JP2007063425A - 高減衰ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents

高減衰ゴム組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ヒステリシスロスが大きく、高歪域での減衰の低下が小さい高減衰ゴム組成物、及び該高減衰ゴム組成物を容易に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸金属塩とを含むことを特徴とする高減衰ゴム組成物、及び 少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸と、金属塩とを、前記ロジン酸の溶融温度以上の温度まで昇温して、混練する工程を有することを特徴とする高減衰ゴム組成物の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高減衰材料として用いられる高減衰ゴム組成物及びその製造方法に関する。
近年、耐震建造物等の要求の増加により、種々の免震構造体が開発されている。例えば、複数のゴム層と複数の硬質板体層との積層構造等を有する免震構造体は、地震等による振動が建造物に付加された場合に付加されたエネルギーを減衰させる役割を果たす。免震構造体等において用いられるゴム層には、一般に高減衰ゴムと呼ばれ、エネルギーを効率よく吸収するゴム成分が用いられる。
ゴム材料は応力ひずみによる弾性ヒステリシス(弾性履歴現象)を示し、ヒステリシスが大きいと消失する仕事量も多くなる。このため、現在ではゴム材料にフィラーを添加して、ヒステリシスロスの大きいゴム組成物を製造し、これを高減衰ゴムとして用いている。
具体的には、多量のカーボンブラックをゴム材料に添加し、ヒステリシスロスの大きなゴム組成物を得るという提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上述のようなカーボンブラックを添加したゴム組成物では、ヒステリシスロスは増大するものの、添加されるカーボンブラックの種類、品質、使用量によっては得られたゴム組成物の弾性率も増大してしまう。
また、高減衰発現のためには、カーボンを多量配合するか、樹脂系添加剤(ロジン、石油樹脂)を添加していたが、高歪域においてロスが低下するという問題があった。
また、高歪域での減衰を維持するためにシリカ等の無機系充填剤を添加する手法が知られているが(例えば、特許文献2参照。)、シリカ単体では減衰が小さいため多量配合するか小粒径シリカを添加する必要がある。無機系充填剤は融点が高いため、混練り中は固体であり、粒径が小さい場合は分散が困難である。
特開2001−206989号公報 特許第3575510号
本発明は、上記従来の課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、ヒステリシスロスが大きく、高歪域での減衰の低下が小さい高減衰ゴム組成物、及び該高減衰ゴム組成物を容易に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明者は、下記本発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、
<1> 少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸金属塩とを含むことを特徴とする高減衰ゴム組成物である。
<2> 前記ロジン酸金属塩が、分散径0.01〜10μmで分散されていることを特徴とする前記<1>に記載の高減衰ゴム組成物である。
<3> 前記ロジン酸金属塩の含有量が、ゴム成分100質量部に対して5〜60質量部であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の高減衰ゴム組成物である。
<4> 前記ロジン酸金属塩を構成する金属が、Ca又はMgであることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の高減衰ゴム組成物である。
<5> 少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸と、金属塩とを、前記ロジン酸の溶融温度以上の温度まで昇温して、混練する工程を有することを特徴とする高減衰ゴム組成物の製造方法である。
<6> 前記金属塩を構成する金属が、Ca又はMgであることを特徴とする前記<5>に記載の高減衰ゴム組成物の製造方法である。
本発明によれば、ヒステリシスロスが大きく、高歪域での減衰の低下が小さい高減衰ゴム組成物、及び該高減衰ゴム組成物を容易に製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の高減衰ゴム組成物は、少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸金属塩とを含むことを特徴としている。
また、本発明の高減衰ゴム組成物の製造方法は、少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸と、金属塩とを、前記ロジン酸の溶融温度まで昇温して、混練する工程を有することを特徴としている。
ロジン酸と金属塩は、軟化点が100℃程度と低いため、通常ゴム組成物の混練中には溶融し、組成物中に均一に分散する。そして、混練の際にロジン酸と金属塩とがイオン交換することによって、ロジン酸金属塩を生成する。生成したロジン酸金属塩は、冷却時に微小なロジン酸金属塩としてマトリックス中に析出する。すなわち、ロジン酸金属塩は軟化点が高く、そのままでは配合が困難であるため、本発明においては、ロジン酸と金属塩の状態で配合し、混練の際に金属塩を生成することによって組成物中に容易に多量・均一配合するのである。
そして、本発明の高減衰ゴム組成物においては、充填剤としてのロジン酸金属塩を多量に配合することができるとともに容易に分散することができるため、高歪域での減衰の低下を小さくすることができる。
以下、まず、本発明の高減衰ゴム組成物の製造方法について説明し、該製造方法を通じて本発明の高減衰ゴム組成物について説明する。
まず、本発明の高減衰ゴム組成物の製造方法に使用する各成分について説明する。
[ゴム成分]
