JP2004231584A - 樹脂酸組成物の製造方法、結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤、および結晶性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
樹脂酸組成物の製造方法、結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤、および結晶性熱可塑性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率が高い樹脂酸組成物の工業的製造方法を提供すること、および外観・色調を顕著に改善した当該樹脂酸組成物の工業的製造方法を提供することにある。更には、当該樹脂酸組成物を用いて新規で優れた結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を提供すること、および当該結晶核剤を用いてなる結晶性熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】酸触媒の存在下、ロジン酸とホルムアルデヒドとを加熱反応させて、一般構造式(1)で示されるメチルデヒドロアビエチン酸類を製造する方法において、ロジン酸1モル当たり0.8モル以上となるホルムアルデヒドを用い、ホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下して、120℃〜220℃で反応させ、当該反応生成物である樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有率を40重量%以上とすることを特徴とする樹脂酸組成物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】酸触媒の存在下、ロジン酸とホルムアルデヒドとを加熱反応させて、一般構造式(1)で示されるメチルデヒドロアビエチン酸類を製造する方法において、ロジン酸1モル当たり0.8モル以上となるホルムアルデヒドを用い、ホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下して、120℃〜220℃で反応させ、当該反応生成物である樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有率を40重量%以上とすることを特徴とする樹脂酸組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂酸組成物の製造方法、当該樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分として含有してなる結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤、および結晶性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロジン酸は各種樹脂酸を成分とする天然樹脂で、インキ用樹脂、製紙用薬品、粘着付与剤、結晶核剤等に供されており、各用途において品質改良の為にロジン酸を化学変性する検討が行われている。例えば酸触媒の存在下でロジン酸を微量のホルムアルデヒドで変性して得られるホルムアルデヒド変性ロジンは、下記反応式で表され(例えば、非特許文献1〜2、特許文献1を参照)、メチルデヒドロアビエチン酸類を生成する。
【0003】
【化2】
【0004】
当該メチルデヒドロアビエチン酸は、本出願人の知る限りにおいて、前記メチルデヒドロアビエチン酸類を工業的に収率良く製造したとの報告は見出せていない。また、ロジン酸は概して外観に優れるものほど市場価値に優れるが、前記従来方法で製造されるホルムアルデヒド変性ロジンは、一般に強く着色しているという問題があった。
【0005】
上記した通り、ロジン酸は結晶核剤の用途にも供されている(例えば、特許文献1〜2を参照)。かかるロジン系の結晶核剤は、樹脂酸のうち特に結晶性が強い下記一般構造式(2)で示されるデヒドロアビエチン酸の金属塩を主成分としたものであり、ポリオレフィンやポリエステル等の結晶性熱可塑性樹脂中に分散させることによって、樹脂成形体の剛性、耐熱剛性、透明性等の機械的・光学的物性を向上させることができる。
【0006】
【化3】
【0007】
ここでメチルデヒドロアビエチン酸の構造式(1)は、デヒドロアビエチン酸の構造式(2)と類似していることから、メチルデヒドロアビエチン酸の金属塩はデヒドロアビエチン酸の金属塩同様に結晶核剤として高い効果が期待されるものの、本出願人の知る限りにおいて、メチルデヒドロアビエチン酸を微量含むホルムアルデヒド変性ロジンは製紙薬品以外の用途に供したとの報告は見出せていない。
【0008】
【非特許文献1】
J.D.Friedrich,R.L.Settine,J.Org.Chem.1986,51,2300−2303
【非特許文献2】
D.F.Zinkel,J.Russell編、長谷川吉弘訳、「松の化学」下巻 第760頁〜第763頁参照
【特許文献1】
特公昭49−32722号公報
【特許文献2】
特開平7‐330967号公報
【特許文献3】
特許第3320584号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率が高い樹脂酸組成物の工業的製造方法を提供すること、および外観・色調を顕著に改善した当該樹脂酸組成物の工業的製造方法を提供することにある。更には、当該樹脂酸組成物を用いて新規で優れた結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を提供すること、および当該結晶核剤を用いてなる結晶性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ホルムアルデヒド変性ロジンに関する前記従来の製造方法における反応条件につき鋭意検討を重ねた結果、反応条件を格別に限定することにより、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率の高い樹脂酸組成物を製造しうることを見出した。また、当該樹脂酸組成物が着色している点に鑑みて、この着色原因を究明しながら特定の淡色化処理を施すことにより、ほぼ無色の樹脂酸組成物を製造しうることを見出した。更に本出願人は、当該樹脂酸組成物の結晶核剤としての可能性について鋭意検討した結果、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率の高い樹脂酸組成物の金属塩が、従来のロジン系結晶核剤と比較して同等以上の結晶核剤効果を奏することを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
【0011】
即ち、本発明は、酸触媒の存在下、ロジン酸とホルムアルデヒドとを加熱反応させて、一般構造式(1)で示されるメチルデヒドロアビエチン酸類を製造する方法において、ロジン酸1モル当たり0.8モル以上となるホルムアルデヒドを用い、ホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下して、120℃〜220℃で反応させ、当該反応生成物である樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有率を40重量%以上とすることを特徴とする樹脂酸組成物の製造方法(請求項1);当該樹脂酸組成物に、水素化工程および精製工程を経由せしめることを特徴とするメチルデヒドロアビエチン酸類を主成分とするガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物の製造方法(請求項2);当該樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分とすることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)(請求項3);ならびに結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)0.001〜5重量部と結晶性熱可塑性樹脂(B)100重量部とを含有してなる結晶性熱可塑性樹脂組成物(請求項4)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、請求項1の樹脂酸組成物を製造するための出発原料につき説明する。出発原料となるロジン酸としては、アビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸などの炭素数20程度からなるジテルペンカルボン酸である各種樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン類、及びこれらの精製物等を使用することができる。ここで精製とは、出発原料である未精製ロジン酸に含まれていた過酸化物から生起したと考えられる高分子量物、および該ロジン酸にもともと含まれている不ケン化物を除去することを意味し、当該精製は公知手段に従えばよい。
