JP2014227546A - 結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤、結晶性熱可塑性樹脂組成物および該成形物 - Google Patents

結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤、結晶性熱可塑性樹脂組成物および該成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】環境配慮の観点から天然物由来の原料を使用してなり、かつ低添加量で機械的性能や光学的性能を満足しうる新規な結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を提供する。
【解決手段】二量体含有率が60重量%以上である特定の重合ロジン類の金属塩を主成分として含有することを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶性熱可塑性樹脂に適用される特定の重合ロジン系結晶核剤、ならびに該結晶核剤を配合してなる熱可塑性樹脂組成物および該成形物に関する。
ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂は、優れた加工性、耐薬品性、電気的性質、機械的性質などを有しているため、射出成形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維などに加工され各種用途に用いられている。しかしながら用途によっては、剛性、耐熱剛性、透明性などが充分とはいえない場合がある。
このような結晶性熱可塑性樹脂からなる成形体の剛性、耐熱剛性、透明性を向上させるには、成形加工時に微細な結晶を急速に生成させればよいことが知られている。このため従来から結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度を速めるために、該樹脂に結晶核剤を添加することが行われており、たとえばアジピン酸ナトリウム、パラ−t−ブチル安息香酸のアルミニウム塩、ジベンジリデンソルビトール、アルキルフェノールリン酸エステルの金属塩、タルクなどの結晶核剤が用いられている。しかしながら従来の結晶核剤では、結晶化速度の向上効果が必ずしも充分ではなく、得られる成形体の剛性、耐熱剛性などの機械的性質や、透明性、光沢などの光学的性質が必ずしも満足しうるものではなかった。
また、天然物由来原料であるロジンの部分金属塩を含有する結晶核剤も知られている(特許文献1、2など参照)。該結晶核剤は環境配慮型であり、前記諸物性に優れるものであるが、より低添加率での効果発現が望まれていた。
なお、特許文献1および2には、ロジン部分金属塩の構成原料であるロジン酸またはロジン類の1種として重合ロジンが記載されているものの(特許文献1段落[0013]、特許文献2段落[0019]などを参照)、該実施例には重合ロジン金属塩に係る一切の記載がない。
上記のように、環境配慮型であり、しかも結晶性熱可塑性樹脂に対する優れた結晶核剤効果を低添加率で発現できる結晶核剤の開発や、機械的性能や光学的性能を満足しうる新規な結晶性熱可塑性樹脂の開発が切望されている。
特開平7−331081号公報 特開平8−277343号公報
本発明は、環境配慮の観点から天然物由来の原料を使用し、かつ低添加率であっても機械的性能や光学的性能を満足しうる新規な結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を提供するとともに、該結晶核剤を各種の結晶性熱可塑性樹脂組成物やその成形物に適用することを目的とする。
本発明者は前記従来技術の課題を解決すべく、重合ロジン金属塩の色調、純度、二量体含有率などの性状・物性値と、目的成形物の前記諸性能との相関に着目して、鋭意検討を重ねた。その結果、特定の二量体含有率である重合ロジンの金属塩が、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、二量体含有率が60重量%以上である重合ロジン類の金属塩を主成分として含有することを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤に係る。また本発明は、前記結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤と結晶性熱可塑性樹脂からなることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物に係る。更に本発明は、前記結晶性熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる成形物に係る。
本発明により、環境配慮型で諸特性に優れた結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を提供できる。本発明の結晶核剤を用いることにより、各種の結晶性熱可塑性樹脂に対して比較的低添加率であっても優れた結晶化速度の向上効果や機械的・光学的性能の向上効果などを発現できる。本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物は結晶化速度が速く、また得られる成形体は、機械的特性および/または光学的特性に優れている。更には、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物は、より短い混練時間で前記のような効果を奏することができる。
本発明の結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤では、使用する重合ロジン類(重合ロジンおよび/または重合ロジン低級エステルをいう)が、二量体を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有するもの(以下、特定重合ロジン類という)であることが必須とされる。重合ロジン類中の二量体含有率が60重量%未満である場合は、結晶核剤としての効果が不充分となる。なお、前記低級エステルにおける「低級」とは、メチル、エチル、プロピル基を意味する。なお、重合ロジン類中の二量体以外の残余成分としては、未反応ロジン、三量体以上の成分およびこれらの分解物が含まれる。