ゴム成分としては、1種類のゴム成分とすることも可能であるが、複数のゴム成分を組み合わせて用いてもよい。具体的には、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR,EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。なかでも、加硫ゴムの力学物性の観点から、天然ゴム又は天然ゴムと他のゴムとのブレンドが好ましい。ブレンドの場合、天然ゴムを30質量%以上含むことが好ましい。
[ロジン酸]
ロジン酸としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、α, β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジン、水素化ロジン、重合ロジン、脱水素化ロジン、などの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製物、変性ロジンの精製物などが挙げられる。なお、前記α, β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
これらの中では、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンの精製物および変性ロジンの精製物からなる群より選択される少なくとも一種のロジン酸が好ましい。
本発明においては、ロジン酸として、特に、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸もしくはジヒドロピマル酸、またはこれらの誘導体(金属塩を除く)から選ばれる少なくとも1種のロジン酸を用いることが好ましく、下記式((1))で表される化合物〔化合物(1)〕または下記式(2)で表される化合物〔化合物(2)〕を用いることがより好ましい。
Figure 2007063425
[式(1)及び式(2)中、R1 、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。]
前記アルキル基としては、炭素数が1〜8のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチルなどのアルキル基が挙げられる。これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
前記シクロアルキル基として炭素数が5〜8のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどのシクロアルキル基が挙げられる。これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
前記アリール基としては炭素数が6〜10のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
このような化合物(1)および化合物(2)においては、R1 、R2、及びR3 がそれぞれ、同一または異なるアルキル基である化合物が好ましく、R1がi−プロピル基であり、R2およびR3がメチル基である化合物がより好ましい。
化合物(1)として具体的には、デヒドロアビエチン酸などが挙げられ、該デヒドロアビエチン酸は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジンを不均化または脱水素化し、次いで精製することにより得られる。
化合物(2)で表される化合物として具体的には、ジヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
なお、天然ロジンには、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などの樹脂酸が、通常複数種類含まれている。
[金属塩]
本発明において、金属塩としては、少なくとも1種類以上の金属元素を含有する有機化合物(金属元素含有有機化合物)、および少なくとも1種類以上の金属元素を含有する無機化合物(金属元素含有無機化合物)が挙げられる。
金属元素含有有機化合物としては、たとえば高級脂肪酸金属塩、芳香族カルボン酸金属塩、アルキルホスホン酸金属塩などが挙げられる。
金属元素含有有機化合物が含有する金属元素としては、I族、II族、III族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Na、K、Li、Ca、Mg、BaおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がより好ましく、Na、K、Ca、MgおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がさらに好ましく、Ca、Mgが最も好ましい。
金属元素含有有機化合物として具体的には、ステアリン酸、ラウリン酸、パルチミン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、安息香酸、p−t−ブチル−安息香酸のマグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩などが挙げられる。これらの中では、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
金属元素含有無機化合物としては、金属単体の他、金属の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物などが挙げられる。
無機金属元素含有化合物が含有する金属元素としては、I族、II族、III族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Na、K、Li、Mg、BaおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がより好ましく、Na、K、MgおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素がさらに好ましく、Mgが最も好ましい。
無機金属元素含有化合物として具体的には、ハイドロタルサイト、タルク、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