【0013】
また、ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン、パラホルムアルデヒドなどを使用することができ、当該使用量は、ロジン酸1モル当たり0.8モル以上、好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0014】
また、酸触媒としては各種公知のものを特に限定なく使用できるが、例えばパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸系触媒が好ましい。これら酸触媒は、1種を単独使用または2種以上を併用できる。その使用量はロジン酸に対して通常0.025重量%以上、好ましくは0.05〜3重量%である。
【0015】
次いで、当該樹脂酸組成物の製造方法を説明する。まずロジン酸を開放容器や密閉容器中で加熱溶融し、これに所定量の酸触媒を投入した後、反応系を少なくとも120℃以上、好ましくは140℃〜220℃に保ちながら、所定量のホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下して反応させる。なお、滴下時間は好ましくは2〜7時間、更に好ましくは3〜6時間程度とされる。
【0016】
請求項1記載の製造方法では、上記のように反応条件を限定することを必須とするが、ホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下する理由は、高温反応におけるホルムアルデヒドの系外飛散量を低減し、しかも得られる樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量を高めるためである。従って、例えばロジン酸に前記所定量のホルムアルデヒドを一括投入して反応させた場合には、生成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量は40重量%未満となり、本発明の目的を達成できない。また、ホルムアルデヒドの反応系外への飛散量が多くなるために、作業環境の悪化や自然環境への負荷が著しく大きくなる等の不利益がある。また反応温度が120℃に満たない場合は、得られる樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量が40重量%未満となる。また、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有量が40重量%未満の樹脂酸組成物は結晶核剤としての実用性に劣る。一方、反応温度が220℃を超えると、反応系へホルムアルデヒドを滴下する際に発泡が激しくなり、操作上の危険性が増大するため好ましくない。
【0017】
当該樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類以外の残部は、各種樹脂酸や遊離の酸触媒、当該酸触媒と各種樹脂酸との反応物、各種樹脂酸の分解物や重合物等からなる。こうして得られた樹脂酸組成物は、通常ガードナー色数が12程度(JIS K007−1に準拠)と暗色であり、また酸触媒に起因すると考えられる着色も認められる。
【0018】
当該樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量は、各種公知の樹脂酸分析法に従い測定することができる。例えば、当該樹脂酸組成物を、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(以下、GC/MS法という)や、ゲル浸透クロマトグラフィー分析法(以下、GPC法という)にて行うことができる。
【0019】
なお触媒残存量も公知の方法により定量でき、例えばスルホン酸系触媒の残存量は蛍光X線により硫黄分を定量すればよい。
【0020】
次に、請求項2に係る発明につき説明する。当該発明は、請求項1記載の製造方法で得られた樹脂酸組成物(以下、樹脂酸組成物▲1▼という)の商品的価値を更に高めるべく、その色調・外観を改善させることを目的としたものであり、樹脂酸組成物▲1▼を水素化および精製することにより、ガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物(以下、樹脂酸組成物▲2▼という)を製造するものであって、特に水素化工程に特徴がある。
【0021】
水素化工程を設ける目的は、樹脂酸組成物▲1▼の着色が主に組成物中に残存する前記酸触媒や、該酸触媒と各種樹脂酸との反応物に起因することから、当該酸触媒に由来する硫黄成分を水素と反応させて硫化水素として除去したり、水素化触媒の被毒作用により当該水素化触媒に吸着・除去させることによって、着色を顕著に低減させることにある。なお、水素化工程を経由させずに精製工程だけを設けても、得られる樹脂酸組成物の色調をガードナー色数6程度にしか改善できず、しかも当該樹脂酸組成物中に残存する酸触媒や、当該酸触媒と各種樹脂酸との反応物等に起因すると考えられる特異な緑色の着色が認められる。
【0022】
前記水素化工程としては、各種公知のロジン酸の水素化反応を特に限定なく適用できる。例えば、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、及びニッケル、白金といった金属粉末などの貴金属触媒を、樹脂酸組成物▲1▼(固形分)に対して好ましくは0.1〜3重量%となる範囲で使用し、密閉容器中で水素圧0.5〜20MPa、好ましくは5〜10MPaにて、温度200℃以上、好ましくは240〜280℃で加熱させればよい。
【0023】
また、前記精製工程を設ける目的は、樹脂酸組成物▲1▼中の残存酸触媒を予め除去することにある。本発明において精製工程とは、水洗(触媒中和処理を含む)、ろ過、イオン交換樹脂等の各種公知の触媒除去工程、および蒸留、再結晶、抽出などの、ロジン酸に対して適用される各種公知の精製工程を意味する。特に水洗工程を設けた場合には、前記水素化工程で用いられる貴金属触媒の使用量を低減することができ、経済的である。工業的には蒸留による精製が好ましいが、この場合、例えば通常180〜300℃程度の温度範囲において通常700Pa以下の圧力の下で、蒸留時間を考慮して適宜実施すればよい。
【0024】
なお、精製工程と水素化工程は任意の順序で組み合せることができる。また、前記触媒除去工程とロジン酸の精製工程を水素化工程の前後に別々に設けてもよい。例えば、予め当該樹脂酸組成物▲1▼を水洗して触媒を除去し、ついで水素化し、更に当該ロジン酸を蒸留精製するといった態様が考えられる。
【0025】
こうしてガードナー色数が1以下(具体的には、ハーゼン175〜225レベル(JIS K0071−2に準拠))の樹脂酸組成物▲2▼を得ることができる。また、樹脂酸組成物▲2▼中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量は通常50重量%程度以上と非常に高い。
【0026】
次に請求項3に係る発明につき説明する。当該発明は、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分とすることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)(以下、結晶核剤(A)という)に関するものであり、当該結晶核剤(A)によれば、従来公知のロジン系結晶核剤の性能と同等又はそれ以上に、結晶性熱可塑性樹脂の機械的特性および光学的特性等を向上させることができる。本発明における結晶核剤(A)としては、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸組成物を用いる限り、その外観や色調に係わらず良好な核剤効果を発現する。具体的にはガードナー色調が12以下のものであればよく、また前記酸触媒に由来する着色が認められても差し支えないため、前記樹脂酸組成物▲2▼の金属塩のみならず、樹脂酸組成物▲1▼の金属塩も使用できる。なお、結晶核剤(A)の色相の点からは、樹脂酸組成物のガードナー色数は6以下が好ましく、更に好ましくはガードナー色数1以下とされ、淡色〜ほぼ無色の結晶核剤(A)を用いた場合には、透明性、表面平滑性、色相などの光学的特性に優れる結晶性熱可塑性樹脂組成物や当該成形体を調製できる利点がある。よって、前記樹脂酸組成物▲2▼と金属化合物とを反応させてなる金属塩を好ましく使用できる。なお、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有量が40重量%未満である樹脂酸組成物の金属塩を用いても、従来公知のロジン系結晶核剤に匹敵する効果は得られない。
【0027】
結晶核剤(A)は、主にメチルデヒドロアビエチン酸類と金属化合物との反応生成物である金属塩を主成分とし、当該金属塩は必ずしも完全な塩である必要はなく、部分塩であってもよい。すなわち、結晶核剤(A)としては、メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩、及び他の樹脂酸類の金属塩との合計含有率で、通常は少なくとも5当量%以上、好ましくは10以上、更に好ましくは10〜100当量%とされる。