本発明で用いる特定重合ロジン類としては、色調がガードナー8以下、酸価が140〜185mgKOH/g、軟化点が145〜200℃であることがより好ましい。なお、重合ロジン類の二量体含有率が前記範囲内にあっても、酸価が前記範囲内を逸脱するようなものは、重合ロジンの製造に際して、脱炭酸して生じたモノカルボン酸体を相当量含んでおり、結晶化速度の向上効果や機械的・光学的性能の向上効果が低下する傾向がある。特定重合ロジン類を得るには、蒸留や再結晶などの方法により得られる精製ロジン類を出発原料として用いたり、こうして得られる重合ロジン類を更に水素化することが好ましい。特定重合ロジン類の該色調がより厳しく要求される用途に使用する場合は、ガードナー2以下が好ましく、更に好ましくはハーゼン水準(JIS K0071−1による)のものとされる。特定重合ロジン類の製造法としては、格別限定されず、公知各種の方法を採用できる。例えば、重合反応触媒として、ペンダントスルホン基を有する高分子を用いる方法(特開2006−45396号公報);ギ酸、p−トルエンスルホン酸、塩化亜鉛などを用いる方法などが挙げられる。
特定重合ロジン類と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの金属を有し、かつ特定重合ロジン類と造塩する化合物が挙げられる。具体的には、前記金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などが挙げられる。これらは、いずれか1種単独でまたは適宜に組み合わせて用いられる。
本発明では、特定重合ロジン類の金属塩が、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩および亜鉛塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。更に特定重合ロジン類の金属塩が、水素化重合ロジン類の金属塩であることがより好ましい。
特定重合ロジン類の金属塩の製造方法としては、従来公知の方法が採用でき、例えば(1) 特定重合ロジン類と前記金属化合物を有機溶剤の存在下または不存在下に金属化合物と直接に反応させる方法(直接法)、(2)
特定重合ロジン類の金属塩と前記金属化合物を水および/または有機溶剤の存在下に反応させて塩交換させる方法(複分解法)などが挙げられる。
直接法を採用する場合には、収率や作業性を考慮すれば、特定重合ロジン類を有機溶剤に溶解し、溶液状態にて金属化合物と反応させることが好ましい。ここで用いられる有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤が挙げられる。この有機溶剤は、特定重合ロジン類に対する溶解性、水分離性などを考慮して用いられる。
特定重合ロジン類と前記金属化合物とを反応させる際の有機溶剤の使用量は特に限定されないが、通常は特定重合ロジン類100重量部に対し20〜500重量部程度である。また、反応温度は特に限定されないが、通常40〜150℃程度、好ましくは50〜120℃の範囲である。特定重合ロジン類と金属化合物との反応は、特定重合ロジン類のカルボキシル基に対する金属導入量が通常5〜100当量%、好ましくは10〜100当量%となるように行われる。反応終了後、有機溶剤を留去することにより、目的とする特定重合ロジン類の金属塩が得られる。なお、得られた特定重合ロジンの金属塩は、必要に応じて精製してもよい。
複分解法を採用する場合には、収率や作業性を考慮すれば、特定重合ロジン類の金属塩(例えば、アルカリ金属塩)を有機溶剤に溶解し、水の存在下で異種の金属化合物と反応させることが好ましい。ここで用いられる有機溶剤としては、前記直接法で用いられる有機溶剤と同様のものが挙げられる。この有機溶剤は、特定重合ロジン類の金属塩に対する溶解性、水分離性などを考慮して用いられる。
特定重合ロジン類の金属塩と金属化合物とを反応させる際の有機溶剤の使用量は特に限定されないが、通常は該金属塩100重量部に対し100〜1000重量部程度である。また、反応温度は特に限定されないが、通常40〜150℃程度、好ましくは50〜90℃の範囲である。反応終了後、有機溶剤および水を留去することにより、目的とする特定重合ロジン類の金属塩が得られるが、必要に応じてこれを精製してもよい。
前記のようにして得られた特定重合ロジン類の金属塩は、微粒子化して結晶核剤として用いることが好ましい。すなわち、微粒子化することにより結晶性熱可塑性樹脂への分散性が向上するため、特定重合ロジン類の金属塩を均一に分散させることができるためである。該微粒子化方法としては、従来公知の方法が採用でき、例えば(a)
得られた特定重合ロジン類の金属塩の固形物を、湿式または乾式にて粉砕処理する方法、(b) 特定重合ロジン類と前記金属化合物との反応が終了した後、有機溶剤を留去することなく、溶液状態にて水と、必要に応じて界面活性剤および/または水溶性高分子を添加し、次いで乳化分散を行った後、水および有機溶剤を留去する方法などが挙げられる。
前記(b) の方法で用いられる界面活性剤および/または水溶性高分子としては、従来公知のものが用いられる。より具体的には、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸−アクリルアミド系共重合体、水溶性セルロース、デンプンなどが挙げられる。なお前記(b)
の方法では、水および有機溶剤を留去した後、水洗操作などを行い、特定重合ロジン類の金属塩から界面活性剤や水溶性高分子を除去してもよい。
本発明の結晶核剤が適用される結晶性熱可塑性樹脂としては、格別限定されないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアセタールからなる群より選ばれるいずれか少なくとも1種であることが好ましい。