このような金属元素含有化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明の高減衰ゴム組成物には、上記成分と共に、通常のゴム組成物に配合され使用される配合剤を含有させることができる。例えば、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、加硫剤としての硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤、各種プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、各種軟化剤や樹脂類、ワックス、老化防止剤、石油炭化水素、ロジン、クレーや炭酸カルシウムなどの各種充填剤等の一般的に配合される各種配合剤を挙げることができる。
例えば、加硫促進剤としては、TMTD(テトラメチルジスルフィド)等のチウラム系、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)等のジチオカルバミン酸塩類を使用することができる。
また、これらと組み合わせて、有機過酸化物、キノンジオキシム、多官能性アクリルモノマー(例えば、トリメチロールエタントリアクリレート(TMETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールエーテルヘキサアクリレート(DPEHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPEHA)、ジメチロールプロパンジアクリレート(TMPTA)、ステアリルアクリレート(SA)等)、トリアジンチオールを用いることができる。
さらに、硫黄系加硫剤及び加硫促進剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等で、一般にゴム用加硫剤として用いられている硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール類等を挙げることができる。これらは併用することができる。使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.5〜10.0質量部であることが好ましく、1.0〜6.0質量部がより好ましい。
使用するカーボンブラックの例としては、標準品種であるSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス),MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。ゴム成分100質量部に対して、20〜70質量部であることが好ましく、25〜65質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの他に、更にセバシン酸ジオクチル等の可塑剤を加えても良い。
老化防止剤についても公知の老化防止剤を選択し用いることができる。例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6C)やN−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3C)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)などが挙げられる。これらは、ゴム成分100質量部に対して0.5〜5質量部程度を用いることができる。
また、石油炭化水素としては、C9系の芳香族不飽和炭化水素やC5系の脂肪族不飽和炭化水素が挙げられる。C9系の芳香族不飽和炭化水素としては、ナフサの熱分解により得られ、そのC9留分中に含まれるα−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等のビニル置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
5系の脂肪族不飽和炭化水素としては、ナフサの熱分解により得られるC5留分中に含まれるペンテン−(1)、ペンテン−(2)、2−メチルブテン−(1)、3−メチルブテン−(1)、2−メチルブテン−(2)等のオレフィン系炭化水素や、2−メチルブタジエン−(1,3)、ペンタジエン−(1,2)、ペンタジエン−(1,3)、3−メチルブタジエン−(1,2)等のジオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
本発明においては、以上の各成分を、バンバリーミキサー、押出機、ニーダーなどを用いて、配合されたゴム成分の溶融温度以上の温度で溶融混練する。
溶融混練する際には、ゴム成分100質量部に対して、ロジン酸は、2〜60質量部、好ましくは5〜40質量部の量で用いられ、金属塩は、2〜120質量部、好ましくは5〜80質量部の量で用いられる。
混練時の温度は、配合成分により異なるが、一般に、80〜200℃、好ましくは、100〜180℃の範囲であり、溶融混練に必要な時間は、0.2〜10分、好ましくは0.2〜5分である。
上記のように、ゴム成分と、ロジン酸と、金属塩とを、ロジン酸の融点以上の温度で溶融混練すると、組成物中においてロジン酸と、金属塩との間でイオン交換が起こり、例えば、下記式(3)または(4)で示されるようなロジン酸金属塩が生成する。
Figure 2007063425
[式(3)、(4)中、R1 、R2、及びR3 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、Mは、1〜3価の金属イオンを示し、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1価の金属のイオン;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などの2価の金属のイオン;アルミニウムなどの3価の金属のイオンが挙げられ、nは、前記金属イオンMの価数と同一の整数であり、1〜3の整数である。]
本発明の高減衰ゴム組成物は、シート状、直方体、長方形、多角体、円筒、球状等の種々の形状に成形可能である。シート状に成形し、これを打ち抜いて使用することも可能である。使用目的に応じて変則的な形状とすることも可能である。特に、免震構造体用の高減衰ゴム組成物の場合は一般的にシート状とされる。
シート状に成形された高減衰ゴム組成物(ゴムシート)を複数積層させて、ゴム積層体による免震構造体が得られる。