【0028】
また、前記樹脂酸組成物の金属塩における金属としては、1族、2族、12族、13族(周期表)の金属またはこれら金属の各種化合物が用いられる。具体的には、これら金属の単体、他の金属元素との複塩や、硫酸塩、硝酸塩、珪酸塩、酢酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物などの有機および無機金属化合物が挙げられる。なかでも特に、ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物および亜鉛化合物が好ましい。ナトリウム化合物としては水酸化ナトリウム、カリウム化合物としては水酸化カリウム、マグネシウム化合物としては水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カルシウム化合物としてはハイドロカルマイト、珪酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アルミニウム化合物としてはアルミニウムイソプロポキシド、亜鉛化合物としては酢酸亜鉛が好ましい。結局、メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩としては、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度の向上効果が優れていることから、メチルデヒドロアビエチン酸類のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0029】
また、前記樹脂酸組成物の金属塩の製法は特に限定されず、各種公知の製造方法に従えばよい。例えば前記樹脂酸組成物と前記金属化合物とを、溶媒の存在下または不存在下に直接反応させる方法(直接法)があげられる。メチルデヒドロアビエチン酸類と金属化合物との反応割合は、一義的には決定できないが、通常はメチルデヒドロアビエチン酸類のカルボキシル基に対する金属導入量が5〜100当量%、好ましくは10〜100当量%とされる。反応が終了した後には、溶媒を留去し、さらに各種公知の精製操作を行ってもよい。金属導入量が約25当量%未満の場合、前記溶媒を使用することなく直接的に溶融状態で反応させうるため、経済的に有利である。また、当該樹脂酸組成物の金属塩を製造する方法は、前記直接法の他に、前記メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩と前記金属化合物を水および/または有機溶剤の存在下に反応させて塩交換させる方法(複分解法)があげられる。複分解法を採用する場合も前記直接法と同様の操作を採用できる。
【0030】
なお、前記樹脂酸組成物の金属塩は、得られた水溶液等の形態で使用することもできるが、溶媒を除去した後に微粒子化して使用することもできる。これらの方法は各種公知の手段に従えばよい。得られた樹脂酸組成物の金属塩の固形物を湿式または乾式にて粉砕処理する方法があげられる。
【0031】
次に請求項4に記載の発明について説明する。当該発明は、結晶性熱可塑性樹脂(B)100重量部に対して、結晶核剤(A)を0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部含有してなることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物に関する。かかる使用量範囲で得られる本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、結晶核剤(A)が結晶性熱可塑性樹脂(B)中に良好に分散し、結晶性熱可塑性樹脂(B)の結晶化速度を向上させると共に、その結晶が微細化するものであるため結晶性熱可塑性樹脂(B)が本来有する加工性、耐薬品性、電気特性等の優れた特性を保持しつつ、剛性、耐熱剛性等の機械的特性に優れる。また、結晶核剤(A)としてガードナー色数が6以下、好ましくは1以下のものを用いた場合には、透明性、表面平滑性、色相などの光学的特性にも優れた成形体を製造することができる。
【0032】
結晶性熱可塑性樹脂(B)としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアセタールなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン系単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などをあげる事ができ、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどをあげる事ができ、ナイロン−6が特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどをあげる事ができ、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のうち、特にポリオレフィン、ポリプロピレンが機械的性質や光学的性質の改善効果に優れるため好ましい。
【0033】
なお、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物には、架橋剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料あるいは染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させてもよい。
【0034】
また、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、中空成形などの各種成形法により目的とする成形品の製造に供される。このようにして得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物は、家庭用品から工業用品に至る広い用途、たとえば、食品や洗剤などの容器、ボトル、ボトルキャップ、衣装缶などの透明ケース、注射器シリンジなどの医療器具、電気部品、電子部品、バンパーなどの自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用される。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有することを特徴とする樹脂酸組成物、およびメチルデヒドロアビエチン酸類を主成分とするガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物を工業的に収率よく製造できる。各樹脂酸組成物は製紙用薬品、印刷インキ、粘着剤、コーティング組成物、トラフィックペイント等のロジン酸の周知用途にそのまま供することができるだけでなく、各種金属塩とすることにより、結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤として好適に使用できる。当該結晶核剤を用いた結晶性熱可塑性樹脂組成物は、剛性、耐熱剛性等の機械的性質や、透明性、表面平滑性、色相などの光学的性質に優れる。また、従来公知のロジン系結晶核剤よりも少ない混練時間で前記のような効果を奏することができる。
【0036】
以下、実施例および比較例をあげて本発明の製造方法等をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、メチルデヒドロアビエチン酸類の分析、結晶性熱可塑性樹脂組成物の性能評価は次の方法によった。
【0037】
GC/MS分析
測定装置:Hewllet−Packard社製、商品名「5971A」、信和化工(株)社製GCカラム、商品名「Advance−DS」
【0038】
GPC分析
測定装置:東ソー(株)社製、商品名「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)社製、商品名「G2000HLXおよびG1000HLX」
溶媒:テトラヒドロフラン(以下、THFという)
【0039】
蛍光X線分析
測定装置:理学電気工業(株)社製、波長分散型蛍光X線分析装置、商品名「ZSX−100e」
測定元素:硫黄(以下、Sと略す)
【0040】
結晶化温度(Tc)
得られたペレットを、示差走査熱量計(DSC)により溶融状態から一定速度(10℃/分)で冷却し、結晶化発熱ピーク温度を測定することにより結晶化速度を評価した。結晶化温度(Tc)の上昇効果の高いものほど結晶化速度が速い。
【0041】
曲げ弾性率(FM)
2mm厚の圧縮成形シートより切り出した長さ100mm、巾10mm、厚み2mmの試験片を用い、JIS K7203に準拠して曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率の大きなものは剛性が高い。
【0042】
透明性(ヘーズ)
厚み1.0mmの圧縮成形試験片を用い、JIS K6714に準拠したヘーズを測定した。ヘーズの低いものは透明性に優れる。
【0043】
