した。
【0057】
得られたプロピレンホモポリマーペレットを用いシリンダ温度200℃、金型温度40℃で射出成形、および溶融温度200℃、冷却温度20℃で圧縮成形し各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0058】
【化5】
【0059】
【実施例2】
ステアリン酸マグネシウムの代わりに、合成ハイドロタルサイト(DHT−4A:協和化学社製)を0.1重量部添加した以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0060】
【実施例3】
ステアリン酸マグネシウムの代わりに、酸化マグネシウムを0.1重量部添加した以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0061】
【実施例4】
ステアリン酸マグネシウムの代わりに、水酸化マグネシウムを0.1重量部添加した以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0062】
【比較例1】
ステアリン酸マグネシウムを用いなかった以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0063】
【比較例2】
ロジン酸を用いなかった以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0064】
【比較例3】
ロジン酸を用いなかった以外は実施例2と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0065】
【比較例4】
ロジン酸およびステアリン酸マグネシウムを用いなかった以外は実施例1と同様にしてペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Claims (17)
- (A)ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリアセタール;100重量部と、
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体;0.001〜30重量部と、
(C)金属元素含有化合物;0.001〜60重量部とからなることを特徴とする樹脂組成物。 - (A)ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリアセタール;100重量部と、
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体;0.01〜2重量部と、
(C)金属元素含有化合物;0.01〜2重量部とからなることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)がデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸もしくはジヒドロピマル酸、またはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のロジン酸である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)が、下記式(Ia)で表されるロジン酸および下記式(Ib)で表されるロジン酸から選ばれる少なくとも1種のロジン酸である請求項1または2に記載の樹脂組成物;
- 前記式(Ia)および前記式(Ib)においてR1 がイソプロピル基であり、R2 およびR3 がメチル基である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記金属元素含有化合物(C)がI族、II族、III族の金属元素を含む化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記金属元素含有化合物(C)がMg、K、NaおよびAlから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記金属元素含有化合物(C)が高級脂肪酸の金属塩である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記金属元素含有化合物(C)がハイドロタルサイト、タルク、水酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- (A)ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリアセタールと、
(B)ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体と、
(C)金属元素含有化合物とを溶融混練することを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)がデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸もしくはジヒドロピマル酸、またはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のロジン酸である請求項10に記載の結晶性熱可塑性樹脂の製造方法。
- 前記ロジン酸および/または金属塩以外のロジン酸誘導体(B)が、下記式(Ia)で表されるロジン酸および下記式(Ib)で表されるロジン酸から選ばれる少なくとも1種のロジン酸である請求項10に記載の結晶性熱可塑性樹脂の製造方法;
- 前記式(Ia)および前記式(Ib)においてR1 がイソプロピル基であり、R2 およびR3 がメチル基である請求項12に記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記金属元素含有化合物(C)がI族、II族、III族の金属元素を
含む化合物である請求項10〜13のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 前記金属元素含有化合物(C)がMg、K、NaおよびAlから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む化合物である請求項10〜13のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記金属元素含有化合物(C)が高級脂肪酸の金属塩である請求項10〜15のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- 前記金属元素含有化合物(C)がハイドロタルサイト、タルク、水酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項10〜13のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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