免震構造体に用いられるゴム積層体のヒステリシスロスは、等価減衰係数(HEQ)を用いて評価可能である。免震構造体における等価減衰係数は、0.1〜0.50であると好ましく、0.18〜0.23であると更に好ましい。等価減衰係数が0.18未満であると免震構造体のエネルギー吸収能が十分に得られず、0.50を超過すると免震構造体の製造が困難になることがある。等価減衰係数は公知方法により測定可能である。
本発明の高減衰ゴム組成物およびこの高減衰ゴム組成物から得られるゴム積層体は、主に高層ビル、家屋、道路橋及び橋梁等の支承部分における免震構造体に効果的に使用されるとともに、実験装置等における除振装置などの用途にも使用可能である。また、斜張橋ケーブル等の緩衝材にも適用可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜8及び比較例1〜5]
下記表1に示される成分を、加熱し、ロジン酸の溶融温度以上の温度(150℃)まで昇温し、バンバリーミキサーにより混練し、高減衰ゴム組成物を製造した。得られた高減衰ゴム組成物をゴム圧延用ロールを用いて2mm厚に圧延し、ゴムシートを製造した。
なお、表1において、練りステージAは、加硫剤を除いたポリマー、ゴム成分を混練する工程を示し、練りステージBは、練りステージAで得られたゴム組成物に加硫剤を混練する工程を示す。
Figure 2007063425
表1において略記した配合成分についての詳細を以下に示す。
天然ゴム:RSS#4
BR:ジエンNF35R(旭化成製)
カーボン:旭#80−N(旭カーボン製)
硬化脂肪酸:LUNACRA(花王製)
亜鉛華II:3号亜鉛華(白水化学製)
石油炭化水素:プロトワックス1(新日本石油製)
老化防止剤:ANTIGENE 6C(住友化学工業(株)製)
ロジン酸/Mg塩混合物:パインクリスタルKM−1600(荒川化学工業製)
ロジン酸/Ca塩混合物:パインクリスタルKR−50M
シリカ:ニプシルAQ(東ソ−シリカ工業製)
ヘビーアロマオイル:ダイアナプロセスオイルAH−58(出光興産製)
亜鉛華混合硫黄:Z硫黄(鶴見化学製)
促進剤CZ:ノクセラーCZ(大内新興化学工業製)
[評価]
実施例および比較例のゴムシートについて、下記のようにして、硬さ(Hd)、破断伸び(Eb)、引張強度(Tb)、Md300、剪断弾性係数(G)、等価減衰係数(Heq)、ロス保持率 Heq 100%/50%、200%/50%、300%/50%を測定した。なお、剪断弾性係数(G)および等価減衰係数(Heq)は、横ばね測定を行って求めた。また、作業性について以下の評価基準に従い評価した。結果を下記表2に示す。
(1)硬さ(Hd):
JIS K 6301に準拠して、硬さを求めた。
(2)破断伸び(Eb):
JIS K 6301に準拠して、破断伸びを求めた。
(3)引張強度(Tb):
JIS K 6301に準拠して、引張強度を求めた。
(4)Md300(引張応力;伸び300%時の応力)
JIS K 6301に準拠して、Md300を求めた。
(5)剪断弾性係数(G)および等価減衰係数(Heq):
[剪断弾性係数の測定サンプルの作製]
ゴムシートを25mm×25mmの方形状に打ち抜いた1枚の方形状ゴムシート20を作製し、これを25mm×60mm×厚み2.3mmの2枚の鉄板22で挟んだ。すなわち、図1(A)に示すように.接着剤を塗布した2枚の鉄板22の間に、ゴムシート20を、断面クランク状となるように挟んだ。このように、鉄板22とこれに接するゴムシート20の面とを接着した状態で加硫を行い、鉄板22とゴムシート面との接着をした。これにより図1(B)に示す形状のサンプルを得た。
[剪断弾性係数の測定]
サンプルを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置(鷺宮製作所製、型式:EFH−26−8−10)に配置した。上述の2校の鉄板(図1(B))をゴムシートに対して外側および内側に、周波数0.2Hzで下記の一回目、二回目の順で剪断率を変えて剪断力を付与した。同剪断率では各3回剪断力を付与した。
1回目:50%→100%→200%→300%
2回目:50%一100%→200%→300%
そして、各剪断率において、1回目の勢断力を加えた時の測定値(3回目)と2回目の勢断力を加えた時の測定値(3回目)を平均し、G、Heq、及びHeq保持率 100%/50%、20%/50%、30%/50%を算出した。
Figure 2007063425
なお、上記表2において「G」は、剪断弾性係数(剪断率50%、100%、200%、300%時)(等価バネ剛性と称することもある)を意味する。「Heq」は、等価減衰係数であり、ヒステリシスロスの大きさの指標とされる。
表2の結果から、実施例の高減衰ゴム組成物からなるゴムシートは、比較例よりもヒステリシスロスが大きく、高歪域での減衰の低下が小さかった。
ゴム組成物の剪断弾性率測定用サンプルの構成を示す概略図であり、(A)はゴムシートを挟む状態を示し、(B)はゴムシートを接着した状態を示す。
符号の説明
20・・・方形状ゴムシート
22・・・鉄板

Claims (6)

  1. 少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸金属塩とを含むことを特徴とする高減衰ゴム組成物。
  2. 前記ロジン酸金属塩が、分散径0.01〜10μmで分散されていることを特徴とする請求項1に記載の高減衰ゴム組成物。
  3. 前記ロジン酸金属塩の含有量が、ゴム成分100質量部に対して5〜60質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の高減衰ゴム組成物。
  4. 前記ロジン酸金属塩を構成する金属が、Ca又はMgであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高減衰ゴム組成物。
  5. 少なくとも、ゴム成分と、ロジン酸と、金属塩とを、前記ロジン酸の溶融温度以上の温度まで昇温して、混練する工程を有することを特徴とする高減衰ゴム組成物の製造方法。
  6. 前記金属塩を構成する金属が、Ca又はMgであることを特徴とする請求項5に記載の高減衰ゴム組成物の製造方法。
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