結晶性樹脂組成物の色相(b値)
厚み2.0mmの圧縮成形試験片を用い、色彩光度計で測定し、b値で表した。b値が0に近いほど色相に優れる。
【0044】
製造例1
窒素流入管、攪拌機、還流管を備えた反応容器に、酸価165.4、軟化点87℃(JIS K−5902に準拠)、ガードナー色数6の中国産ガムロジン1000gを仕込み、160℃まで昇温、溶融させた。次いで、攪拌下に酸触媒としてパラトルエンスルホン酸を1.0g加えた。さらに、これに37%ホルマリン269gを、およそ5時間かけて一定量ずつ加え、反応させた。こうして、酸価148、軟化点92℃、ガードナー色数12の樹脂酸組成物1010gを得た。得られた樹脂酸組成物は黒褐色に着色していた。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が23%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が66%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は50.8重量%であり、またS量は196ppmであった。
【0045】
製造例2
製造例1で得られた組成物のうち400g(固形分)をキシレン400gに溶解し、キシレン溶液を調整した。次いで当該キシレン溶液に90℃のイオン交換水140gを加え、系全体を300rpmで5分間攪拌後10分間静置し、水層を分離除去した。これを5回繰り返し行なった後、溶媒を6.7kPaの減圧下にて留去し、黒褐色の固形樹脂381gを得た。当該固形樹脂中のS量は34ppmであった。得られた樹脂のうち300gを攪拌機、還流管を備えた反応容器に仕込み、窒素シール下にて溶融させた後、670Paの減圧下で180℃以上に加熱して蒸留し、留出温度220〜300℃において主留204gを得た。得られた樹脂酸組成物はGPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が2%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が60%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は58.8重量%であった。またS量は10ppmであったが、ガードナー色数が6で、特異な淡緑色に着色していた。
【0046】
製造例3
製造例1で得られた組成物のうち400g(固形分)を製造例2と同様の方法で酸触媒を水洗除去し、溶媒を減圧下にて留去し、黒褐色の固形樹脂358gを得た。この樹脂のS量は34ppmであった。ついで、この固形樹脂のうち300gを1リットル振盪式オートクレーブに仕込み、これに水素化触媒としてパラジウムカーボンを3g加え、系内の空気を水素で置換した後、系を水素にて10MPaに加圧し、260℃まで昇温、同温度で5時間水素化反応を行い、固形樹脂295gの水素化物を得た。ついで、この水素化物295gをキシレン295gに溶解し、水素化触媒をろ過により除去した後、溶媒を6.7kPaの減圧下に留去して固形状の樹脂269gを得た。得られた樹脂のうち200gを製造例2と同様の方法で蒸留精製し、樹脂酸組成物133gを得た。該組成物の色調はハーゼンカラー225で外観はほぼ無色であった。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が4%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が64%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は61.4重量%であり、またS量は7ppmであった。
【0047】
製造例4
製造例1で用いたものと同様の反応容器に、酸価165.4、軟化点87℃、ガードナー色数6の中国産ガムロジン1000gを仕込み、窒素気流下にて100℃まで昇温、溶融させた。次いで、攪拌下に酸触媒としてパラトルエンスルホン酸を1.0g加えた。更に温度を100℃に保ったまま、これに37%ホルマリン269gを、およそ5時間かけて一定量ずつ加えて反応させた。こうして得られた樹脂酸組成物1012gの外観は黒褐色に着色しており、ガードナー色数は12であった。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が47%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が45%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は23.9重量%であり、またS量は196ppmであった。
【0048】
製造例5
製造例4で得られた樹脂酸組成物のうち400g(固形分)を用い、製造例3と同様の方法に従い、水洗による触媒除去、水素化、蒸留精製を行なった結果、ハーゼンカラー250のほぼ無色の樹脂組成物253gを得た。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が5%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が32%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は30.4重量%であり、またS量は6ppmであった。
【0049】
表1に製造例1〜5で得られた各組成物の色調、外観、S量、およびメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量を示す。なお、表中、Gはガードナーを、Hはハーゼンを示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(結晶核剤(A)の製造)
製造例1で得られた樹脂酸組成物100gを、攪拌器、冷却器付水抜管、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応装置に仕込み、窒素気流下、200℃で攪拌しながら48%水酸化カリウム水溶液10.3gを滴下した後、250℃に昇温し、同温度で1時間保温した後、減圧度6.7kPaで減圧することによりガードナー色数12の樹脂酸カリウム塩101gを得た。これを結晶核剤A1とする。製造例2〜5の各樹脂酸組成物についても同様の手段を適用して結晶核剤A2〜A5を得た。結晶核剤A1〜A5のカリウム塩含有率はすべて30当量%である。
【0052】
また、製造例3で得られた樹脂酸組成物と、48%水酸化ナトリウム水溶液及び48%水酸化カリウム水溶液を用い、前記同様の手段に従い、ハーゼンカラー225の樹脂酸のカリウム・ナトリウム塩を得た。これを結晶核剤A6とする。カリウム塩含有率、ナトリウム塩含有率はともに15当量%である。
【0053】
また、参照用に従来公知のロジン系の結晶核剤として、デヒドロアビエチン酸を81%含有する樹脂酸組成物を用い、前記同様の手段に従い、ハーゼンカラー250のカリウム塩、およびハーゼンカラー225のカリウム・ナトリウム塩を得た。それぞれ、結晶核剤A7、A8とする。なお、結晶核剤A7のカリウム塩含有率は30当量%、A8のカリウム塩含有率、ナトリウム塩含有率はともに15当量%である。
【0054】
(結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造)
実施例1〜4
結晶性熱可塑性樹脂(B)としてポリプロピレンエチレンランダム共重合体(温度230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート;19g/10分)100重量部を用い、これにイルガフォス168TM(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.1重量部およびステアリン酸カルシウムを0.1重量部と、前記結晶核剤A1を表2に示す量で添加し、20mm一軸押出機により樹脂温度220℃でメルトブレンドし、ペレット化した。得られたペレットを用い、溶融温度230℃、冷却温度20℃で、圧縮形成により各種の試験片を作成した。同様に前記結晶核剤A2、A3、A6を用いて各試験片を作成した。次いでこれらの試験片を用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0055】
比較例1〜3
結晶核剤を添加しなかった以外は上記実施例と同様の方法でペレットを製造し、同様の手段に従い試験片を作成した。次いで、前記結晶核剤A4、A5を用い、前記同様の手段に従い試験片を作成した。次いでこれらの試験片を用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0056】
参照例1、2