前記ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテンが好ましい。このようなポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのなかでは、特にポリプロピレンを主体とした重合体が好ましい。
前記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このようなポリエステルは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができ、ナイロン−6が特に好ましい。このようなポリアミドは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどを挙げることができ、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。このようなポリアセタールは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明では、前記のような結晶性熱可塑性樹脂に適用する結晶核剤として、少なくとも2種の金属を含む特定重合ロジン類の金属塩(以下、特定複合金属塩という)が、より好ましく用いられることもある。すなわち、特定複合金属塩は、1種の金属のみを含有する特定重合ロジン類の金属塩に比べて結晶性熱可塑性樹脂への分散性に優れる場合がある。特定複合金属塩中には、特定重合ロジン類の金属塩が合計で、5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%の割合で含有されることが好ましい。
特定複合金属塩中の各金属塩の量比は任意であるが、特定複合金属塩中の各金属塩の合計量に対して、1種の特定重合ロジン類の金属塩が1モル%以上、好ましくは5〜95モル%、他の1種以上の特定重合ロジン類の金属塩が99モル%未満、好ましくは95〜5モル%の割合となるように組み合わせることが望ましい。
特定複合金属塩における金属塩の組み合わせとしては、特定重合ロジン類のカリウム塩と、特定重合ロジン類のナトリウム塩または特定重合ロジン類のマグネシウム塩との組み合わせが、特に好ましい。さらに、複合金属塩中の各金属塩の合計量に対し特定重合ロジン類のカリウム塩が20モル%以上、好ましくは40〜95モル%、より好ましくは45〜80モル%、特定重合ロジン類のナトリウム塩または特定重合ロジン類のマグネシウム塩が80モル%未満、好ましくは60〜5モル%、より好ましくは55〜20モル%の割合となるように組み合わせることが望ましい。
次に、本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物につき説明する。本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、結晶性熱可塑性樹脂と特定重合ロジン類の金属塩とからなる。結晶性熱可塑性樹脂に対する特定重合ロジン類の金属塩の配合量は格別限定されないが、通常は結晶性熱可塑性樹脂100重量部に対して特定重合ロジン類の金属塩が0.001〜5重量部、好ましくは0.05〜5重量部とされる。
このような組成の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、結晶性熱可塑性樹脂が本来有する優れた特性を有し、かつ結晶化速度が速い。このような結晶性熱可塑性樹脂組成物は、剛性、耐熱剛性などの機械的特性、および/または、透明性、光沢などの光学的性質に優れた成形体を製造することができ、しかも経済的にも有利である。
結晶性熱可塑性樹脂組成物を調製する方法としては、公知の任意の方法を採用でき、例えば、結晶性熱可塑性樹脂と特定重合ロジン類の金属塩を、通常のブレンダー又はミキサー等で混合する方法や、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
また、本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、架橋剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料あるいは染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。また、本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物では、本発明の結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤以外の公知結晶核剤の併用を排除するものではなく、本発明の目的を損なわない範囲であれば公知の結晶核剤を含有していてもよい。
本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は一般的な熱可塑性プラスチックと同様に、押出し成形、射出成形、延伸フィルム成形、インフレーション成形、ブロー成形などの成形方法により成形することができ、家庭用品から工業用品に亘る広い用途、例えば、食品容器、電気部品、電子部品、自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用できる。
以下に実施例および比較例をあげて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、部および%は特記しない限り重量基準である。なお、結晶性熱可塑性樹脂組成物の性能評価は次の方法によった。
結晶化温度:得られたペレットを示差走査熱量計(DSC)により溶融状態から一定速度(10℃/分)で冷却し、結晶化発熱ピーク温度〔結晶化温度(Tc)〕を測定することにより結晶化速度を評価した。結晶化温度(Tc)の上昇効果の高いものほど結晶化速度が速い。
曲げ弾性率(FM):2mm厚の圧縮成形シートより切り出した、長さ100mm、巾10mm、厚み2mmの試験片を用い、JIS
K7203に準拠して曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率の大きなものは剛性が高い。
透明性(ヘイズ):厚み1.0mmの圧縮成形試験片を用い、JIS K6714に準拠したヘイズを測定した。ヘイズの低いものは透明性が高い。