前記結晶核剤A7、A8を用いて前記同様の手段に従いでペレットを製造し、同様の手段に従い試験片を作成した。次いでこれらの試験片を用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2の結果より、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸の金属塩を主成分とする本発明に係る結晶核剤(実施例1〜4)によれば、結晶核剤を用いない場合(比較例1)と比較して、試験片(結晶性熱可塑性樹脂組成物)の各種物性が向上するため、メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩が結晶核剤として有用であることが認められた。なお、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率が40重量%に満たない結晶核剤(比較例2、3)は、従来公知のロジン系結晶核剤(参照例1)に匹敵する効果が得られないことが認められる。
【0059】
また、本発明に係る結晶核剤は従来公知のロジン系結晶核剤と比較して同等以上の効果を有することが認められる(実施例1〜3と参照例1との対比、および実施例4と参照例2との対比)。また、メルトブレンド操作1回と少ない混練回数で前記効果を奏することが認められる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂酸組成物の製造方法、当該樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分として含有してなる結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤、および結晶性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロジン酸は各種樹脂酸を成分とする天然樹脂で、インキ用樹脂、製紙用薬品、粘着付与剤、結晶核剤等に供されており、各用途において品質改良の為にロジン酸を化学変性する検討が行われている。例えば酸触媒の存在下でロジン酸を微量のホルムアルデヒドで変性して得られるホルムアルデヒド変性ロジンは、下記反応式で表され(例えば、非特許文献1〜2、特許文献1を参照)、メチルデヒドロアビエチン酸類を生成する。
【0003】
【化2】
【0004】
当該メチルデヒドロアビエチン酸は、本出願人の知る限りにおいて、前記メチルデヒドロアビエチン酸類を工業的に収率良く製造したとの報告は見出せていない。また、ロジン酸は概して外観に優れるものほど市場価値に優れるが、前記従来方法で製造されるホルムアルデヒド変性ロジンは、一般に強く着色しているという問題があった。
【0005】
上記した通り、ロジン酸は結晶核剤の用途にも供されている(例えば、特許文献1〜2を参照)。かかるロジン系の結晶核剤は、樹脂酸のうち特に結晶性が強い下記一般構造式(2)で示されるデヒドロアビエチン酸の金属塩を主成分としたものであり、ポリオレフィンやポリエステル等の結晶性熱可塑性樹脂中に分散させることによって、樹脂成形体の剛性、耐熱剛性、透明性等の機械的・光学的物性を向上させることができる。
【0006】
【化3】
【0007】
ここでメチルデヒドロアビエチン酸の構造式(1)は、デヒドロアビエチン酸の構造式(2)と類似していることから、メチルデヒドロアビエチン酸の金属塩はデヒドロアビエチン酸の金属塩同様に結晶核剤として高い効果が期待されるものの、本出願人の知る限りにおいて、メチルデヒドロアビエチン酸を微量含むホルムアルデヒド変性ロジンは製紙薬品以外の用途に供したとの報告は見出せていない。
【0008】
【非特許文献1】
J.D.Friedrich,R.L.Settine,J.Org.Chem.1986,51,2300−2303
【非特許文献2】
D.F.Zinkel,J.Russell編、長谷川吉弘訳、「松の化学」下巻 第760頁〜第763頁参照
【特許文献1】
特公昭49−32722号公報
【特許文献2】
特開平7‐330967号公報
【特許文献3】
特許第3320584号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率が高い樹脂酸組成物の工業的製造方法を提供すること、および外観・色調を顕著に改善した当該樹脂酸組成物の工業的製造方法を提供することにある。更には、当該樹脂酸組成物を用いて新規で優れた結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤を提供すること、および当該結晶核剤を用いてなる結晶性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ホルムアルデヒド変性ロジンに関する前記従来の製造方法における反応条件につき鋭意検討を重ねた結果、反応条件を格別に限定することにより、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率の高い樹脂酸組成物を製造しうることを見出した。また、当該樹脂酸組成物が着色している点に鑑みて、この着色原因を究明しながら特定の淡色化処理を施すことにより、ほぼ無色の樹脂酸組成物を製造しうることを見出した。更に本出願人は、当該樹脂酸組成物の結晶核剤としての可能性について鋭意検討した結果、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率の高い樹脂酸組成物の金属塩が、従来のロジン系結晶核剤と比較して同等以上の結晶核剤効果を奏することを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されたものである。
【0011】
即ち、本発明は、酸触媒の存在下、ロジン酸とホルムアルデヒドとを加熱反応させて、一般構造式(1)で示されるメチルデヒドロアビエチン酸類を製造する方法において、ロジン酸1モル当たり0.8モル以上となるホルムアルデヒドを用い、ホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下して、120℃〜220℃で反応させ、当該反応生成物である樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有率を40重量%以上とすることを特徴とする樹脂酸組成物の製造方法(請求項1);当該樹脂酸組成物に、水素化工程および精製工程を経由せしめることを特徴とするメチルデヒドロアビエチン酸類を主成分とするガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物の製造方法(請求項2);当該樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分とすることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)(請求項3);ならびに結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)0.001〜5重量部と結晶性熱可塑性樹脂(B)100重量部とを含有してなる結晶性熱可塑性樹脂組成物(請求項4)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、請求項1の樹脂酸組成物を製造するための出発原料につき説明する。出発原料となるロジン酸としては、アビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸などの炭素数20程度からなるジテルペンカルボン酸である各種樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン類、及びこれらの精製物等を使用することができる。ここで精製とは、出発原料である未精製ロジン酸に含まれていた過酸化物から生起したと考えられる高分子量物、および該ロジン酸にもともと含まれている不ケン化物を除去することを意味し、当該精製は公知手段に従えばよい。
【0013】
また、ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン、パラホルムアルデヒドなどを使用することができ、当該使用量は、ロジン酸1モル当たり0.8モル以上、好ましくは0.9〜1.2モルである。
【0014】
また、酸触媒としては各種公知のものを特に限定なく使用できるが、例えばパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸系触媒が好ましい。これら酸触媒は、1種を単独使用または2種以上を併用できる。その使用量はロジン酸に対して通常0.025重量%以上、好ましくは0.05〜3重量%である。
【0015】
次いで、当該樹脂酸組成物の製造方法を説明する。まずロジン酸を開放容器や密閉容器中で加熱溶融し、これに所定量の酸触媒を投入した後、反応系を少なくとも120℃以上、好ましくは140℃〜220℃に保ちながら、所定量のホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下して反応させる。なお、滴下時間は好ましくは2〜7時間、更に好ましくは3〜6時間程度とされる。
【0016】
請求項1記載の製造方法では、上記のように反応条件を限定することを必須とするが、ホルムアルデヒドを連続または断続的に滴下する理由は、高温反応におけるホルムアルデヒドの系外飛散量を低減し、しかも得られる樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量を高めるためである。従って、例えばロジン酸に前記所定量のホルムアルデヒドを一括投入して反応させた場合には、生成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量は40重量%未満となり、本発明の目的を達成できない。また、ホルムアルデヒドの反応系外への飛散量が多くなるために、作業環境の悪化や自然環境への負荷が著しく大きくなる等の不利益がある。また反応温度が120℃に満たない場合は、得られる樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量が40重量%未満となる。また、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有量が40重量%未満の樹脂酸組成物は結晶核剤としての実用性に劣る。一方、反応温度が220℃を超えると、反応系へホルムアルデヒドを滴下する際に発泡が激しくなり、操作上の危険性が増大するため好ましくない。
【0017】
当該樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類以外の残部は、各種樹脂酸や遊離の酸触媒、当該酸触媒と各種樹脂酸との反応物、各種樹脂酸の分解物や重合物等からなる。こうして得られた樹脂酸組成物は、通常ガードナー色数が12程度(JIS K007−1に準拠)と暗色であり、また酸触媒に起因すると考えられる着色も認められる。
【0018】
当該樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量は、各種公知の樹脂酸分析法に従い測定することができる。例えば、当該樹脂酸組成物を、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(以下、GC/MS法という)や、ゲル浸透クロマトグラフィー分析法(以下、GPC法という)にて行うことができる。
【0019】
なお触媒残存量も公知の方法により定量でき、例えばスルホン酸系触媒の残存量は蛍光X線により硫黄分を定量すればよい。
【0020】
次に、請求項2に係る発明につき説明する。当該発明は、請求項1記載の製造方法で得られた樹脂酸組成物(以下、樹脂酸組成物▲1▼という)の商品的価値を更に高めるべく、その色調・外観を改善させることを目的としたものであり、樹脂酸組成物▲1▼を水素化および精製することにより、ガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物(以下、樹脂酸組成物▲2▼という)を製造するものであって、特に水素化工程に特徴がある。
【0021】
水素化工程を設ける目的は、樹脂酸組成物▲1▼の着色が主に組成物中に残存する前記酸触媒や、該酸触媒と各種樹脂酸との反応物に起因することから、当該酸触媒に由来する硫黄成分を水素と反応させて硫化水素として除去したり、水素化触媒の被毒作用により当該水素化触媒に吸着・除去させることによって、着色を顕著に低減させることにある。なお、水素化工程を経由させずに精製工程だけを設けても、得られる樹脂酸組成物の色調をガードナー色数6程度にしか改善できず、しかも当該樹脂酸組成物中に残存する酸触媒や、当該酸触媒と各種樹脂酸との反応物等に起因すると考えられる特異な緑色の着色が認められる。
【0022】
前記水素化工程としては、各種公知のロジン酸の水素化反応を特に限定なく適用できる。例えば、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、及びニッケル、白金といった金属粉末などの貴金属触媒を、樹脂酸組成物▲1▼(固形分)に対して好ましくは0.1〜3重量%となる範囲で使用し、密閉容器中で水素圧0.5〜20MPa、好ましくは5〜10MPaにて、温度200℃以上、好ましくは240〜280℃で加熱させればよい。
【0023】
また、前記精製工程を設ける目的は、樹脂酸組成物▲1▼中の残存酸触媒を予め除去することにある。本発明において精製工程とは、水洗(触媒中和処理を含む)、ろ過、イオン交換樹脂等の各種公知の触媒除去工程、および蒸留、再結晶、抽出などの、ロジン酸に対して適用される各種公知の精製工程を意味する。特に水洗工程を設けた場合には、前記水素化工程で用いられる貴金属触媒の使用量を低減することができ、経済的である。工業的には蒸留による精製が好ましいが、この場合、例えば通常180〜300℃程度の温度範囲において通常700Pa以下の圧力の下で、蒸留時間を考慮して適宜実施すればよい。
【0024】
なお、精製工程と水素化工程は任意の順序で組み合せることができる。また、前記触媒除去工程とロジン酸の精製工程を水素化工程の前後に別々に設けてもよい。例えば、予め当該樹脂酸組成物▲1▼を水洗して触媒を除去し、ついで水素化し、更に当該ロジン酸を蒸留精製するといった態様が考えられる。
【0025】
こうしてガードナー色数が1以下(具体的には、ハーゼン175〜225レベル(JIS K0071−2に準拠))の樹脂酸組成物▲2▼を得ることができる。また、樹脂酸組成物▲2▼中のメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量は通常50重量%程度以上と非常に高い。
【0026】
次に請求項3に係る発明につき説明する。当該発明は、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分とすることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)(以下、結晶核剤(A)という)に関するものであり、当該結晶核剤(A)によれば、従来公知のロジン系結晶核剤の性能と同等又はそれ以上に、結晶性熱可塑性樹脂の機械的特性および光学的特性等を向上させることができる。本発明における結晶核剤(A)としては、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸組成物を用いる限り、その外観や色調に係わらず良好な核剤効果を発現する。具体的にはガードナー色調が12以下のものであればよく、また前記酸触媒に由来する着色が認められても差し支えないため、前記樹脂酸組成物▲2▼の金属塩のみならず、樹脂酸組成物▲1▼の金属塩も使用できる。なお、結晶核剤(A)の色相の点からは、樹脂酸組成物のガードナー色数は6以下が好ましく、更に好ましくはガードナー色数1以下とされ、淡色〜ほぼ無色の結晶核剤(A)を用いた場合には、透明性、表面平滑性、色相などの光学的特性に優れる結晶性熱可塑性樹脂組成物や当該成形体を調製できる利点がある。よって、前記樹脂酸組成物▲2▼と金属化合物とを反応させてなる金属塩を好ましく使用できる。なお、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有量が40重量%未満である樹脂酸組成物の金属塩を用いても、従来公知のロジン系結晶核剤に匹敵する効果は得られない。
【0027】
結晶核剤(A)は、主にメチルデヒドロアビエチン酸類と金属化合物との反応生成物である金属塩を主成分とし、当該金属塩は必ずしも完全な塩である必要はなく、部分塩であってもよい。すなわち、結晶核剤(A)としては、メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩、及び他の樹脂酸類の金属塩との合計含有率で、通常は少なくとも5当量%以上、好ましくは10以上、更に好ましくは10〜100当量%とされる。
【0028】
また、前記樹脂酸組成物の金属塩における金属としては、1族、2族、12族、13族(周期表)の金属またはこれら金属の各種化合物が用いられる。具体的には、これら金属の単体、他の金属元素との複塩や、硫酸塩、硝酸塩、珪酸塩、酢酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物などの有機および無機金属化合物が挙げられる。なかでも特に、ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物および亜鉛化合物が好ましい。ナトリウム化合物としては水酸化ナトリウム、カリウム化合物としては水酸化カリウム、マグネシウム化合物としては水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、カルシウム化合物としてはハイドロカルマイト、珪酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アルミニウム化合物としてはアルミニウムイソプロポキシド、亜鉛化合物としては酢酸亜鉛が好ましい。結局、メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩としては、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化速度の向上効果が優れていることから、メチルデヒドロアビエチン酸類のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0029】