なお、後記実施例1〜3における特定重合ロジンの金属塩(結晶核剤A〜C)の製造に用いた特定重合ロジンは、酸価178mgKOH/g、軟化点150℃、色調ガードナー6、二量体含有率65%のものであり、また実施例4〜5における特定重合ロジンの金属塩(結晶核剤D、E)の製造に用いた特定重合ロジンは、酸価182mgKOH/g、軟化点171℃、色調ガードナー1、二量体含有率80%のものである。また、比較例1および比較例2における重合ロジンの金属塩(比較用結晶核剤)の製造に用いた比較用重合ロジンは、酸価135mgKOH/g、軟化点94℃、色調ガードナー7、二量体含有率40%のものである。
実施例1〜5
プロピレンホモポリマー(温度230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート:1.2g/10分)100重量部に、イルガノックス1010TM(チバガイギー社製)0.1重量部およびステアリン酸カルシウム0.1重量部を添加し、さらに下記に示す各種の結晶核剤(特定重合ロジンの金属塩)0.25重量部を添加して、20mm一軸押出機により樹脂温度230℃で溶融混練しペレット化した。
得られたペレットを用い、溶融温度230℃、金型温度40℃で射出成形、および溶融温度230℃、冷却温度20℃で圧縮成形することにより各種の試験片を作成した。この試験片を用いて前記の試験方法により各種物性の測定を行った。結果を表1に示す。
結晶核剤A:特定重合ロジンのカリウム塩(該塩含有率30%)
結晶核剤B:特定重合ロジンのナトリウム塩(該塩含有率30%)
結晶核剤C:特定重合ロジンの複合金属塩(カリウム塩含有率27%、ナトリウム塩含有率3%)
結晶核剤D:特定重合ロジンのマグネシウム塩(該塩含有率30%)
結晶核剤E:特定重合ロジンのカルシウム塩(該塩含有率30%)
比較例1
実施例1で用いた結晶核剤に代えて、比較用結晶核剤a〔比較用重合ロジンのカリウム塩(該塩含有率30%)〕を用い、かつその使用量を0.3重量部とした他は、実施例1と同様にペレットを作成した。
比較例2
実施例1で用いた結晶核剤に代えて、比較用結晶核剤b〔比較用重合ロジンのマグネシウム塩(該塩含有率30%)〕を用い、かつその使用量を0.3重量部とした他は、実施例1と同様にペレットを作成した。
比較例3
実施例1で用いた結晶核剤に代えて、する、比較用結晶核剤c〔比較用重合ロジンのカリウム金属塩(該塩含有率35%):特許文献1に記載された結晶核剤Dに相当〕を用い、かつその使用量を0.3重量部とした他は、実施例1と同様にペレットを作成した。
比較例4
実施例1で用いた結晶核剤に代えて、する、比較用結晶核剤d〔比較用重合ロジンのマグネシウム金属塩(該塩含有率35%):特許文献1に記載された結晶核剤Aに相当〕を用い、かつその使用量を0.3重量部とした他は、実施例1と同様にペレットを作成した。
比較例5
結晶核剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にペレットを作成した。
得られたペレットを用い、実施例1と同様にして各種の試験板を作成した。これらの試験板を用いて前記の試験方法により各種物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014227546
表1から、本発明の結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤は、比較例1〜4の比較用結晶核剤に比べて、いずれも低添加率であっても
結晶性熱可塑性樹脂に対して同等の結晶核剤効果を発現することが明らかである。また、本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物および該成形物は、比較用の樹脂組成物や成形物と同様に、優れた機械的性質および光学的性質を示すことが明らかである。

Claims (8)

  1. 二量体含有率が60重量%以上である重合ロジン類の金属塩を主成分として含有することを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤。
  2. 前記重合ロジン類の金属塩が二量体含有率80重量%以上のものである請求項1記載の結晶核剤。
  3. 前記重合ロジン類の金属塩が、該カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩および亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の結晶核剤。
  4. 前記重合ロジン類の金属塩が、色調(ガードナー色数)が8以下、酸価が140〜185mgKOH/g、および軟化点(環球法)が145〜200℃である重合ロジンから得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の結晶核剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤と結晶性熱可塑性樹脂からなることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記結晶性熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアセタールから選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の組成物。
  7. 前記結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤の配合割合が、結晶性熱可塑性樹脂100重量部に対し0.001〜5重量部である請求項5または6記載の組成物。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の結晶性熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる成形物。

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