また、前記樹脂酸組成物の金属塩の製法は特に限定されず、各種公知の製造方法に従えばよい。例えば前記樹脂酸組成物と前記金属化合物とを、溶媒の存在下または不存在下に直接反応させる方法(直接法)があげられる。メチルデヒドロアビエチン酸類と金属化合物との反応割合は、一義的には決定できないが、通常はメチルデヒドロアビエチン酸類のカルボキシル基に対する金属導入量が5〜100当量%、好ましくは10〜100当量%とされる。反応が終了した後には、溶媒を留去し、さらに各種公知の精製操作を行ってもよい。金属導入量が約25当量%未満の場合、前記溶媒を使用することなく直接的に溶融状態で反応させうるため、経済的に有利である。また、当該樹脂酸組成物の金属塩を製造する方法は、前記直接法の他に、前記メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩と前記金属化合物を水および/または有機溶剤の存在下に反応させて塩交換させる方法(複分解法)があげられる。複分解法を採用する場合も前記直接法と同様の操作を採用できる。
【0030】
なお、前記樹脂酸組成物の金属塩は、得られた水溶液等の形態で使用することもできるが、溶媒を除去した後に微粒子化して使用することもできる。これらの方法は各種公知の手段に従えばよい。得られた樹脂酸組成物の金属塩の固形物を湿式または乾式にて粉砕処理する方法があげられる。
【0031】
次に請求項4に記載の発明について説明する。当該発明は、結晶性熱可塑性樹脂(B)100重量部に対して、結晶核剤(A)を0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜2重量部含有してなることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂組成物に関する。かかる使用量範囲で得られる本発明の結晶性熱可塑性樹脂組成物は、結晶核剤(A)が結晶性熱可塑性樹脂(B)中に良好に分散し、結晶性熱可塑性樹脂(B)の結晶化速度を向上させると共に、その結晶が微細化するものであるため結晶性熱可塑性樹脂(B)が本来有する加工性、耐薬品性、電気特性等の優れた特性を保持しつつ、剛性、耐熱剛性等の機械的特性に優れる。また、結晶核剤(A)としてガードナー色数が6以下、好ましくは1以下のものを用いた場合には、透明性、表面平滑性、色相などの光学的特性にも優れた成形体を製造することができる。
【0032】
結晶性熱可塑性樹脂(B)としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびポリアセタールなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン系単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などをあげる事ができ、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテンが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどを挙げることができ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどをあげる事ができ、ナイロン−6が特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどをあげる事ができ、ポリホルムアルデヒドが特に好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のうち、特にポリオレフィン、ポリプロピレンが機械的性質や光学的性質の改善効果に優れるため好ましい。
【0033】
なお、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物には、架橋剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、離型剤、無機充填剤、顔料分散剤、顔料あるいは染料などの各種配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させてもよい。
【0034】
また、本発明に係る結晶性熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、押出成形、中空成形などの各種成形法により目的とする成形品の製造に供される。このようにして得られた結晶性熱可塑性樹脂組成物は、家庭用品から工業用品に至る広い用途、たとえば、食品や洗剤などの容器、ボトル、ボトルキャップ、衣装缶などの透明ケース、注射器シリンジなどの医療器具、電気部品、電子部品、バンパーなどの自動車部品、機械機構部品、フィルム、シート、繊維などの素材として好適に使用される。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有することを特徴とする樹脂酸組成物、およびメチルデヒドロアビエチン酸類を主成分とするガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物を工業的に収率よく製造できる。各樹脂酸組成物は製紙用薬品、印刷インキ、粘着剤、コーティング組成物、トラフィックペイント等のロジン酸の周知用途にそのまま供することができるだけでなく、各種金属塩とすることにより、結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤として好適に使用できる。当該結晶核剤を用いた結晶性熱可塑性樹脂組成物は、剛性、耐熱剛性等の機械的性質や、透明性、表面平滑性、色相などの光学的性質に優れる。また、従来公知のロジン系結晶核剤よりも少ない混練時間で前記のような効果を奏することができる。
【0036】
以下、実施例および比較例をあげて本発明の製造方法等をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、メチルデヒドロアビエチン酸類の分析、結晶性熱可塑性樹脂組成物の性能評価は次の方法によった。
【0037】
GC/MS分析
測定装置:Hewllet−Packard社製、商品名「5971A」、信和化工(株)社製GCカラム、商品名「Advance−DS」
【0038】
GPC分析
測定装置:東ソー(株)社製、商品名「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)社製、商品名「G2000HLXおよびG1000HLX」
溶媒:テトラヒドロフラン(以下、THFという)
【0039】
蛍光X線分析
測定装置:理学電気工業(株)社製、波長分散型蛍光X線分析装置、商品名「ZSX−100e」
測定元素:硫黄(以下、Sと略す)
【0040】
結晶化温度(Tc)
得られたペレットを、示差走査熱量計(DSC)により溶融状態から一定速度(10℃/分)で冷却し、結晶化発熱ピーク温度を測定することにより結晶化速度を評価した。結晶化温度(Tc)の上昇効果の高いものほど結晶化速度が速い。
【0041】
曲げ弾性率(FM)
2mm厚の圧縮成形シートより切り出した長さ100mm、巾10mm、厚み2mmの試験片を用い、JIS K7203に準拠して曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率の大きなものは剛性が高い。
【0042】
透明性(ヘーズ)
厚み1.0mmの圧縮成形試験片を用い、JIS K6714に準拠したヘーズを測定した。ヘーズの低いものは透明性に優れる。
【0043】
結晶性樹脂組成物の色相(b値)
厚み2.0mmの圧縮成形試験片を用い、色彩光度計で測定し、b値で表した。b値が0に近いほど色相に優れる。
【0044】
製造例1
窒素流入管、攪拌機、還流管を備えた反応容器に、酸価165.4、軟化点87℃(JIS K−5902に準拠)、ガードナー色数6の中国産ガムロジン1000gを仕込み、160℃まで昇温、溶融させた。次いで、攪拌下に酸触媒としてパラトルエンスルホン酸を1.0g加えた。さらに、これに37%ホルマリン269gを、およそ5時間かけて一定量ずつ加え、反応させた。こうして、酸価148、軟化点92℃、ガードナー色数12の樹脂酸組成物1010gを得た。得られた樹脂酸組成物は黒褐色に着色していた。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が23%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が66%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は50.8重量%であり、またS量は196ppmであった。
【0045】
製造例2
製造例1で得られた組成物のうち400g(固形分)をキシレン400gに溶解し、キシレン溶液を調整した。次いで当該キシレン溶液に90℃のイオン交換水140gを加え、系全体を300rpmで5分間攪拌後10分間静置し、水層を分離除去した。これを5回繰り返し行なった後、溶媒を6.7kPaの減圧下にて留去し、黒褐色の固形樹脂381gを得た。当該固形樹脂中のS量は34ppmであった。得られた樹脂のうち300gを攪拌機、還流管を備えた反応容器に仕込み、窒素シール下にて溶融させた後、670Paの減圧下で180℃以上に加熱して蒸留し、留出温度220〜300℃において主留204gを得た。得られた樹脂酸組成物はGPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が2%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が60%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は58.8重量%であった。またS量は10ppmであったが、ガードナー色数が6で、特異な淡緑色に着色していた。
【0046】
製造例3
製造例1で得られた組成物のうち400g(固形分)を製造例2と同様の方法で酸触媒を水洗除去し、溶媒を減圧下にて留去し、黒褐色の固形樹脂358gを得た。この樹脂のS量は34ppmであった。ついで、この固形樹脂のうち300gを1リットル振盪式オートクレーブに仕込み、これに水素化触媒としてパラジウムカーボンを3g加え、系内の空気を水素で置換した後、系を水素にて10MPaに加圧し、260℃まで昇温、同温度で5時間水素化反応を行い、固形樹脂295gの水素化物を得た。ついで、この水素化物295gをキシレン295gに溶解し、水素化触媒をろ過により除去した後、溶媒を6.7kPaの減圧下に留去して固形状の樹脂269gを得た。得られた樹脂のうち200gを製造例2と同様の方法で蒸留精製し、樹脂酸組成物133gを得た。該組成物の色調はハーゼンカラー225で外観はほぼ無色であった。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が4%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が64%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は61.4重量%であり、またS量は7ppmであった。
【0047】
製造例4
製造例1で用いたものと同様の反応容器に、酸価165.4、軟化点87℃、ガードナー色数6の中国産ガムロジン1000gを仕込み、窒素気流下にて100℃まで昇温、溶融させた。次いで、攪拌下に酸触媒としてパラトルエンスルホン酸を1.0g加えた。更に温度を100℃に保ったまま、これに37%ホルマリン269gを、およそ5時間かけて一定量ずつ加えて反応させた。こうして得られた樹脂酸組成物1012gの外観は黒褐色に着色しており、ガードナー色数は12であった。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が47%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が45%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は23.9重量%であり、またS量は196ppmであった。
【0048】
製造例5
製造例4で得られた樹脂酸組成物のうち400g(固形分)を用い、製造例3と同様の方法に従い、水洗による触媒除去、水素化、蒸留精製を行なった結果、ハーゼンカラー250のほぼ無色の樹脂組成物253gを得た。GPC分析より高分子の不揮発成分(二量体等)が5%、GC/MS分析よりメチルデヒドロアビエチン酸類が32%であった。従って樹脂酸組成物中のメチルデヒドロアビエチン酸類含有量は30.4重量%であり、またS量は6ppmであった。
【0049】
表1に製造例1〜5で得られた各組成物の色調、外観、S量、およびメチルデヒドロアビエチン酸類の含有量を示す。なお、表中、Gはガードナーを、Hはハーゼンを示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(結晶核剤(A)の製造)
製造例1で得られた樹脂酸組成物100gを、攪拌器、冷却器付水抜管、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応装置に仕込み、窒素気流下、200℃で攪拌しながら48%水酸化カリウム水溶液10.3gを滴下した後、250℃に昇温し、同温度で1時間保温した後、減圧度6.7kPaで減圧することによりガードナー色数12の樹脂酸カリウム塩101gを得た。これを結晶核剤A1とする。製造例2〜5の各樹脂酸組成物についても同様の手段を適用して結晶核剤A2〜A5を得た。結晶核剤A1〜A5のカリウム塩含有率はすべて30当量%である。
【0052】
また、製造例3で得られた樹脂酸組成物と、48%水酸化ナトリウム水溶液及び48%水酸化カリウム水溶液を用い、前記同様の手段に従い、ハーゼンカラー225の樹脂酸のカリウム・ナトリウム塩を得た。これを結晶核剤A6とする。カリウム塩含有率、ナトリウム塩含有率はともに15当量%である。
【0053】
また、参照用に従来公知のロジン系の結晶核剤として、デヒドロアビエチン酸を81%含有する樹脂酸組成物を用い、前記同様の手段に従い、ハーゼンカラー250のカリウム塩、およびハーゼンカラー225のカリウム・ナトリウム塩を得た。それぞれ、結晶核剤A7、A8とする。なお、結晶核剤A7のカリウム塩含有率は30当量%、A8のカリウム塩含有率、ナトリウム塩含有率はともに15当量%である。
【0054】
(結晶性熱可塑性樹脂組成物の製造)
実施例1〜4
結晶性熱可塑性樹脂(B)としてポリプロピレンエチレンランダム共重合体(温度230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート;19g/10分)100重量部を用い、これにイルガフォス168TM(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.1重量部およびステアリン酸カルシウムを0.1重量部と、前記結晶核剤A1を表2に示す量で添加し、20mm一軸押出機により樹脂温度220℃でメルトブレンドし、ペレット化した。得られたペレットを用い、溶融温度230℃、冷却温度20℃で、圧縮形成により各種の試験片を作成した。同様に前記結晶核剤A2、A3、A6を用いて各試験片を作成した。次いでこれらの試験片を用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0055】
比較例1〜3
結晶核剤を添加しなかった以外は上記実施例と同様の方法でペレットを製造し、同様の手段に従い試験片を作成した。次いで、前記結晶核剤A4、A5を用い、前記同様の手段に従い試験片を作成した。次いでこれらの試験片を用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0056】
参照例1、2
前記結晶核剤A7、A8を用いて前記同様の手段に従いでペレットを製造し、同様の手段に従い試験片を作成した。次いでこれらの試験片を用いて各種物性を測定した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2の結果より、メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸の金属塩を主成分とする本発明に係る結晶核剤(実施例1〜4)によれば、結晶核剤を用いない場合(比較例1)と比較して、試験片(結晶性熱可塑性樹脂組成物)の各種物性が向上するため、メチルデヒドロアビエチン酸類の金属塩が結晶核剤として有用であることが認められた。なお、メチルデヒドロアビエチン酸類の含有率が40重量%に満たない結晶核剤(比較例2、3)は、従来公知のロジン系結晶核剤(参照例1)に匹敵する効果が得られないことが認められる。
【0059】
また、本発明に係る結晶核剤は従来公知のロジン系結晶核剤と比較して同等以上の効果を有することが認められる(実施例1〜3と参照例1との対比、および実施例4と参照例2との対比)。また、メルトブレンド操作1回と少ない混練回数で前記効果を奏することが認められる。
Claims (4)
- 請求項1に記載の製造方法で得られた樹脂酸組成物に、水素化工程および精製工程を経由せしめることを特徴とする、メチルデヒドロアビエチン酸類を主成分とするガードナー色数が1以下の樹脂酸組成物の製造方法。
- メチルデヒドロアビエチン酸類を40重量%以上含有する樹脂酸組成物と金属化合物とから誘導される樹脂酸組成物の金属塩を主成分とすることを特徴とする結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)。
- 請求項3記載の結晶性熱可塑性樹脂用結晶核剤(A)0.001〜5重量部と結晶性熱可塑性樹脂(B)100重量部とを含有してなる結晶性熱可塑性樹脂組成物。
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